(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178753
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】梱包方法および梱包物
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
B65D81/38 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091622
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(71)【出願人】
【識別番号】596006536
【氏名又は名称】カネカフォームプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】沓水 竜太
(72)【発明者】
【氏名】南 信次
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB64
3E067AC03
3E067AC14
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067CA12
3E067CA13
3E067CA18
3E067EA06
3E067EA21
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA11
(57)【要約】
【課題】黒色系発泡体の温度上昇を抑制できる梱包方法を実現する。
【解決手段】本発明の梱包方法は、黒色系樹脂包装シート(3)を含む梱包材(2)を用いて黒色系発泡体(1A)を梱包する梱包方法であって、黒色系発泡体(1A)と梱包材(2)との間に、空気を入れて、隙間を設けた状態で、梱包材(2)により黒色系発泡体(1A)の外周を被覆する被覆工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包材を用いて黒色系発泡体を梱包する梱包方法であって、
前記梱包材は、黒色系樹脂包装シートを含み、
前記黒色系発泡体と前記梱包材との間に、空気を入れて、隙間を設けた状態で、前記梱包材により前記黒色系発泡体の外周を被覆する被覆工程、を含む、梱包方法。
【請求項2】
前記被覆工程は、
空気を巻き込むように前記黒色系樹脂包装シートを袋状化し、前記梱包材を作製する梱包材作製工程と、
前記梱包材に前記黒色系発泡体を収容する収容工程と、を含む、請求項1に記載の梱包方法。
【請求項3】
前記袋状化した前記黒色系樹脂包装シートは、その内部で、前記黒色系発泡体が移動可能な隙間を有する、請求項2に記載の梱包方法。
【請求項4】
前記梱包材と前記黒色系発泡体との隙間が1mm以上である、請求項1または2に記載の梱包方法。
【請求項5】
前記黒色系発泡体の表面温度は、90℃未満である、請求項1または2に記載の梱包方法。
【請求項6】
前記黒色系樹脂包装シートの厚みは、7μm~30μmである、請求項1または2に記載の梱包方法。
【請求項7】
前記黒色系樹脂包装シートは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、カーボンブラック2.0重量部~15.0重量部と、含む、請求項1または2に記載の梱包方法。
【請求項8】
前記黒色系樹脂包装シートは、筒状または袋状のフィルムから構成されており、前記黒色系発泡体が通過可能な開口部を少なくとも1つ有する、請求項1または2に記載の梱包方法。
【請求項9】
黒色系発泡体の熱伝導率は、0.032W/m・K以下である、請求項1または2に記載の梱包方法。
【請求項10】
黒色系発泡体の密度は、5kg/m3~25kg/m3である、請求項1または2に記載の梱包方法。
【請求項11】
黒色系発泡体と、
前記黒色系発泡体を梱包する梱包材と、を備え、
前記梱包材は、黒色系樹脂包装シートを含み、
前記黒色系樹脂包装シートと前記黒色系発泡体の外周との間で隙間を設けた状態で、前記黒色系樹脂包装シートにより前記黒色系発泡体が被覆されている、梱包物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包方法および梱包物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビーズ発泡成形体(発泡体)は、緩衝性や軽量性に優れ、かつ、用途に応じた形状設計が可能であるため、包装材料、建築材料、車輌用部材等の幅広い用途に使用されている。例えば、ビーズ発泡成形体は、成形加工工場で発泡性樹脂粒子を予備発泡して予備発泡粒子とし、予備発泡粒子を型内成形することで製造される。型内成形で使用される金型によって様々な形状に発泡成形可能であるため、ビーズ発泡成形体はブロック形状から箱形状など多様な形状で汎用されている。
【0003】
グラファイト等の炭素材料を含有する黒色系ビーズ発泡成形体(以下、黒色系発泡体と称する場合がある)は、一般的なビーズ発泡成形体と比較して断熱性能に優れるため、近年、住宅用断熱材として需要が高まっている。
【0004】
このような黒色発泡体の梱包技術は、例えば特許文献1または2に開示されている。特許文献1には、炭素粒子を含む断熱パネルが包装シートによって包装された包装体が開示されている。当該包装シートは、断熱パネルが輻射熱を全部もしくは一部遮断することができる構成となっている。包装シートは、例えば、透明な合成樹脂基材に対して白色または青色の顔料が配合された白色または青色を呈したシートである。また、包装シートは、複数の通気口を有する。
【0005】
また、特許文献2には、黒色系発泡体としてのカーボン含有発泡成形体を白色の紙で梱包する梱包方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-95293号公報
【特許文献2】特開2019-202786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に記載の技術は、黒色系発泡体の温度上昇の抑制する点で改善の余地がある。
【0008】
本発明の一態様は、黒色系発泡体を梱包する場合に、当該黒色系発泡体の温度上昇の抑制できる梱包方法および梱包体を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、以下の構成を含むものである。
【0010】
<1>梱包材を用いて黒色系発泡体を梱包する梱包方法であって、前記梱包材は、黒色系樹脂包装シートを含み、前記黒色系発泡体と前記梱包材との間に、空気を入れて、隙間を設けた状態で、前記梱包材により前記黒色系発泡体の外周を被覆する被覆工程、を含む、梱包方法。
【0011】
<2>前記被覆工程は、空気を巻き込むように前記黒色系樹脂包装シートを袋状化し、前記梱包材を作製する梱包材作製工程と、前記梱包材に前記黒色系発泡体を収容する収容工程と、を含む、<1>に記載の梱包方法。
【0012】
<3>前記袋状化した前記黒色系樹脂包装シートは、その内部で、前記黒色系発泡体が移動可能な隙間を有する、<2>に記載の梱包方法。
【0013】
<4>前記梱包材と前記黒色系発泡体との隙間が1mm以上である、<1>~<3>の何れかに記載の梱包方法。
【0014】
<5>前記黒色系発泡体の表面温度は、90℃未満である、<1>~<4>の何れかに記載の梱包方法。
【0015】
<6>前記黒色系樹脂包装シートの厚みは、7μm~30μmである、<1>~<5>の何れかに記載の梱包方法。
【0016】
<7>前記黒色系樹脂包装シートは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、カーボンブラック2.0重量部~15.0重量部を含む、<1>~<6>の何れかに記載の梱包方法。
【0017】
<8>前記黒色系樹脂包装シートは、筒状または袋状のフィルムから構成されており、前記黒色系発泡体が通過可能な開口部を少なくとも1つ有する、<1>~<7>の何れかに記載の梱包方法。
【0018】
<9>黒色系発泡体の熱伝導率は、0.032W/m・K以下である、<1>~<8>の何れかに記載の梱包方法。
【0019】
<10>黒色系発泡体の密度は、5kg/m3~25kg/m3である、<1>~<9>の何れかに記載の梱包方法。
【0020】
<11>黒色系発泡体と、前記黒色系発泡体を梱包する梱包材と、を備え、前記梱包材は、黒色系樹脂包装シートを含み、前記黒色系樹脂包装シートと前記黒色系発泡体の外周との間で隙間を設けた状態で、前記黒色系樹脂包装シートにより前記黒色系発泡体が被覆されている、梱包物。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、黒色系発泡体を梱包する場合に、当該黒色系発泡体の温度上昇の抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】101および102は、本発明の一実施形態に係る梱包方法における被覆工程の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る梱包物の概略構成を示し、201は斜視図であり、202は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。さらに、各図面は、以下の説明と併せて参照したときに分かり易いように示したものであり、必ずしも一定の比率の縮尺で描かれていない。
【0024】
〔1.本願発明の一実施形態の概要〕
上述のように、黒色系発泡体は、一般的なビーズ発泡成形体と比較して断熱性能に優れるため、近年、住宅用断熱材として需要が高まっている。黒色系発泡体に含まれる炭素材料は、電磁波(輻射熱)を吸収する。それゆえ、このような黒色系発泡体は、施工現場に運搬時または仮置き中に、太陽光の照射により材料温度が上昇する。そして、その結果、黒色系発泡体は、3次発泡による変形または溶融等の品質不良を起こす場合がある。
【0025】
特許文献1および2に記載の梱包技術は、このような太陽光の照射による黒色系発泡体の変形を防止し得る。しかしながら、特許文献1および2に記載の梱包技術は、梱包材として輻射熱を遮断する材料を用いた技術であり、太陽光を吸収し得る黒色系包装シートを含む梱包材により黒色系発泡体を梱包した場合を想定していない。それゆえ、特許文献1および2に記載の梱包技術は、黒色系包装シートを含む梱包材を用いて黒色系発泡体を梱包する場合に、当該黒色系発泡体の温度上昇の抑制する点で改善の余地がある。
【0026】
そこで、本発明者は、黒色系包装シートを含む梱包材を用いて黒色系発泡体を梱包する場合に、当該黒色系発泡体の温度上昇の抑制できる梱包方法および梱包体を実現することを目的として、鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0028】
〔2.梱包方法〕
本発明の一実施形態に係る梱包方法(以下、本梱包方法と称する場合がある)は、梱包材を用いて黒色系発泡体を梱包する梱包方法である。前記梱包材は、黒色系樹脂包装シートを含む。そして、本梱包方法は、前記黒色系発泡体と前記梱包材との間に、空気を入れて、隙間を設けた状態で、前記梱包材により前記黒色系発泡体の外周を被覆する被覆工程、を含む。
【0029】
上記の構成によれば、前記被覆工程にて、前記黒色系発泡体と前記梱包材との間に、空気を入れて、隙間を設けた状態で、前記梱包材により前記黒色系発泡体の外周を被覆する。また、前記梱包材は、黒色系樹脂包装シートを含む。黒色系樹脂包装シートは、前記梱包材の本体である。それゆえ、黒色系発泡体と黒色系樹脂包装シートとの間に空気が介在するので、黒色系樹脂包装シートによって吸収された熱は、黒色系発泡体に伝達しにくくなる。したがって、上記の構成によれば、黒色系発泡体の温度上昇を抑制することができる。さらには、この温度上昇に伴う黒色系発泡体の反り、変形、または寸法変化を防止することができる。なお、上記の構成によれば、特許文献1に記載の技術のように白色または青色の包装シートに通気口を開けなくても、黒色系発泡体と黒色系樹脂包装シートとの間に空気が介在した状態とすれば黒色系発泡体の温度上昇を抑制できる。それゆえ、上記の構成によれば、特許文献1に記載の技術と比較して、通気口の加工コストを必要とせず、コストを低減できる。さらには、黒色系樹脂包装シートに通気口が設けられていないので、本発明の一実施形態に係る梱包方法は、特許文献1に記載の技術と比較して、梱包物内に埃が進入する虞が小さくなり、結果として黒色発泡体が汚れる虞が小さくなる。
【0030】
ここで、前記被覆工程において、前記黒色系発泡体は、その外周の全部と前記梱包材との間に隙間を設けた状態で、前記梱包材により被覆される必要はない。前記黒色系発泡体は、その外周の少なくとも一部と前記梱包材との間に隙間を設けた状態で、前記梱包材により被覆されていればよい。例えば、梱包材による黒色系発泡体の被覆状態は、前記黒色系発泡体の外周のうち、上面および側面の両方が梱包材と隙間が設けられる一方、下面が梱包材と接触した状態であってもよい。また、黒色系発泡体と梱包材との接触箇所は、固定されず、変わることが好ましい。黒色系発泡体と梱包材との接触箇所が固定されていると、当該接触箇所にて局所的に黒色系発泡体が温度上昇してしまう。このような温度上昇を回避するため、黒色系発泡体は、梱包材内で移動可能になっていることが好ましい。
【0031】
また、前記被覆工程において、前記梱包材による前記黒色系発泡体の被覆方法は、最終的に、前記黒色系発泡体と前記梱包材との間に空気が介在し隙間を設けた状態となっていれば、特に限定されない。前記被覆方法は、例えばポンプなどで梱包材内に空気を積極的に導入する工程を必ずしも含む必要はない。
【0032】
前記被覆方法の一例は、次の工程を含んでいてもよい。開口を有し、かつ黒色系発泡体の寸法よりも大きい梱包材を準備する工程;準備した梱包材の開口から黒色系発泡体を収容する工程;黒色系発泡体と梱包材との間に空気が介在し隙間ができるように梱包材内での黒色系発泡体の位置を調整する工程。また、前記被覆方法の他の例は、次の工程を含んでいてもよい。開口を有し、かつ黒色系発泡体の寸法よりも大きい梱包材を準備する工程;準備した梱包材の開口から黒色系発泡体を収容する工程;黒色系発泡体と梱包材との間に隙間ができるように、ポンプなどを用いて梱包材内へ空気を導入する工程。さらに、前記被覆方法のさらに他の例は、次の工程を含んでいてもよい。開口を有し、かつ黒色系発泡体の寸法よりも大きい梱包材を準備する工程;準備した梱包材の開口から空気を巻き込みつつ、上側から黒色系発泡体を被覆する工程。
【0033】
(被覆工程)
図1の101および102は、本梱包方法における被覆工程の一例を模式的に示す図である。本梱包方法において、前記被覆工程は、
図1の101に示す梱包材作製工程と、
図1の102に示す収容工程と、を含む。梱包材作製工程では、空気を巻き込むように黒色系樹脂包装シート3を袋状化し、梱包材2を作製する。また、収容工程では、梱包材2に黒色系発泡体1Aを収容する。
【0034】
ここで、黒色系発泡体1Aは、複数の黒色系発泡プレート1が積層された積層体である。なお、黒色系発泡体1Aは、1枚の黒色系発泡プレート1から構成されていてもよい。また、黒色系発泡体1Aは、プレート状に限定されず、任意の形状を採用することができる。
【0035】
梱包材作製工程に使用される黒色系樹脂包装シート3の形態は、袋状化できる形態であれば、特に限定されない。
図1の101に示す構成では、黒色系樹脂包装シート3は、袋状のフィルムから構成されており、黒色系発泡体1Aが通過可能な開口部3aを1つ有する。また、黒色系樹脂包装シート3は、筒状のフィルムから構成されており、黒色系発泡体1Aが通過可能な開口部3aを2つ有していてもよい。この場合、筒状のフィルムの2つの開口部3aのうち一方の開口部を、例えば溶着により閉鎖することによって、黒色系樹脂包装シート3を袋状化できる。また、黒色系樹脂包装シート3は、開口部3aを1つまたは2つ有する構成に限定されず、開口部3aを少なくとも1つ有していればよい。すなわち、黒色系樹脂包装シート3が袋状のフィルムから構成されている場合、黒色系樹脂包装シート3は、2つ以上の開口部3aを有する構成である。また、黒色系樹脂包装シート3が筒状のフィルムから構成されている場合、黒色系樹脂包装シート3は、3つ以上の開口部3aを有する構成である。筒状のフィルムからなる黒色系樹脂包装シート3が3つ以上の開口部3aを有する場合、これら開口部3aのうち少なくとも1つを閉鎖することにより、2つ以上の開口部3aを有する袋状に形成することができる。このように、黒色系樹脂包装シート3が、筒状または袋状のフィルムから構成されており、黒色系発泡体1Aを収容する開口部3aを少なくとも1つ有することにより、容易に黒色系樹脂包装シート3を袋状化することができる。
【0036】
なお、「袋状のフィルム」は、黒色系発泡体1Aの外周の全部を被覆可能な黒色系樹脂包装シート3の構成であれば、特に限定されない。例えば、黒色系樹脂包装シート3は、箱状のフィルムで構成されていてもよい。また、黒色系樹脂包装シート3は、所定寸法の一枚のフィルムからなり、当該フィルムが風呂敷包みのように黒色系発泡体1Aを梱包する構成であってもよい。
【0037】
梱包材作成工程では、空気を巻き込むように黒色系樹脂包装シート3を袋状化する。ここで、「空気を巻き込むように」とは、
図1の101に示すように、黒色系樹脂包装シート3が袋状のフィルムで構成されている場合、開口部3aから空気を入れることを意味する。開口部3aから空気を入れることにより、黒色系樹脂包装シート3は、黒色系発泡体1Aが収容できる程度に袋状化する。なお、黒色系樹脂包装シート3が筒状のフィルムで構成されている場合、「空気を巻き込むように」とは、2つの開口部3aのうち一方の開口部3aを閉じた後、他方の開口部3aから空気を入れることを意味する。また、梱包材作製工程においては、少なくとも開口部3aが黒色系発泡体1Aを収容できる寸法になるまで、黒色系樹脂包装シート3を袋状化していればよい。
【0038】
また、梱包材作製工程において、空気を巻き込む方法、すなわち開口部3aから空気を入れる方法は、特に限定されない。当該方法は、ポンプなどを用いて開口部3aから黒色系樹脂包装シート3内へ空気を入れる方法であってよい。また、当該方法は、開口部3aを広げた状態で黒色系樹脂包装シート3を動かすことによって黒色系樹脂包装シート3内へ空気を入れる方法であってよい。
【0039】
図1の102に示すように、前記収容工程では、梱包材2に黒色系発泡体1Aを収容する。当該収容工程では、袋状化した黒色系樹脂包装シート3の開口部3aから黒色系発泡体1Aを収容する。黒色系発泡体1Aが収容された状態では、袋状化した黒色系樹脂包装シート3は、その内部で、黒色系発泡体1Aが移動可能な隙間を有する。このように、袋状化した黒色系樹脂包装シート3内で、黒色系発泡体1Aが移動可能となっているので、黒色系発泡体1Aと黒色系樹脂包装シート3との間に空気が介在することになる。
【0040】
梱包材2に黒色系発泡体1Aを収容する方法は、最終的に、黒色系発泡体1Aと梱包材2との間に空気が介在し隙間を設けた状態となっていれば、特に限定されない。当該方法は、例えば、黒色系発泡体1Aの寸法に応じて設定することができる。黒色系発泡体1Aの寸法が比較的小さい場合、
図1の102に示すように、開口部3aが上側になるように袋状化した黒色系樹脂包装シート3を設置した状態で、黒色系発泡体1Aを移動させて開口部3aから投入することにより黒色系発泡体1Aを収容してもよい。また、黒色系発泡体1Aの寸法が比較的大きい場合、地面などに設置された黒色系発泡体1Aに対して開口部3aを通過するように袋状化した黒色系樹脂包装シート3を覆いかぶせることにより黒色系発泡体1Aを収容してもよい。
【0041】
本梱包方法では、前記梱包材作製工程および収容工程を経て、黒色系発泡体1Aが梱包材2に収容される。本梱包方法は、適宜、黒色系発泡体1Aが収容された袋状の黒色系樹脂包装シート3に対して開口部3aを閉鎖する閉鎖工程を含んでいてもよい。当該閉鎖工程では、例えば、袋状の黒色系樹脂包装シート3の開口部3a側の端部3bを巾着絞り状に結着することにより、開口部3aを閉鎖する。なお、開口部3aの閉鎖方法(結着方法)は、巾着絞り状の結着に限定されず、公知の結着方法を採用することができる。例えば、当該閉鎖方法として、端部3bに結び目をつくって結着する方法、開口部3aまたは端部3bの溶着により結着する方法等が挙げられる。
【0042】
また、本梱包方法においては、梱包材作製工程および収容工程の順番は、
図1の101および102に示す順番に限定されない。本梱包方法においては、梱包材作製工程の後に収容工程を行ってもよいし、収容工程の後に梱包材作製工程を行ってもよい。
【0043】
例えば、黒色系樹脂包装シート3が筒状のフィルムにより構成されている場合、収容工程の後に梱包材作製工程を行うことが可能である。すなわち、まず、収容工程にて、筒状の黒色系樹脂包装シート3の開口部3aを開いて、筒状の黒色系樹脂包装シート3内に黒色系発泡体1Aを収容する。そして、その後、梱包材作製工程にて、黒色系発泡体1Aが収容された黒色系樹脂包装シート3に対して、2つの開口部3aのうち一方の開口部を、例えば溶着により閉鎖することによって、黒色系樹脂包装シート3を袋状化する。そして、他方の開口部3aから空気を導入する。
【0044】
(梱包物)
図2は、本発明の一実施形態に係る梱包物10の概略構成を示し、
図2の201は斜視図であり、
図2の202は断面図である。梱包物10は、例えば
図1の101および102に示す梱包方法によって得られる。
【0045】
図2の201および202に示すように、梱包物10は、黒色系発泡体1Aと、黒色系発泡体1Aを梱包する梱包材2と、を備えている。梱包材2は、黒色系樹脂包装シート3を含む。そして、黒色系樹脂包装シート3と黒色系発泡体1Aの外周との間で隙間を設けた状態で、黒色系樹脂包装シート3により、黒色系発泡体1Aが被覆されている。また、黒色系発泡体1Aは、黒色系発泡プレート1の積層体である。
【0046】
梱包材2に含まれる黒色系樹脂包装シート3は、開口部3aを有する袋状を成している。黒色系発泡体1Aは、開口部3aを介して、袋状の黒色系樹脂包装シート3内に収容される。黒色系樹脂包装シート3は、開口部3a側の端部3bが巾着絞り状に結着されている。これにより、開口部3aが閉鎖される。
【0047】
このように、梱包物10は、黒色系発泡体1Aと、閉鎖状態の袋状の黒色系樹脂包装シート3と、を備えた構成である。ここで、梱包物10によれば、黒色系樹脂包装シート3は、黒色系発泡体1Aとの間で隙間Dを設けた状態で、黒色系発泡体1Aを被覆する。それゆえ、黒色系発泡体1Aと黒色系樹脂包装シート3との隙間Dに空気が介在するので、黒色系樹脂包装シート3によって吸収された熱は、黒色系発泡体1Aに伝達しにくくなる。したがって、梱包物10によれば、黒色系発泡体1Aの温度上昇を抑制することができる。さらには、この温度上昇に伴う黒色系発泡体1Aの反り、変形、または寸法変化を防止することができる。
【0048】
梱包物10または本梱包方法において、梱包材2(黒色系樹脂包装シート3)と前記黒色系発泡体1Aとの隙間Dの寸法は、黒色系樹脂包装シート3によって吸収された熱が黒色系発泡体1Aに伝達されない程度であれば、特に限定されない。梱包材2と前記黒色系発泡体1Aとの隙間Dは、1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましい。
【0049】
また、梱包物10または本梱包方法において、黒色系発泡体1Aの表面温度は、90℃未満であることが好ましく、85℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。黒色系発泡体1Aの表面温度が上記数値範囲に維持されていることにより、黒色系発泡体1Aの反り、変形、または寸法変化を防止することができる。
【0050】
以下、本発明の一実施形態に係る梱包物10を構成する各材料について、詳述する。
【0051】
(黒色系発泡体1A、黒色系発泡プレート1)
本発明の一実施形態にて使用される黒色系発泡体1A(黒色系発泡プレート1)は、グラファイト等の炭素材料を含有する黒色系ビーズ発泡成形体であれば、特に限定されない。好ましくは、黒色系発泡体1Aは、明度指数L*が65未満である黒色系樹脂発泡成形体であり、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡および成形して得られるビーズ発泡成形体、または、熱可塑性樹脂発泡粒子を発泡成形して得られるビーズ発泡成形体である。黒色系発泡体1Aは、1枚の明度指数L*が65未満である黒色系発泡プレート1から構成されてもよく、2枚以上の明度指数L*が65未満である黒色系発泡プレート1を積層して構成されてもよい。
【0052】
発泡性熱可塑性樹脂粒子または熱可塑性発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン(PS)、スチレン-アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(耐熱PS)、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体(HIPS)、N-フェニルマレイミド-スチレン-無水マレイン酸の三次元共重合体、それらとASとのアロイ(IP)などのスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などのビニル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン三次元共重合体、シクロオレフィン系(共)重合体などのポリオレフィン系樹脂およびこれらに分岐構造、架橋構造を導入してレオロジーコントロールされたポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXDナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性PPE)、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などのエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。これら熱可塑性樹脂の中でも、比較的安価で、特殊な方法を用いずに低圧の蒸気等で成形ができ、高い緩衝性および断熱性の効果が得られる点から、ポリスチレン系樹脂が好ましい。すなわち、本発明の一実施形態において、黒色系発泡体1Aは、ポリスチレン系発泡樹脂からなる発泡体であることが好ましい。
【0053】
本発明の一実施形態において、熱可塑性樹脂からなるビーズ発泡成形体を黒色系の色とする方法は特に限定されず、前記ビーズ発泡成形体を構成する発泡性熱可塑性樹脂粒子または熱可塑性発泡粒子に、カーボンを含有させる方法、黒色系の顔料を含有させる方法等が挙げられる。これらの中でも、黒色系発泡体1Aに優れた断熱性を付与できることから、発泡性熱可塑性樹脂粒子または熱可塑性発泡粒子にカーボンを含有させる方法が好ましい。換言すると、本発明の一実施形態にて使用される黒色系発泡体1Aは、カーボンを含有することが好ましい。
【0054】
本発明の一実施形態にて使用される黒色系発泡体1Aのカーボン含有量は特に限定されないが、断熱性向上の観点から100重量%の黒色系発泡体1Aにおいて、2重量%以上が好ましく、良好な発泡成形性を得るためには25重量%以下が好ましい。
【0055】
黒色系発泡体1Aの含有するカーボンとしては、グラファイト、グラフェン、活性炭、コークス、カーボンブラックなどがあげられる。これらの中でも、コストおよび断熱性向上効果のバランスに優れることからグラファイト、またはカーボンブラックが好ましく、グラファイトがより好ましい。
【0056】
本発明の一実施形態において、黒色系発泡体1Aは、明度指数L*が65未満であり、好ましくは60未満であり、より好ましくは55未満であり、さらに好ましくは50未満である。明度指数L*が65未満の発泡体は黒色またはグレーの色となる。それゆえ、従来の梱包方法で黒色系発泡体1Aを梱包する場合、太陽光を吸熱するなどして昇温し、溶融したり、変形したりする場合があった。一方、本梱包方法によって黒色系発泡体1Aを梱包する場合、当該黒色系発泡体1Aの昇温を抑制できるため、明度指数L*が65未満である黒色系発泡体1Aであっても、安定して梱包、保存することができる。
【0057】
本明細書において、明度指数L*とは、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値を意図する。例えば、白の明度指数L*の値は100であり、黒の明度指数L*の値は0である。なお、CIE1976L*a*b* 色空間における明度指数L*のは、例えば、分光測色計(コニカミノルタ製 CM-2500d等)を用い、測定用光源として、キセノンランプを、測定径としてφ8mmを設定して測定することができる。
【0058】
本発明の一実施形態において、黒色系発泡体1Aの形状は特に限定されず、例えば、矩形状、三角形や六角形等の多角形状、円形状等が挙げられる。また、耐力壁パネル等の木製パネル内に黒色系発泡体1Aが装填される様態であってもよい。黒色系発泡体1Aの形状は、所望の用途に応じて適宜設定可能である。
【0059】
本発明の一実施形態において、黒色系発泡体1Aの発泡倍率は40倍以上であることが好ましい。黒色系発泡体1Aの発泡倍率が40倍以上であれば、比較的低コストで発泡体を提供できるため、経済的に有利である。
【0060】
また、本発明の一実施形態において、黒色系発泡体1Aの熱伝導率は、0.032W/m・K以下であることが好ましく、0.030W/m・K以下であることがより好ましい。黒色系発泡体1Aの熱伝導率がこのような数値範囲であることにより、高い断熱性能を呈するという効果を奏する。なお、前記熱伝導率は、公知の方法によって測定され、例えば特開2019-65073号公報に記載の方法により測定できる。
【0061】
また、本発明の一実施形態において、黒色系発泡体1Aの密度は、5kg/m3~25kg/m3であることが好ましく、8kg/m3~20kg/m3であることがより好ましい。黒色系発泡体1Aの密度がこのような数値範囲であることにより、軽量で比較的低コストで発泡体が得られるという効果を奏する。なお、前記密度は、公知の方法によって測定される値であり、具体的にはJIS K7222(2005年版)の方法に順じ、測定することができる。
【0062】
(黒色系樹脂包装シート3)
本発明の一実施形態に係る黒色系樹脂包装シート3は、黒色の合成樹脂組成物からなる。
【0063】
本発明の一実施形態において、黒色系樹脂包装シート3を構成する合成樹脂は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの合成樹脂の中でも、コスト、汎用性の観点より、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、とりわけ、ポリエチレン系樹脂が特に好ましい。
【0064】
本明細書において、黒色の合成樹脂組成物とは、380~720nmの波長領域において90%以上の日射吸収率を有する暗色を呈する合成樹脂組成物であることが好ましい。380~720nmの波長領域は、可視光線領域と表現され、人間が肉眼で感知できる光であって、可視光線領域の光の吸収率が高いと黒色やグレー色のような暗色を呈するものとなる。
【0065】
本明細書において、380~720nmの波長領域における日射吸収率は、以下の(1)~(5)に示す方法によって測定することができる:(1)測定試験片として、黒色系樹脂包装シートを準備し、自記分光光度計を用い、アルミナ白色基板を反射率100%とし、380~720nmの波長領域において、各波長での反射率(分光反射率)を1nm毎に測定する;(2)JIS A5759付表3を用いて、(1)で測定した各波長での分光反射率に、対応する各波長での重価係数を乗じた値を算出し、それらの値の和をとして日射反射率を算出する(分光日射反射率試験法);(3)(1)の測定試験片について、自記分光光度計を用いて、測定試験片を入れない状態での透過率を100%とし、各波長での透過率(分光透過率)を測定する;(4)JIS A5759付表3を用いて、(3)で測定した各波長での分光透過率に各波長での重価係数を乗じた値を算出し、それらの値の和として日射透過率を算出する;(5)さらに、得られた日射反射率および日射透過率の値から、下記式(1)により、日射吸収率を算出する:
(日射吸収率)=100%-(日射反射率)-(日射透過率)・・・(1)。
【0066】
本発明の一実施形態において、黒色系樹脂包装シート3を黒色とする方法は特に限定されないが、黒色系樹脂包装シート3を構成する合成樹脂に、顔料を配合する方法が挙げられる。顔料として、カーボンブラック、アニリンブラック等の黒色系顔料を配合することで、黒色系樹脂包装シート3を黒色に、すなわち、黒色系樹脂包装シート3の380nm~720nmの波長領域における日射吸収率を90%以上とすることができる。黒色系顔料としては、コスト、および取扱い性の観点より、カーボンブラックが特に好ましい。
【0067】
合成樹脂に対する顔料(黒色系顔料)の含有量は、フィルムの厚さと、所望される遮光性能によって影響を受けるため、一概には既定できないが、合成樹脂100重量部に対して、2.0重量部~15.0重量部が好ましい。とりわけ、下限は、3.0重量部以上が好ましく、4.0重量部以上がより好ましい。また、上限は、12.0重量部以下が好ましく、10.0重量部以下がより好ましい。顔料の含有量が2.0重量部以上であれば、全光線透過率が小さく、日射吸収率が低下を抑制するため、太陽光に曝された場合においても、発泡体の過度の温度上昇を抑制することができる。また、顔料の含有量が15.0重量部以下であれば、合成樹脂の耐傷付性および柔軟性に影響を及ぼさないため、黒色系樹脂包装シート3の強度、および伸びの低下による成形性の悪化を招く虞がなく、さらにはコストの上昇、比重の上昇に伴い軽量性が悪化する虞がない。より好ましい態様として、黒色系樹脂包装シート3は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、カーボンブラック2.0重量部~15.0重量部を含む。
【0068】
本発明の一実施形態にて使用される黒色系樹脂包装シート3の厚みは、7μm~30μmが好ましく、10μm~25μmがより好ましく、12μm~22μmがさらに好ましい。黒色系樹脂包装シート3の厚みが、上記数値範囲であれば、黒色系発泡体1Aの温度上昇を抑制できると共に、包装材としての強度を担保することができ、施工現場への搬送仮定や仮置き状態おいて包材が破損する虞を低下させることができる。
【実施例0069】
以下に実施例、比較例および参考例を挙げるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0070】
〔材料〕
実施例、比較例および参考例で使用した材料を以下に示す。
【0071】
(黒色系発泡体)
黒色系発泡体としてカーボン含有ビーズスチレン系樹脂黒色発泡成形体を使用した。具体的には、特開2019-65073号公報の実施例1に記載の方法に従って、発泡倍率80倍、長さ400mm×幅400mm×厚み50mmの黒鉛含有ビーズ発泡成形体を作製した。熱伝導率は0.031W/mKであった。上記のビーズ発泡成形体から100×100×50(t)mm、上下面(100×100mm)スキン有りの照射試験用サンプルを切り出した。
【0072】
(樹脂包装シート)
黒色系樹脂包装シートI:ハウスホールドジャパン社製
厚み;7μm、樹脂;高密度ポリエチレン(HDPE)、カーボンブラック含有量4wt%。
黒色系樹脂包装シートII:ハウスホールドジャパン社製
厚み;12μm、樹脂;高密度ポリエチレン、カーボンブラック含有量4wt%。
黒色系樹脂包装シートIII:ハウスホールドジャパン社製
厚み;22μm、樹脂;高密度ポリエチレン、カーボンブラック含有量4wt%。
黒色系樹脂包装シートIV:三和フィルム社製
厚み;30μm、樹脂;高密度ポリエチレン、カーボンブラック含有量5wt%。
白色半透明樹脂包装シートI:セキスイフィルム社製
厚み;20μm、樹脂;高密度ポリエチレン。
【0073】
〔照射試験〕
実施例および比較例において実施した照射試験にて使用した機器および試験前の照度調整方法は次のとおりである。
【0074】
<使用機器>
人工太陽光照射機:岩崎電気株式会社製簡易型光照射装置(MCLS15B16-KNK01)、
日照計:英弘精機製 Pyranometer MS-602
温度計:熱電対式温度計。
【0075】
<測定条件>
温度23℃、湿度50%の空間にて照射試験を実施した。
【0076】
<照度調整方法>
人工太陽光照射機の電源を入れてランプを点灯させた。1時間後にチャンバー内上部に設置されたランプ下面から600mm下の位置に日照計上面がくるように日照計を設置し、1分後の照度を測定した。測定終了後、日照計は装置から取り出した。照度1000W/m2でなければ調光機により照度を調整した。そして、当該調整から30分後にチャンバー内上部に設置されたランプ下面から600mm下の位置に日照計上面がくるように日照計を設置し、1分後の照度を測定した。上記操作を1000±50W/m2になるまで繰り返した。黒色系発泡体サンプル上面の高さ位置において、照度が1000W/m2となる様に、照射装置のランプとサンプル上面との間の距離を調整した。
【0077】
〔評価方法〕
照射試験後の黒色系発泡体の表面状態の評価を以下に示す。
【0078】
(表面溶融状態)
照射試験後の黒色系発泡体を目視で確認し、以下の基準によって、黒色系発泡体の表面溶融状態を評価した;
無(良好) :黒色系発泡体を構成するビーズに異常が見られない
溶融(不良) :黒色系発泡体を構成するビーズの溶融が見られる
一部溶融(不良):黒色系発泡体を構成するビーズの一部溶融が見られる。
【0079】
(黒色系発泡体表面の発泡粒子の肥大化)
照射試験後の黒色系発泡体を目視で確認し、以下の基準によって、黒色系発泡体の表面の発泡粒子の肥大化を評価した;
無(良好) :黒色系発泡体を構成するビーズに異常が見られない
あり(不良) :黒色系発泡体を構成するビーズの肥大化が見られる。
【0080】
〔実施例1〕
100×100×50(t)mmの黒色系発泡体のサンプルの上面(100×100のスキン面)から10mm下の位置に熱電対温度計をセットした。この測定位置の温度を表面温度と呼ぶ。測温接点位置が動かないように黒色系発泡体のサンプルおよび熱電対温度計を固定した。
【0081】
また、外寸300mm×300mm、内寸280mm×280mmの木枠の開口部に厚み7μmの黒色系樹脂包装シートIを張り付けた包装シート付木枠を作製した。そして、熱電対温度計を設置した上記サンプル上面から20mmの高さに黒色系樹脂包装シートの表面が位置するように、包装シート付木枠をセットした。ここで、上記サンプルの上面と黒色系樹脂包装シートとの隙間を「梱包材と発泡体との最小間隔」とする。
【0082】
人工太陽光照射機チャンバー内上部に設置されたランプ下面から600mm下の位置に熱電対式温度計を取り付けた上記サンプル上面がくるように設置した。そして、設置から60分後の上記サンプルの表面温度を測定した。また、60分照射後、上記サンプルを取出し、黒色系発泡体のサンプルの表面状態を評価した。結果を表1に示す。
【0083】
〔実施例2〕
厚さ12μmの黒色系樹脂包装シートIIに変更した以外は、実施例1と同様に照射試験を行い、黒色系発泡体のサンプルの各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
【0084】
〔実施例3〕
厚さ22μmの黒色系樹脂包装シートIIIに変更した以外は、実施例1と同様に照射試験を行い、黒色系発泡体のサンプルの各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
【0085】
〔実施例4〕
厚さ30μmの黒色系樹脂包装シートIVに変更した以外は、実施例1と同様に照射試験を行い、黒色系発泡体のサンプルの各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
【0086】
〔実施例5〕
梱包材と発泡体との最小間隔を5mmに変更し、厚さ22μmの黒色系樹脂包装シートIIIに変更した以外は、実施例1と同様に照射試験を行い、黒色系発泡体のサンプルの各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
【0087】
〔比較例1〕
黒色系樹脂包装シートをセットしなかった以外は、実施例1と同様に照射試験を行い、黒色系発泡体のサンプルの各物性を測定・評価した。結果を表2に示す。
【0088】
〔比較例2〕
黒色系樹脂包装シートを厚さ20μmの白色半透明樹脂包装シートIIIに以外は、実施例1と同様に照射試験を行い、黒色系発泡体のサンプルの各物性を測定・評価した。結果を表2に示す。
【0089】
〔比較例3〕
100×100×50(t)mmの黒色系発泡体のサンプルの上面(100×100のスキン面)から10mm下の位置に熱電対温度計をセットした。この測定位置の温度を表面温度と呼ぶ。測温接点位置が動かないように固定した。測温接点位置が動かないように黒色系発泡体のサンプルおよび熱電対温度計を固定した。
【0090】
そして、熱電対温度計を設置した上記サンプル全体に対して、厚み22μmの黒色系樹脂包装シートIIIを隙間なく梱包した。比較例3では、「梱包材と発泡体との最小間隔」が0mmとなる。
【0091】
人工太陽光照射機チャンバー内上部に設置されたランプ下面から600mm下の位置に熱電対式温度計を取り付けた上記サンプル上面がくるように設置した。そして、設置から60分後の上記サンプルの表面温度を測定した。また、60分照射後、上記サンプルを取出し、黒色系発泡体のサンプルの表面状態を評価した。結果を表2に示す。
【0092】
【0093】
【0094】
表1に示されるように、黒色系発泡体と梱包材との隙間がある実施例1~5では、黒色系発泡体の表面温度を低下できるとともに、黒色系発泡体の表面状態も良好であった。一方、表2の比較例1~3から分かるように、梱包材を使用しない、黒色系樹脂包装シートを含まない梱包材を使用した、または黒色系発泡体と梱包材との隙間がない場合には、黒色系発泡体の表面温度を低下できなかった。
本発明の一実施形態によると、黒色系発泡体の温度上昇を抑制できる黒色系発泡体の梱包方法を提供することができる。黒色系発泡体は、住宅用断熱材等の用途に好適に使用することができる。