(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178767
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】面発光装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231211BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231211BHJP
【FI】
F21S2/00 432
F21S2/00 438
F21S2/00 250
F21Y115:10 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091650
(22)【出願日】2022-06-06
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小宮 慎平
(72)【発明者】
【氏名】笠野 真弘
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244AA04
3K244BA07
3K244BA08
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA01
3K244EA03
3K244EA12
3K244ED25
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】面発光装置において、照度の低下を抑え且つ発光の均一発光を向上する。
【解決手段】
面発光装置は、基板11と、基板11の設置面11aに設けられた光源12及び光学部材13とを備える。光源12は、光学部材13の側方に設けられた入射端面18に入射するように光17を発する。光学部材13は、入射端面18から入射した光17を、基板11とは反対側の出射面20の側に反射させる反射面19を備える。反射面19は、入射端面18から離れるにつれて設置面11aからの高さが大きくなる第1の領域19aと、設置面11aに平行であるか、又は、入射端面18から離れるに連れて設置面11aからの高さが小さくなる第2の領域19bとを備える。第2の領域19bは、第1の領域19aよりも入射端面18側に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、当該基板における設置面に設けられた光源及び光学部材とを備え、
前記光源は、前記光学部材の側方に設けられた入射端面に入射するように光を発し、
前記光学部材は、前記入射端面から入射した光を、前記基板とは反対側である出射面の側に反射させる反射面を備え、
前記反射面は、前記入射端面から離れるにつれて前記設置面からの高さが大きくなる第1の領域と、前記設置面に平行であるか、又は、前記入射端面から離れるに連れて前記設置面からの高さが小さくなる第2の領域とを備え、
前記第2の領域は、前記第1の領域よりも前記入射端面側に設けられていることを特徴とする面発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の領域は、前記入射端面に接して設けられていることを特徴とする面発光装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2の領域は、前記入射端面から離れるに連れて前記設置面からの高さが小さくなる領域を含むことを特徴とする面発光装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1の領域と前記第2の領域の境界において、前記第1の領域の方が前記設置面からの高さが小さくなるように段差を有することを特徴とする面発光装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2の領域は、前記設置面に対して平行である領域を含むことを特徴とする面発光装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記光源側から見て、前記設置面に平行な方向について、前記第2の領域は前記光学部材の中央側の一部に形成されていることを特徴とする面発光装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記反射面は、前記基板側に凸の曲面であり、
前記出射面から離れる方向について、前記第1の領域と前記第2の領域とは滑らかに接続されていることを特徴とする面発光装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記光学部材は、前記基板側に位置する白色樹脂と、前記出射面側に位置する透明樹脂とを含み、
前記白色樹脂と、前記透明樹脂との屈折率の差が0.1未満であることを特徴とする面発光装置。
【請求項9】
請求項1の面発光装置と、
前記出射面上に設けられた表示パターン層とを備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面発光装置及びこれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップを用いた面発光する照明装置の例が、特許文献1に開示されている。これは、透明樹脂と白色樹脂との二色成形品からなる反射板と、透明樹脂からなる発光面の表面との両方に粗し加工を施し、更にその表面上に貼り合わせた光散乱シートを有するLED発光ランプである。透明樹脂の端面から入射した光は、白色樹脂の反射面で反射されて、出射面から出射する。面を均一に発光させるために、粗し加工、光散乱シート等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような照明装置において、発光を均一にするために用いられる粗し加工及び光散乱シートは、照明照度を低下させる原因となる。従って、本開示の目的は、面発光装置、及び、これを用いた表示装置において、照度の低下を抑え且つ発光の均一発光を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の面発光装置は、基板と、当該基板における設置面に設けられた光源及び光学部材とを備える。光源は、光学部材の側方に設けられた入射端面に入射するように光を発光する。光学部材は、入射端面から入射した光を、基板とは反対側である出射面の側に反射させる反射面を備える。反射面は、入射端面から離れるにつれて設置面からの高さが大きくなる第1の領域と、前記設置面に平行であるか、又は、入射端面から離れるに連れて設置面からの高さが小さくなる第2の領域とを備える。第2の領域は、第1の領域よりも入射端面側に設けられている。
【0006】
本開示の表示装置は、本開示の面発光装置と、その出射面上に設けられた表示パターン層とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の面発光装置及び表示装置によると、第2の領域を備えることにより光源からの反射を調整し、均一な発光を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の面発光装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、比較例の面発光装置を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本開示の面発光装置について、発光の輝度分布シミュレーション結果を示す図である。
【
図4】
図4は、比較例の面発光装置について、発光の輝度分布シミュレーション結果を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の面発光装置を入射端面側から見た構造を示す模式図である。
【
図6】
図6は、比較例の面発光装置を入射端面側から見た構造を示す模式図である。
【
図7】
図5は、本開示の面発光装置の変形例について、入射端面側から見た構造を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本開示の面発光装置を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本開示の面発光装置を示す模式図である。
【
図14】
図14は、本開示の面発光装置について、輝点が生じていないことを示す図である。
【
図15】
図15は、比較例の面発光装置について、輝点を生じていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、本開示の技術が以下の実施形態に限定されるものではなく、効果を奏する範囲において適宜変更可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の例示的面発光装置10を模式的に示す断面図である。各部の寸法、比率等については、必ずしも実際の装置を反映しない。
【0011】
図1に示すように、面発光装置10は、基板11と、基板11の一方の面である設置面11aに設置された光源12及び光学部材13とを備える。光源12は、例えば、シングルチップで且つサイド発光のLED(Light Emitting Diode)である。光学部材13は、基板11側に位置する白色樹脂層15と、その上に位置する透明樹脂層14とを備える。透明樹脂層14のうち、光学部材13の側方の部分が光の入射端面18を構成する。
【0012】
透明樹脂層14及び白色樹脂層15は、例えば、いずれもポリカーボネートからなる。この例では、透明樹脂層14は、可視光域(420nm~800nm)全域において透過率86%以上の透明性を有する。また、白色樹脂層15は、可視光域の全域において反射率90%以上となっている。透明樹脂層14と白色樹脂層15との界面は、反射面19として機能する。
【0013】
また、光源12を覆うように、白色樹脂からなるカバー部材21が設けられている。カバー部材21は、透明樹脂層14及び白色樹脂層15と一体になって光学部材13を構成する。但し、カバー部材21は、光学部材13とは別の部材として設けられていても良い。
【0014】
光源12は側方に光を発し、光学部材13の入射端面18から透明樹脂層14に入射させる。この入射光16は、透明樹脂層14において設置面11aに略平行に進み、反射面19により反射される。反射された光は、透明樹脂層14における設置面11aと反対側(
図1では上方)に設けられた出射面20から出射光17として出射される。
【0015】
ここで、反射面19は、入射端面18から離れるにつれて設置面11aからの高さが大きくなる第1の領域19aと、逆に、入射端面18から離れるにつれて設置面11aからの高さが小さくなる第2の領域19bとを備える。第2の領域19bは、入射端面18側に設けられている。本実施形態の面発光装置10では、第1の領域19a及び第2の領域19bはいずれも平面であり、断面を示す
図1では直線として現れている。また、第1の領域19a及び第2の領域19bの境界22において、設置面11aからの高さは最小となっている。
【0016】
この結果、反射面19のうちの第1の領域19aは、入射光16の直接の照射を受け、これを出射面20側に反射する角度になっている。この一方、第2の領域19bは、入射光16が少なくとも直接には照射されず、従って、入射光16を反射することのない角度になっている。第2の領域19bを構成する部分の白色樹脂層15は、入射光16の一部を遮り、第1の領域19aに照射されるのを防いでいる。
【0017】
この構成により、第2の領域19bが配置された入射端面18近傍では、出射光17が弱くなる。結果として、輝度が高くなりやすい入射端面18近傍の輝度が抑えられ、出射面20全体における輝度のばらつきが抑制されて、発光の均一性が向上する。
【0018】
より具体的に、設置面11aに平行で入射端面18から遠ざかる向き(
図1では右向き)を基準として、出射面20側に回る回転方向(
図1では反時計回り)を正とする角度θを考える。この場合、第2の領域19bについて、次の式(1)、
90°<θ<180° ……(1)
を満たし、また、第2の領域19bについては、次の式(2)、
180°<θ<270° ……(2)
を満たす。
【0019】
以上に対して、
図2は、比較例の面発光装置10aを示す。面発光装置10aは、
図1の面発光装置10とは、反射面19の形状が異なる。つまり、実施形態の面発光装置10における第2の領域19bに対応する領域は設けられず、入射端面18から離れるにつれて設置面11aからの高さが大きくなる反射面19となっている。この場合、光源12に近いことから、入射端面18の近傍では反射面19の輝度が高くなりやすい。結果として、出射面20側において輝度のばらつきが大きくなり、発光の均一性が低くなる。
【0020】
これに対し、本実施形態の面発光装置10では、第2の領域19bを設けることで前記のように発光の均一性を向上することができる。
【0021】
尚、光源12が発した光は一定の角度に広がるので、その広がりと第2の領域19bの角度によっては、入射光16の一部が第2の領域19bに照射され、反射されることがある。しかしその場合も、第2の領域19bが無い
図2の構成に比べ、発光の均一性は向上する。また、反射面19において光は拡散して反射されるので、その一部が第2の領域19bに照射されて出射面20側に反射されることはあり得る。
【0022】
発光の均一性に関して、
図3及び
図4に示す。
図3及び
図4は、順に、実施形態の面発光装置10及び比較例の面発光装置10aについて、照射面を正面から見た(
図1及び
図2において、上から見た)輝度分布のシミュレーション結果である。
【0023】
図3では、入射光16が入射する側が幾分暗い傾向はあるが、全体として極端に明るい輝点は生じておらず、発光の均一は高い。これに対し、
図4では、入射光16の入射する付近が局所的に明るく、輝点26が生じており、発光の均一性は低い。このように、本実施形態の面発光装置10では、第2の領域19bを設けることにより発光の均一性が向上する。
【0024】
次に、
図5は、
図1の面発光装置10の入射光16を光源12側から(
図1では左から)見た模式図である。図に現れている入射端面18において、白色樹脂層15と、その上に積層された透明樹脂層14が存在する。また、第1の領域19aと第2の領域19bとの境界22の位置(高さ)を破線により示している。
【0025】
これに対し、
図6は、比較例の面発光装置10aについて同様に入射光16を光源12側から見た模式図である。この場合、入射光16には透明樹脂層14だけが現れている。
【0026】
尚、
図5では、白色樹脂層15が入射端面18の幅方向(図の左右方向)の全体に現れている。これは、第2の領域19bが幅方向の全体に亘って設けられていることによる。
【0027】
これに対し、第2の領域19bは、幅方向の一部(中央付近)だけに設けられていても良い。この変形例の場合を
図7に示す。光源12は、入射端面18対して、特に幅方向の中央付近に光を入射させる。従って、第2の領域19bは、入射端面18の幅方向の中央付近に設けられていれば、照射面における発光の均一性を向上する効果は実現する。
【0028】
尚、
図7において、A-A線による断面は
図1と同様である。また、B-B線による断面は、透明樹脂層14及び白色樹脂層15に関して、
図2と同様である。
【0029】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、
図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態の面発光装置10bを示す模式図である。ここで、第1の実施形態の面発光装置10同様の構成には同じ符号を付しており、以下では差異を主に説明する。
【0030】
面発光装置10bは、第1の実施形態の面発光装置10と比較すると、第2の領域19bに関して異なる。具体的に、本実施形態では、第2の領域19bは設置面11aに対して平行である。
図1で説明したのと同様に、入射端面18から遠ざかる向きを基準にした角度θを考えると、面発光装置10bにおける第2の領域19bの角度θは180°である。境界22から入射端面18までの範囲について、白色樹脂層15は同じ高さを有している。
【0031】
この場合も、入射端面18付近において、入射光16の出射面20側への反射は抑えられ、発光の均一性を向上する効果が発揮される。
【0032】
入射端面18における白色樹脂層15の高さ(
図5を参照)が大きくなると、入射端面18においてより多くの入射光16を遮り、輝点の発生を抑制する(発光の均一性を高める)効果は大きくなる。一方で、多くの入射光16が遮られるので、全体としての明るさは低下する。従って、発光の均一性及び全体としての明るさの両方を調整するために、第1の領域19a及び第2の領域19bそれぞれの角度、境界22の位置、入射端面18における白色樹脂層15の高さが設定される。本実施形態の面発光装置10bの構成も、その1つとして有効である。
【0033】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について、
図9を参照して説明する。図は、本実施形態の面発光装置10cを示す模式図である。ここでも、第1の実施形態の面発光装置10同様の構成には同じ符号を付しており、以下では差異を主に説明する。
【0034】
面発光装置10cにおいて、第2の領域19bは、設置面11aに対して平行である。この点は、第2の実施形態と同様である。但し、第2の領域19bの設置面11aからの高さは、境界22における第1の領域19aの設置面11aからの高さよりも大きい。つまり、境界22において2つの領域の高さが異なり、設置面11aに垂直な(角度θが90°となる)段差面19cを有している。
【0035】
このような構成においても、入射端面18からの入射光16の一部を遮り、また、入射端面18付近における出射面20側への反射を抑制する効果が得られる。従って、輝点の発生を抑制して、発光の均一性を高めることができる。
【0036】
尚、第2の領域19bが第1の実施形態と同様に傾斜しており、段差面19cを有する構成とすることも可能である。また、段差面19cについて、設置面11aに垂直とは限らず、例えばθが90°以上の角度に傾いていても良い。輝点の抑制及び全体としての明るさの確保のために、これらを設計することができる。
【0037】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について、
図10を参照して説明する。
図8は、本実施形態の面発光装置10dを示す模式図である。ここで、第1の実施形態の面発光装置10同様の構成には同じ符号を付しており、以下では差異を主に説明する。
【0038】
面発光装置10dについても、第1の実施形態の面発光装置10と比較すると、反射面19について異なる。面発光装置10dでは、反射面19は全体として曲面に構成されている。従って、
図10に示す断面において、反射面19は曲線として現れている。より具体的に、反射面19は基板11側に凸の曲面である。本実施形態でも、反射面19は、入射端面18から離れるにつれて設置面11aからの高さが大きくなる第1の領域19aと、入射端面18から離れるにつれて設置面11aからの高さが小さくなる第2の領域19bと備える。第2の領域19bは入射端面18側に設けられ、2つの領域は境界22において滑らかに接続されている。境界22において、設置面11aからの高さが最小となっている。
【0039】
このような構成においても、入射端面18付近における出射面20側への反射を抑制する効果が得られる。第1~第3の実施形態では、境界22において反射面19の角度が明確に変化しており、これは照射面における輝度の変化の原因になり得る。これに対し、本実施形態の面発光装置10dでは、境界22において反射面19の傾斜は滑らかに変化する。従って、照射面における輝度の変化の原因とならず、発光の均一性を高めることができる。
【0040】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について、
図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態の面発光装置10eを示す模式図である。ここで、第1の実施形態の面発光装置10同様の構成には同じ符号を付しており、以下では差異を主に説明する。
【0041】
面発光装置10eは、第1の実施形態の面発光装置10に対し、散乱シート23を設けた構成を有する。散乱シート23は、光学部材13の出射面20上を覆うように設けられる。
【0042】
本開示の面発光装置では、反射面19の形状(第2の領域19bを備える形状)により、発光の均一性を向上している。この効果は、照射面正面方向において特に顕著に発揮される。これに対し、散乱シート23を設けることにより、特に照射面正面方向以外の視野角における発光の均一性について更に向上することができる。
【0043】
散乱シート23について、その効果はヘイズ値によって異なる。例えば35%以上のヘイズ値を有する散乱シート23を用いると、優れた発光の均一性を実現できる。
【0044】
尚、第2~第4の実施形態の面発光装置についても、散乱シート23を設けることで同様の効果が得られる。
【0045】
(第6の実施形態)
第6の実施形態について、
図12を参照して説明する。
図12は、本実施形態の面発光装置10fを示す模式図である。ここで、第1の実施形態の面発光装置10同様の構成には同じ符号を付しており、以下では差異を主に説明する。
【0046】
面発光装置10fは、第1の実施形態の面発光装置10に対し、インサート成形樹脂層24及び散乱シート23を設けた構成を有する。
【0047】
このような構成は、金型を用いた成形により実現する。一組の金型の一方に光学部材13をインサートし、他方の金型に散乱シート23を取り付ける。金型を閉じ、光学部材13の出射面20と散乱シート23との間に、透明樹脂層14と同じ材料を注入して成形する。これにより、光学部材13と散乱シート23とがインサート成形樹脂層24を介して一体化される。
【0048】
この際、散乱シート23を取り付ける側の金型表面について、シボ形状としておくことにより、成形後に散乱シート23の表面にシボ部25を転写することができる。尚、シボ形状は、算術平均粗さ(Ra)が例えば10μm以上であるようにすることが好ましい。
【0049】
このように散乱シート23及びシボ部分25を設けることにより、光の拡散性が向上し、特に、照射面正面方向以外の視野角における発光の均一性について更に向上することができる。
【0050】
尚、第2~第4の実施形態の面発光装置についても、散乱シート23、インサート成形樹脂層24等を形成することで同様の効果が得られる。
【0051】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。
図13は、本実施形態の表示装置30を模式的に示す図である。表示装置30は、本開示の面発光装置(一例として
図1に示す第1の実施形態の面発光装置10であるが、これには限らない)において、光学部材13の出射面20上に、表示パターン層27を備えた構成を有する。表示パターン層27は、遮光部27a及び透過部27bを含み、文字、図形等の所定のパターンを構成している。光源12の点灯により、透過部27bのパターンが発光して表示される。本開示の面発光装置は発光の均一性が高いので、表示としても均一に発光し、視認性、美観等において優れたものとなる。
【0052】
尚、表示パターン層27は、固定のパターンでも良いし、液晶等を用いた可変のパターンを実現するものであっても良い。
【0053】
(その他の実施形態)
以上、本開示に関して幾つかの好適な実施形態を説明したが、更に様々な改変も可能である。
【0054】
例えば、透明樹脂層14及び白色樹脂層15の材料として、いずれもポリカーボネートを例示した。しかし、他の樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニール、ABS樹脂、アクリル、ポリアミド、テフロン等を用いることもできる。
【0055】
但し、透明樹脂層14と白色樹脂層15とは同じ樹脂を用いることが好ましい。このようにすると、2つの層の屈折率の差を小さくして、反射面19における正反射を抑制する。正反射は輝点発生の原因になるので、これを抑制することで発光の均一性が向上する。
【0056】
これに関し、
図14及び
図15に例を示す。
図14は、透明樹脂層14及び白色樹脂層15の両方をポリカーボネート(屈折率1.59)により成形した
図1の面発光装置10について、発光の状態を示す(
図1において、右上から左下に向かって撮影したもの)。ここでは、輝点の発生は見られない。これに対し、
図15は、透明樹脂層14をアクリル(屈折率1.49)、白色樹脂層15をポリカーボネートにより成形した
図1の面発光装置10について、発光の状態を示す。光源12からの発光に対し、反射面上に輝点26が発生している。
【0057】
このように、第2の領域19bを設けることで輝点を抑制する効果は、透明樹脂層14と白色樹脂層15との屈折率の差を小さくすることでより顕著に発揮される。屈折率の差は、例えば0.1未満が望ましく、0.05未満が更に望ましい。
【0058】
また、以上では、第2の領域19bが入射端面18に接しており、第2の領域19bよりも入射端面18から離れる側に第1の領域19aを備える構成を説明した。これは、光源12に近い入射端面18付近の反射を抑え発光の均一性を高める目的から望ましい構成である。しかし、
図16に示すように、入射端面18に接する狭い範囲について、入射端面18から離れるにつれて設置面11aからの高さが大きくなる第3の領域19dが含まれていても良い。このような領域は輝点の原因となり得るが、十分に小さければ実質的には問題とならない。また、第3の領域19dを有するとしても、第2の領域19bの効果により、
図2に示す比較例の面発光装置10aに比べて発光の均一性は向上する。製造工程の都合等から、このような領域を設けることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示の面発光装置は発光の均一性に優れ、例えば表示装置用として有用である。
【符号の説明】
【0060】
10 面発光装置
10b~10f 面発光装置
11 基板
11a 設置面
12 光源
13 光学部材
14 透明樹脂層
15 白色樹脂層
16 入射光
17 出射光
18 入射端面
19 反射面
19a 第1の領域
19b 第2の領域
19c 段差面
19d 第3の領域
20 出射面
21 カバー部材
22 境界
23 散乱シート
24 インサート成形樹脂層
25 シボ部
26 輝点
27 表示パターン層
27a 遮光部
27b 透過部
30 表示装置