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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178779
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】食品保管システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20231211BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20231211BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
B65G1/137 A
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091669
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】添田 舞子
(72)【発明者】
【氏名】小池 成彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 真理子
(72)【発明者】
【氏名】竹内 史朗
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
3F522
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043CA05
2G043EA01
2G043FA01
2G043LA03
2G059AA05
2G059BB11
2G059EE07
2G059HH02
2G059KK04
2G059MM01
3F522AA01
3F522BB16
3F522BB24
3F522CC08
3F522FF02
3F522GG22
3F522GG23
3F522GG33
3F522GG37
3F522HH02
3F522HH30
3F522HH37
3F522KK02
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】より簡易な構造の食品保管庫によって、保存中の食品の状態をユーザが把握することを支援する。
【解決手段】
本開示に係る食品保管システムは、食品を保存する貯蔵空間と、貯蔵空間に光を照射する発光部12と、携帯情報端末40等の外部の撮影機器によって撮影された、発光部12から照射された光を受けた食品の蛍光画像の情報、を取得可能な通信装置13と、通信装置13によって取得された蛍光画像の情報から食品の状態を検出する制御装置8と、制御装置8によって検出された食品の状態に関する情報を報知する表示部6bと、を備えたものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を保存する貯蔵空間と、
前記貯蔵空間に光を照射する発光手段と、
外部の撮影機器によって撮影された、前記発光手段から照射された光を受けた食品の蛍光画像の情報、を取得可能な情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された前記蛍光画像の情報から食品の状態を検出する制御手段と、
前記制御手段によって検出された食品の状態に関する情報を報知する報知手段と、
を備えた食品保管システム。
【請求項2】
前記貯蔵空間を開閉する扉の開閉状態を検出する扉開閉検出手段を備え、
前記発光手段は、前記扉開閉検出手段によって前記扉が閉じられていることが検出されている際には消灯することを特徴とする請求項1に記載の食品保管システム。
【請求項3】
前記発光手段は、前記貯蔵空間を開閉する扉の反対側に向けて光を照射するように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の食品保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品保管システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、冷蔵庫等の食品保管庫には、多種多様な食品が保存される。ユーザが庫内に保存された食品の状態を全て把握することは難しい。このような問題に対して、庫内の食品を撮影した画像を利用して、当該食品の状態を判定するものが提案されている。例えば、特許文献1には、紫外線光源からの光を受けた魚の眼を含む紫外線画像を撮像するカメラと、魚の眼を含む紫外線画像における魚の眼の輝度値に基づいて、魚の腐敗時期を推定する推定部と、を備えた冷蔵庫が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-209259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、冷蔵庫に、庫内を撮影するカメラを設ける必要があり、冷蔵庫の構造が複雑化するという課題がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためのものである。本開示の目的は、より簡易な構造の食品保管庫によって、保存中の食品の状態をユーザが把握することを支援することである。
【0006】
本開示に係る食品保管システムは、食品を保存する貯蔵空間と、前記貯蔵空間に光を照射する発光手段と、外部の撮影機器によって撮影された、前記発光手段から照射された光を受けた食品の蛍光画像の情報、を取得可能な情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得された前記蛍光画像の情報から食品の状態を検出する制御手段と、前記制御手段によって検出された食品の状態に関する情報を報知する報知手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る食品保管システムによれば、より簡易な構造の食品保管庫によって、保存中の食品の状態をユーザが把握することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る冷蔵庫の正面図である。
図2】実施の形態1に係る冷蔵庫の内部構成を示す縦断面図である。
図3】実施の形態1に係る冷蔵庫が備える野菜室の周辺の拡大断面図である。
図4】実施の形態1に係る冷蔵庫の制御系統の機能的な構成を示すブロック図である。
図5】青色光を照射された状態のメロンを撮影して得られた蛍光画像から取得した輝度の保存日数による経時変化の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る冷蔵庫が備える制御装置による画像演算処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係る冷蔵庫の動作処理の一例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。本開示において、重複する説明は、適宜に簡略化または省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は、以下に示す実施の形態およびその変形例に限定されることはない。以下の実施の形態およびその変形例で説明する任意の構成要素は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、自由な組み合わせ、変形または省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の正面図である。図2は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の内部構成を示す縦断面図である。本開示では、原則として、冷蔵庫1が使用可能な状態に設置されたときを基準として、各方向が定義される。また、図1および図2を含む各図面において、冷蔵庫1を構成する各部材の寸法、位置関係および形状等は、実際のものとは必ずしも完全に一致しない場合がある。
【0011】
冷蔵庫1は、食品を保管する食品保管庫の一例である。本開示に係る食品保管庫は、冷蔵庫1に限定されるものではなく、例えば、食品を冷蔵保存するのではなく、常温保存するもの等であってもよい。以下、本開示に係る食品保管庫の一実施例として、冷蔵庫1について説明する。
【0012】
冷蔵庫1は、断熱箱体90を備えている。断熱箱体90は、外箱、内箱および断熱材を有している。外箱は、例えば、鋼鉄製である。内箱は、例えば、樹脂製である。内箱は外箱の内側に配置される。断熱材は、例えば、発泡ウレタンまたは真空断熱材等である。断熱材は、外箱と内箱との間の空間に充填されている。
【0013】
断熱箱体90の前面(正面)は、開口している。断熱箱体90の内部には、貯蔵空間が形成されている。貯蔵空間は、食品等の被貯蔵物が収納される空間である。断熱箱体90の内部に形成された貯蔵空間は、1つまたは複数の仕切り部材によって、食品を収納保存するための複数の貯蔵室に区画されている。
【0014】
一例として、冷蔵庫1は、図1および図2に示すように、複数の貯蔵室として、冷蔵室100、切替室200、製氷室300、野菜室400および冷凍室500を備えている。これらの各貯蔵室は、断熱箱体90の内部において、上下方向に4段構成となって配置されている。
【0015】
冷蔵室100は、断熱箱体90の内部の最上段に配置されている。図2に示すように、冷蔵室100の内部には、一例として、複数の棚板が設けられている。冷蔵室100の内部は、これらの棚板によって、上下方向に複数の空間に仕切られている。
【0016】
切替室200は、冷蔵室100の下方における左右の一側に配置されている。切替室200内の温度帯は、複数の温度帯のうちのいずれかに選択的に切り替えることが可能である。切替室200内の温度帯として選択可能な複数の温度帯は、例えば、冷凍温度帯、冷蔵温度帯、チルド温度帯、ソフト冷凍温度帯等である。冷凍温度帯は、例えば、-18℃程度の温度帯である。冷蔵温度帯は、例えば、3℃程度の温度帯である。チルド温度帯は、例えば、0℃程度の温度帯である。ソフト冷凍温度帯は、例えば、-7℃程度の温度帯である。
【0017】
製氷室300は、切替室200の側方に隣接して配置される。製氷室300は、切替室200と並列に配置される。すなわち、製氷室300は、冷蔵室100の下方における左右の他側に配置されている。
【0018】
野菜室400は、切替室200および製氷室300の下方に配置されている。野菜室400には、例えば、野菜および容量の大きなペットボトル等が収納される。冷凍室500は、野菜室400の下方に配置されている。冷凍室500は、断熱箱体90の最下段に配置されている。冷凍室500は、被貯蔵物を比較的長期にわたって冷凍保存する際に用いられる。
【0019】
冷蔵室100の正面部には、当該冷蔵室100を開閉するための冷蔵室扉7が設けられている。冷蔵室扉7は、例えば、両開き式の回転式の扉である。両開き式の冷蔵室扉7は、右扉7aおよび左扉7bにより構成されている。冷蔵室扉7の外側表面には、操作パネル6が設けられている。図1に示す構成例では、操作パネル6は、左扉7bに設けられている。
【0020】
一例として、切替室200、製氷室300、野菜室400および冷凍室500は、それぞれ、引出し式の扉によって開閉される。これらの引出し式の扉は、各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに沿って冷蔵庫1の奥行方向にスライドできるようになっている。本実施の形態の冷蔵庫1の使用者は、引出し式の扉を前後にスライドさせることで、切替室200、製氷室300、野菜室400および冷凍室500を開閉することができる。
【0021】
切替室200の内部には、食品等を内部に収納できる切替室収納ケース201が引き出し自在に格納されている。野菜室400の内部には、食品等を内部に収納できる野菜室収納ケース401が引き出し自在に格納されている。同様に、冷凍室500内には、食品等を内部に収納できる冷凍室収納ケース501が引き出し自在に格納されている。
【0022】
切替室収納ケース201は、切替室200を開閉する扉に設けられたフレームによって支持される。切替室収納ケース201は、切替室200を開閉する扉に連動して引き出される。野菜室収納ケース401は、野菜室400を開閉する扉に設けられたフレームによって支持される。野菜室収納ケース401は、野菜室400を開閉する扉に連動して引き出される。同様に、冷凍室収納ケース501は、冷凍室500を開閉する扉に設けられたフレームによって支持される。冷凍室収納ケース501は、冷凍室500を開閉する扉に連動して引き出される。
【0023】
また、野菜室400の内部には、野菜室上段収納ケース402が設けられている。野菜室上段収納ケース402は、野菜室収納ケース401の上部に載置されている。野菜室収納ケース401および野菜室上段収納ケース402は、食品が載置されるケースの一例である。同様に、冷凍室500の内部には、冷凍室上段収納ケース502が設けられている。冷凍室上段収納ケース502は、冷凍室収納ケース501の上部に載置されている。
【0024】
なお、冷蔵庫1に備えられた貯蔵室の数、貯蔵室の配置、貯蔵室を開閉するための扉の構成、貯蔵室内のケースの数および構成等は、以上で説明した例に限定されるものではない。例えば、冷蔵室100を開閉するための扉は、スライド式であってもよい。また、切替室200、製氷室300、野菜室400および冷凍室500を開閉するための扉は、回転式であってもよい。切替室収納ケース201、野菜室収納ケース401、冷凍室収納ケース501、野菜室上段収納ケース402および冷凍室上段収納ケース502は、それぞれ、2つ以上設けられてもよい。
【0025】
冷蔵庫1は、各貯蔵室を冷却するための冷却機構として、圧縮機2、冷却器3、送風ファン4および風路5等を備える。圧縮機2および冷却器3は、図示を省略している凝縮器および絞り装置等とにより、冷凍サイクル回路を構成している。圧縮機2は、冷凍サイクル回路内の冷媒を、圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって、各貯蔵室へ供給される空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、図2に示すように、冷蔵庫1の背面側の下部に配置される。
【0026】
風路5は、冷凍サイクル回路によって冷却された空気を各貯蔵室へ供給するためのものである。風路5は、断熱箱体90の内部に形成されている。風路5は、例えば、冷蔵庫1の背面側に配置されている。冷凍サイクル回路を構成している冷却器3は、この風路5内に設置される。また、風路5内には、冷却器3で冷却された空気を各貯蔵室へ送るための送風ファン4も設置されている。
【0027】
送風ファン4が動作すると、冷却器3で冷却された空気、すなわち冷気が、風路5を通って、冷凍室500、切替室200、製氷室300および冷蔵室100へ送られる。これにより、冷凍室500、切替室200、製氷室300および冷蔵室100の各貯蔵室内が冷却される。また、野菜室400には、冷蔵室100から戻った冷気が図示しない風路を介して導入される。これにより、野菜室400内が冷却される。野菜室400を通過した空気は、冷却器3が設置されている風路5内へと戻される。風路5内へと戻された空気は、再び冷却器3によって冷却され、冷蔵庫1内を循環する。
【0028】
また、風路5からそれぞれの貯蔵室へと通じる中途の箇所には、図示を省略しているダンパが設けられている。各ダンパの開閉状態が変化することで、各貯蔵室へと供給される冷気の量が調節される。各貯蔵室へと供給される冷気の量は、送風ファン4の運転が制御されることによっても調節される。また、各貯蔵室へと供給される空気の温度は、圧縮機2の出力が制御されることで調節される。
【0029】
各貯蔵室には、図示を省略しているサーミスタが設置される。このサーミスタは、各貯蔵室の内部の温度を検出する。前述したダンパ、送風ファン4および圧縮機2は、このサーミスタの検出結果に基いて制御される。ダンパ、送風ファン4および圧縮機2は、各貯蔵室内の温度が予め設定された設定温度になるように制御される。以上のように設けられた圧縮機2と冷却器3とを含む冷凍サイクル回路、送風ファン4、風路5およびダンパは、貯蔵室の内部を冷却する冷却手段の一例である。
【0030】
また、本実施の形態に係る冷蔵庫1は、制御装置8を備える。制御装置8は、例えば、図2に示すように、冷蔵庫1の背面側の上部に設けられる。制御装置8は、冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4およびダンパ等を制御する機能を有している。制御装置8には、冷蔵庫1の動作を制御するための制御回路等が備えられている。制御装置8の各機能は、この制御回路によって実現される。
【0031】
本実施の形態に係る冷蔵庫1は、通信装置13を備える。この通信装置13は、本開示に係る情報取得手段の一例を構成している。一例として、通信装置13は、図2に示すように、冷蔵庫1の上面部に設けられている。
【0032】
図3は、実施の形態1に係る冷蔵庫1が備える野菜室400の周辺の拡大断面図である。図3および以下の説明においては、野菜室400を開閉する扉を、符号を付して野菜室扉9と称する。図3(a)は、野菜室扉9が閉じられている状態を示している。図3(b)は、野菜室扉9が開かれた状態を示している。
【0033】
野菜室収納ケース401は、野菜室扉9のフレームによって支持される。野菜室収納ケース401および当該野菜室収納ケース401に載置された野菜室上段収納ケース402は、野菜室扉9が前方へと引き出されると、当該野菜室扉9に連動して前方へ引き出される。野菜室扉9を引き出した状態で野菜室上段収納ケース402だけを後方へスライドすると、野菜室収納ケース401だけが野菜室扉9とともに前方へ引き出された状態となる。
【0034】
冷蔵庫1は、図3に示すように、扉開閉検出スイッチ10および野菜室サーミスタ11を備えている。扉開閉検出スイッチ10は、野菜室扉9の開閉状態を検出するためのものである。扉開閉検出スイッチ10は、冷蔵庫1が備える貯蔵室の扉の開閉状態を検出する扉開閉検出手段の一例である。扉開閉検出スイッチ10は、例えば、野菜室400の前面側の開口の縁部における野菜室扉9と対向する位置に設けられている。野菜室サーミスタ11は、野菜室400の背面部に設けられている。野菜室サーミスタ11は、野菜室400内の温度を検出する。野菜室サーミスタ11は、冷蔵庫1が備える貯蔵室の温度を検出する温度検出手段の一例である。
【0035】
また、冷蔵庫1は、図3に示すように、光を照射する発行手段の一例として、発光部12を備えている。発光部12は、光を発する光源等から構成される。発光部12は、例えば、図3に示すように、野菜室400の天井面に設置される。図3(b)に示す野菜室扉9が開かれた状態において、発光部12は、野菜室上段収納ケース402内に向かって光を照射することができる。発光部12は、野菜室上段収納ケース402に載置された、対象となる食品に対して光を照射できる。本実施例における野菜室上段収納ケース402内の収納空間は、本開示に係る貯蔵空間の一例である。
【0036】
図4は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の制御系統の機能的な構成を示すブロック図である。制御装置8の制御回路には、例えば、プロセッサ8aおよびメモリ8bが備えられている。制御装置8は、メモリ8bに記憶されたプログラムをプロセッサ8aが実行することによって予め設定された処理を実行し、冷蔵庫1を制御する。
【0037】
プロセッサ8aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ8bには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROMおよびEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクおよびDVD等が該当する。
【0038】
なお、制御装置8の制御回路は、例えば、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御装置8の制御回路の一部が専用のハードウェアとして形成され、かつ、当該制御回路にプロセッサ8aおよびメモリ8bが備えられていてもよい。一部が専用のハードウェアとして形成される制御回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたもの等が該当する。
【0039】
本実施の形態の操作パネル6は、図4に示すように、操作部6aおよび表示部6bを備えている。操作部6aは、各貯蔵室の保冷温度等を設定するための操作スイッチ等である。表示部6bは、各貯蔵室の温度等の各種情報を表示する液晶表示部である。操作パネル6は、操作部6aと表示部6bとを兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。操作部6aは、使用者による当該操作部6aの操作に応じた信号を制御装置8へ出力する。また、制御装置8は、操作パネル6の表示部6bに表示信号を出力し、表示部6bの動作を制御する。
【0040】
制御装置8には、野菜室サーミスタ11を含む各貯蔵室の内部の温度を検出するサーミスタから信号が入力される。制御装置8は、入力された信号に基づいて、各貯蔵室内が設定された温度に維持されるように、圧縮機2および送風ファン4等を制御する。本実施の形態における制御装置8は、冷却手段を制御する制御手段の一例である。なお、図4では、各貯蔵室のサーミスタのうち野菜室サーミスタ11のみを図示している。
【0041】
通信装置13は,制御装置8に接続される。また、通信装置13は、電気通信回線30と接続することができる。制御装置8は、通信装置13により、電気通信回線30を介して,タブレット端末あるいは携帯電話などの携帯情報端末40とデータを送受信することができる。なお、制御装置8は、携帯情報端末40以外の外部機器、例えば、デジタルカメラ等と通信可能であってもよい。
【0042】
電気通信回線30には、電灯線、赤外線、非赤外線、無線、公衆回線、光ケーブル、インターネット、衛星回線等のデジタルまたはアナログの信号の各種の通信回線等が該当する。通信装置13と電気通信回線30との間での通信形式は、有線であっても無線であってもよい。通信装置13は、デジタル又はアナログの信号を送受信できるインターフェースである。有線による通信を行う場合には、通信装置13は、例えば、シリアルインターフェース又はドライバを備える。無線による通信を行う場合には、通信装置16は、例えば、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に対応した通信モジュールを備える。
【0043】
制御装置8には、扉開閉検出スイッチ10からの信号も入力される。そして、制御装置8は、発光部12の動作を制御する。例えば、野菜室扉9が開かれたことを扉開閉検出スイッチ10によって検出すると、制御装置8は、発光部12を点灯させる。発光部12から野菜室上段収納ケース402に載置された対象物である食品に光が照射されると、対象物に含まれる蛍光物質が励起され、蛍光が発生する。
【0044】
発光部12の光源は、例えば、LED光源である。発光部12は、例えば、波長が200nmから400nmのUV-A領域の紫外光、あるいは、波長が400nmから500nmの青色光を照射する。上記のような波長域に含まれる比較的短波長の光を照射することで、食品から蛍光が効果的に発せられる。食品から発せられた蛍光の状態に基づいて、当該食品の鮮度、熟度および損傷などの状態を推定できることは、従来から知られている。なお、波長が320nmから400nmのUV-A領域の紫外光あるいは上述したような青色光を用いた場合には、冷蔵庫1を構成する樹脂部品の劣化を抑制することができる。
【0045】
対象となる食品の状態を確認したいユーザは、野菜室扉9を開いて、カメラ機能付きの携帯情報端末40等の外部の撮影機器を用いて、発光部12によって光が照射されている食品の蛍光画像を撮影する。この蛍光画像の情報は、電気通信回線30を介して、情報取得手段の一例である通信装置13により取得される。制御装置8は、通信装置13により取得された蛍光画像の情報に基づいて演算処理を実行する。制御装置8は、この演算処理の結果に基づいて、食品の状態を検出する。
【0046】
制御装置8は、発光部12の点灯時に携帯情報端末40等の撮影機器により撮影された蛍光画像について、画像演算処理を行う。具体的には、制御装置8は、蛍光画像を複数の小さなブロック毎、例えば画素単位に分割し、各画素の位置を表す座標(x,y)を設定する。そして、各ブロック(画素)の輝度L(x,y)の情報を取得する。制御装置8は、輝度L(x,y)が、予め設定された閾値以上であれば、その座標(x,y)に該当するブロックには対象物が存在すると判定する。この閾値は、野菜室上段収納ケース402に何も置かれていない状態での輝度L0(x,y)として設定される。制御装置8は、上記のようにして対象物の範囲を抽出し、対象物の輝度Lt(x,y)の情報を取得する。制御装置8は,対象物の輝度Lt(x,y)の情報と予め記憶された閾値とに基づいて状態判定を行う。
【0047】
図5は、青色光を照射された状態のメロンを撮影して得られた蛍光画像から取得した輝度Ltの保存日数による経時変化の例を示す図である。保存日数の経過に伴い、輝度Ltは減少する。これを利用することで、食品の熟度および鮮度を判定することができる。図5の例では、輝度Ltが閾値L1以上では未熟、L2以上L1未満では食べごろ、L2未満では過熟と判定する。これにより、野菜室上段収納ケース402内に載置された対象物である食品の熟度を判定することができる。食品の熟度の判定は、例えば、制御装置8によって行われる。本実施例における制御装置8は、情報取得手段によって取得された蛍光画像の情報から食品の状態を検出する制御手段として機能する。
【0048】
食品の熟度の判定結果は、例えば、表示部6bによって表示される。本実施例における表示部6bは、制御手段によって検出された食品の状態に関する情報を報知する報知手段の一例である。本実施の形態によれば、使用者は冷蔵庫1内の食品が食べごろであるか否かを把握することができる。使用者は、美味しい状態で食品を食べることができ、また、過熟となった場合には早目に消費するなどして食品の廃棄を防止することができる。なお、制御装置8は、食品の状態の判定結果を、電気通信回線30を介して、携帯情報端末40等の外部機器に表示させてもよい。
【0049】
図6は、実施の形態1に係る冷蔵庫1が備える制御装置8による画像演算処理の一例を示すフローチャートである。図6の例においては、撮影された画像をN×M個の画素単位に分割し、n(=1,2,・・・,N)およびm(=1,2,・・・,M)として、各画素座標(x,y)における輝度の判定を行う。まず、n=1として設定し(ステップS1101)、また、m=1として設定する(ステップS1102)。そして、画素座標(x,y)における輝度L(x,ym)があらかじめ設定した初期状態での輝度L0(x,ym)より大きいか否かを判定する(ステップS1103)。輝度L(x,ym)が輝度L0(x,ym)より大きい場合には、当該画素座標(x,y)のブロックには対象物が存在すると判定し、輝度Lt(x,ym)=輝度L(x,ym)として設定する。(ステップS1104)。輝度L(x,ym)が輝度L0(x,ym)以下である場合には、当該画素座標(x,y)のブロックには対象物が存在しないと判定し、輝度Lt(x,ym)=0として設定する。(ステップS1105)。以上の処理を繰り返し,N×M個の画素単位のすべてのブロックについて処理を行う(ステップS1106からステップS1109)。そして、対象物が存在する範囲における輝度Lt(xn,ym)の平均値を、対象物の輝度Ltとして算出し(ステップS1110)、画像演算処理を終了する。
【0050】
図7は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の動作処理の一例を示すフローチャートである。 野菜室扉9が開いたことを検出すると(ステップS101)、発光部12を点灯させる(ステップS102)。ここで、t=0として、タイマー機能による時間計測を開始する(ステップS103)。ステップS103の後、ユーザの操作によって、携帯情報端末40等から蛍光画像のデータを受信すると(ステップS104)、発光部12を消灯する(ステップS105)。
【0051】
続いて、受信した蛍光画像のデータについて画像演算処理を行い、対象物の輝度Ltの情報を取得する(ステップS106)。輝度Ltが予め設定された閾値L1以上であった場合(ステップS107)には、対象物の状態を「未熟」と判定する(ステップS114)。ステップS107において輝度Ltが閾値L1未満の場合には、予め設定された閾値L2と輝度Ltとを比較する(ステップS108)。ステップS108において輝度Ltが閾値L2以上であった場合、対象物の状態を「食べごろ」と判定する(ステップS115)。ステップS108において輝度Ltが閾値L2未満であった場合、対象物の状態を過熟と判定する(ステップS109)。ステップS109、ステップS114およびステップS115での判定結果は、表示部6bあるいは携帯情報端末40等に送信され(ステップS110)、ユーザに対して報知される。
【0052】
ステップS104において蛍光画像のデータを受信しなかった場合、野菜室扉9が閉じられたことを検出すると(ステップS111)、発光部12を消灯する(ステップS112)。野菜室扉9が閉じられた後、発光部12を点灯してからの時間tが所定時間t1経過するまでは、ステップS104からステップS112にかけての処理が継続して行われる(ステップS113)。
【0053】
以上に示した実施の形態であれば、外部の撮影機器を利用することで、冷蔵庫1内にカメラ等の撮影機器を設置することなく、保存中の食品の状態をユーザが把握することを支援することが可能である。例えば、冷蔵庫1の庫内に撮影機器を設ける場合と比べて、庫内に食品を収納可能な容量を増やすことができる。また、冷蔵庫1の構造を、より簡易なものとすることができる。
【0054】
上記の実施形態において、発光部12は、一例として、野菜室扉9が開くことに連動して点灯する。発光部12は、例えば、扉開閉検出スイッチ10によって野菜室扉9が閉じられていることが検出されている際には消灯するように構成されてもよい。野菜室扉9が閉じられている際には、ユーザは、撮影機器による蛍光画像の撮影を行うことはない。野菜室扉9が閉じられている際に発光部12を消灯させることで、無駄な電力消費等を削減することができる。
【0055】
発光部12の点灯および消灯は、野菜室扉9の開閉と連動するものに限られない。例えば、ユーザによる操作パネル6の操作あるいは携帯情報端末40の操作に応じて、発光部12の点灯および消灯が制御されてもよい。これにより、例えば、冷蔵庫1から物をただ出し入れする際には発光部12を点灯させなくすることができ、無駄な電力消費等を削減することができる。
【0056】
図8は、実施の形態1の変形例を説明する図である。図8に示すように、例えば、冷蔵室100には、通常の庫内照明用の照明部14と、蛍光画像を撮影するための発光部12と、が設けられていてもよい。このように発光部12による光の照射対象となる貯蔵空間は、野菜室400に限定されるものではない。図8に示す変形例においては、ユーザによる操作パネル6の操作あるいは携帯情報端末40の操作に応じて、発光部12の点灯および消灯が制御される。あるいは、冷蔵室扉7が開かれた状態においてユーザによる所定の操作が行われることで発光部12が点灯してもよい。
【0057】
励起光を照射する発光部12は、例えば、冷蔵庫1の本体の手前側から奥側に向かって光を照射するように設置されてもよい。すなわち、発光部12は、冷蔵庫1内の貯蔵室および貯蔵空間を開閉する扉の反対側に向けて光を照射するように設置されてもよい。これにより、ユーザが発光部12からの光を直視することを防ぐことができる。
【0058】
なお、ユーザによる蛍光画像の撮影を容易にするため、発光部12は、冷蔵庫1の本体の手前側、具体的には、冷蔵庫1の本体の前後方向中心よりも前側(扉側)配置されていることが望ましい。また、冷蔵庫1には、ユーザによる蛍光画像の撮影を容易にするため、撮影機器の設置位置を示す標識、あるいは、撮影機器を固定可能な構造、等が備えられていてもよい。
【0059】
本開示に係る食品保管システムは、上記のように構成された冷蔵庫1のような食品保管庫単体によって実現することもできるし、食品保管庫と外部機器とが連携することによって実現することもできる。例えば、蛍光画像の情報から食品の状態を検出する制御手段の機能は、食品保管庫の外部機器によって実現されてもよい。この場合、外部の撮影機器によって撮影された蛍光画像の情報を取得する情報取得手段の機能もまた、食品保管庫の外部機器によって実現されてもよい。すなわち、食品保管庫には、蛍光画像の情報から食品の状態を検出する制御手段および外部の撮影機器によって撮影された蛍光画像の情報を取得する情報取得手段が搭載されていなくてもよい。また、例えば、制御手段によって検出された食品の状態に関する情報を報知する報知手段の機能についても、表示部6bとは別の、冷蔵庫1の外部機器によって実現されてもよい。
【0060】
例えば、電気通信回線30に接続可能なクラウド上において、情報取得手段および制御手段の機能を実現してもよい。本例であれば、冷蔵庫1等の食品保管庫での情報処理の負荷を低減することができる。また、ユーザが撮影した蛍光画像のデータを、クラウド上のサーバ等に蓄積して閲覧可能にしてもよい。本例であれば、ユーザが過去の食品の状態を閲覧することができ、例えば、買い物などを支援することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 冷蔵庫、 2 圧縮機、 3 冷却器、 4 送風ファン、 5 風路、 6 操作パネル、 6a 操作部、 6b 表示部、 7 冷蔵室扉、 7a 右扉、 7b 左扉、 8 制御装置、 8a プロセッサ、 8b メモリ、 9 野菜室扉、 10 扉開閉検出スイッチ、 11 野菜室サーミスタ、 12 発光部、 13 通信装置、 14 照明部、 30 電気通信回線、 40 携帯情報端末、 90 断熱箱体、 100 冷蔵室、 200 切替室、 201 切替室収納ケース、 300 製氷室、 400 野菜室、 401 野菜室収納ケース、 402 野菜室上段収納ケース、 500 冷凍室、 501 冷凍室収納ケース、 502 冷凍室上段収納ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8