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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178783
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】封止不良検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/02 20060101AFI20231211BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231211BHJP
【FI】
B65B57/02 F
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091677
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 研也
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】金田 悠太郎
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096CA04
5L096HA02
(57)【要約】
【課題】溶着後の包装体における封止不良の防止を可能にする。
【解決手段】収容物が収容された包装体の溶着後の封止不良を検出する封止不良検出方法であって、溶着後の包装体の底面部から鍔状に突出して形成された封止部に対して気体を吐出する吐出工程と、封止部の、吐出された気体の圧力に伴う接着状態の変化が撮像された撮像画像を取得する撮像工程と、撮像された撮像画像から、吐出された気体の圧力に伴う封止部の接着状態の変化量が閾値以上であることを条件として、包装体の溶着後の封止状態の良否を判定する判定工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物が収容された包装体の溶着後の封止不良を検出する封止不良検出方法であって、
前記溶着後の包装体の底面部から鍔状に突出して形成された封止部に対して気体を吐出する吐出工程と、
前記封止部の、前記吐出された気体の圧力に伴う接着状態の変化が撮像された撮像画像を取得する撮像工程と、
前記撮像された撮像画像から、前記吐出された気体の圧力に伴う封止部の接着状態の変化量が閾値以上であることを条件として、前記包装体の溶着後の封止状態の良否を判定する判定工程と、
を含む封止不良検出方法。
【請求項2】
前記吐出工程は、前記包装体の底面部に形成された封止部の延在方向に沿って複数に配置された吐出機構を介して気体が吐出される、請求項1に記載の封止不良検出方法。
【請求項3】
収容物が収容された包装体の溶着後の封止不良を検出する封止不良検出方法であって、
前記溶着後の包装体の底面部から鍔状に突出して形成された封止部周辺の空気を吸引する吸引工程と、
前記封止部周辺の空気の吸引に伴う接着状態の変化が撮像された撮像画像を取得する撮像工程と、
前記撮像された撮像画像から、前記封止部周辺の空気の吸引に伴う封止部の接着状態の変化量が閾値以上であることを条件として、前記包装体の溶着後の封止状態の良否を判定する判定工程と、
を含む封止不良検出方法。
【請求項4】
前記吸引工程は、前記溶着後の包装体の底面部から鍔状に突出して形成された封止部を挟んで吸引口が開口する吸引機構により前記封止部周辺の空気が吸引される、請求項3に記載の封止不良検出方法。
【請求項5】
前記吸引機構は、前記包装体の底面部に形成された封止部の延在方向に沿って複数に配置される、請求項4に記載の封止不良検出方法。
【請求項6】
前記撮像画像は、光軸を中心として遠心方向に広がりを有する白色光を前記包装体の底面部に形成された封止部に照射する投光部と、前記封止部を含み前記光軸に交差する底面部から反射された前記白色光の反射光を受光する受光部とを備える撮像機構を介して撮像される、請求項1または請求項3に記載の封止不良検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収容物が収容された包装体の封止不良の防止を可能とする封止不良検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙おむつ等の吸収性物品の包装においては、マチ付きの包装用袋体を用いたガセット包装が汎用されている。このような包装においては、所定数量の吸収性物品が収容された包装用袋体の、開口部を溶着して形成された封止部の封止不良を検査する検査装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、紫外線照射装置11と紫外線撮像装置12とを備え、紫外線撮像装置12で撮像された検査対象部分1Fの撮像データに基づいて包装不良の有無を判定する包装不良検査装置が開示されている。当該検査装置により、ガセット包装が行われた包装物品1のヒートシール接合部2の包装不良の有無が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-282224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装体に、フィルム素材が使用される場合では、加熱ムラ等により封止不良が生じる場合がある。本開示の目的は、溶着後の包装体における封止不良の防止を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る封止不良検出方法は、収容物が収容された包装体の溶着後の封止不良を検出する封止不良検出方法であって、前記溶着後の包装体の底面部から鍔状に突出して形成された封止部に対して気体を吐出する吐出工程と、前記封止部の、前記吐出された気体の圧力に伴う接着状態の変化が撮像された撮像画像を取得する撮像工程と、前記撮像された撮像画像から、前記吐出された気体の圧力に伴う封止部の接着状態の変化量が閾値以上であることを条件として、前記包装体の溶着後の封止状態の良否を判定する判定工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、溶着後の包装体における封止不良の防止が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る包装体検査装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る包装体の生成工程を説明する図である。
図3図3は、実施形態1に係る封止部の封止不良を説明する斜視図である。
図4図4は、実施形態1に係る処理装置の構成を示す図である。
図5図5は、包装体の底面部に形成された封止部の封止検査を説明する図である。
図6図6は、撮像部により撮像された底面部の検査画像の一例を説明する図である。
図7図7は、実施形態1に係る封止不良を検査する工程の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、変形例に係る包装体検査装置を説明する斜視図である。
図9図9は、変形例に係る包装体の封止部の封止検査を説明する図である。
図10図10は、実施形態2に係る封止部に対する加熱状態を説明する図である。
図11図11は、実施形態2に係る治具による予熱を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る包装体検査装置について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る包装体検査装置1の概略構成を示す斜視図である。包装体検査装置1は、包装用袋体21に吸収性物品を収容して開口部が溶着された包装体2の封止部23を検査対象として、溶着後の封止状態の良否を検査する装置である。包装用袋体21は、例えば、ポリエチレンシートやポリプロピレンシート等の比較的に柔らかいフィルム素材で構成される。但し、包装用袋体21の包装素材として他の素材、例えば紙素材が採用されてもよい。包装用袋体21は、例えば、マチ付きのガセット袋体である。
【0011】
包装用袋体21にフィルム素材が使用される場合では、開口部を溶着する際の加熱過程において素材の変形に伴う部分的な加熱ムラが生じ、この溶着強度の低下により、溶着後の封止部に部分的なめくれや剥がれといった封止不良が生じる場合がある。本実施形態では、吸収性物品が収容された包装体の溶着後の封止不良の検出精度を高める。
【0012】
図2は、包装用袋体21を用いてガセット包装された包装体2の生成工程を説明する図である。まず、図2(a)に示されるように、包装用袋体21の略矩形状に開口する開口部24から、所定数量の吸収性物品(例えば、使い捨て紙おむつ)29が整列された状態で当該包装用袋体の内部に収容される。吸収性物品29の包装用袋体21への収容は、例えば、外装機等を用いて包装用袋体21の内部に押し込まれる。
【0013】
吸収性物品29の包装用袋体21への収容後、開口部24を構成する包装用袋体21の部分部位(開口部上面部24A、開口部下面部24B、開口部右側面部24C、開口部左側面部24D)がヒートシール装置等により溶着される。すなわち、図2(b)に示されるように、開口部24を構成する包装用袋体21の開口部右側面部24Cおよび開口部左側面部24Dが左右方向(Y方向)の内側にM字状に折り畳まれる。また、開口部24を構成する包装用袋体21の開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bが上下方向(Z方向)に重なるように潰される。
【0014】
そして、ヒートシール装置は、左右方向(Y方向)の内側にM字状に折り畳まれた開口部右側面部24Cおよび開口部左側面部24Dを、上下方向(Z方向)から潰された開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bで挟み込み、加熱・押圧することで溶着する。これにより、開口部24が封止され、図2(c)に示されるように、内部に吸収性物品29を収容し、ガセット包装された包装体2が生成される。包装体2においては、ヒートシール装置により上下方向(Z方向)から潰された開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bにより底面部22が構成される。そして、M字状に折り畳まれた開口部右側面部24Cおよび開口部左側面部24Dを上下方向(Z方向)から挟み込み、ヒートシール装置によって溶着された開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bは、包装体2の封止部23を構成する。図2(c)に示されるように、封止部23は、包装体2の底面部22の上下方向(Z方向)の略中央付近に、左右方向(Y方向)に略直線状に延在し、当該底面部から外部側に鍔状に突出して形成される。
【0015】
図3は、包装体2に形成された封止部23の封止不良を説明する斜視図である。図3に示されるように、包装体2に形成された封止部23には、開口部右側面部24Cが内側にM字状に折り畳まれて、開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bで挟み込まれた溶着領域23Aが右端側に形成される。同様にして、封止部23の左端側には、開口部左側面部24Dが内側にM字状に折り畳まれて、開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bで挟み込まれた溶着領域23Cが形成される。そして、溶着領域23Aと溶着領域23Cとの間には、上下方向(Z方向)から重なるよう潰された開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bからなる溶着領域23Bが形成されることになる。
【0016】
このため、ヒートシール装置による加熱の際には、M字状に折り畳まれた開口部右側面部24Cを含む溶着領域23AおよびM字状に折り畳まれた開口部左側面部24Dを含む溶着領域23Cと、溶着領域23Bとの間には、加熱ムラが生じる場合がある。同様にして、ヒートシール装置による押圧の際には、M字状に折り畳まれた開口部右側面部24Cを含む溶着領域23AおよびM字状に折り畳まれた開口部左側面部24Dを含む溶着領域23Cと、溶着領域23Bとの間には、押圧力にムラが生じる場合がある。このような部分的な加熱ムラ、押圧力のムラにより、溶着強度が低下した場合には、包装体2の底面部22に形成された溶着後の封止部23において、部分的なめくれや剥がれ等の封止不良が生ずることになる。
【0017】
図1に戻り、本実施形態に係る包装体検査装置1は、包装体2の底面部22に形成された封止部23における部分的なめくれや剥がれといった封止不良を検出する。具体的には、包装体2が搬送されるベルトコンベア等の搬送機構80近傍に空気等を吐出する吐出部31を配置する。吐出部31はコンプレッサ30と接続し、搬送機構80による搬送方向(MD方向)に沿って複数に配置される。なお、図1においては、3つの吐出部31を備える形態が例示されているが、搬送機構80近傍に配置される吐出部31は単体であってもよく、2つ以上の数量であってもよい。包装体2の封止部23を検査する検査ラインの構成に応じて、吐出部31を適宜に配置すればよい。空気等を吐出する吐出部31を複数に配置することにより、封止部23に生じた部分的な封止不良を確実に検出することができる。本実施形態において、吐出部31から吐出される空気等は「気体」の一例に相当し、吐出部31とコンプレッサ30は「吐出機構」の一例に相当する。
【0018】
搬送機構80によって搬送される包装体2は、封止部23が形成された底面部22を吐出部31が配置された方向に向けて搬送される。図1に示されるように、包装体2の底面部22と吐出部31の吐出口とは対向する。
【0019】
また、搬送機構80近傍には、包装体検査装置1を構成する撮像部101が配置される。本実施形態においては、包装体検査装置1は、搬送機構80近傍に配置された撮像部101と、当該撮像部と接続される処理装置10を含み構成される。撮像部101の配置位置は、後述するように、吐出部31の吐出口から吐出された空気等の圧力によって変化する封止部23の状態が撮像可能な位置であればよい。図1においては、搬送機構80の搬送方向に沿って複数に配置された吐出部31の後方側に撮像部101が設けられた形態を例示するが、吐出部31の前方側に設けられてもよい。本実施形態において、撮像部101は「撮像機構」の一例に相当する。
【0020】
撮像部101は、例えば、可視領域の白色光源波長(赤色、青色、緑色)を撮像対象に照射するLED等で構成された投光部と、撮像対象から反射された白色光を受光するCMOS、CCD等の固体撮像素子で構成された受光部を一体的に有する面光電センサである。撮像部101において、例えば、投光部および受光部は筐体の同一面(筐体面101A)に配置され、投光部から照射される白色光は、光軸を中心として遠心方向に広がりを有
する。そして、投光部と同一面に配置された受光部は、光軸を中心として遠心方向に広がりを有する白色光の、撮影対象からの反射光を受光することで、投光部から撮像対象に照射された白色光の光軸に交差する2次元の撮像画像を取得する。つまり、汎用的な光電センサの検出範囲が点であることに対して、面光電センサを採用することにより、面(所定の面積)単位での検出を行うことが可能になる。
【0021】
なお、以下では、撮像部101として2次元画像の取得が可能な面光電センサを採用するが、包装体2の底面部22に形成された封止部23の封止不良が検出可能であれば適宜の形態が採用可能である。例えば、撮像部101は、照明部とカメラとを有し、照明光が照射された包装体2の底面部22の撮像画像を取得するとしてもよく、3次元距離センサ、マッピングセンサ等が採用されてもよい。
【0022】
図1に示されるように、撮像部101は、搬送機構80に載置された包装体2と略同じ高さ位置に配置され、当該包装体の封止部23が形成された底面部22と、投光部および受光部が配置された筐体面101Aとは対向する。撮像部101の投光部から照射される白色光の光軸は包装体2の底面部22と交差するように配置される。
【0023】
そして、例えば、撮像部101による撮像が行われる際には、搬送機構80による包装体2の搬送が一時的に停止され、静止状態の包装体2の底面部22に形成された封止部23に向けて、吐出部31から空気等が吐出される。撮像部101は、封止部23に向けて空気等が吐出されるタイミングで白色光を照射し、当該照射された白色光の、包装体2の封止部23が形成された底面部22からの反射光に基づいて、吐出された空気等の圧力によって変化する封止部23の接着状態を撮像する。撮像部101によって撮像された包装体2の封止部23を含む底面部22の画像(以下、「検査画像」ともいう)は、処理装置10に出力される。なお、包装体検査装置1においては、搬送中の包装体2に対して、空気等を吐出部31から吐出させ、当該吐出された空気等の圧力によって変化する封止部23の接着状態を含む底面部22の検査画像が取得されてもよい。
【0024】
処理装置10においては、撮像部101によって撮像された検査画像に基づいて、包装体2の封止部23における封止状態の良否が検査される。処理装置10は、例えば、良品と判定された包装体2の封止部23を含む底面部22の撮像画像(以下、「基準画像」ともいう)を予めメモリ等に保持する。そして、処理装置10は取得された検査画像と基準画像との照合を行い、封止状態の良否を判断する。このような、照合としてパターンマッチングといった公知の技術が採用できる。処理装置10は、例えば、検査画像と基準画像との照合の度合いが許容範囲を超えるときには封止不良と判断し、そうでないときには封止状態が正常である良品と判断する。処理装置10により、封止状態が良品と判断された包装体2は、搬送機構80により次の工程へと搬送される。一方、処理装置10により、封止不良と判断された包装体2は、例えば、払い出し機構等により、搬送機構80上から押し出されて除外される。
【0025】
図4は、処理装置10の構成を示す図である。処理装置10は、接続バスによって相互に接続されたプロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、入出力部14、通信部15を構成要素に含むコンピュータである。主記憶部12および補助記憶部13はメモリを構成し、処理装置10が読み取り可能な記録媒体である。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0026】
プロセッサ11は、処理装置10全体の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ11は、例えば、CPUやGPU、DSP等である。プロセッサ11は、制御部の一例である。プロセッサ11は、例えば、補助記憶部13に記憶されたプログラムを主記憶部12の作業領域に実行可能に展開し、当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行
うことで所定の目的に合致した機能を提供する。主記憶部12は、プロセッサ11が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶部12は、フラッシュメモリ、RAMやROMを含む。補助記憶部13は、可搬記録媒体、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM等)を含むシリコンディスク、ソリッドステートドライブ装置、ハードディスクドライブ装置等である。可搬記録媒体は、例えば、USBメモリ、SDカード等の記録媒体である。補助記憶部13には、オペレーティングシステム、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。オペレーティングシステムは、通信部15介して接続された機器との間でデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。なお、処理装置10は、単一のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータが連携したものであってもよい。
【0027】
入出力部14は、処理装置10に接続される機器との間でデータの入出力を行うインターフェースである。入出力部14には、例えば、撮像部101、キーボード、マウス等のポインティングデバイス等の入力デバイスが接続される。入出力部14を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等が受け付けられる。また、入出力部14には、例えば、LCD、ELパネル、有機ELパネル等の表示デバイス10A、スピーカ等の出力デバイスが接続される。通信部15は、通信ネットワークとの通信インターフェースである。通信部15は、通信ネットワークとの接続方式に応じて適宜の構成を採用できる。通信部15として、LANインターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等が例示される。
【0028】
図5は、包装体2の底面部22に形成された封止部23の封止検査を説明する図である。図5においては、搬送機構80に載置された包装体2を側方(搬送方向に沿う方向)から視た側面図が例示される。破線矢印32は、吐出部31から底面部22に向かって吐出される空気等の流れを表す。図5に示されるように、包装体2の底面部22に対向して、空気等を吐出する吐出部31が搬送機構80近傍に配置される。包装体2の底面部22に形成された鍔状の封止部23は、包装体2から外部方向(図5においては、吐出部31方向)に突出して形成されている。また、鍔状の封止部23は、包装体2の底面部22の上下方向(Z方向)の略中央付近に、左右方向に略直線状に延在して形成されている。このため、包装体2が載置される搬送機構80の水平面と、鍔状の封止部23とは略平行することになる。
【0029】
図1を用いて説明したように、包装体2を搬送する搬送方向に沿って3つの吐出部31が配置される。これにより、封止部23における溶着領域23A、23B、23Cのそれぞれに対して同時のタイミングで空気等を吐出できる。すなわち、M字状に折り畳まれた開口部右側面部24Cを含む溶着領域23Aと、M字状に折り畳まれた開口部左側面部24Dを含む溶着領域23Cと、溶着領域23Bのそれぞれに対して同一のタイミングで空気等を吹き付けることができる。また、複数の吐出部31が配置される場合には、溶着領域23A、23B、23Cのそれぞれに吹き付ける空気圧の強さを異ならせてもよい。封止部23における各溶着領域の溶着強度に応じて、吐出部31から吐出される空気圧の調整が可能になる。
【0030】
なお、搬送機構80近傍に配置される吐出部31の上下方向(Z方向)の高さ位置は、搬送機構80上に載置された包装体2の封止部23の高さ位置と略同じ高さ位置となるように調整されることが望ましい。但し、包装体2の封止状態を検査する検査ラインの構成等により、上記の高さ位置に吐出部31を配置できない場合もある。このような場合では、例えば、底面部22から鍔状に突出する封止部23に吐出する空気流の相対的な角度を調整して、上斜め方向または下斜め方向から吐出させるようにしてもよい。また、吐出部31が複数の配置される場合には、例えば、溶着領域23Aには上斜め方向、溶着領域23Bには下斜め方向、溶着領域23Bには水平方向といったように、吹き付ける空気流の
相対的な角度を異ならせるようにしてもよい。吐出部31から吐出される空気流の圧力による封止状態の良否が判別可能な高さ位置に配置されればよい。
【0031】
包装体検査装置1を構成する撮像部101は、投光部および受光部が設けられた同一の筐体面101Aが、包装体2の底面部22に対向するように搬送機構80近傍に配置される。撮像部101の配置位置は、吐出部31の吐出口から吐出された空気等の圧力によって変化する封止部23の接着状態が撮像可能な位置であればよい。例えば、図5に示されるように、搬送機構80の搬送方向に沿って複数に配置された吐出部31の後方側(X方向)に撮像部101を配置する。撮像部101における、投光部から照射される白色光の光軸の高さ位置は、例えば、対向する包装体2の底面部22に形成された封止部23と略同じ高さ位置(Z方向)となるように配置されることが好ましい。また、包装体2と撮像部101の投光部および受光部が配置される筐体面101Aとの間のX方向における離間距離は、少なくとも底面部22を水平方向に横断するように形成された封止部23を含む撮像画像が撮像されるように配置されることが好ましい。
【0032】
撮像部101は、封止部23が形成された底面部22に対し、所定のタイミングで白色光を照射する。所定のタイミングは、例えば、包装体2の底面部22に形成された封止部23に向けて、吐出部31から空気等が吐出されるタイミングである。そして、撮像部101においては、受光部は当該照射された白色光の底面部22からの反射光を受光するとともに、当該反射光に基づいて、吐出された空気等の圧力によって変化する封止部23の状態が撮像される。撮像部101によって撮像された包装体2の封止部23を含む底面部22の画像(検査画像)は、処理装置10に出力される。
【0033】
図6は、撮像部101により撮像された底面部22の検査画像の一例を説明する図である。図6(a)は、封止不良が生じた封止部23を含む底面部22の撮像画像Z1の一例であり、図6(b)は、正常に封止された封止部23を含む底面部22の撮像画像Z0の一例である。図6(a)、(b)に示されるように、封止部23を含む底面部22の検査画像Z0、Z1は上下方向をZ方向、左右方向をY方向とする2次元画像として撮像される。検査画像Z0、Z1において、封止部23は、底面部22の上下方向(Z方向)の略中央部の、該底面部を左右方向に沿って横断するように形成されている。なお、図6(a)は、上下方向(Z方向)から重なるよう潰された開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bからなる溶着領域23Bに生じた封止不良25を示す検査画像の一例である。
【0034】
図6(b)に示されるように、鍔状に形成された封止部23において、封止不良が存在しない場合には、吐出部31から吹き付けられた空気等の圧力による封止部23の上下方向の広がりは一定範囲D0内に収まる。一方、図6(a)に示されるように、封止部23の封止不良25が生じた部位では、溶着強度が低下する。このため、吐出部31から吹き付けられた空気等の圧力により上下方向(Z方向)に所定範囲D1の広がりを持つ、めくれや剥がれ等として撮像されることになる。封止不良が生じた溶着領域23Bにおいては、例えば、開口部上面部24Aの端部と開口部下面部24Bの端部との間が、吐出部31から吹き付けられた空気等の圧力により上下方向(Z方向)に開口することになる。同様にして、封止不良が生じた溶着領域23A、23Cにおいては、M字状に折り畳まれた開口部右側面部24C、開口部左側面部24Dが吐出部31から吹き付けられた空気等の圧力により、上下方向(Z方向)や左右方向(Y方向)に開口することになる。
【0035】
処理装置10は、図6(a)に示されるように、吐出部31から吹き付けられた空気等の圧力により状態変化が生じた封止部23を含む底面部22の検査画像に基づいて、当該封止部における封止状態の良否を判定する。
【0036】
処理装置10は、例えば、図6(b)に示されるように、良品と判定された封止部23
の状態を含む底面部22の撮像画像Z0(基準画像)を予めメモリ等に保持する。そして、処理装置10は、パターンマッチング等の公知の技術を用いて、図6(a)に例示の検査像Z1と基準画像Z0との照合を行い、照合の度合いが所定の閾値を超えることを条件として、封止部23における封止状態の良否を判断すればよい。なお、予めメモリ等に保持される基準画像は、封止部23を含む底面部22の全体的な撮像画像が好ましいが、図6(b)の矩形破線領域Z0Aで囲まれた封止部23の部分画像であってもよい。基準画像が底面部22の全体的な撮像画像である場合には、基準画像の底面部22の輪郭と検査画像における底面部22の輪郭を所定の許容範囲内に合わせ込み、それぞれの画像における封止部23同士を照合すればよい。矩形破線領域Z0Aで囲まれた部分画像では、例えば、左右方向における底面部22の輪郭について、所定の許容範囲内に検査画像と基準画像とを合わせ込み、それぞれの画像における封止部23同士を照合すればよい。
【0037】
また、処理装置10は、吐出部31から吹き付けられた空気等の圧力によりめくれや剥がれ等が生じた封止部23の、上下方向(Z方向)、左右方向(Y方向)における所定範囲D1の広がり(変化量)に基づいて、封止状態の良否を判断してもよい。処理装置10は、例えば、基準画像Z0における封止部23の上下方向における一定範囲D0内の広がり(変化量)を求め、予めメモリ等に保持する。そして、処理装置10は、検査画像Z1における封止部23の所定範囲D1の変化量と、基準画像Z0から求められた一定範囲D0の変化量との差分量を求め、当該差分量が閾値(許容誤差)以上の場合に封止不良、そうでない場合に封止良と判断してもよい。閾値である許容誤差は、例えば、吐出される空気等の圧力、風量、吐出部31と底面部22との相対距離、撮像部101と底面部22との相対距離等に基づいて適宜に設定できる。
【0038】
(封止不良検出方法)
図7は、本実施形態に係る包装体検査装置1の封止不良を検査する工程の流れの一例を示すフローチャートである。図7において、封止不良の検査の開始後、ステップS1では、搬送機構80によって搬送される包装体2の、底面部22に形成された封止部23に対して空気等を吹き付ける吐出工程が行われる。包装体2の底面部22に形成された封止部23に対して、搬送機構80近傍に配置された吐出部31から空気等が吐出されると、包装体検査装置1の検査工程はステップS2の撮像工程に移行する。
【0039】
ステップS2の撮像工程では、吐出部31から吐出された空気等の圧力によって変化する封止部23の状態が撮像される。搬送機構80によって搬送される包装体2の底面部22に形成された封止部23と略同じ高さ位置に配置された撮像部101から、所定のタイミングで、当該底面部に向けて白色光が照射される。撮像部101から照射される白色光は光軸を中心として遠心方向に広がりを有する。撮像部101は、当該白色光の反射光に基づいて、光軸に交差する底面部22の、吐出された空気等の圧力によって変化する封止部23の接着状態を撮像する。撮像部101で撮像された撮像画像は検査画像として処理装置10に出力され、包装体検査装置1の検査工程はステップS3の判定工程に移行する。
【0040】
ステップS3の判定工程では、撮像された検査画像に基づいて、底面部22に形成された封止部23の封止状態の良否が判定される。ステップS3では、例えば、メモリ等に保持された基準画像(良品と判定された包装体2の封止部23を含む底面部22の撮像画像)と、取得された検査画像との照合が行われる。照合の結果、照合の度合いが許容範囲を超えるときには封止不良と判定され、そうでないときには封止状態が正常である良品と判定される。なお、ステップS3では、検査画像における、吐出部31から吹き付けられた空気等の圧力により封止部23に生じためくれや剥がれ等の状態の変化量(上下方向、左右方向における所定範囲D1の広がり)に基づいて、封止状態の良否を判定してもよい。検査画像における封止部23の所定範囲D1の変化量が、基準画像における一定範囲D0
の変化量に対して許容誤差以上のときには封止不良と判定し、そうでないときには封止状態が正常である良品と判定すればよい。
【0041】
ステップS3の判定の結果、封止状態が良である場合には(ステップS4、“Yes”)、包装体検査装置1の検査工程は本ルーチンを一旦終了させる。そうでない場合には(ステップS4、“No”)、包装体検査装置1の検査工程はステップS5の工程に移行する。ステップS5の工程では、封止不良と判定された包装体2の除外が行われる。包装体検査装置1は、例えば、払い出し機構等を介して、封止不良と判定された包装体2を搬送機構80上から外部に押し出すことで当該包装体2を除外する。包装体検査装置1の検査工程は、ステップS5の工程の終了後、本ルーチンを一旦終了させる。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態に係る包装体検査装置1においては、溶着後の包装体2の底面部22から鍔状に突出して形成された封止部23に対して気体を吐出する吐出工程を検査工程に含めるよう構成した。これにより、包装体検査装置1においては、搬送機構80近傍に配置された複数の吐出部31を用いて、包装体2の底面部22に形成された鍔状の封止部23に対して空気等を吐出できる。ヒートシール装置の加熱ムラ等により溶着強度の低下が生じている場合には、吐出部31から吐出された空気等の圧力により、鍔状に形成された封止部23に部分的なめくれや剥がれ等の状態変化を生じさせることができる。包袋体検査装置1は、包装体2の底面部22に形成された封止部23に沿って複数の吐出部31を配置し、当該複数の吐出部31から同時のタイミングで空気等を吹き付けることができる。このため、封止部23に部分的に生じた封止不良を見逃すことなく確実に検出できる。包装体検査装置1の撮像部101は、吐出部31から吐出された空気等の圧力によって封止部23に生じためくれや剥がれ等の状態変化を検査画像として撮像できる。そして、包装体検査装置1の処理装置10は、検査画像における、封止部23に生じためくれや剥がれ等の状態変化に基づいて、吸収性物品が収容された包装体2の封止不良が判別できる。本実施形態によれば、吸収性物品を収容する包装体2の、溶着後の封止不良の検出精度を高めることができる。この結果、溶着後の封止不良が生じた包装体2を検出し除外することができるので、製品として出荷される包装体2の封止不良を防止できる。
【0043】
(変形例)
実施形態1では、包装体2の底面部22に形成された封止部23に対して、搬送機構80近傍に配置された複数の吐出部31から空気等を吐出させ、当該吐出された空気等の圧力により生じた状態変化に基づいて封止良否を検査する形態を説明した。変形例のヒートシール後の封止良否の判別においては、鍔状に形成された封止部23周辺の空気を吸引する吸引部が搬送機構80近傍に複数に配置される。そして、変形例の形態では、吸引部が吸引する封止部23周辺の空気の流れによる圧力で生じた状態変化に基づいて封止良否を検査する。なお、変形例において、封止部23周辺が「封止部周辺」の一例に相当し、吸引部による、鍔状に形成された封止部23周辺の空気を吸引する過程が「吸引工程」の一例に相当する。
【0044】
図8は、変形例に係る包装体検査装置1を説明する斜視図である。変形例においては、鍔状に形成された封止部23周辺の空気を吸引する吸引部33、34が搬送機構80近傍に複数に配置される。吸引部33、34は、例えば、コンプレッサ等の吸引装置にそれぞれ接続される。図8に示されるように、吸引部33は、鍔状に形成された封止部23を挟み当該封止部のZ方向上側に、吸引部34は当該封止部のZ方向下側に設けられる。吸引部33の吸引口は、鍔状の封止部23を構成する開口部上面部24A側に向けて開口する。同様にして、吸引部34の吸引口は、鍔状の封止部23を構成する開口部下面部24B側に向けて開口する。吸引部33は、鍔状に形成された封止部23の開口部上面部24A周辺の空気をZ方向上側方向に吸引し、吸引部34は、鍔状に形成された封止部23の開
口部下面部24B周辺の空気をZ方向下側方向に吸引する。吸引部33の吸引口と吸引部34の吸引口とは、例えば、対となり、鍔状に形成された封止部23を上下方向から対向して挟むように配置される。
【0045】
図8においては、鍔状に形成された封止部23をZ方向上側およびZ方向下側から挟み、吸引口が対向するように配置された3対の吸引部33、34が例示される。例えば、包装体2に対してY方向の端部側に配置される吸引部33、34の各対は、それぞれ、図2に示す溶着領域23A、23Cに対応している。同様にして、包装体2に対してY方向の中方部に配置される吸引部33、34の対は図2に示す溶着領域23Bに対応している。このように、鍔状に形成された封止部23をZ方向上側およびZ方向下側から挟み、吸引口が対向して対をなす吸引部33、34を複数に設けることにより、吸引される空気の流れにより、封止部23に生じた部分的な封止不良を確実に検出することができる。なお、搬送機構80近傍に配置される吸引部33、34は単体であってもよく、3対以上の数量であってもよい。包装体2の封止部23を検査する検査ラインの構成に応じて、対を構成する吸引部33、34を適宜に配置すればよい。
【0046】
図9は、変形例に係る包装体2の底面部22に形成された封止部23の封止検査を説明する図である。図9においては、搬送機構80に載置された包装体2を側方(搬送方向に沿う方向)から視た側面図が例示される。破線矢印35は、吸引部33、33によって吸引される封止部23周辺の空気の流れを表す。図9に示されるように、変形例の形態では、鍔状に形成された封止部23を挟んで配置された吸引部33、34の吸引対により、上側方向および下側方向に向かって吸引される空気の流れを生じさせる。吸引対によって生じた空気の流れにより、例えば、鍔状に形成された封止部23の上側表面には吸引部33に向かう方向に、封止部23の下側表面には吸引部34に向かう方向に吸引力が働くことになる。この封止部23を挟み、反対方向に働く吸引力により、封止部23の封止不良が生じている箇所には、上下方向(Z方向)に所定範囲の広がりを持つ、めくれや剥がれといった状態変化が生ずることになる。一方、封止状態が正常である良品では、このようなめくれや剥がれ等の状態変化は生じることはない。変形例の形態では、吸引対が吸引する封止部23周辺の空気の流れによって生じた吸引力に伴う状態変化に基づいて封止良否を検査する。
【0047】
変形例の撮像部101は、実施形態1と同様にして、吸引部33、34の吸引対によって生じた吸引力に伴う封止部23の状態変化を撮像し、当該撮像画像(検査画像)を処理装置10に出力する。そして、変形例の処理装置10は、実施形態1と同様にして、撮像された検査画像に基づいて封止状態の良否を判定すればよい。例えば、良品と判定された封止部23の状態を含む底面部22の撮像画像(基準画像)と、撮像された検査画像とを照合させ、当該照合の度合いが所定の閾値を超えることを条件に封止状態の良否が判定される。また、吸引力で封止部23に生じためくれや剥がれ等の、上下方向(Z方向)、左右方向(Y方向)における所定範囲の広がり(変化量)に基づいて、封止状態の良否が判定される。
【0048】
変形例の形態では、鍔状に形成された封止部23をZ方向上側およびZ方向下側から挟み、吸引口が対向するように配置された対の吸引部33、34の吸引力により、封止不良が生じた箇所にめくれや剥がれ等の状態変化を生じさせることができる。そして、変形例の形態においても、撮像部101を介して撮像された検査画像における封止部23に生じためくれや剥がれ等の状態変化に基づいて、吸収性物品が収容された包装体2の封止不良が判別できる。
【0049】
<実施形態2>
図3に示されるように、包装体2に形成された封止部23は、複数の溶着領域(23A
、23B、23C)を含み、ヒートシール時における当該複数の溶着領域間の加熱ムラ等が封止不良の一因になり得ることは既に説明した。吸収性物品を収容する包装体2の製造に係るコスト等の観点からは、ヒートシール時における溶着の確度を総体的に向上させることが好ましい。実施形態2(以下、本実施形態ともいう)では、ヒートシール時における溶着の確度を向上させる技術を説明する。
【0050】
図2を用いて説明したように、包装体2の封止部23は、吸収性物品29が収容された包装用袋体21の開口部24を構成する包装用袋体21の部分部位がヒートシール装置等により溶着されて形成されている。例えば、封止部23の溶着領域23Aは、開口部24を構成する包装用袋体21の開口部右側面部24Cが左右方向(Y方向)の内側にM字状に折り畳まれ、開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bが上下方向(Z方向)に重なるように溶着されて形成される。また、溶着領域23Cは、開口部24を構成する包装用袋体21の開口部左側面部24Dが左右方向(Y方向)の内側にM字状に折り畳まれ、開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bが上下方向(Z方向)に重なるように溶着されて形成される。そして、M字状に折り畳まれた開口部右側面部24C、開口部左側面部24Dを含まない開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bで構成された封止部23の中央部位が、溶着領域23Cとなる。
【0051】
図10は、本実施形態に係るヒートシール時の封止部23に対する加熱状態を説明する図である。図10(a)は、封止部23が形成された包装体2の底面部22を示す概略図であり、図10(b)は、ヒートシール時に封止部23に印加される熱量の推移を示すグラフである。上述のように、包装体2に形成される封止部23は、溶着領域23A、23B、23Cにより構成され、各溶着領域を構成する材質・厚み・枚数等は相対的に異なる。本実施形態では、図10(b)に示されるように、封止部23を構成する各溶着領域の材質、厚み、枚数等に応じて、ヒートシール時に印加される加熱量を変更する。
【0052】
具体的には、図10(b)に示されるように、M字状に折り畳まれた開口部右側面部24C、開口部上面部24A、開口部下面部24Bで構成される溶着領域23Aにおいては、熱量Q1を印加する。M字状に折り畳まれた開口部左側面部24D、開口部上面部24A、開口部下面部24Bで構成される溶着領域23Cについても同様の熱量Q1が印加される。一方、開口部上面部24Aおよび開口部下面部24Bで構成される溶着領域23Bでは、溶着領域23A、23Cと比べて相対的に厚みが薄く枚数が少ないため、熱量Q1より少ない熱量Q2が印加される。このように、封止部23を構成する各溶着領域の材質、厚み、枚数等に応じて、ヒートシール時に印加される熱量Q1、Q2を変更することで、溶着の確度を高め、封止不良を抑制することが可能になる。
【0053】
ヒートシール装置においては、例えば、開口部24の封止に係る時間は一定時間として、溶着領域23A、23B、23Cのそれぞれの構成部位の材質、厚み、枚数等に応じて、上述のように印加する熱量を熱量Q1、Q2のように変更すればよい。また、ヒートシール装置における熱量の変更については、開口部24を押圧する時間を一定時間として、溶着領域23A、23B、23Cのそれぞれの構成部位の材質、厚み、枚数等に応じて、加熱時間を変更してもよい。例えば、溶着領域23Bについては、溶着領域23A、23Cと比べて相対的に厚みが薄く枚数が少ないため、加熱に係る時間を他の溶着領域より短くすればよい。
【0054】
なお、図8図9を用いて説明したように、包装体検査装置1は鍔状に形成された封止部23周辺の空気を吸引する複数の対となる吸引部33、34を備える場合には、当該吸引部33、34をヒートシール装置等に併せるようにしてもよい。封止部23周辺の空気を吸引する吸引機構と、包装体2の封止に係る封止機構を併せることにより、封止終了後に、鍔状に形成された封止部23周辺の空気を吸引して封止不良個所を広げる方向に力を
加えることができる。包装体2の底面部22から外部側に鍔状に突出する封止部23の延在方向が個体ごとに変わる場合には、吸引機構の吸引力により、当該封止部における封止不良個所を確実に広げることができる。
【0055】
さらに、ヒートシール工程の前工程として、包装用袋体21の開口部右側面部24CがM字状に折り畳まれる溶着領域23A、開口部左側面部24DがM字状に折り畳まれる溶着領域23Cを、治具等を用いて予熱するようにしてもよい。ヒートシールを行う前に、上記溶着領域のM字状に折り畳まれる開口部右側面部24C、開口部左側面部24Dを予熱することで、溶着領域23A、23Cに対する熱量を相対的に増加できる。
【0056】
図11は、治具による予熱を説明する図である。図11(a)は、包装用袋体21の開口部24を広げる際にM字状に折り畳まれる溶着領域23A、23Cを予熱するための治具41A、41Bの形態を説明する図である。図11(b)は、包装用袋体21の開口部24をM字状に折り畳む際に、溶着領域23Aに折り畳まれる開口部右側面部24C、溶着領域23Cに折り畳まれる開口部左側面部24Dを予熱するための治具42A、42Bの形態を説明する図である。以下、予熱を行う治具を「予熱治具」とも称す。
【0057】
図2を用いて説明したように、包装体2は、吸収性物品29が収容された包装用袋体21の開口部24をヒートシール装置等で溶着することで生成される。図11(a)に示す形態では、断面形状が略コの字状に構成された一対の予熱治具41A、41Bを用いて、包装体2の溶着領域23A、23Cに対応する開口部24の部位をヒートシール前に予熱する形態である。すなわち、吸収性物品29が収容された包装用袋体21の開口部24を構成する開口部右側面部24Cおよび開口部左側面部24Dと、M字状に折り畳まれた当該部位に上下方向から重ねられる開口部上面部24A、開口部下面部24Bを対象として予熱する。
【0058】
図11(a)に示されるように、断面形状が略コの字状に構成された予熱治具41Aでは、当該治具と当接する開口部右側面部24C、開口部上面部24A、開口部下面部24Bが、内面側から予熱される。同様にして、断面形状が略コの字状に構成された予熱治具41Bでは、当該治具と当接する開口部左側面部24D、開口部上面部24A、開口部下面部24Bが、内面側から予熱される。図11(a)に示す形態では、例えば、図2において、図2(a)から図2(b)に移行する前工程として、一対の予熱治具41A、41Bを介した予熱工程が行われる。
【0059】
図11(b)に示す形態では、図2(b)において、開口部右側面部24C、開口部左側面部24DをM字状に折り畳む際に、予熱治具42A、42Bを外部から当該部位に当接させて予熱する形態である。図11(b)に示されるように、予熱治具42Aは断面形状が略三角形状に構成され、当該治具の凸部が開口部右側面部24Cの内側に折り畳まれるM字状の折り線に当接させて外部側から予熱される。同様にして、予熱治具42Bは断面形状が略三角形状に構成され、当該治具の凸部が開口部左側面部24Dの内側に折り畳まれるM字状の折り線に当接させて外部側から予熱される。
【0060】
図11(a)に示す予熱治具41A、41Bでは、ヒートシール前の吸収性物品29が収容された包装用袋体21の開口部24を内側から外側に向かって広げる際に、溶着領域23A、23Cに対応する部位を予熱できる。また、図11(b)に示す予熱治具42A、42Bでは、ヒートシール前の吸収性物品29が収容された包装用袋体21の開口部24を折り畳む際に、溶着領域23A、23CにM字状に折り畳まれる部位を外部側から予熱できる。本実施形態によれば、収容物が収容された包装体2の溶着の確度が向上できるため、製品として出荷される溶着後の包装体の封止不良を防ぐことができる。
【0061】
以上、本発明における包装体検査装置の実施形態について説明したが、本発明の内容は上記の実施形態に限られない。なお、上記の実施形態や変形例は、それぞれ適宜に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・包装体検査装置
2・・包装体
10・・処理装置
21・・包装用袋体
22・・底面部
23・・封止部
24・・開口部
25・・封止不良
29・・吸収性物品(収容物)
30・・コンプレッサ
31・・吐出部
33、34・・吸引部
41A、41B、42A、42B・・予熱治具
80・・搬送機構
101・・撮像部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11