(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178789
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】足場構築体におけるコーナー用朝顔装置
(51)【国際特許分類】
E04G 5/00 20060101AFI20231211BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
E04G5/00 301C
E04G21/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091688
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】伴 和夫
(72)【発明者】
【氏名】板倉 涼
(57)【要約】
【課題】足場構築体のX方向に列設された第1朝顔群とY方向に列設された第2朝顔の間におけるコーナー領域を塞ぐコーナー用朝顔装置であり、簡単に折畳と展開ができる装置を提供する。
【解決手段】
柱状フレーム(10)の下端近傍部に枢着された放射状の拡縮フレーム(12)の間を折畳自在なシート(13)により被い、前記柱状フレームに沿って上下動される可動金具(14)と前記拡縮フレーム(12)の中途部をリンクフレーム(15)で連結することにより、朝顔ユニット(7)を構成しており、可動金具(14)を折畳位置(P1)に上昇したとき、シート(13)を折畳んだ状態で拡縮フレーム(12)を上向きに集束させ、展開位置(P2)に下降させたとき、拡縮フレーム(12)の拡開により展開されたシート(13)によりコーナー領域(1C)を塞ぐように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーナー部において交差するX方向とY方向に延びる第1側縁と第2側縁を有する足場構築体に関して、第1側縁から斜め上向きに張出す第1朝顔(5)と、第2側縁から斜め上向きに張出す第2朝顔(6)が設置された構成において、第1朝顔と第2朝顔の間に位置するコーナー領域(1C)を塞いだ状態で斜め上向きに設置されるコーナー用朝顔装置であり、
前記コーナー部に固定されて上下方向に延びる柱状フレーム(10)と、該柱状フレームの下端近傍部に枢着されて放射方向に延びる拡縮フレーム(12)と、隣り合う拡縮フレームの間を被う折畳自在なシート(13)と、前記柱状フレームに沿って上位の折畳位置(P1)と下位の展開位置(P2)の間で上下動される可動金具(14)と、前記拡縮フレームの長手方向中途部と可動金具を枢結状態で連結するリンクフレーム(15)により朝顔ユニット(7)が構成されており、
前記朝顔ユニット(7)は、可動金具(14)を折畳位置(P1)に上昇したとき、リンクフレームを介して、拡縮フレームを上向き回動させることにより、シート(13)を折畳んだ状態で拡縮フレーム(12)を集束させ、
可動金具(14)を展開位置(P2)に下降させたとき、リンクフレームを介して、拡縮フレーム(12)を前記集束状態から拡開させることにより、前記折畳状態から展開されたシート(13)により前記コーナー領域(1C)を塞ぐように構成されて成ることを特徴とする足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項2】
少なくとも3本以上の拡縮フレームが設けられており、拡開したとき、両側に位置する2本の拡縮フレーム(12,12)がそれぞれ第1朝顔(5)及び第2朝顔(6)の上にオーバラップ状態で重ねられるように構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項3】
前記シート(13)は、隣り合う拡縮フレーム(12,12)の間に個別に張設されたほぼ三角形のシート片(13a)により構成され、
前記拡縮フレーム(12)は、側面に固定される固定部材(24)を設けており、
前記シート片(13a)の両側縁部を拡縮フレームの側面に沿わせた状態で前記固定部材(24)により固着して成ることを特徴とする請求項1に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項4】
前記可動金具(14)を展開位置(P2)に下降した状態で、該可動金具の下降を阻止する受止め手段(22)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項5】
前記可動金具(14)を折畳位置(P1)に上昇した状態で、係脱自在に係止することにより該可動金具の下降を阻止するロック手段(20)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項6】
柱状フレーム(10)と可動金具(14)は、それぞれ断面が非円形に形成されており、可動金具を柱状フレームに対して、周方向に回動不能かつ長手方向に摺動自在に外挿して成ることを特徴とする請求項1に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項7】
足場構築体を構築する支柱のうち、前記コーナー部に配設されたコーナー支柱(2C)に沿って、前記朝顔ユニット(7)の柱状フレーム(10)を装着するように構成され、前記柱状フレームの下端部を装着する下部装着手段(8)と、上端部を装着する上部装着手段(9)が設けられており、
前記下部装着手段(8)は、コーナー支柱(2C)に着脱自在に固着される支持金具(16)を備え、該支持金具のソケット部(8b)に対して、前記柱状フレームの下端のプラグ部(8a)を上方から挿着するように構成されており、
前記上部装着手段(9)は、前記プラグ部をソケット部に挿着した状態で、柱状フレームの上端部をコーナー支柱(2C)に固着するように構成されて成ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項8】
前記支持金具(16)は、拡縮フレーム(12)の枢着部(12a)を含む基端部に下方から臨まされる受け板(30)を備えており、
前記受け板(30)は、拡縮フレームが放射状に拡開されたとき、隣り合う拡縮フレームの基端部の間の空間(S)を下方から被うように構成されて成ることを特徴とする請求項7に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【請求項9】
前記支持金具(16)は、前記ソケット部(8b)を挟んで両側に、それぞれ第1朝顔(5)と第2朝顔(6)の枢支片を回動自在に枢支する枢結装置(31X,31Y)を設けて成ることを特徴とする請求項7に記載の足場構築体におけるコーナー用朝顔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場構築体のコーナー領域に設置されるコーナー用朝顔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場や建設現場等に構築される仮設足場において、足場構築体の高所から誤って落下する落下物を受取り、地上に落下する危険を防止するための朝顔装置が公知である。
【0003】
例えば、
図1に示すように、足場構築体1は、縦横に立設された支柱2を相互に連結材3を介して連結すると共に、足場板4を架設することにより構築されている。この際、高所での作業中に、作業空間から外側空間に向けて、作業者が使用する工具や作業用機材その他の物品が誤って落下するおそれがあるため、朝顔装置が設けられている。
【0004】
一般的に足場構築体1は、コーナー部において交差するX方向とY方向に関して、X方向に延びる第1側縁から斜め上向きに張出す第1朝顔5と、Y方向に延びる第2側縁から斜め上向きに張出す第2朝顔6を設置している。第1朝顔5及び第2朝顔6は、それぞれ矩形パネルにより形成され、第1側縁及び第2側縁に沿って列設されている。
【0005】
ところが、X方向とY方向から隣り合う第1朝顔5と第2朝顔6の間には、ほぼ三角形ないし扇形のコーナー領域1Cが形成されるので、第1朝顔5や第2朝顔6のような矩形パネルの朝顔を好適に設置することができない。
【0006】
そこで、従来の場合、コーナー領域1Cには、二等辺三角形の扇形パネルにより形成された朝顔が設置される(特許文献1)。或いは、矩形パネルにより形成された朝顔と扇形パネルにより形成された朝顔が組合せられた状態で設置される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4658021号公報
【特許文献2】特許第6286266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えば、悪天候等、作業中断が必要な場合、朝顔は、強風に煽られる危険があるので、強風を受け難い姿勢となるように姿勢変更することが望ましい。即ち、斜め上向きに張出した傾斜姿勢から、ほぼ直立した起立姿勢に向けて姿勢変更させ、パネルを足場構築体の作業空間に沿わせることが好ましい。
【0009】
しかしながら、パネルにより形成された朝顔は、起立姿勢とした状態においても、平板状であるため強風により煽られるのが宿命である。
【0010】
そして、パネルにより形成された朝顔の場合、天候等の変化に応じて傾斜姿勢と起立姿勢の間で姿勢変更させる作業は、煩雑であるため長時間を必要とし、作業者に重労働を強いるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決した足場における落下物受取装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明が手段として構成したところは、コーナー部において交差するX方向とY方向に延びる第1側縁と第2側縁を有する足場構築体に関して、第1側縁から斜め上向きに張出す第1朝顔と、第2側縁から斜め上向きに張出す第2朝顔が設置された構成において、第1朝顔と第2朝顔の間に位置するコーナー領域を塞いだ状態で斜め上向きに設置されるコーナー用朝顔装置であり、前記コーナー部に固定されて上下方向に延びる柱状フレームと、該柱状フレームの下端近傍部に枢着されて放射方向に延びる拡縮フレームと、隣り合う拡縮フレームの間を被う折畳自在なシートと、前記柱状フレームに沿って上位の折畳位置と下位の展開位置の間で上下動される可動金具と、前記拡縮フレームの長手方向中途部と可動金具を枢結状態で連結するリンクフレームにより朝顔ユニットが構成されており、前記朝顔ユニットは、可動金具を折畳位置に上昇したとき、リンクフレームを介して、拡縮フレームを上向き回動させることにより、シートを折畳んだ状態で拡縮フレームを集束させ、可動金具を展開位置に下降させたとき、リンクフレームを介して、拡縮フレームを前記集束状態から拡開させることにより、前記折畳状態から展開されたシートにより前記コーナー領域を塞ぐように構成されて成る点にある。
【0013】
好ましくは、少なくとも3本以上の拡縮フレームが設けられており、拡開したとき、両側に位置する2本の拡縮フレームがそれぞれ第1朝顔及び第2朝顔の上にオーバラップ状態で重ねられるように構成されている。
【0014】
好ましい実施形態において、前記シートは、隣り合う拡縮フレームの間に個別に張設されたほぼ三角形のシート片により構成され、前記拡縮フレームは、側面に固定される固定部材を設けており、前記シート片の両側縁部を拡縮フレームの側面に沿わせた状態で前記固定部材により固着している。
【0015】
前記可動金具を展開位置に下降した状態で、該可動金具の下降を阻止する受止め手段を設けることが好ましく、前記可動金具を折畳位置に上昇した状態で、係脱自在に係止することにより該可動金具の下降を阻止するロック手段を設けることが好ましい。
【0016】
好ましくは、柱状フレームと可動金具は、それぞれ断面が非円形に形成され、可動金具を柱状フレームに対して、周方向に回動不能かつ長手方向に摺動自在に外挿している。
【0017】
実施形態において、足場構築体を構築する支柱のうち、前記コーナー部に配設されたコーナー支柱に沿って、前記朝顔ユニットの柱状フレームを装着するように構成され、前記柱状フレームの下端部を装着する下部装着手段と、上端部を装着する上部装着手段が設けられており、前記下部装着手段は、コーナー支柱に着脱自在に固着される支持金具を備え、該支持金具のソケット部に対して、前記柱状フレームの下端のプラグ部を上方から挿着するように構成されており、前記上部装着手段は、前記プラグ部をソケット部に挿着した状態で、柱状フレームの上端部をコーナー支柱に固着するように構成されている。
【0018】
この際、前記支持金具は、拡縮フレームの枢着部を含む基端部に下方から臨まされる受け板を備え、前記受け板は、拡縮フレームが放射状に拡開されたとき、隣り合う拡縮フレームの基端部の間の空間を下方から被うように構成されていることが好ましい。
【0019】
前記支持金具は、前記ソケット部を挟んで両側に、それぞれ第1朝顔と第2朝顔の枢支片を回動自在に枢支する枢結装置を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、足場構築体1のコーナー部に対して簡単に取付け取外し可能とされた朝顔ユニット7により、コーナー用朝顔装置を提供することができる。そして、朝顔ユニット7は、可動金具14を展開位置P2に下降させるだけで拡開される拡縮フレーム12によりシート13を展開させ、これによりコーナ領域Cを塞ぎ、落下物を好適に受取ることができ、強風等によりシート13が煽られるおそれがある場合や、不使用時等においては、可動金具14を折畳位置P1に上昇させるだけで、拡縮フレーム12を集束させることによりシート13を折畳むことができ、このような作業を足場構築体1の作業床から簡単かつ迅速に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本発明に係るコーナー用朝顔装置の1実施形態に関して、朝顔ユニットを示し、拡縮フレームを拡開した状態を示す斜視図である。
【
図3】朝顔ユニットを足場構築体のコーナー支柱に取付固定する方法を示す側面図である。
【
図4】足場構築体のコーナー支柱に対して、コーナー用朝顔装置を設置するための支持金具を固着した状態の平面図である。
【
図5】足場構築体のコーナー支柱にコーナー用朝顔装置を設置した状態の平面図である。
【
図6】朝顔ユニットの1実施形態に関して、(A)は柱状フレームに設けられた上部装着手段と可動金具と枢支金具並びに受止め手段及びロック手段を示す斜視図、(B)は柱状フレームの下端のプラグ部を示す斜視図である。
【
図7】朝顔ユニットの1実施形態に関して、可動金具を展開位置に下降させることにより拡縮フレームを拡開した状態を示す斜視図である。
【
図8】拡縮フレームとシートの関係を示しており、(A)は拡縮フレームの拡開によりシート片が展開された状態を示す斜視図、(B)はシート片の側縁部を拡縮フレームの側面に固着するための構造を示す断面図である。
【
図9】朝顔ユニットをコーナー支柱に取付けるため、コーナー支柱に固着した支持金具のソケット部に柱状フレームの下端のプラグ部を挿入する方法を示す斜視図である。
【
図11】コーナー支柱に取付けられた朝顔ユニットを示しており、可動金具を折畳位置に上昇することにより拡縮フレームを集束させた状態を示す側面図である。
【
図12】コーナー支柱に取付けられた朝顔ユニットを示しており、可動金具を展開位置に下降することにより拡縮フレームを拡開させた状態を示す側面図である。
【
図13】支持金具を示しており、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は正面図、(D)は背面図である。
【
図14】支持金具を示しており、(A)は斜視図、(B)はB矢視方向から見た斜視図、(C)はC矢視方向から見た斜視図である。
【
図15】支持金具をコーナー支柱に取付ける方法を示しており、(A)は取付前の状態を示す斜視図、(B)は取付後の状態を示す斜視図、(C)は取付後の状態を示す側面図である。
【
図16】支持金具の朝顔枢支手段に対して第1朝顔の枢支片部を枢着する構成に関して、(A)は朝顔枢支手段を分解した状態を示す斜視図、(B)は朝顔枢支手段に第1朝顔の枢支片部を臨ませた状態を示す斜視図である。
【
図17】支持金具の朝顔枢支手段に対して第1朝顔の枢支片部を枢着する構成に関して、(A)は朝顔枢支手段に第1朝顔の枢支片部を仮置きした状態を示す斜視図、(B)は第1朝顔の枢支片部を所定位置に案内移動させている状態を示す斜視図、(C)は朝顔枢支手段により第1朝顔の枢支片部を枢着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0023】
本発明のコーナー用朝顔装置は、上述の
図1に示す足場構築体1を構成する支柱2のうち、コーナー部に配設されたコーナー支柱2Cに着脱自在に取付けることにより、コーナー領域1Cを塞いだ状態で斜め上向きに張出すように設置される。
【0024】
図示実施形態の場合、足場構築体1は、単管足場により構成されているが、枠組足場により構成しても良い。また、支柱2は、楔孔を備えたフランジ2aが長手方向に間隔をあけて固設されており、連結材3をフランジ2aの楔孔に楔を打ち込むことにより緊結する楔緊結方式が採用されているが、これに限定されるものではない。
【0025】
(全体構成)
コーナー用朝顔装置は、朝顔ユニット7と、該朝顔ユニット7をコーナー支柱2Cに取付けるための下部装着手段8と上部装着手段9により構成されている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、朝顔ユニット7は、前記コーナー支柱2Cに沿って固定されることにより上下方向に延びる柱状フレーム10と、該柱状フレーム10の下端近傍部に枢支金具11を介して枢着されることにより放射方向に延びる拡縮フレーム12と、隣り合う拡縮フレームの間を被う折畳自在なシート13と、前記柱状フレーム10に沿って上位の折畳位置P1と下位の展開位置P2の間で上下動される可動金具14と、前記拡縮フレーム12の長手方向中途部と可動金具14を枢結状態で連結するリンクフレーム15により構成されている。
【0027】
これにより、朝顔ユニット7は、可動金具14を折畳位置P1に上昇させたとき、リンクフレーム14を介して拡縮フレーム12を上向き回動させ、シート13を折畳んだ状態で拡縮フレーム12を集束させる。反対に、可動金具14を展開位置P2に下降させたとき、リンクフレーム14を介して拡縮フレーム12を前記集束状態から拡開させ、これにより、前記折畳状態から展開されたシート13により足場構築体1のコーナー領域1Cを塞ぐように構成されている。
【0028】
前記下部装着手段8は、朝顔ユニット7の柱状フレーム10の下端に設けられたプラグ部8aと、ソケット部8bを備えた支持金具16により構成され、支持金具16は、朝顔ユニット7と別体の金具により形成されている。これにより、下部装着手段8は、
図3に示すように、支持金具16をコーナー支柱2Cに固着した状態で、前記プラグ部8aをソケット部8bに挿着することにより、柱状フレーム10の下端部をコーナー支柱2Cに装着するように構成されている。この際、下部装着手段8は、プラグ部8aとソケット部8bを反対側に配置することにより構成しても良い。つまり、柱状フレーム10の下端にソケット部8bを設け、支持金具16にプラグ部8aを設けても良い。
【0029】
前記上部装着手段9は、例えば、図示のような締結金具9aにより構成され、柱状フレーム10の上端に設けられている。締結金具9aは、コーナー支柱2Cを把持した状態でボルトを締結することにより緊結する。これにより、柱状フレーム10の上端部をコーナー支柱2Cに装着するように構成されている。
【0030】
コーナー用朝顔装置は、
図4に示すように、コーナー支柱2CからX方向とY方向にそれぞれ第1朝顔5と第2朝顔6が設置された状態において、コーナー支柱2Cに前記支持金具16を装着した後、上述のように、下部装着手段8のプラグ部8aとソケット部8bを挿着することにより柱状フレーム10の下端部を固定すると共に、上部装着手段9の締結金具9aを緊結することにより柱状フレーム10の上端部を固定し、朝顔ユニット7をコーナー支柱2Cに取付固定することにより、コーナー領域Cに設置される。
【0031】
朝顔ユニット7は、少なくとも3本以上の拡縮フレーム12を備えており、
図5に示すように、拡開したとき、両側に位置する2本の拡縮フレーム12がそれぞれ第1朝顔5及び第2朝顔6の上にオーバラップ状態で重ねられるように構成されている。このため、コーナー領域Cを規定するコーナー支柱2Cを中心とする第1朝顔5と第2朝顔6の間隔角度θ1に対して、両側に位置して拡開された2本の拡縮フレーム12、12の間隔角度θ2は、θ1<θ2となるように構成されている。図示実施形態の場合、θ1は90度、θ2は120度とされている。これにより、コーナー領域Cは、展開されたシート13により好適に塞がれるので、所期目的のコーナー用朝顔装置が提供される。
【0032】
ところで、朝顔ユニット7は、強風に煽られる危険がある等、姿勢変更の必要がある場合は、コーナー支柱2Cに設置したままの状態で、
図3に鎖線で示すように、可動金具14を折畳位置P1に引き上げれば、シート13を折畳んだ状態で拡縮フレーム12を上向きに集束させることができる。
【0033】
(朝顔ユニットの具体的構成)
図6及び
図7に示すように、前記柱状フレーム10と可動金具14は、それぞれ断面が非円形に形成されており、可動金具14を柱状フレーム10に対して、周方向に回動不能かつ長手方向に摺動自在に外挿している。図示実施形態の場合、断面を矩形に形成しているが、多角形であれば良く、更には楕円形でも良い。これにより、可動金具14を折畳位置P1又は展開位置P2に位置させたときや、上下動させているときに、可動金具14が周方向に回動することはなく、リンクフレーム15が捩られるようなことはない。
【0034】
前記枢支金具11は、柱状フレーム10の下端部を挿入させた状態でボルト及びナットにより固着される筒状部11aと、筒状部11aからコーナー領域Cに向けて放射状に突設された舌片状の枢支片11bを備えている。これに対して、拡縮フレーム12は、基端部に二股状の枢結片12aを設けており、前記枢支片11bを挟持した状態で枢軸12bにより枢結されている。
【0035】
図6(B)に示すように、枢支金具11の下側に挿出された柱状フレーム10の下端には前記プラグ部8aが挿入され、ボルト及びナットにより固着されている。プラグ部8aは、金属板を断面コ字形に折曲することにより形成され、柱状フレーム10から下方に突出すると共に、先端に向けて次第に細くなるように傾斜するガイド部17を形成しており、ソケット部8bからの抜け止めのための係止孔18を設けている。
【0036】
前記可動金具14は、柱状フレーム10に摺動自在に外挿される筒状部14aと、筒状部14aからコーナー領域Cに向けて放射状に突設された舌片状の枢支片14bを備えている。これに対して、リンクフレーム15は、基端部に二股状の枢結片15aを設けており、前記枢支片14bを挟持した状態で枢軸15bにより枢結されている。
【0037】
図8(A)に示すように、リンクフレーム15の先端は、拡縮フレーム12の長手方向中途部に設けられた二股状の枢結片14cに枢軸を介して枢結されている。
【0038】
可動金具14は、上下動のための把持手段としてハンドル19を設けていることが好ましく、可動金具14を折畳位置P1に上昇したとき、係脱自在に係止することにより、可動金具14の下降を防止するロック手段20が設けられている。
【0039】
図6に示すように、柱状フレーム10の上端部に端部金具21が固着されており、該端部金具21は、上部装着手段9(締結金具9a)を搭載するための手段と、上昇させられた可動金具14を受止めるための手段を構成している。そこで、ロック手段20は、可動金具14が折畳位置P1に上昇させられることにより端部金具21に当接したとき、相互に連通させられる可動金具14のロック孔20a及び柱状フレーム10の第1ロック孔20bと、両孔20a、20bに挿脱自在に挿通係止させられるロックピン20cにより構成されている。
【0040】
図6及び
図7に示すように、可動金具14を展開位置P2に下降させたとき、下方から受止めることにより、可動金具14の下降を阻止する受止め手段22が設けられている。図示実施形態の場合、展開位置P2に相当する位置において柱状フレーム10を抱持するほぼコ字形の金具を固着することにより受止め手段22を構成している。この際、受止め手段22に受止められた可動金具14のロック孔20aに連通する第2ロック孔20dを柱状フレーム10に設けていることが好ましい。これにより、両孔20a、20dにロックピン20cを挿通係止することにより、可動金具14が上下動不能な状態にロックされるので、シート13が強風等に煽られたとき、拡縮フレーム12が可動金具14と共に上下方向に揺動することを防止する。
【0041】
シート13は、強靭かつ折畳自在な織物等により形成されており、放射状に配設された複数本(図例では3本)の拡縮フレーム12の全体を被う1枚のシートにより構成しても良いが、図示実施形態の場合、隣り合う拡縮フレーム12の間に個別に張設されたほぼ三角形のシート片13aにより構成している。
【0042】
この点に関して、
図8(B)に示すように、拡縮フレーム12は、アルミニウム等の金属の押出成形による型材により形成することが好ましく、両側面に溝部23を形成し、該溝部23をカバー24で閉鎖すると共に、該カバー24をリベット等のファスナ25により拡縮フレーム12の側面に固着するように構成している。これに対して、シート13(シート片13a)の両側縁にはリブ状の膨隆縁部26が形成されている。図示実施形態の場合、シートの縁部を折り返すことによりロープ等の索条から成る芯材26aを挟むと共に、折返し縁部26bを縫合等により固着し、これにより芯材26aを内包した膨隆縁部26が形成されている。
【0043】
前記溝部23は、断面に関して、前記膨隆縁部26を受入れた状態で抱持する主溝23aと、主溝23aから延長された副溝23bと、主溝23aの開口縁に形成されたリブ部23cを備えている。これに対して、前記カバー24は、前記副溝23bに挿入される固定保持部24aと、主溝23aの開口縁に対向するリブ状の押え部24bと、前記ファスナ25により拡縮フレーム12の側面に固着される帯状部24cを備えている。
【0044】
そこで、図示のように、シート13の膨隆縁部26を主溝23aに沿って挿入し、カバー24の固定保持部24aを副溝23bに挿入すると共に、帯状部24bを拡縮フレーム12の側面に当接させファスナ25により固着する。これにより、主溝23aと固定保持部24aの間にシート13の膨隆縁部26が保持されると共に、膨隆縁部26の外側に臨んでリブ部23cと押え部24bにより折返し縁部26cが保持される。このため、シート13は、拡縮フレーム12の側面に対して、膨隆縁部26が脱出不能な状態で固定保持される。従って、落下した落下物がシート13に勢い良く衝突する場合でも、シート13が拡縮フレーム12から離脱することはなく、落下物を通過させるおそれはない。
【0045】
上述のとおり、コーナー用朝顔装置は、前記下部装着手段8を構成するソケット部8bを備えた支持金具16をコーナー支柱2Cに取付け固定した後、柱状フレーム10の下端のプラグ部8aをソケット部8bに挿着し、柱状フレーム10の上端部の上部装着手段9を構成する締結金具9aをコーナー支柱2Cに緊結し、このようにして、朝顔ユニット7をコーナー支柱2Cに取付けることにより設置される。
【0046】
図9ないし
図12に示すように、支持金具16は、コーナー支柱2Cにおける所定のフランジ2aに載置される載置部27と、該コーナー支柱2Cの周面に添接されるV形の添接部28と、該コーナー支柱2Cの周面に締結される締結金具等から成る固着部29を備えており、これによりコーナー支柱2Cに取付固定される。この際、前記載置部27は、フランジ2aの楔孔に挿入されることにより位置決めする挿入片27aを有することが好ましい。
【0047】
支持金具16に設けられたソケット部8bには、該ソケット部の内部に向けて進退自在な係止ピン8cが設けられている。従って、朝顔ユニット7は、柱状フレーム10の下端のプラグ部8aをソケット部8bに挿入した状態で、係止ピン8cを係止孔18に挿入することにより、抜け止めされた状態で挿着される。尚、この状態で、ソケット部8bの上端縁に柱状フレーム10の下端縁10a(
図6(B)参照)が載置され、朝顔ユニット7を下方から支持する。
【0048】
朝顔ユニット7をコーナー支柱2Cに取付け又は取外すときは、
図9ないし
図11に示すように、可動金具14を折畳位置P1に上昇させ、これにより、リンクフレーム15を下向きに集束させると共に、拡縮フレーム12を上向きに集束させ、嵩張らないコンパクトな状態で作業を行うことができ、しかも、作業は、足場構築体1の作業床から容易に行うことができる。
【0049】
コーナー支柱2Cに取付けられた朝顔ユニット7は、
図12に示すように、可動金具14を展開位置P2に下降して拡縮フレーム12を拡開させると、シート13が展開することによりコーナー領域Cを塞ぐので、落下物を受け取ることができるコーナー用朝顔装置を提供する。
【0050】
この際、
図12に示すように、ソケット部8bの下側に位置して、拡縮フレーム12の枢結片12aを含む基端部に下方から臨まされる受け板30を支持金具16に設けていることが好ましい。拡縮フレーム12は、枢結片12aの近傍部から先端にわたりシート13を張設しているので、柱状フレーム10と枢結片12aの間の領域Sは、シート13により閉塞されていない。そこで、ボルトやナットのような小物品が前記領域Sに向けて落下したときは、前記受け板30により受止めることができるように構成している。
【0051】
ところで、例えば、悪天候等、作業中断が必要な場合、展開されたシート13が強風に煽られ、朝顔ユニット7が破損するおそれがある。この場合は、
図11に示すように、可動金具14を折畳位置P1に上昇させ、ロック手段20でロックすれば、リンクフレーム15が下向きに集束され、各シート片13aを半折状態に折畳んだ状態で拡縮フレーム12が上向きに集束されるので、強風等に煽られることはない。そして、このように可動金具14を折畳位置P1と展開位置P2の間で上下動させる作業も、足場構築体1の作業床から容易かつ迅速に行うことができる。
【0052】
(支持金具の好ましい実施例)
図13ないし
図17は、支持金具16の好ましい実施例を示しており、支持金具16は、朝顔ユニット7の下部装着手段8(ソケット部8b)を構成する他に、コーナー支柱2Cに臨む第1朝顔5及び第2朝顔6の側枠をそれぞれ枢結するための枢結装置31X、31Yを設けている。このため、上述のように、支持金具16は、
図4に示すように、コーナー支柱2Cに取付固定された状態で、枢結装置31X、31Yに対して第1朝顔5及び第2朝顔6の側枠が枢結され、その後に、朝顔ユニット7が取付けられる。
【0053】
(枢結装置)
枢結装置31X、31Yは、前記下部装着手段8を構成するソケット部8bの両側に固設されたブラケット板32、32に設けられている。ブラケット板32、32は、それぞれX方向とY方向に対面するように配置され、上端部を相互に連結する連結片32aに前記固着部29(締結金具)を設け、下端部を前記添接部28により連結されると共に、それぞれのブラケット板32の下端に前記載置部27及び挿入片27aを形成している。
【0054】
ところで、一対の枢結装置31X、31Yは、固着部29の中心軸に対して対称となるように構成されており、構造及び機能と、朝顔の側枠を枢結するための方法は同じであるから、以下、第1朝顔5の側枠を枢結するための枢結装置31X(以下では単に枢結装置31という。)について説明する。
【0055】
ブラケット板32は、座板33を溶接等で固着しており、該ブラケット板32と座板33を貫通する枢軸34と保持軸35を上下に間隔をあけて並設状態となるように固着している。この際、枢軸34及び保持軸35は、軸線をX方向に配置している。
【0056】
図16及び
図17に示すように、前記枢軸34には、第1朝顔5の側枠5aの基端部に設けられた枢支片5bの枢支孔5cが枢支される。前記保持軸35には、前記枢支片5cを保持するための保持板36が回動自在かつ摺動自在に設けられる。
【0057】
図16(A)に示すように、前記保持板36は、基端部に前記座板33に臨むスペーサー36aを設け、該スペーサー36aを含んで基端部を貫通する取付孔37を形成すると共に、先端部に挿通孔38を形成している。前記保持軸35は、前記枢軸34の下方に位置する基軸部に雄ネジを備えた雄ネジ部35aを形成し、該雄ネジ部35aから軸方向に延びるネジを有しない軸端部35bを形成している。尚、雄ネジ部35aにはナット39が螺着される。
【0058】
これにより、前記保持板36は、取付孔37を保持軸35に対して回動自在かつ摺動自在に外挿され、保持軸36を中心として回動することにより上向き姿勢としたとき、前記挿通孔38が枢軸34に臨まされるように構成されている。
【0059】
図16(B)に示すように、第1朝顔5の枢支片5bを枢結する作業に先立ち、保持板36は、保持軸35から下向き回動された状態で吊持され、ナット39は、軸端部35bに嵌合させられている。従って、枢軸34は、周りに干渉物がなく開放されており、側枠5aの枢支片5bを容易に近接させることができる。
【0060】
図17(A)(B)に示すように、側枠5aの枢支片5bの枢支孔5cを枢軸34に外挿させた状態で、保持板36は、保持軸35から上向き姿勢となるように回動した後、摺動すると、挿通孔38が枢軸34に外挿されるので、ナット39を雄ネジ部35aに締結することにより、
図17(C)に示すように、座板33と保持板36の間に枢支片5bが保持された状態で、側枠5aが枢結される。この際、スペーサー36aが座板33に当接することにより、枢支片5bの自由な回動を許す空間が形成されている。
【0061】
(枢結作業の支援装置)
【0062】
枢結装置31は、枢支孔5cを枢軸34に位置合わせする作業等の枢結作業を容易とするための支援装置を設けている。
【0063】
支援装置は、前記枢軸34に臨んでブラケット板32に設けられた仮置き台40と、側枠5aの枢支片5bに臨んで設けられたアシスト手段41により構成されている。
【0064】
前記仮置き台40は、ほぼL形に折曲された金属板により形成され、枢軸34の軸線と平行に延びる平行縁台40aと、枢軸34の先端から軸方向に離間した位置で該枢軸の軸線に交差する交差縁台40bを設けている。
【0065】
これに対して、側枠5aの基端部のアシスト手段41は、該基端部の端面を形成する仮置き部41aと、枢支孔5cの側方に位置するガイド部41bにより構成されている。図例の場合、前記仮置き部41aは、枢支片5bから折曲された金属板の下面により形成されており、前記ガイド部41bは、仮置き部41aを挟んで固着された金属板の縁部を仮置き部41aから枢支片5bに向けて下向き傾斜させることにより形成されている。
【0066】
このような支援装置を設けておけば、
図17(A)に示すように、側枠5aの枢支片5bを枢軸34に臨ませる際、前記仮置き部41aを仮置き台40に載せることにより、仮置きすることができる。
【0067】
この状態から、
図17(B)に示すように、側枠5aを若干持ち上げる等により、ガイド部41b(図示の右側の鎖線で示すガイド部41b)を平行縁台40aの内側に位置させて交差縁台40bに載せると、枢支孔5cが枢軸34の臨ませられる。
【0068】
そこで、側枠5aを自重により下降させれば、ガイド部41bの傾斜に沿って枢支片5bが座板33に向けて移動し、枢支孔5cが枢軸34に外挿される。
【0069】
従って、以後は上述のように、保持板36を上向に回動すると共に、ナット39で保持させれば良い。
【符号の説明】
【0070】
1 足場構築体
1C コーナー領域
2 支柱
2a フランジ
2C コーナー支柱
3 連結材
4 足場板
5 第1朝顔
5a 側枠
5b 枢支片
5c 枢支孔
6 第2朝顔
7 朝顔ユニット
8 下部装着手段
8a プラグ部
8b ソケット部
8c 係止ピン
9 上部装着手段
9a 締結金具
10 柱状フレーム
11 枢支金具
11a 筒状部
11b 枢支片
12 拡縮フレーム
12a 枢結片
12b 枢軸
13 シート
13a シート片
14 可動金具
14a 筒状部
14b 枢支片
14c 枢結片
15 リンクフレーム
15a 枢結片
15b 枢軸
16 支持金具
17 ガイド部
18 係止孔
19 ハンドル
20 ロック手段
20a ロック孔
20b 第1ロック孔
20c ロックピン
20d 第2ロック孔
21 端部金具
22 受止め手段
23 溝部
23a 主溝
23b 副溝
23c リブ部
24 カバー
24a 固定保持部
24b 押え部
24c 帯状部
25 ファスナ
26 膨隆縁部
26a 芯材
26c 折返し縁部
27 載置部
27a 挿入片
28 添接部
29 固着部
30 受け板
31X、31Y 枢結装置
32 ブラケット板
32a 連結片
33 座板
34 枢軸
35 保持軸
35a 雄ネジ部
35b 軸端部
36 保持版
36a スペーサー
37 取付孔
38 挿通孔
39 ナット
40 仮置き台
40a 平行縁台
40b 交差縁台
41 アシスト手段
41a 仮置き部
41b ガイド部