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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178797
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電気コネクター
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
H01R11/01 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091706
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】堀田 真司
(57)【要約】
【課題】電気コネクターが繰り返し圧縮されたときにも、導電部の導通性が維持されやすく、耐久性が向上した電気コネクターを提供する。
【解決手段】第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターであって、基材シート(1)と、複数の導電部(5)と、を備え、前記基材シートの第一面(1a)から第二面(1b)へ貫通する複数の貫通孔(2)が形成されており、前記導電部が前記貫通孔に沿って前記第一面から前記第二面へ導通する導通路を構成し、前記導電部は、エラストマーと、導電性粒子(P)と、前記導電性粒子よりも細長い導電性フィラー(F)と、を含む、電気コネクター。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターであって、
基材シートと、複数の導電部と、を備え、
前記基材シートの第一面から第二面へ貫通する複数の貫通孔が形成されており、
前記導電部が前記貫通孔に沿って前記第一面から前記第二面へ導通する導通路を構成し、
前記導電部は、エラストマーと、導電性粒子と、前記導電性粒子よりも細長い導電性フィラーと、を含む、電気コネクター。
【請求項2】
前記複数の貫通孔の中心線が前記第一面及び前記第二面に対して傾いている、請求項1に記載の電気コネクター。
【請求項3】
前記エラストマー、前記導電性粒子及び前記導電性フィラーの総質量に対する、前記導電性粒子の含有量が、50~94質量%である、請求項1又は2に記載の電気コネクター。
【請求項4】
前記エラストマー、前記導電性粒子及び前記導電性フィラーの総質量に対する、前記導電性フィラーの含有量が、0.01~5質量%である、請求項3に記載の電気コネクター。
【請求項5】
前記複数の導電部から任意に選択された一つの導電部に含まれる前記導電性フィラーの無作為に選択された10本について、
各導電性フィラーの長手方向の長さL1(単位:μm)と、前記長さL1を二等分しつつ直交する線分で表される各導電性フィラーの太さR1(単位:μm)の比(L1/R1)を求め、得られた10個の比の平均値Xが、10~100である、請求項1に記載の電気コネクター。
【請求項6】
前記任意に選択された一つの導電部を内部に備える前記貫通孔について、前記貫通孔の中心線に沿う長さL2を二等分しつつ直交する線分で表される前記貫通孔の太さR2(単位:μm)と、前記10本の導電性フィラーの長さL1(単位:μm)の平均値Yとの比(R2/Y)が、5~500である、請求項5に記載の電気コネクター。
【請求項7】
前記導電性粒子の平均粒子径が、0.01μm~10μmである、請求項5又は6に記載の電気コネクター。
【請求項8】
前記導電部の第一端部が前記第一面から突出しているか、又は、前記導電部の第二端部が前記第二面から突出している、請求項1に記載の電気コネクター。
【請求項9】
前記導電部の前記第一面側の第一端部に、前記第一面から突出する別の導電体が設置されているか、又は、前記導電部の前記第二面側の第二端部に、前記第二面から突出する別の導電体が設置されている、請求項1に記載の電気コネクター。
【請求項10】
前記基材シートがシリコーンゴムによって形成されている、請求項1に記載の電気コネクター。
【請求項11】
前記エラストマーがシリコーンゴムである、請求項1に記載の電気コネクター。
【請求項12】
前記導電性粒子が銀によって形成されている、請求項1に記載の電気コネクター。
【請求項13】
前記導電性フィラーが、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属ナノワイヤー、又は金属メッキ体である、請求項12に記載の電気コネクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス同士を接続するための電気コネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子デバイス同士を接続するために、微細な電極同士を圧接により接続するコネクター(以下、電気コネクターという。)が用いられている。電気コネクターはシート状であり、複数の導電部とその間を相互に絶縁する絶縁部とを有し、第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続する。このような電気コネクターの製造方法として、特許文献1に次の方法が開示されている。まず、基板の表面に導電性粒子を含む感光性樹脂組成物を塗布し、この塗膜をプリベークするとともに磁場を作用させることにより、導電性粒子を塗膜の厚さ方向に配向させる。続いて、接続する電子デバイスの端子の配置に合わせてフォトリソグラフィーを行い、電気コネクターの導電部を形成した後、樹脂からなる絶縁部を導電部の周囲に形成する。
【0003】
特許文献1の方法ではフォトリソグラフィーを実施する高価な設備が必要であり、電気コネクターの製造コストが嵩む問題があった。
本発明者は、フォトリソグラフィーが必須ではなくなる方法として、図16に示すように、接続する予定の電子デバイスの端子の配置に合わせて複数の磁石Jを保持する1組の金型Oを用いる次の方法を検討した。すなわち、対向するように配置した1組の金型Oの間に、導電性粒子Pを含む樹脂組成物層Gを形成し、対向する磁石Jの間だけに導電性粒子Pを配置させることを試みた。しかし、磁力のみで全ての導電性粒子Pの配置を制御することは困難であった。このため、樹脂組成物層G内において、第一の配線を構成する導電性粒子Pの一部と、これに隣接する第二の配線を構成する導電性粒子Pの一部とが接触して、第一の配線と第二の配線が短絡する懸念があった。図中、破線の丸で囲んだ箇所が短絡の懸念される箇所の一例である。
【0004】
そこで、本発明者は、図13に示すように、基材シート1を準備し、貫通配線を形成したい箇所に予め穴部2を形成し、導電性粒子Pを含む樹脂材料を基材シート1の表面に塗布し、その樹脂材料の一部を穴部2に注入し、穴部2の中にある導電性粒子Pを磁力によって厚さ方向に配向させる方法により、貫通配線同士が短絡する問題を解決した(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-154550号公報
【特許文献2】特開2020-27724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示した方法により製造された電気コネクターにあっては貫通配線同士の短絡が防止されているものの、使用時に電気コネクターの厚さ方向に対する圧縮が繰り返されると、貫通配線の途中でクラックが発生し、導通が途切れることがあった(図5)。
【0007】
本発明は、電気コネクターが繰り返し圧縮されたときにも、導電部の導通性が維持されやすく、耐久性が向上した電気コネクターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が鋭意検討したところ、図6等に示すように、貫通配線を構成する導電性粒子Pに加えて、導電性粒子Pよりも細長い高アスペクトの導電性フィラーFを含有させることにより、上記の繰り返し圧縮に対する耐久性が向上することを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下の態様を有する。
【0009】
[1] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターであって、基材シートと、複数の導電部と、を備え、前記基材シートの第一面から第二面へ貫通する複数の貫通孔が形成されており、前記導電部が前記貫通孔に沿って前記第一面から前記第二面へ導通する導通路を構成し、前記導電部は、エラストマーと、導電性粒子と、前記導電性粒子よりも細長い導電性フィラーと、を含む、電気コネクター。
[2] 前記複数の貫通孔の中心線が前記第一面及び前記第二面に対して傾いている、[1]に記載の電気コネクター。
[3] 前記エラストマー、前記導電性粒子及び前記導電性フィラーの総質量に対する、前記導電性粒子の含有量が、50~94質量%である、[1]又は[2]に記載の電気コネクター。
[4] 前記エラストマー、前記導電性粒子及び前記導電性フィラーの総質量に対する、前記導電性フィラーの含有量が、0.01~5質量%である、[3]に記載の電気コネクター。
[5] 前記複数の導電部から任意に選択された一つの導電部に含まれる前記導電性フィラーの無作為に選択された10本について、各導電性フィラーの長手方向の長さL1(単位:μm)と、前記長さL1を二等分しつつ直交する線分で表される各導電性フィラーの太さR1(単位:μm)との比(L1/R1)を求め、得られた10個の比の平均値Xが、10~100である、[1]~[4]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[6] 前記任意に選択された一つの導電部を内部に備える前記貫通孔について、前記貫通孔の中心線に沿う長さL2を二等分しつつ直交する線分で表される前記貫通孔の太さR2(単位:μm)と、前記10本の導電性フィラーの長さL1(単位:μm)の平均値Yとの比(R2/Y)が、5~500である、[5]に記載の電気コネクター。
[7] 前記導電性粒子の平均粒子径が、0.01μm~10μmである、[5]又は[6]に記載の電気コネクター。
[8] 前記導電部の第一端部が前記第一面から突出しているか、又は、前記導電部の第二端部が前記第二面から突出している、[1]~[7]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[9] 前記導電部の前記第一面側の第一端部に、前記第一面から突出する別の導電体が設置されているか、又は、前記導電部の前記第二面側の第二端部に、前記第二面から突出する別の導電体が設置されている、[1]~[7]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[10] 前記基材シートがシリコーンゴムによって形成されている、[1]~[9]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[11] 前記エラストマーがシリコーンゴムである、[1]~[10]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[12] 前記導電性粒子が銀によって形成されている、[1]~[11]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[13] 前記導電性フィラーが、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属ナノワイヤー、又は金属メッキ体である、[1]~[12]の何れか一項に記載の電気コネクター。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気コネクターにあっては、繰り返し圧縮に対する耐久性が向上している。このメカニズムとして、導電部における導電性粒子同士の接触が途切れた箇所(クラック)が発生した場合にも、細長い導電性フィラーがその途切れた箇所を橋渡し、導通性を維持していると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一例である電気コネクター10の平面図である。
図2図1のA‐A線で切断した断面図である。
図3A】本発明の別の一例である電気コネクター20の断面図である。
図3B】電気コネクター20の第一面1aが押圧されたときの様子を示す断面図である。
図4】電気コネクター10の厚さ方向の断面を拡大した断面図である。
図5】比較例の電気コネクターの貫通配線をなす導電部5において、繰り返し圧縮の後でクラックCが発生した様子を示す断面図である。
図6】実施例の電気コネクターの貫通配線をなす導電部5において、繰り返し圧縮の後であっても導電性フィラーFを含有していることにより導通が維持されている様子を示す断面図である。
図7】別の実施例の電気コネクターの貫通配線をなす導電部5において、繰り返し圧縮の後であっても導電性フィラーFを含有していることにより導通が維持されている様子を示す断面図である。
図8】電気コネクター10を製造する一例を示す平面図である。
図9図8のB-B線で切断した断面図である。
図10】電気コネクター10を製造する一例を示す断面図である。
図11】電気コネクター10の製造過程で作製した基材シート1の平面図である。
図12】電気コネクター10を製造する一例を示す平面図である。
図13図12のC-C線で切断した断面図である。
図14】電気コネクター10を製造する一例を示す平面図である。
図15図14のD-D線で切断した断面図である。
図16】樹脂組成物Gに分散している導電性粒子Pを対向する磁石Jの間に配置することを試みた様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪電気コネクター≫
本発明の第一態様の電気コネクターは、第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターであり、基材シートと、複数の導電部とを備える。前記基材シートの第一面から第二面へ貫通する複数の貫通孔が形成されており、前記導電部が前記貫通孔に沿って前記第一面から前記第二面へ導通する導通路を構成している。前記導電部は、エラストマーと、導電性粒子と、前記導電性粒子よりも細長い導電性フィラーと、を含む。
【0013】
本発明の第一実施形態の電気コネクター10は、図1及び図2に示すように、基材シート1を備える。基材シート1は、第一面1aとこれに対向する第二面1bを有し、第一面1aから第二面1bに貫通する複数の貫通孔2を有する。
電気コネクター10は複数の導電部5と絶縁部6とを備え、導電部5が島部分で、絶縁部6が海部分である海島構造を形成している。各導電部5は、第一面1aから第二面1bへ貫通する貫通配線を形成している。各導電部5の第一端部は第一面1aに突出した突出部8を構成しており、その第二端部は第二面に露出している。各導電部5は互いに独立し、絶縁部6によって互いの絶縁性が保たれている。
【0014】
電気コネクター10は、矩形のシート状であり、その短手方向をX方向、その長手方向をY方向、その第一面1aに対する垂線方向(すなわちシートの厚さ方向)をZ方向とする。
電気コネクター10の平面視の形状は矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形、その他の任意の形状が採用できる。
電気コネクター10の縦×横のサイズは特に限定されず、例えば、1mm×1mm~10cm×10cmとすることができる。
電気コネクター10の厚さは、例えば50μm以上500μm以下とすることができる。
電気コネクター10の形態、サイズ、厚さ等は、第一面1a及び第二面1bにそれぞれ接続する電子デバイスの形状や端子の配置に合わせて適宜設定される。
【0015】
<導電部5>
電気コネクター10の各導電部5は、X方向及びY方向に沿って一定のピッチで配置されている。導電部5の形状は、柱状であることが好ましい。導電部5をXY平面で切断した断面形状は、例えば、円形、楕円形、四角形、その他の多角形等が挙げられる。導電部5の第一面1a側に突出した突出部8の平面視の形状は、前記断面形状と同じでもよく、異なってもよい。
【0016】
柱状の導電部5の中心軸の軸線は、第一面1a及び第二面1bに対して、垂直でもよいし(図2)、傾いていてもよいが(図3)、繰り返し圧縮に対する耐久性をより高める観点から、傾いていることが好ましい。
図2に示すように垂直であるとき、導電部5へ垂直に加わる力による圧縮は導電部5のみに生じる。よって導電部5は圧縮量分を歪まなければならない。
一方、図3に示すように、第一面1aに対する傾きがθ°が例えば60°、シート厚みが100μm、導電部の直径が20μm、導電部のピッチが40μmであるとき、導電部端面を押圧した際の撓み代は導電部が60μm、絶縁部が40μmとなる。そうすると、基材シート1が厚さ方向に圧縮されたとき、圧縮量の多くを絶縁部の撓み代によって吸収するため垂直の場合と比べて圧縮による導電部への影響が少なくなる。この結果、傾いている方が繰り返し圧縮に対する耐久性がより高まる。
【0017】
図4を参照する。個々の導電部5の第二面に露出する端部の大きさS1は、前記端部を含む最小円の直径である。前記直径は、導電部5の抵抗を低減する観点と、接続する電子デバイスにおける端子の狭いピッチに対応する観点とから、例えば、1μm~100μmが好ましく、3μm~50μmがより好ましく、5μm~25μmがさらに好ましい。個々の導電部5の端部の大きさS1は、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
前記直径は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定することができる。
【0018】
柱状の導電部5の(大きさS1:突出部8の高さhを除く軸線方向の長さH)で表されるアスペクト比は、1:5~1:30が好ましく、1:8.5~1:25.5がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると隣接する導電部5間のピッチを狭くすることができる。
上記範囲の上限値以下であると導電部5の抵抗値を低くすることができる。
個々の導電部5の大きさS1及び軸線方向の長さHは、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段を用いて、測定することができる。
【0019】
第二面1bに露出する導電部5の互いに隣接する端部同士のピッチは、個々の端部を含む各最小円同士の中心間距離である。このピッチは、接続する電子デバイスの端子の配置に応じて任意に設定される。導電部5の配置は、電気コネクター10の製造時に任意の位置に形成することが可能な、穴部2の配置に対応している。
【0020】
電気コネクター10の第二面1bにおける導電部5の配置は、X列×Y行の2次元アレイ状の配置である。導電部5の配置はこの例に限定されず、任意の配置パターンが採用される。X列×Y行において、例えば、X,Yはそれぞれ独立に10~1000の任意の整数とすることができる。配置パターンは、2次元アレイ状が好ましい。
【0021】
<突出部8>
各導電部5の第一端部を構成する個々の突出部8の平面視の形状は特に制限されず、任意の形状が適用できる。例えば、四角形、円形、楕円形、その他の多角形等が挙げられる。各々の突出部8の平面視の形状は、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
個々の突出部8の平面視の大きさS2は特に限定されず、接続する電子デバイスが有する電極の形状に合わせて適宜設定できる。ここで、大きさS2は、突出部8の平面視の形状を含む最小円の直径とする。前記直径は、突出部8の抵抗を低減する観点と、接続する電子デバイスにおける端子の狭いピッチに対応する観点とから、例えば、1μm~100μmが好ましく、3μm~50μmがより好ましく、5μm~25μmがさらに好ましい。
前記直径は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定することができる。
電子デバイスに対する接続性をより一層向上させる観点から、突出部8の平面視の大きさS2は、その突出部8の根元(第一面1aと面一の箇所)の導電部5の大きさ(断面)よりも大きいことが好ましい。
【0022】
突出部8の高さhは特に制限されず、例えば、1μm~50μmが挙げられる。各々の突出部8の高さhは、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
突出部8の高さhは、図4に示すように、電気コネクター10の厚さ方向の断面を公知方法により撮像した画像から求められる。上述の突出部8の高さhは、例えば、10個以上、好ましくは30個以上の突出部8が写った断面の画像から、無作為に選択した5個以上、好ましくは10個以上の突出部8の高さを画像処理により得て算出した平均値であることが好ましい。
【0023】
図1図4で示した電気コネクター10では、導電部5の全ての第一端部が突出部8を形成しているが、任意に選択された第一端部のみが突出部8を形成し、他の第一端部は第二端部と同様に第一面1aと面一で露出しているのみであってもよい。
また、図示しないが、各導電部5の第二面1b側の第二端部の任意に選択された一部又は全部が突出部を形成していてもよい。
また、電気コネクター10における突出部8は導電部5の第一端部を構成し、導電部5の材料(組成)と同じである場合を例示したが、異なる材料によって形成された突出部が導電部5の第一端部及び/又は第二端部に設けられていてもよい。例えば、炭素粒子や金属粒子が樹脂材料によって結着されてなる導電層やメッキ等により形成された金属膜層が、基材シート1の第二面1bの面一に露出する導電部5の第一端部及び/又は第二端部に接触して設けられていてもよい。
【0024】
<絶縁部6>
電気コネクター10の絶縁部6は、海島構造のうちの海部分であり、絶縁部分である。
絶縁部6のZ方向の長さは、基材シート1の厚さと同様であり、25μm以上750μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましい。
前記長さが前記下限値以上であれば、電気コネクター10の機械的強度が高くなる。前記長さが前記上限値以下であれば、電気コネクター10の可撓性がより高くなり、薄型化が求められる電子機器の内部に容易に実装することができる。
【0025】
絶縁部6はエラストマーを含むことが好ましい。絶縁部6の総質量に対するエラストマーの含有量は、60~100質量%が好ましく、75~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましい。
前記含有量が70質量%以上であることにより、電気コネクター10の圧縮性および可撓性が充分に高まり、導電部5の突出部以外の端部(例えば第二端部)の電子デバイスに対する接続性が高まる。
【0026】
導電部5を形成するエラストマーと絶縁部6を形成するエラストマーの種類は、互いの密着性を高める観点から、同じであることが好ましく、耐熱性及び圧縮耐久性を高める観点から、シリコーンゴムであることがより好ましい。
【0027】
[導電性粒子と導電性フィラー]
各導電部5には導電性粒子と、導電性フィラーとが含まれる。導電性粒子の形状は、球形、回転楕円体又は板状体に近似することができる。一方、導電性フィラーの形状は、導電性粒子よりも明らかに細長く、棒状、繊維状又はワイヤ状と表現することができる。
導電性フィラーの長さ方向に直交する断面の太さに対する長さのアスペクト比(長さ/太さ)が、導電性粒子のアスペクト比(長径/短径)に対して少なくとも3倍以上であり、5倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、50倍以上がさらに好ましい。なお、この比率の上限値は特に制限されず、目安として例えば100倍以下が挙げられる。
【0028】
複数の導電部5から任意に選択された一つの導電部5に含まれる導電性フィラーの無作為に選択された10本について、各導電性フィラーの長手方向の長さL1(単位:μm)と、長さL1を二等分しつつ直交する線分で表される各導電性フィラーの太さR1(単位:μm)の比(L1/R1)を求め、得られた10個の比の平均値Xが、5~100であることが好ましく、10~100がより好ましく、50~100がさらに好ましい。
上記範囲であると、導電性粒子と合わせて含有したときの前記圧縮に対する耐久性がより向上し、かつ、導電性フィラーの折れや破断を低減することができる。
なお、導電性フィラーの長さL1、太さR1は拡大顕微鏡や電子顕微鏡等の公知の拡大観察手段により計測して求められる。
【0029】
前記長さL1を計測した前記10本の導電性フィラーが含まれる導電部5を内部に備える貫通孔2について、貫通孔2の中心線(軸線)に沿う長さL2を二等分しつつ直交する線分で表される貫通孔2の太さR2(単位:μm)と、前記10本の導電性フィラーの長さL1(単位:μm)の平均値Yの比(R2/Y)が、5~500であることが好ましく、15~250がより好ましく、30~150がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性フィラーの長さ方向と、貫通孔2の中心線の長さ方向が揃いやすくなり、導電性粒子と合わせて含有したときの前記圧縮に対する耐久性がより高まる。
上記範囲の上限値以下であると、導電部5が圧縮された際の導電性フィラーの折れや破断を低減することができる。また、電気コネクター10の製造時に導電性フィラーが貫通孔2に入りやすくなり、製造が容易になる。
なお、貫通孔2の長さL2、太さR2は、電気コネクター10の厚さ方向の断面を拡大顕微鏡や電子顕微鏡等の公知の拡大観察手段により計測して求められる。
【0030】
導電性粒子の材料としては、例えば、強磁性体を含有する複合型の導電性粒子でもよく、前記強磁性体以外からなる導電性物質でもよい。
前記強磁性体としては、10~40℃で強磁性を示すものが好ましく、鉄、コバルト、ニッケル、及びガドリニウムから選ばれる1種以上がより好ましい。
前記強磁性体以外の導電性物質としては、例えば、銅、亜鉛、クロム、白金、金、銀、アルミニウム、パラジウム、カーボン材料等が挙げられる。カーボン材料としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、グラファイト等が挙げられる。
【0031】
導電性粒子の表面の導電性が失われない限りにおいて、導電性粒子の表面がシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤で処理されていてもよい。
【0032】
導電部5に含まれる導電性粒子の種類は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
【0033】
導電部5に含まれるエラストマー、導電性粒子及び導電性フィラーの総質量に対する、導電性粒子の含有量は、50~94質量%が好ましく、70~90質量%がより好ましい。上記範囲であると、導電部5の良好な導通が得られ、導電性粒子と合わせて含有したときの前記圧縮に対する耐久性がより高まる。
【0034】
導電性粒子の平均粒子径としては、例えば10nm~10μmが挙げられ、好ましくは50nm~5μmである。この範囲であると貫通孔内で導電性粒子による導通経路の形成が容易となり、導電性の高い(抵抗値の低い)導電部5が得られやすい。
導電性粒子の平均粒子径は、導電部5に含まれる導電性粒子を無作為に100個選択して、それらの長径(球状の場合は直径)を顕微鏡観察により測定し、100個の測定値の平均値として求められる。
【0035】
基材シート1の厚さ方向に対して直交する方向で導電部5の任意の箇所を切断した断面を含む最小円の直径を導電部5の太さとしたとき、導電部5の太さと、導電性粒子の平均粒子径との比(太さ/平均粒子径)は、例えば、3~1000が好ましく、5~500がより好ましく、10~200がさらに好ましい。これらの好適な範囲であると磁力によって導電性粒子を配向させることが容易であり、導電性の高い導電部5が得られやすい。
【0036】
導電性フィラーの材料としては、前述の導電性粒子の材料と同じものを例示できる。なかでも、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属ナノワイヤー、又は、金属メッキ体(金属メッキを表層に有する導電体)が好ましい。
【0037】
導電部5に含まれる導電性フィラーの種類は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
【0038】
導電部5に含まれるエラストマー、導電性粒子及び導電性フィラーの総質量に対する、導電性フィラーの含有量は、0.01~5質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。
上記範囲であると、導電部5の良好な導通が得られ、導電性粒子と合わせて含有したときの前記圧縮に対する耐久性がより高まる。
【0039】
<作用メカニズム>
図5に示すように、導電性粒子Pのみを含む導電部5にあっては、基材シート1の厚さ方向に対する圧縮が繰り返されると、導電性粒子P同士の接触が途切れるクラックCが発生する問題が有る。
一方、本発明に係る電気コネクターにあっては、図6に示すように、導電性粒子Pに加えて、導電性フィラーFを含むので、上記のようにクラックが発生しても、このクラックを橋渡しする導電性フィラーFが存在するので、導通が途切れない。この結果、繰り返し圧縮に対する耐久性が向上している。このメカニズムは、図7に示すように、貫通孔2が基材シート1の厚さ方向に対して傾いている(基材シート1の第一面1a又は第二面1b)に対して傾いている場合にも同様に作用する。
【0040】
≪電気コネクターの製造方法≫
本発明に係る電気コネクターは、例えば特許文献2に開示された製造方法により製造することができる。例えば、以下の工程(A1)及び工程(B)を有する製造方法が挙げられる。
工程(A1)は、複数の凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む第一樹脂材料を導入し、前記第一樹脂材料を硬化させて、前記成形型の各凸部に対応する貫通又は非貫通の穴部が第一面に開口する基材シートを作製する工程である。
工程(B)は、前記基材シートの前記第一面に、導電性粒子と、導電性フィラーと、樹脂又は樹脂前駆体とを含む樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記樹脂材料の一部を注入するとともに、前記樹脂材料の残部を前記第一面上に留め置き、前記穴部内に注入した前記樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記樹脂材料を硬化させることにより、前記穴部の各々の中に導電部を形成するとともに、前記導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程である。
以下、図面を参照して実施形態の一例を説明する。
【0041】
<成形型K>
図1図2に示す電気コネクター10の作製を例示する。まず、図8図9に示す成形型Kを準備する。成形型Kの表面には、凹部Nと、凹部N内に配置された複数の円柱状の凸部Mが形成されている。
凹部Nの形状は、大まかには電気コネクター10の外形に相当する。図示例では上方に開口した扁平な直方体の空間である凹部Nが成形型K内の表面に形成されている。凹部Nは、電気コネクター10が有する絶縁部6を形成する空間であり、凹部Nの形状が反映された基材シート1を有する電気コネクター10を形成することができる。
凸部Mの各々の断面形状や配置は、電気コネクター10が有する貫通配線である導電部5の各々の断面形状や配置に相当する。
各凸部Mの高さは、凹部Nの深さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。つまり、凸部Mの先端の位置は、成形型Kの表面Kaと面一であってもよいし、表面Kaよりも低い位置(即ち、凹部Nの内部)にあってもよいし、表面Kaよりも高い位置(即ち、凹部Nの外部であって上方)にあってもよい。図示例では、各凸部Mの高さ位置は成形型Kの表面Kaと面一である。
【0042】
<工程A1>
図8図9に示すように、凹部N及び凸部Mを有する成形型Kの表面に、樹脂又は樹脂前駆体を含む液状の第一樹脂材料L1を塗布する。第一樹脂材料L1は、絶縁部6を形成する絶縁性材料である。塗布により第一樹脂材料L1は凹部N内に導入される。この際、凹部Nに入り切らない余剰の第一樹脂材料L1は成形型Kの表面Kaに溢れる。第一樹脂材料L1の凹部N内への導入を促進するために、真空処理、加圧脱泡やスキージによる押し込み等を行ってもよい。
【0043】
次に図10に示すように、成形型Kの各凹部N内に充填した第一樹脂材料L1を硬化させ、成形型K内に基材シート1を形成する。この際、凹部N内に入らずに溢れた第一樹脂材料L1が、基材シート1の一方の主面(第二面)を覆う残膜Rになる。
続いて、成形型Kから基材シート1を脱型する。得られた基材シート1の第一面1aには、成形型Kの凸部Mに対応する複数の穴部2が形成されている(図11)。
【0044】
<工程B>
図12図13に示すように、基材シート1の第一面1aに導電性粒子及び導電性フィラーを含む第二樹脂材料L2を塗布する。この際、穴部2に入り切らない過剰量の第二樹脂材料L2を第一面1aに塗布する。続いて、図14図15に示すように、穴部2の各々の中に第二樹脂材料L2の一部を注入する。穴部2に入らずに余った第二樹脂材料L2の残部は、基材シート1の第一面1aを覆うように溢れた状態となる。
第二樹脂材料L2を穴部2へ注入する方法は特に制限されず、例えば、毛細管現象を利用しつつ真空下で自然に流入させる方法、加圧脱泡やスキージにより強制的に押し込む方法等が挙げられる。
上記注入の完了後、穴部2内に注入されずに基材シート1の第一面1aに残った余分な第二樹脂材料L2を、そのまま、第一面1a上に留め置く。留め置く方法としては、例えば、不図示の枠を第一面1a上に置き、この枠内に第二樹脂材料L2を留める方法が挙げられる。
【0045】
第二樹脂材料L2の一部を各穴部2内に注入した後、図14図15に示す状態で、穴部2の深さ方向(基材シート1の厚さ方向)に略平行な磁場をかけて、穴部2内の第二樹脂材料L2に含まれる導電性粒子及び導電性フィラーを、磁力により穴部2の深さ方向に整列させてもよい。磁力によって穴部2内の導電性粒子及び導電性フィラーが互いに接触した状態で高密度に連結し、穴部2の深さ方向へ配線を形成することができる。
【0046】
導電性粒子が配線を形成した状態で、各穴部2の中の第二樹脂材料L2、及び第一面1a上に留め置いた第二樹脂材料L2を硬化させることにより、樹脂の中で導電性粒子及び導電性フィラーが固定される。この結果、穴部2の各々の中には、基材シート1を厚さ方向に貫通する貫通配線としての導電部5を形成し、第一面1a上には、各穴部2内の導電部5の各々と一続きの導電層7を形成することができる。導電層7の厚さは、第一面1a上に留め置く第二樹脂材料L2の量によって、又は、導電層7をスライスすることによって、任意に調整することができる。導電層7の厚さとして、例えば、1μm~50μmの厚さが挙げられる。
【0047】
次に、第一面1aを覆う導電層7の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の突出部8を形成する。図1図2の例では、平面視で四角形の突出部8の複数が、縦×横の格子模様で配置されるように、格子縞の線上にある導電層7を除去した。この結果、各々の突出部8の直下には1つの貫通配線がある状態となり、突出部8と貫通孔2内の導電部5の一組は一続きで、明確な境界はなく、一体化している。
【0048】
導電層7の一部をエッチングする方法としては、レーザ加工が好ましい。UVレーザはレーザ径が小さく、微細な突出部8の形成に特に適している。加工用レーザを照射した箇所の突出部8は熱により除去される。この際、突出部8は、導電性粒子及び導電性フィラーを含むので、レーザを吸収し易く、容易に除去される。突出部8が除去されると第一面1aが露出する。露出した第一面1aは導電性粒子及び導電性フィラーを含まないので比較的除去され難い。
【0049】
最後に、必要に応じて、基材シート1の第二面1bに残る残膜Rを切削や研磨等の方法で除去し、平面視の外形を整えて、目的の電気コネクター10が得られる(図1図2)。
【0050】
電気コネクター10の第二面1bに露出する導電部5の第二端部の直上には、例えば、炭素材料や金属材料を含む導電性ペーストを塗布し、任意の平面視形状で硬化させることにより、導電層(不図示)を形成してもよい。
或いは、電気コネクター10の第二面1bに露出する導電部5の第二端部の周囲を、切削したり研磨したりすることにより、第二端部を突出させて突出部を形成してもよい。
【0051】
メッキにより金属膜層で突出部を形成する場合は、導電層7を残した状態で第二面2bに電気メッキで金属層膜を形成する方法や、導電層7を残さずスライスした状態で第一面1a及び第二面1bの両面に無電解メッキで金属層膜を形成する方法が挙げられる。この方法で突出部を形成する場合、各端部に独立して金属膜層が形成されるため、エッチング加工は不要となる。
【0052】
[樹脂又は樹脂前駆体]
第一樹脂材料L1に含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、基材シート1の絶縁部6を構成する主材料である。
第二樹脂材料L2に含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、導電性粒子及び導電性フィラーが互いに接触した状態を保持する材料である。
樹脂前駆体は、樹脂を形成する化合物であり、例えば重合反応により樹脂を形成するモノマーが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、光重合性樹脂、熱重合性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂、触媒重合性樹脂等の公知の硬化性樹脂が挙げられる。
【0053】
可撓性を有する電気コネクター10を製造する観点から、第一樹脂材料L1の前記樹脂は、エラストマーであることが好ましい。
前記エラストマーとしては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらの中でも、成形型から取り出した後の寸法変化が小さく、成形型から取り出した後の反りが生じ難く、圧縮永久歪が小さく、耐熱性が高い、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、縮合型、付加型のいずれでもよい。
【0054】
第一樹脂材料L1と第二樹脂材料L2に含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、互いに同じでもよく、異なっていてもよく、導電部5と絶縁部6との接着性を向上させる観点から、同じであることが好ましい。接着性が向上すると、電気コネクター10の可撓性が向上するので、電子デバイスの端子に対する設置が容易になるので好ましい。
第二樹脂材料L2に含まれる前記樹脂は、エラストマーであることが好ましい。好適なエラストマーの具体例は、第一樹脂材料L1の例示と同じである。
【0055】
各実施形態で用いられる第一樹脂材料には、前述した樹脂又は樹脂前駆体の他に、従来の電気コネクターの基材に添加される任意の物質、例えば樹脂前駆体の重合を促す触媒、樹脂同士の架橋を促す架橋剤、抗酸化剤、染料、顔料、充填剤、レベリング剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は、第一樹脂材料の総質量に対して例えば0~5質量%程度で含有され得る。また、成形型に対する第一樹脂材料の塗工性を向上させるために、第一樹脂材料に希釈溶剤を添加してもよい。
【0056】
各実施形態で用いられる第二樹脂材料には、前述した導電性粒子及び導電性フィラー並びに樹脂又は樹脂前駆体の他に、例えば、導電性粒子及び導電性フィラーの分散性を向上させるための界面活性剤、樹脂前駆体の重合を促す触媒、樹脂同士の架橋を促す架橋剤、抗酸化剤、染料、顔料、充填剤、レベリング剤等が添加されても構わない。これらの添加剤は、第二樹脂材料の総質量に対して例えば0~5質量%程度で含有され得る。また、基材シートに対する第二樹脂材料の塗工性を向上させるために、第二樹脂材料に希釈溶剤を添加してもよい。
【0057】
[電気コネクターの使用方法]
本発明の一例である電気コネクター10の用途としては、公知の電気コネクターと同じ用途が挙げられる。電子デバイスの端子の導通試験を行う検査用途の他、例えば、電子機器内に備えられた複数の電子デバイス(例えば回路基板)同士を接続する等のいわゆる実装用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1…基材シート、2…穴部、5…導電部、6…絶縁部、7…導電層、8…突出部、10…電気コネクター、F…導電性フィラー、G…樹脂組成物層、J…磁石、K…成形型、M…凸部、N…凹部、L1…第一樹脂材料、L2…第二樹脂材料、O…金型、P…導電性粒子、R…残膜
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16