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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178835
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/75 20230101AFI20231211BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231211BHJP
   H04N 23/62 20230101ALI20231211BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20231211BHJP
   G03B 7/18 20210101ALI20231211BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231211BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231211BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20231211BHJP
【FI】
H04N5/238
H04N5/225 400
H04N5/232 160
H04N5/232 933
H04N5/232 945
G03B7/18
G03B15/00 Q
G03B17/02
G03B17/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091770
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 真一
【テーマコード(参考)】
2H002
2H100
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H002GA32
2H100AA11
2H102BB26
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA42
5C122FA06
5C122FB02
5C122FB16
5C122FB17
5C122FF08
5C122FF23
5C122FH10
5C122FH14
5C122FL01
5C122FL03
5C122FL04
5C122FL05
5C122FL08
5C122GA01
5C122GA31
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】画像における色彩を調整し易くすることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(100)は、複数色における光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部(140)と、撮像部を制御する制御部(180)と、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面における位置別に、撮像部が光を色別に受光する受光率を調整する調整部(150)とを備える。制御部は、入射面において画像の一部に対応する位置における特定の第1色の受光率と他の位置における第1色の受光率とを異ならせるように調整部を制御し、調整部により第1色の受光率を異ならせた状態における画像を撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを生成させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色における光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部と、
前記撮像部を制御する制御部と、
前記画像データが示す画像に対応して前記光が入射する入射面における位置別に、前記撮像部が前記光を色別に受光する受光率を調整する調整部とを備え、
前記制御部は、
前記入射面において前記画像の一部に対応する位置における特定の第1色の受光率と他の位置における前記第1色の受光率とを異ならせるように前記調整部を制御し、
前記調整部により前記第1色の受光率を異ならせた状態における画像を前記撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを生成させる
撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像部が撮像した撮像画像において前記調整部による前記第1色の受光率を調整する対象となる部分領域を検出する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮像画像において前記第1色と同じ又は異なる第2色を有する領域を、前記部分領域として検出する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記撮像画像において所定の被写体が映る領域を、前記部分領域として検出する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像画像を表示する操作画面に対するユーザの操作が入力可能な操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出した部分領域を前記操作画面に表示させて、前記部分領域と、前記第1色と、前記部分領域における前記第1色の受光率とのうちの少なくとも一つを変更するユーザ操作を、前記操作部において受け付ける
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1色と、前記第1色の受光率とのうちの少なくとも一方を設定するユーザの操作が入力可能な操作部をさらに備える
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画像データを記録媒体に記録する記録部をさらに備え、
前記制御部は、前記調整部により前記第1色の受光率を異ならせた状態における画像を前記撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを前記記録部に記録させる
請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被写体像を撮像するための光を受光する比率を色別に調整可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、色毎に光学感度を調節することができる撮像素子を開示する。この撮像素子は、半導体基板に形成され、入射光を受光することで信号電荷を生成する複数の光電変換部と、複数の光電変換部のそれぞれの上に、所定の色が対応するように配置されたカラーフィルタ層とを備える。更に、この撮像素子は、カラーフィルタ層上に形成され、電圧を印加することで配向が変化する液晶層を有する集光レンズ部と、所定の色のカラーフィルタ層上に位置する液晶層に、電圧を印加する液晶電圧調節手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-219346号公報
【特許文献2】特開2019-68402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、画像における色彩を調整し易くすることができる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における撮像装置は、複数色における光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部と、撮像部を制御する制御部と、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面における位置別に、撮像部が光を色別に受光する受光率を調整する調整部とを備える。制御部は、入射面において画像の一部に対応する位置における特定の第1色の受光率と他の位置における第1色の受光率とを異ならせるように調整部を制御し、調整部により第1色の受光率を異ならせた状態における画像を撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを生成させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示における撮像装置によると、画像における色彩を調整し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態1に係るデジタルカメラの構成を示す図
図2】実施形態1のデジタルカメラにおける電子カラーフィルタの構成を例示する図
図3】実施形態1におけるデジタルカメラの動作の概要を説明するための図
図4】実施形態1におけるデジタルカメラの動作を例示するフローチャート
図5】実施形態1におけるデジタルカメラの動作を説明するための図
図6】実施形態1における領域検出処理を例示するフローチャート
図7】実施形態1における領域検出処理を説明するための図
図8】実施形態1におけるフィルタ調整処理を例示するフローチャート
図9】実施形態1におけるフィルタ調整処理を説明するための図
図10】実施形態2におけるデジタルカメラの動作を例示するフローチャート
図11】実施形態2におけるデジタルカメラの動作を説明するための図
図12】デジタルカメラの動作の変形例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。なお、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0009】
(実施形態1)
実施形態1では、本開示に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラについて説明する。
【0010】
1.構成
実施形態1に係るデジタルカメラの構成について、図1~2を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ100の構成を示す図である。本実施形態のデジタルカメラ100は、光学系110と、レンズ駆動部120とイメージセンサ140と、電子カラーフィルタ150とを備える。さらに、デジタルカメラ100は、画像処理部160と、バッファメモリ170と、制御部180と、操作部210と、表示モニタ220とを備える。さらに、デジタルカメラ100は、フラッシュメモリ240と、カードスロット190と、通信モジュール260とを備える。
【0012】
光学系110は、ズームレンズ及びフォーカスレンズ、絞り等を含む。ズームレンズは、光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズは、イメージセンサ140上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。ズームレンズ及びフォーカスレンズは、1枚又は複数枚のレンズで構成される。
【0013】
レンズ駆動部120は、フォーカスレンズ等の光学系110の各種レンズをそれぞれ駆動するための構成を含む。例えば、レンズ駆動部120はモータを含み、制御部180の制御に基づいてフォーカスレンズを光学系110の光軸に沿って移動させる。レンズ駆動部120においてフォーカスレンズを駆動する構成は、DCモータ、ステッピングモータ、サーボモータ、または超音波モータなどで実現できる。
【0014】
イメージセンサ140は、光学系110を介して入射される被写体像を撮像して画像データを生成する。イメージセンサ140により生成された画像データは、画像処理部160に入力される。
【0015】
イメージセンサ140は、所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)で新しいフレームの画像データを生成する。イメージセンサ140における、撮像データの生成タイミングおよび電子シャッタ動作は、制御部180によって制御される。イメージセンサ140は、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ、またはNMOSイメージセンサなど、種々のイメージセンサを用いることができる。
【0016】
イメージセンサ140は、例えばベイヤー配列等でRGB(赤緑青)の画素毎に設けられた光学的なカラーフィルタ層と、カラーフィルタ層を介して入射する光を受光して電気信号を生成するように各画素を構成する光電変換部とを含む。イメージセンサ140は、動画像や静止画像の撮像動作、スルー画像の撮像動作等を実行する。スルー画像は主に動画像であり、ユーザが構図を決めるために表示モニタ220に表示される。イメージセンサ140は、本実施形態における撮像部の一例である。
【0017】
電子カラーフィルタ150は、RGB等の色別に、可視光などの光が透過してイメージセンサ140の光電変換部に受光される比率が電子制御により変更可能なフィルタ素子である。電子カラーフィルタ150は、例えばイメージセンサ140のカラーフィルタ層の上に設けられるなど、イメージセンサ140と一体的に構成される(特許文献1参照)。本実施形態の電子カラーフィルタ150は、光が入射する入射面における所定単位の位置毎に、RGBの色別の受光率を変更可能に構成される。本実施形態における電子カラーフィルタ150の構成例を図2に例示する。
【0018】
本実施形態における電子カラーフィルタ150は、例えば図2に示すように、複数の画素51が2次元アレイ状に配置された入射面50を有する。電子カラーフィルタ150は、光学系110から入射する光を介して、入射面50における電子カラーフィルタ150の各画素51と、イメージセンサ140における撮像面上のRGB別の各画素とが対応するように、イメージセンサ140に対して位置合わせされる。
【0019】
電子カラーフィルタ150は、例えば画素51毎にイメージセンサ140に導光するレンズ部又は透明層において液晶素子を封入して構成される。電子カラーフィルタ150は、領域単位として画素51単位で入射面50上の領域ごと(位置別)に入射する光の受光率を独立に調整可能である。電子カラーフィルタ150は、液晶層において色別の画素毎に、各色の画素に対する光の透過率を受光率として調整するように構成されてもよい。
【0020】
電子カラーフィルタ150の入射面50においては、領域ごとに受光率を独立して制御できるように、ガラス基板上に当該領域に対応した不図示の透明電極が配置され、不図示の駆動回路が領域ごとに駆動電圧を設定することで各複数の画素51の透過率を独立に調整できる。電子カラーフィルタ150は、色別の受光率(以下「色濃度」ともいう)を調整する調整部の一例である。例えば特許文献1のように、各画素上のレンズ部を色別に電圧制御して光電変換部に集光させ、色別に受光される光量を多くすることにより、所望の色彩の光学感度を高める構成が電子カラーフィルタ150に採用されてもよい。これにより、例えば撮像画像上で曇り空を鮮やかな青に変更するために青色の色濃度を濃くするといった調整を実現可能にできる。
【0021】
図1に戻り、画像処理部160は、イメージセンサ140から出力された画像信号に対して所定の処理を施して画像データを生成したり、画像データに各種の処理を施して、表示モニタ220に表示するための画像を生成したりする。所定の処理としては、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されない。画像処理部160は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータ、プロセッサなどで構成してもよい。
【0022】
バッファメモリ170は、画像処理部160や制御部180のワークメモリとして機能する記録媒体である。バッファメモリ170は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などにより実現される。フラッシュメモリ240は不揮発性の記録媒体である。各メモリ170,240は、それぞれ本実施形態における記憶部の一例である。
【0023】
制御部180は、デジタルカメラ100全体の動作を制御する。制御部180は、制御動作や画像処理動作の際に、バッファメモリ170をワークメモリとして使用する。
【0024】
制御部180はCPUまたはMPUを含み、CPUまたはMPUがプログラム(ソフトウェア)を実行することで所定の機能を実現する。制御部180は、CPU等に代えて、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路で構成されるプロセッサを含んでもよい。すなわち、制御部180は、CPU、MPU、GPU、DSU、FPGA、ASIC等の種々のプロセッサで実現できる。制御部180は1つまたは複数のプロセッサで構成してもよい。
【0025】
カードスロット190は、メモリカード200を装着可能であり、制御部180からの制御に基づいてメモリカード200に対してアクセスをする。デジタルカメラ100は、メモリカード200に画像データを記録したり、メモリカード200から記録した画像データを読み出したりすることができる。
【0026】
操作部210は、ユーザからの操作(指示)を受け付ける操作部材の総称である。操作部210は、ユーザ操作を受け付けるボタン、レバー、ダイヤル、タッチパネル、ジョイスティック、スイッチ等を含み、例えば方向キー、決定ボタン、シャッタボタン、動画記録ボタン及びファンクションボタンなどを含む。また、操作部210は、表示モニタ220等に表示される仮想的なボタンやアイコンも含んでもよい。
【0027】
表示モニタ220は、種々の情報を表示する表示部の一例である。例えば、表示モニタ220は、イメージセンサ140で撮像され、画像処理部160で画像処理された画像データが示す画像(スルー画像)を表示する。また、表示モニタ220は、ユーザがデジタルカメラ100に対して種々の設定を行うためのメニュー画面等を表示する。表示モニタ220は、例えば、液晶ディスプレイデバイスまたは有機ELデバイスで構成できる。
【0028】
通信モジュール260は、通信規格IEEE802.11またはWi-Fi規格等に準拠した通信を行うモジュール(回路)である。デジタルカメラ100は、通信モジュール260を介して、他の機器と直接通信を行ってもよいし、アクセスポイント経由で通信を行ってもよい。通信モジュール260は、インターネット等の通信ネットワークに接続可能であってもよい。
【0029】
2.動作
以上のように構成されるデジタルカメラ100の動作について、以下説明する。本実施形態のデジタルカメラ100は、電子カラーフィルタ150により部分的に色彩を調整した画像を撮影する機能を有する。以下、こうしたデジタルカメラ100の動作の概要を説明する。
【0030】
2-1.動作の概要
図3(A),(B)は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作の概要を説明するための図である。
【0031】
図3(A)は、彩度が不足した撮影シーンの一例のスルー画像G1を例示する。図3(B)は、本実施形態のデジタルカメラ100による図3(A)の撮影シーンの撮影結果の記録画像G2を例示する。
【0032】
図3(A)に例示する撮影シーンは、晴天時等よりも青色の彩度が低い空及び海と、白い砂浜と、青い看板及び白い外壁を備えた建物とを含む。こうした場合においては、例えば空及び海の色調が晴天時と同様のような、高彩度の色調で画像撮影を行いたいといったユーザの要望が考えられる。
【0033】
上記のような撮影シーンにおける従来の対策としては、例えば光学的なフィルタ部材において青色透明の部分と無色透明の部分とが予め領域分割して設けられた光学カラーフィルタを用いることが考えられる。しかしながら、このような光学カラーフィルタでは、例えば、図3(A)の例において空及び海の両方のみに青色透明の部分を合わせることが困難で、建物の一部まで不自然な青色に映ってしまう。あるいは、撮影後の画像処理において一部の画像領域の青色等を強調する方法も考えられるが、こうした後処理では、例えば撮影時に白飛びが生じると解消困難である。
【0034】
そこで、本実施形態のデジタルカメラ100は、電子カラーフィルタ150により特定の色を強調する程度(即ち色濃度)を領域別に制御する。これによって、本実施形態のデジタルカメラ100は、例えば図3(A)のような撮影シーンであっても、図3(B)に示すように、画像全体でユーザ所望の色調の画像撮影を可能にする。以下、電子カラーフィルタ150において色濃度が調整される特定の色を「フィルタ色」という。
【0035】
例えば図3(A)の例において、本実施形態のデジタルカメラ100は、電子カラーフィルタ150において空及び海に対応する部分の、フィルタ色としての青色の色濃度を、選択的に濃くするように調整する。これにより、例えば図3(A),(B)に示すように、建物の色調を維持しながら空及び海の色調を高彩度にした記録画像G2を撮影することができる。又、こうした画像撮影時には、デジタルカメラ100において色彩の調整は上記のように行った上で、露出設定を別途調整できる。このため、白飛び等の解消も容易化できる等、デジタルカメラ100のダイナミックレンジを活かした画像撮影を行い易くできる。本実施形態のデジタルカメラ100の動作の詳細を以下説明する。
【0036】
2-2.全体動作
本実施形態のデジタルカメラ100において上記のように電子カラーフィルタ150を利用して画像を撮影する際の全体的な動作について、図4~5を用いて説明する。
【0037】
図4は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作を例示するフローチャートである。図5(A)~(C)は、におけるデジタルカメラ100の動作を説明するための図である。図4のフローチャートに示す処理は、例えばデジタルカメラ100が電子カラーフィルタ150を用いる撮影モードに設定された状態で開始され、デジタルカメラ100の制御部180によって実行される。
【0038】
まず、制御部180は、例えば表示モニタ220にライブビュー画面を表示させる(S1)。ステップS1の表示例を図5(A)に示す。
【0039】
図5(A)は、図3(A),(B)の例における初期状態(S1)のライブビュー画面を例示する。制御部180は、図3(A)に例示したスルー画像G1と、本撮影モードにおける各種操作用のアイコン31~34(後述)とをライブビュー画面に表示させる(S1)。ライブビュー画面は、リアルタイムにスルー画像G1を表示してユーザ操作を受け付ける操作画面の一例である。ステップS1において、電子カラーフィルタ150には、例えば各色の色濃度が全体的に共通の初期値(例えば50%)に設定されている。
【0040】
次に、制御部180は、例えばスルー画像G1に基づいて、電子カラーフィルタ150を用いた色彩の調整の対象となることが想定される領域を検出する(S2)。ステップS2の表示例を図5(B)に例示する。
【0041】
図5(B)は、図5(A)のライブビュー画面において、ステップS2の検出結果が表示された状態を例示する。本実施形態の領域検出処理(S2)では、例えばスルー画像G1において、ユーザが調整対象として指定する色(即ち検出色)を有する領域である色領域R1を検出する。例えば図3(A),(B)の例では、青色を検出色とする指定に応じて、制御部180は、図5(B)に示すように、スルー画像G1上の空及び海を含む色領域R1を検出する(S2)。こうした領域検出処理(S2)の詳細は後述する。
【0042】
次に、制御部180は、例えば上記のように検出された色領域R1からユーザが所望の微調整を行う操作を受け付けて電子カラーフィルタ150の制御を実行する処理、即ちフィルタ調整処理を行う(S3)。ステップS3の表示例を図5(C)に例示する。
【0043】
図5(C)は、図5(B)の表示画面から、ステップS3におけるユーザの微調整が行われた後の状態を例示する。図5(B)の例の色領域R1は、青色の指定による検出結果(S2)であることから、ユーザが色濃度を調整したい部分(即ち、空及び海)に加えて、特に調整したくない部分(即ち、建物の看板)を含んでいる。
【0044】
そこで、本実施形態のフィルタ調整処理(S3)では、電子カラーフィルタ150の色濃度を調整する領域である調整領域R2を、色領域R1からの微調整により設定可能なユーザ操作を受け付ける。例えば、ユーザは、図5(B),(C)に示すように、色領域R1から看板の部分を外すように調整領域R2を変更できる。こうしたフィルタ調整処理(S3)の詳細は後述する。
【0045】
制御部180は、以上のようにフィルタ調整処理(S3)において電子カラーフィルタ150が調整された状態において、デジタルカメラ100による画像撮影の動作を実行する(S4)。例えば静止画撮影において、制御部180は、操作部210におけるシャッタボタン押下などのユーザ操作を検出するとイメージセンサ140に静止画の撮像動作を実行させて、生成された画像データを、カードスロット190を介してメモリカード200に記録する。ステップS8では、複数枚の静止画が撮影されてもよいし、連写撮影が行われてもよい。又、ステップS4は、特に静止画撮影に限らず、動画撮影であってもよい。
【0046】
以上の全体動作によると、本実施形態のデジタルカメラ100は、スルー画像G1においてユーザが指定した検出色の色領域R1を検出し(S2)、色領域R1からの微調整のユーザ操作等を受け付ける(S3)。これにより、ユーザ所望の調整領域R2において電子カラーフィルタ150におけるフィルタ色の色濃度を選択的に調整して、画像撮影を行うことができる(S3,S4)。こうして、例えば図3(B)に示すように、空及び海の青色を自然に強調する等の記録画像G2を容易に撮影できる。
【0047】
2-2-1.領域検出処理
図4のステップS2における領域検出処理について、図6~7を用いて説明する。
【0048】
図6は、本実施形態のデジタルカメラ100における領域検出処理(S2)を例示するフローチャートである。図7(A)~(C)は、領域検出処理(S2)を説明するための図である。
【0049】
まず、制御部180は、例えば操作部210におけるユーザ操作に応じて、ユーザがデジタルカメラ100に検出させたい検出色を示す色指定情報を取得する(S11)。ステップS11の表示例を図7(A)に例示する。
【0050】
図7(A)では、例えば図5(A)のライブビュー画面において検出色の指定操作(S11)を入力可能にする検出色アイコン31が有効化された状態を例示する。本実施形態の制御部180は、例えば検出色の指定操作として、スルー画像G1における位置を指定するユーザ操作を操作部210で受け付けて、スルー画像G1における指定された位置の色値を検出色として抽出することにより、色指定情報を取得する(S11)。
【0051】
図7(A)では、例えば検出色の指定操作の入力結果として、検出色マーカ41が表示されている。ユーザは、例えば操作部210におけるタッチパネル又はジョイスティック等を用いて、スルー画像G1上で検出色マーカ41を配置するように当該指定操作を入力できる。検出色マーカ41は、例えば、スルー画像G1上で当該指定操作により指定された位置に配置され、配置位置の色値を検出色として示す。こうして取得される色指定情報は、検出色の色値(例えばRGBの3値)と、当該色値を基準として検出の対象となる許容範囲とを含む。ステップS11において、色指定情報の許容範囲は、例えば、比較的狭い初期値に設定される。
【0052】
次に、制御部180は、取得した色指定情報に基づいて、例えばスルー画像G1において、色指定情報が示す検出色とその許容範囲とに含まれる色値を有する領域を、色領域R1として検出する(S12)。制御部180は、ライブビュー画面において検出した色領域R1を表示モニタ220に表示させる(S13)。図7(B)に、ステップS13の表示例を示す。
【0053】
図7(B)は、図7(A)の表示画面からの色領域R1の検出結果を例示する。図7(B)の例では、図7(A)の例の検出色マーカ41が示す検出色と、比較的狭い許容範囲(図7(C)参照)とに基づき、制御部180は、スルー画像G1上で空の部分を含む色領域R1を検出している(S12)。
【0054】
ステップS13において、表示モニタ220は、図7(B)に例示するように、スルー画像G1上で、所定の線種で囲む等の強調表示により、検出された色領域R1を表示する。例えば、制御部180は、スルー画像G1における色領域R1の強調表示のための画像処理を行うように画像処理部160を制御して、処理結果を表示モニタ220へ出力させる(S13)。色領域R1の強調表示は、特に上記に限らず、例えば色領域R1の内部にゼブラ模様などの模様を表示してもよいし、色領域R1内部の色調を変更してもよい。
【0055】
制御部180は、例えば以上のように検出した色領域R1をライブビュー画面に表示した状態で、操作部210において種々のユーザ操作を受け付ける(S14)。ステップS14の表示例を図7(C)に示す。
【0056】
図7(C)では、図7(B)の表示画面から、検出色の許容範囲を変更するユーザ操作を入力可能にする許容範囲アイコン32が有効化された状態を例示する。制御部180は、図7(C)の例において、許容範囲の設定バー42を表示モニタ220に表示させ、設定バー42におけるタッチ操作等により、設定中の許容範囲を広げたり狭めたりする変更操作を受け付ける。
【0057】
制御部180は、許容範囲の変更操作が入力された場合(S14でYES)、入力されたユーザ操作による変更された、検出色の許容範囲を色指定情報に反映するように、ステップS11以降の処理を再び行う。例えば、図7(C)の状態から、検出色の許容範囲を広げる変更操作を行うと(S14でYES)、制御部180は、図5(B)に例示したように、スルー画像G1上の空及び海を含むといった検出色から広い許容範囲における色領域R1を検出する(S12)。
【0058】
制御部180は、例えば許容範囲の変更操作ではない別のユーザ操作が入力された場合(S14でNO)、例えば最後に検出した色領域R1を検出結果としてバッファメモリ170に保存して、領域検出処理(S2)を終了する。制御部180は、その後、図4のステップS3に進む。
【0059】
以上の領域検出処理(S2)によると、デジタルカメラ100は、例えばスルー画像G1上でユーザが指定した検出色に応じた色領域R1を検出して(S12)、検出結果をユーザに可視化する(S13)。ユーザは、検出結果を確認した上で、指定した検出色の許容範囲を調整できる(S14)。これにより、同系色の領域検出の観点から、ユーザがスルー画像G1上で色調を調整したい領域をデジタルカメラ100に検出させ易くすることができる。
【0060】
以上のステップS11において、検出色の指定は、特にスルー画像G1上の位置の指定でなくてもよい。例えば、デジタルカメラ100の制御部180は、ステップS11において予め用意された複数の候補色の中から、検出色を選択するユーザ操作を受け付けてもよい。
【0061】
以上のステップS14において、許容範囲の変更操作に限らず、検出色を変更するユーザ操作が入力可能であってもよい。この場合、制御部180は、例えば、変更された検出色と前回の許容範囲とを色指定情報として用いるようにステップS11以降の処理を再び行う。
【0062】
又、検出色とその許容範囲といった色指定情報は、特にRGBの三値に限らず、種々のパラメータで規定でき、例えば色相、彩度及び明度で設定されてもよい。又、色指定情報の許容範囲は、各種のパラメータ毎に別個に設定されてもよい。
【0063】
2-2-2.フィルタ調整処理
図4のステップS3におけるフィルタ調整処理について、図8~9を用いて説明する。
【0064】
図8は、本実施形態のデジタルカメラ100におけるフィルタ調整処理(S3)を例示するフローチャートである。図9(A)~(C)は、フィルタ調整処理(S3)を説明するための図である。
【0065】
まず、制御部180は、例えば領域検出処理(図4のS2)の検出結果の色領域R1近傍の位置を指定するユーザ操作を受け付ける(S21)。ステップS21の位置指定操作は、例えばスルー画像G1におけるタッチ操作又はジョイスティック等によりスルー画像G1上の位置を指定するユーザ操作であり、例えば色領域R1(図5(B))から調整領域R2(図5(C))を変更する微調整を開始するために行われる。
【0066】
制御部180は、位置指定操作が入力された場合(S21でYES)、例えば指定された位置の近傍を拡大表示するように表示モニタ220等を制御する(S22)。ステップS22の表示例を図9(A)に示す。
【0067】
図9(A)は、図5(B)の表示画面において、位置指定操作(S21)により看板近傍の位置が指定された場合を例示する。ステップS22の拡大表示によると、ユーザは、表示の拡大範囲40において詳細に、指定した位置近傍における色領域R1の境界等を確認でき、微調整の指示を行い易くできる。
【0068】
制御部180は、例えば図9(A)に例示した表示画面において、例えば色領域R1から調整領域R2に変更する微調整を指示するユーザ操作を受け付けて、ユーザ操作により微調整された部分の位置情報等を取得する(S23)。ステップS23において、制御部180は、例えばタッチ操作等により拡大範囲40において色領域R1の境界位置を移動するユーザ操作を受け付けて、拡大範囲40に対応するスルー画像G1上の位置座標上で、微調整により変更される部分の位置情報を算出する。このユーザ操作によって色領域R1から看板の部分を外すことができる。
【0069】
次に、制御部180は、取得した位置情報に基づいて、指示された微調整を反映するように色領域R1から調整領域R2を変更して、調整領域R2を表示モニタ220に表示させる(S24)。ステップS24において、制御部180は、拡大範囲40の表示を消去してライブビュー画面に戻す。例えば、図9(A)の表示画面における微調整のユーザ操作に応じて(S23)、表示モニタ220は、ステップS24において図5(C)に例示した表示画面を表示する。
【0070】
制御部180は、例えば図5(C)のような画面表示中に、操作部210において調整領域R2を決定するユーザ操作を受け付ける(S25)。ステップS25の領域決定操作は、例えば決定ボタンの押下操作などの所定のユーザ操作に設定される。領域決定操作は、電子カラーフィルタ150の駆動指示であってもよい。
【0071】
制御部180は、領域決定操作が入力されていない場合(S25でNO)、例えばステップS21に戻る。ユーザは、ライブビュー画面において表示される調整領域R2が所望の範囲になるまで、領域変更の微調整を行うことができる(S21~S25)。又、制御部180は、位置指定操作が特に入力されなかった場合(S21でNO)、例えばステップS25に進む。ユーザは、色領域R1を特に変更することなく調整領域R2として決定することも可能である。
【0072】
制御部180は、領域決定操作が入力された場合(S25でYES)、例えばフラッシュメモリ240から、予め設定されたフィルタ色および色濃度を含む色設定情報を取得する(S26)。制御部180は、取得した色設定情報におけるフィルタ色および色濃度を、決定した調整領域R2に設定するように電子カラーフィルタ150を駆動して、こうした設定が反映された撮像結果のライブビュー画面を表示する(S27)。
【0073】
この際、制御部180は、例えば操作部210において、表示中の調整領域R2に設定されたフィルタ色又は色濃度(即ち色設定)を変更あるいは決定するユーザ操作を受け付ける(S28)。ステップS28の表示例を図9(B),(C)に例示する。
【0074】
図9(B)は、図9(A)の例においてフィルタ色の変更操作を入力可能にするフィルタ色アイコン33が有効化された状態を例示する。例えば、制御部180は、複数の複数の候補色を含む色パレット43を表示させ、色パレット43のタッチ操作等により、複数の候補色からフィルタ色を選択する変更操作を受け付ける(S28)。
【0075】
図9(C)は、図9(A)の例において色濃度の変更操作を入力可能にする色濃度アイコン34が有効化された状態を例示する。例えば、制御部180は、許容範囲の設定バー44を表示させ、設定バー44のタッチ操作等により、設定中のフィルタ色に関する色濃度を濃くしたり淡くしたりする変更操作を受け付ける(S28)。
【0076】
図8に戻り、制御部180は、色設定の変更操作が入力された場合(S28でYES)、入力されたユーザ操作に応じて、調整領域R2の色設定を変更してステップS26以降の処理を再び行う。ユーザは、ライブビュー画面において設定変更後のフィルタ色および色濃度が反映されたスルー画像G1を確認しながら、色設定の変更操作または決定操作を入力できる。
【0077】
制御部180は、色設定の変更操作ではなく決定操作が入力された場合(S28でNO)、例えば、電子カラーフィルタ150の現在の状態を調整結果として、フィルタ調整処理(S3)を終了し、図4のステップS4に進む。
【0078】
以上のフィルタ調整処理(S3)によると、デジタルカメラ100は、検出した色領域R1から、ユーザ操作に応じて調整領域R2を変更することにより(S21~S24)、ユーザの意図した調整領域R2を得やすくすることができる。又、デジタルカメラ100は、電子カラーフィルタ150の色設定を反映した状態を可視化して色設定の変更操作を受け付けることにより(S26~S28)、ユーザの意図したフィルタ色及び色濃度で電子カラーフィルタ150を駆動し易くすることができる。
【0079】
以上のフィルタ調整処理(S3)において、電子カラーフィルタ150のフィルタ色は特に検出色と同じでなくてもよく、種々の色彩を適用可能である。例えば、検出色が青色の場合に、フィルタ色は青色の中でも検出色と異なる色調に設定されてもよい。又、フィルタ色は、検出色と同系色に限らず、ユーザ所望の色彩に設定可能であり、例えば図5の例において赤色を用いて夕焼け空を演出したり、緑色、紫色、黄色など幻想的な印象の空を演出したりできる。各種のフィルタ色は、例えばRGB間の比率を適宜調整して設定可能である。
【0080】
また、以上のようなフィルタ調整処理(S3)においてはグラデーションの設定が用いられてもよい。例えば、デジタルカメラ100は、調整領域R2の内部と外部との間で色濃度を連続的に変化するように調整する。これにより、例えば撮影結果の記録画像G2内で電子カラーフィルタ150による色調の変化を自然な印象にできる等、ユーザ所望の調整を行い易くできる。例えば、グラデーションの要否が設定メニュー等でユーザ操作により選択可能であってもよい。又、グラデーションの要否のみに限らず、例えばグラデーションを掛ける範囲又は変化率などの詳細も、ユーザ設定可能であってもよい。
【0081】
3.まとめ
以上のように、本実施形態における撮像装置の一例のデジタルカメラ100は、撮像部の一例のイメージセンサ140と、制御部180と、記録部の一例のカードスロット190と、調整部の一例の電子カラーフィルタ150とを備える。イメージセンサ140は、複数色における光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する。制御部180は、イメージセンサ140を制御する。電子カラーフィルタ150は、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面50における位置別に、イメージセンサ140が光を色別に受光する受光率、即ち色濃度を調整する。制御部180は、入射面において画像の一部に対応する位置における特定のフィルタ色(第1色)の色濃度と他の位置におけるフィルタ色の色濃度とを異ならせるように電子カラーフィルタ150を制御し(S3)、電子カラーフィルタ150によりフィルタ色の色濃度を異ならせた状態における画像をイメージセンサ140に撮像させて、当該画像を示す画像データを生成させる(S4)。
【0082】
以上のデジタルカメラ100によると、電子カラーフィルタ150により部分的に画像の色彩を調整でき、画像における色彩を調整し易くすることができる。
【0083】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、イメージセンサ140が撮像した撮像画像の一例のスルー画像G1において電子カラーフィルタ150によるフィルタ色の色濃度を調整する対象となる部分領域の一例の色領域R1を検出する(S2)。これにより、デジタルカメラ100が電子カラーフィルタ150の調整の対象を検出して、画像における色彩を調整し易くすることができる。
【0084】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、撮像画像においてフィルタ色と同じ又は異なる検出色(第2色)を有する領域すなわち色領域R1を、部分領域として検出する(S2)。これにより、特定の色彩の観点から電子カラーフィルタ150の調整対象がデジタルカメラ100により検出され、画像における色彩を調整し易くすることができる。
【0085】
本実施形態において、デジタルカメラ100は、スルー画像G1を表示するライブビュー画面といった操作画面に対するユーザの操作が入力可能な操作部210をさらに備える。制御部180は、検出した部分領域を操作画面に表示させて、部分領域と、フィルタ色と、部分領域におけるフィルタ色の色濃度とのうちの少なくとも一つを変更するユーザ操作を、操作部210において受け付ける(S3,図9参照)。これにより、ユーザの意図に沿って画像における色彩を調整し易くすることができる。
【0086】
本実施形態において、デジタルカメラ100は、フィルタ色と、フィルタ色の色濃度とのうちの少なくとも一方を設定するユーザの操作が入力可能な操作部210をさらに備えてもよい(S3,図9参照)。これによっても、ユーザの意図に沿って画像における色彩を調整し易くすることができる。例えば、デジタルカメラ100は、こうした色設定をあらかじめ設定可能な設定メニューを有してもよい。
【0087】
本実施形態において、デジタルカメラ100は、画像データを記録媒体に記録する記録部の一例としてカードスロット190をさらに備える。制御部180は、電子カラーフィルタ150によりフィルタ色の色濃度を異ならせた状態における画像をイメージセンサ140に撮像させて、当該画像を示す画像データをカードスロット190に記録させる(S4)。本実施形態のデジタルカメラ100によると、撮影記録される画像における色彩を調整し易くすることができる。
【0088】
(実施形態2)
以下、図10~11を参照して、本開示の実施形態2を説明する。実施形態1では、色指定情報に基づく領域検出を行うデジタルカメラ100について説明した。実施形態2では、特定の被写体の領域検出を行うデジタルカメラ100について説明する。
【0089】
以下、実施形態1に係るデジタルカメラ100と同様の構成、動作の説明は適宜、省略して、本実施形態に係るデジタルカメラ100を説明する。
【0090】
図10は、実施形態2におけるデジタルカメラ100の動作を例示するフローチャートである。図11は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作を説明するための図である。
【0091】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、実施形態1と同様に電子カラーフィルタ150を用いる撮影モードの全体動作を行う際に、図4のステップS2の代わりに、図10に示すように、被写体の認識による領域検出処理を行う(S2A)。又、本実施形態の制御部180は、例えば実施形態1と同様にステップS1,S3,S4の処理を行う。
【0092】
本実施形態の領域検出処理(S2A)では、例えば画像認識の機械学習などにより、制御部180は、スルー画像G1において、指定された被写体が映る部分の形状に沿った領域すなわち被写体領域を検出する。ステップS2Aで検出対象とする被写体は、例えばデジタルカメラ100の設定メニュー等において指定される。図11に、本実施形態のデジタルカメラ100における設定メニューの表示例を示す。
【0093】
例えば、図5(A)~(C)と同様の例において、ユーザが検出対象の被写体を空及び海に指定しておくと、図4のステップS2Aにおいて、制御部180は、図5(C)の調整領域R2と同様の被写体領域を検出する。これにより、本実施形態のデジタルカメラ100は、特に図5(B)の例の色領域R1のように、ユーザ所望の被写体と同様の色を有する部分を含めずにユーザの意図した領域検出を行い易くできる。
【0094】
以上のように、実施形態2のデジタルカメラ100において、制御部180は、撮像画像の一例のスルー画像G1において所定の被写体(例えば空及び海)が映る領域すなわち被写体領域を、部分領域として検出する(S2A)。これにより、特定の被写体の観点から電子カラーフィルタ150の調整対象がデジタルカメラ100により検出され、画像における色彩を調整し易くすることができる。
【0095】
本実施形態のデジタルカメラ100は、上記のような被写体認識による領域検出処理(S2A)を、所定の周期で繰り返し実行してもよい。これにより、制御部180は、例えば動画撮影中などに、逐次得られるスルー画像G1等に基づいて被写体領域を検出し、被写体の移動に追従するように調整領域R2を設定して、電子カラーフィルタ150の状態を逐次更新できる。こうした更新時のフィルタ調整処理においては、各種微調整のユーザ操作は適宜省略される。例えば、制御部180は、AI(人工知能)技術を利用した追従により、動画撮影時等に被写体に動きがある場合において、被写体が映る画像上の構成が変わらなければ、事前に微調整された設定を維持するように電子カラーフィルタ150の状態を更新してもよい。
【0096】
図11に例示する設定メニューでは、デジタルカメラ100の検出対象とする被写体の選択肢が表示されている。検出対象の被写体は、特に上記に限らず、種々の被写体に設定可能である。例えば、検出対象の被写体は、空と海のうちの何れか一方であってもよいし、山林、建物、人物、及び動物など種々の被写体であってもよい。又、デジタルカメラ100に実行させる領域指定処理は、例えば図11に示すように、設定メニュー等のユーザ操作により変更可能であってもよい。
【0097】
(他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態1,2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0098】
上記の実施形態1,2では、電子カラーフィルタ150において1つの調整領域R2における色濃度を調整する例を説明したが、複数の調整領域が調整されてもよい。こうした変形例について、図12を用いて説明する。
【0099】
図12は、デジタルカメラ100の動作の変形例を説明するための図である。図12の例において、デジタルカメラ100は、複数の調整領域R2~R3において、互いに異なる色設定を採用している。例えば、デジタルカメラ100の制御部180は、実施形態1~2と同様のフィルタ調整処理(S3)を、各調整領域R2~R3についてそれぞれ行う。又、各調整領域R2~R3について、色指定または被写体認識の領域検出処理(S2,S2A)が行われてもよい。
【0100】
又、本実施形態のデジタルカメラ100には、有彩色及び無彩色をフィルタ色とする色濃度が設定されてもよい。例えば、図12の例において、デジタルカメラ100は、調整領域R2に有彩色の色濃度を設定し、調整領域R3には無彩色の色濃度(即ち白色光の受光率)を設定している。これにより、例えば調整領域R2の色彩を鮮やかにしながら、調整領域R3の白飛びを抑制するといった画像撮影を実現することができる。
【0101】
上記の実施形態2では、被写体認識による領域検出処理(S2A)が動画撮影中などに繰り返し実行可能な例について説明したが、実施形態1のような色指定の領域検出処理(S2)も繰り返し実行されてもよい。この場合、電子カラーフィルタ150の調整前後で検出対象の色領域R1を合わせるために、色指定情報が適宜調整されてもよい。例えば、デジタルカメラ100の制御部180は適時、検出色マーカ41の位置に応じて検出色を更新してもよいし、調整前後の検出色を含めるように許容範囲を調整してもよい。
【0102】
上記の各実施形態1では、画素単位で透過率を調整可能な電子カラーフィルタ150について説明した。本実施形態において、電子カラーフィルタ150は、画素単位で調整可能でなくてもよく、例えば行単位、列単位又は各種のブロック単位で色濃度を調整可能であってもよい。電子カラーフィルタ150には、各種単位毎に色濃度を設定可能な駆動回路等の構成が採用できる。
【0103】
又、上記の各実施形態では、調整部の一例としての電子カラーフィルタ150の構成例を説明したが、特にこれに限定されない。例えば、上記の各実施形態では、イメージセンサ140と一体的に構成される電子カラーフィルタ150を説明したが、本実施形態の電子カラーフィルタ150は、イメージセンサ140と別体で構成されてもよい。例えば、電子カラーフィルタ150は、イメージセンサ140と光学系110との間に配置されてもよいし、光学系110側に設けられてもよい。電子カラーフィルタ150は、イメージセンサ140の撮像面における各種の位置と電子カラーフィルタ150において光が入射する入射面上の位置とが対応するように適宜、位置合わせされる。
【0104】
又、本実施形態における調整部は、イメージセンサ140における各画素における光電変換の量子効率といった感度を受光率として調整する技術(例えば特許文献2)を適用して構成されてもよい。具体的に、本実施形態の調整部は、イメージセンサ140内のRGB別の各受光部による受光結果が電気信号に変換されるまでの過程において、所望のフィルタ色に応じたRGBの利得を、印加電圧などによって変化させることにより、領域別の受光率の調整を実現する構成であってもよい。あるいは、イメージセンサ140内のRGB別の各受光部による電気信号への変換過程において、各受光部が電荷を取得する期間(即ち電子的なシャッタ速度)を変える構成によっても、本実施形態の調整部は実現できる。
【0105】
また、上記の各実施形態では、デジタルカメラ100の記録部としてカードスロット190を例示したが、記録部はこれに限定されない。本実施形態において、記録部による記録先の記録媒体は、メモリカード200に限らず、例えばSSDドライブなどの外部記憶装置であってもよい。本実施形態において、記録部は、デジタルカメラ100から外部記憶装置へのデータ書き込みを行う各種インタフェース回路であってもよく、種々の通信規格に従ってデータ送信を行う各種の通信モジュールであってもよい。こうした記録部としての通信モジュールは、デジタルカメラ100から外部配信のために各種媒体へのデータ記録を行ってもよい。
【0106】
また、上記の各実施形態では、表示部の一例として表示モニタ220を例示した。本実施形態のデジタルカメラ100において、表示部は、表示モニタ220に限らず、例えばEVF(電子ビューファインダ)や、HDMI(登録商標)規格などで映像信号を出力する出力モジュール等であってもよい。
【0107】
また、上記の各実施形態では、光学系110及びレンズ駆動部120を備えるデジタルカメラ100を例示した。本実施形態の撮像装置は、光学系110及びレンズ駆動部120を備えなくてもよく、例えば交換レンズ式のカメラであってもよい。交換レンズ式の場合、電子カラーフィルタ150は、撮像装置としてのカメラ本体に設けられなくてもよい。この場合、撮像装置の調整部は、交換レンズ側に設けられた電子カラーフィルタ150を制御するインタフェース回路等の各種回路構成であってもよいし、制御部180との協働で実現されてもよい。
【0108】
また、上記の各実施形態では、撮像装置の例としてデジタルカメラを説明したが、これに限定されない。本開示の撮像装置は、画像撮影機能を有する電子機器(例えば、ビデオカメラ、スマートフォン、タブレット端末等)であればよい。
【0109】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。
【0110】
(態様のまとめ)
以下、本開示に係る各種態様を列記する。
【0111】
本開示に係る第1の態様は、複数色における光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部と、撮像部を制御する制御部と、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面における位置別に、撮像部が光を色別に受光する受光率を調整する調整部とを備える。制御部は、入射面において画像の一部に対応する位置における特定の第1色の受光率と他の位置における第1色の受光率とを異ならせるように調整部を制御し、調整部により第1色の受光率を異ならせた状態における画像を撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを生成させる。
【0112】
本開示に係る第2の態様は、第1の態様に記載の撮像装置において、制御部は、撮像部が撮像した撮像画像において調整部による第1色の受光率を調整する対象となる部分領域を検出する。
【0113】
本開示に係る第3の態様は、第1又は第2の態様に記載の撮像装置において、制御部は、撮像画像において第1色と同じ又は異なる第2色を有する領域を、部分領域として検出する。
【0114】
本開示に係る第4の態様は、第1~第3の態様の何れかに記載の撮像装置において、制御部は、撮像画像において所定の被写体が映る領域を、部分領域として検出する。
【0115】
本開示に係る第5の態様は、第1~第4の態様の何れかに記載の撮像装置が、撮像画像を表示する操作画面に対するユーザの操作が入力可能な操作部をさらに備える。制御部は、検出した部分領域を操作画面に表示させて、部分領域と、第1色と、部分領域における第1色の受光率とのうちの少なくとも一つを変更するユーザ操作を、操作部において受け付ける。
【0116】
本開示に係る第6の態様は、第1~第5の態様の何れかに記載の撮像装置が、第1色と、第1色の受光率とのうちの少なくとも一方を設定するユーザの操作が入力可能な操作部をさらに備える。
【0117】
本開示に係る第7の態様は、第1~第6の態様の何れかに記載の撮像装置が、画像データを記録媒体に記録する記録部をさらに備える。制御部は、調整部により第1色の受光率を異ならせた状態における画像を撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを記録部に記録させる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示の思想は、撮像機能を有する電子装置(デジタルカメラやカムコーダ、ボックスカメラ等の撮像装置、携帯電話、スマートフォン等)に適用することができる。
【符号の説明】
【0119】
100 デジタルカメラ
140 イメージセンサ
150 電子カラーフィルタ
180 制御部
190 カードスロット
210 操作部
220 表示モニタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12