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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178846
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】メカニカルシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/38 20060101AFI20231211BHJP
   F16J 15/34 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
F16J15/38
F16J15/34 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091788
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】眞角 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 法行
(72)【発明者】
【氏名】内山 智弘
【テーマコード(参考)】
3J041
【Fターム(参考)】
3J041AA02
3J041BA03
3J041BA09
3J041BD01
3J041DA11
3J041DA12
(57)【要約】
【課題】被密封流体の密封性を維持することができるメカニカルシールを提供すること。
【解決手段】メカニカルシール1Aは、ベアリング4で軸支された回転軸3とともに回転する回転密封環11に摺接する静止密封環12とケース13との間にスプリング14が配置され、スプリング14より被密封流体側Fに、ケース13と静止密封環12との間を密封するOリング15が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に軸支された回転軸とともに回転する回転密封環と、前記回転密封環に摺接する静止密封環と、前記機器のハウジングに取付けられるケースと、前記静止密封環と前記ケースとの間に配置された付勢部材と、を備え、前記回転密封環と前記静止密封環とにより隔離された一方の被密封流体空間から他方の漏れ空間に被密封流体が漏洩することを抑制するメカニカルシールにおいて、
前記付勢部材より前記被密封流体空間側に、前記静止密封環と前記ケースとの間を密封する二次シールが設けられているメカニカルシール。
【請求項2】
前記二次シールは、前記静止密封環の外径側に配置されている請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項3】
前記ケースには、内径方向に開放する二次シール収容凹部が形成されている請求項2に記載のメカニカルシール。
【請求項4】
前記静止密封環の外周面は、軸方向に平坦な周面である請求項3に記載のメカニカルシール。
【請求項5】
前記ケースには、軸方向に開放する付勢部材収容凹部が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のメカニカルシール。
【請求項6】
前記付勢部材収容凹部は、軸方向に突出するハウジング取付部の内側に形成されている請求項5に記載のメカニカルシール。
【請求項7】
前記回転密封環を前記回転軸に固定する固定部材を有し、
前記固定部材は、その外周面が前記静止密封環および前記ケースの内周面に対向して配置されている請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項8】
機器に軸支された回転軸とともに回転する回転密封環と、前記回転密封環に摺接する静止密封環と、前記静止密封環と前記機器のハウジングとの間に配置された付勢部材と、を備え、前記回転密封環と前記静止密封環とにより隔離された一方の被密封流体空間から他方の漏れ空間に被密封流体が漏洩することを抑制するメカニカルシールにおいて、
前記付勢部材より前記被密封流体空間側に、前記静止密封環と前記機器のハウジングとの間を密封する二次シールが設けられているメカニカルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械の回転軸の軸封に用いられるメカニカルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野において、流体の漏出を防止するためにシールが利用されている。このようなシールの一例として、軸の摩耗損傷が無く低トルク等で被密封流体を密封する分野ではメカニカルシールが利用されている。メカニカルシールは、回転軸とともに回転する回転密封環と、静止密封環と、の摺動面同士を密接摺動させることにより被密封流体の漏出を防止している。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のメカニカルシールは、静止密封環と回転密封環とが各々の摺動面が対向するように配置され、静止密封環の背面側に配置されたスプリングの付勢力によって静止密封環が回転密封環に向けて押しつけられている。また、スプリングより漏れ側である内径側において、静止密封環とケースとの間を密封する二次シールとしてのOリングが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/051867号(第7-8頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のメカニカルシールにあっては、Oリングが静止密封環の内径側に配置されていることで、静止密封環の背面側に導入された被密封流体からの力がスプリングの付勢力に加わって、静止密封環と回転密封環との密接状態が良好に維持されるようになっている。一方、被密封流体が、静止密封環の背面側に進入することで、被密封流体によるスプリングの腐食、被密封流体に混入しているコンタミネーション、塵埃等の異物によるスプリングの噛み込み等が生じ、スプリングの付勢力に不具合が生じ、被密封流体の密封性を維持できなくなる虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、被密封流体の密封性を維持することができるメカニカルシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のメカニカルシールは、
機器に軸支された回転軸とともに回転する回転密封環と、前記回転密封環に摺接する静止密封環と、前記機器のハウジングに取付けられるケースと、前記静止密封環と前記ケースとの間に配置された付勢部材と、を備え、前記回転密封環と前記静止密封環とにより隔離された一方の被密封流体空間から他方の漏れ空間に被密封流体が漏洩することを抑制するメカニカルシールにおいて、
前記付勢部材より前記被密封流体空間側に、前記静止密封環と前記ケースとの間を密封する二次シールが設けられている。
これによれば、付勢部材より被密封流体空間側に二次シールが設けられていることで、被密封流体による付勢部材の腐食や、被密封流体に混入しているコンタミネーション、塵埃等の異物による付勢部材の噛み込みが生じ、付勢部材の付勢力に不具合が生じることを防止できるため、被密封流体の密封性を維持することができる。
【0008】
前記二次シールは、前記静止密封環の外径側に配置されていてもよい。
これによれば、静止密封環と摺接する回転密封環を回転軸の近傍に配置でき、摺動トルクを低減することができる。
【0009】
前記ケースには、内径方向に開放する二次シール収容凹部が形成されていてもよい。
これによれば、静止密封環の軸方向への移動に追従して二次シールが軸方向に移動することを防止できる。
【0010】
前記静止密封環の外周面は、軸方向に平坦な周面であってもよい。
これによれば、二次シールによる静止密封環に対する軸方向への荷重影響をより低減することができる。
【0011】
前記ケースには、軸方向に開放する付勢部材収容凹部が形成されていてもよい。
これによれば、付勢部材を軸方向に伸縮可能に案内することができるため、静止密封環を安定して付勢することができる。
【0012】
前記付勢部材収容凹部は、軸方向に突出するハウジング取付部の内側に形成されていてもよい。
これによれば、ハウジング取付部をハウジングに嵌合するだけで、ケースをハウジングに容易に取付けることができる。また、ケースにおける付勢部材収容凹部以外の部分が被密封流体側に接するので、静止密封環や付勢部材を好適に冷却することができる。
【0013】
前記回転密封環を前記回転軸に固定する固定部材を有し、
前記固定部材は、その外周面が前記静止密封環および前記ケースの内周面に対向して配置されていてもよい。
これによれば、固定部材とケースとの間に軸方向に狭小の隙間が延びているため、付勢部材に外部の流体がコンタミネーション、塵埃等の異物とともに進入しにくくなっている。
【0014】
機器に軸支された回転軸とともに回転する回転密封環と、前記回転密封環に摺接する静止密封環と、前記静止密封環と前記機器のハウジングとの間に配置された付勢部材と、を備え、前記回転密封環と前記静止密封環とにより隔離された一方の被密封流体空間から他方の漏れ空間に被密封流体が漏洩することを抑制するメカニカルシールにおいて、
前記付勢部材より前記被密封流体空間側に、前記静止密封環と前記機器のハウジングとの間を密封する二次シールが設けられている。
これによれば、付勢部材より被密封流体空間側に二次シールが設けられていることで、被密封流体による付勢部材の腐食や、被密封流体に混入しているコンタミネーション、塵埃等の異物と付勢部材の噛み込みが生じ、付勢部材の付勢力に不具合が生じることを防止できるため、被密封流体の密封性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る実施例1としてのメカニカルシールを含む回転機械を示す断面図である。
図2図1の要部拡大断面図である。
図3】廻り止め手段を示す断面図である。
図4】本発明に係る実施例2としてのメカニカルシールを示す断面図である。
図5】本発明に係る実施例3としてのメカニカルシールを示す断面図である。
図6】本発明に係る実施例4としてのメカニカルシールを示す断面図である。
図7】本発明に係る実施例5としてのメカニカルシールを示す断面図である。
図8】本発明の変形例1としてのメカニカルシールを示す断面図である。
図9】本発明の変形例2としてのメカニカルシールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るメカニカルシールを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
実施例1としてのメカニカルシールについて、図1図3に基づいて説明する。以下、図1を正面側から見て、左右側をメカニカルシールの左右側として説明する。
【0018】
図1及び図2に示されるように、例えば、本実施例のメカニカルシールは、機器としての回転機械の機外側の空間S1を含む被密封流体側F(被密封流体空間)と、回転機械の機内側の空間S2、S3、S4、S5、S6を含む漏れ側R(漏れ空間)とを隔離する2個のメカニカルシール1A,1Bからなる。
【0019】
メカニカルシール1A,1Bは、摺動面の外径側である被密封流体側Fから、内径側である漏れ側Rに向かって漏れようとする被密封液体を密封するインサイド形のものである。尚、メカニカルシール1A,1Bは、軸方向の左右側にそれぞれ左右対称に配置されているが、構成はほぼ同様であるため、以下においては、メカニカルシール1Aについて説明し、メカニカルシール1Bについての説明は省略する。
【0020】
回転機械は、ハウジング2と、ハウジング2に対し左右方向を向く軸を中心として周方向に回転可能に設けられた回転軸3と、軸受部としての複数のベアリング4と、を備える。ベアリング4は、回転軸3の外周に固定される内輪4aと、ハウジング2に固定される外輪4bと、転動体4cと、からなる。
【0021】
ハウジング2は、ハウジング本体2Aとカバー2Bとから構成されており、左側には空間S1が形成されており、空間S1内には、回転軸3との間に形成された隙間5(図2参照)から被密封流体としてのクーラント(すなわち切削油)が進入可能とされている。つまり、空間S1は被密封流体側Fの一部である。
【0022】
図2に示されるように、メカニカルシール1Aは、回転密封環11と、回転密封環11に摺接する静止密封環12と、静止密封環12の外径側を覆うケース13と、静止密封環12とケース13との間に設けられるスプリング14及びOリング15と、を備える。
【0023】
回転密封環11と静止密封環12とは、スプリング14の軸方向の付勢力によってそれぞれの摺動面11a,12aが密接している。また、回転密封環11と静止密封環12とは、円環状に形成された摺動部材であり、回転密封環11は硬質材料であるSiC、静止密封環12は軸受鋼で形成されている。
【0024】
尚、回転密封環11及び静止密封環12は、SiCと軸受鋼とで構成されていたが、回転密封環11及び静止密封環12双方がSiCと軸受鋼とのうちいずれか一方で構成されていてもよい。また、摺動部材の材料は、メカニカルシール用摺動材料として使用されているものであれば、上記以外でも適用可能であり、例えばSiC以外のセラミックス、軸受鋼以外の金属材料、樹脂材料、複合材料等を適用可能である。
【0025】
回転密封環11は、回転軸3に外嵌され、回転軸3とともに周方向に回転可能となっている。詳しくは、回転軸3の外周面の左端部には、外径側及び軸方向の左側に開放する切欠部3cが形成されており、回転密封環11は、軸方向の左端側から切欠部3cに挿入される。
【0026】
また、切欠部3cの外周面に形成された雄ねじ部にはナット6が螺入されている。このナット6を締め付けることにより、ナット6と切欠部3cの右端から外径側に延びる立壁部3dとの間に回転密封環11が挟持され、回転軸3に対する回転密封環11の軸方向への移動及び周方向への相対回転が規制される。
【0027】
また、切欠部3cの立壁部3d側には、Oリング収容凹部7が設けられている。Oリング収容凹部7は、回転密封環11側に開放する凹溝状、言い換えると曲げ箇所が角をなすU字状に形成されており、内部には、例えば、円環状のフッ素ゴム材からなるOリング8が収容されている。
【0028】
静止密封環12は、摺動面12aが回転密封環11の摺動面11aに対し密接するように、回転密封環11の右側に配置されている。一方、回転軸3の外周面との間には空間S2が形成されており、回転軸3とともに回転しないように、ケース13を介してハウジング2側に取付けられている。
【0029】
ケース13は、例えば、ステンレスなどの金属材により環状に形成されている。ケース13は、ハウジング取付部20Aと、ハウジング取付部20Aよりも外径側に突出する突出部21Aと、を有している。ハウジング取付部20Aの内側はスプリング14を収容するスプリング収容凹部20となっており、突出部21Aの内側はOリング15を収容するOリング収容凹部21となっている。
【0030】
ハウジング取付部20Aは、回転軸3側に配置される内筒部20aと、内筒部20aの右端から外径側に延びる円環状かつ板状の円環部20bと、円環部20bの外径側の端部から左側に向けて延びる外筒部20cと、により構成されている。
【0031】
突出部21Aは、外筒部20cの左端から外径側に延びる円環状かつ板状の円環部21aと、円環部21aの外径側の端部から左側に向けて延びる外筒部21bと、外筒部21bの左端から内径側に延びる円環状かつ板状の円環部21cと、により構成されている。
【0032】
静止密封環12は、スプリング14の軸方向の左側で、かつ、Oリング15の内径側に、ケース13に対し軸方向に向けて相対移動可能に設けられている。尚、静止密封環12は、ケース13に対し外径側で所定の空間を隔てて配置されている。
【0033】
スプリング収容凹部20は、ハウジング取付部20Aにより区画された空間であって、静止密封環12側に開放する凹溝状、言い換えると曲げ箇所が角をなすU字状に形成されている。
【0034】
スプリング収容凹部20は、ケース13における静止密封環12の右側、つまり、摺動面12aの裏面側に形成されている。また、内筒部20aと回転軸3の外周面との間には空間S3が形成されており、ケース13が回転軸3に接触しないようになっている。
【0035】
スプリング収容凹部20には、スプリング14が周方向にわたり収容されている。スプリング14は、例えば、コイルドウェーブスプリングからなり、静止密封環12に対し回転密封環11側への軸方向の付勢力を付与する。また、スプリング14は、軸方向に延びる内筒部20aと外筒部20cとにより、軸方向に向けて伸縮可能に案内される。
【0036】
Oリング収容凹部21は、突出部21Aにより区画された空間であって、内径方向に開放する凹溝状、言い換えると曲げ箇所が角をなすU字状に形成されている。Oリング収容凹部21は、ケース13におけるスプリング収容凹部20よりも外径側かつ左側、すなわち静止密封環12の外径側に形成されている。
【0037】
Oリング収容凹部21には、例えば、円環状のフッ素ゴム材からなるOリング15が収容されており、Oリング15は、弾性変形可能であり、静止密封環と12とケース13の外筒部21bとの間を密封する二次シールとして機能している。また、Oリング15の左右側には、径方向に延びる円環部21a,21cが当接可能に配置されていることで、Oリング15は軸方向への移動が規制されている。
【0038】
ケース13におけるハウジング取付部20Aは軸方向の右側に向けて突出しており、ハウジング2に形成された軸孔2aに嵌合して密封状で取付けられる。詳しくは、ハウジング取付部20Aの内側部分は、スプリング収容凹部として機能し、ハウジング取付部20Aの外側部分は、ハウジング2の軸孔2aに嵌合可能な取付部として機能する。
【0039】
一方、ケース13における突出部21Aは外径側に突出している。詳しくは、突出部21Aの内側のOリング収容凹部21は、Oリング収容凹部として機能し、突出部21Aの外側部分は、ハウジング2外の空間S1内に配置される部位となっている。
【0040】
このように、ケース13は、ハウジング取付部20Aと突出部21Aとのうち一方が他方に対して突出している。よって、ハウジング取付部20Aをハウジング2の軸孔2aに嵌合して取付けた状態において、ケース13における突出部21Aは、ハウジング取付部20Aよりも被密封流体側Fに配置される。
【0041】
摺動面11a,12aより内径側の空間である漏れ側Rは、空間S2,S3、ハウジング2と回転軸3との間の空間S4、ベアリング4内部の空間S5、及びケース13内部の空間S6を含む。ケース13内部の空間S6は、静止密封環12の外径側でOリング15により被密封流体側Fとは連通していない。
【0042】
Oリング15は、スプリング14より被密封流体側Fにて、静止密封環12とケース13とを密封するように設けられていることで、ケース13の円環部21cと静止密封環12との空間からケース13内に被密封流体が進入しても、Oリング15により漏れ側Rへの進入が阻止される。このように、被密封流体側Fと漏れ側Rとは、摺動面11a,12aと、二次シールとしてのOリング15とにより密封されている。尚、上述したように、ケース13はハウジング2に密封状に取り付けられている。
【0043】
また、ハウジング2の軸孔2aにおける径方向の長さ寸法L1は、摺動面11a,12aにおける径方向の長さ寸法L2とケース13の板厚方向の長さ寸法L3とを合算した寸法とほぼ同寸である(L1≒L2+L3)。ケース13の板厚方向の長さ寸法L3はOリング15の径方向寸法である直径よりも小さい。
【0044】
つまり、静止密封環12の外径側にOリング15を配置することで、静止密封環12及びスプリング14を回転軸3の近傍に配置することができ、また、静止密封環12に合わせて回転密封環11を回転軸3の近傍に配置できる。これにより、摺動面11a,12aは回転軸3からの距離が近くなるため、摺動面11a,12aにおける摺動トルクを低減することができる。また、摺動面11a,12aにおける径方向の長さ寸法L2が、軸孔2aにおける径方向の長さ寸法L1よりも長寸である場合でも、メカニカルシール1Aを設置することができる。
【0045】
また、突出部21Aがハウジング取付部20Aよりも径方向に突出していることで、軸孔2aにおける径方向の長さ寸法L1よりも比較的長寸の摺動面12aを有する静止密封環12を取り付けることができる。
【0046】
また、ハウジング取付部20Aがハウジング2の軸孔2aに嵌合されたときに、円環部21aの外面が軸孔2aの底面に軸方向に当接して軸方向の位置が決定される。これにより、突出部21Aがハウジング2に接触して変形することなく、突出部21Aの形状が正確に保持されるため、Oリング15の密封性が好適に維持される。
【0047】
図3に示されるように、メカニカルシール1Aは、ケース13に対する静止密封環12の周方向への回転を規制する廻り止め手段30を備える。
【0048】
詳しくは、静止密封環12の内周面におけるスプリング14側には、内径側及び軸方向の右側に開放する切欠部31が、周方向の複数個所に形成されている。一方、ケース13の内筒部20aには、径方向及び軸方向の左側に開放する切欠部32が、周方向の複数個所に形成されており、各切欠部32の間には凸状の規制部20dとなっている。
【0049】
静止密封環12に形成された各切欠部31には、内筒部20aの規制部20dが、静止密封環12と周方向に重複して配置されている。よって、静止密封環12が周方向に回転すると、切欠部31の周方向の端部が規制部20dの周方向の端部に当接することにより回転が規制される。
【0050】
つまり、廻り止め手段30は、静止密封環12の切欠部31とケース13の規制部20dとにより構成されている。尚、廻り止め手段は、上記した廻り止め手段30に限定されるものではなく、例えば、静止密封環12とケース13とのうち一方に設けられた孔部と、他方に設けられ孔部に挿入可能なピン等の突出部材と、により構成されていてもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施例1のメカニカルシール1A,1Bは、ベアリング4で軸支された回転軸3とともに回転する回転密封環11に摺接する静止密封環12とケース13との間にスプリング14が配置され、スプリング14より被密封流体側Fに、ケース13と静止密封環12との間を密封するOリング15が設けられている。
【0052】
このように、スプリング14より被密封流体側FにOリング15が設けられていることで、ケース13内部の空間S6におけるOリング15よりスプリング14側へ被密封流体が進入することはない。よって、被密封流体によるスプリング14、ベアリング4の腐食や、被密封流体に混入したコンタミネーション、塵埃等の異物の噛み込みが生じ、スプリング14の付勢力やベアリング4の回転動作に不具合が生じることを防止できる。そのため、長期に亘って被密封流体の密封性を維持することができる。
【0053】
また、Oリング15は、静止密封環12の外径側に配置されていることで、静止密封環12及びスプリング14とともに回転密封環11を回転軸3の近傍に配置することができる。これにより、摺動面11a,12aは回転軸3からの距離が近くなるため、摺動トルクを低減することができる。また、Oリング15の押圧力は静止密封環12に対し径方向に作用することで、Oリング15による静止密封環12に対する軸方向への荷重影響が低減し、スプリング14の荷重影響の方が大きくなる。よって、静止密封環12に対する荷重コントロールの設定が容易になる。
【0054】
また、ケース13には、内径方向に開放するOリング収容凹部21が形成されていることで、静止密封環12の軸方向への移動に追従してOリング15が軸方向に移動することを防止できる。
【0055】
また、静止密封環12の外周面12sは、軸方向に平坦な周面であることで、Oリング15による静止密封環12に対する軸方向への荷重影響をより低減することができる。
【0056】
また、ケース13には、軸方向に開放するスプリング収容凹部20が形成されていることで、スプリング14を軸方向に伸縮可能に案内することができるため、静止密封環12を安定して付勢することができる。
【0057】
また、ハウジング取付部20Aをハウジング2の軸孔2aに嵌合するだけで、ケース13をハウジング2に容易に取付けることができる。
【0058】
また、ケース13におけるスプリング収容凹部20が内側に形成されるハウジング取付部20Aは軸孔2a内に嵌合される一方で、Oリング収容凹部21が内側に形成される突出部21Aは被密封流体側Fに配置される。
【0059】
よって、ケース13内部の空間S6におけるOリング15よりも漏れ側Rに被密封流体が進入しない構造でも、ケース13の突出部21Aは空間S1に入り込む形状でクーラントと広い面積で接することで、ケース13を介して静止密封環12やスプリング14を好適に冷却することができる。
【0060】
また、ケース13内部の空間S6におけるOリング15より漏れ側Rに被密封流体が進入しないことで、被密封流体による静止密封環12に対する軸方向への荷重影響が生じることはない。そのため、スプリング14の荷重が支配的であるため、静止密封環12に対する荷重コントロールの設定が容易になる。
【実施例0061】
次に、本発明の実施例2としてのメカニカルシールについて、図4に基づいて説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明については省略する。
【0062】
図4に示されるように、本実施例2としての回転機械の回転軸3は、外周面の左側端部に切欠部3cが形成されておらず、メカニカルシール101Aの回転密封環11は、回転軸3の外周面に嵌合により固定されている。
【0063】
また、本実施例2におけるケース60は、ケース本体61と、ケースカバー62と、から構成されている。ケース本体61及びケースカバー62は、例えば、ステンレスなどの金属材により環状に形成されている。
【0064】
詳しくは、ケース本体61は、前記実施例1のケース13の円環部21cに相当する壁部がなく、Oリング収容凹部21の軸方向の左側が開放されており、この開放部がケースカバー62により覆われている。
【0065】
ケースカバー62は、Oリング収容凹部21の左側にて外径方向に延びる円環部62aと、円環部62aの外径側の端部から軸方向の右側に向けて延びる外筒部62bと、から構成される。
【0066】
ケースカバー62をケース本体61に回転密封環11側から嵌合することで、外筒部62bは、ケース本体61の外筒部21bの外径側に配置され、円環部62aは、Oリング収容凹部21の軸方向の左側の開放部を被覆するように配置される。
【0067】
また、静止密封環12の外周面12sの左側端部には、外径側及び軸方向の左側に開放する切欠部12bが形成されており、円環部62aの内径側の端部が切欠部12bの外周面に近接している。よって、切欠部12bの右側から外径側に延びる立壁部12cが円環部62aに当接することにより、静止密封環12の回転密封環11側への移動が規制されるため、ケース60からの静止密封環12の逸脱が防止される。
【0068】
このように、本実施例2のメカニカルシール101Aのように、ケース60は、ケース本体61と、ケース本体61の外径側に嵌合可能なケースカバー62と、から構成されていてもよい。これによれば、メカニカルシール101Aの静止密封要素を構成する静止密封環12,スプリング14、Oリング15及びケース60をユニット化できるため、メカニカルシール101Aの運搬や組み立て作業性に優れる。
【実施例0069】
次に、本発明の実施例3としてのメカニカルシールについて、図5に基づいて説明する。尚、前記実施例1や前記実施例2と同一構成で重複する構成の説明については省略する。
【0070】
図5に示されるように、本実施例3としての回転機械の回転軸3は、外周面の左端部側に切欠部3cが形成されておらず、メカニカルシール111Aの回転密封環11は、回転軸3の外周面に嵌合により固定されている。
【0071】
また、本実施例3におけるケース70は、ケース本体71と、ケースカバー72と、から構成されている。ケース本体71及びケースカバー72は、例えば、ステンレスなどの金属材により環状に形成されている。
【0072】
ケースカバー72は、静止密封環12の内径側に配置され、内径方向に延びる円環部72aと、円環部72aの内径側の端部から軸方向の右側に向けて延びる内筒部72bと、から構成される。静止密封環12の内周面の左側端部には、内径側及び軸方向の左側に開放する切欠部12dが形成されており、円環部72aの外径側の端部が切欠部12dの内周面に近接している。
【0073】
ケースカバー72をケース本体71に回転密封環11側から嵌合することで、内筒部72bは静止密封環12の内径側に配置され、円環部72aは、切欠部12dの右側から内径側に延びる立壁部12eに対向して配置される。よって、切欠部12dの立壁部12eが円環部72aに当接することにより、静止密封環12の回転密封環11側への移動が規制されるため、ケース70からの静止密封環12の逸脱が防止される。
【0074】
このように、本実施例3のメカニカルシール111Aのように、ケース70は、ケース本体71と、ケース本体71の内径側に嵌合可能なケースカバー72と、から構成されていてもよい。これによれば、メカニカルシール111Aの静止密封要素を構成する静止密封環12,スプリング14、Oリング15及びケース70をユニット化できるため、メカニカルシール111Aの運搬や組み立て作業性に優れる。
【0075】
また、静止密封環12の劣化に伴う交換作業を容易に行うことができる。また、運搬時においてケース本体71にケースカバー72を嵌合することで、静止密封環12の逸脱を防止できる。
【実施例0076】
次に、本発明の実施例4としてのメカニカルシールについて、図6に基づいて説明する。尚、前記実施例1~3と同一構成で重複する構成の説明については省略する。
【0077】
前記実施例1において、回転機械における軸方向の左右側にそれぞれ左右対称に配置されたメカニカルシール1A,1Bは、静止密封環12より軸方向の端部側に回転密封環11が配置され、静止密封環12より軸方向の中央側にスプリング14が配置される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
例えば、図6に示される実施例4としてのメカニカルシール151Aのように、静止密封環12より軸方向の中央側に回転密封環11が配置され、静止密封環12より軸方向の端部側にスプリング14が配置される形態のメカニカルシールでもよい。
【0079】
メカニカルシール151Aは、特に図示しないが、前記実施例1~3と同じように、回転機械における軸方向の左右側にそれぞれ左右対称に配置されており、左右のメカニカルシールの間の空間S4、S5には潤滑油である被密封流体が密封されている。
【0080】
つまり、メカニカルシール151Aは、ハウジング2と回転軸3との間の空間S4や、ベアリング4内部の空間S5などの回転機械の内側の空間を含む被密封流体側Fと、回転機械の機外側に連通する空間S10、S11を含む漏れ側Rと、を隔離している。尚、ハウジング2は、ハウジング本体2Cとカバー2Dとから構成されている。
【0081】
また、回転密封環11は、固定部材155により回転軸3に固定されている。詳しくは、回転軸3の外周面から外径側に延びる立壁部3dと固定部材155とにより軸方向に挟まれた状態で回転軸3に固定されている。尚、固定方法は固定部材155の回転軸3への圧入に限らず、溶接や螺合であってもよい。
【0082】
また、固定部材155の外径側に静止密封環12やケース13が配置されている。また、ケース13は、カバー2Dに形成された凹部2rに圧入固定されている。詳しくは、ケース13におけるハウジング取付部20Aは軸方向の左側に向けて突出しており、カバー2Dに形成された凹部2rに密封状で取付けられる。また、ハウジング取付部20Aの内側部分は、スプリング収容凹部として機能し、ハウジング取付部20Aの外側部分は、カバー2Bの凹部2rに取付け可能な取付部として機能する。
【0083】
空間S10は、固定部材155と静止密封環12との間に形成された空間であり、空間S11は、固定部材155とケース13との間に形成された空間である。
【0084】
漏れ側Rとなる空間S10、S11内には、隙間5から外部流体が進入可能とされているが、Oリング15と摺動面11a,12aとにより、空間S10、S11の外部流体が被密封流体側Fに進入することはない。
【0085】
このように、実施例4としてのメカニカルシール151Aにあっては、スプリング14より被密封流体側FにOリング15が設けられていることで、ケース13内部の空間におけるOリング15よりスプリング14側へ被密封流体が進入することはない。よって、被密封流体によるスプリング14、ベアリング4の腐食や、コンタミネーション、塵埃等の異物の噛み込みが生じ、スプリング14の付勢力に不具合が生じることを防止できる。
【0086】
また、固定部材155は、その外周面が静止密封環12及びケース13の内周面に近接して対向配置されていることで、固定部材155とケース13の内周面との間に軸方向に狭小の空間S11が延びているため、スプリング14に外部流体がコンタミネーション、塵埃等の異物とともに進入しにくくなっている。また、固定部材155と静止密封環12の内周面との間に軸方向に狭小の空間S10が延びているため、摺動面11a,12aに外部流体がコンタミネーション、塵埃等の異物とともに進入しにくくなっている。
【実施例0087】
次に、本発明の実施例5としてのメカニカルシールについて、図7に基づいて説明する。尚、前記実施例1~4と同一構成で重複する構成の説明については省略する。
【0088】
また、前記実施例1~4では、スプリング14及びOリング15が、静止密封環12とケース13との間に設けられた形態を例示したが、例えば、図7に示される実施例5としてのメカニカルシール141Aのように、スプリング14及びOリング15は、ケース13を介すことなく、静止密封環12とハウジング2との間に設けられていてもよい。
【0089】
尚、ハウジング2は、ハウジング本体2Eとカバー2Fとから構成されている。ハウジング本体2Eには軸方向端部側に延びる断面略L字形に突出部2Gが形成され、突出部2Gよりも内径側において軸方向他端側に開口するOリング収容凹部21が形成されている。
【0090】
このように、実施例5としてのメカニカルシール141Aにあっては、スプリング14より被密封流体側FにOリング15が設けられていることで、ハウジング2における突出部2G及び軸孔2aにより形成された内部空間におけるOリング15よりスプリング14側へ被密封流体が進入することはない。よって、被密封流体によるスプリング14、ベアリング4の腐食や、コンタミネーション、塵埃等の異物の噛み込みが生じ、スプリング14の付勢力に不具合が生じることを防止できる。
【0091】
尚、突出部2Gはカバー2Fに形成されていてもよい。また、図示はしないが、スプリング14とOリング15とのうちいずれか一方がケース13との間に設けられ、他方がハウジング2との間に設けられてもよい。
【0092】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。尚、以下の変形例において、前記実施例1~5と同一構成で重複する構成の説明については省略する。
【0093】
例えば、前記実施例1~5では、Oリング15が静止密封環12の最も外径側、すなわち静止密封環12の外周面12sにおいて外径寸法が最も大きい大径部の外周面に配置される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図8に示される変形例1としてのメカニカルシール121Aのように、静止密封環12の最も外径側に配置されていなくてもよい。
【0094】
具体的には、静止密封環12の外周面12sの右側には、外径側及び軸方向の右側に開放する切欠部12fが形成されており、Oリング15は、静止密封環12の外周面12sにおける切欠部12fに対応する部分に配置されている。つまり、Oリング15は、切欠部12fに対応しない外周面よりも内径側に形成された切欠部12fの外周面に配置されていてもよい。
【0095】
また、前記実施例1~4では、Oリング収容凹部21がケース13、前記実施例5ではハウジング2に形成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図9に示される変形例2としてのメカニカルシール131Aのように、Oリング収容凹部21が、静止密封環12に形成されていてもよく、例えば、静止密封環12の外周面12sに周方向に形成される凹溝12gがOリング収容凹部として機能してもよい。
【0096】
また、前記実施例1~5では、スプリング14は、Oリング15よりも内径側に配置されていたが、Oリング15より漏れ側Rに配置されていれば、図9に示される変形例2としてのメカニカルシール131Aのように、Oリング15と径方向のほぼ同じ位置に配置されていてもよい。また、特に図示しないが、スプリング14はOリング15よりも外径側に配置されていてもよい。
【0097】
また、前記実施例1~5及び変形例1,2では、メカニカルシール1A,1B,101A,111A,121A,131A,141A,151Aは、スプリング14が静止密封環12を回転密封環11に向けて付勢している形態、いわゆる静止型を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、回転密封環11を静止密封環12に向けて付勢する形態、いわゆる回転型であってもよい。
【0098】
また、被密封流体の漏れ方向が摺動面11a,12aにおける外径側から内径側であるインサイド形のメカニカルシールに本発明を適用した形態を例示したが、アウトサイド形のメカニカルシールにも本発明を適用可能である。尚、アウトサイド形の場合、二次シールは静止密封環12の内径側に配置されていてもよい。
【0099】
また、前記実施例1~4及び変形例1,2では、スプリング収容凹部20とOリング収容凹部21とがケース13に形成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、静止密封環12とケース13との間にスプリング14及びOリング15が設けられていれば、必ずしもスプリング収容凹部20とOリング収容凹部21とが形成されていなくてもよい。
【0100】
また、前記実施例1~4及び変形例1,2では、ケース13,60,70の各部の板厚寸法はほぼ同一である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一部が板状でなくブロック状に形成されていてもよい。
【0101】
また、前記実施例1では、被密封流体側Fと漏れ側Rとの間に2個のメカニカルシール1A,1Bが設けられた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3個以上のメカニカルシールが設けられてもよいし、1個のメカニカルシールが設けられていてもよい。
【0102】
また、前記実施例1~5及び変形例1,2では、二次シールの一例としてOリング15を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、Oリング15とは断面形状が異なる他の接触型のシール部材を用いてもよい。
【0103】
また、前記実施例1~5及び変形例1,2では、回転密封環11を回転軸3に直接固定する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリーブ等を介して回転密封環11を回転軸3に間接的に固定するものであってもよい。
【0104】
また、前記実施例1~5及び変形例1,2では、付勢部材の一例として、回転軸3の外周に挿入される環状のコイルドウェーブスプリングを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、圧縮コイルバネや板バネなど、コイルドウェーブスプリング以外のスプリングを適用してもよい。また、回転軸3の外周に挿入される環状のスプリングではなく、回転軸3の周方向に複数のスプリングを配置してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1A,1B メカニカルシール
2 ハウジング
2a 軸孔
3 回転軸
4 ベアリング
11 回転密封環
11a,12a 摺動面
12 静止密封環
12s 外周面
13 ケース
14 スプリング(付勢部材)
15 Oリング(二次シール)
20 スプリング収容凹部
20A ハウジング取付部
20a 内筒部(ハウジング取付部)
21A 円環部(ハウジング取付部)
20c 外筒部(ハウジング取付部)
21 Oリング収容凹部(二次シール収容凹部)
21B 突出部
21a 円環部
21b 外筒部
21c 円環部
30 廻り止め手段
60,70 ケース
61,71 ケース本体
62,72 ケースカバー
101A、111A メカニカルシール
121A,131A メカニカルシール
151A メカニカルシール
155 固定部材
F 被密封流体側(被密封流体空間側)
R 漏れ側(漏れ空間側)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9