(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178861
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】遅延時間の調整を可能とする端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/1268 20230101AFI20231211BHJP
H04W 72/044 20230101ALI20231211BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20231211BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20231211BHJP
【FI】
H04W72/12 150
H04W72/04 137
H04W72/14
H04W88/02 151
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091816
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀口 桃子
(72)【発明者】
【氏名】宮内 勇介
(72)【発明者】
【氏名】難波 忍
(72)【発明者】
【氏名】北藪 透
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD30
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】ユーザデータの発生から送信までの期間を短縮する制御を可能とすること。
【解決手段】端末装置は、ユーザデータが発生したタイミングを特定し、そのタイミングに関する情報を基地局装置へ通知する。基地局装置は、接続中の端末装置においてユーザデータが発生したタイミングに関する情報を取得し、その情報に基づいて決定された、端末装置がユーザデータに先立って送信すべきスケジューリング要求のためのリソースの周期の情報を、その端末装置へ通知する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
ユーザデータが発生したタイミングを特定する特定手段と、
前記タイミングに関する情報を基地局装置へ通知する通知手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記ユーザデータが発生した時刻を、前記タイミングに関する情報として前記基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記ユーザデータが発生した時刻から、当該ユーザデータを送信するのに先立って送信される所定の信号が送信されるまでの時間差をさらに特定し、
前記通知手段は、前記特定手段によって特定された時間差の情報を、前記タイミングに関する情報として前記基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記ユーザデータが発生した時刻から、当該ユーザデータが送信されるまでの時間差をさらに特定し、
前記通知手段は、前記特定手段によって特定された時間差の情報を、前記タイミングに関する情報として前記基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記時間差を示すそれぞれ異なる値の範囲に対して異なるインデクス値が割り当てられ、
前記通知手段は、前記タイミングに関する情報として、前記特定手段によって特定された前記時間差に対応する前記インデクス値を前記基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記特定手段は、複数の前記ユーザデータのそれぞれについての前記時間差を特定し、
当該特定した前記時間差の統計値を示す情報を、前記タイミングに関する情報として前記基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の端末装置。
【請求項7】
前記統計値を示すそれぞれ異なる値の範囲に対して異なるインデクス値が割り当てられ、
前記通知手段は、前記タイミングに関する情報として、前記特定手段によって特定された前記統計値に対応する前記インデクス値を前記基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記タイミングに関する情報を、前記ユーザデータを送信する信号に含めて、前記基地局装置へ送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記信号の媒体アクセス制御(MAC)ヘッダに前記タイミングに関する情報を含めて、前記基地局装置へ送信する、ことを特徴とする請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記通知手段は、前記タイミングに関する情報を、前記ユーザデータを送信する信号とは異なる信号に含めて、前記基地局装置へ送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項11】
基地局装置であって、
接続中の端末装置においてユーザデータが発生したタイミングに関する情報を取得する取得手段と、
前記情報に基づいて決定された、前記端末装置がユーザデータに先立って送信すべきスケジューリング要求のためのリソースの周期の情報を、前記端末装置へ通知する通知手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項12】
前記取得手段は、前記ユーザデータが発生した時刻を、前記タイミングに関する情報として前記端末装置から取得する、ことを特徴とする請求項11に記載の基地局装置。
【請求項13】
前記取得手段は、前記ユーザデータが発生した時刻から、当該ユーザデータを送信するのに先立って送信される所定の信号が送信されるまでの時間差の情報を、前記タイミングに関する情報として前記端末装置から取得する、ことを特徴とする請求項11に記載の基地局装置。
【請求項14】
前記取得手段は、前記ユーザデータが発生した時刻から、当該ユーザデータが送信されるまでの時間差の情報を、前記タイミングに関する情報として前記端末装置から取得する、ことを特徴とする請求項11に記載の基地局装置。
【請求項15】
前記時間差を示すそれぞれ異なる値の範囲に対して異なるインデクス値が割り当てられ、
前記取得手段は、前記タイミングに関する情報として、前記時間差に対応する前記インデクス値を前記端末装置から取得する、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の基地局装置。
【請求項16】
前記取得手段は、複数の前記ユーザデータのそれぞれについての前記時間差の統計値を示す情報を、前記タイミングに関する情報として前記端末装置から取得する、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の基地局装置。
【請求項17】
前記統計値を示すそれぞれ異なる値の範囲に対して異なるインデクス値が割り当てられ、
前記取得手段は、前記タイミングに関する情報として、前記統計値に対応する前記インデクス値を前記端末装置から取得する、ことを特徴とする請求項16に記載の基地局装置。
【請求項18】
前記取得手段は、前記タイミングに関する情報と前記ユーザデータを含んだ信号を前記端末装置から受信し、当該信号から前記タイミングに関する情報を取得する、ことを特徴とする請求項11に記載の基地局装置。
【請求項19】
前記信号の媒体アクセス制御(MAC)ヘッダに前記タイミングに関する情報が含められており、
前記取得手段は、前記信号のMACヘッダを解析することにより前記タイミングに関する情報を取得する、ことを特徴とする請求項18に記載の基地局装置。
【請求項20】
前記取得手段は、前記タイミングに関する情報を含んだ前記ユーザデータを送信する信号とは異なる信号を前記端末装置から受信し、当該受信した信号から前記タイミングに関する情報を取得する、ことを特徴とする請求項11に記載の基地局装置。
【請求項21】
端末装置によって実行される制御方法であって、
ユーザデータが発生したタイミングを特定することと、
前記タイミングに関する情報を基地局装置へ通知することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項22】
基地局装置によって実行される制御方法であって、
接続中の端末装置においてユーザデータが発生したタイミングに関する情報を取得することと、
前記情報に基づいて決定された、前記端末装置がユーザデータに先立って送信すべきスケジューリング要求のためのリソースの周期の情報を、前記端末装置へ通知することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項23】
端末装置に備えられたコンピュータに、
ユーザデータが発生したタイミングを特定させ、
前記タイミングに関する情報を基地局装置へ通知させる、
ためのプログラム。
【請求項24】
基地局装置に備えられたコンピュータに、
接続中の端末装置においてユーザデータが発生したタイミングに関する情報を取得させ、
前記情報に基づいて決定された、前記端末装置がユーザデータに先立って送信すべきスケジューリング要求のためのリソースの周期の情報を、前記端末装置へ通知させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における遅延時間の調整を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低遅延の無線通信サービスへの要求が高まってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無線通信サービスの遅延を十分に削減するには、ユーザデータが発生してすぐにそのユーザデータが無線信号として送信されることが重要である。
【0004】
本発明は、ユーザデータの発生から送信までの期間を短縮する制御を可能とするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による端末装置は、ユーザデータが発生したタイミングを特定する特定手段と、前記タイミングに関する情報を基地局装置へ通知する通知手段と、を有する。
【0006】
本発明の一態様による基地局装置は、接続中の端末装置においてユーザデータが発生したタイミングに関する情報を取得する取得手段と、前記情報に基づいて決定された、前記端末装置がユーザデータに先立って送信すべきスケジューリング要求のためのリソースの周期の情報を、前記端末装置へ通知する前記端末装置へ通知する通知手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザデータの発生から送信までの期間を短縮する制御を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】端末装置から基地局装置へ通知される情報の形式の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(システム構成)
図1に、本実施形態にかかる無線通信システムの構成例を示す。無線通信システムは、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))によって標準化された第5世代(5G)のセルラ通信規格に準拠したセルラ通信システムでありうる。なお、これは一例であり、例えばロングタームエボリューション(LTE)などの5G以前の規格や、5Gより後の規格に従うセルラ通信システムであってもよいし、他の任意の無線通信規格に従う無線通信システムであってもよい。無線通信システムは、基地局装置101と端末装置102とを含む。なお、これは一例であり、2つ以上の基地局装置及び端末装置が当然に含まれてもよく、また、例えば、端末装置間又は基地局装置間の通信や、他の種類の通信など、任意の通信装置間の通信において、以下の議論を適用することができる。
【0011】
本無線通信システムでは、基地局装置101が、端末装置102に対して、低遅延の通信サービスを提供するものとする。遅延を十分に抑制するには、ユーザデータの発生の直後に、そのユーザデータを送信可能とするリソースが確保され、そのリソースを用いてユーザデータが送受信されることが重要である。なお、ここでのリソースは、例えば、5G規格において規定されている1つ以上の物理リソースブロックなどの周波数および時間リソースである。ここで、リソースの割り当てが基地局装置101によって行われる。このため、基地局装置101から端末装置102へ信号が送信される下りリンクの通信においては、基地局装置101がユーザデータの発生をすぐに検出することができ、その結果、そのユーザデータの送信のために短時間でリソースを割り当てることができる。一方で、端末装置102から基地局装置101へ信号が送信される上りリンク通信においては、端末装置102においてユーザデータが発生したことを、端末装置102が基地局装置101へスケジューリング要求(SR)を送信することによって通知する必要がある。なお、端末装置102がSRを送信可能なリソースは、基地局装置101によって、一定の時間間隔で周期的に発生するように設定される。ユーザデータが発生した直後にSRが送信されることにより、通信サービスの遅延を十分に抑制することができる。しかしながら、端末装置102は、上述のようなSRを送信可能な所定のリソースにおいてのみSRを送信可能である。したがって、端末装置102は、ユーザデータが発生した直後に必ずしもSRを送信することができるわけではない。これに対して、上りリンクにおける遅延を抑制するために、SR用のリソースが短周期で生じるような設定を行うことでユーザデータの発生からSRが送信されるまでの期間を短縮し、遅延を低減することができる。しかしながら、短周期でSR用のリソースが設定されると、そのリソースの多くが使用されない確率が上昇し、リソースの利用効率が低下してしまいうる。
【0012】
このため、基地局装置101は、端末装置102におけるユーザデータの発生タイミングからSRが送信される又はそのユーザデータが実際に送信されるまでの時間を短縮するように、そのSR又はユーザデータの送信用のリソースを設定することが重要である。例えば、基地局装置101は、低遅延が要求される無線通信サービスに関するユーザデータが発生したタイミングと、SRやそのユーザデータが実際に送信されたタイミングとの時間差が十分に小さくなるように、SR用のリソースの周期を調整することができる。しかしながら、現状、基地局装置101が、端末装置102において実際にどのタイミングでユーザデータが発生したかを知ることができない。このため、本実施形態では、端末装置102が、ユーザデータが発生した時刻を特定し、その時刻を基地局装置101へ通知するようにする。これによれば、基地局装置101は、ユーザデータが発生してから実際に受信されるまで、又は、ユーザデータ発生してからSRが送信されるまでの時間差を特定することができ、その時間差が短くなるように、SR用のリソースの設定を行うことができる。なお、SR用のリソースの設定は一例であり、ユーザデータの発生から、そのユーザデータの送信用のリソースが確保されるまでの時間差を短くする各種制御が基地局装置101によって行われうる。
【0013】
なお、端末装置102は、ユーザデータの発生時刻以外の情報を基地局装置101へ通知してもよい。すなわち、端末装置102は、ユーザデータの発生タイミングに関する他の情報を、基地局装置101へ通知するようにしてもよい。
【0014】
例えば、端末装置102は、ユーザデータが発生した時刻から、そのユーザデータを送信するのに先立って送信されるSRなどの所定の信号が送信されるまでの時間差を特定し、その時間差の情報を、ユーザデータの発生タイミングに関する情報として、基地局装置101へ通知してもよい。なお、所定の信号は、SR以外にも、例えば、送信対象のユーザデータのサイズを通知するバッファステータスレポート(BSR)であってもよいし、端末装置102が非接続状態であった場合のランダムアクセスプリアンブルなど、他の信号であってもよい。端末装置102がSRを送信すると、基地局装置101から、BSR用のリソースが割り当てられる。そして、端末装置102は、割り当てられたリソースを用いてBSRを送信し、基地局装置101は、そのBSRで通知されたデータサイズに応じた量のリソースを端末装置102へ割り当てる。このように、ユーザデータの量を示すBSRが送信される通信手順においては、ユーザデータの発生からBSRの送信までの時間差も、ユーザデータが送信されるまでの時間長と関連する。このため、ユーザデータの発生から、BSRの送信までの時間差が、基地局装置101へ通知されてもよい。また、上述のような手順以外の手順が用いられる場合であって、ユーザデータの送信に先立って所定の信号が送信される場合、そのユーザデータの発生からその所定の信号の送信までの時間差が、基地局装置101へ通知されてもよい。この処理によれば、基地局装置101は、所定の信号を受信したタイミング(又は、自らが設定した所定の信号のためのリソースのタイミング)に基づいて、ユーザデータが発生したタイミングを特定することができる。
【0015】
また、端末装置102は、ユーザデータが発生した時刻から、そのユーザデータが送信されるまでの時間差を特定し、その時間差の情報を、ユーザデータの発生タイミングに関する情報として、基地局装置101へ通知してもよい。すなわち、上述の例では、ユーザデータの発生タイミングからユーザデータの送信に先立って送信される所定の信号の送信タイミングまでの時間差の情報を通知する例について説明したが、この例では、所定の信号ではなくユーザデータの送信タイミングまでの時間差の情報が通知される。この処理によれば、基地局装置101は、ユーザデータを受信したタイミング(又は、自らが設定したそのユーザデータのためのリソースのタイミング)に基づいて、ユーザデータが発生したタイミングを特定することができる。
【0016】
なお、端末装置102は、時間差の情報を通知する場合、その時間差そのものを基地局装置101へ通知してもよいし、その時間差に対応する別の情報を通知してもよい。例えば、
図2に示すように、時間差を示すそれぞれ異なる値の範囲に対して異なるインデクス地が割り当てられ、端末装置102は、上述の時間差に対応するインデクス値を、基地局装置101へ通知してもよい。例えば、ユーザデータが発生したタイミングとそのユーザデータそのもの又はそのユーザデータに先立って送信される所定の信号の送信タイミングとの時間差が3.5ミリ秒であった場合、インデクス値「3」が、基地局装置101へ通知されうる。なお、時間差の値の範囲とインデクス値との関係は、
図2の例と異なっていてもよい。
【0017】
また、端末装置102は、複数のユーザデータのそれぞれについて、上述の時間差を特定し、その特定した時間差の統計値を示す情報を、基地局装置101へ通知してもよい。統計値は、例えば、複数のユーザデータのそれぞれについての時間差の平均値、中央値、パーセンタイル値、最大値、最小値、分散、最頻値、標準偏差、歪度などの、ユーザデータの発生からその送信または上述の所定の信号の送信までの時間差の傾向を特定可能な任意の値でありうる。なお、この統計値についても、その値そのものを示す値が通知されてもよいし、統計値に対応する別の情報を通知してもよい。例えば、端末装置102は、複数のユーザデータのそれぞれについて得られた上述の時間差の平均値が2.8ミリ秒であった場合、インデクス値「2」を、基地局装置101へ通知しうる。
【0018】
端末装置102は、上述のタイミングに関する情報を、ユーザデータを含んだ信号に含めて基地局装置101へ送信しうる。一例において、ユーザデータを送信するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)に、タイミングに関する情報を含めて送信しうる。タイミングに関する情報は、例えば、PUSCHの媒体アクセス制御(MAC)ヘッダに格納されて、基地局装置101へ送信されうる。また、端末装置102は、ユーザデータを含んだ信号とは別の信号に、タイミングに関する情報を含めて送信してもよい。例えば、端末装置102は、所定の制御信号に、タイミングに関する情報を含めて送信してもよい。また、端末装置102は、例えば、第1のユーザデータについてのタイミングに関する情報を、その第1のユーザデータより後に送信される第2のユーザデータを送信する信号に含めて、基地局装置101へ送信しうる。また、端末装置102は、例えば、第1のユーザデータについてのタイミングに関する情報を、その第1のユーザデータより前に送信される第2のユーザデータを送信する信号に含めて、基地局装置101へ送信してもよい。なお、ユーザデータと別個にタイミングに関する情報が通知される場合、そのタイミングに関する情報がいずれのユーザデータに関する情報であるかを示す情報がさらに通知されうる。
【0019】
なお、上述のタイミングに関する情報は、例えば、特定の無線通信サービスに関する通信についてのみ通知されてもよい。例えば、低遅延が要求されている無線通信サービスについてのみ、タイミングに関する情報の通知が行われうる。また、全ての無線通信サービスに関してタイミングに関する情報の通知が行われてもよい。この場合、無線通信サービスを特定可能な情報が基地局装置101へ通知されてもよい。なお、基地局装置101が、タイミングに関する情報がいずれの無線通信サービスに関するものであるかを特定可能である場合には、無線通信サービスを特定可能な情報は通知されなくてもよい。例えば、ユーザデータと共に、そのユーザデータについてのタイミングに関する情報が送信される場合には、無線通信サービスを特定可能な情報は通知される必要がない。そのユーザデータがいずれの無線通信サービスに対応するかを基地局装置101が認識することができるからである。
【0020】
基地局装置101は、上述のようなタイミングに関する情報を受信すると、その情報に基づいて、端末装置102がSRを送信するためのリソースの周期を決定し、その周期の情報を端末装置102へ通知しうる。なお、SRを送信するためのリソースの周期は、基地局装置101ではなく、基地局装置101が接続されている他のネットワークノードによって決定されてもよい。すなわち、基地局装置101は、タイミングに関する情報の受信と、その情報に基づいて(自装置又は他装置において)決定されたSRの送信のためのリソースの周期の情報を端末装置102へ通知するように構成されうる。なお、一例において、低遅延を要求する通信サービスにおいて、ユーザデータの発生タイミングと、そのユーザデータ(又はそのユーザデータ送信のためのSRやBSR等の所定の信号)の送信タイミングとの時間差が所定値より大きい場合、SRの送信のためのリソースが短周期で用意されるような設定が行われうる。SR用のリソースが短周期で用意されることにより、ユーザデータの発生からSRの送信までの時間を短縮することが可能となるからである。また、例えば、無線通信サービスごとの要求遅延が定義されている場合に、その要求遅延に対して実際の遅延時間が過剰に短い場合には、SRリソースが過剰に用意されている場合が想定されうるため、SR用のリソースの周期が延長されてもよい。
【0021】
(装置構成)
続いて、上述のような基地局装置101及び端末装置102の構成例について説明する。
図3は、基地局装置101及び端末装置102のハードウェア構成例を示す図である。基地局装置101及び端末装置102は、一例において、プロセッサ301、ROM302、RAM303、記憶装置304、及び通信回路305を含んで構成される。プロセッサ301は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM302や記憶装置304に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM302は、基地局装置101及び端末装置102が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM303は、プロセッサ301がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置304は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路305は、例えば、基地局装置101及び端末装置102の間のLTEや5Gの無線通信用の回路を含んで構成されうる。なお、
図3では、1つの通信回路305が図示されているが、基地局装置101及び端末装置102は複数の通信回路305を有しうる。
【0022】
図4は、端末装置102の機能構成例を示す図である。端末装置102は、その機能として、タイミング情報特定部401及び情報通知部402を含む。なお、端末装置102は、例えば、プロセッサ301がROM302や記憶装置304に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能部を実現しうる。ただし、これは一例であり、これらの機能を実現する専用のハードウェアが用いられてもよい。
【0023】
タイミング情報特定部401は、基地局装置101へ送信すべきユーザデータが発生したタイミングを特定する。また、タイミング情報特定部401は、例えば、ユーザデータに先立って送信されるべき所定の信号(SRやBSRなど)の送信タイミングを特定し、その所定の信号の送信タイミングとユーザデータの送信タイミングとの時間差を特定してもよい。また、タイミング情報特定部401は、ユーザデータが送信されるタイミングとそのユーザデータの発生タイミングとの時間差を特定してもよい。さらに、タイミング情報特定部401は、時間差の平均値や中央値などの統計値を特定してもよい。情報通知部402は、タイミング情報特定部401によって特定されたユーザデータの発生タイミングに関する情報を、基地局装置101へ通知する。情報通知部402は、例えば、ユーザデータを送信するPUSCHのMACヘッダに、そのユーザデータの発生タイミングに関する情報を含めて、基地局装置101へ送信しうる。また、情報通知部402は、ユーザデータの発生タイミングに関する情報を、そのユーザデータを送信する信号とは別個の信号に含めて、基地局装置101へ送信してもよい。なお、情報通知部402は、例えば、
図2に示すように、通知すべき値と関連付けられたインデクス値を基地局装置101へ通知してもよい。
【0024】
図5は、基地局装置101の機能構成例を示す図である。基地局装置101は、その機能として、情報取得部501及び周期制御部502を含む。なお、基地局装置101は、例えば、プロセッサ301がROM302や記憶装置304に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能部を実現しうる。ただし、これは一例であり、これらの機能を実現する専用のハードウェアが用いられてもよい。
【0025】
情報取得部501は、端末装置102から、端末装置102においてユーザデータが発生したタイミングに関する情報を取得する。上述のように、ユーザデータの発生タイミングに関する情報は、その発生タイミングそのものを示す情報であってもよいし、ユーザデータそのものやユーザデータに先立って送信されるべき所定の信号の送信タイミングと、そのユーザデータの発生タイミングとの時間差を示す情報であってもよい。また、ユーザデータの発生タイミングに関する情報は、その時間差の統計値を示す情報であってもよい。なお、情報取得部501は、
図2のようなインデクス値が受信された場合、そのインデクス値から、対応する値の範囲を特定する。
【0026】
周期制御部502は、情報取得部501が取得した情報に基づいて、端末装置102が利用可能なSRのリソースの周期を調整する。例えば、ユーザデータが発生してから、そのユーザデータが送信されるまで又はそのユーザデータに先立って送信される所定の信号が送信されるまでの時間差が所定値より短くなるように、SRのリソースの調整を行いうる。一例において、通知されたユーザデータの発生タイミングに関する情報に基づいて、そのタイミングと、そのユーザデータが送信されたタイミングとの時間差が所定値を超えた場合には、周期制御部502は、SRのリソースの周期を短くしうる。また、例えば、SRのリソースの周期を短くした結果、ユーザデータが発生したタイミングと、そのユーザデータが送信されたタイミングとの時間差が上述の所定値より十分に小さい第2の所定値より低くなった場合、周期制御部502は、SRのリソースの周期を長くしてもよい。なお、周期制御部502は、ユーザデータの発生からユーザデータの送受信までの時間差を調整するための処理の一例として、SRのリソースの周期を制御するものとして説明したが、これ以外の処理を行ってもよい。すなわち、既存のセルラ通信システムにおいては、SRの周期を調整することによって、ユーザデータの発生からユーザデータの送受信までの時間差を調整しうるが、他のシステムにおいては、これは必ずしも適用されない。このため、周期制御部502は、例えば、ユーザデータの送信処理の開始までの時間が短縮されるように、何らかのトリガを与えることにより、ユーザデータの発生から送信までの時間が短縮されるようにしてもよい。
【0027】
(処理の流れ)
続いて、基地局装置101と端末装置102との間で実行される処理の流れの例について説明する。
【0028】
図6は、端末装置102が、ユーザデータが発生したタイミングを基地局装置101へ通知する処理の流れの例を示している。まず、端末装置102において、基地局装置101へ送信すべきユーザデータが発生すると(S601)、端末装置102は、そのユーザデータの発生時刻t0を記憶する。ユーザデータの発生時刻は、端末装置102の送信バッファに新たにデータが格納された時刻でありうる。その後、端末装置102は、事前に基地局装置101から指定されていた、SR送信用のリソースを用いて、SRを送信する(S602)。基地局装置101は、このSRに対して、BSRを送信するためのリソースを端末装置102に割り当て、BSRの送信を許可する(S603)。端末装置102は、その割り当てられたリソースを用いてBSRを送信し(S604)、基地局装置101は、そのBSRに基づいて、端末装置102に対してユーザデータの送信用のリソースを割り当てる(S605)。そして、端末装置102は、その割り当てられたリソースにおいて、ユーザデータを含んだPUSCHを送信する(S606)。なお、端末装置102は、一例として、ユーザデータの発生時刻t0を、PUSCHのMACヘッダに含めて基地局装置101へ通知しうる。なお、この処理は一例であり、例えば、基地局装置101は、S603においてBSRに加えてユーザデータの発生時刻を通知させるためのリソースを端末装置102に割り当て、端末装置102は、BSRと共にユーザデータの発生時刻t0を基地局装置101へ通知するようにしてもよい。
【0029】
図7は、端末装置102が、ユーザデータが発生したタイミングからSRを送信するまでの時間差を基地局装置101へ通知する処理の流れの例を示している。まず、端末装置102は、S601と同様に、基地局装置101へ送信すべきユーザデータが発生した際にその発生時刻t0を記憶する(S701)。そして、端末装置102は、S602~S605と同様にしてユーザデータの送信機会を獲得するが(S702~S705)、SRを送信する際に、その送信タイミングt1とユーザデータの発生時刻t0との差分値t1-t0を特定する。そして、端末装置102は、割り当てられたリソースにおいて、その差分値及びユーザデータを含んだPUSCHを送信する(S706)。なお、この処理は一例であり、例えば、基地局装置101は、S703においてBSRに加えて時間差t1-t0を通知させるためのリソースを端末装置102に割り当て、端末装置102は、BSRと共に時間差t1-t0を基地局装置101へ通知するようにしてもよい。また、端末装置102は、S704のBSRの送信タイミングとユーザデータの発生時刻t0との時間差を、基地局装置101へ通知するようにしてもよい。さらに、端末装置102は、S705で割り当てられたリソースに対応する時刻と、ユーザデータの発生時刻t0との時間差を、基地局装置101へ通知してもよい。
【0030】
図8は、端末装置102が、ユーザデータが発生したタイミングからそのユーザデータを実際に送信するタイミングまでの時間差を蓄積し、その時間差の統計値を基地局装置101へ通知する処理の流れの例を示している。この場合、端末装置102は、ユーザデータが発生した際にその時刻を記憶し(S801、S808、S809)、そのユーザデータの送信のための一連の処理を実行して、実際にユーザデータを送信したタイミングを記憶する(S806、S814)。なお、ユーザデータの送信のための一連の処理(S802~S806、S810~S814)は、
図6のS602~S606と同様であるため、ここでは説明を省略する。そして、端末装置102は、ユーザデータの発生時刻とユーザデータの送信時刻との時間差を特定して記憶する(S807、S815)。そして、端末装置102は、記憶した時間差の情報に基づいて、その平均値や中央値、パーセンタイル値などの特定の統計値を算出して、その統計値の情報を基地局装置101へ通知する(S816)。この通知は、ユーザデータと別個に通知されてもよいし、ユーザデータが送信されるPUSCHに含められてもよい。なお、これは一例であり、例えば、端末装置102は、ユーザデータの発生時刻とSRやBSRの送信時刻までの時間差を特定し、その時間差の統計値を基地局装置101へ通知するようにしてもよい。
【0031】
なお、基地局装置101は、上述のようにして取得した情報に基づいて、SR用のリソースの周期を調整しうる。これによれば、ユーザデータが発生してから実際に送信されるまでの時間を調整することができ、通信サービスの要求に応じて、適切に端末装置102にユーザデータの送信機会を与えることが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0032】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。