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特開2023-178864走行制御システム、走行制御装置、自律走行車両、走行制御方法、走行制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178864
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】走行制御システム、走行制御装置、自律走行車両、走行制御方法、走行制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231211BHJP
【FI】
G05D1/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091820
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 大城
(72)【発明者】
【氏名】藤本 啓吾
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG10
5H301GG17
5H301LL01
5H301LL08
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】汎用性の向上した走行制御システム等を提供する。
【解決手段】走行制御システムは、プロセッサを有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドアを通過する自律走行車両の走行を制御する。プロセッサは、閉状態の自動ドアへ対して自律走行車両を走行させることを実行するように構成される。プロセッサは、自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することを実行するように構成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御する走行制御システムであって、
前記プロセッサは、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される走行制御システム。
【請求項2】
前記ドアマップデータを学習することは、
記憶媒体(101)に前記ドアマップデータを記憶することを含む請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項3】
前記ドアマップデータを学習することは、
前記自律走行車両の外部におけるセンタに、前記ドアマップデータを送信することを含む請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項4】
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアに対して走行させることと、
前記ドアマップデータを学習済みの前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項5】
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアにおける前記開き始めタイミングに応じて走行停止させることを含む請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項6】
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアと前記自律走行車両との間の検知判定エリア(A1)にて物標が検知された場合には、前記自動ドアが前記閉状態となる閉位置まで前記自律走行車両を後退させることと、
前記閉位置から前記自動ドアへ対して再走させることと、
を含み、
前記ドアマップデータを学習することは、
前記物標の検知により前記ドアマップデータの学習を中断することと、
再走により前記学習を再開することと、
を含む請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項7】
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアに対して、人の平均歩行速度以下にて走行させることを含む請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項8】
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御する走行制御システムであって、
前記プロセッサは、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を実行するように構成される走行制御システム。
【請求項9】
プロセッサ(102)を有し、自律走行車両(1)に搭載可能に構成され、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する前記自律走行車両の走行を制御する走行制御装置であって、
前記プロセッサは、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される走行制御装置。
【請求項10】
プロセッサ(102)を有し、自律走行車両(1)に搭載可能に構成され、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する前記自律走行車両の走行を制御する走行制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を実行するように構成される走行制御装置。
【請求項11】
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両であって、
前記プロセッサは、
閉状態の前記自動ドアへ対して走行することと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される自律走行車両。
【請求項12】
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両であって、
前記プロセッサは、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行することと、
を実行するように構成される自律走行車両。
【請求項13】
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、プロセッサ(102)により実行される走行制御方法であって、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を含む走行制御方法。
【請求項14】
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、プロセッサ(102)により実行される走行制御方法であって、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む走行制御方法。
【請求項15】
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む走行制御プログラムであって、
前記命令は、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習させることと、
を含む走行制御プログラム。
【請求項16】
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む走行制御プログラムであって、
前記命令は、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶させることと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む走行制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律走行車両の走行を制御する走行制御技術に、関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無人車に自動ドアを安全に通過させるためのシステムが開示されている。このシステムは、無人車からのドア開要求信号を受信すると自動ドアを駆動し、当該ドアの全開を検出するとドア全開検出信号を無人車へと送信する制御装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2618251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、無人車からのドア開要求信号に応じて自動ドアを制御する制御装置を、自動ドア側に整備する必要がある。したがって、こうした制御装置が整備されていない自動ドアを通過することが困難となり得る。以上により、このシステムは、汎用性が低くなる虞がある。
【0005】
本開示の課題は、汎用性の向上した走行制御システムを、提供することにある。本開示の別の課題は、汎用性の向上した走行制御装置を、提供することにある。本開示のまた別の課題は、汎用性の向上した自律走行車両を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、汎用性の向上した走行制御方法を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、汎用性の向上した走行制御プログラムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御する走行制御システムであって、
プロセッサは、
閉状態の自動ドアへ対して自律走行車両を走行させることと、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される。
【0008】
本開示の第二態様は、プロセッサ(102)を有し、自律走行車両(1)に搭載可能に構成され、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両の走行を制御する走行制御装置であって、
プロセッサは、
閉状態の自動ドアへ対して自律走行車両を走行させることと、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される。
【0009】
本開示の第三態様は、プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両であって、
プロセッサは、
閉状態の自動ドアへ対して走行することと、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される。
【0010】
本開示の第四態様は、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、プロセッサ(102)により実行される走行制御方法であって、
閉状態の自動ドアへ対して自律走行車両を走行させることと、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を含む。
【0011】
本開示の第五態様は、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む走行制御プログラムであって、
命令は、
閉状態の自動ドアへ対して自律走行車両を走行させることと、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習させることと、
を含む。
【0012】
これら第一~第五態様によると、自動ドアのドア開距離と、ドア開時間と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータが、自律走行車両の走行により学習される。故に、自動ドアごとに、ドアマップデータに基づいた通過走行制御が可能となり得る。この学習は、自律走行車両側の制御により可能となるため、自動ドア側に自律走行車両からの信号に応じた制御を行うための装置の整備が不要となり得る。したがって、汎用性が向上され得る。
【0013】
本開示の第六態様は、プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御する走行制御システムであって、
プロセッサは、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の自動ドアに対して、ドアマップデータの表すドア開距離及びドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を実行するように構成される。
【0014】
本開示の第七態様によると、プロセッサ(102)を有し、自律走行車両(1)に搭載可能に構成され、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両の走行を制御する走行制御装置であって、
プロセッサは、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の自動ドアに対して、ドアマップデータの表すドア開距離及びドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を実行するように構成される。
【0015】
本開示の第八態様によると、プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両であって、
プロセッサは、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の自動ドアに対して、ドアマップデータの表すドア開距離及びドア開時間に相関する速度にて走行することと、
を実行するように構成される。
【0016】
本開示の第九態様によると、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、プロセッサ(102)により実行される走行制御方法であって、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の自動ドアに対して、ドアマップデータの表すドア開距離及びドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む。
【0017】
本開示の第十態様によると、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む走行制御プログラムであって、
命令は、
自動ドアの開き始めタイミングにおける自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、開き始めタイミングから自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶させることと、
閉状態の自動ドアに対して、ドアマップデータの表すドア開距離及びドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む。
【0018】
これら第六~第十態様によると、自動ドアのドア開距離と、ドア開時間と、のセンシング結果を自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータに基づいて、ドア開距離及びドア開時間に相関する速度にて走行できる。故に、自律走行車両と自動ドアとの間で信号に応じた制御を行うための装置の整備が自動ドア側に不要となり得る。したがって、汎用性が向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態の適用される自律走行車両を示す模式図である。
図3】一実施形態による走行制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図4】学習成功時の自律走行車両の一連の走行動作を示す図である。
図5】学習失敗時の自律走行車両の一連の走行動作を示す図である。
図6】一実施形態による走行制御フローを示すフローチャートである。
図7】一実施形態による走行制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0021】
(第一実施形態)
図1に示す第一実施形態の自律走行制御システム100は、図2に示す自律走行車両1の走行を制御する。自律走行車両1は、例えば、道路を走行して荷物を搬送する搬送サービスを提供する搬送ロボットである。自律走行車両1は、外部のセンタとの通信により、その運行を管理される。尚、自律走行車両1は、荷物を保管する倉庫にて当該荷物を運搬する物流ロボットであってもよい。
【0022】
自律走行車両1は、荷物を格納可能なスペースを内部に有する車体2と、車体2に設けられた複数の走行輪3とを備える。自律走行車両1は、車体2に内蔵されたバッテリ5を駆動源として走行する走行体である。
【0023】
自律走行車両1には、図3に示すセンサ系10、通信系20、及び地図データベース(以下、「DB」)30、情報提示系40及びモータコントロールユニット50が搭載される。センサ系10は、自律走行制御システム100により利用可能なセンサ情報を、自律走行車両1の外界及び内界の検出により取得する。そのためにセンサ系10は、外界センサ11及び内界センサ12を含んで構成されている。
【0024】
外界センサ11は、自律走行車両1の周辺環境となる外界から、自律走行制御システム100により利用可能な外界情報を取得する。外界センサ11は、自律走行車両1の外界に存在する物標を検知することで、外界情報を取得してもよい。物標検知タイプの外界センサ11は、例えばカメラ及びLiDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)等の光学センサ11a、及びソナー11bを含む。物標検知タイプの外界センサ11は、レーダを含んでいてもよい。又、外界センサ11は、周辺物体との接触を検出する接触センサ11cを含んでいてもよい。
【0025】
外界センサ11は、自律走行車両1の外界に存在するGNSS(Global Navigation Satellite System)の人工衛星から測位信号を受信することで、外界情報を取得する測位タイプのセンサを含んでいてもよい。測位タイプの外界センサ11は、例えばGNSS受信機11d等である。
【0026】
内界センサ12は、自律走行車両1の内部環境となる内界から、自律走行制御システム100により利用可能な内界情報を取得する。内界センサ12は、自律走行車両1の内界において特定の運動物理量を検知することで、内界情報を取得してもよい。物理量検知タイプの内界センサ12は、例えば走行速度センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサ等のうち、少なくとも一種類である。
【0027】
通信系20は、自律走行制御システム100により利用可能な通信情報を、無線通信により取得する。通信系20は、自律走行車両1の外界に存在するV2Xシステムとの間において、通信信号を送受信してもよい。V2Xタイプの通信系20は、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communications)通信機、及びセルラV2X(C-V2X)通信機等のうち、少なくとも一種類である。V2Xタイプの通信系20は、通信により外界情報を取得するセンサであるということもできる。V2Xタイプの通信系20により、自律走行車両1は、外部のセンタと通信可能となっている。
【0028】
図DB30は、自律走行制御システム100により利用可能な地図情報を、記憶する。地図DB30は、走行制御システム100による搬送サービスが提供されるサービス提供エリアをカバーする地図情報を少なくとも記憶している。地図DB30は、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)を含んで構成される。地図DB30は、自律走行車両1の自己位置を含む自己状態量を推定するロケータの、データベースであってもよい。地図DB30は、自律走行車両1の走行を計画するプランニングユニットの、データベースであってもよい。地図DB30は、これらのデータベース等のうち複数種類の組み合わせにより、構成されていてもよい。
【0029】
図DB30は、例えばV2Xタイプの通信系20を介した外部のセンタとの通信等により、最新の地図情報を取得して記憶する。ここで地図情報は、自律走行車両1の走行環境を表す情報として、二次元又は三次元にデータ化されている。特に三次元の地図データとしては、高精度地図のデジタルデータが採用されるとよい。
【0030】
地図情報は、サービス提供エリアにおける自動ドアADの位置に関連する位置関連情報を含んでいる。ここで、自動ドアADは、移動体の接近の検出により開放制御され、移動体が離れたことの検出により閉塞制御されるドアとされる。位置関連情報は、自動ドアADの位置を含む情報又は当該位置に対応付けられた情報である。例えば、位置関連情報は、自動ドアADの位置に対応付けられて、個々の自動ドアADごとに付与される識別IDを含んでいる。
【0031】
地図情報は、例えば道路自体の位置、形状、及び路面状態等のうち、少なくとも一種類を表した道路情報を含んでいてもよい。地図情報は、例えば道路に付属する標識及び区画線の位置並びに形状等のうち、少なくとも一種類を表した標示情報を含んでいてもよい。地図情報は、例えば道路に面する建造物及び信号機の位置並びに形状等のうち、少なくとも一種類を表した構造物情報を含んでいてもよい。
【0032】
情報提示系40は、自律走行車両1の周辺者へ向けた報知情報を提示する。情報提示系40は、周辺者の視覚を刺激することで、報知情報を提示する視覚提示ユニットを含んでいてもよい。視覚提示ユニットは、例えば、映像又は画像の表示により視覚を刺激するモニタ装置、及びランプの発光により視覚を刺激する発光ユニットを少なくとも一種類含んでいてよい。情報提示系40は、乗員の聴覚を刺激することで、報知情報を提示する聴覚提示ユニットを含んでいてもよい。聴覚提示ユニットは、例えばスピーカ、ブザー、及びバイブレーションユニット等のうち、少なくとも一種類である。
【0033】
モータコントロールユニット50は、走行輪3を回転駆動する駆動モータを制御する制御ユニットである。モータコントロールユニット50は、左右の走行輪3の少なくとも一組にそれぞれ設けられ、自律走行制御システム100からの制御指令(電流指令値)に基づいて、駆動モータへの通電を制御する。
【0034】
自律走行制御システム100は、例えばLAN(Local Area Network)回線、ワイヤハーネス、内部バス、及び無線通信回線等のうち、少なくとも一種類を介して自律走行車両の搭載構成に接続されている。自律走行制御システム100は、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成されている。
【0035】
走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、自律走行車両1の走行する目標軌道を計画する、プランニングECU(Electronic Control Unit)であってもよい。走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、自律走行車両1の目標軌道に実軌道を追従させる、軌道制御ECUであってもよい。走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、自律走行車両1の各電動アクチュエータを制御する、アクチュエータECUであってもよい。
【0036】
走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、自律走行車両1のセンサ系10を制御する、センシングECUであってもよい。走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、自律走行車両1の自己位置を含む自己状態量を地図データベースに基づき推定する、ロケータECUであってもよい。走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、自律走行車両1の情報提示系40を制御する、情報提示ECUであってもよい。走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、例えば通信系20を介して通信可能なセンタ又はモバイル端末等を構成する、車体2外のコンピュータ(センタ等)であってもよい。
【0037】
走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、メモリ101とプロセッサ102とを、少なくとも一つずつ有している。メモリ101は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。ここで記憶とは、自律走行車両1の起動オフによってもデータが保持される蓄積であってもよいし、自律走行車両1の起動オフによりデータが消去される一時的な格納であってもよい。プロセッサ102は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU、DFP(Data Flow Processor)、及びGSP(Graph Streaming Processor)等のうち、少なくとも一種類をコアとして含んでいる。
【0038】
走行制御システム100においてプロセッサ102は、自律走行車両1の走行を制御するためにメモリ101に記憶された、走行制御プログラムに含まれる複数の命令を実行する。これにより走行制御システム100は、自律走行車両1の走行を制御するための機能ブロックを、複数構築する。走行制御システム100において構築される複数の機能ブロックには、図3に示すように認識ブロック110、走行ブロック120、データ処理ブロック130及び学習ブロック140が含まれている。
【0039】
これらのブロック100,120,130,140の共同により、走行制御システム100が自律走行車両1の走行を制御する走行制御方法は、図6,7に示す走行制御フローに従って実行される。本走行制御フローについて、図4,5を参照しつつ、図6,7に従って以下説明する。本走行制御フローは、自律走行車両1の起動中、特に目的地への走行中に繰り返し実行される。尚、本走行制御フローにおける各「S」は、走行制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味している。
【0040】
まず、図6のS10では、認識ブロック110が、通過対象となる自動ドアADを認識したか否かを判定する。例えば、認識ブロック110は、外界センサ11からの外界情報に基づいて、自動ドアADの認識有無を判定すればよい。S10の処理は、自律走行車両1が通常速度Vにて走行中、自動ドアADが認識されるまで繰り返し実施される。尚、外界センサ11による自動ドアADの認識可能距離は、一般的な自動ドアADでの移動体検出距離よりも大きいものとする。
【0041】
自動ドアADが認識されると、本フローはS20へと移行する。S20では、学習ブロック140が、当該自動ドアADについてドアマップデータを学習していない未学習の自動ドアADであるか否かを判定する。例えば、学習ブロック140は、当該自動ドアADと位置情報が実質一致するドアマップデータが存在しない場合に、当該自動ドアADは未学習であると判定すればよい。
【0042】
認識した自動ドアADについて、未学習ではなく、学習済みであると判定された場合には、本フローがS30へと移行する。S30では、学習ブロック140が、当該自動ドアADについて、ドアマップデータを更新する更新条件が成立しているか否かを判定する。
【0043】
更新条件は、例えば、前回学習時のドアマップデータに基づく過去の通過時の余裕度が閾値を上回る場合に成立する条件である。余裕度は、通過時の自動ドアADと自律走行車両1との間隔に相関するパラメータである。間隔が大きいほど、余裕度は大きいとされる。
【0044】
又は、更新条件は、前回学習時のドアマップデータに基づく通過失敗回数が、許容回数を上回った場合に成立する条件であってもよい。又は、更新条件は、前回学習時のドア回時間と、前回学習後の過去の通過時において認識されたドア開時間T1との乖離が許容範囲外となっていた場合に成立する条件であってもよい。又は、更新条件は、上述したような複数の条件をサブ条件として、サブ条件が1つ以上成立した場合に成立するものとされてもよい。
【0045】
更新条件が成立していると判定された場合には、本フローは後述のS70へと移行する。一方で、更新条件が不成立であると判定された場合、本フローはS40へと移行する。S40では、走行ブロック120が、前回学習時のドアマップデータに基づいて、自動ドアADを通過する際の上限速度V2を設定する。
【0046】
詳記すると、走行ブロック120は、ドアマップデータにおけるドア開距離D1及びドア開時間T1に相関する上限速度V2を、設定する。例えば、走行ブロック120は、数式(1)に示すように、ドア開距離D1をドア開時間T1にて除した値を、上限速度V2とすればよい。尚、上限速度V2は、ドア開距離D1をドア開時間T1にて除した値に対して1未満の係数を、安全率として乗算した値であってもよい。
【0047】
【数1】
尚、当該自動ドアADを学習後既に通過したことがある場合、走行ブロック120は、前回通過時に設定した上限速度V2を、今回の上限速度V2としてもよい。
【0048】
そして、S45では、走行ブロック120が、上限速度V2に基づいて、自動ドアADの通過走行を実行する。走行ブロック120は、上限速度V2と、周辺の歩行者等の検出結果等に基づいて、通過速度V3を決定し、当該通過速度V3にて通過走行を行う。例えば、走行ブロック120は、周辺に移動体が検出されていない場合には、通過速度V3を上限速度V2に設定し、移動体が検出された場合には、通過速度V3を上限速度V2よりも小さい速度に設定すればよい。
【0049】
続くS50では、走行ブロック120が、通過速度V3にて自動ドアADの通過に成功するか否かを判定する。走行ブロック120は、外界センサ11による外界情報等により、自動ドアAD通過までに自律走行車両1が通過可能となる開放幅まで自動ドアADが開放されると判定した場合に、通過成功と判定して走行を継続する。一例として、走行ブロック120は、以下の数式(1)が成立する場合に、通過失敗すると判定する。
【0050】
【数2】
数式(2)において、d(t)は、現在時刻tにおける自動ドアADまでの残距離である。又、Vdr(t)は、現在時刻tにおける自動ドアADの開速度である。Wは、自律走行車両1の車幅寸法である。数式(1)が成立する状況は、自律走行車両1の自動ドアAD到達までの時間が、自動ドアADが自律走行車両1の車幅寸法以上に開くまでの時間よりも小さい状況であり、通過失敗する状況である。
【0051】
通過失敗と判定した場合、本フローはS60へと移行する。S60では、走行ブロック120は、ドア開距離D1内で停止し、自動ドアADの開放幅が移動体幅を上回るまで待機した後、通過走行を実行する。
【0052】
その後、S65では、走行ブロック120は、次回通過時の通過速度V3を引き下げる。走行ブロック120は、この引き下げた通過速度V3を、メモリ101等の記憶媒体に格納、保持する。通過が完了すると、本フローは終了し、通常の走行制御が継続される。
【0053】
一方、S20にて、学習ブロック140が、自動ドアADについてドアマップデータを学習していない未学習のものであると判定すると、本フローがS70へと移行する。S70では、走行ブロック120が、自律走行車両1の走行を停止させる。すなわち、S10,S20,S70の一連処理により、未学習の自動ドアADに対して認識可能となる距離に接近すると、自律走行車両1は一旦停止することになる。
【0054】
続くS80では、認識ブロック110が、外界情報に基づいて自律走行車両1から自動ドアADまでの距離を、初期距離D0として算出する。認識ブロック110は、算出した初期距離D0を、メモリ101に保持する。
【0055】
そして、S90では、認識ブロック110が、外界情報等に基づいて自律走行車両1及び自動ドアADの周辺に動的障害物MOが検知されるか否かを判定する。動的障害物MOは、歩行者、他の自律走行車両1等の移動体である。動的障害物MOが検知されたと判定された場合、当該動的障害物MOが自律走行車両1及び自動ドアADの周辺から離れて検知されなくなるまで待機する。動的障害物MOが検知されないと判定すると、本フローがS100へと移行する。
【0056】
S100では、認識ブロック110が、外界情報に基づいて自動ドアADが閉状態か否かを判定する。閉状態ではないと判定されると、認識ブロック110は、閉状態となるまで待機する。閉状態であると判定されると、本フローがS110へと移行する。
【0057】
尚、所定の期間待機しても自動ドアADが閉状態にならない場合、認識ブロック110が、自律走行車両1が既に自動ドアADにおける移動体の検出範囲に進入していると判断し、走行ブロック120が、自動ドアADが閉状態となるまで後退する処理を実行してもよい。又は、所定の期間待機しても自動ドアADが閉状態にならない場合、走行ブロック120が、所定の速度にて自動ドアADを通過する処理を実行してもよい。
【0058】
S110では、走行ブロック120が、閉状態の自動ドアADに対する自律走行車両1の走行を開始する。このとき、走行ブロック120は、学習速度V1にて走行制御を行う。学習速度V1は、メモリ101等に予め記憶された学習時の走行速度である。学習速度V1は、人の平均歩行速度以下の速度(例えば1km/h程度)とされる。例えば、人の平均歩行速度は、阿久津邦男著「歩行の化学」にて記載されている性別及び年齢ごとの歩行速度について、その平均値である4.4km/hとされる。又は、人の平均歩行速度は、JISB9715:2013又はISO13855:2010において人の歩行速度として定義されている5.8km/hとされてもよい。又は、外界センサ11により検出された自動ドアAD周辺における歩行者の平均歩行速度以下の速度であってもよい。
【0059】
続く図7のS120では、認識ブロック110が、自動ドアADの開き始めタイミングを判定する。すなわち、認識ブロック110は、所定の検出サイクルにて自動ドアADの開放動作の検出を繰り返し、開放動作を検出すると、当該検出タイミングを開き始めタイミングとする。開き始めタイミングが検出されると、本フローがS130へと移行する。
【0060】
S130では、認識ブロック110が、自動ドアADと自律走行車両1との間の検知判定エリアA1にて物標が検知されたか否かを判定する。詳記すると、認識ブロック110は、検知判定エリアA1に基づき、自動ドアADの方向への動的障害物MOが検知されているか否かを判定する。認識ブロック110は、図5に示すような自律走行車両1と自動ドアADとの間に設定された検知判定エリアA1へと進入する移動体を、自動ドアADの方向への動的障害物MOとして判断する。尚、図5の検知判定エリアA1は、自律走行車両1の前方に設定されるエリアとしているが、検知判定エリアA1は、自律走行車両1の側方及び後方まで含んだエリアとして設定されてもよい。又、自動ドアADの奥側の移動体を検出可能である場合、検知判定エリアA1は、自動ドアADの奥側のエリアまで含んだエリアとして設定されてもよい。
【0061】
動的障害物MOが検知されたと判定されると、本フローはS140へと移行する。S140では、走行ブロック120が、自律走行車両1を停止させる。続くS150では、走行ブロック120が、自動ドアADから初期距離D0の地点まで自律走行車両1を後退させる。S150の後、本フローは図6のS90へと戻る。
【0062】
一方で、S130にて動的障害物MOが未検知であると判定されると、本フローはS160へと移行する。S160では、走行ブロック120が、自律走行車両1を停止させる。S120,S130,S160の一連処理により、自動ドアAD側による自律走行車両1の検知により自動ドアADが開き始めるタイミングと実質同じタイミングにて、自律走行車両1が停止されることになる。
【0063】
続くS170では、学習ブロック140が、停止位置から自動ドアADまでの距離であるドア開距離D1を、自動ドアADの識別IDと紐付けしてメモリ101に記憶する。これに代えて、又はこれに加えて、学習ブロック140は、ドア開距離D1を、当該識別IDと紐付けしてセンタに送信してもよい。ドア開距離D1は、例えば外界センサ11によりセンシング結果として検出される。
【0064】
続くS180では、学習ブロック140が、ドア開時間T1をセンシング結果として測定するためのタイマをカウントアップする。カウントアップ後のS190では、認識ブロック110が、自律走行車両1が自動ドアADを通過可能な通過可能タイミングとなったか否かを判定する。例えば、認識ブロック110は、自動ドアADの開放幅が通過許容範囲となった場合に、通過可能タイミングとなったと判定する。通過許容範囲は、開放幅が閾値以上又は閾値を上回る値となる範囲とされる。
【0065】
この閾値は、自律走行車両1に接触しない位置まで自動ドアADが開放される際の開放幅に応じて決定されればよい。こうした閾値は、自動ドアADの構造、自律走行車両1の通過ルートR及び寸法に応じて決定されればよい。寸法について詳記すると、自動ドアADが水平方向に開放されるドアであった場合、閾値は、自律走行車両1の車幅寸法に応じて決定される。又は、自動ドアADが上下方向に開放されるドアで合った場合、閾値は、自律走行車両1の車高寸法に応じて決定される。
【0066】
一例として、自動ドアADが図4,5に示すような両側スライドドアであり、通過ルートRがドア間の中央位置を通るように規定されていた場合、閾値は上述したように車幅寸法に応じて決定されればよい。一方で、通過ルートRがドア間の中央位置からずれた位置を通るように規定されていた場合、閾値は、車幅寸法に加え、当該中央位置からのずれの大きさに応じて決定されればよい。
【0067】
又は、この閾値は、自動ドアADが全開となったときの開放幅(全開幅)とされてもよい。
【0068】
S190にて通過可能タイミングではないと判定された場合、本フローはS180へと戻り、タイマのカウントアップが継続される。
【0069】
一方で、通過可能タイミングとなったと判定されると、本フローはS200へと移行する。S200では、学習ブロック140が、開き始めタイミングから通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間T1を、自動ドアADの識別IDと紐付けしてメモリ101に記憶する。これに代えて、又はこれに加えて、学習ブロック140は、ドア開時間T1を、当該識別IDと紐付けしてセンタに送信してもよい。
【0070】
その後、S210では、学習ブロック140が、タイマを初期化する。そして、S220では、走行ブロック120が、既に通過可能タイミングとなった自動ドアADを、初期通過速度V0にて通過するように、自律走行車両1を走行制御する。初期通過速度V0は、例えば、学習速度V1以上の速度とされる。S220の後に本フローは終了し、通常の走行制御へと移行する。
【0071】
以上の第一実施形態によれば、自動ドアADのドア開距離D1と、ドア開時間T1と、のセンシング結果を自動ドアADの位置関連情報と関連付けたドアマップデータが、自律走行車両1の走行により学習される。故に、自動ドアADごとに、ドアマップデータに基づいた通過走行制御が可能となり得る。この学習は、自律走行車両1側の制御により可能となるため、自動ドアAD側に自律走行車両1からの信号に応じた制御を行うための装置の整備が不要となり得る。したがって、汎用性が向上され得る。
【0072】
(他の実施形態)
以上、一実施形態について説明したが、本開示は、当該説明の実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0073】
変形例において走行制御システム100を構成する専用コンピュータは、デジタル回路及びアナログ回路のうち、少なくとも一方をプロセッサとして有していてもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを記憶したメモリを、有していてもよい。
【0074】
ここまでの説明形態の他に上述の実施形態及び変形例は、ホスト移動体に搭載可能に構成されてプロセッサ102及びメモリ101を少なくとも一つずつ有する制御装置として、処理回路(例えば処理ECU等)又は半導体装置(例えば半導体チップ等)の形態で実施されてもよい。
【0075】
(付記)
この明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0076】
(技術的思想1)
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御する走行制御システムであって、
前記プロセッサは、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される走行制御システム。
【0077】
(技術的思想2)
前記ドアマップデータを学習することは、
記憶媒体(101)に前記ドアマップデータを記憶することを含む技術的思想1に記載の走行制御システム。
【0078】
(技術的思想3)
前記ドアマップデータを学習することは、
前記自律走行車両の外部におけるセンタに、前記ドアマップデータを送信することを含む技術的思想1又は技術的思想2に記載の走行制御システム。
【0079】
(技術的思想4)
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアに対して走行させることと、
前記ドアマップデータを学習済みの前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む技術的思想1から技術的思想3のいずれか1項に記載の走行制御システム。
【0080】
(技術的思想5)
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアにおける前記開き始めタイミングに応じて走行停止させることを含む技術的思想1から技術的思想4のいずれか1項に記載の走行制御システム。
【0081】
(技術的思想6)
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアと前記自律走行車両との間の検知判定エリア(A1)にて物標が検知された場合には、前記自動ドアが前記閉状態となる閉位置まで前記自律走行車両を後退させることと、
前記閉位置から前記自動ドアへ対して再走させることと、
を含み、
前記ドアマップデータを学習することは、
前記物標の検知により前記ドアマップデータの学習を中断することと、
再走により前記学習を再開することと、
を含む技術的思想1から技術的思想5のいずれか1項に記載の走行制御システム。
【0082】
(技術的思想7)
前記自律走行車両を走行させることは、
前記ドアマップデータを未学習の前記自動ドアに対して、人の平均歩行速度以下にて走行させることを含む技術的思想1から技術的思想6のいずれか1項に記載の走行制御システム。
【0083】
(技術的思想8)
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御する走行制御システムであって、
前記プロセッサは、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を実行するように構成される走行制御システム。
【0084】
(技術的思想9)
プロセッサ(102)を有し、自律走行車両(1)に搭載可能に構成され、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する前記自律走行車両の走行を制御する走行制御装置であって、
前記プロセッサは、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される走行制御装置。
【0085】
(技術的思想10)
プロセッサ(102)を有し、自律走行車両(1)に搭載可能に構成され、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する前記自律走行車両の走行を制御する走行制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を実行するように構成される走行制御装置。
【0086】
(技術的思想11)
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両であって、
前記プロセッサは、
閉状態の前記自動ドアへ対して走行することと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を実行するように構成される自律走行車両。
【0087】
(技術的思想12)
プロセッサ(102)を有し、移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両であって、
前記プロセッサは、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行することと、
を実行するように構成される自律走行車両。
【0088】
(技術的思想13)
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、プロセッサ(102)により実行される走行制御方法であって、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習することと、
を含む走行制御方法。
【0089】
(技術的思想14)
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、プロセッサ(102)により実行される走行制御方法であって、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶することと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む走行制御方法。
【0090】
(技術的思想15)
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む走行制御プログラムであって、
前記命令は、
閉状態の前記自動ドアへ対して前記自律走行車両を走行させることと、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、学習させることと、
を含む走行制御プログラム。
【0091】
(技術的思想16)
移動体の接近に応じて閉状態から開状態へと制御される自動ドア(AD)を通過する自律走行車両(1)の走行を制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む走行制御プログラムであって、
前記命令は、
前記自動ドアの開き始めタイミングにおける前記自動ドアまでの距離であるドア開距離(D1)と、前記開き始めタイミングから前記自律走行車両が通過可能となる通過可能タイミングまでの時間であるドア開時間(T1)と、のセンシング結果を前記自動ドアの位置関連情報と関連付けたドアマップデータを、記憶媒体(101)に記憶させることと、
閉状態の前記自動ドアに対して、前記ドアマップデータの表す前記ドア開距離及び前記ドア開時間に相関する速度にて走行させることと、
を含む走行制御プログラム。
【符号の説明】
【0092】
1:自律走行車両、100:走行制御システム、101:メモリ(記憶媒体)、102:プロセッサ、AD:自動ドア、A1:検知判定エリア、C:センタ、D1:ドア開距離、T1:ドア開時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7