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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178911
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20231211BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A01M29/32
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091907
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115382
【氏名又は名称】ヨツギ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】小谷 栄治
【テーマコード(参考)】
2B121
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BA42
2B121BB27
2B121FA07
5G367AD09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】枝棒の離脱を防止することができる、鳥害防止具を提供する。
【解決手段】本発明に係る鳥害防止具は、支柱と、前記支柱の軸方向に沿って設けられ、複数の枝棒を有する、少なくとも1つの枝棒ユニットと、前記各枝棒ユニットに対してそれぞれ設けられ、前記枝棒を所定の角度に保持するための保持部材と、を備え、前記枝棒ユニットは、前記支柱の外周面に固定される基部と、前記基部から放射状に斜め下方に延び、前記本体部と一体的に形成された前記複数の枝棒と、を有し、前記各枝棒は、前記本体部に対し、弾性変形によって前記支柱と略平行に延びるように傾斜角度を変更可能に構成され、前記保持部材は、前記支柱に沿って前記軸方向に移動可能に構成され、前記枝棒ユニットに連結されることで、前記各枝棒を所定の傾斜角度に保持するように構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
前記支柱の軸方向に沿って設けられ、複数の枝棒を有する、少なくとも1つの枝棒ユニットと、
前記各枝棒ユニットに対してそれぞれ設けられ、前記枝棒を所定の角度に保持するための保持部材と、
を備え、
前記枝棒ユニットは、前記支柱の外周面に固定される基部と、前記基部から放射状に斜め下方に延び、前記本体部と一体的に形成された前記複数の枝棒と、を有し、
前記各枝棒は、前記本体部に対し、弾性変形によって前記支柱と略平行に延びるように傾斜角度を変更可能に構成され、
前記保持部材は、前記支柱に沿って前記軸方向に移動可能に構成され、前記枝棒ユニットに連結されることで、前記各枝棒を所定の傾斜角度に保持するように構成されている、鳥害防止具。
【請求項2】
前記各枝棒において、前記本体部に連結される基端部は、少なくとも1つのアーチ形状を有するアーチ部を有している、請求項1に記載の鳥害防止具。
【請求項3】
前記各保持部材は、前記各枝棒と前記支柱とのなす角が広がるのを規制するための規制部を有し、
前記各保持部材を前記支柱に対して回転させることで、前記規制部を前記各枝棒に係合するように構成されている、請求項1または2に記載の鳥害防止具。
【請求項4】
前記保持部材を前記枝棒ユニットから離間させた状態で、前記各枝棒を、弾性変形によって前記支柱と平行に延びるように傾斜角度を変更したときには、
前記保持部材の前記規制部は、前記各枝棒の傾斜角度を保持可能に構成されている、請求項3に記載の鳥害防止具。
【請求項5】
前記各枝棒は、前記保持部材を下側から支持する支持部を有している、請求項1または2に記載の鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
電線に鳥が止まるのを防止するための種々の鳥害防止具が提案されている。例えば、特許文献1には、支柱から放射状に斜め下方に延びる複数の枝棒が取り付けられた鳥害防止具が開示されている。この鳥害防止具では、各枝棒が支柱に対して上下に旋回するように、支柱と枝棒とが組み立てられている。また、支柱には保持部材が取り付けられており、この保持部材によって枝棒を所定の角度に保持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6196451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記鳥害防止具では、枝棒と支柱とが事後的に組み立てられているため、例えば外力が作用したときには支柱と枝棒とが分離し、支柱から枝棒が離脱するおそれがある。これにより、鳥害防止具が予定した機能を果たせなかったり、あるいは枝棒が落下することにより、何らかの損傷が生ずるおそれもある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、枝棒の離脱を防止することができる、鳥害防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点に係る鳥害防止具は、支柱と、前記支柱の軸方向に沿って設けられ、複数の枝棒を有する、少なくとも1つの枝棒ユニットと、前記各枝棒ユニットに対してそれぞれ設けられ、前記枝棒を所定の角度に保持するための保持部材と、を備え、前記枝棒ユニットは、前記支柱の外周面に固定される基部と、前記基部から放射状に斜め下方に延び、前記本体部と一体的に形成された前記複数の枝棒と、を有し、前記各枝棒は、前記本体部に対し、弾性変形によって前記支柱と略平行に延びるように傾斜角度を変更可能に構成され、前記保持部材は、前記支柱に沿って前記軸方向に移動可能に構成され、前記枝棒ユニットに連結されることで、前記各枝棒を所定の傾斜角度に保持するように構成されている。
【0007】
第2の観点に係る鳥害防止具は、上記第1の観点に係る鳥害防止具において、前記各枝棒において、前記本体部に連結される基端部は、アーチ形状を有する少なくとも1つのアーチ部を有している。
【0008】
第3の観点に係る鳥害防止具は、上記第1または第2の観点に係る鳥害防止具において、前記各保持部材は、前記各枝棒と前記支柱とのなす角が広がるのを規制するための規制部を有し、前記各保持部材を前記支柱に対して回転させることで、前記規制部を前記各枝棒に係合するように構成されている。
【0009】
第4の観点に係る鳥害防止具は、上記第1から第3のいずれかの観点に係る鳥害防止具において、前記保持部材を前記枝棒ユニットから離間させた状態で、前記各枝棒を、弾性変形によって前記支柱と平行に延びるように傾斜角度を変更したときには、前記保持部材の前記規制部は、前記各枝棒の傾斜角度を保持可能に構成されている。
【0010】
第5の観点に係る鳥害防止具は、上記第1から第4のいずれかの観点に係る鳥害防止具において、前記各枝棒は、前記保持部材を下側から支持する支持部を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、枝棒の離脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】使用状態にある鳥害防止具の斜視図である。
図2】枝棒ユニットが取り付けられた第1支柱ユニットの斜視図である。
図3】支柱に取り付けられた枝棒ユニットの平面図である。
図4】第1支柱ユニットにと付けられた枝棒ユニットの拡大した斜視図である。
図5】保持部材を上方から見た斜視図である。
図6】収容形態にある鳥害防止具の側面図である。
図7】鳥害防止具の組立を示す拡大斜視図である。
図8】鳥害防止具の組立を示す拡大斜視図である。
図9】鳥害防止具の組立を示す拡大斜視図である。
図10】枝棒の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る鳥害防止具の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下では、まず、鳥害防止具の概要について説明し、その後、鳥害防止具の使用法補について説明する。
【0014】
<1.鳥害防止具の概要>
図1は鳥害防止具の使用形態における斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る鳥害防止具は、棒状の支柱1と、この支柱1に軸方向(上下方向)に沿って所定間隔で設けられる複数の枝棒ユニット2と、各枝棒ユニット2の枝棒を所定の角度に保持するための複数の保持部材3と、を備えている。以下、各部材について説明する。
【0015】
<1-1.支柱>
本実施形態において、支柱1は、3つの支柱ユニット1A~1Cと、支柱1を被固定部に取り付けるための取付ユニット1Dと、を備えている。図1に示すように、3つの支柱ユニット1A~1Cは、上から下へ並ぶ第1支柱ユニット1A、第2支柱ユニット1B、及び第3支柱ユニット1Cにより構成され、これらが軸方向に連結されることで構成されている。そして、第3支柱ユニット1Cの下端部に、取付ユニット1Dが取り付けられている。
【0016】
図2は、枝棒ユニット及び連結部材が取り付けられた第1支柱ユニットの斜視図である。図2に示すように、各支柱ユニット1A~1Cは、筒状の軸部材11を有しており、各支柱ユニット1A~1Cの上端部には、枝棒ユニット2がそれぞれ取り付けられている。後述するように、各枝棒ユニット2は軸部材11の上端部に固定される円筒状の基部22を有しており、この基部22の内壁面には、周方向に所定間隔おきに、軸方向に延びる突条(図示省略)が形成されている。一方、各支柱ユニット1A~1Cの下端部の外周面には、周方向に所定間隔おきに、軸方向に延びる突条12が形成されている。この突条12が、上述した基部22の内壁面に形成された突条の間にスプライン結合するように構成されている。こうして、3つの支柱ユニット1A~1Cが軸方向に回転不能に連結されるようになっている。
【0017】
また、図1に示すように、第3支柱ユニット1Cの下端部に取り付けられる取付ユニット1Dは、筒状の軸部材14を有している。この軸部材14の下端部に、鳥害防止具を直方体状の被固定具10に固定するための治具15が取り付けられている。
【0018】
治具15は、軸部材14の下端から水平に延びる板状の第1部位151と、第1部位151の先端から下方に延びる板状の第2部位152と、第1部位151及び第2部位152に接する被固定具10を第2部位152側に押圧する押圧部材153と、を有している。これにより、第1部位151、第2部位152、及び押圧部材153によって被固定具10がクランプされるように構成されている。
【0019】
上記のように、連結された各支柱ユニット1A~1C及び取付ユニット1Dには、上方から連結部材8が挿通されるようになっている。図2に示すように、連結部材8は、外周面に雄ネジが形成された棒状の本体部81と、この本体部81の上端に取り付けられた抜け止め部82と、を有している。そして、図1に示すように、第1子中ユニットの上端から挿入された連結部材8の下端部は、取付ユニット1Dの下端部から突出するようになっており、この突出部分にナット83を取り付けることで、ナット83と取付ユニット1Dとの間に治具15の第1部位151を挟むようにしている。こうして、鳥害防止具が治具15に固定される。
【0020】
<1-2.枝棒ユニット>
図3は支柱に取り付けられた枝棒ユニットの平面図、図4は第1支柱ユニットにと付けられた枝棒ユニットの拡大した斜視図である。図4に示すように、各枝棒ユニット2は、支柱ユニット1Aの軸部材11の上端に一体的に固定された円筒状の基部21と、この基部21の外周面から放射状に延びる複数の枝棒22と、を備えており、これらが一体的に形成されている。本実施形態においては、図4に示すように、各枝棒ユニット2に8本の枝棒22が、平面視において45度おきに取り付けられている。そして、平面視において各枝棒22の先端を結ぶ線が正方形を描くように枝棒の長さが調整されている。すなわち、本実施形態では、長い枝棒と短い枝棒が周方向に交互に配置されている。長い枝棒は、正方形の対角線に沿うように延び、且つ対角線の約半分の長さに形成されている。一方、短い枝棒は、正方形の各辺の約半分の長さに形成されている。
【0021】
図4に示すように、各枝棒22は、基部21に連結され、上方に凸のアーチ状に形成されたアーチ部221と、アーチ部221の先端部から直線状に延びる延在部222と、を備え、これらが一体的に形成されている。アーチ部221の先端部は、アーチ部221において基部21に連結される基端部よりも下方に位置しており、延在部222は、アーチ部221の先端から斜め下方に延びている。より詳細には、延在部222は、初期状態において水平方向から約20~60°の角度(より好ましくは、30~45°)をなすように斜め下方に延びている。
【0022】
また、各枝棒22においてアーチ部221の先端には、支柱1側を向く面に突部223が形成されている。各突部223はアーチ部221から支柱1に向かって突出している。
【0023】
枝棒ユニット2は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等の樹脂材料により形成されており、これによって弾性変形可能となっている。すなわち、初期状態では、図4に示すように各枝棒22が斜め下方に延びているが、外力を付与することで、各枝棒23はアーチ部221を支点として、上方及び下方に旋回するようになっている。例えば、各枝棒22に外力が作用すると、各枝棒22は水平方向と70度以上の角度をなすように下方に旋回し、支柱1と近接するようになっている。あるいは、各枝棒22は、次に説明する保持部材3によって上方に旋回するように押し上げられる。
【0024】
<1-3.保持部材>
次に、保持部材3について説明する。図5は保持部材を上方から見た斜視図である。同図に示すように、保持部材3は、環状の本体部31と、本体部31から放射状に延びる複数の規制部32A~32Hと、本体部31の上面に形成された係合部33と、を備えており、これらは樹脂材料などの弾性変形可能な材料によって一体的に形成されている。本体部31の中央には円形の貫通孔311が形成されており、この貫通孔311に支柱1が挿通されるようになっている。これにより、保持部材3は支柱1に沿って上下動可能となっている。
【0025】
本実施形態では、枝棒22の数と同じ8個の規制部32A~32Hが、本体部31の外周面に等間隔で固定されている。ここでは、説明の便宜上、周方向に並ぶ規制部を、第1~第8規制部32A~32Hと称することとする。各規制部32A~32Hは、本体部31の外周面から径方向に延びる板状の第1部位321と、第1部位321の先端から周方向に延びる第2部位322とを備えており、これら第1部位321及び第2部位322によって、各規制部32A~32Hは平面視L字状に形成されている。また、各第2部位322の先端には、支柱1側にわずかに延びる抜け止め用の突部323が形成されている。このような構成により、各規制部32A~32Hは、後述するように、各枝棒22の延在部222を本体部31と規制部32A~32Hとの間で保持するようになっている。なお、周方向の対向する位置に配置されている第1及び第5規制部32A,32Eには、第1部位321の先端から径方向に延びる板状の操作部324が設けられている。以下では、第2部位322が延びる周方向の方向を第1方向と称し、これとは反対側の方向を第2方向と称することとする。
【0026】
係合部33は、第1規制部32Aと対応する位置に形成されており、上方に延びる第1部位331と、第1部位331の上端から周方向に延びる第2部位332とを備えている。これら第1部位331及び第2部位332によって、係合部33は側面視L字状に形成されている。この係合部33は、後述するように、一の枝棒32のアーチ部221に係合するようになっている。
【0027】
<2.鳥害防止具の使用方法>
次に、上記のように構成された鳥害防止具の組立方法及び使用方法について、図6図9を参照しつつ説明する。まず、各支柱ユニット1A~1Cに保持部材3をそれぞれ取り付ける。すなわち、保持部材3の貫通孔311に、軸部材11の下端を挿通する。このように各支柱ユニット1A~1Cに保持部材3を取り付けた後、3つの支柱ユニット1A~1Cを連結するとともに、第3支柱ユニット1Cの下端部に取付ユニット1Dを連結する。各保持部材3は、各支柱ユニット1A~1Cにおいて、枝棒ユニット2と、それよりも下方に連結された支柱ユニットの枝棒ユニット2または取付ユニット1Dの間を上下方向に移動可能となっている。なお、初期状態では、各保持部材3は、重力によって各支柱ユニット1A~1Cの下端付近に配置されている。
【0028】
次に、図6に示すように、鳥害防止具を、収納用の形態(以下、収納形態という)に変位させる。まず、各枝棒22に外力を加え、下方に傾斜させる。各枝棒22は、アーチ部221を支点とするように弾性変形によって下方に傾斜し、支柱1と概ね平行になるように支柱1と近接する。この状態で、保持部材3を回転し、各規制部32A~32Hを枝棒22の間に配置する。続いて、保持部材3の操作部324を手で把持し、第1方向に回転させる。これにより、各規制部32A~32Hが各枝棒22の延在部222に係合する。また、各規制部32A~32Hの突部323が抜け止めになり、保持部材3が第2方向に回転しないように保持される。こうして、各枝棒22が上方に傾斜しないように保持される。すなわち、枝棒22を束ねることができる。さらに、枝棒22が広がらないように、テープやリングの部材を、束ねられた枝棒に巻き付けることもできる。こうして、鳥害防止具がコンパクトになるため、保管や搬送が容易になる。
【0029】
次に、この鳥害防止具を所定の場所(被固定部10)に取り付ける。まず、図6の状態から保持部材3を第2方向に回転し、保持部材3と枝棒22との係合状態を解除する。次に、図7に示すように、保持部材3を支柱1に沿って上方に移動し、枝棒ユニット2に取り付ける。まず、各規制部32A~32Hが、周方向において枝棒22の間に位置するように周方向の位置を調整し、この状態で上方に移動する。こうして保持部材3を上方に移動すると、保持部材3の本体部31の外周の上端が各枝棒22のアーチ部221を押し上げる。これにより各枝棒22が上方に旋回し、アーチ部221の突部223が径方向外方に移動する。これにより、保持部材3が突部223の内側から上方に移動可能となる。そして、本体部31が突部223よりも上方に移動したところで、保持部材3の押し上げを停止して、やや下方に移動させると、各枝棒22が弾性変形により元の状態に戻るようにやや下方に傾斜する。これにより、図8に示すように、本体部31の外周の下端に、各枝棒22の突部223が係合する。その結果、保持部材3が下方に落下しないように突部223に保持される。
【0030】
続いて、保持部材3の操作部324を手で把持し、保持部材3を第1方向に回転させる。これにより、図9に示すように、各規制部32A~32Hが各枝棒22のアーチ部221に係合する。また、各規制部32A~32Hの突部224が抜け止めになり、保持部材3が第2方向に回転しないように保持される。これにより、各枝棒22のアーチ部221は、各規制部32A~32Hの第2部位322により周方向に広がらないように、その角度が規制される。また、係合部33が一のアーチ部221の上端付近に係合する。すなわち、係合部33の第2部位331が、アーチ部221に対して上方から係合する。
【0031】
その後、取付ユニット1Dのクランプ15を被固定部10に取り付ける。以上の作業により、枝棒22が斜め下方に延びるように所定の角度で保持される。これにより、被固定部10付近に鳥が近づくのを防止することができる。その結果、鳥が被固定具10に巣を作るのを防止することができる。
【0032】
<3.特徴>
以上のように構成された鳥害防止具によれば、次の効果を得ることができる。
【0033】
(1)各枝棒ユニット2において、基部21と枝棒22とは予め一体的に形成されている。したがって、従来例のように基部と枝棒とが事後的に組み立てられている場合に比べ、基部から枝棒が離脱するのを防止することができる。すなわち、従来例では、例えば、組み立てられた基部と枝棒に外力が作用すると、これらが分解し基部から枝棒が離脱するおそれがある。これに対して、本実施形態では、基部21と枝棒22とは一体的に形成されているため、基部21から枝棒22が離脱するのが防止される。したがって、使用中に枝棒が外れ、鳥害防止具としての機能が果たされなくなったり、あるいは枝棒が落下し、損傷が生じる等の問題が生じるのを防止することができる。
【0034】
(2)各枝棒22の基端部には、アーチ部221が設けられているため、枝棒22の屈曲性を向上することができる。例えば、アーチ部221を設けず、枝棒22の延在部222を基部21に直接固定した場合には、延在部222と基部21との固定部分が支点となって枝棒22が旋回する。このような状態では、枝棒22の旋回による力を固定部分のみで受けるため、固定部分が破損するおそれがある。
【0035】
これに対して、予めアーチ状に形成されているアーチ部221を設けると、枝棒22を旋回したときの力をアーチ部221が屈曲することで受け止められるため、アーチ部221と基部21との固定部分に集中して力が作用するのを抑制することができる。その結果、アーチ部221と基部21との固定部分の破損を抑制することができる。
【0036】
(3)保持部材3の規制部32A~32Hが、各枝棒22のアーチ部221に係合することで、各枝棒22を保持部材3の本体部31と規制部32A~32Hとの間に保持することができる。そのため、各枝棒22の延びる角度を一定に保持することができる。各規制部32A~32Hは、枝棒22が下方に傾斜した収納形態においても、各枝棒22に係合可能であるため、収納形態においても枝棒22が広がらないように保持することができる。
【0037】
(4)鳥害防止具を、図6に示す状態で保管し、作業時に被固定具10まで搬送すれば、保持部材3やテープ等を枝棒22から取り外し、図7図9に示す作業を行うだけで、鳥害防止具を簡単に利用可能な状態にすることができる。したがって、例えば、支柱ユニット1A~1Cを連結するなど、作業現場で鳥害防止具を改めて組み立てる必要がない。したがって、作業現場での作業性を向上することができる。
【0038】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。また、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0039】
<4-1>
上記実施形態では、各枝棒22の基端部にアーチ部221を設けているが、枝棒22を下方に傾斜させたときに、各枝棒22と基部21との固定部分に力が集中しないような形態であれば、各枝棒22の基端部の形態は特には限定されない。例えば、図10に示すように、枝棒22の基端部を波状に形成することもできる。すなわち、屈曲または湾曲した形状が枝棒の基端部に設けられていればよい。あるいは、このような基端部を設けず、枝棒22の延在部222を直接基部21に固定することもできる。
【0040】
<4-2>
保持部材3の形状は特には限定されず、支柱1に沿って移動可能に構成され、さらに各枝棒22を所定の角度に保持するように構成されていればよい。この限りにおいては、規制部32A~32H及び係合部33の形態、あるいはその有無は特には限定されない。また、各枝棒22に形成されている突部223は、必要に応じて設ければよく、必ずしも設けなくてもよい。
【0041】
<4-3>
上記実施形態では、3つの支柱ユニット1A~1Cを連結しているが、2または4以上の支柱ユニットを連結してもよい。また、取付ユニット1Dは必ずしも必要ではなく、支柱のいずれかの部分を何らかの手段で被固定具10に取り付けられればよい。また、上記実施形態では、連結部材8を用いて支柱ユニット1A~1Cを連結しているが、これらの連結方法は特には限定されず、種々の方法で連結することができる。あるいは、予め支柱ユニットを一体的に形成することもできる。
【0042】
<4-4>
各枝棒ユニット2の基部21は支柱1と一体化しているが、これらを別部材で構成し、基部21を接着剤、ネジなどの固定手段で、支柱1に固定することもできる。
【0043】
<4-5>
枝棒22の数、長さは特には限定されず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 支柱
2 枝棒ユニット
21 基部
22 枝棒
221 アーチ部
3 保持部材
32A~32H 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10