(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178912
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ロボット、及び物品のピックアップシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20231211BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20231211BHJP
G01G 13/24 20060101ALI20231211BHJP
G01G 13/16 20060101ALI20231211BHJP
G01G 13/08 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B25J13/00 A
B25J13/08 Z
G01G13/24 F
G01G13/16 A
G01G13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091908
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】515208326
【氏名又は名称】株式会社アールティ
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】野村 弘行
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 昌行
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
(72)【発明者】
【氏名】津川 久志
(72)【発明者】
【氏名】岡部 修一
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
【テーマコード(参考)】
2F046
3C707
【Fターム(参考)】
2F046CA01
2F046DA08
3C707AS01
3C707AS14
3C707BS13
3C707BS27
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET02
3C707EV06
3C707HS27
3C707JS02
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT04
3C707KT18
3C707LT06
3C707LV02
3C707LV07
3C707LV15
3C707LV23
3C707MT02
3C707NS02
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】計量装置とロボットとの動作を効率的に行うことができる、ロボット、及び物品のピックアップシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、複数の計量部を有する計量装置に対し、ピックアップされた物品を前記計量部に配置するロボットであって、ロボット本体と、少なくとも1つのアーム部材と、前記アーム部材による前記物品のピックアップ操作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記計量装置の駆動と連動して、前記ピックアップ操作を実行可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計量部を有する計量装置に対し、ピックアップされた物品を前記計量部に配置するロボットであって、
ロボット本体と、
少なくとも1つのアーム部材と、
前記アーム部材による前記物品のピックアップ操作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記計量装置と当該ロボットの駆動を連動するように構成されている、ロボット。
【請求項2】
前記制御部は、前記計量装置の駆動と連動して、前記ピックアップ操作を実行可能に構成されている、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記計量装置の駆動が停止したとき、前記制御部は、前記ピックアップ操作を停止するように構成されている、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記計量装置が駆動を開始したとき、前記制御部は、前記ピックアップ操作を開始するように構成されている、請求項2または3に記載のロボット。
【請求項5】
前記ロボットの駆動を制御するための入力部をさらに備え、
前記制御部が、前記入力部による前記ピックアップ操作の開始の入力を受け付けたとき、
前記制御部は、前記計量装置の駆動状態にかかわらず、前記ピックアップ操作を開始するように構成されている、請求項2または3に記載のロボット。
【請求項6】
前記ロボットの駆動を制御するための入力部をさらに備え、
前記制御部が、前記入力部による前記ピックアップ操作の停止の入力を受け付けたとき、
前記制御部は、前記計量装置の駆動状態にかかわらず、前記ピックアップ操作を停止するように構成されている、請求項2または3に記載のロボット。
【請求項7】
前記計量装置との連動のON/OFFを切り換える切換手段をさらに備えている、請求項2から6のいずれかに記載のロボット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のロボットと、
複数の前記計量部を有する前記計量装置と、
を備えている、
物品のピックアップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、及び物品のピックアップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アーム部材を駆動し、アーム部材の先端に設けられたトングによって番重に収容された麺製品をピックアップし、これを計量用のトレイに配置するロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ロボットと計量部とは別個の装置であるため、これらの操作は別々に行われる。しかしながら、ロボットと計量部とは協働して作業を行うため、操作を別々に行わず、効率的に行うことが求められる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、計量装置とロボットとの動作を効率的に行うことができる、ロボット、及び物品のピックアップシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点に係る本発明のロボットは、複数の計量部を有する計量装置に対し、ピックアップされた物品を前記計量部に配置するロボットであって、ロボット本体と、少なくとも1つのアーム部材と、前記アーム部材による前記物品のピックアップ操作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記計量装置の駆動と連動して、前記ピックアップ操作を実行可能に構成されている。
【0007】
第2の観点に係る本発明のロボットは、上記第1の観点に係るロボットにおいて、前記制御部は、前記計量装置と当該ロボットの駆動を連動するように構成されている。
【0008】
第3の観点に係る本発明のロボットは、上記第2の観点に係るロボットにおいて、前記計量装置の駆動が停止したとき、前記制御部は、前記ピックアップ操作を停止するように構成されている。
【0009】
第4の観点に係る本発明のロボットは、上記第2または第3の観点に係るロボットにおいて、前記計量装置が駆動を開始したとき、前記制御部は、前記ピックアップ操作を開始するように構成されている。
【0010】
第5の観点に係る本発明のロボットは、上記第2から第4の観点のいずれかに係るロボットにおいて、前記ロボットの駆動を制御するための入力部をさらに備え、
前記制御部が、前記入力部による前記ピックアップ操作の開始の入力を受け付けたとき、前記制御部は、前記計量装置の駆動状態にかかわらず、前記ピックアップ操作を開始するように構成されている。
【0011】
第6の観点に係る本発明のロボットは、上記第2から第5の観点のいずれかに係るロボットにおいて、前記ロボットの駆動を制御するための入力部をさらに備え、前記制御部が、前記入力部による前記ピックアップ操作の停止の入力を受け付けたとき、前記制御部は、前記計量装置の駆動状態にかかわらず、前記ピックアップ操作を停止するように構成されている。
【0012】
第7の観点に係る本発明のロボットは、上記第2から第3の観点のいずれかに係るロボットにおいて、前記計量装置との連動のON/OFFを切り換える切換手段をさらに備えている。
【0013】
第8の観点に係る本発明の物品のピックアップシステムは、上記第2から第7の観点のいずれかに係るロボットと、複数の前記計量部を有する前記計量装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、計量装置とロボットとの動作を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るピックアップシステムの平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る第1ロボットのある姿勢を示す斜視図である。
【
図6】第1ロボットのある姿勢を示す正面図である。
【
図9】第1アーム部材による予備操作を示す平面図である。
【
図10】第1アーム部材による麺製品のピックアップ操作を示す斜視図である。
【
図11】第1アーム部材による麺製品のピックアップ操作を示す斜視図である。
【
図12】第1アーム部材による麺製品のピックアップ操作を示す斜視図である。
【
図13】第1アーム部材の第1回転操作前の状態を示す正面図である。
【
図14】第1アーム部材の第1回転操作を示す正面図である。
【
図15】第1アーム部材の第2回転操作を示す正面図である。
【
図16】第1アーム部材の上下動操作を示す正面図である。
【
図17】第1アーム部材による麺製品の配置操作を示す側面図である。
【
図18】第1アーム部材による麺製品の配置操作を示す側面図である。
【
図19】第1アーム部材による麺製品の配置操作を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る物品のピックアップシステムを、麺製品のピックアップシステムに適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ここでいう麺製品とは、例えば、パスタ、うどん、蕎麦などである。
図1は本実施形態に係るピックアップシステムの平面図、
図2は
図1の正面図、
図3は
図1の一部側面図、
図4は
図1の斜視図(但し、一方のロボットを省略している)である。以下では、搬送装置の説明を行うときには、
図1~
図4に示す方向にしたがって説明を行う。また、ロボットの説明を行うときには、後述する
図5に記載の方向にしたがって説明を行う。但し、本発明は、これらの方向に限定されず、種々の方向に設定可能である。
【0017】
図1~
図4に示すように、本実施形態に係るピックアップシステムは、第1ロボット100と、第2ロボット200と、麺製品Nの搬送装置300と、を備えている。搬送装置300は、複数の計量コンベア311~317,321~327と、各計量コンベア311~317,321~327から供給された麺製品Nを搬送する第1搬送コンベア33と、第1搬送コンベア33から供給される麺製品Nを搬送する第2搬送コンベア34と、を備えている。この搬送装置300は、2台のロボット100,200の間に配置されている。各ロボット100,200と搬送装置300との間には、麺製品Nが収容された収容部材41,42がそれぞれ配置されている。そして、各ロボット100,200は収容部材41,42から所定量の麺製品Nをピックアップし、いずれかの計量コンベア311~317,321~327に配置するようになっている。計量コンベア311~317,321~327上に配置された麺製品Nは、第1搬送コンベア33に供給されて搬送され、さらに第2搬送コンベア34に移し替えられて搬送されるようになっている。以下では、まず搬送装置300について詳細に説明し、その後、ロボット100,200について詳細に説明する。
【0018】
<1.搬送装置>
図1~
図4に示すように、搬送装置300は、左右方向に離れて配置された一対の計量コンベア群301,302を有しており、各計量コンベア郡301,302には、それぞれ複数の計量コンベア311~317,321~327が設けられている。各計量コンベア郡301,302の間には前後方向に延びる第1搬送コンベア33が配置され、第1搬送コンベア33の前端側には左右方向に延びる第2搬送コンベア34が配置されている。さらに、左側の計量コンベア群302の後端側には、操作表示器35が配置されている。これらの各機器の動作は制御装置(図示省略)によって制御されている。
【0019】
以下では、第1搬送コンベア33の右側の計量コンベア群を第1計量コンベア群301、左側の計量コンベア群を第2計量コンベア群302と称することとする。第1計量コンベア群301の右側には第1ロボット100が配置され、第1ロボット100がピックアップした麺製品Nは、第1計量コンベア群301のいずれかの計量コンベア311~317に配置される。一方、第2計量コンベア群302の左側には第2ロボット200が配置され、第2ロボット200がピックアップした麺製品Nは、第2計量コンベア群302のいずれかの計量コンベア321~327に配置される。第1計量コンベア群301と第2計量コンベア群302は、左右対称に配置され、概ね同一構成であるため、以下では、主として、第1計量コンベア群301について説明する。
【0020】
<1-1.計量コンベア群>
第1計量コンベア群301は、前後方向に並ぶ複数の計量コンベア311~317を備えている。本実施形態では、一例として7台の計量コンベア311~317が設けられているが、説明の便宜のため、前から後に向かって並ぶ計量コンベアを、それぞれ第1~第7計量コンベア311~317と称することとする。但し、各計量コンベア311~317は、概ね同一構成であるため、以下では第1計量コンベア311について説明する。
【0021】
第1計量コンベア311は、ロードセル等の重量センサ(図示省略)によって支持されたベルトコンベアによって構成されている。ベルトコンベアの搬送方向は左右方向となっており、載せられた麺製品Nを左側に配置されている第1搬送コンベア33に搬送するようになっている。また、重量センサによって載せられた麺製品Nの重量が計量され、その計量値(アナログ重量信号)が、A/D変換部でデジタル信号に変換され、制御装置に送信される。
【0022】
<1-2.搬送コンベア>
第1搬送コンベア33は、ベルトコンベアで構成され、各計量コンベア311~317,321~327から供給される麺製品Nを前方へ搬送する。したがって、
図2に示すように、第1搬送コンベア33は、各計量コンベア群301,302よりも下方に配置されている。また、第1搬送コンベア33の前端には、左右方向に延びる第2搬送コンベア34が配置されており、第1搬送コンベア33で搬送された麺製品Nが、第2搬送コンベア34に移し替えられる。そのため、第2搬送コンベア34は、第1搬送コンベア33よりも下方に配置されている。第2搬送コンベア34は、ベルトコンベアによって構成されており、左右方向に循環移動している。このベルトコンベア上には搬送方向に所定間隔をおいて、トレイ341が固定されている。各トレイ341は、循環移動するベルトコンベアの上側にあるときは右側へ搬送され、ベルトコンベアの下側にあるときは左側へ搬送される。すなわち、各トレイ341はベルトコンベアとともに左右方向に循環移動している。そして、第2搬送コンベア34の右側には回収容器38が配置されている。この回収容器38には、各トレイ341に収容された麺製品Nが袋詰めされ、回収される。
【0023】
制御装置は、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、CPU等で構成される演算制御部と、RAM及びROM等のメモリで構成された記憶部とを有している。記憶部には、運転用プログラム、計量データ等の各種データが記憶される。なお、制御装置は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0024】
制御装置は、演算制御部が記憶部に記憶されている運転用プログラムを実行することにより、搬送装置全体の制御を行う。例えば、各重量センサによって計測される計量値をA/D変換部を介してデジタル値として随時取得し、必要であれば記憶部に記憶する。また、制御装置は、コンベア駆動回路部を介して各計量コンベア311~317,321~327及び各搬送コンベア33,34の搬送動作を制御する。さらに、制御装置は、操作表示器35からの信号を入力し、操作表示器35へ表示するデータ等の信号を出力する。
【0025】
操作表示器35は、例えばタッチスクリーン式のディスプレイ(表示装置)を備え、このディスプレイの画面上で、搬送装置300の運転の開始及び停止等の操作、運転パラメータの設定等を行うことができる。また、制御装置による運転(制御)の結果をディスプレイ画面上に表示することができる。さらに、制御装置は、操作表示器35において搬送装置300の運転の開始または停止がなされたとき、開始信号または停止信号をロボット100,200に送信するようになっている。
【0026】
<1-3.搬送装置の動作>
次に、上記のように構成された搬送装置300の動作の一例について説明する。本実施形態では、後述するようにロボット100,200が、搬送停止状態で麺製品Nが載っていない計量コンベア311~317,321~327に麺製品Nを随時供給する(載せる)作業を行う。
【0027】
制御装置は、A/D変換部から一定時間間隔で各重量センサの計量値を取得し、重量センサの計量値に基づいて麺製品Nが供給されている計量コンベア311~317,321~327を認識するとともにその麺製品Nの重量値を認識する。ここで、麺製品Nが供給されている計量コンベア311~317,321~327を認識する際、計量値(重量値)を予め設定されている基準範囲と比較し、計量値が基準範囲以内であれば適切な量の麺製品Nが供給されていると判定する。この場合には、所定のタイミングで計量コンベア311~317,321~327を駆動し、載せられた麺製品Nを第1搬送コンベア33に搬送する。計量値が基準範囲より小さい第1基準値未満であれば麺製品Nは供給されていないと判定する。この場合には、ロボット100,200により、麺製品Nを計量コンベア311~317,321~327に配置する。また、計量値が、第1基準値以上基準範囲の下限値未満であれば、配置されるべき麺製品Nが所定量に達していないとして、ロボット100,200により麺製品Nの追加を行う。一方、計量値が基準範囲を超えている場合には、麺製品Nが過剰に配置されていると判定され、ロボット100,200により、載せられた麺製品Nの一部を取り去る制御を行う。また、第1計量コンベア郡301と収容部材41との間、つまり第1搬送コンベア33とは反対側に前後方向に延びる回収レーンを配置し、麺製品Nの計量値が基準範囲を超えていると、その計量コンベア311~317を駆動し、麺製品Nを回収レーンへ搬送することでも取り去る制御を行うことができる。
【0028】
以上の制御において、制御装置は、各計量コンベア311~317,321~327における計量の結果をロボット100,200の制御装置に逐次送信する。これにより、各ロボット100,200は、麺製品Nが適量配置された計量コンベア、麺製品Nが配置されていない計量コンベア、麺製品Nの量が不足している計量コンベア、及び麺製品Nが過剰に配置されている計量コンベアを認識することができる。したがって、各計量コンベア311~317,321~327の状態に応じて、ロボット100,200を制御することができる。例えば、各ロボット100,200は、麺製品Nが配置されていない最も近い計量コンベアを検知し、その計量コンベアから順に麺製品Nを配置することができる。
【0029】
次に、制御装置は、所定のタイミングで、各計量コンベア311~317,321~327から第1搬送コンベア33へ麺製品Nを搬送する。第1搬送コンベア33の下流側にある第2搬送コンベア34には所定間隔をおいてトレイ341が配置されているため、第1搬送コンベア33から第2搬送コンベア34へは、所定の時間おきに麺製品Nを供給する必要がある。そのため、第1搬送コンベア33上には、所定間隔で麺製品Nが配置される必要がある。
【0030】
この制御のため、制御装置は、基準範囲の適量の麺製品Nが配置されている計量コンベア311~317,321~327を所定のタイミングで駆動し、第1搬送コンベア33上に搬送する。そして、制御装置は、各計量コンベア311~317,321~327から供給された麺製品Nが、第1搬送コンベア33上で所定の間隔で配置されるようにする。したがって、各計量コンベア311~317,321~327は、適量の麺製品Nが配置されても制御装置が規定したタイミングまでは停止している。
【0031】
第1搬送コンベア33に供給された麺製品Nは、下流側に第2搬送コンベア34のトレイに供給される。そして、各トレイ341にある麺製品Nは、例えば、作業員により順次袋詰めされ、第2搬送コンベア34の右側にある回収容器38に順次回収されていく。
【0032】
<2.ロボット>
本実施形態で用いる第1及び第2ロボット100,200は同じものであり、人間の上半身を模したロボットである。各ロボット100,200は、収容部材41,42に隣接する基台45,46の上に配置されている。第1及び第2ロボット100,200は同じ構造であるため、以下では、第1ロボット100について説明する。
【0033】
図5は、本実施形態に係る第1ロボットのある姿勢を示す斜視図、
図6は第1ロボットのある姿勢を示す正面図である。
【0034】
図5及び
図6に示すように、第1ロボット100は、胴体101、頭部102、及び一対のアーム部材103,104を有している。胴体101の上端部には、上下方向の軸周りに回転可能な頭部102が設けられている。また、胴体101の上部には、下方を撮影する第1カメラ105が設けられており、この第1カメラ105によって、第1ロボット100の前方に配置された収容部材41の内部を撮影するようになっている。すなわち、このカメラ105によって、収容部材41内の麺製品Nを撮影し、ピックアップすべき部分を算出するようにしている。また、頭部102には第1カメラと同様の機能を有する第2カメラ106が設けられている。これら第1及び第2カメラ105,106は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を利用したイメージセンサを備えるデジタルカメラであってもよいし、さらに深度を測定できるRGB-Dカメラ等であってもよい。麺製品Nのピックアップについては、後述する。なお、本実施形態では、胴体101と頭部102が本発明のロボット本体に相当する。
【0035】
胴体101の右側には第1アーム部材103が設けられ、左側には第2アーム部材104が設けられている。これらのアーム部材103,104は同じ構造を有し、左右対称であることのみが相違するため、以下では第1アーム部材103について説明する。
【0036】
<2-1.アーム部材>
第1アーム部材103は、7軸の自由度を有する多関節を有している。この第1アーム部材103は一般的なマニピュレータであり、可動せず一体に変位する骨格部材であるリンクと、リンク間を接続し、所定の回転軸を基準として接続されるリンクを互いに変位させる関節とを交互に備えている。また、アーム部材103の先端にはエンドエフェクタ(把持部)3が設けられている。
【0037】
第1アーム部材103は、各関節にサーボモータを内蔵すると共に、サーボモータの回転角を制御する制御装置108と信号線を介して接続される。制御装置108は、第1ロボット100に内蔵されるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。また、制御装置108は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信網を介して接続され、いわゆるクラウド上でサービスを提供する装置であってもよい。本実施形態におけるサーボモータは、例えば、ブレーキを内蔵していないものとすることができる。
【0038】
各リンク11~17等の材料は特に限定されず、樹脂や金属、カーボン等を利用することができる。また、成形方法も特に限定されず、塑性加工や射出成型により製造してもよいし、3Dプリンタを利用して造形してもよい。
【0039】
次に、第1アーム部材103の詳細な構造について説明する。
図5及び
図6に示すように、第1アーム部材103は、7つのリンク11~17と、これらを接続する7つの関節21~27を有している。具体的には、胴体101の一部(肩部分)である第1リンク11と、第1リンク11の一端に接続される第1関節21と、第1関節21を介して第1リンク11に一端が接続される第2リンク12と、第2リンク12の他端に接続される第2関節22と、第2関節22を介して第2リンク12に一端が接続される第3リンク13と、第3リンク13の他端に接続される第3関節23と、第3関節23を介して第3リンク13に一端が接続される第4リンク14と、第4リンク14の他端に接続される第4関節24と、第4関節24を介して第4リンク14に一端が接続される第5リンク15と、第5リンク15の他端に接続される第5関節25と、第5関節25を介して第5リンク15に一端が接続される第6リンク16と、第6リンク16の他端に接続される第6関節26と、第6関節26を介して第6リンク16に一端が接続される第7リンク17と、第7リンク17の他端に接続される第7関節27とを有している。
【0040】
図7はアーム部材の先端に設けられたエンドエフェクタの斜視図である。
図7に示すように、第7関節27の先端には、2指グリッパで構成されたエンドエフェクタ(把持部)3が設けられている。第7関節27は第7リンク17の軸方向に延びる回転軸S周りに回転可能な関節であり、2指グリッパは、第7関節27に対して回転可能に連結された支持部31と、この支持部31において回転軸Sを挟んで配置された一対の把持部材32,33と、を備えている。各把持部材32,33の端部は、支持部31に対して揺動可能に連結されており、これによって、両把持部材32,33の先端部が互いに近接離間能となっている。したがって、両把持部材32,33によって麺製品Nを掴むことができるようになっている。なお、把持部材32,33はサーボモータなどで揺動させることができる。また、把持部材32,33は、麺製品Nを把持しやすいような、例えば、トングによって構成することができる。
【0041】
図8は、第1アーム部材103を模式的に表す図である。
図8に示す第1アーム部材103は、第1~第7リンク11~17、リンク間を接続する第1~第7関節21~27、及びエンドエフェクタ3を含み、制御装置108と接続されている。また、第4リンク14は第1結合部141を備え、第6リンク16は第2結合部161を備える。
図10においては、リンクを太い直線で表し、関節を双円錐又は二重の円(楕円)で表す。双円錐は、モータの回転軸が接続されるリンクの中心軸と一致し、接続されるリンクを回転運動させる関節を表す。すなわち、双円錐で表された関節は、一点鎖線の矢印で示すように、円錐の頂点同士を連結する軸(図示せず)を中心に、円錐の頂点に接続されたリンクを互いに回転させる。なお、接続されるリンクを回転運動させる関節を、便宜上「回転関節」とも呼ぶ。また、二重の円は、モータの回転軸が接続されるリンクの中心軸と一致せず、回転軸に接続されるリンクを旋回運動(回動)させる関節を表す。すなわち、二重の円で示す関節は、二点鎖線の矢印で示すように、円の中心を通る垂線(図示せず)を軸にして各円に接続されたリンクを互いに旋回させる。なお、接続されるリンクを旋回させる関節を、便宜上「旋回関節」とも呼ぶ。このように、本実施形態に係るロボットアームは、回転関節(関節21、23、25、27)と旋回関節(関節22、24、26)とを交互に備えている。
【0042】
制御装置108は、プロセッサ181と記憶装置182とを有する。プロセッサ181は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、プログラムを実行することにより、第1ロボット100の動作を制御する。また、
図8に示した記憶装置182は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶装置及びHDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置(二次記憶装置)である。主記憶装置は、プロセッサが読み出したプログラム等を一時的に記憶したり、プロセッサの作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサが実行するプログラム等を記憶する。なお、プロセッサ181及び記憶装置182は、メモリを内蔵したマイクロコントローラであってもよい。
【0043】
また、ロボット100,200には、図示を省略する操作パネル(入力部)が設けられており、この操作パネルによってロボット100,200の駆動開始または駆動停止を行えるようになっている。すなわち、制御装置108は、操作パネルへの入力に基づいて、ロボット100,200を操作するようになっている。また、この操作パネルには、搬送装置とロボットとの連動のON/OFFを切り換えるボタン(切換え手段)が設けられている。
【0044】
<2-2.ロボットの動作>
次に、第1ロボット100が麺製品Nをピックアップし、計量コンベア311~317を配置する動作について、
図9~
図19を参照しつつ説明する。以下では、収容部材41から麺製品Nをピックアップする操作をピックアップ操作と称し、ピックアップした麺製品Nを計量コンベア311~317まで移動し、計量コンベアに配置する操作を配置操作と称することとする。また、これらの操作をまとめてピックアップ動作と称することがある。
【0045】
以下のピックアップ動作では、上述した間接21~27のうちの少なくとも1つを駆動させることで、第1アーム部材103を動作させる。したがって、第1アーム部材103が、以下に説明する動作を行う限りは、駆動させる関節21~27は特には限定されない。また、以下では第1アーム部材103の動作について説明するが、第2アーム部材104も同様に動作する。本実施形態では、第1アーム部材103によって第5~第7計量コンベア315~317に麺製品Nが配置され、第2アーム部材104によって、第1~第4計量コンベア311~314に麺製品Nが配置されるように設定されていることとする。
【0046】
まず、第1ロボット100は、カメラ105によって収容部材41の内部にある麺製品Nを撮像し、把持部材32,33を挿入する部位を特定する。例えば、カメラ105によって麺製品Nの画像から深度を算出し、収容部材41の底面からの麺製品Nの高さが最も高い部位を挿入箇所として特定することができる。次に、
図9に示すように、把持部材32,33を互いに離間させた状態で、エンドエフェクタ3を初期位置から一方側(以下、プラス側という)に所定角度回転させる(例えば、90~180度,以下、第1角度といい、この動作を予備回転という)。そして、
図10に示すように、この状態からエンドエフェクタ3を麺製品Nに挿入する。続いて、
図11に示すように、把持部材32,33を近接させて麺製品Nを掴み、エンドエフェクタ3を所定の高さまで上昇させる。このとき、
図12に示すように、エンドエフェクタ3の回転軸Sが、水平方向Hから所定の傾きθになるように、第1アーム部材103の姿勢を調整する。この傾きθは、例えば、多くの麺製品では-80度~+80度であることが好ましく、-40度~+45度であることがより好ましい。なお、ここでいう、例えば-45度とは水平方向Hよりも下方に45度傾いた角度であり、+45度とは水平方向Hよりも上方に45度傾いた角度である。
【0047】
次に、
図13に示す状態から
図14に示す状態になるように、エンドエフェクタ3を上記プラス側とは反対側(以下、マイナス側という)に第1角度の2倍程度回転させる(以下、第1回転操作という)。このとき、エンドエフェクタ3においては、麺製品Nが把持部材32,33からプラス側及びマイナス側にぶら下がった状態となっているが、全ての麺製品Nが把持部材32,33に把持されている訳けではなく、一部の麺製品Nは把持部材32,33に把持された麺製品Nに絡みついていることがある。したがって、エンドエフェクタ3をマイナス側に回転させることで、把持部材32,33からマイナス側にぶら下がった麺製品Nに下方の加速度を付与することができるため、マイナス側に絡みついた麺製品Nを振り落とすことができる。
【0048】
続いて、
図14に示すように、エンドエフェクタ3をプラス側に第1角度の2倍程度回転させる(以下、第2回転操作という)。これにより、把持部材32,33からプラス側にぶら下がった麺製品Nに下方の加速度を付与することができるため、プラス側に絡みついた麺製品Nを振り落とすことができる。
【0049】
その後、エンドエフェクタ3を上下動させることで、絡みついた麺製品Nをさらに振り落とす(以下、上下動操作という)。例えば、エンドエフェクタ3を2~3回程度上下動させることが好ましい。このとき、
図15に示すように、上述した回転操作後の初期位置からエンドエフェクタ3を所定距離だけ下降させた後、
図16に示すように、初期位置よりも上昇させる。すなわち、エンドエフェクタ3を上昇させる工程では、その直前のエンドエフェクタ3の最上点よりも高い位置にエンドエフェクタ3を上昇させる。これにより、エンドエフェクタ3の下降時に麺製品Nに作用する加速度を増すことができ、絡みついた麺製品Nをさらに振り落とすことができる。なお、第2回転操作と上下動操作を行う順序は特には限定されず、上記と反対であってもよいし、同時に行われてもよい。
【0050】
こうして、麺製品Nの振り落とし作業が完了すると、エンドエフェクタ3を計量コンベアに移動させる。上記のように、搬送装置300は、第1~第7計量コンベア315~317のうち、麺製品Nが配置されていない計量コンベアを第1ロボット100に逐次送信しているため、第1ロボット100は、例えば、第1アーム部材103に割り当てられている第5~第7計量コンベア315~317のいずれかに麺製品Nが配置されていないことを検知すると、麺製品Nが配置されていない計量コンベア315~317のうち、第1ロボット100に最も近い計量コンベアから麺製品Nを配置する。
【0051】
まず、
図17に示すように、エンドエフェクタ3を上方に旋回させる(第1旋回操作)。これにより、把持部材32,33から下方にぶら下がる麺製品が搬送装置の端部などと干渉するのを抑制することができる。次に、第1アーム部材103を対象とする計量コンベア側に移動させる。
図18に示すように、エンドエフェクタ3が対象となる計量コンベアの上方に位置したときには、把持部材32,33の動作方向(近接離間方向)が水平方向とほぼ一致するようにエンドエフェクタ3の回転位置を調整しておく。そして、
図19に示すように、対象となる計量コンベアの上方で、エンドエフェクタ3を下方に旋回させながら(第2旋回操作)、その最下点付近で把持部材32,33を離間させ、麺製品Nを計量コンベア上に落下させる。このとき、エンドエフェクタ3を計量コンベアの前部付近(搬送コンベア側)の上方に位置決めし、この位置から後方にやや待避させながら下方に旋回させると、麺製品NをU字状の形態で計量コンベア上に配置することができる。
【0052】
こうして、麺製品Nが計量コンベア315~317上に配置されると、エンドエフェクタ3が収容部材41の上方に移動するように第1アーム部材103を動作させ、次の麺製品Nのピックアップ動作を行う。以上と同様の動作を第2アーム部材104も行う。すなわち、第2アーム部材104は、収容部材41から麺製品Nをピックアップし、第1~第4計量コンベア311~314のいずれかに麺製品Nの配置を行う。また、第2ロボット200も同様の動作を行い、収容部材42から麺製品Nをピックアップし、第2計量コンベア群302のいずれかの計量コンベア321~327に配置する。その後の麺製品Nの搬送については、上述したとおりである。
【0053】
なお、計量コンベア311~317上に配置された麺製品Nが上述した基準範囲未満であると判定された場合には、追加のピックアップ動作を行うことができる。すなわち、計量された麺製品Nの重量に応じて、足りない量の麺製品Nを収容部材41からピックアップし、再度、対象となる計量コンベアに配置する。このときの麺製品Nのピックアップの方法は特には限定されず、例えば、収容部材41内の麺製品Nに挿入する把持部材32,33の長さを、規定よりも短くするなどしてピックアップする麺製品Nの重量を調整することができる。
【0054】
また、計量コンベア311~317上の麺製品Nの重量が規定範囲を超えている場合には、計量コンベア311~317に配置されている麺製品Nの一部を把持部材32,33によってピックアップし、麺製品Nの重量が規定範囲内に入るように減らすことができる。このとき、第1ロボット100の頭部102に設けられている第2カメラ106によって対象となる計量コンベア上の麺製品Nを撮像し、上記と同様に、麺製品Nをピックアップする部位を特定する。そして、計量された麺製品Nの重量に基づいて、把持部材32,33を挿入する長さを調整し、麺製品Nの一部をピックアップする。これにより、計量コンベア上の麺製品Nの重量が基準範囲内にあると判定されると、上記のように第1搬送コンベア33に搬送される。
【0055】
その他、計量コンベア311~317上に配置された麺製品Nが基準範囲にない場合には、その麺製品Nを回収することもできる。例えば、第1計量コンベア郡301と収容部材41との間、つまり第1搬送コンベア33とは反対側に前後方向に延びる回収レーンを配置することができる。そして、麺製品Nの重量が基準範囲にないと判定されると、その計量コンベア311~317を駆動し、麺製品Nを回収レーンへ搬送することができる。回収された麺製品Nは、収容部材41に収容することができる。あるいは廃棄することもできる。
【0056】
収容部材41の麺製品Nが少なくなった場合には、収容部材41に麺製品Nを直接補充することができる。その他、収容部材41は、搬送装置300と第1ロボット100との間に配置されているため、前後方向に移動可能である。したがって、収容部材41内の麺製品Nが少なくなった場合には、収容部材41を前後方向のいずれかに移動し、代わりに麺製品Nが充填された交換用の収容部材を前後方向から第1ロボット100の前に配置することができる。このとき、交換用の収容部材によって収容部材41を前後方向に押し出すように操作すれば、麺製品Nの補充の効率をさらに向上することができる。また、ピックアップ時に飛び散った麺製品Nを受け取るため、収容部材41の前後方向の少なくとも一方に、空の受け用の収容部材を配置することもできる。
【0057】
<2-3.搬送装置とロボットの動作の連動>
本実施形態においては、ロボット100,200の操作パネルの切換えボタンをONにしたときに、搬送装置300の動作とロボット100,200の動作が連動するように構成されている。例えば、以下のような連動を規定することができる。
【0058】
(a) 操作表示器35により、搬送装置300の駆動を開始すると、開始信号がロボット100,200に送信され、ロボット100,200の制御装置108がこれを受信すると、ロボット100,200も駆動を開始する。
【0059】
(b) 操作表示器35により、搬送装置300の駆動を停止させると、停止信号がロボット100,200に送信され、ロボット100,200の制御装置108がこれを受信すると、ロボット100,200も駆動が停止する。
【0060】
(c) 入力部により停止中のロボット100,200の駆動を開始しても、搬送装置300はこれに連動せず、停止中の搬送装置は駆動を開始しない。
【0061】
(d) 入力部により駆動中のロボット100,200の駆動を停止しても、搬送装置300はこれに連動せず、駆動中の搬送装置300は駆動を停止しない。
【0062】
なお、切換えボタンがOFFになっているときは、搬送装置300の動作とロボット100,200の動作は連動しないように構成されている
【0063】
<3.特徴>
上記のように構成された麺製品のピックアップシステムでは、次のような効果を得ることができる。
【0064】
(1)上記(a)~(c)のように、搬送装置300とロボット100,200の動作を連動させることで、次のような利点がある。
【0065】
(a)(b)により、1つの操作で、搬送装置300とロボットとを同時に駆動開始及び駆動停止を行うことができるため、操作を効率的に行うことができる。また、例えば、搬送装置300が停止したとき、ロボット100,200のみが動作を続けると、停止中の搬送装置300に麺製品が配置され続けるおそれがあるため、(b)のように連動させると、そのような不具合がない。
【0066】
(c)(d)により、ロボット100,200が、搬送装置300の駆動にかかわらず、駆動の開始及び停止を行うことができるようになっている。例えば、第1ロボット100をメンテナンスのために停止するとき、第1ロボット100の代わりに人がピックアップ操作を行う場合には、第1ロボット100を停止しても、搬送装置300は駆動を続けるため、人によるピックアップ操作を行うことができる。また、第2ロボット200は駆動を続けるため、第2ロボット200によるピックアップ操作は停止することなく継続することができる。さらに、第1ロボット100のメンテナンスが終了し、第1ロボット100が人と交替してピックアッフ操作を行うことができるようになった場合、第1ロボット100の駆動を開始しても、搬送装置300の駆動には影響を及ぼさず、第2ロボット200によるピックアップ操作は継続される。したがって、作業効率の低下を防止することができる。
【0067】
搬送装置300とロボット100,200との連動は切換えボタンにより解除することができるため、切換えボタンをOFFにすると、上記(a)(b)の連動が生じないようにすることができる。すなわち、ロボット100,200を搬送装置300とは独立して動作させることもできる。なお、切換えボタンを設けず、常に両者100,200,300を連動させることもできる。
【0068】
(2)本実施形態では、収容部材41を第1ロボット100の前方に配置し、さらにその前方に計量コンベア311~317を配置している。そのため、第1ロボット100が麺製品Nをビックアップした後、アーム部材103,104を前方に移動させれば、麺製品Nを計量コンベア311~317に配置できるため、アーム部材103,104を含む第1ロボット100の姿勢を大きく変化させることなく、ピックアップ操作と配置操作を行うことができる。したがって、麺製品Nのピックアップ動作を効率的に行うことができ、作業時間を短縮することが可能となる。また、第1ロボット100の正面に収容部材41を配置しているため、第1ロボット100の第1カメラ105を固定したままで、収容部材41の麺製品Nを撮像することができる。したがって、この点においても、麺製品Nのピックアップ動作を効率的に行うことができる。
【0069】
(3)本実施形態では、ピックアップ操作において、第1回転操作、第2回転操作、及び上下動操作を行っているが、これにより、絡まった麺製品Nを振り落とすことができる。ピックアップされた麺製品Nは、計量コンベア311~317,321~327まで移動されるが、この過程において、把持部材32,33に把持されていない、絡まった麺製品Nが脱落するおそれがある。そこで、上記のように絡まった麺製品Nを配置操作前に振り落とすことで、麺製品Nが収容部材41と計量コンベア311~317,321~327との間で落下するのを抑制することができる。また、適量の麺製品Nを計量コンベア上に配置することができる。さらに、絡まった麺製品Nが配置操作に際に落下し、複数の計量コンベアにまたがって麺製品Nが配置された場合に、計量コンベアが正しく計量動作を完了できない状態を回避することができる。
【0070】
(4)麺製品Nの配置操作においては、エンドエフェクタ3を下方に旋回しつつ把持部材32,33の把持状態を解除しているが、これにより麺製品Nに作用する慣性を定型化することができ、麺製品Nを計量コンベア311~317,321~327上に正確に配置することができる。
【0071】
(5)本実施形態では、ロボット100から最も近い計量コンベアから麺製品Nを配置するようにしているため、麺製品Nの移動距離を短くすることができる。これにより、麺製品Nの脱落のリスクを低減することができる。また、麺製品Nの配置の効率を向上することができ、作業時間の短縮が可能となる。
【0072】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は適宜組み合わせることができる。なお、以下では、いずれか一方のロボット、またはいずれか一方のアーム部材について説明しているが、特に断りの無い限り、他方のロボットまたはアーム部材にも適用可能であることを意味している。
【0073】
(1)上記実施形態では、7自由度を有する多関節のアーム部材103,104を有するロボット100について説明したが、ロボット100の構成は特には限定されない。すなわち、上述したような麺製品Nのピックアップ動作を行うことができれば、アーム部材103,104の構成は特には限定されず、7自由度以外の多関節でもよい。また、ロボットの数も特には限定されない。
【0074】
(2)上記実施形態では、ピックアップ操作において、麺製品Nの振り落としのために、第1回転操作を行う前に、エンドエフェクタ3を初期位置からプラス側に予め回転させた状態で、麺製品に把持部材を挿入しているが、この予備操作を行わずに第1回転操作を行うこともできる。
【0075】
(3)上記実施形態では、ピックアップ操作において、麺製品Nの振り落としのために、第1回転操作、第2回転操作、及び上下動操作を行っているが、少なくとも第1回転操作が行われれば、絡みついている麺製品Nを振り落とすことができる。したがって、第2回転操作及び上下動操作は必ずしも必要でなく、必要に応じて、これらの少なくとも一方を追加することができる。また、各回転操作における回転角度は特には限定されない。さらに、これらの操作に限定されず、他の操作によって麺製品をピックアップすることもできる。
【0076】
(4)麺製品Nの配置操作は特には限定されず、上記実施形態で示したもの以外であってもよい。すなわち、把持された麺製品Nを計量コンベア311~317,321~327上に配置できれば、麺製品Nの配置操作は適宜設定することができる。
【0077】
(5)上記実施形態では、第1ロボット100の第1アーム部材103が第5~第7計量コンベア315~317に麺製品Nを配置するように設定され、第2アーム部材104が第1~第4計量コンベア311~314に麺製品Nを配置するように設定されているが、これ以外の設定でもよい。例えば、一部の計量コンベアにおいて、第1アーム部材103及び第2アーム部材104のいずれでも麺製品Nを配置できるように設定することができる。これにより、麺製品Nの配置の効率を向上することができる。このような計量コンベアは、第1ロボット100の近傍に配置されているものが適切であり、例えば、第4計量コンベア314(第3計量部群)に対し、第1アーム部材103と第2アーム部材104とのいずれでも麺製品Nを配置できるように設定することができる。これにより、例えば、ある時点で最も近い配置位置を共有する2つのアーム部材のうち、一つがロボットから離れた計量コンベアに物品を配置しているとき、他方のアーム部材が最も近い計量コンベアへ物品を配置することができる。このような動作はアーム部材の構造および共通とする配置位置の数によりアーム部材同士の交差を回避可能な様々な構成が可能である。
【0078】
(6)ロボット100の構成は特には限定されず、胴体101及び頭部102が明確に区別できるものでなくてもよく、少なくともアーム部材103,104とこれを支持するロボット本体が設けられていればよい。また、カメラ105,106の位置も特には限定されず、重量が基準範囲を超えた麺製品Nの一部をピックアップする操作を行わなければ、カメラは収容部材41を撮像するものだけでもよい。あるいは、カメラ以外の各種のセンサを用いて、収容部材41においてピックアップすべき麺製品Nの位置を算出することもできる。また、アーム部材の数は特に限定されず、1また3以上であってもよい。
【0079】
(7)上記実施形態では、搬送装置300からの信号によって麺製品Nが配置されていない計量コンベア311~317,321~327を検知しているが、例えば、ロボット100のカメラによって、これを検知することもできる。
【0080】
(8)上記実施形態では、ロボット100から最も近い計量コンベア311~317,321~327から麺製品Nを配置するようにしているが、これに限定されない。すなわち、ロボット100から最も近い計量コンベア以外に麺製品Nを配置するようにすることもできる。
【0081】
(9)搬送装置300の構成は特には限定されず、少なくとも麺製品が搬送されるように構成されていれば、その他の構成は必要に応じて適宜追加することができる。例えば、上記実施形態では、計量コンベアに麺製品Nを配置しているが、これに限定されない。例えば、麺製品Nの重量を計量できる計量ユニットであればよく、コンベアでなくてもよい。したがって、例えば、重量を測定可能なトレイに麺製品Nを配置することもできる。また、計量後、トレイを傾斜させ、搬送コンベアに供給することもできる。
【0082】
(10)上記実施形態では、ロボット100,200を搬送装置300と組み合わせているが、ロボット100,200と組み合わせる機器は特には限定されず、ロボットを単独で使用することもできる。すなわち、ロボット100が麺製品Nをピックアップし、トレイなど、所定の位置に配置するように構成することもできる。
【0083】
(11)搬送装置とロボットの連動を行う場合、上述した(a)~(d)の連動の全てを行う必要は無く、例えば、(a)(b)のいずれか1つでもよい。
【0084】
(12)上記実施形態では、主として搬送装置300の駆動に対してロボット100,200の駆動を連動させる態様について示したが、ロボット100,200の駆動に対して、搬送装置300を連動させることもできる。例えば、複数種類の物品がある場合、物品ごとに投入する計量コンベアを規定することができる。例えば、第1~第4計量コンベア311~314に物品Aを配置し、第5~第7計量コンベア315~316に物品Bを配置するようなミックス計量モードを設定することができる。この場合、ロボット100,200において、ミックス計量モードが選択されると、これが搬送装置300に送信され、搬送装置300においてミックス計量モードが設定される。これにより、例えば、第1~第4計量コンベア311~314と第5~第7計量コンベア315~317とで、搬送を行う際の計量値が異なるように設定することができる。
【0085】
また、物品(例えば、食材)に応じて計量コンベアへの配置量の設定変更を行うことができる。例えば、ロボット100,200で物品を選択すると、あらかじめ登録された配置量の設定値を搬送装置300に送信することができる。これにより、搬送装置300の各計量コンベアは、設定された配置量に基づいて搬送を行うことができる。
【0086】
(13)上記実施形態では、麺製品Nのピックアップにロボットを適用しているが、これに限定されず、麺製品の他、もやし、かんぴょう、ナムル、きんぴら等の食品、コードなどの電気部品、その他、糸や紐など、細長く柔軟性のある紐状部材、細片、棒状部材に適用することができる。さらに、これら以外でもよく、アーム部材で搬送可能な物品全般に利用することができる。
【0087】
(14)上記実施形態では、制御装置は、第1搬送コンベア33から第2搬送コンベア34へは、所定の時間おきに麺製品Nを供給するものとしたが、これに限定されず、計量コンベア311~317,321~327を任意のタイミングで駆動して対応する麺製品Nを第1搬送コンベア33に搬送し、第1搬送コンベア33から搬送した麺製品Nがトレイ341に入るように第2搬送コンベア34を駆動しても良い。
【0088】
(15)上記実施形態(段落0029)では、制御装置36は、基準範囲の適量の麺製品Nが配置されている計量コンベア311~317,321~327を所定のタイミングで駆動し、第1搬送コンベア33上に搬送するが、これに限定されず、各麺製品Nの計量値に基づいて組合せ演算を行い、所定の目標重量以上で且つ、当該目標重量に最も近い複数の計量コンベアの組合せを選択し、それらを所定のタイミングで駆動して、第1搬送コンベア33上の同一の位置に載置されるように搬送してもよい。
【符号の説明】
【0089】
100 第1ロボット
103 第1アーム部材
104 第2アーム部材
200 第2ロボット
300 搬送装置(計量装置)
311~317,321~327 計量コンベア(計量部)