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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178918
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】窓
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20231211BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20231211BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
E05B47/00 J
E05B65/08 P
E05C3/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091917
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】藤井 誠
(72)【発明者】
【氏名】水野 高伸
(72)【発明者】
【氏名】中 利友
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(57)【要約】
【課題】使い勝手のよいクレセントを備える窓を提供する
【解決手段】枠体と、障子と、障子を拘束するクレセントを備え、クレセントは、一方方向への回転によってクレセント錠を施錠駆動し、反対方向への回転によってクレセント錠を解錠駆動する電動モータと、電動モータの駆動力をクレセントに伝達する伝達機構を有しており、伝達機構は、電動モータの一方方向への回転によってクレセントが施錠状態となることで駆動力の伝達を解除し、施錠状態において電動モータが反対方向へ回転することで自動的に駆動力の伝達を開始し、電動モータの反対方向への回転によってクレセントが解錠状態となることで自動的に駆動力の伝達を解除し、解錠状態において電動モータが一方方向へ回転することで自動的に駆動力の伝達を開始する。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる枠体と、枠体の内周に配置され摺動開閉可能な障子と、障子を閉鎖状態で拘束するクレセントを備え、
クレセントは、障子に設けられて回転操作されるクレセント錠と、クレセント錠に係合して障子の開閉を拘束するクレセント受けと、一方方向への回転によってクレセント錠を施錠駆動し、反対方向への回転によってクレセント錠を解錠駆動する電動モータと、電動モータの駆動力をクレセントに伝達する伝達機構を有しており、
伝達機構は、電動モータの一方方向への回転によってクレセントが施錠状態となることで自動的に駆動力の伝達を解除し、施錠状態において電動モータが反対方向へ回転することで自動的に駆動力の伝達を開始するとともに、電動モータの反対方向への回転によってクレセントが解錠状態となることで自動的に駆動力の伝達を解除し、解錠状態において電動モータが一方方向へ回転することで自動的に駆動力の伝達を開始することを特徴とする窓。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設置される引戸等の窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレセントを有する窓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-115451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された窓のクレセントは、電動による操作と手動による操作をともに考慮するものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の窓は、建物の開口部に設けられる枠体と、枠体の内周に配置され摺動開閉可能な障子と、障子を閉鎖状態で拘束するクレセントを備え、クレセントは、障子に設けられて回転操作されるクレセント錠と、クレセント錠に係合して障子の開閉を拘束するクレセント受けと、一方方向への回転によってクレセント錠を施錠駆動し、反対方向への回転によってクレセント錠を解錠駆動する電動モータと、電動モータの駆動力をクレセント錠に伝達する伝達機構を有しており、伝達機構は、電動モータの一方方向への回転によってクレセント錠が施錠状態となることで自動的に駆動力の伝達を解除し、施錠状態において電動モータが反対方向へ回転することで自動的に駆動力の伝達を開始するとともに、電動モータの反対方向への回転によってクレセント錠が解錠状態となることで自動的に駆動力の伝達を解除し、解錠状態において電動モータが一方方向へ回転することで自動的に駆動力の伝達を開始することを特徴とする窓である。
【発明の効果】
【0006】
本実施形態の建具によれば、電動により施錠、解錠することができるとともに、手動による操作を良好に行うことができる、使い勝手のよいクレセントを有する窓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の引き違い窓の全体構成図である。
図2】一実施形態のクレセント錠の図であり、(a)は施錠時の状態を示す図であり、(b)は解錠時の状態を示す図である。
図3】一実施形態の電動クレセントの駆動機構を示す図であり、電動クレセントの正面図である。
図4】一実施形態の電動クレセントの駆動機構を示す図であり、(a)(b)は、駆動機構の一部説明図であり、(c)(d)(e)は、駆動機構を構成する部品の説明図である。
図5】一実施形態の電動クレセントの駆動機構を示す図であり、(a)は、駆動機構の一部説明図であり、(b)(c)(d)は、駆動機構を構成する部品の説明図である。
図6】一実施形態の電動クレセントの駆動機構の解錠状態の図である。
図7】一実施形態の電動クレセントの駆動機構の解錠状態から施錠する際の図である。
図8】一実施形態の電動クレセントの駆動機構の施錠状態の図である。
図9】一実施形態の電動クレセントの駆動機構の解錠状態から解錠する際の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態の窓について、電動で開閉することができる引違い窓の例を用いて、図面を参考に説明する。
本実施形態の引違い窓は、図1に示すように、建物の開口部に設けられる枠体1と、枠体1の内周に配置され摺動開閉可能な内、外障子2,3と、内障子2を開閉する電動開閉装置4と、内、外障子2,3を閉鎖状態で拘束する電動クレセント5を備えている。
【0009】
枠体1は、アルミ等の金属材料からなる上枠11、下枠12および左、右縦枠13,14を四周に組んで形成されている。
内、外障子2,3は、アルミ等の金属材料からなる上框21,31、下框22,32、左縦框23,33および右縦框24,34を四周に組んでなる框体の内周にガラス等のパネル体を装着して形成されている。
【0010】
電動開閉装置4は、上枠11の室内側に設けられており、内障子2を電動アクチュエータ4aの駆動力によって開閉することができる。なお、電動開閉装置4の構成は、公知の装置を用いればよく、何ら限定されない。
電動クレセント5は、内、外障子2,3の召合部に設けられており、電動モータの駆動力によって窓の施錠を行うことができる。
【0011】
電動開閉装置4および電動クレセント5は、制御部6に接続されており、ユーザーが建物の壁面等に配置されたコントローラ7を操作することによって駆動させることができる。
なお、窓は、制御部6に接続された気温センサ61、風力センサ62等の各種検出手段が検出するデータもしくは制御部6に内蔵されたタイマー等に基づいて、電動開閉装置4および電動クレセント5を自動的に駆動するようにしてもよい。
【0012】
本実施形態の電動クレセント5は、電動モータによって施錠操作もしくは解錠操作を行うことができるとともに、手動によるスムーズな施錠操作もしくは解錠操作が可能であり、使い勝手のよいクレセントを提供することができる。
以下、本実施形態の電動クレセント5について、具体的に説明する。
【0013】
-電動クレセント-
電動クレセント5は、内障子2の左縦框23の外周面に固定される本体部分と、本体部分の一側面から突出する回動軸542aに軸支されるクレセント錠50を有している。
電動クレセント5の本体部分は、矩形のケース5aを有し、ケース5aの内部にクレセント錠50を駆動するための駆動機構が配置されている。
【0014】
クレセント錠50は、フック部50aと、つまみ部50bを有し、回動軸542aを中心に回転して、図2(a)に示すような、フック部50aがケース5aの室外側に突出する施錠状態と、図2(b)に示すような、フック部50aがケース5aの室外側に突出しない解錠状態とに切替え自在である。
【0015】
電動クレセント5は、内、外障子2,3の閉鎖状態において、施錠状態に切り替えられることによって、外障子3の右縦框34に固定されたクレセント受け(不図示)にクレセント錠50のフック部50aが係止し、窓の施錠をすることができる。
なお、電動クレセント5のクレセント錠50のフック部50aおよびクレセント受けの構成は、周知のクレセント錠と同様の構成をしているので、詳細な説明は省略する。
以下、電動クレセント5の駆動機構の構成について、詳細に説明する。
【0016】
電動クレセント5の駆動機構は、図3に示すように、電動モータ51と、電動モータ51の駆動力をクレセント錠50に伝達する伝達機構と、施解錠の状態を制御部6に出力することで電動モータ51の駆動を入り切りするスイッチ装置55と、を有している。
【0017】
伝達機構は、電動モータ51の駆動力の伝達を切離するクラッチギア装置52と、クラッチギア装置52による駆動力を伝達するとともに、クラッチギア装置52による駆動力の伝達を切断(解除)するクラッチ解除装置53と、駆動力をクレセント錠50の回動軸542aに伝達する歯車装置54と、を有している。
【0018】
電動モータ51は、図3図4(b)に示すように、上下方向の回転軸51a有しており、電動クレセント5のケース5a内に配置されている。
電動モータ51は、回転軸51aに第1笠歯車511が取り付けられており、第1笠歯車511は、後述するクラッチギア装置52の第2笠歯車521に噛合っている。
【0019】
クラッチギア装置52は、図3図4に示すように、ケース5aに設けられた水平方向(見付方向)の軸52aに回転自在に支持される第2笠歯車521と、第2笠歯車521の一側面に一体的に設けられたクラッチギア522と、クラッチギア522の第2笠歯車521とは反対側に設けられたギアガイド板523を有している。
【0020】
第2笠歯車521は、電動モータ51に取り付けられた第1笠歯車511に噛合って電動モータ51の垂直軸廻りの回転を水平軸廻りの回転に変換している。
【0021】
ギアガイド板523は、図4(d)(e)に示すように、略楕円形の板状部材であり、上方中央部分に上方溝部523aが設けられ、下方中央部分に下方溝部523bが設けられているとともに、上方溝部523aの両側に耳部523c,523dを有している。
【0022】
ギアガイド板523は、両側の耳部523c,523dのクラッチギア522側面にそれぞれ左クラッチギア524および右クラッチギア525を軸支しており、左クラッチギア524および右クラッチギア525はいずれもクラッチギア522に噛合っている。
【0023】
ギアガイド板523は、クラッチギア522とケース5aの内周面との間に配置され、軸52aに対して回転自在に支持されているが、ケース5aの内周にギアガイド板523の下方溝部523b内に位置するように規制ピン5bが設けられており、下方溝部523bの左右の壁が規制ピン5bに当接することで回転範囲が制限されている。
【0024】
クラッチギア装置52は、ギアガイド板523のクラッチギア522とは反対側に、具体的にはケース5aとギアガイド板523との間に、ばね部材が配置されており、ギアガイド板523をクラッチギア522の側面に押し付けている。
【0025】
ばね部材によってクラッチギア522に押し付けられたギアガイド板523は、クラッチギア522が回転すると、クラッチギア522の側面とギアガイド板523との間の摩擦によってクラッチギア522の回転にあわせて共回りするとともに、左クラッチギア524および右クラッチギア525が回転する。
なお、ギアガイド板523とクラッチギア522との共回りのための構成は、何ら限定されるものではない。
【0026】
クラッチギア522の回転にあわせて共回りするギアガイド板523は、左クラッチギア524もしくは右クラッチギア525のいずれかが後述するクラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合う状態まで回動し、規制ピン5bが下方溝部523bの左右いずれかの壁に当接することでそれ以上の回転が規制される。
【0027】
クラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合った左クラッチギア524もしくは右クラッチギア525は、クラッチギア522の回転力をクラッチ解除ギア531に伝達する。
【0028】
クラッチ解除装置53は、図3図5に示すように、ケース5aに設けられた水平方向(見付方向)の軸53aに回転自在に支持されるクラッチ解除ギア531と、軸53aに回転自在に支持され、クラッチ解除ギア531と重ねられて配置されるクラッチ解除プレート532を有している。
【0029】
クラッチ解除ギア531は、クラッチ解除プレート532が重ねられる側の面に作動突起531aが設けられている。
【0030】
クラッチ解除プレート532は、図5(c)に示すように、円盤状のプレートの外周部分が半周に亘って、具体的には正面視で7時半から1時半の範囲に亘って省かれて、欠如部分532bが設けられて形成されており、プレートの外周部分の6時の位置に下方に向かってレバー部532aが突設されている。
【0031】
クラッチ解除プレート532の欠如部分532bは、クラッチ解除プレート532がクラッチ解除ギア531に重ねられた際にクラッチ解除ギア531の作動突起531aの移動領域になっており、欠如部分532bの両側の壁は、作動突起531aが当接する下方の当接面532c,上方の当接面532dとなっている。
【0032】
クラッチ解除プレート532のレバー部532aは、クラッチギア装置52のギアガイド板523の上方溝部523a内に位置しており、クラッチ解除プレート532が回動することでレバー部532aによって上方溝部523aの側壁を押して、ギアガイド板523を回動させる。
【0033】
クラッチ解除装置53は、クラッチ解除ギア531が時計回りに回転することで、作動突起531aがクラッチ解除プレート532の欠如部分532bを移動して上方の当接面532dに当接してクラッチ解除プレート532を時計回り方向に回動する。
反対に、クラッチ解除ギア531が反時計周りに回転することで、作動突起531aがクラッチ解除プレート532の欠如部分532bを移動して下方の当接面532cに当接してクラッチ解除プレート532を反時計回りに回動する。
【0034】
時計回り方向もしくは反時計回り方向に回動したクラッチ解除プレート532は、レバー部532aによってギアガイド板523の上方溝部524aを一方向へ押し、ギアガイド板523を軸52aを中心に回動させる。
【0035】
クラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531は、後述する歯車装置54のセンターギア541に噛合っており、左クラッチギア524もしくは右クラッチギア525から伝達された駆動力を歯車装置54に伝達する。
【0036】
歯車装置54は、図3図5(a)に示すように、ケース5aに設けられた水平方向(見付方向)の軸541aに回転自在に支持されるセンターギア541と、センターギア541に噛合う作動ギア542を有している。
作動ギア542は、回動軸542aが回転不能に固定されており、作動ギア542に固定された回動軸542aは、ケース5aの一側面からケース外部に突出し、電動クレセント5のクレセント錠50が取り付けられる。
【0037】
センターギア541は、作動ギア542に噛合うとともに、後述するスイッチ装置55のスイッチギア551に噛合い、駆動力をスイッチ装置55に伝達している。
【0038】
スイッチ装置55は、図3図5(a)に示すように、ケース5aに設けられた水平方向(見付方向)の軸55aに回転自在に支持されるスイッチギア551と、スイッチギア551に重ねられて固定され、スイッチギア551とともに回転する板状のスイッチ部材552と、スイッチ部材552によってON/OFFされる解錠スイッチ553と、施錠スイッチ554を有している。
【0039】
スイッチ部材552は、水滴形状の板状部材であり、外側に延びるアーム部分に解錠スイッチ553もしくは施錠スイッチ554のスイッチ片553a、554aを操作するトリガー突起552aが設けられている。なお、スイッチ部材552は、スイッチギア551と一体的に形成されていても良い。
【0040】
スイッチ装置55は、スイッチ部材552が回転してトリガー突起552aが解錠スイッチ553のスイッチ片553aを操作することで解錠状態となったことを検知し、施錠スイッチ554のスイッチ片554aを操作することで施錠状態となったことを検知し、それぞれ電動クレセント5の制御部6に出力する。
【0041】
以上、電動クレセント5の駆動機構の構成について説明したが、次に、電動クレセント5の駆動機構の動作について、説明する。
(解錠状態)
本実施形態の電動クレセント5について、解錠状態を、図6を参考にして、説明する。
解錠状態において、電動クレセント5のクレセント錠50は、フック部50aがケース5aの側面から突出しておらず、クレセント受け(図示は無し)に係合していない。
【0042】
クラッチギア装置52は、ギアガイド板523が中立状態にあり、下方溝部523b内の中央位置に規制ピン5bが位置しており、左クラッチギア524および右クラッチギア525のいずれもクラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合っていない。
【0043】
クラッチ解除装置53は、クラッチ解除プレート532が中立状態にあり、クラッチ解除ギア531の一側面に設けられた作動突起531aは下方位置、すなわちクラッチ解除プレート532の欠如部分532bの下方の当接面532cの近傍に位置している。
【0044】
スイッチ装置55は、解錠スイッチ553のスイッチ片553aにスイッチ部材552のトリガー突起552aが当接しており、解錠状態であることが電動クレセント5の制御部6に出力されている。
【0045】
上記解錠状態において、クレセント錠50を支持する回動軸542aは、クラッチギア装置52の左クラッチギア524もしくは右クラッチギア525がクラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合っていないことで電動モータ51に接続されておらず、クレセント錠50のつまみ部50bをつまんで回動軸542a回りに回動することで、電動モータ51の抵抗を受けることなく施錠することができる。
【0046】
なお、手動によってクレセント錠50が施錠されることで、スイッチ装置55は、スイッチ部材552のトリガー突起552aが施錠スイッチ554のスイッチ片554aに当接し、施錠状態であることを電動クレセント5の制御部6に出力する。
【0047】
(電動モータによる施錠)
本実施形態の電動クレセント5について、図6に示す解錠状態から電動モータ51によって施錠される際の動作を、図7を参考にして、説明する。
【0048】
解錠状態から、コントローラ7を操作するなどして、電動モータ51が一方方向に回転(左回転)させると、電動モータ51の第1笠歯車511に噛合う第2笠歯車521およびクラッチギア522が時計回りに回転x1する。
クラッチギア522が時計回りに回転x1することで、ギアガイド板523がクラッチギア522と共回りして、やがてギアガイド板523が支持する左クラッチギア524がクラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合い、駆動力の伝達が開始される。
【0049】
左クラッチギア524がクラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合うと同時に、ギアガイド板523の下方溝部523bの右壁にケース5aに設けられた規制ピン5bが当接して、それ以上のギアガイド板523の回動は規制される。
回動が規制されたギアガイド板523は、クラッチギア522との間に滑りが生じてクラッチギア522と共回りせず、クラッチギア522のみが回転を続ける。
【0050】
クラッチギア522の時計回りの回転x1は、左クラッチギア524に反時計回りの回転x2として伝達され、さらに、クラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に時計回りの回転x3として伝達される。
【0051】
時計回りで回転x3するクラッチ解除ギア531は、歯車装置54のセンターギア541に反時計回りの回転x4を伝達する。同時に、クラッチ解除ギア531の作動突起531aは、回転x3によってクラッチ解除プレート532の欠如部分532bを上方に移動して上方の当接面532dに近づく。
【0052】
反時計回りの回転x4が伝達された歯車装置54のセンターギア541は、作動ギア542に時計回りの回転x5として伝達するとともに、スイッチ装置55のスイッチギア551に時計回りの回転x6として伝達する。
作動ギア542が時計回りに回転x5することで、回動軸542aに固定されているクレセント錠50のフック部50aがケース5aの側面から突出してクレセント受けに係合して施錠する。
【0053】
スイッチ装置55は、スイッチギア551の時計回りの回転x6によって、スイッチ部材552のトリガー突起552aが解錠スイッチ553から離れ、施錠スイッチ554のスイッチ片554aに近づいていく。(以上、図7の状態)
【0054】
図7の状態から、さらに電動モータ51が一方方向に回転(左回転)することで、やがて、クラッチ解除ギア531の作動突起531aがクラッチ解除プレート532の欠如部分532bの上方の当接面532dに当接し、クラッチ解除プレート532を時計回りに回転させる。
【0055】
時計回りに回転するクラッチ解除プレート532は、下方に突出するレバー部532aによってギアガイド板523の上方溝部523aを反時計回りに押して、クラッチギア装置52のギアガイド板523を中立位置に戻す。
ギアガイド板523が中立位置に戻ることで、左クラッチギア524とクラッチ解除ギア531との噛合いが外れて、それ以降電動モータ51の駆動力は伝達されず、クラッチ解除ギア531の駆動は停止する。
【0056】
ギアガイド板523が中立位置に戻って左クラッチギア524とクラッチ解除ギア531との噛合いが外れるのと同時に、スイッチ装置55のトリガー突起552aが施錠スイッチ554のスイッチ片554aに当接し、施錠が完了した(施錠状態である)ことが電動クレセント5の制御部6に出力され、制御部6は、電動モータ51の回転を停止する。(図8
【0057】
図8に示す施錠状態において、クレセント錠50を支持する回動軸542aは、左クラッチギア524とクラッチ解除ギア531との噛合いが外れることで電動モータ51に接続しておらず、クレセント錠50のつまみ部50bをつまんで回動することで、電動モータ51の抵抗を受けることなく解錠することができる。
【0058】
なお、手動によってクレセント錠50が解錠されることで、スイッチ装置55は、スイッチ部材552のトリガー突起552aが解錠スイッチ553のスイッチ片553aに当接し、解錠状態であることを電動クレセント5の制御部6に出力する。
【0059】
(電動モータによる解錠)
本実施形態の電動クレセント5について、図8に示す施錠状態から電動モータ51によって解錠される際の動作を、図9を参考にして、説明する。
【0060】
施錠状態から、コントローラ7を操作するなどして、電動モータ51を他方方向に回転(右回転)させると、電動モータ51の第1笠歯車511に噛合う第2笠歯車521およびクラッチギア522が反時計回りに回転y1する。
クラッチギア522が反時計回りに回転y1することで、ギアガイド板523がクラッチギア522と共回りして、やがてギアガイド板523が支持する右クラッチギア525がクラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合い、駆動力の伝達が開始される。
【0061】
右クラッチギア525がクラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に噛合うと同時に、ギアガイド板523の下方溝部523bの左壁にケース5aに設けられた規制ピン5bが当接し、ギアガイド板523の回転が規制される。
回動が規制されたギアガイド板523は、クラッチギア522との間に滑りが生じてクラッチギア522と共回りせず、クラッチギア522のみが回転を続ける。
【0062】
クラッチギア522の反時計回りの回転y1は、右クラッチギア525に時計回りの回転y2として伝達され、さらに、クラッチ解除装置53のクラッチ解除ギア531に反時計回りの回転y3として伝達される。
【0063】
反時計回りに回転y3するクラッチ解除ギア531は、歯車装置54のセンターギア541に時計回りの回転y4を伝達する。同時に、クラッチ解除ギア531の作動突起531aは、回転y3によってクラッチ解除プレート532の欠如部分532bを下方に移動しての下方の当接面532cに近づく。
【0064】
時計回りで回転y4が伝達された歯車装置54のセンターギア541は、作動ギア542に反時計回りの回転y5として伝達するとともに、スイッチ装置55のスイッチギア551に反時計回りの回転y6として伝達する。
作動ギア542が反時計回りに回転y5することで、回動軸542aに固定されているクレセント錠50のフック部50aとクレセント受けとの係合が解除され、フック部50aはケース5aの領域内に納められる。
【0065】
スイッチ装置55は、スイッチギア551の反時計回りの回転y6によって、スイッチ部材552のトリガー突起552aが施錠スイッチ554から離れ、解錠スイッチ553のスイッチ片553aに近づいていく。(以上、図9の状態)
【0066】
図9の状態から、さらに電動モータ51が他方方向に回転(右回転)することで、やがて、クラッチ解除ギア531の作動突起531aがクラッチ解除プレート532の欠如部分532bの下方の当接面532cに当接し、クラッチ解除プレート532を反時計回りに回転させる。
【0067】
反時計回りに回転するクラッチ解除プレート532は、下方に突出するレバー部532aによってギアガイド板523の上方溝部523aを時計回りに押して、クラッチギア装置52のギアガイド板523を中立位置に戻す。
ギアガイド板523が中立位置に戻ることで、右クラッチギア525とクラッチ解除ギア531との噛合いが外れて、それ以降電動モータ51の駆動力は伝達されず、クラッチ解除ギア531の駆動は停止する。
【0068】
ギアガイド板523が中立位置に戻って右クラッチギア525とクラッチ解除ギア531との噛合いが外れるのと同時に、スイッチ装置55のトリガー突起552aが解錠スイッチ553のスイッチ片553aに当接し、解錠が完了した(解錠状態である)ことが電動クレセント5の制御部6に出力され、制御部6は、電動モータ51の回転を停止する。(図6
以上、電動クレセント5の駆動機構の動作について、説明した。
【0069】
-実施形態の窓の効果-
以上のように、本実施形態の窓は、電動による施錠、解錠が可能な電動クレセントを備えているので、使い勝手が良い。また、電動クレセントを窓の電動開閉装置とあわせて採用することで、天候の状態や時間などに基づいて自動的に窓の開閉操作および施錠操作をすることができ、鍵のかけ忘れなどを防止することができる。
【0070】
また、電動モータの駆動力をクレセントに伝達する伝達機構は、電動モータによるクレセントの施錠もしくは解錠が完了すると自動的に接続が切断され、その後、解錠もしくは施錠操作が行われることで自動的に接続が開始されて自動施錠もしくは解錠が可能となるので、施錠状態や解錠状態においては、電動モータがクレセントに接続されておらず、電動モータの抵抗なく手動による施錠、解錠が可能である。
【0071】
なお、窓種は、引違い窓に限定されるものではなく、左右方向に摺動する障子を備える開閉窓もしくは上下方向に摺動する障子を備える開閉窓など、矛盾の生じない範囲でどのような窓であってもよい。
【0072】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1 :枠体
2 :内障子
3 :外障子
5 :電動クレセント
50 :クレセント錠
51 :電動モータ
52 :クラッチギア装置(伝達機構)
53 :クラッチ解除装置(伝達機構)
54 :歯車装置(伝達機構)
55 :スイッチ装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9