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特開2023-178922電波環境評価方法および無線通信特性評価システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178922
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電波環境評価方法および無線通信特性評価システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/391 20150101AFI20231211BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20231211BHJP
   H04W 16/18 20090101ALN20231211BHJP
【FI】
H04B17/391
G01R29/08 A
G01R29/08 B
H04W16/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091921
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】武井 健
(72)【発明者】
【氏名】大西 正己
(72)【発明者】
【氏名】藤原 亮介
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067HH21
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】
実際のサービスエリア内の電磁波の挙動を、計算モデルを用いて精度良く計算することにある。
【解決手段】
電磁波散乱体の構造モデルを計算機資源内に構築し、該構造モデルと実空間を直進する電波を模擬したレイを用いて電磁界の特性を計算する際に、実空間における電磁波ベクトル測定データで、前記構造モデルを構成するポリゴンの状態を修正する電波環境評価方法である。
【選択図】 図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波散乱体の構造モデルを計算機資源内に構築し、該構造モデルと実空間を直進する電波を模擬したレイを用いて電磁界の特性を計算する際に、
実空間における電磁波ベクトル測定データで、前記構造モデルを構成するポリゴンの状態を修正する電波環境評価方法。
【請求項2】
前記構造モデルを、実空間における複数地点で得られる方向と距離からなる測距データから生成する点群中の複数の点を頂点とするポリゴンの集合体で構築する、
請求項1記載の電波環境評価方法。
【請求項3】
前記ポリゴンの法線の方向を修正する、
請求項1記載の電波環境評価方法。
【請求項4】
前記ポリゴンの頂点の座標を移動させることで前記ポリゴンの状態を修正する、
請求項1記載の電波環境評価方法。
【請求項5】
前記電磁波ベクトル測定データに基づく実測電界強度と前記構造モデルを用いて計算した推定電界強度の差が所定以上ある個所に相当する前記構造モデル内の個所を異常個所として特定し、
前記異常個所と対向するポリゴンを要修正ポリゴンとして状態を修正する、
請求項1記載の電波環境評価方法。
【請求項6】
前記要修正ポリゴンを、前記異常個所に対応する実空間内の個所で計測した受信波の到来方向に基づいて決定する、
請求項5記載の電波環境評価方法。
【請求項7】
前記要修正ポリゴンの状態を修正する際に、前記要修正ポリゴンと頂点を共有するポリゴンを代替候補ポリゴンとして特定し、
前記異常個所において、前記推定電界強度が前記実測電界強度より所定以上小さい場合には、前記代替候補ポリゴンのうち前記要修正ポリゴンに衝突しているレイより大きな強度を持つレイが衝突している代替候補ポリゴンを選択し、選択された代替候補ポリゴンに衝突しているレイが前記異常個所に向かうように、前記要修正ポリゴンと前記代替候補ポリゴンを修正し、
前記異常個所において、前記推定電界強度が前記実測電界強度より所定以上大きい場合には、前記代替候補ポリゴンのうち前記要修正ポリゴンに衝突しているレイより小さな強度を持つレイが衝突している代替候補ポリゴンを選択し、選択された代替候補ポリゴンに衝突しているレイが前記異常個所に向かうように、前記要修正ポリゴンと前記代替候補ポリゴンを修正する、
請求項5記載の電波環境評価方法。
【請求項8】
受信波の到来方向を、三次元空間中に分布した複数のアンテナが受信する受信波の相対位相と前記アンテナの空間的位置の情報を用いて測定する、
請求項6記載の電波環境評価方法。
【請求項9】
三次元空間中に一様に分布した空間的に互いに直交関係にある二つのアンテナの組を用いて、受信波の到来方向および偏波を測定する、
請求項8記載の電波環境評価方法。
【請求項10】
仮想的な正六面体、正八面体、あるいは正十二面体の各面に設置されたアンテナを用いて受信波の到来方向を測定する、
請求項8記載の電波環境評価方法。
【請求項11】
モデル生成部と、電界計算部と、ポリゴン修正部とを備え、
前記モデル生成部は、実空間内に存在する電磁波散乱体の構造モデルを計算機資源内に構築し、
前記電界計算部は、前記構造モデルを用いてレイトレース計算を行い、実空間内の電界強度を推定して推定電界強度を算出し、
前記ポリゴン修正部は、実空間内で実測した電磁波の到来方向に基づいて、前記構造モデルを構成するポリゴンのうち修正が必要なポリゴンを特定し、修正を行う、
無線通信特性評価システム。
【請求項12】
さらに誤差検出部を備え、
前記誤差検出部は、実空間内で実測した実測電界強度と前記推定電界強度の差が所定以上の個所を異常個所として抽出し、
前記ポリゴン修正部は、前記異常個所に対応する実空間内の個所で実測した電磁波の到来方向に基づいて、修正が必要なポリゴンを特定する、
請求項11記載の無線通信特性評価システム。
【請求項13】
前記ポリゴン修正部は、ポリゴンの頂点の座標を変更することで修正を行う、
請求項11記載の無線通信特性評価システム。
【請求項14】
前記ポリゴン修正部は、ポリゴンの法線を変更することで修正を行う、
請求項11記載の無線通信特性評価システム。
【請求項15】
前記ポリゴン修正部は、
前記異常個所に対応する実空間内の個所で実測した電磁波の到来方向にあるポリゴンに隣接するポリゴンを特定し、
前記異常個所において、前記推定電界強度が前記実測電界強度より所定以上小さい場合には、特定した前記ポリゴンのうち電磁波の到来方向にあるポリゴンに衝突しているレイより大きな強度を持つレイが衝突しているポリゴンを選択し、選択されたポリゴンに衝突しているレイが前記異常個所に向かうように、ポリゴンを修正し、
前記異常個所において、前記推定電界強度が前記実測電界強度より所定以上大きい場合には、特定した前記ポリゴンのうち電磁波の到来方向にあるポリゴンに衝突しているレイより小さな強度を持つレイが衝突しているポリゴンを選択し、選択されたポリゴンに衝突しているレイが前記異常個所に向かうように、ポリゴンを修正する、
請求項12記載の無線通信特性評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波散乱体がサービスエリアに存在する電波環境で電磁波を用いて情報を伝送する無線通信システムに係る。特に、サービスエリアの電波環境を同エリア内の電磁界測定と計算機資源による通信性能の数値解析により、エリア内の無線通信状態を仮想的に再現する無線通信特性評価技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯無線情報端末の全世界的な普及によって、周囲環境に関わらず無線通話および無線データ転送等の無線通信サービスを安定して享受したいという要求が高まっている。無線通信サービスを提供するエリア内に電波散乱体が存在すると該散乱体によって無線通信媒体の電磁波が散乱を受け、送信機から放射された電磁波が受信機に到達する際の電力変動が生じて、多くの場合受信電力の減少が引き起こされエリア内に良好な品質の無線通信が困難である領域が形成される。
【0003】
また該散乱体および通信を行う無線機の相対的位置と姿勢が動的に変化する場合は、たとえ良好な品質の無線通信が可能なエリア内であっても、受信機が得る信号強度が時間的に変動し通信品質の劣化が引き起こされる、あるいは通信不能となる時刻が発生することがある。
【0004】
そのような領域の形成および時刻の発生は、サービスエリア内の電磁波散乱体の配置関係及び無線通信を行う送受信機の位置関係と相互姿勢により決定される。このため、サービスエリア内に無線通信ネットワークを形成する場合、種々の送受信機の配置状態に関する通信状況の予測が、無線通信ネットワーク形成に極めて重要である。
【0005】
サービスエリア内の具体的な送受信機配置に対する通信状況を知るためには、サービスエリア内に実際に送受信機を配置し受信電磁波の特性を測定することが必要となる。しかし、無線通信は送受信を取り囲む電磁波散乱体の影響を強く受けるので、測定中に変動要因を最小化するための測定対象エリア内の立ち入り禁止措置が必要となる場合もありえるし、そもそも通信実験を行うための人員確保と派遣および実験時間の確保に大きなコストが掛かる。
【0006】
掛る問題を解決するために、サービスエリア内の無線通信特性を解析するための電磁界計算モデルを計算機内に構築して、同エリア内のあらゆる送受信機の配置状態に関する電磁界分布を仮想的に実現する技術が提案されている。計算機資源内に電磁界計算モデルを構築するためには、無線通信サービスエリア内に存在する電磁波に影響を与える電磁波散乱体の構造モデルを計算機資源内に構築する必要がある。
【0007】
サービスエリア内の構造物に関するデータは、建築物の設計データおよびエリア内に存在する什器のカタログ仕様等から得ることが原理上可能であるが、このような設計データは一般に公開されていない場合が多く入手が極めて困難であり、什器のカタログ仕様が明らかになってもサービスエリア内に該什器がどのように配置されているかの特定は一般に容易ではない。この問題を解決するべく、LIDAR(Light Detection and Ranging)と呼ばれる可視光や赤外光等の光波を用いた計測システムを用いた点群計測システムが多く用いられている。
【0008】
LIDARはサービスエリア内の一点より光波を三次元的に発射し、反射して戻る散乱光波を検知して、その位相遅延により反射を引き起こした点の三次元座標を該一点からの方向と距離により測定するものである。LIDARにより得られる三次元座標点の集合を点群と呼び、該点群よりサービスエリア内の構造を得る試みが行われている。点群はサービスエリア内の構造物の表面上の代表点の集まりであり、点群から元の構造物を再現する技術が必要となる。
【0009】
従来技術では、点群中の近傍の複数の点を結んだポリゴンと呼ばれる面要素の集合体として元の構造物を再現することが行われているが、ポリゴンを形成する近傍点の選択の自由度が極めて大きいことと、LIDARによる点群の計測誤差による点群を形成する各点の座標そのものに誤差があるために、該ポリゴンから再生される構造物のモデルは一般に、実際の構造物と異なる散乱現象を無線通信に用いる電磁波に与える。従って、LIDARで得られる点群データのみでサービスエリア内の構造物の電磁界計算モデルを得ることは現状では極めて困難であると言わざるを得ない。
【0010】
LIDERによって得られる点群データを用いて作成されたポリゴンで表現される電磁界計算用のモデルをサービスエリア内で計測可能な物理量を用いて修正し、サービスエリア内の無線通信環境を再現する計算機資源内の計算モデルによる電磁界の計算結果を向上させる手法が提案されている。
【0011】
WO2012/172670 A1にはサービスエリア内の地点で実測した電磁波計測値と、電磁界計算用の計算モデルを用いて該地点の電磁界の計算値に影響を及ぼす該計算モデルの部分の構造物情報を変化させて、同地点の電磁界の計測値と計算値を近づける技術が述べられている。
【0012】
また、WO2008/099927 A1には、電波伝搬特性を推定するシステムが用いる解析領域内のオブジェクトを構成する複数の面要素のうち送信点から放射される電波の影響の少ない要素を選択的に削減し、計算モデルを修正して電磁界計算の計算精度を向上させる技術が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO2012/172670 A1
【特許文献2】WO2008/099927 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
係る先行技術は、いずれも電波が自由空間中を直進する性質に着目し、直進する電波が障害物に衝突した際に直進する方向および電力が変化を受けたのち再び自由空間中を直進する過程を想定して、計算機資源中に計算モデルを形成する。該計算モデルを用いて電波が進行する経路を推定し、電波が衝突するであろう計算モデルの部分を推定して同部分に変更を加えることにより、計算機資源の中で計算される電磁波の特性と現実のサービスエリア内の対応する地点で計測される電磁波の性質を合わせる手法である。
【0015】
しかし、先行技術では、実際のサービスエリア内で電波が進行する過程を計算機資源内で忠実に再現できる保証がないために、測定値を用いて変更を加えた計算モデルが実際のサービスエリア内の電磁波の挙動を精度良く計算できるとは限らないという課題があった。
【0016】
そこで本発明の課題は、実際のサービスエリア内の電磁波の挙動を、計算モデルを用いて精度良く計算することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の好ましい一側面は、電磁波散乱体の構造モデルを計算機資源内に構築し、該構造モデルと実空間を直進する電波を模擬したレイを用いて電磁界の特性を計算する際に、実空間における電磁波ベクトル測定データで、前記構造モデルを構成するポリゴンの状態を修正する電波環境評価方法である。
【0018】
本発明の好ましい他の一側面は、モデル生成部と、電界計算部と、ポリゴン修正部とを備え、前記モデル生成部は、実空間内に存在する電磁波散乱体の構造モデルを計算機資源内に構築し、前記電界計算部は、前記構造モデルを用いてレイトレース計算を行い、実空間内の電界強度を推定して推定電界強度を算出し、前記ポリゴン修正部は、実空間内で実測した電磁波の到来方向に基づいて、前記構造モデルを構成するポリゴンのうち修正が必要なポリゴンを特定し、修正を行う、無線通信特性評価システムである。
【発明の効果】
【0019】
実際のサービスエリア内の電磁波の挙動を、計算モデルを用いて精度良く計算できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】実施例の無線通信性能評価システムの構成を示す斜視図。
図1B】実施例の無線通信システムのサービスエリアの斜視図。
図1C】実施例の無線通信システムの計算機資源中の計測点を示す概念図。
図1D】実施例の無線通信システムの計算機資源中の電磁界計算用モデルを示す概念図。
図2】実施例の無線通信システムの計算機資源中の電磁界計算用モデルを示す説明図。
図3】実施例の無線通信システムの計算機資源中の電磁界計算用モデルの動作原理を示す説明図。
図4】実施例の無線通信性能評価システムの動作原理を示す説明図。
図5A】実施例の無線通信性能評価システムのブロック図。
図5B】実施例の無線通信性能評価システムの動作を説明するフローチャート。
図6A】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の構造を示す透過斜視図。
図6B】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の回路構成図。
図7】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図8】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図9】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図10】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図11】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図12】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図13】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図14】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図15】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図16】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の回路構成図。
図17A】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の構造の例を示す透過斜視図。
図17B】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の構造の幾何学的配置を示す説明図。
図18A】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の構造の例を示す透過斜視図。
図18B】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の構造の幾何学的配置を示す説明図。
図19A】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の構造の幾何学的配置を示す説明図。
図19B】実施例の無線通信性能評価システムが用いる到来波方向測定器の他の構造の幾何学的配置を示す説明図。
図20】実施例の無線通信性能評価システムを用いる環境適応型無線通信システムの例を示す概念図。
図21】実施例の無線通信性能評価システムを用いる他の環境適応型無線通信システムの例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0022】
以下に説明する実施例の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【0023】
同一あるいは同様な機能を有する要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0024】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0025】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0026】
本明細書で引用した刊行物、特許および特許出願は、そのまま本明細書の説明の一部を構成する。
【0027】
本明細書において単数形で表される構成要素は、特段文脈で明らかに示されない限り、複数形を含むものとする。
【0028】
実施例は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、無線通信サービスエリア内の複数の地点で光波を用いて該地点から同エリア内に存在する構造物上の各点までの距離および方向を測定する機器によって得られる点の集合(点群)を計算機資源中に座標で表現し、該計算機資源中に該点群の近接する3以上の点を頂点とするポリゴン(多角形)を形成し、同サービスエリア内に送信機を設置し、該送信機から送信される電磁波の強度を同サービスエリア内の複数の地点で測定し、計算機資源中の対応する地点に送信機を設置して該送信機から複数の三次元的方向に直進する電波を放射し、該複数の電波が該多角形に衝突した場合に該電波の方向と強度および位相に関係した性質を順次変化させて該測定の行われる地点での電磁波を計算し、実空間(現実の空間)の測定値と計算機資源中の計算値を比較して両者が近づくように、該ポリゴンの法線方向を変更し該計算機資源中で同サービスエリア内の電磁界分布を推定する。
【0029】
また、その他の一例を挙げるならば、無線通信サービスエリア内の複数の地点で光波を用いて該地点から同エリア内に存在する構造物上の各点までの距離および方向を測定する機器によって得られる点の集合(点群)を計算機資源中に座標で表現し、該計算機資源中に該点群の近接する3以上の点を頂点とするポリゴンを形成し、同サービスエリア内に送信機を設置し、該送信機から送信される電磁波の強度を同サービスエリア内の複数の地点で測定し、計算機資源中の対応する地点に送信機を設置して該送信機から複数の三次元的方向に直進する電波を放射し、該複数の電波が該ポリゴンに衝突した場合に該電波の方向と強度および位相に関係した性質を順次変化させて該測定の行われる地点での電磁波を計算し、実空間の測定値と計算機資源中の計算値を比較して両者が近づくように、該ポリゴンを構成する点群中の点の位置を変更し該計算機資源中で同サービスエリア内の電磁界分布を推定する。
【0030】
また、その他の一例を挙げるならば、無線通信サービスエリア内の複数の地点で光波を用いて該地点から同エリア内に存在する構造物上の各点までの距離および方向を測定する機器によって得られる点の集合(点群)を計算機資源中に座標で表現し、該計算機資源中に該点群の近接する3以上の点を頂点とするポリゴンを形成し、同サービスエリア内に送信機を設置し、該送信機から送信される電磁波の強度および到来波の方向を同サービスエリア内の複数の地点で測定し、計算機資源中の対応する地点に送信機を設置して該送信機から複数の三次元的方向に直進する電波を放射し、該複数の電波が該ポリゴンに衝突した場合に該電波の方向と強度および位相に関係した性質を順次変化させて該測定の行われる地点での電磁波を計算し、実空間の測定値と計算機資源中の計算値を比較して両者が近づくように、同サービスエリア内で電磁波の強度および到来波の方向を測定した地点に相当する計算機資源中の位置から測定した到来波方向に存在する該計算資源中の該ポリゴンを構成する点群中の点の位置を変更し該計算機資源中で同サービスエリア内の電磁界分布を推定する。
【0031】
また、その他の一例を挙げるならば、無線通信サービスエリア内の複数の地点で光波を用いて該地点から同エリア内に存在する構造物上の各点までの距離および方向を測定する機器によって得られる点の集合(点群)を計算機資源中に座標で表現し、該計算機資源中に該点群の近接する3以上の点を頂点とするポリゴンを形成し、同サービスエリア内に送信機を設置し、該送信機から送信される電磁波の強度を測定し更に到来波の方向を同サービスエリア内の複数の地点で同地点近傍に複数のアンテナを空間的に分布させ該アンテナが受信する到来波の位相を一つの基準位相に対する相対位相として計測し得られた複数の相対位相と該複数のアンテナの相対位置より推定し、計算機資源中の対応する地点に送信機を設置して該送信機から複数の三次元的方向に直進する電波を放射し、該複数の電波が該ポリゴンに衝突した場合に該電波の方向と強度および位相に関係した性質を順次変化させて該測定の行われる地点での電磁波を計算し、実空間の測定値と計算機資源中の計算値を比較して両者が近づくように、同サービスエリア内で電磁波の強度および到来波の方向を測定した地点に相当する計算機資源中の位置から測定した到来波方向に存在する該計算資源中の該ポリゴンを構成する点群中の点の位置を変更し該計算機資源中で同サービスエリア内の電磁界分布を推定する。
【0032】
また、その他の一例を挙げるならば、無線通信サービスエリア内の複数の地点で光波を用いて該地点から同エリア内に存在する構造物上の各点までの距離および方向を測定する機器によって得られる点の集合(点群)を計算機資源中に座標で表現し、該計算機資源中に該点群の近接する3以上の点を頂点とするポリゴンを形成し、同サービスエリア内に送信機を設置し、該送信機から送信される電磁波の強度を測定し更に到来波の方向を同サービスエリア内の複数の地点で同地点近傍に複数の空間的に互いに直交するアンテナ対を空間的に分布させ該アンテナ対が受信する到来波の位相を一つの基準位相に対する相対位相として計測し得られた複数の相対位相と該複数のアンテナ対の相対位置より推定すると共に各アンテナ対を形成する二つのアンテナの受信振幅の割合より到来波の偏波方向を推定し、計算機資源中の対応する地点に送信機を設置して該送信機から複数の三次元的方向に直進する電波を放射し、該複数の電波が該ポリゴンに衝突した場合に該電波の方向と強度および位相に関係した性質を順次変化させて該測定の行われる地点での電磁波を計算し、実空間の測定値と計算機資源中の計算値を比較して両者が近づくように、同サービスエリア内で電磁波の強度および到来波の方向を測定した地点に相当する計算機資源中の位置から測定した到来波方向に存在する該計算資源中の該ポリゴンを構成する点群中の点の位置を変更し該計算機資源中で同サービスエリア内の電磁界分布を推定する。
【実施例0033】
無線通信システムの通信性能予測の精度向上と同システムの導入コストを削減する無線通信性能評価システムの実施例を、図1A乃至1Dを用いて説明する。
図1Aは無線通信性能評価システムの実空間における構成を説明する斜視図である。
図1Bは同無線通信性能評価システムが計算機資源中に無線通信のサービスエリア内に存在する構造物の位置データを取得するための、実空間における手順を説明する斜視図である。
図1Cは取得した構造物の位置データを用いて計算機資源中に電磁界計算を行うための電磁界計算モデル(単に計算モデルということがある)を生成する手順を説明する概念図である。
図1Dは取得した構造物の位置データを用いて計算機資源中に電磁界計算を行うために生成した構造モデルの概念図である。
【0034】
図1Aの無線通信性能評価システム100の例では、天井・床・壁で囲まれている部屋1が無線通信サービスを行うエリア(室内空間)であり、壁には窓2およびドア3が設けてあり、同エリア内には棚4とテーブル5が配置されている。可動電波計測器7は、無線機10の送信波によって発生する部屋1の内部のある限定された空間中の電波強度および該空間中の各地点における電波の到来方向を計測し、実測電磁界強度分布6を生成する。図中の実測電磁界強度分布6は、模式的に空間内のある平面(受信面)における電波強度を濃度の濃さで示している。
【0035】
図1Bで示すように、部屋1の内部を可動電波計測器7が移動し、部屋1内の各場所で電波の強度および到来方向を計測する。可動電波計測器7は、部屋1の床面を二次元的に移動するとともに、高さを可変とすることで三次元空間での電波計測を可能とする。この結果、部屋1の各場所での実測電磁界強度分布6が生成される。また、部屋1内の各地点に移動した可動電波計測器7は該地点より三次元的に複数の方向に光波を発射し、同光波の反射波の遅延位相を測定することにより、該地点から部屋1内部の構造物の表面の点の空間位置を距離と方向で特定することができる。
【0036】
図1Cで示すように、特定された部屋1内部の構造物の表面の複数の点の空間位置に基づいて、計算機資源中に該空間位置に対応する計測点11をデータとして構成することができる。当該データは任意の座標系に基づいて、3次元中の座標を特定できるものであればよい。
【0037】
図1Dで示すように、計測点11を用いて、計算機資源中に電磁界計算用モデルを構成するため、部屋1および棚4とテーブル5の電磁波散乱体の構造モデルを生成する。構造モデルは、計測点11を頂点とするポリゴン12を形成し、それらの連結群として構築する。連結群により、天井と壁を表現するポリゴン群101、窓2を表現するポリゴン群102、棚4を表現するポリコン群104およびテーブル5を表現するポリコン群105が、電磁界計算用の構造モデルとして得られる。電磁界計算用モデルの形成手法で公知の部分の説明は割愛する。本実施例ではポリゴンを三角形で示すが、他の多角形でもよい。
【0038】
無線通信性能評価システム100は、部屋1および内部の構造物である窓2、ドア3、棚4およびテーブル5の無線通信に用いる電磁波に対する諸電気特性を、対応するポリゴン12の各連結群に属性として付与する。電気特性はそれぞれの材質等に基づいて、あらかじめ定めて計算機資源中に記憶しておくものとする。
【0039】
無線通信性能評価システム100は、諸電気特性を属性として有するポリゴン12の各連結群で表現される計算機資源中の計算モデルを用いて、計算機資源中に無線機10が設置される地点に対応する計算機資源中の点に送信点110を仮設する。
【0040】
該送信点110より三次元的に複数の方向に自由空間中を直進する電波を表現するレイを放射する。該レイがポリゴン12に衝突した際に、ポリゴン12が所属する連結群に付与された属性を用いて、新たな強度と位相および方向を計算して、レイを再放射する過程を繰り返し、実測電磁界強度分布6に相当する推定電磁界強度分布106を計算機資源中に求める(レイトレース計算)。
【0041】
実空間における電波の挙動と計算機資源中での計算モデルの挙動が完全に一致すれば、実測電磁界強度分布6と推定電磁界強度分布106は一致するはずである。しかし、実際のサービスエリア内で電波が進行する過程を計算機資源内で忠実に再現できるかは保証がない。例えば図1Aの実測電磁界強度分布6と図1Dの推定電磁界強度分布106は、右上隅から左へ4枠、手前に2枠の個所で不一致を生じている。
【0042】
そこで、本実施例では、実測電磁界強度分布6に推定電磁界強度分布106が近づくように、計算資源中に形成されたポリゴン12を修正する。具体的にはポリゴン12の法線111を変更する。法線111が変更されるポリゴン12は、必要に応じてすべてのあるいは一部のポリゴン12で変更するものとする。
【0043】
本実施例では、サービスエリア内の無線通信特性を計算機資源を用いて推定するために計算機資源中に構築される電磁界計算モデルを、実際の無線通信が行われる環境で得られる電波特性の実測データを用いて補正する。具体的には、サービスエリア内の電波特性を推定する構造モデルを、同エリア内で実測する電波の強度と到来角を用いて修正する。
【0044】
このため、計算機資源を用いたサービスエリア内の無線通信システムの特性予測精度を向上でき、該サービスエリア内に無線通信システムの導入に係わる無線エンジニアリングのコストを削減でき、導入後の同システムの保守に係わる無線エンジニアリングのコスト低減に効果がある。
【実施例0045】
図2は他の実施例の無線通信性能評価システムの構成を説明する図である。実施例1(図1D)と異なる点は、無線通信性能評価システム100は実測電磁界強度分布6に推定電磁界強度分布106が近づくように、計算資源中に形成された(必要に応じてすべての)計測点11の位置に相当する三次元的座標を変更することである。この変更によって、該計測点を頂点とするポリゴン12の形状および方向が変化し、ポリゴン12の法線111も変化する。
【0046】
本実施例によれば、当該計測点11を持つポリゴン12の法線の変更を、該ポリゴン12が所属する連結群の連結構造(トポロジー)を変更することなく実現できる。このため、計算機資源中の計算モデルとサービスエリア内の実空間に存在する構造物のトポロジーを近づけることができるので、実施例1と比較して、計算機資源を用いたサービスエリア内の無線通信システムの特性予測精度を向上させる効果がある。
【実施例0047】
実施例の無線通信性能評価システムの他の例を図3および図4を用いて説明する。この例では、計算モデルから得られる電界の計算値と実測値を比較して、乖離が許容値を超える地点に到来する電波の実測方向を用いて、同モデル内の対応する受信点に対向するポリゴン(およびその周辺のポリゴン)を修正する。
図3は無線通信システムの通信性能予測の精度向上と同システムの導入コストを削減する無線通信性能評価システムの構成を説明する図である。
図4は実測した到来波方向を用いて計算機資源中の電磁界計算の為の計算モデルを変更する方法を説明するする図である。
【0048】
実施例1および実施例2と異なる点は、無線通信性能評価システム100は、計算資源中に形成された計測点11の内、実測電磁界強度分布6と推定電磁界強度分布106の差が大きい領域に影響を与える部分を特定する点である。
【0049】
当該部分を特定するため、差が大きい領域に相当する実空間において可動電波計測器7によって計測された電波の到来方向を用い、計算機資源中の該到来方向に存在する計測点11を以って該部分と推定する。
【0050】
図3に示すように、実測電磁界強度分布6に対して推定電磁界強度分布106が、あらかじめ設定した閾値に対して小さい領域131がある場合の処理を説明する。まず、該領域131から見て可動電波計測器7によって計測された電波の到来方向121に相当する方向に存在するポリゴン12Aを特定する。ポリゴン12Aと頂点を共有する複数のポリゴン12のうち、衝突しているレイの強度が最大のレイ21を持つポリゴン12Bを選択する。そして、該衝突しているレイ21が該領域131に到達するように、選択したポリゴン12Bに属する頂点を変更する。この結果各ポリゴン12は図3中点線の状態から実線の状態に変更される。これに伴い各ポリゴン12の法線111が点線で示すものから実線で示すものに変更されるのは実施例1と同様である(case A)。なお、レイの強度が最大のレイ21を持つポリゴン12Bを選択するかわりに、衝突するレイの強度がポリゴン12Aに衝突するレイより大きいポリゴンのいずれかを選択してもよい。
【0051】
図4に上記処理を詳細に説明する。実測電磁界強度分布6に対して推定電磁界強度分布106を相対して図示している。推定電磁界強度分布106において、領域401は実測電磁界強度分布6に対して小さな強度が推定されている(case A)。推定電磁界強度分布106において、領域403は実測電磁界強度分布6に対して大きな強度が推定されている(case B)。実測値と推定値を近づけることで無線通信状態を精度よく仮想的に再現可能になる。
【0052】
case Aにおいて、領域401は実空間において領域402に対応する。領域402を受信面Rcとする。受信面Rcの測定値に対して推定値が低い強度を示しているので、推定のための計算モデルにおいて受信面Rcに到達しているレイは、本来到達すべきレイではないと実施例のシステムは判断する。本来到達すべきレイの方向を実測値で得られる到来波の方向と考えて、受信面Rcより測定値で得られた電波の到来方向121に存在するポリゴン12Aを計算で求める。この計算は受信面Rcよりレイを発射するときに衝突するポリゴンを見つける手続きと同一なので通常のレイトレース計算で高速に処理される。本来受信面Rcに到達するレイを発射すると考えられるポリゴン12Aが特定されたら、その周囲のポリゴンを含めてこれらのポリゴンに到達しているレイの強度をチェックする。
【0053】
電波の到来方向121に存在するポリゴン12Aの周囲のポリゴン(あるいは隣接するポリゴン)を含める理由は、測定値から得られる到来波の方向の測定誤差の問題を解消するためである。具体例では、「周囲のポリゴン」は、受信面Rcからレイを測定値の電波の到来方向121に向けて放射することにより得られるポリゴン12Aと頂点を共有するすべてのポリゴンとしている。このようにすることで、必要とされる計算規模を抑制しつつ良好な精度を得ることができる。
【0054】
計算モデル内で、周囲のポリゴンも含め複数のポリゴンの中で最も強い強度でレイが到達しているポリゴン(優先ポリゴン)12Bが選び出されたら、優先ポリゴン12Bに入射するレイ21が受信面Rcに到達するように優先ポリゴン12Bの頂点の座標を変更する。この頂点の座標の変更の仕方にはいろいろな方式があるが、図4の例では優先ポリゴン12Bのポリゴン12Aと共有する頂点xを選択してその座標を変える方式を採用している。他の例としては、優先ポリゴンの3つの頂点座標を同時に変更する方法がある。
【0055】
到来波の実測値と光線の方向の計算値を近づけることを目的として、上述のようにポリゴン12Bの頂点xをx′に変更する。これに伴って、各ポリゴンの法線が変化する。例えばnは変更前のポリゴン12Aの法線でありn′は変更後のポリゴン12Aの法線である。このような処理の結果、ポリゴン12Bからの電磁波がポリゴン12Aからの電磁波に代えて受信面Rcに到達する。ポリゴン12Aからの電磁波は、受信面Rcとは別の受信面に到達する。またこれにともなって他のポリゴンからの電磁波もその方向が変更される場合がある。
【0056】
該実測電磁界強度分布6に対して該推定電磁界強度分布106があらかじめ設定した閾値に対して大きい領域403に対する処理を説明する(case B)。領域403を受信面Rcとする。該領域403から見て可動電波計測器7によって計測された電波の到来方向に相当する方向122に存在するポリゴン12Cを特定する。ポリゴン12Cと頂点を共有する複数のポリゴン12のうち衝突しているレイの強度の最小のレイ22を持つポリゴン12Dを選択する。該衝突しているレイ22が該領域403に到達するようにポリゴン12Dに属する頂点を変更する(case B)。なお、レイの強度が最小のレイ22を持つポリゴン12Dを選択するかわりに、衝突するレイの強度がポリゴン12Cに衝突するレイより小さいポリゴンのいずれかを選択してもよい。
【0057】
本実施例によれば、実測電磁界強度分布6に推定電磁界強度分布106を近づけるために変更すべき計測点の数を大幅に減少できるので、実環境に適応して計算機資源中の計算モデルを変更する時間を大幅に短縮でき、サービスエリア内の無線通信システムの導入および保守に係わる無線エンジニアリングのコストを低減する効果がある。
【実施例0058】
図5Aは、実施例3の無線通信性能評価システムの構成を説明するブロック図である。無線通信性能評価システム500は、通常のコンピュータで構成できる。無線通信性能評価システム500は、処理装置CPU、入力装置IN、出力装置OUT、および主記憶装置MEMを備える。主記憶装置MEMには、ソフトウェアにより、モデル生成部501、電界計算部502、誤差検出部203、ポリゴン修正部504が実装されている。また、データベースとして、実測電界強度・到来方向DB505、点群DB506、推定電界強度DB507を利用可能である。
【0059】
これらの各要素は、図示しないデータバス、あるいはネットワークで接続されており、コマンドやデータを送受信可能である。なお、これらの構成は、単一のコンピュータで構成してもよいし、クラウドのように複数のコンピュータが連携して実現してもよい。各構成要素の働きは、後述する。
【0060】
図5Bは、実施例3の無線通信性能評価システムの動作のフローを説明する図である。図1図5Aを参照しつつ説明する。先ず、任意のタイミングにて、可動電波計測器7によってサービスエリア内の任意の複数の地点で電界強度Emと到来方向Dmを計測する(S201)。計測したデータは、実測電界強度・到来方向DB505に格納する。
【0061】
続いて、可動電波計測器7によってサービスエリア内の構造物の表面上の各点を、該可動電波計測器7の設置位置と同設置位置からの方向と距離によって特定し、各点の集まりである点群を図1Cに示したように計算機資源中に座標表現する(S202)。なお可動電波計測器7とは別の装置で実行してもよい。座標表現した点群のデータは点群DB506に格納する。
【0062】
電界計算部502で、計算器資源内に電磁界の強度を求める領域である受信面Rxを任意個数(M個)設定する(S203)。各受信面Rxは図4の領域401に対応する。計算機資源は、前述のように一般的なサーバ等の計算機で実現可能であって、以下の処理はソフトウェアで実装することにした。
【0063】
モデル生成部501は、図1Dに示したように、点群DBのデータに基づいて計算機資源内に点群に含まれる3以上の複数の点を頂点とするポリゴン12を生成し、構造モデルを構築する(S204)。
【0064】
さらにモデル生成部501は、計算機資源中に形成されたポリゴン12に、対応する実空間の構造物の電磁波に対する物理定数を対応させ、計算資源中に実空間の無線通信サービスエリアに相当する電磁界計算用の計算モデルを生成する。
【0065】
電界計算部502は、この計算モデルを用いてレイトレース計算を行う。計算機資源中に送信点110を仮設して該送信点110から三次元空間の多数の方向に自由空間中を直進する電波を模擬したレイを発射する。送信点110から発射され直進するレイがポリゴン12に衝突した場合は、該ポリゴンに対応した構造物に関係する物理定数を用いて、当該ポリゴンからの放射方向と初期電界強度および位相を計算してレイを再放射させる過程を繰り返す。レイが受信面Rxに衝突した際には、推定電界強度DB507に、レイの電界強度Ecと位相Dcを受信面Rxに対応づけて記録する。送信点から発射したすべてのレイのエネルギーがあらかじめ定めた基準値を下回った場合に同過程を終了することにより、エリア内の電磁界分布を推定するための受信面Rxに係わるデータを得る(S205)。
【0066】
誤差検出部503は、可動電波計測器7を用いて得られる実空間の電波特性との比較に用いる許容値Δを設定し(S206)、実測電界強度・到来方向DB505のデータと推定電界強度DB507のデータを用いて、すべての受信面Rxに対応する可動電波計測器7によって測定された電波強度Emと、各受信面Rxに対応する推定した電界強度Ecを位相Dcを用いて取ったベクトル総和を比較する(S207,S208,S209,S210)。
【0067】
電波強度の測定値とRxに対応する電界強度のベクトル総和が異なる場合は(S209のno)、ポリゴン修正部504は、実測電界強度・到来方向DB505のデータから、当該受信面Rxに対応する実空間の地点で可動電波計測器7によって測定された電波の到来方向の実測値を得る(S211)。該実測値を用いて、該到来方向にむけてRxよりレイを発射し(S212)、該レイが衝突するポリゴンを特定する(S213)。
【0068】
ポリゴン修正部504は、特定されたポリゴンの頂点をランダムあるいは図4の実施例の説明に従って選択し(S214)、選択された頂点の座標を変更する(S215,S216,S217)。当該ポリゴンの頂点変更が行われた場合は処理S204に戻る。受信面すべてで電界強度の比較(S209)が終了すると(S210のno)、処理を終了あるいはポリゴン生成(S204)を再開する。
【0069】
本実施例によれば、無線通信システムのサービスエリア内の無線通信特性を予測する計算機資源が用いる電磁界の計算モデルを同システムの稼働・運用状況に応じてシステム稼働時のエリア内の電波強度分布を適応的に変更・修正可能となる。よって、実施例からなる無線通信性能評価システムの運用自由度が増し同システムの用途拡大に効果がある。
【実施例0070】
実施例の無線通信特性予測システムが用いる電波特性計測機の構造および回路構成の例を説明する。
【0071】
図6Aは、実施例の無線通信特性予測システムが用いる電波特性計測機の構造例を示す透過斜視図である。受信波の到来ベクトル29を座標表現する三次元直角座標系に設置された一辺2Dの仮想立方体30の六面の中心に子局ユニット31が設置される。該仮想立方体30の重心に親局ユニット32が設置される。図中子局ユニット31はUiで、親局ユニット32はTで表記される。
【0072】
一つの親局ユニット32と六つの子局ユニット31の各々は、搬送波周波数帯の信号を伝送する高周波ケーブル27およびデジタル信号を伝送する低周波ケーブル28で結合されている。該高周波ケーブル27は等長である。該仮想立方体30に設置される複数の子局ユニット31に搭載されるアンテナは該仮想立方体30の重心に対して立体的に等間隔(D)で設置される。
【0073】
図6Bは、実施例の無線通信特性予測システムが用いる電波特性計測機の回路構成例を示す回路図である。親局ユニット32は無線通信システムが用いる搬送波周波数に等しい周波数の信号を発生する搬送波周波数発生回路41と該搬送波周波数発生回路41を制御する親局コントローラ43を具備する。親局コントローラ43は集中制御回路42と結合する。
【0074】
子局ユニット31は子局アンテナ48を具備する。該子局アンテナ48に高周波ミキサ47と低域通過フィルタ46とアナログデジタル変換器45の従属結合が接続する。該子局アンテナ48の受信信号はダウンコンバートされて低周波信号成分のみが該アナログデジタル変換器45に入力されデジタル信号に変換されたのち子局コントローラ44に入力する。
【0075】
親局ユニット32の搬送波周波数発生回路41の出力はローカル信号として等長の高周波ケーブル27を介して子局ユニット31の高周波ミキサ47に入力する。子局ユニット31の子局コントローラ44は、子局アンテナ48の受信信号の位相を親局ユニット32の搬送波周波数発生回路41の出力信号を基準に得られたデジタル信号より計算する。子局コントローラ44は、計算した受信信号の位相を、低周波ケーブル28を介して親局ユニット32の親局コントローラ43に伝達する。
【0076】
親局ユニット32は子局ユニット31から伝送される該子局ユニットが具備する子局アンテナ48が受信した電波の相対位相と子局アンテナの空間的位置を用いて、三次元直角座標系における電波の到来方向を算出することができる。
【0077】
また、電波強度の測定については、公知の種々の電波強度測定技術を採用すればよい。公知の部分についての詳細は省略する。
【0078】
本実施例によれば、無線通信システムのサービスエリア内の各点における電波の強度と到来方向を測定することが出来るので、実施例からなる無線通信特性予測システムが該サービスエリア内のそれぞれの場所における電磁波の値を推定する計算モデルを修正する際の数値演算量を大幅に削減可能であり、無線システム導入および保守に必要となる無線エンジニアリングの工数削減に伴う導入および保守コストの低減に効果がある。
【実施例0079】
図7は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図6A図6Bの実施例と異なる点は、子局ユニット31に替えて子局ユニット31-6を具備することである。
【0080】
子局ユニット31-6は空間的に互いに直交関係にある第一の子局アンテナ48と第二の子局アンテナ49を具備する。該第一の子局アンテナ48および該第二の子局アンテナ49には第一の可変アッテネータ52および第二の可変アッテネータ53が結合し、両者の出力を高周波合成回路51で加算して出力する。
【0081】
該高周波合成回路51に高周波ミキサ47と低域通過フィルタ46とアナログデジタル変換器45の従属結合が接続されている。該第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49の受信信号は振幅で重みづけされて合成された後、ダウンコンバートされて低周波信号成分のみが該アナログデジタル変換器45に入力され、デジタル信号に変換されたのち子局コントローラ44に入力する。
【0082】
子局コントローラ44は第一の可変アッテネータ52および第二の可変アッテネータ53の減衰量を、一方を余弦関数、他方を正弦関数で重みづけすることにより、第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49を用いて子局ユニット31-6に到来する電波のエネルギーを最大電力で受信する方向若しくは最小電力で受信する方向を変化させることが出来る。
【0083】
電磁波は横波であるから進行方向に対して直交する面内に電界のエネルギーベクトルの方向である偏波が存在し、互いに直交する該最大電力で受信する方向および該最小電力で受信する方向により、到来する電波の偏波を知ることができる。
【0084】
本実施例によれば、無線通信システムのサービスエリア内の各点における電波の到来方向および偏波を測定することが出来るので、実施例からなる無線通信特性予測システムが該サービスエリア内のそれぞれの場所における電磁波の値を推定する計算精度が向上でき、該サービスエリア内の無線通信特性予測の精度が向上する効果がある。
【実施例0085】
図8は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図7の実施例と異なる点は、子局ユニット31-6に替えて子局ユニット31-7を、親局ユニット32-6に替えて親局ユニット32-7を具備することである。
【0086】
子局ユニット31-7は空間的に互いに直交関係にある第一の子局アンテナ48と第二の子局アンテナ49を具備する。該第一の子局アンテナ48および該第二の子局アンテナ49には、第一の可変アッテネータ52および第二の可変アッテネータ53が結合し、各々の出力を第一の高周波分配器62および第二の高周波分配器63でそれぞれ二分岐する。
【0087】
夫々の分岐出力の一方を第二の高周波合成器61によって直接合成し、合成出力を第二の高周波ミキサ57と第二の低域通過フィルタ56と第二のアナログデジタル変換器55の従属結合にて搬送波周波数でダウンコンバートしたのち、デジタル信号に変換して子局コントローラ44に伝送する。
【0088】
夫々の分岐出力の他方を、該第二の高周波分配器63に係わる信号は搬送波周波数帯の半波長線路64を介して、該第一の高周波分配器62に係わる信号は直結して、第二の高周波合成器61によって合成する。
【0089】
親局ユニット32-7の搬送波周波数発生回路41の出力はローカル信号として等長の高周波ケーブル27を介して子局ユニット31-7の高周波ミキサ47と高周波ミキサ57に入力する。
【0090】
合成出力を第一の高周波ミキサ47と第一の低域通過フィルタ46と第一のアナログデジタル変換器45の従属結合にて搬送波周波数でダウンコンバートしたのち、デジタル信号に変換して子局コントローラ44に伝送する。子局コントローラ44は、第一の可変アッテネータ52および第二の可変アッテネータ53の減衰量を、一方を余弦関数、他方を正弦関数で重みづけすることにより、第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49を用いて子局ユニット82に到来する電波のエネルギーを最大電力で受信する方向にする制御を、得られた二つのデジタル信号の最大値および極大値を参照することで実現できる。よって、到来する電波の偏波の測定精度の向上が可能となる。
【0091】
本実施例によれば図7の実施例と比べて、無線通信システムのサービスエリア内の無線通信特性予測性能を向上できる。
【実施例0092】
図9は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図8の実施例と異なる点は、子局ユニット31-7に替えて子局ユニット31-8を具備することである。
【0093】
子局ユニット83は空間的に互いに直交関係にある第一の子局アンテナ48と第二の子局アンテナ49を具備する。該第一の子局アンテナ48および該第二の子局アンテナ49は、ハイブリッド回路71の第三ポートおよび第四ポートに接続する。該ハイブリッド回路71の第一ポートと第二ポートには、それぞれ第一の高周波可変移相器72と第二の高周波可変移相器73を介してラットレース回路74の第二ポートおよび第四ポートに結合する。
【0094】
該ラットレース回路74の第三ポートには第二の高周波ミキサ57と第二の低域通過フィルタ56と第二のアナログデジタル変換器55の従属結合が結合し、第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49で受信した信号を搬送波周波数でダウンコンバートしたのちデジタル信号に変換して子局コントローラ44に伝送する。
【0095】
該ラットレース回路74の第一ポートには第一の高周波ミキサ47と第一の低域通過フィルタ46と第一のアナログデジタル変換器45の従属結合が結合し第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49で受信した信号を搬送波周波数でダウンコンバートしたのちデジタル信号に変換して子局コントローラ44に伝送する。
【0096】
本実施例によれば、図8の実施例の可変アッテネータ52および53を使用する子局ユニット31-7の動作と同様の動作を子局ユニット31-8によって第一の高周波可変移相器72および第二の高周波可変移相器73を用いて実現できる。よって、子局ユニットの低消費電電力化および受信信号の低雑音化が図られ、可動電波特性測定機の連続稼働時間伸長および電波特性測定精度向上による無線エンジニアリングコストの低減が図られる。
【実施例0097】
図10は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図6A図6Bの実施例と異なる点は、子局ユニット31に替えて子局ユニット31-9を具備することである。
【0098】
子局ユニット31-9は子局アンテナ48を具備する。子局アンテナ48には子局入力切替スイッチ58の一方の分岐端子が結合する。子局入力切替スイッチ58の共通端子には、高周波ミキサ47と低域通過フィルタ46とアナログデジタル変換器45の従属結合が接続している。
【0099】
高周波ミキサ47に、搬送波周波数帯のローカル信号を供給する子局高周波発生回路75が結合する。子局入力切替スイッチ58の他方の分岐端子に、親局ユニット32の搬送波周波数発生回路41の出力が結合する。子局入力切替スイッチ58は子局コントローラ44が制御する。
【0100】
子局アンテナ48の受信信号はダウンコンバートされて低周波信号成分のみが該アナログデジタル変換器45に入力され、デジタル信号に変換されたのち子局コントローラ44に入力する。
【0101】
子局ユニット31-9は、子局入力切替スイッチ58を子局アンテナ48の出力が高周波ミキサ47に入力するように制御し、可動電波計測器7に到来する受信波の位相を測定する。そののち、子局入力切替スイッチ58を親局ユニット32の搬送波周波数発生回路41の出力が該高周波ミキサ47に入力するように制御し、搬送波周波数発生回路41の出力の位相の測定を行う。それぞれの位相の測定結果を低周波ケーブル28を介して親局ユニット32の親局コントローラ43に伝達する。
【0102】
親局ユニット32は、子局ユニット31-9から伝送される子局アンテナ48が受信した電波および搬送波周波数発生回路41の出力の相対位相と、子局アンテナ48の空間的位置を用いて該三次元直角座標系における到来方向を算出することができる。
【0103】
本実施例によれば、子局ユニットは到来波の位相を測定するためのローカル信号を外部からケーブルを介して供給せずに内部の搬送波周波数発生回路より供給できる。よって、到来波の信号をタウンコンバートするミキサ動作の安定化に効果があり、到来波の位相を計測する精度を向上させることが出来る。
【実施例0104】
図11は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図6A図6Bの実施例と異なる点は、子局ユニット31に替えて子局ユニット31-10を具備し、親局ユニット32に替えて親局ユニット32-10を具備し、子局ユニット31-10と親局ユニット32-10の間には光波信号を伝送する高周波ケーブル27に替えて光ファイバー26が存在することである。
【0105】
親局ユニット32-10はフォトLED65を具備し、該フォトLED65は光変調器114により生成される同期信号を搬送波周波数より高いオーダーの周波数の光波で発生する。光変調器114の周波数は親局コントローラ43が制御し、親局コントローラ43は集中制御回路42と結合する。
【0106】
子局ユニット31-10は子局アンテナ48を具備する。該子局アンテナ48に高周波ミキサ47と低域通過フィルタ46とアナログデジタル変換器45の従属結合が接続する。該高周波ミキサ47に搬送波周波数帯のローカル信号を供給する子局高周波発生回路75が結合し、該子局高周波発生回路75の周波数は子局コントローラ44が制御する。該子局アンテナ48の受信信号はダウンコンバートされて低周波信号成分のみが該アナログデジタル変換器45に入力されデジタル信号に変換されたのち子局コントローラ44に入力する。
【0107】
親局ユニット32-10が発生する同期信号は光ファイバー26を介して、フォトダイオード113に伝達される。該フォトダイオード113の受信信号は光復調器112によりデジタル信号に変換されて子局コントローラ44に入力する。該子局コントローラ44は該子局高周波発生回路75の該同期信号に対する位相を計算する。
【0108】
各子局ユニット31-10は各々が具備する子局高周波発生回路75の初期位相を基準として、受信波の位相を決定する。受信ユニット35は電波を受信した後、該電波の測定した位相および親局ユニット32-10が発生した同期信号に対する子局高周波発生回路75の相対位相を親局ユニット32-10に伝送する。
【0109】
親局ユニット32-10は各子局ユニット31-10から転送されるこれら二種類の位相を用いて可動電波計測器7に到来する無線通信システムの電波の到来方向を推定することが可能となる。
【0110】
本実施例によれば、子局ユニットと親局ユニットを結合する高周波ケーブルに替えて光ファイバーを使用できるので、実施例の無線通信特性予測システムが用いる電波特性計測機を製造するための構成要素の小型・軽量化による、装置の軽量化および低コスト化に効果がある。
【実施例0111】
図12は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図11の実施例と異なる点は、子局ユニット31-10に替えて子局ユニット31-11を具備し、親局ユニット32-10に替えて親局ユニット32-11を具備し、子局ユニット31と親局ユニット32の間に存在する光ファイバー26が削除されることである。
【0112】
親局ユニット32-11はフォトLED65に替えて高出力フォトLED95を具備し、子局ユニット31-11はフォトダイオード113に替えて高感度フォトダイオード97を具備する。該高出力フォトLED95は光変調器114により生成される同期信号を搬送波周波数より高いオーダーの周波数の光波で発生する。該高出力フォトLED95と高感度フォトダイオード97で光通信を行うので、自由空間を用いた同期信号の光伝送が可能となる。
【0113】
本実施例によれば、子局ユニットと親局ユニットを結合する光ファイバーを削減できるので、図11の実施例に比べて無線通信特性予測システムが用いる電波特性計測機の装置の軽量化および低コスト化に効果がある。
【実施例0114】
図13は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図6A図6Bの実施例と異なる点は、子局ユニット31に替えて子局ユニット31-12を具備し、親局ユニット32に替えて親局ユニット32-12を具備し、子局ユニット31と親局ユニット32の間には高周波信号を伝送する高周波ケーブルが存在しないことである。
【0115】
親局ユニット32-12は親局アンテナ78を具備する。親局アンテナ78に親局送受切替スイッチ68を介し親局高周波ミキサ67と親局低域通過フィルタ66と親局アナログデジタル変換器65の従属結合が接続している。親局高周波ミキサ67に搬送波周波数帯のローカル信号を供給する親局高周波発生回路79が親局高周波スイッチ69を介し結合し、該親局高周波発生回路79の周波数は親局コントローラ43が制御する。
【0116】
親局送受切替スイッチ68および親局高周波スイッチ69は親局コントローラ43が制御し、親局ユニット32-12が到来波を受信する際には、共通端子が親局アンテナ78に結合する該親局高周波発生回路79の切り替え端子を該親局高周波ミキサ67の信号入力に切替え、共通端子が親局高周波発生回路79に結合する該親局高周波スイッチ69の切り替え端子を該親局高周波ミキサ67のローカル入力に切替える。該親局アンテナ78の受信信号はダウンコンバートされて低周波信号成分のみが該親局アナログデジタル変換器65に入力されデジタル信号に変換されたのち親局コントローラ43に入力し該親局コントローラ43は集中制御回路42と結合する。
【0117】
子局ユニット31-12は子局アンテナ48を具備している。該子局アンテナ48に高周波ミキサ47と低域通過フィルタ46とアナログデジタル変換器45の従属結合が接続している。該高周波ミキサ47に搬送波周波数帯のローカル信号を供給する子局高周波発生回路75が結合する。該子局高周波発生回路75の周波数は子局コントローラ44が制御する。該子局アンテナ48の受信信号はダウンコンバートされて低周波信号成分のみが該アナログデジタル変換器45に入力されデジタル信号に変換されたのち子局コントローラ44に入力する。
【0118】
親局ユニット32-12が参照信号を送信する際には、共通端子が親局アンテナ78に結合する該親局高周波発生回路79の切り替え端子と該親局高周波スイッチ69の切り替え端子を結合する。該親局高周波発生回路79の出力を親局アンテナ78より参照波として送信する。
【0119】
各子局ユニット31-12は各々が具備する子局高周波発生回路75の初期位相を基準として、受信波の位相を決定する。親局ユニット32-12は無線システムが通信および制御に使用する周波数帯の信号が存在しないタイミングで、親局高周波発生回路79の出力を送信する。
【0120】
子局ユニット31-12が受信する無線システムの到来波の搬送波の周波数帯と、親局ユニット32-12が送信する参照波の周波数帯は同一であるから、受信ユニット35は二種類の異なる位相を計測することになる。子局ユニット31-12は電波を受信した後、該電波の測定した位相を直ちに親局ユニット32-12に伝送する様に予め取り決めておけば、親局ユニット32-12は子局ユニット31-12が受信した電波が無線システムの用いている電波か親局ユニット32-12が送信した電波かを、子局ユニット31-12から伝送されたタイミングを用いて識別することが出来る。
【0121】
親局ユニット32-12は各子局ユニット31-12から転送されるこれら二種類の位相を用いて、可動電波計測器7に到来する無線通信システムの電波の到来方向を推定することが可能となる。
【0122】
本実施例によれば、アンテナを具備する一つの親局に対して立体的に等間隔でアンテナを具備する複数の子局が配置され、該複数の子局機が測定する到来波の位相の測定値を該親局に伝送し、該親局は自身の測定する到来波の位相の測定値と伝送される子局の到来波の位相の測定値を用いて到来波の方向を計算する。子局ユニットと親局ユニットを結合する高周波ケーブルが不要となるので、無線通信特性予測システムが用いる電波特性計測機を製造するための構成要素の削減による、装置の軽量化および低コスト化に効果がある。
【実施例0123】
図14は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の構造および回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図13の実施例と異なる点は、子局ユニット31-12に替えて子局ユニット31-13を具備することである。
【0124】
子局ユニット31-13は空間的に互いに直交関係にある第一の子局アンテナ48と第二の子局アンテナ49を具備する。第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49はハイブリッド回路71の第三ポートおよび第四ポートに接続する。ハイブリッド回路71の第二ポートには第一の高周波ミキサ47と第一の低域通過フィルタ46と第一のアナログデジタル変換器45の従属結合が接続する。ハイブリッド回路71の第一ポートには第二の高周波ミキサ57と第二の低域通過フィルタ56と第二のアナログデジタル変換器55の従属結合が接続する。
【0125】
第一の高周波ミキサ47および第二の高周波ミキサ57に搬送波周波数帯のローカル信号を供給する子局高周波発生回路75の出力が結合し、子局高周波発生回路75の周波数は子局コントローラ44が制御する。第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49の受信信号はダウンコンバートされてデジタル信号に変換されたのち子局コントローラ44に入力する。子局ユニット31-13は子局高周波発生回路75の出力をローカル信号として、第一の子局アンテナ48および第二の子局アンテナ49の受信信号をダウンコンバートした後に二つの経路でデジタル信号に変換する。
【0126】
この時、第一の経路に関するデジタル信号と第二の経路に関するデジタル信号は、第一の子局アンテナ48と第二の子局アンテナ49が張る面内の偏波角に対して余弦値および正弦値となる。これにより、子局コントローラ44は直ちに電波特性計測機が受信する電波の偏波を特定することが出来る。更に、子局高周波発生回路75の周波数を可変として、搬送波周波数に対して小さな周波数偏差を設けると、偏差周波数で子局コントローラ44に入力する二つのデジタル信号値が回転関係をもって変化するために、受信する電波の偏波を時間軸上で識別可能となり、該偏波の測定精度が向上できる。
【0127】
親局ユニット32-12によって、子局ユニット31-13が伝送する受信波の位相の計算値を用いて受信波の到来方向を求める手法は図13の実施例と同様である。
【0128】
本実施例によれば、無線通信特性予測システムが用いる電波特性計測機の軽量化および低コスト化と受信電波の到来角と偏波の測定精度の向上をともに図る効果がある。
【実施例0129】
図15は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図13の実施例の電波特性計測機の回路構成と異なる点は、子局ユニット31-14では子局高周波発生回路75が子局直交変調器76で置き換わり、親局ユニット32-14では親局高周波発生回路79が親局直交変調器77で置き換わることである。
【0130】
子局直交変調器76および親局直交変調器77は子局コントローラ44および親局コントローラ43よりデジタルのI/Q信号が供給されて同I/Q信号に応じて搬送波周波数帯の信号を任意の初期位相で発生することが出来る。
【0131】
本実施例によれば、可変周波数発生回路をデジタル回路で実現できるので、電波特性計測機の小型化および低コスト化に効果がある。
【実施例0132】
図16は実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の回路構成の例を説明する図である。子局ユニット31と親局ユニット32の幾何学的配置は図6Aと同様でよい。図14の実施例の電波特性計測機の回路構成と異なる点は、子局ユニット31-15では子局高周波発生回路75が子局直交変調器76で置き換わり、親局ユニット32-15の親局高周波発生回路79が親局直交変調器77で置き換わることである。
【0133】
子局直交変調器76および親局直交変調器77は子局コントローラ44および親局コントローラ43よりデジタルのI/Q信号が供給されて同I/Q信号に応じて搬送波周波数帯の信号を任意の初期位相で発生することが出来る。
【0134】
本実施例の図14の実施例に対する効果は、図14の実施例が図12に実施例に対して及ぼす効果と同様である。
【実施例0135】
図17A図17Bは実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の構造の例を説明する図である。
【0136】
図17Aに示すように、三次元直角座標系に設置された一辺2Dの仮想立方体30の八つの頂点に子局ユニット31が設置され、該仮想立方体30の重心に親局ユニット32が設置される。
【0137】
一つの親局ユニット32と八つの子局ユニット31の各々は、搬送波周波数帯の信号を伝送する高周波ケーブル27およびデジタル信号を伝送する低周波ケーブル28で結合されている。高周波ケーブル27は等長である。
【0138】
仮想立方体30に設置される複数の子局ユニット31に搭載されるアンテナは仮想立方体30の重心に対して立体的に等間隔(√3D)で設置される。
【0139】
図17Bに示すように、仮想立方体30に外接する正八面体37を用いれば、八つの子局ユニット31を正八面体37の八つの面に設置することができるので、電波特性計測機の構造の堅牢性が向上する。
【0140】
親局ユニットが電波の到来方向を決定するために使用できる、三次元空間に一様に分布する各アンテナが受信する電波の相対位相の数が増えるので、到来方向の計算精度向上も実現する。
【0141】
本実施例によれば、図6の実施例に対して、電波特性計測機の堅牢性を維持しつつ受信電波の到来方向の予測誤差を低減する効果がある。
【実施例0142】
図18A図18Bは実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の構造の例を説明する図である。
【0143】
図18Aに示すように、三次元直角座標系に設置された一辺2Dの仮想立方体30の十二の頂点に子局ユニット31が設置され、該仮想立方体30の重心に親局ユニット32が設置される。
【0144】
一つの親局ユニット32と十二の子局ユニット31の各々は、デジタル信号を伝送する低周波ケーブル28で結合されている。
【0145】
該仮想立方体30に設置される複数の子局ユニット31に搭載されるアンテナは該仮想立方体30の重心に対して立体的に等間隔(√2D)で設置される。
【0146】
図18Bに示すように、該仮想立方体30に外接する正十二面体38を用いれば、十二の子局ユニット31を該正十二面体38の十二の面に設置することが出るので、電波特性計測機の構造の堅牢性が向上する。
【0147】
親局ユニットが電波の到来方向を決定するために使用できる、三次元空間に一様に分布する各アンテナが受信する電波の相対位相の数が増えるので、該到来方向の計算精度向上も実現する。
【0148】
本実施例によれば、図11の実施例に対して、電波特性計測機の堅牢性を維持しつつ受信電波の到来方向の予測誤差を低減する効果がある。
【実施例0149】
図19A図19Bは実施例の無線通信特性予測システムが用いる他の電波特性計測機の構造の例を説明する図である。
【0150】
図19Aに示すように、三次元直角座標系に設置された一辺3Dの仮想立方体30の面に内接する該一辺3Dの仮想立方体30の面と相似形の一辺2Dの正方形が二つ該一辺3Dの仮想立方体30の面の対角線の頂点に一つの頂点が重なるように設定される。
【0151】
該二つの一辺2Dの正方形の各頂点に子局ユニット31が設置される。一辺3Dの仮想立方体30の面は対角する頂点に一つずつ計2、各辺に一つずつ計4、面の重心付近に2つ計2の合計8の子局ユニット31を具備することになる。そのような面を六つ頂点および辺に位置する子局ユニット31が共通となるように直方体に組み上げた形に計28の子局ユニット31が該直方体上に設置される。
【0152】
図19Aは、仮想立方体30の表面に子局ユニット31が、重心に親局ユニット32が配置されている状態を示している。
【0153】
図19Bは、仮想立方体30の一つの面に配置される八つの子局ユニット31により複数方向で到来する受信波を減衰させる動作を説明する図である。図19Bでは、異なる方向θ12およびθ3の方向から到来する電波を対となる二つの子局ユニット31において逆相で加えることによりθ12およびθ3の方向から到来する電波の電力を減衰することが可能となる。
【0154】
この動作を、空間的に直交する二つずつの面について行えば、可動電波計測器7に到来する電波が最大4つの異なる方向から到来する場合においても、互いに平行な面に対して、合計28個の子局ユニットの内24個の子局ユニットを用いて複数の到来波の当該面に対するそれぞれの到来方向を計算することができ、三つのすべての面の組に対して同様な処理を行うことにより、三次元的に可動電波計測器7に到来する最大四つの電波の到来方向を推定することが可能となる。
【0155】
このように正六面体の一つの面にN種の傾きを持つ互いに平行で等長の線分を2^N個形成するように子局ユニットを配置し、該子局ユニットが測定した到来波の位相を用いて、特定の到来方向の電波の電力を減衰させて最大N+1個の電波の到来方向を推定する。たとえば、正六面体の一つの面に一つ以上の仮想正方形を形成し、該仮想正方形のすべての頂点に子局ユニットを配置する。
【0156】
本実施例によれば、無線通信システムが動作する電波環境を推定する計算モデルを精密化することができるので、該無線システムの通信性能の予測精度を向上させる効果がある。
【実施例0157】
図20は通信サービスを提供する無線システムの実現コスト低減を可能とする無線通信特性予測システムを用いる環境適応型無線通信ネットワークの構成の例を説明する図である。無線通信を行うサービスエリアとなる部屋1の内部に棚4とテーブル5が配置されており、該エリア内を移動する人やロボット等の可動障害物9が存在し、該室内空間を構築する床と壁と天井に複数の親局18と該親局18と無線通信を行う複数の子局19が設置されている。
【0158】
サービスエリア内の電磁界を計算する計算モデルが計算機資源中に構築されており、該計算モデルは床と天井と壁を表現するポリゴン群101(表示省略)と棚4を表現するポリコン群104およびテーブルを表現するポリコン群105を含む。可動障害物9に対応するポリゴン群は該可動障害物の位置をあらかじめ特定できないので計算モデルには含まない。
【0159】
計算機資源中には複数の親局18に対応する送信点118と子局に対応する受信点119が配置されている。サービスエリア内で特定の親局と子局の通信品質があらかじめ定める閾値以下に劣化した場合、計算機資源中の対応する送信点と受信点の組以外の送信点と受信点の組による通信特性を計算し、良好な通信特性を示す当該子局と新たな親局を計算機資源中の計算モデルを用いて探索し、そのような親局が予想された場合、対応する実空間の親局に良好でない品質で通信を行っている子局との通信を開始するよう制御する。
【0160】
本実施例によれば、サービスエリア内で生じる無線通信品質の劣化に適応して当該子局と通信する親局を変更できるので、子局の通信品質を回復する効果があり、複数の親局と子局で構成する無線ネットワークの通信信頼性の向上とスループット向上に効果がある。
【実施例0161】
図21は、通信サービスを提供する無線システムの実現コスト低減を可能とする無線通信特性予測システムを用いる他の環境適応型無線通信ネットワークの構成の例を説明する図である。図20の例と異なる点を主に説明する。
【0162】
本実施例では、可動障害物9に対応するポリゴン群は別途作成しておくが、計算モデル内にはあらかじめ配置しない。
【0163】
計算機資源中には複数の親局18に対応する送信点118と子局に対応する受信点119が配置されている。サービスエリア内で特定の親局と子局の通信品質があらかじめ定める閾値以下に劣化した場合、計算機資源中の対応する送信点と受信点の通信特性を計算する。計算によって得られた通信品質より実空間で通信を行っている親局と子局の通信品質があらかじめ定められた許容値を超えて劣化している場合は、計算機資源中の対応する送信点と受信点の間に電波に対する障害物が存在していると判断し、該送信点と受信点の間に予め作成してあるポリゴン群109を仮想的に追加する。
【0164】
可動障害物9に対応するポリゴン群109を計算モデルの送信点と受信点を結ぶ経路を遮断する領域内で移動させ、送信点と受信点の間の通信品質の計算値を順次求め、対応する実空間の親局と子局の受信品質に最も近い通信品質の計算値を与えるポリゴン群109の位置を仮想的な配置点として計算モデルを変更する。
【0165】
変更後の計算モデルを用いて当該子局が良好な品質で無線通信を行うことが出来る親局を計算機資源中の送信点の位置より推定し、対宇する親局と当該子局が通信を行う制御を実施する。
【0166】
本実施例によれば、サービスエリア内で生じる無線通信品質の動的な劣化に適応して当該子局と通信する親局を変更できるので、子局の通信品質をリアルタイムに回復する効果があり、図20の実施例と比較して、複数の親局と子局で構成する無線ネットワークの通信信頼性とスループットを更に向上させる効果がある。
【0167】
以上説明した実施例によると、無線通信を提供するサービスエリア内での通信品質の推定を計算機資源中で行う電磁界の計算モデルを同サービスエリアにおける実測データより構築できる。このため、無線通信を行う現場の実際の電波環境を忠実に再現できる電磁波計算モデルを生成可能であり、且つ無線通信現場の環境変化に即応した計算機資源中の電磁界計算モデルの修正が可能となる。また、無線通信サービスエリア内の無線通信性能の推定精度を向上させることが可能となり、リアルタイムの通信性能把握が実現する。更に、計算機資源中に構築する電磁界の計算モデルの構築がオンサイトで可能となるために顧客が無線通信システムを導入するために必要となる無線エンジニアリングのコストを低減する効果がある。
【0168】
上記実施例によれば、計算機資源内で高精度の電波環境をシミュレートできるので、実空間での作業を低減でき、消費エネルギーが少なく、炭素排出量を減らし、地球温暖化を防止、持続可能な社会の実現に寄与することができる。
【符号の説明】
【0169】
1…部屋
2…窓
3…ドア
4…棚
5…テーブル
6…実測電磁界強度分布
7…可動電波計測器
8…
9…可動障害物
10…無線機
11…計測点
12…ポリゴン
27…高周波ケーブル
28…低周波ケーブル
29…到来ベクトル
30…仮想立方体
31…子局ユニット
32…親局ユニット
37…正八面体
38…正十二面体
106…推定電磁界強度分布
110…送信点
118…送信点
119…受信点
121…電波の到来方向
122…到来方向に相当する方向
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21