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特開2023-178923シート成形品の検査方法、シート成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178923
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】シート成形品の検査方法、シート成形品
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20231211BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G01N21/90 A
G01N21/84 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091922
(22)【出願日】2022-06-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)展示会名:スーパーマーケット・トレードショー2022内 中央化学展示商談会2022 開催日 :令和4年2月16日 (2)刊行物名:CHUO NewCollection 中央化学株式会社 新製品シリーズ特別号 2022 発行日 :令和4年2月16日 (3)展示会名:中央化学常設展示 開催日 :令和4年3月14日 (4)サイト名:SMTS2022出展報告動画 ダイジェスト版 公開日 :令和4年3月18日 (5)サイト名:中央化学展示商談会2022 出展報告書 公開日:令和4年5月16日 (6)刊行物名:中央化学展示商談会2022 出展報告書 公開日 :令和4年5月16日
(71)【出願人】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】甲地 歩
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA11
2G051AB05
2G051AC22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】成型時に形成された所定の部位を目視して嵌合部分の良し悪しを容易に判定するシート成形品の検査方法及びこの検査方法が採用されるシート成形品を提供する。
【解決手段】所定の成形品Mと嵌合する付番しない嵌合部を備えたシート成形品Nの品質を目視により検査するものであり、シート成形品Nの成型に伴って形成された屈曲部1に対して凸状に突出部2が形成されているか否かに基づいて嵌合部の良否を判定することを含む。このような構成によれば、シート成形品Nが嵌合部を介して所定の成形品Mと嵌り合うか否かを目視による屈曲部1の突出部2の有無で判定できることから、突出部2が形成されていないシート成形品Nを嵌合部に所定の成形品Pを嵌められない不良品として事前に回収できる効果を期待できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の成形品と嵌合する嵌合部を備えたシート成形品の検査方法であって、
前記シート成形品の成型に伴って形成された屈曲部に対して凸状に突出部が形成されているか否かに基づいて前記嵌合部の良否を判定する
ことを含むシート成形品の検査方法。
【請求項2】
前記屈曲部は、前記嵌合部である
請求項1に記載のシート成形品の検査方法。
【請求項3】
前記屈曲部は、前記シート成形品の成型で得られる廃材に含まれる
請求項1に記載のシート成形品の検査方法。
【請求項4】
所定の成形品と嵌合する嵌合部と、
前記嵌合部に対して凸状に形成された突出部とを備え、
前記嵌合部は、R状に形成された嵌合湾曲部を有し、
前記突出部は、前記嵌合湾曲部の曲率半径に対して0.01~0.25倍の突出量を有する
ことを特徴とするシート成形品。
【請求項5】
前記突出部は、前記嵌合湾曲部の上下方向の両端から等距離にある嵌合湾曲頂点部から突き出ている
ことを特徴とする請求項4に記載のシート成形品。
【請求項6】
前記嵌合部は、内嵌合又は側面外嵌合である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のシート成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート成形品の良否を判定する検査方法及び上記検査方法を採用可能なシート成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば合成樹脂シートを成形して得られたシート成形品は、成形性に優れていることから、あらゆる業種や場面で活用され、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される生鮮品や惣菜といった食品向けの包装用容器として使用される。このようなシート成形品は、別の成形品と嵌合して使用されやすいため、嵌合部分の良し悪しがシート成形品の品質を決定する最も重要な要素となり得る。
【0003】
例えば特許文献1には、PETボトルなどの透明な容器の口部の欠陥を精度よく検査する装置や方法について開示されている。具体的には、上から容器の口部、下から容器の底部にそれぞれ光を照射すると、上からの光と下からの光とで底部の明るさを均一にできることから、口部の天面の画像を鮮明に生成して欠陥を精度よく検査する効果を期待するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-47060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に限らず、容器を含むシート成形品の画像検査は一般的であるが、画像の撮影に要する装置や器具、これらの設置場所、生産工程から検査工程へのスムーズな移管などが必要であるのみならず、画像の良し悪しや良し悪しを判定する基準によって検査の精度が変わってしまうため、画像検査を容易には採用しにくい。
【0006】
例えば複数個を同時に(1ショットで)生産できる金型を用いた成型方法により形成されたシート成形品の各々の品質はばらつきやすく、シート成形品に形成された嵌合部分の良し悪しは、予め成型しておいた嵌合部分の形状が嵌合部分に隙間なく接触(一致)するか否かによって判定されることもあったが、人手による作業を要することから判定の精度もばらつきやすかった。
【0007】
例えばシート成形品が食品の包装用容器の場合、内食需要の増加やマイバッグの使用を背景として、包装された食品の汁漏れ対策が従来よりも求められており、嵌合部分による防汁性の向上も期待されている。そのため嵌合部分の良し悪しを容易に判定し、かつ判定の精度も安定させるには、成型方法の特徴を活かして形成された所定の部位の目視検査であることに、発明者は辿り着いた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、成型時に形成された所定の部位を目視して嵌合部分の良し悪しを容易に判定するシート成形品の検査方法及びこの検査方法が採用されるシート成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、所定の成形品と嵌合する嵌合部を備えたシート成形品の検査方法であって、上記シート成形品の成型に伴って形成された屈曲部に対して凸状に突出部が形成されているか否かに基づいて上記嵌合部の良否を判定することを含む。
【0010】
上記屈曲部は、上記嵌合部であるか、または上記シート成形品の成型で得られる廃材に含まれる。
【0011】
また、本発明におけるシート成形品は、所定の成形品と嵌合する嵌合部と、上記嵌合部に対して凸状に形成された突出部とを備え、上記嵌合部は、R状に形成された嵌合湾曲部を有し、上記突出部は、上記嵌合湾曲部の曲率半径に対して0.01~0.25倍の突出量を有することを特徴とする。
【0012】
上記突出部は、上記嵌合湾曲部の上下方向の両端から等距離にある嵌合湾曲頂点部から突き出ていることが望ましい。
【0013】
上記嵌合部は、内嵌合であるか、または側面外嵌合である。上記嵌合部は、嵌合する方の嵌合部分(例えば、包装用容器の本体)でも嵌合される方の篏合部分(例えば、包装用容器の蓋体)でもよく、どちらの部分の端面形状も略S字状であり、「内嵌合」とは、嵌合する方の篏合部分が外側、嵌合される方の嵌合部分が内側に位置する構造を示し、「側面外嵌合」とは、嵌合する方の篏合部分が内側、嵌合される方の嵌合部分が外側に位置する構造を示す。
【0014】
なお、本発明において、「成形」とは、製法を限定せず単に形作ること又は形作られたこと、「成型」とは、所定の型に嵌めて形作ること又は形作られたことを意味し、換言すると、「成形」は「成型」を含む表現とする。「R状」とは、2つ以上の面の組み合わせで表れる直角・鋭角・鈍角といった角部分の先端が曲面に面取られた状態を意味し、曲面の度合いを曲率半径で数値化されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成型時に形成された所定の部位を目視して嵌合部分の良し悪しを容易に判定できる効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態におけるシート成形品の検査方法を説明する概念図である。
図2】上記検査方法の対象となる成形品及びシート成形品の一例の斜視図である。
図3】上記成形品及び上記シート成形品の一例の正面図である。
図4】上記成形品と上記シート成形品との装着前における部分拡大端面図である。
図5】上記成形品と上記シート成形品との装着後における部分拡大端面図である。
図6】上記検査方法の対象となる別の成形品及びシート成形品の装着後における部分拡大端面図である。
図7】上記検査方法の対象となる別の成形品及びシート成形品の装着後における部分拡大端面図である。
図8】上記検査方法の対象となる別の成形品及びシート成形品の装着後における部分拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施形態におけるシート成形品の検査方法(以下「本シート成形品の検査方法」ともいう。)について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに付番した部分もある。説明の便宜上、断面をハッチングで示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に通常使用する向きでシート成形品を設置した状態を基準にし、これ以外を基準とする場合は適宜説明する。
【0018】
<本シート成形品の検査方法の概要>
図1に示すように、本シート成形品の検査方法は、所定の成形品Mと嵌合する付番しない嵌合部を備えたシート成形品Nの品質を目視により検査するものであり、シート成形品Nの成型に伴って形成された屈曲部1に対して凸状に突出部2が形成されているか否かに基づいて嵌合部の良否を判定することを含む。
【0019】
このような構成によれば、シート成形品Nが嵌合部を介して所定の成形品Mと嵌り合うか否かを目視による屈曲部1の突出部2の有無で判定できることから、突出部2が形成されていないシート成形品Nを嵌合部に所定の成形品Pを嵌められない不良品として事前に回収できる効果を期待できる。
【0020】
<成形品M・シート成形品Nの概要>
成形品Mは、例えば合成樹脂製、熱可塑性樹脂製、熱可塑性樹脂やパルプやタルク、バイオプラスチックを含む混合素材製、紙製、金属製であり、シート成形品Nの嵌合部に嵌ればよく、形状やサイズを限定しない。シート成形品Nは、合成樹脂製、熱可塑性樹脂製、熱可塑性樹脂やパルプやタルク、バイオプラスチックを含む混合素材製であり、これらを熱成型して得られるものであればよく、形状やサイズを限定しない。成形品Mは、シート成形品Nと同じ材質であってもよい。
【0021】
成形品Mやシート成形品Nは、例えば食品用具、文具、日用雑貨、玩具、工業・農業・水産業用品、工業用部品であり、食品用具には、容器本体及び/又は蓋体といった包装用容器やスプーン・フォーク・ナイフといったカトラリーが含まれ、文具や日用雑貨には、クリップやケースやファイルが含まれる。成形品Mは、シート成形品Nと同じ種類でもよい。
【0022】
<シート成形品Nの形成方法・素材・寸法等の仕様>
シート成形品Nは、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、ポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.3~0.8mm、さらに好ましくは0.35~0.6mmである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。また、発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは1.8~4mmであり、より好ましくは2.0~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。成型品Mは、シート成形品Nと同じ形成方法・素材・寸法等の仕様でもよい。
【0023】
合成樹脂シートは、1つ又は2つ以上のシート成形品Nとして成型される部分と、シート成形品Nとして成型されない部分と、製品以外の部分とを含んでいる。上記成型されない部分は、廃材であってもよく、この面積や形状は、シート成形品Nの数や形状に応じて決定されてもよい。合成樹脂シートからシート成形品Nを成型する金型は、シート成形品を成型する型以外に、本シート成形品の検査方法に採用される部位のみを成形する型、換言すると、廃材にのみ所定の形状を成型する型を備えてもよい。
【0024】
<屈曲部1>
図1に示すように、屈曲部1は、本シート成形品の検査方法の前提となる部位であり、シート成形品Nに備わっていてもいなくてもよく、備わっている場合はシート成形品Nに備わる嵌合部であってもよく、備わっていない場合はシート成形品Nの成型で得られる廃材に成型されてもよく、廃材は本シート成形品と同形でも異形でもよい。屈曲部1は、平面状の部位同士を連続させて形成された構造でも、R状に形成された湾曲部の両脇を平面状の部位で挟むように形成された構造でも、上記湾曲部のみでもよい。
【0025】
このような構成によれば、シート成形品Nの嵌合部を直接的に目視検査しても、シート成形品N以外の廃材を介して上記嵌合部を間接的に目視検査しても、同程度の判定結果を得られる効果を期待できる。すなわち、屈曲部1が突出部2を有している限り、屈曲部1がどこに成形されてもよいことから、シート成形品Nを設計しやすいばかりでなく、シートの有効活用面積の増加も期待できる。
【0026】
屈曲部1は、シート成形品Nに形成されようがシート成形品N以外の廃材に形成されようが、好ましくはR状に形成された屈曲湾曲部11を備え、より好ましくは嵌合部の仕様に近いように屈曲湾曲部11の上下方向の一端及び/又は両端と連続して平面状に形成された屈曲平面部12を備えている。屈曲湾曲部11の曲率半径は、シート成形品Nのサイズや形状といった仕様に応じて決定されてよく、限定しない。屈曲湾曲部11は、曲率や幅を限定されないが、好ましくは一定の曲率であり、円弧方向や短手方向や長手方向といった方向のいずれか又は二種類以上の方向にある端部又は端縁の各々から等距離にある屈曲湾曲頂点部11aを有する。屈曲部1は、シート成形品Nの成型に伴って成型されるが、この成型と同時に成型されてもよい。屈曲湾曲部11は、連続する二つの円弧で形成されてもよく、各々等しい曲率半径の円弧同士で形成されても異なる曲率半径の円弧同士で形成されてもよく、各々の円弧が交わる箇所を屈曲湾曲頂点部11aとしてもよい。
【0027】
<突出部2>
図1に示すように、突出部2は、屈曲部1の内側、換言すると、屈曲湾曲部11を円弧とする扇形状の中心側に対して凸状に形成され、中心側と逆側に対して凹状に形成されているが、外側に形成されてもよく、上側又は下側の屈曲平面部12に形成されてもよい。突出部2は、所定の等間隔又は不規則な間隔で複数個形成されても、一つのみ形成されてもよい。突出部2は、屈曲湾曲部11の上側の端部付近又は下側の端部付近を含めいずれの位置から突出していてもどんな形状で突出していてもよいが、好ましくは屈曲湾曲頂点部11aから突出しており、成形性に鑑みて端面視で30~100°、45~90°の鋭角状であるが、100~150°の鈍角状であってもよい。突出部2は、屈曲湾曲部11の曲率半径に対して0.01~0.25倍、換言すると、屈曲湾曲頂点部11aから高さ0.2~0.3mmの突出量を有する。突出部2は、シート成形品Nの成型に伴って成型されるが、この成型と同時に成型されてもよい。突出部2は、連続する二つの円弧で形成された屈曲湾曲部11の各々の円弧が交わって凸状に形成された部位でもよく、二つの円弧に対する共通の接線が各々の円弧に接する箇所と上記部位の頂点とを結ぶ線同士が成す角により角度測定又は角度算出されてもよい。
【0028】
このような構成によれば、シート成形品Nの嵌合部に所定の成形品Mが嵌合することを想定して成型された屈曲部1に突出部2が形成されていたら嵌合部を良好と判定し、形成されていなければ嵌合部を不良と判定できる。すなわち、突出部2が形成されれば屈曲部1の成型が完全であることから、所定の成形品Mを嵌合部に嵌合できると判定でき、逆に、突出部2が形成されなければ屈曲部1の成型が不完全であることから、所定の成形品Mを嵌合部に嵌合できない或いはしにくいと判定できる効果を期待できる。屈曲部1が嵌合部であっても、突出部2が嵌合部に対する所定の成形品Mの嵌合を干渉せず、見た目的にも目立たないことから、シート成形品Nの使用に影響しない。
【0029】
<成形品M・シート成形品Nの一例>
次に、図2図8を参照しつつ、本シート成形品の検査方法の検査対象でなる成形品M及びシート成形品Nの一例について、上述した上記検査方法の内容と同等な部分も相違する部分も適宜説明するが、同等な部分の説明を省略することもある。図1で示した部品又は部位と同等なもの又は関連するものは、参照を容易にするため、図1の付番に対して、図2図5では一律100、図6では一律200、図7では一律300、図8では一律400を加えた番号にしている。
【0030】
図2及び図3に示すように、成形品Mはシート成形品である包装用容器の蓋体100M、シート成形品Mは包装用容器の容器本体100Nであり、蓋体100Mと容器本体100Nとを組み合わせたものを本包装用容器ともいう。本包装用容器は、スーパーマーケット等の小売店内で販売される生鮮食品・惣菜・弁当といった食品を包装するものであり、容器本体100Nの開口を蓋体100Mが閉じ、容器本体100Nが食品を収容する。本包装用容器は、小売店内の陳列棚に載置できる程度の大きさであり、好ましくは内容物を包装した状態で2つ以上積み重ねやすい形状であり、かつ強度や剛性を有する。
【0031】
<蓋体100M>
蓋体100Mは、容器本体100Nの収容部100Naを覆うカバー部100Maと、カバー部100Maと連続して形成された蓋体嵌合部104Mを有する。詳細には、蓋体100Mは、平面状の天面部101Mと、天面部101Mの周端縁から下方向に連続して立ち下がる蓋体側壁部102Mとで形成されるカバー部100Maと、蓋体側壁部102Mの下端縁から外方向に連続して延出する蓋体フランジ部103Mとを備えており、蓋体フランジ部103Mは容器本体100Nとの内嵌合用である端面視略S状の蓋体嵌合部104Mを有する。
【0032】
<容器本体100N>
容器本体100Nは、内容物を収容する収容部100Naを有する。詳細には、容器本体100Nは、内容物を載置する底面部101Nと、底面部101Nの周端縁から上方向に連続して立ち上がる本体側壁部102Nとで形成される収容部100Naと、蓋体100Mとの内嵌合用であり本体側壁部102Nの上端縁から上方向に連続して立ち上がる端面視略S状の本体嵌合部101と、本体嵌合部101の上端縁から外方向に連続して延出する本体フランジ部103Nとを備えている。
【0033】
<蓋体100Mの形成方法・素材・寸法等の仕様>
蓋体100Mは、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、二軸延伸ポリスチレン(OPS;Oriented Polystyrene)といったポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、無色透明が好ましいが、有色又は不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.23~0.75mm、さらに好ましくは0.25~0.5mmである。蓋体100Mの大きさは、例えば幅150~350mm、奥行き150~350mmであってもよい。
【0034】
<容器本体100Nの形成方法・素材・寸法等の仕様>
容器本体100Nは、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、ポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.3~0.8mm、さらに好ましくは0.35~0.6mmである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。また、発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは1.8~4mmであり、より好ましくは2.0~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。容器本体100Nの大きさは、例えば幅150~350mm、奥行き150~350mmであってもよい。
【0035】
以下、蓋体100M及び容器本体100Nの詳細な構造を説明する。
【0036】
<カバー部100Ma>
図2に示すように、天面部101Mの面積及び蓋体側壁部102Mの高さはいずれでもよく、これらによって定まるカバー部100Maの容量に特に制限はないが、例えば50~1500ccであればよく、200~1200ccであればより好ましい。天面部101M及び蓋体側壁部102Mは、上に重ねられた別の容器本体100Nの底面部101Nと嵌り合う形状であってもよい。
【0037】
<蓋体嵌合部104M>
図4に示すように、蓋体嵌合部104Mは、蓋体側壁部102Mの下端から外方に連続して平面状に形成された蓋体フランジ底部103Maの外端から外方かつ上方に連続して平面状かつ傾斜状に形成された蓋体嵌合傾斜部104Maと、蓋体嵌合傾斜部104Maの上端から上方に連続して平面状に形成された蓋体嵌合壁部104Mbと、蓋体嵌合壁部104Mbの上端から上方に連続して段差状に形成された蓋体嵌合段差部104Mcとを有する。蓋体嵌合傾斜部104MaはR状に形成された蓋体嵌合湾曲部でもよく、蓋体フランジ底部103Maと蓋体嵌合湾曲部と蓋体嵌合壁部104Mbとで屈曲状の蓋体嵌合部104Mが形成されてもよい。
【0038】
<収容部100Na>
図2に示すように、底面部101Nの面積及び本体側壁部102Nの高さはいずれでもよく、これらによって定まる収容部100Naの容量に特に制限はないが、例えば50~1500ccであればよく、200~1200ccであることが好ましい。底面部101Nは、下に重ねられた別の蓋体100Mの天面部101Mと嵌り合う形状であってもよく、例えば裏側から窪んで収容部100Na側に向かって隆起する底面隆起部101Naを有していてもよい。収容部100Naは、蓋体100Mが外された状態で、本体嵌合部101を含んでもよく、換言すると、底面部101Nと、本体側壁部102Nと、本体嵌合部101とで形成されてもよい。
【0039】
<本体嵌合部101>
図4に示すように、本体嵌合部101は、本体側壁部102Nの上端から外方に連続して平面状に形成された本体嵌合底部112aと、本体嵌合底部112aの外端から外方に連続して湾曲状に形成された本体嵌合湾曲部111と、本体嵌合湾曲部111の上端から上方に連続して平面状に形成された本体嵌合壁部112bと、本体嵌合壁部112bの上端から上方に連続して段差状に形成された本体嵌合段差部113とを有する。
【0040】
本体嵌合湾曲部111の曲率半径は、1~6mmであり、好ましくは2~5mm、より好ましくは3~4mmであり、容器本体100Nのサイズや形状といった仕様に応じて決定されてよく、限定しない。本体嵌合湾曲部111は、曲率や幅を限定されないが、好ましくは一定の曲率であり、この上下方向の両端から等距離にある本体嵌合湾曲頂点部111aを有する。本体嵌合底部112aは、略水平状であり、本体嵌合壁部112bは、略垂直状である。
【0041】
<突出部102>
図4に示すように、突出部102は、本体嵌合部101の内側、換言すると、本体嵌合湾曲部111を円弧とする扇形状の中心側に対して凸状に形成され、中心側と逆側に対して凹状に形成されているが、外側に形成されてもよく、本体嵌合底部112aや本体嵌合壁部112bに形成されてもよい。突出部102は、周方向の全周に連続して形成されているが、所定の等間隔又は不規則な間隔で複数個形成されていても、一つのみ形成されていてもよい。突出部102は、本体嵌合湾曲部111の上側の端部付近又は下側の端部付近を含めいずれの位置から突出していてもどんな形状で突出しいてもよいが、好ましくは本体嵌合湾曲頂点部111aから突出しており、成形性に鑑みて端面視で30~100°、45~90°の鋭角状であるが、100~150°の鈍角状であってもよい。突出部102は、本体嵌合湾曲部111の曲率半径に対して0.01~0.25倍、換言すると、本体嵌合湾曲頂点部111aから高さ0.2~0.3mmの突出量を有する。
【0042】
<蓋体フランジ部103M及び蓋体嵌合部104Mと本体嵌合部101との関係>
図5に示すように、蓋体100Mを容器本体100Nに装着した状態とは、蓋体嵌合部104Mと本体嵌合部101とが嵌合している状態を意味する。上記状態では、本体嵌合壁部112bが蓋体嵌合壁部104Mbと面し、本体嵌合段差部113が蓋体嵌合段差部104Mcと面しており、かつ、本体嵌合湾曲部111、本体嵌合底部112a、及び突出部102が蓋体嵌合傾斜部104Maとも蓋体フランジ底部103Maとも面していない。換言すると、突出部102は、上記状態で蓋体嵌合傾斜部104Maにも蓋体フランジ底部103Maにも接しない位置に形成され、かつ接しない程度の突出量を有する。
【0043】
このような構成によれば、本体嵌合部101が上記状態を実現する形状に形成される条件は、突出部102が形成されることであり、換言すると、突出部102が形成されていることが、突出部102が上述した各部との関係を成立させる形状に形成されているのみならず、本体嵌合部101が上記状態を実現する形状に形成されていることと同義とできることから、上記状態の可否を実際に試すことなく本体嵌合部101の良し悪しを判定できる効果を期待できる。
【0044】
<蓋体200M・容器本体200N>
図6に示すように、蓋体200Mは、蓋体嵌合部204Mを有する。詳細には、蓋体フランジ部203Mは、容器本体200Nとの側面外嵌合用である端面視略S状の蓋体嵌合部204Mを有する。容器本体200Nは、本体嵌合部201を有する。詳細には、本体フランジ部203Nは、本体側壁部202Nの上端縁から外方向に連続して延出しており、蓋体200Mとの側面外嵌合用である端面視略S状の本体嵌合部201を有する。
【0045】
<蓋体300M・容器本体300N>
図7に示すように、蓋体300Mは、図5に示す蓋体100Mと同等である。容器本体300Nは、突起部302の位置のみ、図5に示す容器本体100Nと異なる。詳細には、突起部302は、本体嵌合部301の本体嵌合壁部312bの外側に形成されている。
【0046】
<蓋体400M・容器本体400N>
図8に示すように、蓋体400Mは、突起部402を有する点のみ、図5に示す蓋体100Nと異なる。詳細には、突起部402は、蓋体嵌合部404Mの蓋体嵌合壁部404Mbの内側に形成されている。容器本体400Nは、突起部102を有しない点のみ、図5に示す容器本体100Nと異なる。
【0047】
図5図7図8のそれぞれに示す突起部102、302、402は、一組の蓋体及び容器本体に対していずれか一つのみでも、二つ以上備わっていてもよい。
【0048】
なお、本実施形態に示した検査方法・成形品・シート成形品は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法や、部位同士の関係を含む。
【符号の説明】
【0049】
M 成形品
100M、200M、300M、400M 蓋体
100Ma カバー部
101M 天面部
102M 蓋体側壁部
103M 蓋体フランジ部
104M 蓋体嵌合部
N シート成形品
100N、200N、300N、400N 容器本体
100Na 収容部
101N 底面部
102N、202N 本体側壁部
103N、203N 本体フランジ部
1 屈曲部
11 屈曲湾曲部
11a 屈曲湾曲頂点部
12 屈曲平面部
101、201、301 本体嵌合部
111 本体嵌合湾曲部
111a 本体嵌合湾曲頂点部
112a 本体嵌合底部
112b 本体嵌合壁部
113 本体嵌合段差部
2、102、302、402 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8