(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178930
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】汚水浄化装置
(51)【国際特許分類】
B01F 33/40 20220101AFI20231211BHJP
C02F 3/20 20230101ALN20231211BHJP
【FI】
B01F33/40
C02F3/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022102231
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】515125883
【氏名又は名称】峰原 政幸
(72)【発明者】
【氏名】峰原 政幸
【テーマコード(参考)】
4D029
4G036
【Fターム(参考)】
4D029AA01
4D029AB06
4G036AC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】油水槽内の汚水を効率よく撹拌させることが可能であり、従来の空気送風型の汚水浄化装置よりも騒音が抑制され、また薬剤などを使用する汚水浄化装置に比較してランニングコストが大幅に削減できる汚水浄化装置を提供する。
【解決手段】水浄化装置の金属製の配管7の端部を、空気供給用パイプ610にて汚水槽700の外部に設置したエアーポンプ600に接続し、前記エアーポンプ600から供給される空気は、前記水浄化装置に接続された各ノズルから前記汚水槽700の対面する一対の側面壁(S1とS2)のみに向かって空気を噴出するように、側面壁S1および側面壁S2のいずれにも2個のノズルが対面して側面壁に平行に空気を噴出する構成とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気送付装置と、前記空気送付装置から供給される空気を通風させる主配管と、前記主配管を複数に分岐した配管からなり、前記複数に分岐した配管は水槽内に設置され前記水槽内の対面する一対の側面壁方向に前記複数に分岐した配管から空気を噴出する汚水浄化装置
【請求項2】
前記水槽内の対面する一対の側面壁面に対して、垂直方向若しくは斜め上方向に空気を噴出するように前記複数に分岐した配管が取り付けられた請求項1記載の汚水浄化装置
【請求項3】
前記複数に分岐した配管の一部は、前記側面壁面に対して水平且つ前記配管の空気噴出口が対面するように取り付けられた請求項1記載の汚水浄化装置
【請求項4】
前記水槽内の対面する一対の側面壁間に波を発生させ、前記一致の側面壁の両壁側から進行する波が前記水槽内の水面中央で衝突させる請求項1記載の汚水浄化装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、空気送風装置から分岐された複数の配管から排出される空気を利用した汚水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1971年に施行された水質汚濁防止法により特定の事業場にグリストラップの設置が義務付けられ、1976年には下水道法により全ての営業用調理施設に事実上設置が義務付けられている。グリストラップとは、厨房からの油脂を含んだ排水を、一時せき止めて溜めておく装置で、構造的には幾つかのブロックに分かれ、徐々に油脂分を分離する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その管理方法は、トラップされた油脂分を毎日若しくは定期的に汲み取るか、専門業者による定期的な清掃が必要であるため保守が面倒であり、又は維持コストが掛かる課題がある。
【0005】
特許文献1は、グリストラップの排液を石鹸化液にする排液処理方法において、グリストラップ内の排液を、汲み上げポンプの回転により、当該汲み上げポンプと連結された汲み上げホースを通して、汲み上げポンプ内に汲み上げる工程と、前記排液を汲み上げながら、前記汲み上げポンプの回転により、液状鹸化剤を当該汲み上げポンプ内に吸引する工程と、前記排液と液状鹸化剤とを前記汲み上げポンプの回転により当該汲み上げポンプ内で混合攪拌(攪拌混合)して当該排液を石鹸化液にする工程と、前記石鹸化液を前記汲み上げポンプの回転により、当該汲み上げポンプより、排出ホースを通してグリストラップの内部又はグリストラップの外部に排出する工程と、を備えたことを特徴とするグリストラップの排液処理方法が提案されている。
【0006】
特許文献2は、グリストラップ内に滞留する汚物をオゾンによって分解し、グリストラップ内の廃水を浄化するグリストラップの浄化装置であって、グリストラップ内に空気を送出するエアーポンプと、このエアーポンプに接続され、グリストラップ底面の内周縁部に沿って配設され、長手方向に複数の供給孔が開口されたエアー供給管と、グリストラップ内にオゾンを送出するオゾン発生器と、このオゾン発生器に接続され、前記エアー供給管に包囲される位置に配設された散気管とを備え、―前記エアー供給管の複数の供給孔からグリストラップ内の廃水中に供給されるエアーは、グリストラップの内側面に沿って浮上し、前記散気管は、前記オゾンを廃水中に供給し、前記エアーによって廃水上面中央に集められた汚物に曝気させることを特徴とする汚水浄化装置。
【0007】
特許文献3には、グリストラップにおける排水溜まりにおいて、液面より約10cm程度の深さに、エアレーションパイプを一本または複数本設け、該パイプには複数の給気穴を設け、これらエアレーションパイプには、外部に設けたエアーポンプからエアーを供給し、該給気穴から排水溜まりの液内にエアーを供給することを特徴とするグリストラップにおける排水溜まりの空気供給装置、若しくは、グリストラップにおける排水溜まりにおいて、該排水溜まりのほぼ中央に支持台を設け、該支持台の下部であって、液面より約10cm程度の深さに、横方向に流動パイプを設け、該流動パイプの一端は上方に、他端は横方向に開口するよう設け、さらに該流動パイプ内に、エアーパイプを配置して設け、該エアーパイプに、エアーポンプよりエアーを供給し、該エアーパイプの口端より液内にエアーを供給することを特徴とするグリストラップにおける排水溜まりの空気供給装置であり、いずれの空気供給装置共にエアレーションパイプの給気穴が、液面と水平方向に設けたことを特徴とするグリストラップにおける排水溜まりの汚水浄化装置が提案されている。
【0008】
特許文献1は、グリストラップの排液を廃液汲み上げポンプにより回収し同時に薬剤投入装置によるが液状鹸化させるため装置費用が嵩み又設置スペースの問題も生じるばかりか薬剤投入費用によるランニングコストの問題もある。特許文献2も同様でありエアーポンプ以外にオゾン発生装置が必要であるため導入費用が嵩むだけでなく前記オゾン発生器のランニングコストの問題もある。一方、特許文献3はエアーポンプにより汚水槽内にエアーを供給するシンプルな装置であるため装置導入費用を抑えることが可能であるが、エアーを前記槽内に供給する方向が液面と水平方向に設けているため油脂分を多く含む排水に対して効率よく油脂と水を分離するためにはエアーポンプの排気量を上げる必要がありコストアップとポンプ稼働時の騒音問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、考案者は誠意工夫の結果、空気送付装置から供給される空気を主配管に通風させ、前記主配管を水槽内で複数の配管に分岐し、前記水槽内の対面する一対の側面壁面に対して垂直若しくは斜め上方向に空気を排出する汚水浄化装置を提案する。
【0010】
前記水槽内の対面する一対の側面壁間に波を発生させ、前記一対の側面壁間の両壁側から進行する波が前記水槽内の水面中央で衝突させることを特徴とする汚水浄化装置である。
【発明の効果】
【0011】
本考案の汚水浄化装置によれば、油水槽内の汚水を効率よく撹拌させることが可能となり、従来の空気送風型の汚水浄化装置よりもエアーポンプを小型化できるため騒音抑制となり、また薬剤などを使用する汚水浄化装置に比較してランニングコストが大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本考案である汚水浄化装置の基本構成であり、(a)上面図を示す。(b)A方向から見た外観図を示す。(c)B方向から見た外観図を示す。
【
図2】本考案である他の実施形態による汚水浄化装置の基本構成であり、(a)上面図を示す。(b)B方向から見た外観図を示す。
【
図3】本考案の汚水浄化装置を積載した基本構成であり上面図を示す。
【
図4】本考案の汚水浄化装置による対面する一対の側面壁間での波の衝突現象であり、(a)側面壁部付近で最大高さの波の状況を示す。(b)汚水槽中央部での波の衝突状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本考案に係る実施の形態を図面により説明する。
【実施例0014】
図1(a)は、本考案の位置実施形態である汚水浄化装置(500)の上面図である。金属製のT字型ジョイント(1)は、所定の長さに切り出した金属製の配管(50)を直線状に接続し、前記配管(50)の他端部は金属製のT字型ジョイント(10)の垂直部に相当する継手口に接続されている。前記T字型ジョイント(10)の残り2個の継手口には所定の長さに切り出した金属製の配管を介してT字型ジョイント(11)が直線状となるように接続される。前記T字型ジョイント(11)の一方の継手口には、金属製の配管を介して一方に金属製のノズル(100)を具備したL字型ジョイント(20)に接続され、前記T字型ジョイント(11)の他方の継手口には、先端部に金属製のノズル(101)を備えたL字型ジョイント(22)と金属製の配管を介して接続されたL字型ジョイント(21)の継手口に接続される。
【0015】
図1(b)は、
図1(a)のA方向から観察した前記汚水浄化装置(500)の外観構造、
図1(C)はB方向から観察した前記汚水浄化装置(500)の外観構造を示す。前記金属製のノズル(100)は前記汚水浄化装置(500)の下部に設置され、金属製のノズル(101)は前記金属製のノズル(100)よりも高い位置に設置されている。いずれのノズルも汚水槽内に設置した際に前記汚水槽の底面に対して水平若しくは僅かに上向きに傾けてエアーが噴出されるように取り付けている。
【0016】
図2(a)は、別の実施形態を示した上面図であり
図1記載の汚水浄化装置(500)に対してL字型ジョイント(21)の代わりに先端部に金属製のノズル(102)を備えたL字型ジョイント(23)と金属製の配管を介して接続されたT字型ジョイント(12)の継手口に接続された汚水浄化装置(510)の外観構造を示す。
図2(b)は、B方向から観察した汚水浄化装置(510)の外観構造を示す。
【0017】
金属製のノズル(102)は前記金属製のノズル(100)と同じ高さになるように設置し、汚水槽内に設置した際に前記汚水槽の底面に対して水平若しくは僅かに上向きに傾けてエアーが噴出し、前記金属製のノズル(100)および前記金属製のノズル(101)のエアー噴出方向と垂直方向になるように取り付けている。
【0018】
汚水槽の水深が深い場合には、
図3に示すように前記汚水浄化装置(510)のT字型ジョイント(1)の垂直方向の継手口から金属製の配管(7)を介して、T字型ジョイント(1)の代わりに十字型ジョイント(30)に変更した前記汚水浄化装置(500)に接続する。
【0019】
図4は、本考案である水浄化装置(510)を汚水槽(700)に設置し、蓋(710)を被せた状態を示す。前記水浄化装置(510)の金属製の配管(7)の端部は、空気供給用パイプ(610)にて前記汚水槽(700)の外部に設置したエアーポンプ(600)に接続される。前記エアーポンプ(600)から供給される空気は、前記水浄化装置(510)に接続された各ノズルから前記汚水槽(700)の対面する一対の側面壁(S1とS2)のみに向かって空気を噴出する。図示していないが側面壁(S1)および側面壁(S2)のいずれにも2個のノズル(102)が対面して側面壁に平行に空気を噴出する。
【0020】
各ノズルから噴出された空気により前記汚水槽(700)の汚水は側面壁(S1とS2)に向かって押し出されるために
図4(a)に示すように前記側面壁(S1)と前記側面壁(S2)の汚水表面の水位が上がる。その後、
図4(b)に示すように前記水位の上がった汚水が波となり前記汚水槽(700)の汚水面の中央に向かってそれぞれが進行し衝突する。
【0021】
現実に油脂の溜まったグリストラップ槽に設置し、前記波打ち現象が生じる条件となるようにノズル角度および空気供給量を調整し油脂の状況を確認したが、波の衝突部で油脂の塊が細かく分解していく状況を確認した。
【0022】
前記ノズル(101)から噴出された空気により押し流された水が側面壁に衝突し前記側面壁に対して上昇する水流の他に横方向にも水流が分散されるが、対面する2個の前記ノズル(102)から噴出した空気により水が衝突し側面壁に沿って水流を上昇させるために前記ノズル(101)による横方向の水流分散が抑制され、結果として水流が上昇し、水面を押し上げることにより効率よく波を発生しているものと推察される。
【0023】
なお、本考案にかかる金属製の管体の具体的な構成は、実施形態に記載したものに限られるものでなく、考案の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、汚水槽の容積(大きさ)によりノズル本数や配管長を変更し、波打ち現象を生じさせる条件を探せばよい。また、円筒型の水槽の場合には五角形以上の多角形構造とし複数のノズルが前記円筒側面に対して垂直若しくは斜め上方向に空気を噴出させることも可能である。