(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178970
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】液体塗布容器および液体塗布容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20231211BHJP
B05C 17/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B65D83/00 J
B05C17/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093089
(22)【出願日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2022091710
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】593117279
【氏名又は名称】株式会社ユニコム
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】西脇 正勝
【テーマコード(参考)】
3E014
4F042
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PD23
3E014PE25
3E014PF09
4F042AA01
4F042FA22
4F042FA26
4F042FA28
4F042FA30
4F042FA43
(57)【要約】
【課題】キャップを外す際、塗布部材が保持された保持部材がキャップと共に外れてしまうことを防止すると共に、内容液が高浸透性或いは高揮発性の場合、キャップを閉めた状態で内容液の浸透漏れ或いは揮発漏れを防ぐことができる液体塗布容器を提供すること。
【解決手段】 内部に液体を収容する収容部である筒状部13および底部11と、筒状部13の上端部に設けられ、液体を被塗布面に塗布するための塗布部材7が固定されるヘッド部15と、ヘッド部15に脱着可能であり、ヘッド部15に取り付けられた状態において塗布部材7を覆うキャップ9とを備え、収容部とヘッド部15とは、一体に成形された1つの部材であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を収容する収容部と、
前記収容部の上端部に設けられ、前記液体を被塗布面に塗布するための塗布部材が固定されるヘッド部と、
前記ヘッド部に脱着可能であり、前記ヘッド部に取り付けられた状態において前記塗布部材を覆うキャップとを備え、
前記収容部と前記ヘッド部とは、一体に成形された1つの部材であり、
前記収容部の前記上端部には開口が設けられ、
前記ヘッド部は、前記開口の縁部に形成されたフランジ部と、前記フランジ部から上方に向けて延在する円筒部とを備え、
前記円筒部の内部において、前記収容部に収容された前記液体を前記ヘッド部側に吐出可能な吐出部を備えた塗布部材ホルダーが前記開口に嵌合され、
前記塗布部材は、前記塗布部材ホルダーの上面に固定され、
前記吐出部は、前記塗布部材ホルダーを上下方向に貫通する貫通孔と、前記塗布部材ホルダーの上面から上方に向けて延在し、前記貫通孔に関して、所定の空間を介して対向する一対の柱部と、前記一対の柱部の上端同士を連結する連結部とから構成され、
前記キャップの内部には、前記キャップが前記ヘッド部に取り付けられた状態において、前記一対の柱部を覆い前記所定の空間を塞ぐ筒形状部が設けられていることを特徴とする液体塗布容器。
【請求項2】
前記円筒部の上端には内向きフランジが形成され、
前記塗布部材は、外周面が前記内向きフランジによって保持されていることを特徴とする請求項1に記載の液体塗布容器。
【請求項3】
前記塗布部材ホルダーには、前記開口の内周面に密着する第1のコンタクトリングと、前記開口の縁部に密着するパッキンが固定された第2のコンタクトリングと、前記フランジ部の上面に密着する第3のコンタクトリングとが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体塗布容器。
【請求項4】
前記収容部には、前記ヘッド部を下方に向けた状態で前記収容部を握った際、小指が引っ掛かる凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体塗布容器。
【請求項5】
前記収容部と前記ヘッド部とは樹脂で構成され、ブロー成形によって一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液体塗布容器。
【請求項6】
前記ヘッド部は、前記収容部の前記上端部に設けられたフランジ部と、前記フランジ部から上方に向けて延在する円筒部とを備え、
前記円筒部の上端部には、前記塗布部材の外周面を保持する内向きフランジが形成され、
前記内向きフランジは、前記ブロー成形の際に生成されたバリであることを特徴とする請求項5に記載の液体塗布容器。
【請求項7】
樹脂からなり、内部に液体を収容する収容部と、
樹脂からなり、前記収容部の上端部に設けられ、前記液体を被塗布面に塗布するための塗布部材が固定されるヘッド部と、
前記ヘッド部に脱着可能であり、前記ヘッド部に取り付けられた状態において前記塗布部材を覆うキャップとを備え、
前記収容部の前記上端部には正円の開口が設けられ、
前記ヘッド部は、前記開口の縁部に形成されたフランジ部と、前記フランジ部の縁部から上方に向けて延在する円筒部とを備え、
前記フランジ部の上面中央部には円形の凹部が形成され、前記開口は前記凹部の底部に開口し、
前記円筒部の内部には、前記塗布部材が固定された塗布部材ホルダーが配置され、
前記塗布部材ホルダーには、前記開口の内周面に密着する第1のコンタクトリングと、前記凹部に密着する第2のコンタクトリングとが形成された液体塗布容器の製造方法であって、
ブロー成形用のブローピンであって、第1の円柱部と、第1の円柱部の先端面から延在し、前記第1の円柱部よりも小径の第2の円柱部とを備え、前記第1の円柱部の側面に設けられ前記ブローピンの径方向外方に向けてエアが吹き出す第1のエア吹き出し口と、前記第2の円柱部の先端に設けられ前記ブローピンの軸方向にエアを吹き出す第2のエア吹き出し口とを備えた前記ブローピンを用い、
前記第1のエア吹き出し口から吹き出すエアによって前記ヘッド部を成形すると共に前記第1の円柱部の外周面と先端面とによって前記フランジ部の凹部を成形し、
これと同時に、前記第2のエア吹き出し口から吹き出すエアによって前記収容部を成形すると共に前記第2の円柱部の外周面とによって前記開口を成形するステップを含むことを特徴とする液体塗布容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にアルコール等の高浸透性、或いは高揮発性の液体状の内容物が収容されると共に、当該内容物を被塗布面に塗布するための塗布部材を備えた液体塗布容器および液体塗布容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な液体状の製品において、当該液体状の製品が内容物として充填されると共に、内容物を被塗布面に塗布するための塗布部材を備えた樹脂製の容器が用いられている(例えば、特許文献1、2を参照)。このような容器は、例えば日用雑貨商品であれば、消毒剤等の薬液や液体化粧料、カー用品であれば、撥水剤やコーティング剤等の商品において用いられている。
【0003】
特許文献1には、液体が収容される容器本体と、容器本体の頸部に取り付けられた中蓋とを備え、中蓋には容器本体の液体を吐出する吐出口が設けられると共に、中蓋の上面には液体を被塗布面に塗布するための塗布部材が保持された液体塗布容器が開示されている。
特許文献2には、液体収容部と、液体収容部の首部に所定の傾斜角で取り付けられたホルダーと、ホルダーに保持された液体含浸部材すなわち塗布部材とを備えた液体塗布具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-234562号公報
【特許文献2】特開2008-73643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の液体塗布容器においては、使用しない状態において塗布部材を覆い、液漏れを防止するためのキャップが中蓋に装着される構成になっている。このような構成のため、キャップを外す際に、誤ってキャップと中蓋とを同時に掴んで引っ張ってしまうと、使用者はキャップが開かないものと勘違いし、より強い力でキャップと中蓋とを引っ張ってしまうことがある。そうすると、キャップと中蓋とが容器本体から外れてしまい、中の液体が容器本体からこぼれてしまう虞がある。また、キャップと中蓋とが共に円形でねじ構造によって螺合されている場合には、キャップをきつく締めてしまうと、その後にキャップを開ける際に、キャップを強く握って開く方向に回動させると、キャップと共に中蓋もキャップが開く方向に回動してしまい、キャップと中蓋とが容器本体から外れてしまう虞がある。
同様に、特許文献2においても、誤ってキャップとホルダーとを強い力で引っ張ってしまうと、キャップとホルダーとが液体収容部から外れてしまい中の液体がこぼれてしまう虞がある。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、キャップを外す際、塗布部材が保持された保持部材がキャップと共に外れてしまうことを防止すると共に、内容液が高浸透性或いは高揮発性の場合、キャップを閉めた状態で内容液の浸透漏れ或いは揮発漏れを防ぐことができる液体塗布容器および液体塗布容器の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の液体塗布容器は、
内部に液体を収容する収容部と、
前記収容部の上端部に設けられ、前記液体を被塗布面に塗布するための塗布部材が固定されるヘッド部と、
前記ヘッド部に脱着可能であり、前記ヘッド部に取り付けられた状態において前記塗布部材を覆うキャップとを備え、
前記収容部と前記ヘッド部とは、一体に成形された1つの部材であり、
前記収容部の前記上端部には開口が設けられ、
前記ヘッド部は、前記開口の縁部に形成されたフランジ部と、前記フランジ部から上方に向けて延在する円筒部とを備え、
前記円筒部の内部において、前記収容部に収容された前記液体を前記ヘッド部側に吐出可能な吐出部を備えた塗布部材ホルダーが前記開口に嵌合され、
前記塗布部材は、前記塗布部材ホルダーの上面に固定され、
前記吐出部は、前記塗布部材ホルダーを上下方向に貫通する貫通孔と、前記塗布部材ホルダーの上面から上方に向けて延在し、前記貫通孔に関して、所定の空間を介して対向する一対の柱部と、前記一対の柱部の上端同士を連結する連結部とから構成され、
前記キャップの内部には、前記キャップが前記ヘッド部に取り付けられた状態において、前記一対の柱部を覆い前記所定の空間を塞ぐ筒形状部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の液体塗布容器の製造方法は、
樹脂からなり、内部に液体を収容する収容部と、
樹脂からなり、前記収容部の上端部に設けられ、前記液体を被塗布面に塗布するための塗布部材が固定されるヘッド部と、
前記ヘッド部に脱着可能であり、前記ヘッド部に取り付けられた状態において前記塗布部材を覆うキャップとを備え、
前記収容部の前記上端部には正円の開口が設けられ、
前記ヘッド部は、前記開口の縁部に形成されたフランジ部と、前記フランジ部の縁部から上方に向けて延在する円筒部とを備え、
前記フランジ部の上面中央部には円形の凹部が形成され、前記開口は前記凹部の底部に開口し、
前記円筒部の内部には、前記塗布部材が固定された塗布部材ホルダーが配置され、
前記塗布部材ホルダーには、前記開口の内周面に密着する第1のコンタクトリングと、前記凹部に密着する第2のコンタクトリングとが形成された液体塗布容器の製造方法であって、
ブロー成形用のブローピンであって、第1の円柱部と、第1の円柱部の先端面から延在し、前記第1の円柱部よりも小径の第2の円柱部とを備え、前記第1の円柱部の側面に設けられ前記ブローピンの径方向外方に向けてエアが吹き出す第1のエア吹き出し口と、前記第2の円柱部の先端に設けられ前記ブローピンの軸方向にエアを吹き出す第2のエア吹き出し口とを備えた前記ブローピンを用い、
前記第1のエア吹き出し口から吹き出すエアによって前記ヘッド部を成形すると共に前記第1の円柱部の外周面と先端面とによって前記フランジ部の凹部を成形し、
これと同時に、前記第2のエア吹き出し口から吹き出すエアによって前記収容部を成形すると共に前記第2の円柱部の外周面とによって前記開口を成形するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャップを外す際、塗布部材が保持されている保持部材がキャップと共に外れてしまうことを防止すると共に、内容液が高浸透性或いは高揮発性の場合、キャップを閉めた状態で内容液の浸透漏れ或いは揮発漏れを防ぐことができる液体塗布容器および液体塗布容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体塗布容器の外観図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る液体塗布容器の外観図であり、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【
図3】
図3(a)は、第1実施形態に係る液体塗布容器のキャップを外した状態の正面図であり、(b)は、ヘッド部の平面図であり、ヘッド部を上方から見た状態を示している。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る液体塗布容器のキャップを外した状態の正面図であり、一部を切り欠いて示している。
【
図5】
図5(a)は塗布部材ホルダーの平面図であり、(b)は(a)のb-b断面図であり、(c)は(b)のc-c断面図である。
【
図7】
図7(a)は、本実施形態の液体塗布容器1の本体部3をブロー成形するためのブローピン57の要部の外観図であり、(b)は、ブローピン57によってブロー成形される液体塗布容器1の本体部3の部分の断面形状を示す模式図である。
【
図8】
図8(a)は第2実施形態に係る液体塗布容器101の塗布部材ホルダーの105の断面図であり、(b)は蓋部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る液体塗布容器を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体塗布容器の外観図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る液体塗布容器の外観図であり、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
図3(a)は、第1実施形態に係る液体塗布容器のキャップを外した状態の正面図であり、(b)は、ヘッド部の平面図であり、ヘッド部を上方から見た状態を示している。
図4は、第1実施形態に係る液体塗布容器のキャップを外した状態の正面図であり、一部を切り欠いて示している。
図5(a)は塗布部材ホルダーの平面図であり、(b)は(a)のb-b断面図であり、(c)は(b)のc-c断面図である。
図6は、キャップの断面図である。
【0011】
なお、説明の便宜上、本実施形態の液体塗布容器に関する方向は、
図1(a)において紙面手前方向を正面または前方とし、紙面奥方向を背面または後方とし、紙面右方向および左方向をそれぞれ右方および左方とし、紙面上方向および下方向をそれぞれ上方および下方とする。また、
図1(a)において左右方向または前後方向を水平方向ともいう。
【0012】
本実施形態に係る液体塗布容器1は、全体が樹脂で構成され、
図1~
図4の各図に示すように、内部に液体(図示省略)が収容される中空の本体部3と、塗布部材ホルダー5と、塗布部材ホルダー5の上面に保持固定された塗布部材7と、塗布部材7を覆うキャップ9と、を備えている。本体部3は、平面状の底面を有し、所定の高さを有する底部11と、底部11の上端から上方に延在し、水平方向の断面形状が略楕円形或いは角を丸くした長方形である筒状部13と、筒状部13の上端に形成されたヘッド部15とを有している。底部11は、筒状部13よりも前後方向および左右方向の寸法が大きく形成され、全体の形状が丸みを帯びた靴状に形成されている。これにより、液体塗布容器1は安定して直立させることができる。液体は、本体部3の底部11および筒状部13の内部に収容される。
【0013】
筒状部13の上側部分は、上方に行くに従い断面形状が小さくなる円錐台形状に形成され、筒状部13の上端は、
図1(a)において左方に所定の角度傾いた円形に形成されている。すなわち筒状部13の上端は、円形の開口17となっており、開口17は所定角度傾いて設けられている。
【0014】
ヘッド部15は、筒状部13の円形の上端すなわち開口17の縁部から径方向に延在する環状のフランジ部19と、フランジ部19の上面に形成された円筒部21とからなる。円筒部21はフランジ部19の上面の縁部近傍から上方に向けて延在している。円筒部21は筒状部13の開口17と同心に形成され、フランジ部19の直径よりも少し小さな直径を有している。
図3(b)に示すように、フランジ部19の上面の中心部には、下方に凹んだ円形の凹部18が形成されている。凹部18は円筒部21と同心に設けられ、凹部18の内周面18aは円筒部21と同心の円筒内周面を形成している。筒状部13の開口17は、凹部18の底面18bの中央部に開口している。したがって凹部18の底面18bの形状は、開口17を囲む環状となっている。円筒部21の外周面には、雄ねじ23が形成されている。雄ねじ23には、キャップ9の内周面に形成された雌ねじ10(
図6参照)が螺合可能となっている。円筒部21の上端には、内向きフランジ25が形成されている。内向きフランジ25は全周に亘って形成されても良いし、円弧状のものが周方向所定間隔に複数形成されても良い。
【0015】
図3(a)に示すように、ヘッド部15のフランジ部19の上面には、樹脂製の塗布部材ホルダー5が取り付けられている。塗布部材ホルダー5は、
図5(a)、(b)に示すように、中心に上下方向の貫通孔27が形成された円形部29と、円形部29の上面の中心部に円形部29と同心に設けられ、上方に向けて延在する第1円筒部31と、円形部29の下面の中心部に円形部29と同心に設けられ、下方に向けて延在する第2円筒部33とを備えている。第1円筒部31の内側の円形部29の上面には、筒状部13および底部11に収容された液体を、貫通孔27を介してヘッド部15側へと吐出する吐出部35が形成されている。吐出部35は円形部29の上面から上方に向けて延在し、円形部29の上面からの高さ寸法は、第1円筒部31の高さ寸法よりも小さく形成されている。円形部29と第1円筒部31と第2円筒部33と吐出部35とは、一体に形成された1つの部材である。
【0016】
塗布部材ホルダー5の円形部29の外径は、ヘッド部15の円筒部21の内径よりも少し小さく形成されている。塗布部材ホルダー5の第2円筒部33は、本体部3の筒状部13の上端の開口17の内周面17aに嵌合している。第2円筒部33の外周面には、径方向外方に突出して形成された一対の環状の第1のコンタクトリング34が形成されている。第1のコンタクトリング34は第2円筒部33と一体に形成されている。塗布部材ホルダー5の第2円筒部33が筒状部13の上端の開口17に嵌合する際、第1のコンタクトリング34が開口17の内周面17aに密着する。或いは、開口17の内周面17aに一対の環状の凹部(図示省略)を設け、第1のコンタクトリング34が当該凹部に嵌り込んで密着する構造としても良い。また、円形部29の下面には、第2円筒部33の外周面に沿って、パッキン37が固定されている。パッキン37は円形部29の下面に下方に突出して形成された一対の環状の第2のコンタクトリング39に固定されている。第2のコンタクトリング39は、円形部29と一体に形成されている。パッキン37は、塗布部材ホルダー5の第2円筒部33が筒状部13の開口17に嵌合した状態において、開口17の縁部の全周を囲んで、凹部18の内周面18aおよび底面18bに密着する。また、パッキン37より外周側の円形部29の下面には、下方に突出して形成された環状の第3のコンタクトリング41が形成されている。第3のコンタクトリング41は、円形部29と一体に形成されている。塗布部材ホルダー5の第2円筒部33が筒状部13の開口17に嵌合した状態において、第3のコンタクトリング41がフランジ部19の上面に密着して接触することにより、塗布部材ホルダー5はフランジ部19の上面に対して平行に安定した状態で配置される。このように、塗布部材ホルダー5には一対の第1のコンタクトリング34、および一対の第2のコンタクトリング39が形成され、更に第2のコンタクトリング39にはパッキン37が固定されているので、塗布部材ホルダー5が筒状部13の開口17に嵌合した状態において、筒状部13および底部11に収容された液体が高浸透性或いは高揮発性であっても、開口17と塗布部材ホルダー5の第2の筒状部33との間からヘッド部15側へ漏れることを防止することができる。何らかの原因で開口17と塗布部材ホルダー5の第2の筒状部33との間から液体がヘッド部15側へ漏れることがあっても、漏れた液体は第3のコンタクトリング41によって堰き止められ、塗布部材ホルダー5とフランジ部19との間の空間に留められることとなる。
【0017】
吐出部35は、
図5(a)、(b)および(c)に示すように、円形部29の中心の貫通孔27に関して対向する一対の柱部43と、一対の柱部43の上端同士を連結する連結部45とから構成されている。各柱部43の断面形状は円弧状に形成されている。一方の柱部43の両端と、他方の柱部43の両端とは、それぞれ所定の空間47を介して対向している。対向する一方の柱部43の両端と他方の柱部43の両端とによって形成された空間47が、貫通孔27からヘッド部15への液体の吐出口となっている。したがって吐出口は一対形成されている。円形部29の下面の中心部、すなわち第2円筒部33の底部の中心部には、下方に向かって突出する膨出部49が形成され、貫通孔27は、膨出部49の中心に開口している。更に、吐出部35の内径すなわち一対の柱部43の内径は、貫通孔27の直径よりも大きく形成されている。膨出部49、吐出部35、および貫通孔27のこのような構成により、塗布部材ホルダー5の第2円筒部33が筒状部13の開口17に嵌合した状態において、筒状部13および底部11に収容された液体が、貫通孔27から一気に吐出部35へ流れ込むことを防止している。すなわち、筒状部13および底部11に収容された液体が、貫通孔27および吐出部35を介して適量ヘッド部15側へ移動する構造となっている。これにより、筒状部13および底部11に収容された液体が高浸透性或いは高揮発性であっても、過剰にヘッド部15側へ流れ込んでしまうことを防止することができる。
【0018】
図3(a)に示すように、塗布部材ホルダー5の上面には、液体を被塗布面に塗布するための塗布部材7が取り付けられている。本実施形態の塗布部材7は、フェルトで形成されているが、スポンジ等の他の材質を用いて形成しても良い。塗布部材7は所定の厚さを有する円盤状に形成され、
図5(b)において破線で示すように、中心部には貫通孔8が形成されている。塗布部材7の外径は、塗布部材ホルダー5の円形部29の外径よりも少し小さく形成され、貫通孔8の直径は、塗布部材ホルダー5の第1円筒部31の外径と同等の大きさに形成されている。また、塗布部材7の厚さは、第1円筒部31の高さ寸法よりも大きく形成されている。
【0019】
図5(b)に示すように、塗布部材ホルダー5の第1円筒部31の外周面には雄ねじ32が形成されている。第1円筒部31の外周面に対して貫通孔8の内周面を回転させながら塗布部材7を第1円筒部31に嵌め込めば、貫通孔8の内周面が雄ねじ32の形状に沿って変形する。したがって塗布部材7は、貫通孔8が第1円筒部31に螺合された状態で塗布部材ホルダー5に保持固定される。これにより塗布部材7は第1円筒部31からの抜けが防止される。塗布部材7は、
図3(a)に示すように、塗布部材ホルダー5に保持固定されている状態において、上面側部分がヘッド部15の円筒部21の上端から上方に少し突出する厚さを有している。また、塗布部材7は、
図4に示すように、塗布部材ホルダー5に保持固定されている状態において、外周面がヘッド部15の円筒部21の内向きフランジ25によって周方向に亘って保持されている。これにより塗布部材7は、第1円筒部31からさらに抜けにくくなると共に、ガタつきを防止することができる。
【0020】
図6に示すように、キャップ9の内周面には雌ねじ10が形成され、ヘッド部15の円筒部21の雄ねじ23と螺合することにより、塗布部材7がカバーされる。これにより液体塗布容器1を使用していない状態における塗布部材7からの液漏れを防止している。キャップ9の内側の中心部には、下方に向けて突出する円柱状の突出部51が形成されている。突出部51の先端は円筒部53となっている。キャップ9がヘッド部15の円筒部21に螺合されている状態において、キャップ9の円筒部53の外周面は、塗布部材ホルダー5の第1円筒部31の内周面と接触し、キャップ9の円筒部53の内周面は、吐出部35の一対の柱部43の外周面に接触し、円筒部53の底部は、吐出部35の連結部45の上面に接触する。さらに、この状態において、キャップ9の円筒部53の先端は、塗布部材ホルダー5の上面に接触する。このように、キャップ9がヘッド部15の円筒部21に螺合されている状態において、キャップ9の円筒部53は、塗布部材ホルダー5の吐出部35の全体を密着して覆い、吐出部35の開口部を完全に塞ぐように構成されている。これにより、液体塗布容器1を使用していない状態において、吐出部35からヘッド部15への液漏れを確実に防止することができる。
【0021】
本実施形態に係る液体塗布容器1は、本体部3が一体に形成されている。具体的には、底部11と、筒状部13と、ヘッド部15とは一体に形成された1つの部材である。ヘッド部15は、円筒部21、雄ねじ23および内向きフランジ25を含めて一体に形成されている。このような構成であるため、ヘッド部15にキャップ9が取り付けられた状態、具体的には、ヘッド部15の円筒部21の雄ねじ23にキャップ9の雌ねじ10が螺合している状態において、キャップ9を強く握って開く方向に回動させても、キャップ9と共にヘッド部15が回動することがない。また、塗布部材7が保持された塗布部材ホルダー5はヘッド部15の円筒部21の内部に配置されているため、塗布部材ホルダー5に関してもキャップ9と共に回動することがない。したがって本実施形態によれば、キャップ9を外す際に、塗布部材7が保持された塗布部材ホルダー5或いはヘッド部15が、キャップ9と共に本体部3から外れてしまうことがない。したがってキャップ9を外す際に誤って内部の液体をこぼしてしまうことを防止することができる。
【0022】
本実施形態の液体塗布容器1の本体部3は、ブロー成形によって形成されている。
図7(a)は、本実施形態の液体塗布容器1の本体部3をブロー成形するためのブローピン57の要部の外観図であり、(b)は、ブローピン57によってブロー成形される液体塗布容器1の本体部3の部分の断面形状を示す模式図である。
本実施形態のブローピン57は金属で構成され、第1円柱部58と、第1円柱部58の先端面62から軸方向下方に向けて延在し、第1円柱部58よりも直径が小さい第2円柱部63とを備えている。第1円柱部58と第2円柱部63とは同心に形成されている。したがって第1円柱部58の先端面62の形状は、第2円柱部63の基部を囲む環状となっている。
【0023】
本実施形態においては、1つのブローピン57に2つのエア吹き出し口が設けられている。第1のエア吹き出し口61は、第1円柱部58の側面に設けられている。第2のエア吹き出し口59は、第2円柱部63の先端に設けられている。第1のエア吹き出し口61と第2のエア吹き出し口59からは、同時にエアが吹き出されるように構成されている。
【0024】
第1のエア吹き出し口61から径方向外方に向けて噴出されるエアによって本体部3のヘッド部15が成形される。この時、第1円柱部58の先端部によって、ヘッド部15の凹部18(
図3(a)を参照)が成形される。具体的には、第1円柱部58の先端部の外周面によって凹部18の内周面18aが正円に成形される。すなわち凹部18の内径が規定される。これと同時に、第1円柱部58の先端面62によって凹部18の底面18bが、内周面18aと直角を成すように且つ平面状に成形される。
第1のエア吹き出し口61から噴出されるエアによってヘッド部15が成形されるのと同時に、第2のエア吹き出し口59から下方に向けて噴出されるエアによって本体部3の底部11および筒状部13が成形される。この時、第2円柱部63の外周面によって、筒状部13の上端の開口17が成形される。具体的には、第2円柱部63の外周面によって、開口17の内周面17aが正円に成形される。すなわち開口17の内径が規定される。
【0025】
このように、本実施形態のブローピン57を用いることにより、本体部3の底部11と筒状部13とヘッド部15とが一つの部材として一体に成形される。そして第1円柱部58によってヘッド部15の凹部18の内径が規定され、且つ底面18bが平面状に成形されるため、塗布部材ホルダー5の第2のコンタクトリング39に固定されたパッキン37が凹部18の内周面18aおよび底面18bに密着する。さらに、第2円柱部63によって筒状部13の上端の開口17の内径が規定されるため、塗布部材ホルダー5の第1のコンタクトリング34が開口17の内周面17aに密着する。
【0026】
本実施形態のブローピン57を用いて形成された本体部3は、
図7(b)に示すように、ヘッド部15の凹部18の内周面18aと、筒状部13の上端の開口17の内周面17aとが、2段構成で且つ同心の正円に成形される。さらに、凹部18の内周面18aと開口17の内周面17aとの連続部を構成する凹部18の底面18bが、内周面18aおよび内周面17aに対して直角に成形される。本実施形態のブローピン57を用いれば、本体部3の内周側の面である内周面18a、内周面17aおよび底面18bをこのように正確な形状にブロー成形できる。その結果、塗布部材ホルダー5の第1のコンタクトリング34が開口17の内周面17aの全周に密着し、第2のコンタクトリング39に固定されたパッキン37が凹部18の内周面18aの全周および底面18bの全周に密着する。これにより、塗布部材ホルダー5が開口17に嵌合した状態において、筒状部13および底部11に収容された液体が高浸透性或いは高揮発性であっても、開口17と塗布部材ホルダー5の第2の筒状部33との間からヘッド部15側へ漏れることを防止することができる。
【0027】
また、ブロー成形によってヘッド部15が成形される際、成形後の円筒部21の上端に所謂バリが生成されるように、金型(図示省略)の形状および樹脂量が調整される。これにより、生成されたバリが、成形後の円筒部21の内向きフランジ25となる。
【0028】
次に、本実施形態の液体塗布容器1の使用方法を説明する。
本実施形態の液体塗布容器1は、キャップ9を外し、ヘッド部15を下方にした状態で本体部3の筒状部13を握っての使用が好ましい。ヘッド部15を下方にすることにより、本体部3に収容された液体が塗布部材ホルダー5の貫通孔27および吐出部35を介して自然とヘッド部15へ移動し、さらに塗布部材7の貫通孔8の内周面から塗布部材7全体に含浸して行き渡る。本体部3の筒状部13には、ヘッド部15を下方にした状態で筒状部13を握ったときに、小指が引っ掛かる凹部14が形成されている。これにより筒状部13は使用者が握り易く且つしっかりと握ることができる。こうして使用者は、被塗布面に塗布部材7を押し当て、液体を被塗布面に一様に塗布することができる。また、ヘッド部15が傾斜しているため、例えば自動車のフロントガラスのように傾斜した被塗布面にも容易に液体を塗布することができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液体塗布容器について説明する。
第2実施形態は、第1実施形態とは、塗布部材ホルダーの構成が異なっている。他の構成は第1実施形態と同様である。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態と同様の構成については
図1~
図10を援用して第1実施形態と同様の符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0030】
図8(a)は第2実施形態に係る液体塗布容器101の塗布部材ホルダーの105の断面図であり、(b)は蓋部の平面図である。
図8(a)に示すように、本実施形態の塗布部材ホルダー105は、円形部29の下面の中心部、すなわち第2円筒部33の底部の中心部には、上方に向かって凹んだ円形の凹部71が形成されている。貫通孔27は、凹部71の底面の中心に開口している。凹部71の下部は、円形の蓋部73によって塞がれている。蓋部73の径寸法は、凹部71の径寸法よりも大きく形成されている。第2円筒部33の底部には、該底部の縁に沿って周方向溝77が形成されている。蓋部73は、その外周部が周方向溝77に嵌め込まれることにより、塗布部材ホルダー105に固定されている。蓋部73には、微小な貫通孔75が形成されている。
【0031】
このような構成により、塗布部材ホルダー105の第2円筒部33が筒状部13の開口17に嵌合した状態において、筒状部13および底部11に収容された液体は、蓋部73の貫通孔75を介して少量ずつ凹部71に移動し、さらに凹部71から貫通孔27を通って突出部35へ流れ込む。したがって、筒状部13および底部11に収容された液体が、貫通孔27から一気に吐出部35へ流れ込むことを防止している。これにより、第1実施形態と同様に、筒状部13および底部11に収容された液体が高浸透性或いは高揮発性であっても、過剰にヘッド部15側へ流れ込んでしまうことを防止することができる。
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0032】
以上説明したように、第1または第2実施形態によれば、塗布部材7が保持された塗布部材ホルダー5或いはヘッド部15が、キャップ9と共に本体部3から外れてしまうことを防止することができる液体塗布容器1を提供することができる。また、第1または第2実施形態によれば、塗布部材ホルダー5に形成された第1のコンタクトリング34、第2のコンタクトリング39、第3のコンタクトリング41、および第2のコンタクトリング39に固定されたパッキン37により、更にキャップ9の内部に形成された円筒部53により、キャップ9がヘッド部15に取り付けられた状態において、本体部3の開口17と塗布部材ホルダー5の第2の筒状部33との間からの液漏れ、および塗布部材ホルダー5の吐出部35からの液漏れを防止することができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、適宜変更が可能である。例えば塗布部材7の形状は、円形以外の形状としても良い。また、ヘッド部15は傾斜させずに、塗布部材7を水平に保持する形態としても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 液体塗布容器
3 本体部
5 塗布部材ホルダー
7 塗布部材
8 貫通孔
9 キャップ
11 底部
13 筒状部
15 ヘッド部
17 開口
19 フランジ部
21 円筒部
25 内向きフランジ
29 円形部
35 吐出部
57 ブローピン
58 第1円柱部
59 第2のエア吹き出し口
61 第1のエア吹き出し口
63 第2円筒部