(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178980
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】搬送車システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20231212BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G1/04 537Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187353
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】青本 和也
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 祥
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022BB09
3F022CC02
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ04
3F022JJ08
3F022KK11
3F022LL12
3F022LL14
3F022MM08
3F022MM51
3F022MM61
3F022MM69
3F022MM70
3F022NN22
3F022NN38
3F022NN55
3F022PP00
3F022PP04
(57)【要約】
【課題】人の手を介することなく、走行時に生じる振動に基づいた搬送車の適切な走行制御が可能になる搬送車システムを提供する。
【解決手段】搬送車システム1は、走行路4の区間ごとに設定された設定速度に従って天井搬送車6を走行させる走行制御部72と、走行路4を走行する天井搬送車6に発生する振動に関する振動情報を取得する取得部73と、振動情報と振動が発生した時の天井搬送車6の位置情報とを関連付けた走行路情報を記憶する記憶部76と、を備える。走行制御部72は、記憶部76に記憶された走行路情報に基づいて区間4Bごとに速度制限の要否を判定し、速度制限が必要と判定された区間4Bに設定されている設定速度を、現在の速度値よりも低い新たな速度値に再設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路の区間ごとに設定された設定速度に従って搬送車を走行させる走行制御部と、
前記走行路を走行する前記搬送車に発生する振動に関する振動情報を取得する取得部と、
前記振動情報と前記振動が発生した時の前記搬送車の位置情報とを関連付けた走行路情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記走行制御部は、前記記憶部に記憶された前記走行路情報に基づいて前記区間ごとに速度制限の要否を判定し、前記速度制限が必要と判定された区間に設定されている前記設定速度を、現在の速度値よりも低い新たな速度値に再設定する、搬送車システム。
【請求項2】
前記走行制御部は、予め定められた振動値以上の振動が発生した回数に基づいて前記速度制限の要否を判定する、請求項1記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記走行制御部は、予め定められた期間の間に前記記憶部に記憶された前記走行路情報に基づいて、前記速度制限の要否を判定する、請求項1又は2記載の搬送車システム。
【請求項4】
前記走行制御部は、一つの前記区間に対し、前記予め定められた期間の間に前記記憶部に記憶された前記走行路情報に基づいた速度制限の要否の判定と、前記新たな速度値への再設定とを、前記速度制限が必要でないと判定されるまで繰り返す、請求項3記載の搬送車システム。
【請求項5】
前記取得部によって取得された前記振動情報、前記区間ごとに前記振動情報を集計した集計情報及び前記区間ごとに設定されている前記設定速度の少なくとも一つを、前記走行路の配置状態を示すマップデータに重ね合わせて出力する情報出力部を更に備える、請求項1~4の何れか一項記載の搬送車システム。
【請求項6】
軌道に沿って走行可能な本体部と、
物品を把持する把持部を有すると共に前記本体部に対して吊持部材によって昇降される昇降部と、
前記本体部及び前記昇降部を制御する本体制御部と、
前記昇降部に生じる振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部による前記振動の検出結果が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定すると共に、前記判定の結果を前記本体制御部へ出力する振動監視部と、を有し、
前記本体制御部は、前記本体部に設けられ、前記振動検出部及び前記振動監視部は前記昇降部に設けられている前記搬送車を更に備え、
前記取得部は、前記振動監視部から前記振動情報として前記判定の結果を取得する、請求項1~5の何れか一項記載の搬送車システム。
【請求項7】
前記振動監視部は、前記振動検出部によって検出される振動が前記許容範囲を超えたときに、その旨を前記本体制御部に出力する、請求項6記載の搬送車システム。
【請求項8】
前記搬送車が複数備えられており、
前記記憶部は、複数の前記搬送車ごとに前記走行路情報を記憶し、
前記走行制御部は、前記搬送車ごとに前記速度制限の要否を判定すると共に、前記搬送車ごとに前記新たな速度値に再設定する、請求項1~7の何れか一項記載の搬送車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道に沿って走行可能な本体部と、物品を把持する把持部を有し、前記本体部に対し複数の吊持部材が巻き取り及び繰り出しされることにより昇降する昇降部と、を備えた天井搬送車が知られている。このような天井搬送車では、昇降部に把持される物品に生じる振動を簡易な構成で監視したいというニーズがある。例えば特許文献1には、天井搬送車に振動センサを設け、振動センサによって取得される振動を、天井搬送車の外部に設けられた診断装置に送信し、診断装置が天井搬送車又は軌道における異常の有無を診断する搬送車システム(移動体の診断システム)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の搬送車システムは、天井搬送車又は軌道における異常の有無を診断することはできるものの、例えば軌道が異常と診断された場合であっても、その対処は、人の手を介して行われている。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、人の手を介することなく、走行時に生じる振動に基づいた搬送車の適切な走行制御が可能になる搬送車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る搬送車システムは、走行路の区間ごとに設定された設定速度に従って搬送車を走行させる走行制御部と、走行路を走行する搬送車に発生する振動に関する振動情報を取得する取得部と、振動情報と振動が発生した時の搬送車の位置情報とを関連付けた走行路情報を記憶する記憶部と、を備え、走行制御部は、記憶部に記憶された走行路情報に基づいて区間ごとに速度制限の要否を判定し、速度制限が必要と判定された区間に設定されている設定速度を、現在の速度値よりも低い新たな速度値に再設定する。
【0007】
この構成では、取得部によって振動情報が取得され、取得された振動情報が記憶部に記憶されるので、振動情報は人の手を介することなく自動的に取得される。また、この構成では、自動的に取得される振動情報に基づいて区間ごとに速度制限の要否が判定され、速度制限が必要な場合には、自動的に現在の速度値よりも低い新たな速度値に再設定される。これにより、人の手を介することなく、走行時に生じる振動に基づいた搬送車の適切な走行制御が可能になる。
【0008】
本発明の一側面に係る搬送車システムでは、走行制御部は、予め定められた振動値以上の振動が発生した回数に基づいて速度制限の要否を判定してもよい。この構成では、大きな振動が発生する区間を容易に判定することができる。
【0009】
本発明の一側面に係る搬送車システムでは、走行制御部は、予め定められた期間の間に記憶部に記憶された走行路情報に基づいて、速度制限の要否を判定してもよい。この構成では、速度制限の要否を適切なタイミングで判定することができる。
【0010】
本発明の一側面に係る搬送車システムでは、走行制御部は、一つの上記の区間に対し、予め定められた期間の間に記憶部に記憶された走行路情報に基づいた速度制限の要否の判定と、新たな速度値への再設定とを、速度制限が必要でないと判定されるまで繰り返してもよい。この構成では、速度制限によって再設定される設定速度を最適な速度値とすることができる。この結果、搬送車システムの稼働率の低下を最小限に抑制しつつ、走行時に生じる振動に基づいた搬送車の適切な走行制御が可能になる。
【0011】
本発明の一側面に係る搬送車システムは、取得部によって取得された振動情報、区間ごとに振動情報を集計した集計情報及び区間ごとに設定されている設定速度の少なくとも一つを、走行路の配置状態を示すマップデータに重ね合わせて出力する情報出力部を更に備えてもよい。この構成では、取得部によって取得された振動情報、区間ごとに振動情報を集計した集計情報及び区間ごとに設定されている設定速度の少なくとも一つが、マップデータと重ね合わされて出力されるので、各種情報の視覚的な認識が可能となり、効率的な監視が可能となる。
【0012】
本発明の一側面に係る搬送車システムは、軌道に沿って走行可能な本体部と、物品を把持する把持部を有すると共に本体部に対して吊持部材によって昇降される昇降部と、本体部及び昇降部を制御する本体制御部と、昇降部に生じる振動を検出する振動検出部と、振動検出部による振動の検出結果が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定すると共に、判定の結果を本体制御部へ出力する振動監視部と、を有し、本体制御部は、本体部に設けられ、振動検出部及び振動監視部は昇降部に設けられている搬送車を更に備え、取得部は、振動監視部から振動情報としての判定の結果を取得してもよい。
【0013】
この構成では、振動の検出結果が予め設定された許容範囲を超えたか否かの判定結果のみが、振動監視部から本体制御部に出力されるので、振動検出部によって検出される検出結果の全てが本体制御部に出力される構成に比べて、本体制御部における処理の負荷を軽減することができる。また、この構成では、検出される振動が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定するだけなので、高度な分析等を実施することなく簡易な構成で物品に生じる振動を監視することができる。これらの結果、天井搬送車に搭載されている本体制御部における処理の負荷を増大させることなくかつ簡易な構成で、昇降部に把持される物品に生じる振動を監視することができる。
【0014】
本発明の一側面に係る搬送車システムでは、振動監視部は、振動検出部によって検出される振動が許容範囲を超えたときに、その旨を本体制御部に出力してもよい。この構成では、振動検出部によって検出される振動が許容範囲を超えたと判定されたときだけ、すなわち振動監視部が異常な振動を検知したと判定されたときだけ、本体制御部にその旨を出力するので、本体制御部における処理の負荷を更に軽減することが可能となる。
【0015】
本発明の一側面に係る搬送車システムでは、前記搬送車が複数備えられており、記憶部は、複数の搬送車ごとに走行路情報を記憶し、走行制御部は、搬送車ごとに速度制限の要否を判定すると共に、搬送車ごとに新たな速度値に再設定してもよい。この構成では、搬送車の個体差を考慮した、搬送車ごとの適切な走行制御が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、人の手を介することなく、走行時に生じる振動に基づいた搬送車の適切な走行制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る天井搬送車を示す側面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る搬送車システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、振動の検出結果の一例を示した図である。
【
図4】
図4は、搬送車システムにおける搬送車の制御を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、搬送車システムにおける搬送車の制御を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、端末装置に表示される異常振動発生箇所表示画面の一例である。
【
図7】
図7は、端末装置に表示される異常区間表示画面の一例である。
【
図8】
図8は、端末装置に表示される速度制限区間表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一側面の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1及び
図2に示されるように、一実施形態の搬送車システム1は、複数の天井搬送車(搬送車)6と、天井搬送車6の走行路4を形成する軌道4Aと、搬送コントローラ70と、を備えている。
【0020】
図1に示されるように、一実施形態の天井搬送車6は、軌道4Aに沿って移動可能な天井搬送車であって、FOUP(Front Opening Unified Pod)10を載置部(図示せず)間で搬送するためのシステムに用いられる。天井搬送車6は、FOUP10に代えて、例えば、複数のガラス基板を格納するレチクルポッド等のような容器、並びに一般部品等を搬送してもよい。ここでは、例えば、工場の天井等に敷設された一方通行の軌道4Aに沿って天井搬送車6が走行する搬送車システム1に用いられる天井搬送車6を例に挙げて説明する。
【0021】
軌道4Aは、例えば、作業者の頭上スペースである天井付近に敷設されている。軌道4Aは、例えば天井から吊り下げられている。軌道4Aは、天井搬送車6を走行させるための予め定められた走行路である。載置部は、軌道4Aに沿って配置され、天井搬送車6がFOUP10を受け渡し可能な位置に設けられている。載置部には、バッファ及び受渡ポートが含まれる。バッファは、FOUP10が一時的に載置される載置部である。バッファは、例えば、目的とする受渡ポートに他のFOUP10が載置されている等の理由により、天井搬送車6が搬送しているFOUP10をその受渡ポートに移載できない場合に、FOUP10が仮置きされる載置部である。受渡ポートは、例えば洗浄装置、成膜装置、リソグラフィ装置、エッチング装置、熱処理装置、平坦化装置をはじめとする半導体の処理装置(図示せず)に対してFOUP10の受渡を行うための載置部である。なお、処理装置は、特に限定されず、ストッカ等の種々の装置であってもよい。
【0022】
天井搬送車6は、軌道4Aに沿って走行し、FOUP10を搬送する。天井搬送車6は、天井走行式無人搬送車である。搬送車システム1が備える天井搬送車6の台数は、特に限定されず、複数である。
図1及び
図2に示されるように、天井搬送車6は、走行部18と、移載装置7と、本体コントローラ(本体制御部)50と、を有する。
【0023】
走行部18は、モータ等を含んで構成され、天井搬送車6を軌道4Aに沿って走行させる。移載装置7は、本体部22と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降部30と、前後フレーム33,33と、を有する。
【0024】
本体部22は、横送り部24、θドライブ26、昇降駆動部28及び昇降部30を支持する。横送り部24は、θドライブ26、昇降駆動部28及び昇降部30を一括して、軌道4Aの走行方向と直角な方向に横送りする。θドライブ26は、昇降駆動部28及び昇降部30の少なくとも何れかを水平面内で所定の角度範囲内で回動させる。昇降駆動部28は、ワイヤ、ロープ及びベルト等の吊持部材28Aを巻き取る又は繰り出すことによって昇降部30を昇降させる。
【0025】
昇降部30には、チャック(把持部)30Aと、センサユニット55と、が設けられている。チャック30Aは、FOUP10のフランジ部を下方から支持した状態で保持する。チャック30Aは、FOUP10の保持又は解放が自在とされている。前後フレーム33,33は、図示しない爪等を出没させて、搬送中にFOUP10が落下することを防止する。前後フレーム33,33は、天井搬送車6の走行方向の前後に設けられている。
【0026】
センサユニット55は、昇降部30に生じる振動(すなわち、チャック30Aに把持されるFOUP10に生じる振動)を検出して、検出結果を後段にて詳述する本体コントローラ50へ出力する。センサユニット55は、振動を検出する振動検出部55Aと振動監視部55Bとを有している。振動検出部55Aは、例えば、三軸加速度センサであり、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の振動を検出する。振動検出部55Aは、昇降部30をZ軸方向から平面視したときに、昇降部30の重心位置に設けられている。本実施形態では、チャック30Aに隣接する位置に設けられている。振動検出部55Aは、所定間隔で連続的に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の振動を検出している(
図3参照)。
【0027】
振動監視部55Bは、振動検出部55Aによる振動の検出結果が、予め設定された許容範囲R内であるか否かを判定すると共に、上記の判定の結果を本体コントローラ50へ出力する。振動監視部55Bは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。振動監視部55Bは、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。振動監視部55Bは、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。
【0028】
振動監視部55Bにおいて設定されている許容範囲Rは、本体コントローラ50によって設定される。本実施形態の振動監視部55Bは、振動検出部55Aによる振動の検出結果(
図3参照)を監視しており、上記の許容範囲Rを超えたときにだけ、上記許容範囲を超えた旨の信号を本体コントローラ50に出力する。すなわち、振動監視部55Bは、
図3に示されるポイントDにおいて、許容範囲Rを超えた旨の信号を本体コントローラ50に出力する。
【0029】
振動監視部55Bは、走行時における振動の判定の結果と、FOUP10の昇降時における振動の判定の結果とを本体コントローラ50に出力する。すなわち、本実施形態の天井搬送車6では、走行時及び昇降時の両方で昇降部30に生じる振動を監視することができる。
【0030】
振動監視部55Bは、複数の許容範囲Rを設定可能に設けられている。例えば、振動監視部55Bは、直線軌道走行時(直線区間)における許容範囲R1、曲線軌道走行時(曲線区間)における許容範囲R2、及びFOUP昇降時(載置部が設けられた区間)における許容範囲R3が含まれる。また、振動監視部55Bは、天井搬送車6の動作状況に応じて許容範囲R1,R2,R3が切り替わるように設定されている。
【0031】
本体コントローラ50は、CPU、ROM及びRAM等からなる電子制御ユニットである。本体コントローラ50は、天井搬送車6(すなわち、走行部18及び移載装置7)における各部の各種動作を制御する。具体的には、
図2に示されるように、本体コントローラ50は、走行部18と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降部30と、を制御する。本体コントローラ50は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。本体コントローラ50は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。本体コントローラ50とセンサユニット55とは、有線又は無線によって、互いに通信可能に設けられている。有線通信の場合には、吊持部材28Aに、通信線が内蔵される。
【0032】
本体コントローラ50は、振動監視部55Bに対して許容範囲Rを設定する。本実施形態の振動監視部55Bは、直線軌道走行時における許容範囲R1、曲線軌道走行時における許容範囲R2、及び物品昇降時における許容範囲R3のそれぞれを振動監視部55Bに設定する。
【0033】
本体コントローラ50は、適宜の手段によって、天井搬送車6の走行路4(軌道4A)上の位置を把握可能となっている。例えば、本体コントローラ50は、軌道4Aに貼付されているバーコード等から取得される位置情報、及び走行部18に備わるモータ等のカウンタ等によって、自天井搬送車6の位置が把握可能となっている。本体コントローラ50は、センサユニット55から送信される許容範囲Rを超えた旨の信号を受信すると、当該信号と自天井搬送車6の位置とを関連付けて図示しないメモリ等に記憶する。すなわち、本体コントローラ50は、許容範囲Rを超えた振動(異常振動)が計測された位置を示す情報を記憶する。そして、本体コントローラ50は、搬送コントローラ70からの要求に応じて、許容範囲Rを超えた振動が計測された位置を示す情報を搬送コントローラ70へ送信する。
【0034】
なお、上述したような天井搬送車6において発生する振動を搬送コントローラ70に送信する構成は、搬送車システム1を構成する天井搬送車6の全てに設けられていなくてもよい。
【0035】
図2に示される搬送コントローラ70は、複数の天井搬送車6を制御する。搬送コントローラ70は、CPU、ROM及びRAM等からなる電子制御ユニットである。搬送コントローラ70は、搬送車システム1を構成する走行路4が複数のエリアに分割されている場合に、管轄するエリアに位置する天井搬送車6を制御するコントローラとして設けられてもよいし、搬送車システム1全体の走行路4を走行する全ての天井搬送車6を制御するコントローラとして設けられてもよい。
【0036】
搬送コントローラ70は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。搬送コントローラ70は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。搬送コントローラ70は、CPU、RAM及びROM等のハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとが協働することによって構成される搬送制御部71、走行制御部72、取得部73、及び情報出力部74と、記憶部76と、を有している。
【0037】
搬送制御部71は、図示しない上位コントローラからの搬送要求に基づいて、天井搬送車6に搬送命令を割り付ける。
【0038】
走行制御部72は、走行路4の区間4Bごとに設定された設定速度に従って天井搬送車6を走行させる。区間4Bごとの設定速度は、例えば、後段にて詳述する記憶部76に記憶されている。走行路4には、例えば、
図7に示されるように、区間4Bが設けられている。区間4Bは、例えば、直線状軌道、曲線状軌道、分岐部周辺の軌道、合流部周辺の軌道、及び載置部の有無等に基づいて設定されている。区間4Bごとの設定速度は、このような区間4Bの特性に基づいて適宜設定される。走行制御部72は、記憶部76に記憶された走行路情報に基づいて区間4Bごとに速度制限の要否を判定する(判定方法については後段にて詳述する)。走行制御部72は、速度制限が必要と判定された区間4Bに設定されている設定速度を、現在の速度値よりも低い新たな速度値に再設定する。
【0039】
取得部73は、走行路4を走行する天井搬送車6に発生する振動に関する振動情報を取得する。本実施形態の取得部73は、振動に関する振動情報としての「許容範囲Rを超えた振動が計測された位置を示す情報」を取得する。取得部73は、天井搬送車6にそれぞれ備わる本体コントローラ50に、許容範囲Rを超えた振動が計測された位置を示す情報を送信するように要求する。
【0040】
記憶部76は、区間4Bごとの設定速度を記憶する。区間4Bごとの設定速度には、初期設定において設定する設定速度と、走行制御部72によって再設定される設定速度との両方が含まれる。また、記憶部76は、振動情報と振動が発生した時の天井搬送車6の位置情報とを関連付けた走行路情報を記憶する。本実施形態の記憶部76は、取得部73によって取得される、許容範囲Rを超えた振動が計測された位置を示す情報が記憶される。すなわち、許容範囲Rを超えた振動が計測されたという振動情報と、走行路4上の位置とが関連付けられた走行路情報が記憶される。計測された位置は、区間4Bに関する情報であってもよいし、走行路4上の位置を特定できる情報であってもよい。走行路4上の位置を特定できる情報であっても、対応テーブル等によって区間4Bに関する情報への変換が可能である。記憶部76は、本体コントローラ50から送信されてくる、許容範囲Rを超えた振動(異常振動)が計測された位置を示す情報を記憶するとも言える。
【0041】
走行制御部72は、後段にて詳述する記憶部76に記憶された走行路情報に基づいて区間4Bごとに速度制限の要否を判定する。走行制御部72は、予め定められた期間の間に記憶部76に記憶された走行路情報に基づいて、区間4Bごとに速度制限の要否を判定する。走行制御部72は、予め定められた期間の間に記憶部76に記憶された走行路情報に基づいて、許容範囲Rを超えた振動の回数を集計し、当該集計結果に基づいて区間4Bごとに速度制限の要否を判定する。本実施形態の走行制御部72は、許容範囲Rを超えた振動の回数が所定の回数を超えている場合に、速度制限が必要であると判定する。
【0042】
走行制御部72は、一つの区間4Bに対し、予め定められた期間(例えば、数時間、数日、又は数週間)の間に記憶部76に記憶された走行路情報に基づいた速度制限の要否の判定と、新たな速度値への再設定とを速度制限が必要でないと判定されるまで繰り返す。具体的には、走行制御部72は、予め定められた期間に蓄積された走行路情報に基づいて、速度制限が必要であると判定され、一段階下げた新たな速度値(例えば、秒速0.5m下げた新たな速度値)に設定速度を再設定(第一段階規制)した場合であっても、次の予め定められた期間に蓄積された走行路情報に基づいた速度制限の要否の判定によって、再度、速度制限が必要であると判定されると、更に一段階下げた新たな速度値に設定速度を再設定(第二段階規制)する。
【0043】
情報出力部74は、記憶部76に記憶された情報を端末装置80に出力する。より詳細には、情報出力部74は、取得部73によって取得された振動情報、区間4Bごとに振動情報を集計した集計情報及び区間4Bごとに設定されている設定速度の少なくとも一つを、走行路の配置状態を示すマップデータM(
図6~
図8参照)に重ね合わせた情報を端末装置80に出力する。例えば、情報出力部74は、
図6に示されるような、異常振動発生箇所表示画面SC1を端末装置80に表示させたり、
図7に示されるような、異常区間表示画面SC2を端末装置80に表示させたり、
図8に示されるような、速度制限区間表示画面SC3を端末装置80に表示させたりする。端末装置80の例には、表示ディスプレイ、携帯端末、スマートフォン、タブレット等が含まれる。
【0044】
図6に示される異常振動発生箇所表示画面SC1は、軌道4Aの配置平面図上に、許容範囲Rを超えた振動が発生した位置A1を重ね合わせた画面である。軌道4Aの軌道平面図には、軌道4Aの他にストッカ等の載置部の位置が表示されていてもよい。
図7に示される異常区間表示画面SC2は、軌道4Aの配置平面図における区間4Bごとに、許容範囲Rを超えた振動の回数の集計値(振動件数)のレベルを色分けして示した画面である。
図8に示される速度制限区間表示画面SC3は、軌道4Aの配置平面図における区間4Bごとに、速度制限のレベル(規制速度)を色分けして示した画面である。
【0045】
次に、主に
図4及び
図5を参照しながら、本実施形態における搬送車システム1の動作について説明する。はじめに、本体コントローラ50は、振動の許容範囲Rを設定するための閾値を振動監視部55Bに送信する。(ステップS1)。本体コントローラ50から閾値を受信した振動監視部55Bは、許容範囲R(閾値)を設定する(ステップS2)。振動監視部55Bは、許容範囲Rを設定した旨を本体コントローラ50に送信する(ステップS3)。これにより、センサユニット55における振動監視の準備、すなわち、振動検出部55Aによって検出された振動が許容範囲Rを超えた場合(異常振動が検出された場合)に、その旨の信号を出力するための準備が完了する(ステップS10)。
【0046】
センサユニット55における振動監視の準備が完了すると、振動検出部55Aは、所定の間隔で昇降部30に生じる振動を検出する。振動監視部55Bと振動検出部55Aとは逐次データ通信を行っており、振動監視部55Bは、振動検出部55Aによって検出される振動を監視している(ステップS11)。また、本体コントローラ50は、振動が許容範囲Rを超えていないかを逐次チェックしている(ステップS12)。ここで、振動検出部55Aが、振動検出部55Aによって検出される振動値が許容範囲Rを超えたことを検知すると(ステップS13)、その旨の情報を本体コントローラ50に送信する(ステップS14)。
【0047】
本体コントローラ50は、振動監視部55Bから送信される許容範囲Rを超えた旨の信号を受信すると(ステップS15)、その旨の信号と走行路4(軌道4A)上の位置とを関連付けた異常振動情報を、図示しないメモリ等に記憶させる。搬送コントローラ70は、本体コントローラ50に対して、天井搬送車6の状況を定期的に問い合わせる(ステップS16)。本体コントローラ50は、搬送コントローラ70から定期的な問い合わせを受け付けたときに、メモリに異常振動情報(振動検出ログ)が記憶(蓄積)されている場合には、当該異常振動情報を搬送コントローラ70に出力する(ステップS17)。
【0048】
搬送コントローラ70は、本体コントローラ50から出力されてくる異常振動情報を受信すると、当該異常振動情報を記憶部76に記憶させる(ステップS21)。すなわち、搬送コントローラ70は、走行路4を走行する天井搬送車6に発生する振動に関する振動情報と、走行路4(軌道4A)上の位置情報とを関連付けて、記憶部76に記憶させる。
【0049】
搬送コントローラ70は、予め定められた期間の間に記憶部76に記憶された走行路情報に基づいて、許容範囲Rを超えた振動の回数を集計し、当該集計結果に基づいて区間4Bごとに速度制限の要否を判定する(ステップS22)。搬送コントローラ70は、例えば、1日の許容範囲R超えの振動回数が所定数値(例えば500回)以上の場合、当該区間4Bは、速度制限の必要があると判定する。搬送コントローラ70は、速度制限の必要があると判定すると、当該区間4Bに設定されている設定速度を、現在の速度値よりも低い新たな速度値に再設定する(ステップS23)。
【0050】
搬送コントローラ70は、新たに設定された設定速度に従って天井搬送車6を走行させる。言い換えれば、搬送コントローラ70は、当該区間4Bにおける天井搬送車6の走行速度が、新たに設定された速度値となるように天井搬送車6を走行させる。本実施形態では、搬送コントローラ70は、新たに設定された速度値に関する設定速度情報を本体コントローラ50に送信する(ステップS24)。設定速度情報を受信した本体コントローラ50は、新たに設定された設定速度に従って走行部18を走行させる(ステップS31)。
【0051】
なお、搬送コントローラ70は、予め定められた期間に蓄積された走行路情報に基づいて速度制限が必要であると判定し(ステップS22)、一段階下げた新たな速度値に設定速度を再設定(第一段階規制)した場合(ステップS23)であっても、次の予め定められた期間に蓄積された走行路情報に基づいて速度制限が必要であると判定されると(ステップS22)、更に一段階下げた新たな速度値に設定速度を再設定(第二段階規制)する(ステップS23)。
【0052】
搬送コントローラ70は、記憶部76に記憶されている異常振動情報及び設定速度情報を端末装置80に送信する(ステップS25)。端末装置80は、搬送コントローラ70から送信されてくる異常振動情報を、
図6に示されるような異常振動発生箇所表示画面SC1として表示する。端末装置80は、搬送コントローラ70から送信されてくる設定速度情報を、
図8に示されるような速度制限区間表示画面SC3として表示する。
【0053】
搬送コントローラ70は、記憶部76に記憶されている異常振動情報に基づいて、区間4Bごとに許容範囲Rを超えた振動の回数を集計し(ステップS26)、集計情報を端末装置80に送信する(ステップS27)。端末装置80は、搬送コントローラ70から送信されてくる集計情報を、
図7に示されるような異常区間表示画面SC2として表示する(ステップS42)。
【0054】
上記実施形態の搬送車システム1では、取得部73によって振動情報が取得され、記憶部76に記憶されるので、振動情報を人の手を介することなく自動的に取得することができる。また、上記実施形態の天井搬送車6では、自動的に取得される振動情報に基づいて区間4Bごとに速度制限の要否が判定され、速度制限が必要な場合には、自動的に現在の速度値よりも低い新たな速度値に再設定される。これにより、人の手を介することなく、走行時に生じる振動に基づいた天井搬送車6の適切な走行制御が可能になる。
【0055】
上記実施形態の搬送車システム1では、予め定められた振動値以上の振動が発生した回数に基づいて速度制限の要否が判定されるので、大きな振動が発生する区間4Bを容易に判定することができる。また、上記実施形態の搬送車システム1では、予め定められた期間の間に記憶部76に記憶された走行路情報に基づいて速度制限の要否が判定されるので、速度制限の要否を適切なタイミングで判定することができる。
【0056】
上記実施形態の搬送車システム1では、一つの上記の区間に対し、予め定められた期間の間に記憶部76に記憶された走行路情報に基づいた速度制限の要否の判定と、新たな速度値への設定速度の再設定とを、速度制限が必要でないと判定されるまで繰り返されるので、速度制限によって再設定される設定速度を最適な速度値とすることができる。すなわち、上記実施形態の搬送車システム1では、一回の再設定によって大きく設定速度を低下させることなく、徐々に最適な速度値に設定されていくので、稼働率が極度に低下することが抑制される。この結果、搬送車システム1の稼働率の低下を最小限に抑制しつつ、走行時に生じる振動に基づいた天井搬送車6の適切な走行制御が可能になる。
【0057】
上記実施形態の搬送車システム1では、振動情報、区間ごとに振動情報を集計した集計情報及び区間ごとに設定されている設定速度が、走行路4の配置状態を示すマップデータMに重ね合わせて出力されるので、各種情報の視覚的な認識が可能となり、効率的な監視が可能となる。
【0058】
上記実施形態の搬送車システム1では、予め設定された許容範囲Rを超えたか否かの判定結果のみが、振動監視部55Bから本体コントローラ50に出力される。これにより、センサユニット55によって検出される検出結果の全てが本体コントローラ50に出力される構成に比べて、本体コントローラ50における処理の負荷を軽減することができる。また、上記実施形態の搬送車システム1では、振動検出部55Aによって検出される振動が予め設定された許容範囲R内であるか否かを判定するだけなので、高度な分析等を実施することなく簡易な構成でFOUP10に生じる振動を監視することができる。これらの結果、天井搬送車6に搭載されている本体コントローラ50における処理の負荷を増大させることなくかつ簡易な構成で、昇降部30に把持されるFOUP10に生じる振動を監視することができる。
【0059】
上記実施形態の搬送車システム1では、振動監視部55Bは、振動検出部55Aによって検出される振動が許容範囲Rを超えたと判定したときに、その旨の信号を本体コントローラ50に出力している。この構成では、振動検出部55Aによって検出される振動が許容範囲Rを超えたと判定されたときだけ、すなわち振動監視部55Bが異常な振動を検知したと判定されたときだけ、本体コントローラ50にその旨の信号を出力するので、本体コントローラ50における処理の負荷を更に軽減することが可能となる。
【0060】
以上、本発明の一側面の一実施形態について説明したが、本発明の一側面は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
上記実施形態の搬送車システム1では、複数の天井搬送車6から取得される振動情報に基づいて記憶される走行路情報に基づいて再設定される区間ごとの設定速度を、複数の天井搬送車6の全てに一律的に適用する例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、複数の天井搬送車6から取得される振動情報を、複数の天井搬送車6ごとの走行路情報として記憶し、走行制御部72は、天井搬送車6ごとに速度制限の要否を判定すると共に、天井搬送車6ごとに新たな速度値を再設定してもよい。この変形例に係る構成では、例えば、天井搬送車6ごとの固有振動数等、天井搬送車6の個体差・特性を考慮して、天井搬送車6ごとの適切な走行制御が可能になる。
【0062】
上記実施形態及び変形例に係る搬送車システム1では、天井搬送車6から許容範囲Rを超えた位置を振動情報として取得する例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、取得部73は、走行路4の位置ごとの振動値を取得してもよいし、区間ごとの最大振動値等を取得してもよい。
【0063】
上記実施形態及び変形例に係る搬送車システム1では、許容範囲Rを超える振動の回数に基づいて速度制限の要否を判定する例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、走行制御部72は、許容範囲を超える振動値の有無等に基づいて速度制限の要否を判定してもよい。
【0064】
上記実施形態及び変形例では、振動監視部55Bは、振動検出部55Aによって検出される振動が許容範囲Rを超えたときにだけ、その旨の信号を本体コントローラ50に出力する例を挙げて説明したが、許容範囲Rを超えているか超えていないかという情報(信号)を、定期的に本体コントローラ50に出力してもよい。走行制御部72は、このような情報からなる走行路情報に基づいて、速度制限の要否を判定してもよい。
【0065】
上記実施形態及び変形例に係る搬送車システム1では、天井搬送車6の昇降部30に設けられたセンサユニット55から振動情報を取得する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、走行部18又は昇降部30以外の移載装置7にセンサユニットが設けられており、このセンサユニットによって取得される振動情報を取得部73が取得してもよい。
【0066】
上記実施形態及び変形例に係る搬送車システム1では、走行制御部72は、予め定められた期間の間に記憶部76に記憶された走行路情報に基づいた速度制限の要否の判定と、新たな速度値への再設定とを速度制限が必要でないと判定されるまで繰り返す例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、走行制御部72は、上記の繰り返しの中で、予め定め定められた速度制限の下限値に達したと判定した場合、アラームを通知してもよい。この構成では、必要以上に天井搬送車6の設定速度が低下することを回避できる。
【0067】
上記実施形態では、本体コントローラ50によって複数の許容範囲R1,R2,R3が設定される例を挙げて説明したがこれに限定されず、1つであっても、2つであっても、4つ以上であってもよい。
【0068】
上記実施形態及び変形例では、本体コントローラ50から振動監視部55Bにおける上記許容範囲Rを設定できる例を挙げて説明したが、設定不能に構成されてもよい。この場合、振動監視部55Bにおいて予め許容範囲Rが設定されていてもよいし、振動監視部55Bに設けられたスイッチ等によって切り替え可能に構成されてもよい。
【0069】
上記実施形態及び変形例では、判定の結果を軌道4Aの配置を示すマップデータに重ね合わせた情報を出力する情報出力部74が搬送コントローラ70に構成された例を挙げて説明したが、別途独立したコントローラを設けてもよいし、複数の天井搬送車6のうち一の天井搬送車6に上記機能を有するコントローラが設けられてもよい。
【0070】
上記実施形態及び変形例の搬送車システム1では、走行車の一例として天井に設けられた軌道4Aに吊り下げられた状態で走行する天井搬送車6に適用した例を説明したが、走行車のその他の例には、地上又は架台に配設された軌道を走行する無人走行車及びスタッカークレーン等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…搬送車システム、4…走行路、4A…軌道、4B…区間、6…天井搬送車(搬送車)、18…走行部、22…本体部、50…本体コントローラ、55…センサユニット、55A…振動検出部、55B…振動監視部、70…搬送コントローラ、71…搬送制御部、72…走行制御部、73…取得部、74…情報出力部、76…記憶部、M…マップデータ、SC1…異常振動発生箇所表示画面、SC2…異常区間表示画面、SC3…速度制限区間表示画面。