(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179003
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両の駆動力制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/02 20120101AFI20231212BHJP
【FI】
B60W30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091981
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】古橋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】多久田 記孝
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BA51
3D241BC01
3D241BC04
3D241CC01
3D241CD07
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
(57)【要約】
【課題】意図しない挙動になってユーザーへの違和感につながることを抑制できる車両の駆動力制御装置を提供すること。
【解決手段】車両の駆動力制御装置は、車両の旋回挙動制御時において、当該車両のヨーレートをその目標値である目標ヨーレートに制御するための操作量としての駆動力の補正を行う駆動トルク補正部201と、ゲート遮断からの復帰を検知する検知部202と、を備え、検知部202によってゲート遮断からの復帰が検知された場合、駆動トルク補正部201による補正を禁止するようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の旋回挙動制御時において、当該車両のヨーレートをその目標値である目標ヨーレートに制御するための操作量としての駆動力の補正を行う駆動トルク補正手段と、
ゲート遮断からの復帰を検知する検知手段と、を備え、
前記検知手段によってゲート遮断からの復帰が検知された場合、前記駆動トルク補正手段による補正を禁止する車両の駆動力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両の駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操舵角が変化を開始する旋回初期において、ヨーレートの目標値を設定し、ヨーレートを目標値に制御するための操作量としてのヨーモーメントを算出することが記載されている。また、特許文献1には、ヨーモーメントに応じた内燃機関に対するトルク指令値の補正量を算出し、補正量によって補正されたトルク指令値となるように内燃機関を操作することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MG(Motor Generator)-ECU(Engine Control Unit)-HV(Hybrid Vehicle)-ECU間通信異常やレゾルバ系異常からの復帰、Nレンジにシャットダウンからの復帰時に、突然モータトルクが出力されると車両の挙動上危険となる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の車両の駆動力制御装置は、ゲート遮断からの復帰時はライントレース制御を禁止するようにした。すなわち、一実施形態の車両の駆動力制御装置は、ゲート遮断からの復帰時は駆動トルク補正手段による補正を禁止するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本開示の車両の駆動力制御装置によれば、意図しない挙動になってユーザーへの違和感につながることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態にかかる駆動力制御装置および車両の一例を示す略図である。
【
図2】本実施の形態にかかる駆動力制御装置のCPUの機能の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施の形態にかかる駆動力制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる駆動力制御装置および車両の一例を示す略図である。
図1において、車両100は、内燃機関110と、変速装置120と、制御装置130と、駆動輪140と、クランク角センサ151と、車速センサ152と、舵角センサ153を備える。また、内燃機関110は、クランク軸111を有する。変速装置120は、入力軸121と出力軸122を有する。制御装置130は、CPU131と、ROM132と、周辺回路133とを有する。
【0009】
内燃機関110のクランク軸111には、変速装置120の入力軸121が機械的に連結されている。変速装置120は、入力軸121の回転速度と出力軸122の回転速度との比である変速比を可変とする装置である。出力軸122は、駆動輪140に機械的に連結されている。
【0010】
制御装置130は、車両100を制御対象とし、その制御量であるヨーレート等を制御すべく、内燃機関110の操作部等を操作する。制御装置130は、制御量を制御するために、クランク角センサ151の出力信号Scrや、車速センサ152によって検出される車速V、舵角センサ153によって検出される操舵角δを参照する。
【0011】
制御装置130は、CPU(Central Processing Unit)131、ROM(Read Only Memory)132および周辺回路133が、電気配線によって通信可能とされているものである。ここで、周辺回路133は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。制御装置130は、ROM132に記憶されたプログラムをCPU131が実行することにより制御量を制御する。
【0012】
次に、CPU131において、トルク補正及びゲート制御の動作に関する構成について説明する。
図2は、本実施の形態にかかる駆動力制御装置のCPUの機能の一例を示すブロック図である。
図2においてCPU131は、駆動トルク補正部201と検知部202とを備える。
【0013】
駆動トルク補正部201は、車両の旋回挙動制御時において、前記車両のヨーレートをその目標値である目標ヨーレートに制御するための操作量としての駆動力の補正を行う。また、検知部202によってゲート遮断からの復帰が検知された場合、駆動トルク補正部201による補正を禁止する。
検知部202は、ゲート遮断からの復帰を検知する。
【0014】
次に制御装置130の動作について説明する。
図3は、本実施の形態にかかる駆動力制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3のステップS301において、ゲート遮断からのトルク制限復帰中か否か判断される。ゲート遮断からのトルク制限復帰中である場合、ステップS302に進む。ゲート遮断からのトルク制限復帰中ではない場合、処理を終了する。
【0015】
ステップS302において、ライントレース制御が禁止される。そして処理を終了する。
【0016】
このように、本実施の形態の車両の駆動力制御装置によれば、ゲート遮断からの復帰時は駆動トルク補正手段による補正を禁止することにより、意図しない挙動になってユーザーへの違和感につながることを抑制できる。
【0017】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施の形態では、HEV(Hybrid Electric Vehicle)に適用した例について述べているが、BEV(Battery Electric Vehicle)に適用することもできる。BEVの場合、内燃機関110の代わりに電動機が動力となる。
【0018】
例えば、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0019】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0020】
100 車両
110 内燃機関
111 クランク軸
120 変速装置
121 入力軸
122 出力軸
130 制御装置
133 周辺回路
140 駆動輪
151 クランク角センサ
152 車速センサ
153 舵角センサ
201 駆動トルク補正部
202 検知部