(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179046
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231212BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20231212BHJP
G06F 3/048 20130101ALI20231212BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06T19/00 600
G06F3/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092089
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢
(72)【発明者】
【氏名】藤原 桃子
(72)【発明者】
【氏名】京嶋 仁樹
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050CA07
5B050DA04
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA10
5B050FA14
5E555AA33
5E555AA63
5E555BA02
5E555BA04
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC13
5E555CA10
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB21
5E555CC01
5E555DA01
5E555DA23
5E555DB03
5E555DB41
5E555DC09
5E555DC84
5E555DD02
5E555DD06
5E555EA07
5E555EA08
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】対象物と撮影装置との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、対象物と撮影装置との間の角度が特定の角度に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、同時に実行する場合と比べて、ユーザが対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に容易に保持するための補助を提供することを目的とする。
【解決手段】プロセッサは、撮影装置によって撮影される対象物に対する撮影装置の姿勢が特定の姿勢に保持されるように撮影装置に対してユーザによって行われる複数の操作のうち、第1操作を補助するための第1機能を実行し、第1操作が終了した場合、複数の操作のうち第1操作の次の第2操作を補助するための第2機能を実行する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
撮影装置によって撮影される対象物に対する前記撮影装置の姿勢が特定の姿勢に保持されるように前記撮影装置に対してユーザによって行われる複数の操作のうち、第1操作を補助するための第1機能を実行し、
前記第1操作が終了した場合、前記複数の操作のうち前記第1操作の次の第2操作を補助するための第2機能を実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1機能が実行されている時間が閾値以上になった場合、前記第2機能を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1機能は、前記第1操作を補助するための第1ガイドを図形、文字列又は音声として出力する機能を含み、
前記第2機能は、前記第2操作を補助するための第2ガイドを図形、文字列又は音声として出力する機能を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1機能は、前記第1ガイドをディスプレイに表示させる機能であり、
前記第2機能は、前記第2ガイドを前記ディスプレイに表示させる機能であり、
前記プロセッサは、
前記第2機能を実行することで、前記第1ガイド内に前記第2ガイドを表示する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記複数の操作の中の少なくとも1つの操作が終了した場合、そのことを表す強調処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第1操作が終了した場合、そのことを表す第1強調処理を実行し、
前記第2操作が終了した場合、そのことを表す強調処理であって前記第1強調処理とは異なる第2強調処理を実行する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第1操作が終了した後、前記第2操作が行われているときに前記第1操作によって保持される姿勢にずれが生じた場合、操作が終了したときに実行される強調処理とは異なる強調処理を実行する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記第1操作が終了した後、前記第2操作が行われているときに前記第1操作によって保持される姿勢にずれが生じた場合、ユーザに前記第1操作を行わせるための案内を行う、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1操作又は前記第2操作がユーザによって行われているときに前記撮影装置による撮影によって複数の照合画像が取得され、
前記撮影装置によって前記複数の照合画像が取得された後に、前記複数の照合画像と、前記対象物を識別するための登録画像と、が照合される、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1操作又は前記第2操作がユーザによって行われているときに前記撮影装置によって照合画像が取得され、
前記撮影装置によって前記照合画像が取得される度に、前記照合画像と、前記対象物を識別するための登録画像と、が照合される、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが、
撮影装置によって撮影される対象物に対する前記撮影装置の姿勢が特定の姿勢に保持されるように前記撮影装置に対してユーザによって行われる複数の操作のうち、第1操作を補助するための第1機能を実行し、
前記第1操作が終了した場合、前記複数の操作のうち前記第1操作の次の第2操作を補助するための第2機能を実行する、
ように動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、偽造防止媒体を観察角度で観察した際の当該偽造防止媒体の形状を示す観察対象形状画像を表示画面に表示し、観察対象形状画像と表示画面における撮像対象の偽造防止媒体の外径形状との形状類似度を算出し、形状類似度が形状閾値以上であるか否かによって、画像撮像装置の観察角度及び観察位置が正しいか否かの判定を行う識別装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、対象物を撮影装置によって撮影する場合、対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に合わせる操作が行われることがある。例えば、対象物と撮影装置との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるように撮影装置に対するユーザの第1操作を補助するガイドと、対象物と撮影装置との間の角度が特定の角度に保持されるように撮影装置に対するユーザの第2操作を補助するガイドとを、同時に出力することが考えられる。例えば、ガイドを表示したり、ガイドを音声として出力したり、ガイドを文字列として表示したりすることが考えられる。具体的には、第1操作を補助するためのガイドと第2操作を補助するためのガイドとを同時に表示することが考えられる。この場合、ユーザにおいて第1操作と第2操作とを同時に行って、対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に合わせることは困難である。
【0005】
本発明の目的は、対象物と撮影装置との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、対象物と撮影装置との間の角度が特定の角度に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、同時に実行する場合と比べて、ユーザが対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に容易に保持するための補助を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、撮影装置によって撮影される対象物に対する前記撮影装置の姿勢が特定の姿勢に保持されるように前記撮影装置に対してユーザによって行われる複数の操作のうち、第1操作を補助するための第1機能を実行し、前記第1操作が終了した場合、前記複数の操作のうち前記第1操作の次の第2操作を補助するための第2機能を実行する、情報処理装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、前記第1機能が実行されている時間が閾値以上になった場合、前記第2機能を実行する、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記第1機能は、前記第1操作を補助するための第1ガイドを図形、文字列又は音声として出力する機能を含み、前記第2機能は、前記第2操作を補助するための第2ガイドを図形、文字列又は音声として出力する機能を含む、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記第1機能は、前記第1ガイドをディスプレイに表示させる機能であり、前記第2機能は、前記第2ガイドを前記ディスプレイに表示させる機能であり、前記プロセッサは、前記第2機能を実行することで、前記第1ガイド内に前記第2ガイドを表示する、請求項3に記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記プロセッサは、前記複数の操作の中の少なくとも1つの操作が終了した場合、そのことを表す強調処理を実行する、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記プロセッサは、前記第1操作が終了した場合、そのことを表す第1強調処理を実行し、前記第2操作が終了した場合、そのことを表す強調処理であって前記第1強調処理とは異なる第2強調処理を実行する、請求項5に記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、前記第1操作が終了した後、前記第2操作が行われているときに前記第1操作によって保持される姿勢にずれが生じた場合、操作が終了したときに実行される強調処理とは異なる強調処理を実行する、請求項5に記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項8に係る発明は、前記プロセッサは、前記第1操作が終了した後、前記第2操作が行われているときに前記第1操作によって保持される姿勢にずれが生じた場合、ユーザに前記第1操作を行わせるための案内を行う、請求項7に記載の情報処理装置である。
【0014】
請求項9に係る発明は、前記第1操作又は前記第2操作がユーザによって行われているときに前記撮影装置による撮影によって複数の照合画像が取得され、前記撮影装置によって前記複数の照合画像が取得された後に、前記複数の照合画像と、前記対象物を識別するための登録画像と、が照合される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0015】
請求項10に係る発明は、前記第1操作又は前記第2操作がユーザによって行われているときに前記撮影装置によって照合画像が取得され、前記撮影装置によって前記照合画像が取得される度に、前記照合画像と、前記対象物を識別するための登録画像と、が照合される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0016】
請求項11に係る発明は、コンピュータが、撮影装置によって撮影される対象物に対する前記撮影装置の姿勢が特定の姿勢に保持されるように前記撮影装置に対してユーザによって行われる複数の操作のうち、第1操作を補助するための第1機能を実行し、前記第1操作が終了した場合、前記複数の操作のうち前記第1操作の次の第2操作を補助するための第2機能を実行する、ように動作させるプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1-3,11に係る発明によれば、対象物と撮影装置との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、対象物と撮影装置との間の角度が特定の角度に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、同時に実行する場合と比べて、ユーザが対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に容易に保持することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、第1ガイドの外側に第2ガイドを表示する場合と比べて、対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に保持するときのユーザの視線の移動量が少なくなる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、操作が終了したことをユーザに伝えることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、第1操作又は第2操作のいずれが終了したのかをユーザに伝えることができる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、対象物に対する撮影装置の姿勢にずれが生じたことをユーザに伝えることができる。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、第1操作をやり直すことをユーザに伝えることができる。
【0023】
請求項9に係る発明によれば、照合を誤判定する確率が低下する。
【0024】
請求項10に係る発明によれば、照合に要する時間が短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る個体識別システムの構成を示す図である。
【
図2】登録用撮影装置側から見たときの照合領域を示す図である。
【
図3】照合用撮影装置側から見たときの照合領域を示す図である。
【
図4】照合用撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】3次元空間上の照合用撮影装置と対象物とを示す図である。
【
図6】3次元空間上の照合用撮影装置と対象物とを示す図である。
【
図11】実施例1に係る処理の流れを説明するための図である。
【
図12】実施例2に係る処理の流れを説明するための図である。
【
図13】登録画像を取得するときの対象物に対する光の照射方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、対象物を撮影装置によって撮影する場合に、対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に保持する技術について説明する。
【0027】
ここでは一例として、個体識別システムを例に挙げて説明するが、実施形態は個体識別システムに限定されるものではなく、対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に保持する場合であれば、実施形態が適用されてもよい。
【0028】
個体識別システムは、登録画像と照合画像とを照合することで、対象物を一意に識別するシステムである。登録画像は、対象物を予め撮影することで取得される画像である。照合画像は、登録画像と照合するために対象物を撮影することで取得される画像である。
【0029】
例えば、対象物の表面の一部又は全部を表す画像が、その対象物の固有の情報として予め登録される。個体識別システムは、照合される対象物が登録されている対象物と同じであること、つまり照合される対象物が本物であることを一意に識別するシステムである。
【0030】
対象物の固有の情報は、例えば、微細な模様を有するランダムパターンである。ランダムパターンの具体例は、すりガラス状のような模様、金属や合成樹脂(例えばプラスチック等)に対する加工によって施された模様、シボ加工によって得られた皺模様、ランダムに編み込まれた模様、ランダムな微細ドットパターン、光輝体粒子を含むインクを用いた印刷によって形成されるパターン(例えばランダムな粒子分布を有するパターン)、又は、ホログラム等である。ランダムパターンは、意図せずに偶然に形成されたパターンであってもよいし、照合のために意図的に形成されたパターンであってもよい。ランダムパターンを光学的に読み取って情報として利用する技術は、人工物メトリクスの一例であるといえる。
【0031】
図1には、実施形態に係る個体識別システムの構成が示されている。個体識別システムは、実施形態に係る情報処理システムの一例である。
【0032】
実施形態に係る個体識別システムは、登録用撮影装置10と照合用撮影装置12と照合装置14とを含む。登録用撮影装置10は、対象物を表す登録画像を撮影する装置(例えば登録用の専用のカメラ)である。照合用撮影装置12は、登録画像と照合するための照合画像を撮影する装置(例えばカメラと光源とを含む装置)である。照合装置14は、登録画像と照合画像とを照合することで対象物を識別する装置である。
図1には、側面側から見たときの登録用撮影装置10と照合用撮影装置12とが示されている。
【0033】
例えば、登録用撮影装置10と照合装置14は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信経路を介して通信する。同様に、照合用撮影装置12と照合装置14は、インターネットやLAN等の通信経路を介して通信する。もちろん、登録用撮影装置10と照合装置14は、通信経路を介さずに、可搬性の記録媒体等の記憶装置(例えばハードディスクドライブやUSBメモリ等)を介してデータを出力したり受け付けたりしてもよい。同様に、照合用撮影装置12と照合装置14は、通信経路を介さずに、可搬性の記録媒体等の記憶装置(例えばハードディスクドライブやUSBメモリ等)を介してデータを出力したり受け付けたりしてもよい。
【0034】
LED(Light Emitting Diode)等の光源16から対象物18に対して光(以下、「入射光16a」と称する)が照射され、対象物18から反射した光(以下、「反射光16b」と称する)が登録用撮影装置10によって撮影される。これにより、対象物18を表す登録画像が取得される。例えば、登録用撮影装置10と光源16は、登録用の専用機材によって構成される。対象物18の表面には照合領域20が形成されており、対象物18を撮影することで照合領域20も撮影される。照合領域20は、上述したランダムパターンが形成された領域である。
【0035】
角度φは、入射光16aの入射角(つまり、対象物18の表面に垂直な直線と入射光16aとがなす角度)と、反射光16bの反射角(つまり、対象物18の表面に垂直な直線と反射光16bとがなす角度)と、の和である。登録画像を取得するときの距離WDは、登録用撮影装置10と対象物18との間の距離である。
【0036】
図2には、登録用撮影装置10側から見たときの照合領域20が示されている。
図2には、照合領域20を登録用撮影装置10側から見たときの登録用撮影装置10、光源16及び照合領域20の角度関係が示されている。
【0037】
ここで、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる3次元直交座標系を定義する。一例として、Z軸は、対象物18の表面に垂直な軸であり、対象物18の表面は、X軸とY軸とによって規定される平面(XY面)に平行な面である。また、照合領域20の中心が3次元直交座標系の原点として定められている。3次元直交座標系は、登録用撮影装置10に設定される。
【0038】
角度θsigは、上記の平面(XY面)上の角度であり、照合領域20上の位置(例えば中心)を頂点として、XY面上に投影された入射光16aと反射光16bとがなす角度である。つまり、角度θsigは、照合領域20上の位置を頂点として、XY面上に投影された光源16の位置と照合領域20上の位置とを結ぶ線分と、XY面上に投影された登録用撮影装置10の中心10aと照合領域20上の位置とを結ぶ線分と、がなす角度である。
【0039】
角度θlumiは、上記の平面(XY面)上の角度であり、照合領域20上の位置(例えば中心)を頂点として、XY面上に投影された入射光16aとX軸とがなす角度である。つまり、角度θlumiは、照合領域20上の位置を頂点として、XY面上に投影された光源16の位置と照合領域20上の位置とを結ぶ線分と、X軸と、がなす角度である。
【0040】
取得された登録画像は、照合装置14に出力され、照合装置14のメモリに記憶される。これにより、登録画像は、登録画像DB(データベース)に登録される。
【0041】
照合用撮影装置12は、例えば、スマートフォン、タブレットPC又は携帯電話等であり、LED等の光源22とカメラ24とを含む。光源22から対象物18に対して光(以下、「入射光22a」と称する)が照射され、対象物18から反射した光(以下、「反射光22b」と称する)がカメラ24によって撮影される。これにより、対象物18を表す照合画像が取得される。例えば、ユーザが照合用撮影装置12を操作して対象物18を撮影する。
【0042】
照合画像を取得するときの角度φは、入射光22aの入射角(つまり、対象物18の表面に垂直な直線と入射光22aとがなす角度)と、反射光22bの反射角(つまり、対象物18の表面に垂直な直線と反射光22bとがなす角度)との和であり、登録画像を取得するときの角度φと実質的に同一に設定される。その理由は、照合領域20に形成されたランダムパターンは光の照射方向によって変化するので、光源22、カメラ24及び対象物18の位置関係を、登録画像を取得するときの位置関係と実質的に同一に設定する必要があるからである。実質的に同一という概念の範疇には、照合画像を取得するときの角度φと登録画像を取得するときの角度φとが同一であること、及び、照合画像を取得するときの角度φと登録画像を取得するときの角度φとの差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0043】
照合画像を取得するときの距離WDは、照合用撮影装置12と対象物18との間の距離であり、登録画像を取得するときの距離WDと実質的に同一に設定される。実質的に同一という概念の範疇には、照合画像を取得するときの距離WDと登録画像を取得するときの距離WDとが同一であること、及び、照合画像を取得するときの距離WDと登録画像を取得するときの距離WDとの差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0044】
図3には、照合用撮影装置12側から見たときの照合領域20が示されている。
図3には、照合領域20を照合用撮影装置12側から見たときの光源22、カメラ24及び照合領域20の角度関係が示されている。
【0045】
ここで、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる3次元直交座標系を定義する。一例として、Z軸は、対象物18の表面に垂直な軸であり、対象物18の表面は、X軸とY軸とによって規定される平面(XY面)に平行な面である。また、照合領域20の中心が3次元直交座標系の原点として定められている。3次元直交座標系は、照合用撮影装置12に設定される。
【0046】
角度θsigは、上記の平面(XY面)上の角度であり、照合領域20上の位置(例えば中心)を頂点として、XY面上に投影された入射光22aと反射光22bとがなす角度である。つまり、角度θsigは、照合領域20上の位置を頂点として、XY面上に投影された光源22の位置と照合領域20上の位置とを結ぶ線分と、XY面上に投影されたカメラ24の中心24aと照合領域20上の位置とを結ぶ線分と、がなす角度である。
【0047】
角度θlumiは、上記の平面(XY面)上の角度であり、照合領域20上の位置(例えば中心)を頂点として、XY面上に投影された入射光22aとX軸とがなす角度である。つまり、角度θlumiは、照合領域20上の位置を頂点として、XY面上に投影された光源22の位置と照合領域20上の位置とを結ぶ線分と、X軸と、がなす角度である。
【0048】
照合画像を取得するときの角度θsigは、登録画像を取得するときの角度θsigと実質的に同一に設定される。実質的に同一という概念の範疇には、照合画像を取得するときの角度θsigと登録画像を取得するときの角度θsigとが同一であること、及び、照合画像を取得するときの角度θsigと登録画像を取得するときの角度θsigとの差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0049】
照合画像を取得するときの角度θlumiは、登録画像を取得するときの角度θlumiと実質的に同一に設定される。実質的に同一という概念の範疇には、照合画像を取得するときの角度θlumiと登録画像を取得するときの角度θlumiとが同一であること、及び、照合画像を取得するときの角度θlumiと登録画像を取得するときの角度θlumiとの角度の差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0050】
照合用撮影装置12はディスプレイ26を有する。ディスプレイ26には、カメラ24によって撮影された画像(例えば照合領域20を表す画像等)が表示される。
図3に示す例では、角度関係を説明するために便宜上、ディスプレイ26に光源22と中心24aとが示されているが、光源22と中心24aはディスプレイ26に表示されているわけではない。なお、光源22とカメラ24は、ディスプレイ26の反対側(つまり照合用撮影装置12の背面側)に設けられている。
【0051】
取得された照合画像は、照合装置14に出力される。照合用撮影装置12によって、照合画像から照合領域20を表す画像が抽出され、その抽出された画像が照合装置14に出力されてもよい。照合装置14は、登録画像と照合画像とを照合することで、照合画像に表されている対象物が、登録されている対象物と同じであるか否かを判定する。
【0052】
図4を参照して、照合用撮影装置12の構成について説明する。
図4は、照合用撮影装置12の構成を示すブロック図である。
【0053】
照合用撮影装置12は、光源22と、カメラ24と、センサ28と、通信装置30と、UI32と、メモリ34と、プロセッサ36とを含む。
【0054】
上述したように、光源22とカメラ24によって撮影が行われることで、照合画像が取得される。
【0055】
センサ28は、ジャイロセンサであり、角速度を検出する。センサ28によって、照合用撮影装置12の回転が検出される。センサ28は、加速度センサやGPS(Global Positioning System)モジュール等を含んでもよい。
【0056】
通信装置30は、通信チップや通信回路等を有する1又は複数の通信インターフェースを含み、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から情報を受信する機能を有する。通信装置30は、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等の無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。
【0057】
UI32はユーザインターフェースであり、ディスプレイ26と入力装置とを含む。ディスプレイ26は、液晶ディスプレイ又はELディスプレイ等である。入力装置は、キーボード、マウス、入力キー又は操作パネル等である。UI32は、ディスプレイ26と入力装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。また、UI32は、スピーカ及びマイクを含んでもよい。
【0058】
メモリ34は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ34は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、各種のメモリ(例えばRAM、DRAM、NVRAM、ROM、等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。
【0059】
プロセッサ36は、照合用撮影装置12の各部の動作を制御する。
【0060】
また、プロセッサ36は、対象物18に対する照合用撮影装置12の姿勢が特定の姿勢に保持されるように照合用撮影装置12に対するユーザによる複数の操作を補助する機能を実行する。特定の姿勢は、登録画像を取得したときの対象物18に対する登録用撮影装置10及び光源16の姿勢と実質的に同一である。例えば、プロセッサ36は、対象物18に対する照合用撮影装置12の姿勢が特定の姿勢と実質的に同一となるように、照合用撮影装置12に対するユーザの操作を補助する機能を実行する。姿勢が実質的に同一という概念の範疇には、登録画像を取得したときの対象物18に対する登録用撮影装置10及び光源16の姿勢と照合画像を取得したときの対象物18に対する照合用撮影装置12の姿勢とが同一であること、及び、登録画像を取得したときの対象物18に対する登録用撮影装置10及び光源16の姿勢と照合画像を取得したときの対象物18に対する照合用撮影装置12の姿勢との差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0061】
照合用撮影装置12の姿勢を特定の姿勢に保持するための操作が複数の保持操作に分割され、プロセッサ36は、ユーザによる当該複数の保持操作を補助する機能を実行する。各保持操作が実行される順番が定められ、プロセッサ36は、各保持操作がユーザによって順番に実行されるように各保持操作を補助する機能を実行する。プロセッサ36は、ある保持操作が終了した場合、当該保持操作の次の保持操作を補助する機能を実行する。プロセッサ36は、当該次の保持操作が終了した場合、更に次の保持操作を補助する機能を実行する。
【0062】
例えば、照合用撮影装置12の姿勢を特定の姿勢に保持するための操作は、保持操作A,B,Cを含み、操作を保持する機能は、保持操作Aを補助する補助機能A、保持操作Bを補助する補助機能B、及び、保持操作Cを補助する補助機能Cを含む。もちろん、この分割の例は一例にすぎず、照合用撮影装置12の姿勢を特定の姿勢に保持するための操作は、2つの保持操作に分割されてもよいし、4つ以上の保持操作に分割されてもよい。この場合であっても、個々の保持操作を補助するための補助機能が実行される。
【0063】
プロセッサ36は、補助機能A,B,Cを順番に実行することで、ユーザによる保持操作A,B,Cを順番に補助する。例えば、プロセッサ36は、保持操作Aが終了した後、補助機能Bを実行することでユーザによる保持操作Bを補助し、保持操作Bが終了した後、補助機能Cを実行することでユーザによる保持操作Cを補助する。この順番は一例に過ぎす、この順番とは異なる順番で各補助機能が実行されてもよい。ユーザによって順番が設定されてもよい。
【0064】
補助機能Aは、対象物18と照合用撮影装置12との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるように照合用撮影装置12に対するユーザの保持操作Aを補助する機能である。
【0065】
特定の位置関係は、対象物18が理想の撮影位置にて照合用撮影装置12によって撮影されるときの対象物18の位置とカメラ24の位置との関係であり、登録画像を取得したときの対象物18と登録用撮影装置10との位置関係に基づいて定められる。例えば、X軸、Y軸及びZ軸で構成される3次元直交座標系が定義される。対象物18の位置とカメラ24の位置はそれぞれ、その3次元直交座標系で表される3次元空間上での座標(x,y,z)である。保持操作Aは、X軸、Y軸又はZ軸に沿って照合用撮影装置12を移動させる操作である。
【0066】
補助機能B,Cは、対象物18と照合用撮影装置12との間の角度が特定の角度に保持されるように照合用撮影装置12に対するユーザの操作を補助する機能である。
【0067】
特定の角度は、照合用撮影装置12によって対象物18を撮影するときの理想の角度である。具体的には、特定の角度は、登録画像を取得したときの対象物18に対する登録用撮影装置10及び光源16の回転角度(具体的には、X軸を回転軸としたときの回転角度、Y軸を回転軸としたときの回転角度、及び、Z軸を回転軸としたときの回転角度)によって定められる。
【0068】
例えば、対象物18の表面に垂直な軸としてZ軸が定められる。Z軸回りの理想の回転角度は、対象物18が理想の撮影位置にて照合用撮影装置12によって撮影されるときのZ軸回りの回転角度である。
【0069】
補助機能Bは、対象物18に対する照合用撮影装置12のZ軸回りの回転角度が、Z軸回りの理想の回転角度に保持されるように、照合用撮影装置12に対するユーザの保持操作Bを補助する機能である。このときの回転角度は、正確には光源22とカメラ24の回転角度であり、登録画像を取得したときの角度θsig,θlumiに基づいて定められる。保持操作Bは、Z軸を回転軸として照合用撮影装置12を回転させる操作である。
【0070】
X軸回りの理想の回転角度は、対象物18が理想の撮影位置にて照合用撮影装置12によって撮影されるときのX軸回りの回転角度である。Y軸回りの理想の回転角度は、対象物18が理想の撮影位置にて照合用撮影装置12によって撮影されるときのY軸回りの回転角度である。
【0071】
補助機能Cは、対象物18に対する照合用撮影装置12のX軸回りの回転角度が、X軸回りの理想の回転角度に保持され、かつ、対象物18に対する照合用撮影装置12のY軸回りの回転角度が、Y軸回りの理想の回転角度に保持されるように、照合用撮影装置12に対するユーザの保持操作Cを補助する機能である。このときの回転角度は、正確には光源22とカメラ24の回転角度であり、登録画像を取得したときの角度φに基づいて定められる。保持操作Cは、X軸を回転軸として照合用撮影装置12を回転させる操作と、Y軸を回転軸として照合用撮影装置12を回転させる操作と、を含む。
【0072】
一例として、補助機能A,B,Cの順番で各補助機能が実行されるものとする。補助機能Aと補助機能Bとの間では、補助機能Aは補助機能Bよりも先に実行されるので、補助機能Aは第1機能に相当し、補助機能Bは第2機能に相当し、保持操作Aは第1操作に相当し、保持操作Bは第2操作に相当する。補助機能Bと補助機能Cとの間では、補助機能Bは補助機能Cよりも先に実行されるので、補助機能Bは第1操作に相当し、補助機能Cは第2機能に相当し、保持操作Bは第1操作に相当し、保持操作Cは第2操作に相当する。補助機能A,B,Cが実行される順番が変われば、それに応じて、各補助機能の関係及び各保持操作の関係も変わる。なお、補助機能B,Cが1つの補助機能として定められ、補助機能Aの後又は前に補助機能B,Cが同時に実行されてもよい。
【0073】
図5を参照して、理想の撮影位置について説明する。
図5には、3次元空間上の照合用撮影装置12と対象物18とが示されている。また、3次元直交座標系を構成するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。3次元空間上の理想の撮影位置は、照合用撮影装置12と対象物18との間の角度を一定の角度に保った状態での照合用撮影装置12の座標(x,y,z)である。登録画像を取得したときの登録用撮影装置10と対象物18との間の角度が0°であれば、その一定の角度は0°である。例えば、XY平面上で照合用撮影装置12を移動させると、ディスプレイ26上で対象物18が移動して表示され、Z軸に沿って照合用撮影装置12を移動させると、ディスプレイ26に表示されている対象物18の大きさが変わる。
【0074】
図6を参照して、理想の角度について説明する。
図6には、3次元空間上の照合用撮影装置12と対象物18とが示されている。また、3次元直交座標系を構成するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。3次元空間上の理想の角度は、照合用撮影装置12と対象物18との間の距離を一定の距離(例えば登録画像を取得したときの距離WD)に保った状態での回転角度(X軸を回転軸とする照合用撮影装置12の回転角度と、Y軸を回転軸とする照合用撮影装置12の回転角度と、Z軸を回転軸とする照合用撮影装置12の回転角度)である。
【0075】
なお、
図5に示されている3次元直交座標系と、
図6に示されている3次元直交座標系は、同一の座標系であってもよいし、異なる座標系であってもよい。各3次元直交座標系は、照合用撮影装置12毎に設定されてもよい。
【0076】
補助機能Aは、対象物18と照合用撮影装置12との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるようにユーザによる保持操作Aを静的又は動的に誘導する機能を含んでもよい。
【0077】
同様に、補助機能B,Cは、対象物18と照合用撮影装置12との間の角度が特定の角度に保持されるようにユーザによる保持操作B,Cを静的又は動的に誘導する機能を含んでもよい。
【0078】
補助機能Aは、対象物18と照合用撮影装置12との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるように、対象物18の全体、対象物18の一部又は理想の撮影位置を表す情報(例えば、領域、座標又はサイズ等の情報)を出力する機能を含む。
【0079】
例えば、補助機能Aは、保持操作Aを補助するためのガイドAを図形、文字列又は音声として出力する機能を含む。図形は、対象物18の外形の全体又は一部を模した枠、線、シンボルマーク又はその他の図形である。文字列は、ロゴ等であってもよい。補助機能Aは、理想の撮影位置を色、明暗差又はコントラスト差等によって強調して表示する機能を含んでもよい。具体的には、プロセッサ36は、ガイドAを表す図形や文字列をディスプレイ26に表示させてもよいし、ガイドAを表す音声をスピーカから発生させてもよい。プロセッサ36は、ガイドAを表す図形や文字列をディスプレイ26に表示させると共に、ガイドAを表す音声をスピーカから発生させてもよい。
【0080】
補助機能B,Cは、対象物18と照合用撮影装置12との間の角度が特定の角度に保持されるように、理想の角度を、対象物18の全体、対象物18の一部又は別の指標によって表現する機能を含む。例えば、補助機能Bは、保持操作Bを補助するためのガイドBを図形、文字列又は音声として出力する機能を含む。補助機能Cは、保持操作Cを補助するためのガイドCを図形、文字列又は音声として出力する機能を含む。図形は、対象物18の外形の全体又は一部を模した枠、線、シンボルマーク又はその他の図形である。文字列は、ロゴ等であってもよい。具体的には、プロセッサ36は、ガイドBを表す図形や文字列をディスプレイ26に表示させてもよいし、ガイドBを表す音声をスピーカから発生させてもよい。プロセッサ36は、ガイドBを表す図形や文字列をディスプレイ26に表示させると共に、ガイドBを表す音声をスピーカから発生させてもよい。同様に、プロセッサ36は、ガイドCを表す図形や文字列をディスプレイ26に表示させてもよいし、ガイドCを表す音声をスピーカから発生させてもよい。プロセッサ36は、ガイドCを表す図形や文字列をディスプレイ26に表示させると共に、ガイドCを表す音声をスピーカから発生させてもよい。補助機能Cは、照合用撮影装置12の回転状態を表す指標を図形(例えばシンボルマーク等)、文字列又は音声として出力する機能を含んでもよい。
【0081】
ガイドA,B,Cのそれぞれの出力の方法(例えば図形や文字列の表示、音声の出力)は同じであってもよいし、異なってもよい。
【0082】
保持操作Aを静的に誘導することは、例えば、静止した状態の図形や文字列を表示することである。保持操作Aを動的に誘導することは、例えば、照合用撮影装置12の動き(例えば、X軸、Y軸又はZ軸に沿った移動や、Z軸回りの回転)に合わせて音声によってガイドAを出力することである。
【0083】
保持操作B,Cを静的に誘導することは、例えば、静止した状態の図形や文字列を表示することである。保持操作B,Cを動的に誘導することは、例えば、照合用撮影装置12の回転量(例えば、X軸回りの回転量、Y軸回りの回転量、Z軸回りの回転量)を表す図形や文字列を表示することや、その回転量を表す音声を出力することである。例えば、ガイドCは、センサ28によって取得された情報を用いて照合用撮影装置12の状態を動的に表すガイドを含み、そのガイドを表示することが、保持操作Cを動的に誘導することの一例に相当する。
【0084】
上述したように、プロセッサ36は、ある保持操作が終了した後、次の保持操作を補助するための補助機能を実行する。保持操作が終了したという概念の範疇には、その保持操作によって保持されるべき姿勢に照合用撮影装置12が保持されたこと、ユーザが当該保持操作の次の保持操作の開始を指示したこと、及び、当該保持操作を補助するための補助機能が実行されている時間の長さが閾値以上になったことが含まれる。ユーザからの指示は、例えばUI32を介して照合用撮影装置12に与えられる。
【0085】
複数の保持操作の中の少なくとも1つの保持操作が終了した場合、プロセッサ36は、そのことを表す強調処理を実行してもよい。
【0086】
保持操作Aが終了した場合、プロセッサ36は、保持操作Aが終了したことを表す強調処理Aを実行する。具体的には、対象物に対する照合用撮影装置12の位置が理想の撮影位置と実質的に同一になった場合、プロセッサ36は、強調処理Aを実行する。位置が実質的に同一という概念の範疇には、対象物に対する照合用撮影装置12の位置が理想の撮影位置と同一であること、及び、それらの位置の差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0087】
ユーザの指示によって保持操作Aが終了した場合や、補助機能Aが実行されている時間の長さが閾値以上になって補助機能Aが終了した場合についても同様に、プロセッサ36は、強調処理Aを実行してもよい。もちろん、ユーザの指示によって補助機能Aが終了した場合や、補助機能Aが実行されている時間の長さが閾値以上になって補助機能Aが終了した場合に、プロセッサ36は、強調処理Aを実行しなくてもよい。
【0088】
強調処理Aは、例えば、ガイドAの表示色を変える処理、位置関係が特定の位置関係になったことを表す音や文字列を出力する処理、位置関係が特定の位置関係になったことを表す画像(例えばシンボルマーク等)を表示する処理、照合用撮影装置12を振動させる処理、照合用撮影装置12の照明を点滅させる処理(例えばディスプレイ26を点滅させる処理)、又は、これらの中の複数の処理の組み合わせである。
【0089】
保持操作Bが終了した場合、プロセッサ36は、保持操作Bが終了したことを表す強調処理Bを実行する。具体的には、プロセッサ36は、対象物に対する照合用撮影装置12のZ軸回りの回転角度が、Z軸回りの理想の回転角度と実質的に同一になった場合、プロセッサ36は、そのことを表す強調処理Bを実行する。回転角度が実質的に同一という概念の範疇には、対象物に対する照合用撮影装置12のZ軸回りの回転角度が、Z軸回りの理想の回転角度と同一であること、及び、それらの回転角度の差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0090】
ユーザの指示によって保持操作Bが終了した場合や、補助機能Bが実行されている時間の長さが閾値以上になって補助機能Bが終了した場合についても同様に、プロセッサ36は、強調処理Bを実行してもよい。もちろん、ユーザの指示によって補助機能Bが終了した場合や、補助機能Bが実行されている時間の長さが閾値以上になって補助機能Bが終了した場合に、プロセッサ36は、強調処理Bを実行しなくてもよい。
【0091】
強調処理Bは、例えば、ガイドBの表示色を変える処理、Z軸回りの回転角度が理想の回転角度になったことを表す音や文字列を出力する処理、Z軸回りの回転角度が理想の回転角度になったことを表す画像(例えばシンボルマーク等)を表示する処理、照合用撮影装置12を振動させる処理、照合用撮影装置12の照明を点滅させる処理、又は、これらの中の複数の処理の組み合わせである。
【0092】
保持操作Cが終了した場合、プロセッサ36は、保持操作Cが終了したことを表す強調処理Cを実行する。具体的には、プロセッサ36は、対象物に対する照合用撮影装置12のX軸回りの回転角度が、X軸回りの理想の回転角度と実質的に同一になり、かつ、Y軸回りの回転角度が、Y軸回りの理想の回転角度と実質的に同一になった場合、プロセッサ36は、そのことを表す強調処理Cを実行する。回転角度が実質的に同一という概念の範疇には、対象物に対する照合用撮影装置12のX軸回りの回転角度が、X軸回りの理想の回転角度と同一であること、及び、それらの回転角度の差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。Y軸回りの回転角度についても同様である。
【0093】
強調処理Cは、例えば、ガイドCの表示色を変える処理、X軸回り及びY軸回りのそれぞれの回転角度が理想の回転角度になったことを表す音や文字列を出力する処理、X軸回り及びY軸回りのそれぞれの回転角度が理想の回転角度になったことを表す画像(例えばシンボルマーク等)を表示する処理、照合用撮影装置12を振動させる処理、照合用撮影装置12の照明を点滅させる処理(例えばディスプレイ26を点滅させる処理)、又は、これらの中の複数の処理の組み合わせである。
【0094】
強調処理A,B,Cは、同じ処理であってもよいし、異なる処理であってもよい。例えば、強調処理AがガイドAの表示色を変える処理であり、強調処理BがガイドBの表示色を変える処理であり、強調処理Cが照合用撮影装置12を振動させる処理である。もちろん、これは一例に過ぎず、他の組み合わせであってもよい。強調処理A,B,Cが異なる処理である場合、これらが同じ処理である場合と比べて、ユーザは、保持操作A,B,Cのいずれが終了したのかを容易に認識することができる。
【0095】
保持操作A,B,Cの全てが終了した場合、プロセッサ36は、強調処理を実行してもよい。
【0096】
以下、
図7を参照して、照合装置14の構成について説明する。
図7は、照合装置14の構成を示すブロック図である。
【0097】
照合装置14は、通信装置38と、UI40と、メモリ42と、プロセッサ44とを含む。照合装置14は、例えば、パーソナルコンピュータ又はサーバ等の装置である。
【0098】
通信装置38は、通信チップや通信回路等を有する1又は複数の通信インターフェースを含み、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から情報を受信する機能を有する。通信装置38は、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等の無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。
【0099】
UI40はユーザインターフェースであり、ディスプレイと入力装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイ又はELディスプレイ等である。入力装置は、キーボード、マウス、入力キー又は操作パネル等である。UI40は、ディスプレイと入力装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0100】
メモリ42は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ42は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、各種のメモリ(例えばRAM、DRAM、NVRAM、ROM、等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。
【0101】
登録画像は、メモリ42に記憶される。例えば、登録画像DBがメモリ42によって構築され、対象物18を一意に特定するための識別情報(例えば識別ID等)と登録画像とが対応付けられて登録画像DBに登録される。
【0102】
プロセッサ44は、照合装置14の各部の動作を制御する。
【0103】
また、プロセッサ44は、登録用撮影装置10によって取得された登録画像を受けて、その登録画像と対象物18の識別情報とを対応付けて登録画像DBに登録する。また、プロセッサ44は、照合用撮影装置12によって取得された照合画像を受けて、その照合画像と登録画像DBに登録されている登録画像とを照合し、その照合の結果を示す情報を出力する。例えば、照合の結果を示す情報は、照合用撮影装置12に出力される。
【0104】
具体的には、プロセッサ44は、登録画像を登録画像DBから読み出して、読み出した登録画像と照合画像との間の類似度を算出する。類似度は、公知のアルゴリズムを用いて
算出される。算出された類似度が閾値を超えている場合、プロセッサ44は、登録画像と照合画像は一致すると判定する。算出された類似度が閾値を超えない場合、プロセッサ44は、登録画像と照合画像は一致しないと判定する。プロセッサ44は、その判定の結果を照合の結果として出力する。
【0105】
画像の照合には、撮影に用いられたカメラの入力における変動や量子化誤差等に起因する誤り率が存在する。誤り率は、真であるにも関わらず偽と判定しまう確率である誤拒否率と、偽であるにも関わらず真と判定しまう確率である誤受理率とによって構成される。両者はトレードオフの関係にあり、一方が減少すれば他方は増大する。したがって、照合の適用対象における損失が最も小さくなるように閾値が設定される。
【0106】
以下、
図8を参照して、ガイドAの具体例について説明する。
図8には、照合用撮影装置12のディスプレイ26が示されている。また、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる3次元直交座標系が照合用撮影装置12に設定されている。対象物46の表面に垂直な軸がZ軸として定義される。
【0107】
ここでは一例として、文字列「AB」(例えばロゴ等)が描かれている対象物46が、照合用撮影装置12のカメラ24によって撮影され、対象物46を表す画像がディスプレイ26に表示されている。
【0108】
プロセッサ36は、補助機能Aを実行することで、ガイド48aをディスプレイ26に表示させる。ガイド48aは、ガイドAの一例であり、対象物46の外形を模した枠状の図形である。ここでは一例として、対象物46の外形は円形であるため、ガイド48aは、円形の形状を有する。ディスプレイ26上においてガイド48aが表示される位置は、3次元空間上の理想の撮影位置に対応しており、理想の撮影位置にて登録用撮影装置10が対象物46を撮影したときの登録用撮影装置10の位置(x,y,z)に基づいて定められる。ガイド48aのサイズ(つまり枠のサイズ)は、登録用撮影装置10が対象物46を撮影したときの距離WDに基づいて定められる。なお、ガイド48aを表すデータは、登録用撮影装置10、照合用撮影装置12、照合装置14又は他の装置によって生成され、照合用撮影装置12のメモリ34に記憶される。
【0109】
ガイド48aは、3次元空間上にてカメラ24の位置を対象物46の位置に合わせるためのガイド(つまり保持操作Aを補助するためのガイド)として機能する。ガイド48aは、その位置合わせを静的に誘導するガイドである。
【0110】
ユーザは、ディスプレイ26上の対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致するように、照合用撮影装置12の位置(つまり3次元空間上の座標(x,y,z))を変える。つまり、ユーザは、X軸、Y軸又はZ軸に沿って照合用撮影装置12を移動させる。表示位置が実質的に一致という概念の範疇には、表示位置が一致すること、及び、表示位置の差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0111】
保持操作Aが終了した場合、プロセッサ36は、補助機能Bを実行することで、ガイドBを出力する。例えば、対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致した場合、プロセッサ36は、補助機能Bを実行する。ユーザが保持操作Bの開始を指示した場合(例えば、ユーザがディスプレイ26をタップした場合)、又は、補助機能Aが実行されている時間の長さが閾値以上になった場合、プロセッサ36は、補助機能Bを実行してもよい。
【0112】
以下、
図9を参照して、ガイドBの具体例について説明する。
図9には、照合用撮影装置12のディスが示されている。
【0113】
プロセッサ36は、補助機能Bを実行することで、ガイド48bをディスプレイ26に表示させる。ガイド48bは、ガイドBの一例であり、ガイド48a内に表示される。ガイド48bは、対象物46に描かれている文字列「AB」と同じ文字列である。XY平面内でのガイド48bの向き(つまりZ軸回りの回転角度)は、理想の撮影位置にて登録用撮影装置10が対象物46を撮影したときの、登録用撮影装置10のZ軸回りの回転角度に基づいて定められる。ガイド48bのサイズは、登録用撮影装置10が対象物46を撮影したときの距離WDに基づいて定められる。なお、ガイド48bを表すデータは、登録用撮影装置10、照合用撮影装置12、照合装置14又は他の装置によって生成され、照合用撮影装置12のメモリ34に記憶される。
【0114】
ガイド48bは、照合用撮影装置12のZ軸回りの回転角度を対象物46のZ軸回りの回転角度に合わせるためのガイド(つまり保持操作Bを補助するためのガイド)として機能する。また、ガイド48bの表示位置は、理想の撮影位置に基づいて定められるため、ガイド48bは、3次元空間上にてカメラ24の位置を対象物46の位置に合わせるガイドとして機能してもよい。ガイド48bは、その回転合わせを静的に誘導するガイドである。
【0115】
図9に示されている状態では、対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致している。しかし、対象物46に描かれている文字列「AB」の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致していない。この場合、ユーザは、対象物46に描かれている文字列「AB」の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致するように、照合用撮影装置12のZ軸回りの回転角度を変える。つまり、ユーザは、Z軸を回転軸として照合用撮影装置12を回転させる。向きが実質的に一致するという概念の範疇には、向きが一致すること、及び、向きの差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
【0116】
図10に示す状態では、対象物46の文字列の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致している。これにより、保持操作Bが終了する。
【0117】
なお、保持操作Aが終了した場合、プロセッサ36は、ガイド48bをディスプレイに表示させつつ、ガイド48aをディスプレイ26に表示させてもよい。
図9及び
図10に示されている例は、この例である。別の例として、保持操作Aが終了した場合、プロセッサ36は、ガイド48aをディスプレイ26に表示させなくてもよい。つまり、プロセッサ36は、終了した補助機能に対応するガイドを表示しなくてもよい。
【0118】
保持操作Bが終了した場合、プロセッサ36は、補助機能Cを実行することで、ガイドCを出力する。ガイドCについては後述する。
【0119】
図9に示す例では、プロセッサ36は、ガイドBとして機能するガイド48bを、ガイドAとして機能するガイド48a内に表示する。これにより、ガイドBはガイドA内に表示される。このように、ガイドBをガイドA内に表示することで、ガイドBをガイドAの外側に表示する場合と比べて、ガイドA,Bを見るときのユーザの視線の動きが少なくなる。プロセッサ36は、ガイドCをガイドA内に表示してもよい。
【0120】
以下、具体的な実施例について説明する。
【0121】
(実施例1)
図11を参照して実施例1について説明する。
図11には、照合用撮影装置12のディスプレイ26が示されている。また、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる3次元直交座標系が照合用撮影装置12に設定されている。対象物46の表面に垂直な軸がZ軸として定義される。
図8から
図10に示す例と同様に、対象物46が撮影される。
【0122】
ユーザが、照合用撮影装置12を操作して補助機能の実行を指示すると、照合用撮影装置12のプロセッサ36は、以下に説明する補助機能を実行する。例えば、ユーザが、照合用撮影装置12を操作して、補助機能を実現するアプリケーションソフトウェアの起動を指示すると、プロセッサ36は、当該アプリケーションソフトウェアを実行することで、補助機能を実行する。
【0123】
まず、照合用撮影装置12のカメラ24によって対象物46が撮影され、対象物46がディスプレイ26に表示される(ステップS01)。この状態のディスプレイ26の画面が初期画面である。
【0124】
対象物46がディスプレイ26に表示されている状態で、ユーザが照合用撮影装置12を操作して保持操作の開始を指示すると、プロセッサ36は、補助機能Aを実行することで、ガイド48aをディスプレイ26に表示させる(ステップS02)。例えば、ユーザが、ディスプレイ26の画面をタップしたり、音声によって操作の開始を指示したりすると、プロセッサ36は、ガイド48aをディスプレイ26に表示させる。
【0125】
ユーザは、ディスプレイ26上の対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致するように、照合用撮影装置12の位置(つまり3次元空間上の座標(x,y,z))を変える(ステップS03)。つまり、ユーザは、X軸、Y軸又はZ軸に沿って照合用撮影装置12を移動させる。この位置合わせの操作が保持操作Aである。
図11に示す例では、ステップS03の段階で、対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致している。この状態は、対象物46と照合用撮影装置12との間の位置関係が特定の位置関係に保持された状態であるといえる。対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致した場合、プロセッサ36は、保持操作Aが終了したと判断する。プロセッサ36は、強調処理A(例えばガイド48aの表示色を変える処理等)を実行してもよい。
【0126】
保持操作Aが終了した場合、プロセッサ36は、補助機能Bを実行することで、ガイド48bをディスプレイ26に表示させる(ステップS04)。なお、対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致しなくても、補助機能Aが実行されている時間が閾値以上になった場合や、ユーザが次の補助機能(例えば補助機能B)の実行を指示した場合に、プロセッサ36は、補助機能Bを実行してもよい。
図11に示す例では、ガイド48bはガイド48a内に表示されている。
【0127】
ユーザは、対象物46に描かれている文字列「AB」の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致するように、照合用撮影装置12のZ軸回りの回転角度を変える(ステップS05)。つまり、ユーザは、Z軸を回転軸として照合用撮影装置12を回転させる。この操作が保持操作Bである。
図11に示す例では、ステップS05の段階で、対象物46に描かれている文字列「AB」の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致している。この状態は、対象物46と照合用撮影装置12との間のZ軸回りの回転角度が特定の角度に保持された状態であるといえる。対象物46に描かれている文字列「AB」の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致した場合、プロセッサ36は、保持操作Bが終了したと判断する。プロセッサ36は、強調処理B(例えばガイド48bの表示色を変える処理等)を実行してもよい。
【0128】
保持操作Bが終了した場合、プロセッサ36は、補助機能Cを実行することで、ガイドCをディスプレイ26に表示させる(ステップS06)。例えば、座標軸図形50とマーク52がガイドCの一例であり、プロセッサ36は、座標軸図形50とマーク52とをディスプレイ26に表示させる。なお、対象物46に描かれている文字列「AB」の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致しなくても、補助機能Bが実行されている時間が閾値以上になった場合や、ユーザが次の補助機能(例えば補助機能C)の実行を指示した場合に、プロセッサ36は、補助機能Cを実行してもよい。以下、ガイドCについて説明する。
【0129】
座標軸図形50は、X軸を表すガイド50XとY軸を表すガイド50Yとを含む図形である。ガイド50Xとガイド50Yの交点50Cは、3次元直交座標系の原点である。ディスプレイ26上において交点50Cが表示される位置は、3次元空間上の理想の角度に基づいて定められる位置であり、具体的には、登録画像を取得したときの角度φに基づいて定められる。
【0130】
マーク52は、センサ28に含まれるジャイロセンサによって取得された照合用撮影装置12の回転角度(具体的には、X軸回りの回転角度とY軸回りの回転角度)を表す図形である。プロセッサ36は、ディスプレイ26上において、ジャイロセンサによって取得された回転角度に対応する位置にマーク52を表示する。照合用撮影装置12の向きが変えられると、その変化がジャイロセンサによって検出され、プロセッサ36は、その変化に応じてマーク52の表示位置を変える。
【0131】
マーク52の表示位置は、照合用撮影装置12の向きに応じて変わるため、マーク52は、X軸回り及びY軸回りにおける回転角度の合わせを動的に誘導するガイドである。座標軸図形50は、動的ガイドとして機能するマーク52に対する座標軸を表す静的なガイドである。以上のように、座標軸図形50とマーク52は、対象物46が理想の角度で照合用撮影装置12によって撮影されるようにユーザを誘導するガイドとして機能する。なお、座標軸図形50とマーク52を表すデータは、登録用撮影装置10、照合用撮影装置12、照合装置14又は他の装置によって生成され、照合用撮影装置12のメモリ34に記憶される。
【0132】
ユーザは、マーク52の表示位置と交点50Cの表示位置とが実質的に一致するように、照合用撮影装置12のX軸回り及びY軸回りのそれぞれの回転角度を変える(ステップS07)。表示位置が実質的に一致という概念の範疇には、表示位置が一致すること、及び、表示位置の差が許容範囲(例えば、登録画像と照合画像とを用いた照合の精度を目的の精度以上に確保することが可能な範囲)内に含まれることが含まれる。
図11に示す例では、ステップS07の段階で、マーク52の表示位置と交点50Cの表示位置とが実質的に一致している。この状態は、対象物46と照合用撮影装置12との間のX軸回りの回転角度が特定の角度に保持され、かつ、対象物46と照合用撮影装置12との間のY軸回りの回転角度が特定の角度に保持されている状態であるといえる。マーク52の表示位置と交点50Cの表示位置とが実質的に一致した場合、プロセッサ36は、保持操作Cが終了したと判断する。プロセッサ36は、強調処理C(例えばマーク52の表示色を変える処理等)を実行してもよい。
【0133】
ステップS07の段階においては、対象物46と照合用撮影装置12の間の位置関係は特定の位置関係であり、対象物46と照合用撮影装置12との間の角度は特定の角度であるといえる。つまり、照合用撮影装置12は理想の撮影位置に保持され、対象物46に対する照合用撮影装置12の角度が理想の角度に保持されたといえる。
【0134】
なお、プロセッサ36は、ガイドCの一例であるマーク52を、枠状のガイド48a内に表示してもよいし、ガイド48aの表示位置を基準として予め定められた範囲内に表示してもよい。
【0135】
上記の例では、ガイドA,B,Cがディスプレイ26に表示されるが、別の例として、プロセッサ36は、ガイドA,B,Cをディスプレイ26に表示させつつ、ガイドA,B,Cを音声によって出力してもよい。例えば、プロセッサ36は、対象物46の表示位置をガイド48aの表示位置に合わせるために照合用撮影装置12を移動させる方向及び量を音声として出力したり、対象物46に描かれている文字列の向きをガイド48bの向きに合わせるためのZ軸回りの回転角度を音声として出力したり、マーク52の表示位置を交点50Cに合わせるためのX軸回り及びY軸回りのそれぞれの回転角度を音声として出力したりする。もちろん、これらはガイドの出力の一例に過ぎず、プロセッサ36は、図形の表示、音声の出力又は文字列の表示等を任意に組み合わせてもよい。
【0136】
補助機能A,B,Cを順番に実行することで、ユーザは、保持操作A,B,Cを順番に実行して、対象物に対する照合用撮影装置12の姿勢を理想の姿勢に合わせることができる。これにより、補助機能A,B,Cを同時に実行して補助機能A,B,Cを同時に行う場合と比べて、対象物に対する照合用撮影装置12の姿勢を理想の姿勢に容易に合わせることができる。
【0137】
先の保持操作が終了した後、次の保持操作が行われているときに当該先の保持操作によって保持される姿勢にずれが生じた場合、プロセッサ36は、ユーザに当該先の保持操作を行わせるための案内を行ってもよい。
【0138】
当該案内は、先の保持操作を行うことをユーザに推奨するメッセージを出力すること(例えばメッセージを表示したり音声で案内したりすること)、先の補助機能の実行を行うためのボタンを表示すること、又は、強調処理を行うこと等である。当該案内のための強調処理は、上述した強調処理A,B,Cと異なる強調処理である。例えば、強調処理が振動である場合、プロセッサ36は、当該案内のための強調処理と強調処理A,B,Cとで振動の態様や程度(例えば振動の大きさや周波数等)を変える。
【0139】
例えば、対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致して保持操作Aが終了した後、次の保持操作Bが行われているときに、対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致しなくなった場合、プロセッサ36は、ユーザに保持操作Aを行わせるための案内を行う。対象物46の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致しなくなった状態が、保持操作Aによって保持される姿勢にずれが生じた状態である。例えば、プロセッサ36は、保持操作Aを行うことをユーザに推奨するメッセージをディスプレイ26に表示させる。
【0140】
同様に、対象物46に描かれている文字列の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致して保持操作Bが終了した後、次の保持操作Cが行われているときに、対象物46に描かれている文字列の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致しなくなった場合、プロセッサ36は、ユーザに保持操作Bを行わせるための案内を行う。対象物46に描かれている文字列の向きとガイド48bの向きとが実質的に一致しなくなった状態が、保持操作Bによって保持される姿勢にずれが生じた状態である。
【0141】
同様に、マーク52の表示位置と交点Cの表示位置とが実質的に一致して保持操作Cが終了した後、マーク52の表示位置と交点Cの表示位置とが実質的に一致しなくなった場合、プロセッサ36は、ユーザに保持操作Cを行わせるための案内を行う。マーク52の表示位置と交点Cの表示位置とが実質的に一致しなくなった状態が、保持操作Cによって保持される姿勢にずれが生じた状態である。
【0142】
対象物46がディスプレイ26に表示されなくなった場合や、位置ずれ量が閾値以上になった場合に、プロセッサ36は、前の保持操作の案内を行ってもよい。
【0143】
図11に示す例では、補助機能A,B,Cの順番で各補助機能が実行されるが、この順番は一例であり、任意に変更されてもよい。また、ユーザが照合用撮影装置12を操作することで、その順番を設定してもよい。
【0144】
(実施例2)
図12を参照して実施例2について説明する。
図12には、照合用撮影装置12のディスプレイ26が示されている。また、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる3次元直交座標系が照合用撮影装置12に設定されている。対象物46の表面に垂直な軸がZ軸として定義される。
図8から
図10に示す例と同様に、対象物46が撮影される。
【0145】
ユーザが、照合用撮影装置12を操作して補助機能の実行を指示すると、照合用撮影装置12のプロセッサ36は、以下に説明する補助機能を実行する。
【0146】
まず、照合用撮影装置12のカメラ24によって対象物46が撮影され、対象物46がディスプレイ26に表示される(ステップS11)。この状態のディスプレイ26の画面が初期画面である。
【0147】
対象物46がディスプレイ26に表示されている状態で、ユーザが照合用撮影装置12を操作して保持操作の開始を指示すると、プロセッサ36は、補助機能Aを実行することで、ガイドAの一例であるガイド53をディスプレイ26に表示させる(ステップS12)。例えば、ユーザが、ディスプレイ26の画面をタップしたり、音声によって操作の開始を指示したりすると、プロセッサ36は、ガイド53をディスプレイ26に表示させる。
【0148】
ガイド53は、矩形の枠状の形状を有する。ガイド53は、理想の撮影位置に対応する位置に表示される。ここでは一例として、ガイド53の大きさは、照合用撮影装置12が理想の撮影位置に設置されたときに表示される対象物46の大きさよりも大きいが、この大きさは一例に過ぎない。対象物46がガイド53に内接するようにガイド53の大きさが定められてもよいし、ガイド53の大きさは対象物46の大きさよりも小さくてもよい。
【0149】
また、ガイド53内の領域は特定の色で表示される。
図12に示す例では、特定の色は黄色であるが、別の色であってもよい。
【0150】
また、プロセッサ36は、対象物46がガイド53内に表示されるようにユーザの保持操作Aを補助するメッセージ(例えば「黄色い枠にいれてください」)をディスプレイ26に表示させる。もちろん、プロセッサ36は、当該メッセージを表示しなくてもよいし、当該メッセージを音声として出力してもよい。
【0151】
ユーザは、ディスプレイ26上の対象物46の表示位置とガイド53の表示位置とが実質的に一致するように、照合用撮影装置12の位置(つまり3次元空間上の座標(x,y,z))を変える(ステップS13)。具体的には、ユーザは、対象物46がガイド53内に表示されるように照合用撮影装置12の位置を変える。この操作が保持操作Aである。
図12に示す例では、ステップS13の段階で、対象物46がガイド53内に表示されている。この状態は、対象物46と照合用撮影装置12との間の位置関係が特定の位置関係に保持された状態であるといえる。対象物46がガイド53内に表示された場合、プロセッサ36は、保持操作Aが終了したと判断する。プロセッサ36は、強調処理A(例えばガイド53の表示色を変える処理等)を実行してもよい。
【0152】
保持操作Aが終了した場合、プロセッサ36は、補助機能Bを実行することでガイドBを出力する(ステップS14)。ここでは一例として、プロセッサ36は、ガイドBの出力として、Z軸を回転軸として照合用撮影装置12を回転させる方向とその回転の量(つまり回転角度)とを示すメッセージ54をディスプレイ26に表示させる。プロセッサ36は、メッセージ54を音声として出力してもよい。プロセッサ36は、回転方向を示す図形(例えば矢印等)をディスプレイ26に表示させてもよい。
【0153】
ユーザは、メッセージ54に従って、照合用撮影装置12のZ軸回りの回転角度を変える(ステップS15)。この操作が保持操作Bである。
図12に示す例では、ステップS15の段階で、対象物46と照合用撮影装置12との間のZ軸回りの回転角度が特定の角度に保持されている。この場合、プロセッサ36は、保持操作Bが終了したと判断する。プロセッサ36は、強調処理Bを実行してもよい。
【0154】
保持操作Bが終了した場合、プロセッサ36は、補助機能Cを実行する。例えば、プロセッサ36は、
図11に示されている座標軸図形50とマーク52とをディスプレイ26に表示させる。ユーザは、
図11に示されているステップS07に係る操作と同様に保持操作Cを行う。
【0155】
(実施例3)
以下、
図13及び
図14を参照して実施例3について説明する。
図13は、対象物56をZ方向から見たときの図である。
図14は、登録画像と照合画像とを示す図である。
【0156】
実施例3では、補助機能Bは実行されず、補助機能A,Cが実行される。したがって、保持操作Bが実行されず、保持操作A,Cが実行される。
【0157】
実施例3に係る対象物56は、ロゴ等の文字列が描かれていない物体である。ここでは一例として、対象物56は、円形の形状を有する物体である。
【0158】
このような対象物56の登録画像を取得する場合、複数の異なる照射方向から対象物56に対して光を照射して対象物56を撮影することで、光の照射方向が異なる複数の登録画像を取得する。
【0159】
例えば、対象物56の表面に垂直な軸をZ軸として定義し、Z軸回りの回転角度を角度θと定義する。
図13に示されているθ1~θ12は、登録画像を取得するときの光源16のZ軸回りの角度を示している。
図13に示す例では、対象物56の登録画像を取得するときに、対象物56を12回撮影することで、光の照射方向が異なる12個の登録画像を取得する。具体的には、角度θ1は、1回目の撮影を行うときに光源16が配置される角度であり、角度θ2は、2回目の撮影を行うときに光源16が配置される角度である。角度θ3~θ12についても同様である。12個の登録画像は、照合装置14に出力されて照合装置14のメモリ42に記憶される。これにより、12個の登録画像が登録画像DBに登録される。なお、角度θ1~θ12は一例に過ぎず、登録画像を取得するときの撮影の回数は、12回に限定されるものではない。対象物56の形状、サイズ又はランダムパターンの種類等に応じて、撮影の回数が定められてもよい。
【0160】
実施例3では、補助機能Aが実行されることでガイドAが出力され、ユーザは、ガイドAに従って保持操作Aを行う。例えば、実施例1に係るガイド48a又は実施例2に係るガイド53が、ガイドAとして表示される。保持操作Aが終了した場合、補助機能Cが実行されることでガイドCが出力され、ユーザは、ガイドCに従って保持操作Cを行う。例えば、実施例1に係る座標軸図形50とマーク52が、ガイドCとして表示される。補助機能Cが補助機能Aよりも先に実行されてもよい。
【0161】
例えば、対象物56の表示位置とガイド48aの表示位置とが実質的に一致し、かつ、マーク52の表示位置と交点50Cの表示位置とが実質的に一致した場合、保持操作の全部が終了する。例えば、この状態で、カメラ24によって対象物56の照合画像が取得される。
【0162】
照合画像は、照合用撮影装置12から照合装置14に出力される。照合装置14のプロセッサ44は、様々な角度θから撮影した複数の登録画像と照合画像とを照合する。
【0163】
図14には、その照合の一例が示されている。上述した例では、対象物56の登録時に12個の登録画像が取得されているため、プロセッサ44は、12個の登録画像と照合画像とを照合する。
【0164】
なお、プロセッサ44は、照合画像から検出された輝点又は照合画像の輝度分布から、光の照射方向を特定し、複数の登録画像のうちその特定した照射方向と同じ照射方向で撮影された登録画像を特定し、その特定した登録画像と照合画像とを照合してもよい。
【0165】
(照合の方法)
以下、
図15及び
図16を参照して、登録画像と照合画像とを照合する方法の具体例について説明する。
図15及び
図16には、登録画像と照合画像とが示されている。
図15は、照合方法1を説明するための図である。
図16は、照合方法2を説明するための図である。
【0166】
照合方法1では、照合用撮影装置12によって複数の照合画像が取得された後に、当該複数の照合画像のそれぞれと登録画像とが照合される。例えば、実施例1,2では保持操作A,B,Cが行われているときに、照合用撮影装置12のカメラ24は、常時又は一定の時間間隔で、対象物を撮影することで、複数の照合画像を取得する。実施例3では保持操作A,Cが行われているときに、常時又は一定の時間間隔で、複数の照合画像が取得される。取得された複数の照合画像は、照合用撮影装置12のメモリ34に記憶される。なお、ユーザの指示によって、撮影が一時的に停止されてもよい。取得された複数の照合画像は、まとめて照合用撮影装置12から照合装置14に送信される。例えば、全ての保持操作が終了した場合(例えば、実施例1,2では保持操作A,B,Cが終了した場合、実施例3では保持操作A,Cが終了した場合)、又は、ユーザが照合画像の送信を指示した場合、プロセッサ36は、メモリ34に記憶されている複数の照合画像を照合装置14に送信する。このように、照合用撮影装置12は、照合画像を撮り溜めし、撮り溜めした複数の照合画像を照合装置14に送信する。照合装置14のプロセッサ44は、当該複数の照合画像のそれぞれと登録画像とを照合し、照合の結果を照合用撮影装置12に送信する。これにより、撮り溜めされた複数の照合画像を用いた照合の結果が、照合用撮影装置12に出力される。撮り溜めされた複数の照合画像を用いて照合することで、誤判定の確率が低下する。この場合、プロセッサ44は、登録画像と一致した照合画像を示す情報を、照合の結果として、照合用撮影装置12に送信してもよい。
【0167】
照合方法2では、照合用撮影装置12によって照合画像が取得される度に、その取得された照合画像と登録画像とが照合される。例えば、実施例1,2では保持操作A,B,Cが行われているときに、照合用撮影装置12のカメラ24は、常時又は一定の時間間隔で、対象物を撮影することで照合画像を取得し、プロセッサ36は、照合画像が取得される度に、その照合画像を照合装置14に送信する。実施例3では保持操作A,Cが行われているときに、常時又は一定の時間間隔で、照合画像が取得されて照合装置14に送信される。なお、ユーザの指示によって、撮影が一時的に停止されてもよい。照合装置14のプロセッサ44は、照合用撮影装置12から送信される照合画像を受ける度に、その受けた照合画像と登録画像とを照合し、その照合の結果を照合用撮影装置12に送信する。これにより、保持操作が行われている最中に、照合の結果がユーザに提供されるので、照合に要する時間が短縮される。
【0168】
別の照合方法として、保持操作が行われているときに、ユーザが照合用撮影装置12を用いて照合を指示した場合、プロセッサ36は、その指示が与えられるまでに取得された1又は複数の照合画像を照合装置14に送信してもよい。このとき、ユーザは、照合の対象となる照合画像を選択してもよい。照合装置14のプロセッサ44は、照合用撮影装置12から送信された1又は複数の照合画像と登録画像とを照合し、その照合の結果を照合用撮影装置12に送信する。
【0169】
更に別の照合方法として、対象物と照合用撮影装置12との間の位置関係が特定の位置関係になり、かつ、対象物に対する照合用撮影装置12の角度が特定の角度になった場合、プロセッサ36は、カメラ24を制御することで、カメラ24に対象物を撮影させてもよい。プロセッサ36は、その撮影によって取得された照合画像を照合装置14に送信する。照合装置14は、照合用撮影装置12から送信された照合画像と登録画像とを照合し、その照合の結果を照合用撮影装置12に送信する。理想の撮影位置及び理想の角度で対象物を撮影することで取得された照合画像を用いて照合することで、それ以外の条件で取得された照合画像を用いて照合する場合と比べて、照合の精度が向上する。つまり、照合の精度を向上させることができる照合画像が取得される。
【0170】
なお、照合用撮影装置12のプロセッサ36が、登録画像と照合画像とを照合してもよい。例えば、プロセッサ36は、照合画像が取得されると、登録画像を照合装置14から取得し、登録画像と照合画像とを照合する。なお、登録画像は、照合装置14に記憶されずに、他の装置(例えば画像サーバ等)に記憶され、照合用撮影装置12は、当該他の装置から登録画像を取得してもよい。
【0171】
上記の照合用撮影装置12及び照合装置14のそれぞれは、一例としてハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。例えば、各装置のプロセッサが、各装置のメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで、各装置の機能が実現される。プログラムは、CD又はDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、メモリに記憶される。
【0172】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0173】
(付記)
(((1)))
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
撮影装置によって撮影される対象物に対する前記撮影装置の姿勢が特定の姿勢に保持されるように前記撮影装置に対してユーザによって行われる複数の操作のうち、第1操作を補助するための第1機能を実行し、
前記第1操作が終了した場合、前記複数の操作のうち前記第1操作の次の第2操作を補助するための第2機能を実行する、
情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、
前記第1機能が実行されている時間が閾値以上になった場合、前記第2機能を実行する、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記第1機能は、前記第1操作を補助するための第1ガイドを図形、文字列又は音声として出力する機能を含み、
前記第2機能は、前記第2操作を補助するための第2ガイドを図形、文字列又は音声として出力する機能を含む、
(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記第1機能は、前記第1ガイドをディスプレイに表示させる機能であり、
前記第2機能は、前記第2ガイドを前記ディスプレイに表示させる機能であり、
前記プロセッサは、
前記第2機能を実行することで、前記第1ガイド内に前記第2ガイドを表示する、
(((3)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記複数の操作の中の少なくとも1つの操作が終了した場合、そのことを表す強調処理を実行する、
(((1)))から(((4)))のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記第1操作が終了した場合、そのことを表す第1強調処理を実行し、
前記第2操作が終了した場合、そのことを表す強調処理であって前記第1強調処理とは異なる第2強調処理を実行する、
(((1)))から(((5)))のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記第1操作が終了した後、前記第2操作が行われているときに前記第1操作によって保持される姿勢にずれが生じた場合、操作が終了したときに実行される強調処理とは異なる強調処理を実行する、
(((1)))から(((6)))のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(((8)))
前記プロセッサは、
前記第1操作が終了した後、前記第2操作が行われているときに前記第1操作によって保持される姿勢にずれが生じた場合、ユーザに前記第1操作を行わせるための案内を行う、
(((1)))から(((7)))のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(((9)))
前記第1操作又は前記第2操作がユーザによって行われているときに前記撮影装置による撮影によって複数の照合画像が取得され、
前記撮影装置によって前記複数の照合画像が取得された後に、前記複数の照合画像と、前記対象物を識別するための登録画像と、が照合される、
(((1)))から(((8)))のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(((10)))
前記第1操作又は前記第2操作がユーザによって行われているときに前記撮影装置によって照合画像が取得され、
前記撮影装置によって前記照合画像が取得される度に、前記照合画像と、前記対象物を識別するための登録画像と、が照合される、
(((1)))から(((8)))のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(((11)))
コンピュータが、
撮影装置によって撮影される対象物に対する前記撮影装置の姿勢が特定の姿勢に保持されるように前記撮影装置に対してユーザによって行われる複数の操作のうち、第1操作を補助するための第1機能を実行し、
前記第1操作が終了した場合、前記複数の操作のうち前記第1操作の次の第2操作を補助するための第2機能を実行する、
ように動作させるプログラム。
【0174】
(((1)))-(((3))),(((11)))に係る発明によれば、対象物と撮影装置との間の位置関係が特定の位置関係に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、対象物と撮影装置との間の角度が特定の角度に保持されるように撮影装置に対するユーザの操作を補助する機能と、同時に実行する場合と比べて、ユーザが対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に容易に保持することができる。
(((4)))に係る発明によれば、第1ガイドの外側に第2ガイドを表示する場合と比べて、対象物に対する撮影装置の姿勢を特定の姿勢に保持するときのユーザの視線の移動量が少なくなる。
(((5)))に係る発明によれば、操作が終了したことをユーザに伝えることができる。
(((6)))に係る発明によれば、第1操作又は第2操作のいずれが終了したのかをユーザに伝えることができる。
(((7)))に係る発明によれば、対象物に対する撮影装置の姿勢にずれが生じたことをユーザに伝えることができる。
(((8)))に係る発明によれば、第1操作をやり直すことをユーザに伝えることができる。
(((9)))に係る発明によれば、照合を誤判定する確率が低下する。
(((10)))に係る発明によれば、照合に要する時間が短縮する。
【符号の説明】
【0175】
10 登録用撮影装置、12 照合用撮影装置、14 照合装置、36 プロセッサ。