(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179082
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ロータコア、回転電機、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20231212BHJP
H02K 1/22 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092142
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】古郡 彩実
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA01
5H601CC15
5H601FF04
5H601GA24
5H601GA31
5H622CA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロータコアの剛性を確保しつつ、ロータコアをより軽量化する。
【解決手段】本発明のロータコア30の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータのロータコア30であって、周方向に互いに隣り合う一対の第1マグネット穴51aをそれぞれ有し、周方向に並んで配置された複数のマグネット保持部31と、第1マグネット穴51aの径方向内側に位置する部分を有し、ロータコア30を軸方向に貫通する第1貫通孔90a、90bと、を有する。一対の第1マグネット穴51aは、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。第1貫通孔90a、91bは、軸方向に見て、周方向に隣り合うマグネット保持部31同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる仮想線Lqと重なる位置に設けられ、かつ、仮想線Lqを挟んで非対称な形状である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータのロータコアであって、
周方向に互いに隣り合う一対の第1マグネット穴をそれぞれ有し、周方向に並んで配置された複数のマグネット保持部と、
前記第1マグネット穴の径方向内側に位置する部分を有し、前記ロータコアを軸方向に貫通する第1貫通孔と、
を有し、
前記一対の第1マグネット穴は、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、
前記第1貫通孔は、軸方向に見て、周方向に隣り合う前記マグネット保持部同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる仮想線と重なる位置に設けられ、かつ、前記仮想線を挟んで非対称な形状である、ロータコア。
【請求項2】
軸方向に見たときに、前記第1貫通孔の内壁は、
前記第1貫通孔の内壁のうち最も径方向外側に位置する第1接続部と、
前記第1接続部の周方向一方側に繋がり前記第1接続部から径方向内側に延びる第1内壁部と、
前記第1接続部の周方向他方側に繋がり前記第1接続部から径方向内側に延びる第2内壁部と、
前記第2内壁部の径方向内側の端部に繋がる第2接続部と、
前記第2接続部を介して前記第2内壁部に繋がり、前記第2接続部から周方向において前記第1内壁部に近づく向きに延びる第3内壁部と、
前記第3内壁部のうち前記第2接続部に繋がる側と逆側の端部に繋がる第3接続部と、
前記第3接続部を介して前記第3内壁部に繋がる第4内壁部と、
前記第4内壁部のうち前記第3接続部に繋がる側と逆側の端部に繋がる第4接続部と、
前記第4接続部を介して前記第4内壁部に繋がり、前記第3内壁部よりも径方向内側に位置する第5内壁部と、
前記第5内壁部のうち前記第4接続部に繋がる側と逆側の端部に繋がる第5接続部と、
前記第1内壁部の径方向内側の端部に繋がる第6接続部と、
径方向に延び、前記第5接続部を介して前記第5内壁部に繋がり、かつ、前記第6接続部を介して前記第1内壁部に繋がる第6内壁部と、
を有する、請求項1に記載のロータコア。
【請求項3】
前記第1接続部は、軸方向に見て、少なくとも一部が前記仮想線と重なる位置に設けられており、
前記第1内壁部と前記第2内壁部とは、軸方向に見て、前記第1接続部から径方向内側に向かうに従って互いに周方向に離れる向きに延びている、請求項2に記載のロータコア。
【請求項4】
前記第1接続部、前記第2接続部、前記第4接続部、前記第5接続部、および前記第6接続部は、軸方向に見て、前記第1貫通孔の外側に向かって窪む円弧状であり、
前記第3接続部は、軸方向に見て、前記第1貫通孔の内側に向かって突出する円弧状である、請求項2に記載のロータコア。
【請求項5】
前記第1接続部の曲率半径と前記第2接続部の曲率半径とは、互いに同じである、請求項4に記載のロータコア。
【請求項6】
前記第4接続部の曲率半径と前記第5接続部の曲率半径と前記第6接続部の曲率半径とは、互いに同じである、請求項4に記載のロータコア。
【請求項7】
前記第3接続部の曲率半径は、前記第4接続部の曲率半径、前記第5接続部の曲率半径、および前記第6接続部の曲率半径よりも小さい、請求項4に記載のロータコア。
【請求項8】
前記第4接続部の曲率半径、前記第5接続部の曲率半径、および前記第6接続部の曲率半径は、前記第1接続部の曲率半径および前記第2接続部の曲率半径よりも小さい、請求項4に記載のロータコア。
【請求項9】
前記第1内壁部は、周方向に隣り合う前記マグネット保持部のうち一方のマグネット保持部における前記第1マグネット穴の径方向内側に位置し、かつ、軸方向に見て、当該第1マグネット穴が延びる方向に延び、
前記第4内壁部は、軸方向に見て、前記第1内壁部が延びる方向に延びている、請求項2から8のいずれか一項に記載のロータコア。
【請求項10】
前記第2内壁部は、周方向に隣り合う前記マグネット保持部のうち他方のマグネット保持部における前記第1マグネット穴の径方向内側に位置し、かつ、軸方向に見て、当該第1マグネット穴が延びる方向に延びている、請求項9に記載のロータコア。
【請求項11】
前記マグネット保持部は、前記一対の第1マグネット穴の径方向外側に位置する一対の第2マグネット穴を有し、
前記一対の第2マグネット穴は、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、
前記第6内壁部は、軸方向に見て、前記一対の第1マグネット穴のうち周方向において他方の第1マグネット穴に最も近い部分に接する第1接線に沿って延び、
軸方向に見て、前記第1接線は、前記一対の第2マグネット穴のうち周方向において他方の第2マグネット穴に最も近い部分に接する第2接線に沿って延びている、請求項2から8のいずれか一項に記載のロータコア。
【請求項12】
前記第3内壁部は、軸方向に見て、第1仮想円に沿って配置され、
前記第5内壁部は、軸方向に見て、第2仮想円に沿って配置され、
前記第1仮想円と前記第2仮想円とは、同心の円である、請求項2から8のいずれか一項に記載のロータコア。
【請求項13】
前記ロータコアを軸方向に貫通する第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔の内部には、前記中心軸が通り、
前記第2貫通孔の内縁には、径方向外側に窪む凹部が設けられ、
前記凹部の少なくとも一部は、前記第3内壁部と周方向において同じ位置に配置されている、請求項2から8のいずれか一項に記載のロータコア。
【請求項14】
前記第1貫通孔は、周方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記マグネット保持部の数をNとしたとき、複数の前記第1貫通孔は、前記中心軸回りにN/2回対称に配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のロータコア。
【請求項15】
請求項1から8のいずれか一項に記載のロータコアを有するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
を備える、回転電機。
【請求項16】
請求項15に記載の回転電機と、
前記回転電機に接続されたギヤ機構と、
を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータコア、回転電機、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貫通孔を有するロータコアが知られている。例えば、特許文献1には、そのようなロータコアとして、円形状の空洞部を有する回転子鉄心が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような貫通孔は、例えば、ロータコアの軽量化などを目的として設けられる。貫通孔を大きくするほどロータコアを軽量化できるが、一方で貫通孔を大きくするほどロータコアの強度が低下する問題がある。そのため、貫通孔を或る程度以上には大きくしにくく、ロータコアを十分に軽量化できない場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、剛性を確保しつつ、より軽量化できる構造を有するロータコア、およびそのようなロータコアを備える回転電機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータコアの一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータのロータコアであって、周方向に互いに隣り合う一対の第1マグネット穴をそれぞれ有し、周方向に並んで配置された複数のマグネット保持部と、前記第1マグネット穴の径方向内側に位置する部分を有し、前記ロータコアを軸方向に貫通する第1貫通孔と、を有する。前記一対の第1マグネット穴は、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。前記第1貫通孔は、軸方向に見て、周方向に隣り合う前記マグネット保持部同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる仮想線と重なる位置に設けられ、かつ、前記仮想線を挟んで非対称な形状である。
【0007】
本発明の回転電機の一つの態様は、上記のロータコアを有するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備える。
【0008】
本発明の駆動装置の一つの態様は、上記の回転電機と、前記回転電機に接続されたギヤ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、回転電機および駆動装置において、ロータコアの剛性を確保しつつ、ロータコアをより軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態における駆動装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態におけるロータを示す断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態におけるロータコアの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態におけるロータコアの他の一部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態におけるロータコアのさらに他の一部およびシャフトの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。つまり、以下の実施形態において説明する鉛直方向に関する相対位置関係は、駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合に少なくとも満たしていればよい。
【0012】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両における前側であり、-X側は、車両における後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、車両における左側であり、-Y側は、車両における右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0013】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0014】
適宜図に示す中心軸Jは、鉛直方向と交差する方向に延びる仮想軸である。より詳細には、中心軸Jは、鉛直方向と直交するY軸方向、つまり車両の左右方向に延びている。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、つまり中心軸Jの軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。以下の説明において、左側は軸方向一方側であり、右側は軸方向他方側である。
【0015】
図1に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸73を回転させる駆動装置である。駆動装置100が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などのモータを動力源とする車両である。
図1に示すように、駆動装置100は、回転電機60と、回転電機60に接続されたギヤ機構70と、回転電機60およびギヤ機構70を内部に収容するハウジング80と、回転電機60を制御する制御装置64と、を備える。本実施形態において回転電機60は、モータである。
【0016】
ハウジング80は、回転電機60およびギヤ機構70を内部に収容している。ハウジング80は、回転電機60を内部に収容するモータハウジング81と、ギヤ機構70を内部に収容するギヤハウジング82と、を有する。本実施形態においてモータハウジング81の内部およびギヤハウジング82の内部には、オイルOが収容されている。
【0017】
ギヤ機構70は、回転電機60の回転を車両の車軸73に伝達する。ギヤ機構70は、回転電機60に接続された減速装置71と、減速装置71に接続された差動装置72と、を有する。差動装置72には、車軸73が接続されている。
【0018】
回転電機60は、中心軸Jを中心として回転可能なロータ10と、ロータ10と径方向に隙間を介して対向するステータ61と、を備える。本実施形態においてステータ61は、ロータ10の径方向外側に位置する。ステータ61は、ステータコア62と、ステータコア62に取り付けられた複数のコイル63と、を有する。
【0019】
図2に示すように、ロータ10は、シャフト20と、ロータコア30と、複数のマグネット40と、を有する。
図1に示すように、シャフト20は、中心軸Jを中心として軸方向に延びている。シャフト20の左側(+Y側)の端部は、ギヤハウジング82内に突出している。
図2に示すように、本実施形態においてシャフト20は、中心軸Jを中心とする円筒状の中空シャフトである。シャフト20は、シャフト20の外周面から径方向内側に窪む溝部21を有する。図示は省略するが、溝部21は、軸方向に延びている。溝部21は、中心軸Jを径方向に挟んで一対設けられている。
【0020】
ロータコア30は、シャフト20の外周面に固定されている。ロータコア30は、中心軸Jを中心とする略円柱状である。ロータコア30は、ロータコア30を軸方向に貫通する第2貫通孔30hを有する。第2貫通孔30hの内部には、中心軸Jが通っている。本実施形態において第2貫通孔30hは、中心軸Jを中心とする略円形状の孔である。第2貫通孔30hには、シャフト20が軸方向に通されている。第2貫通孔30hの内周面は、シャフト20の外周面に固定されている。第2貫通孔30h内には、例えば、シャフト20が圧入されている。
【0021】
第2貫通孔30hの内縁には、径方向内側に突出する突起部32が設けられている。図示は省略するが、突起部32は、軸方向に延びている。突起部32は、中心軸Jを径方向に挟んで一対設けられている。一対の突起部32は、一対の溝部21にそれぞれ嵌め合わされている。これにより、シャフト20とロータコア30とが周方向に互いに引っ掛かり合い、シャフト20とロータコア30とが互いに周方向に相対回転することが抑制されている。
【0022】
第2貫通孔30hの内縁には、径方向外側に窪む一対の凹部33a,33bおよび凹部34が設けられている。一対の凹部33a,33bは、中心軸Jを径方向に挟んで二対設けられている。各対の凹部33a,33bは、各突起部32の周方向両側にそれぞれ隣り合って各突起部32を周方向に挟んで設けられている。凹部34は、中心軸Jを径方向に挟んで一対設けられている。一対の凹部34は、軸方向に見て、一対の突起部32が中心軸Jを挟む径方向に対して直交する径方向に中心軸Jを挟んで配置されている。一対の凹部34は、周方向に延びている。各凹部33a,33b,34が設けられることで、シャフト20を第2貫通孔30h内に圧入する際にシャフト20に生じる応力の一部をシャフト20のうち各凹部33a,33b,34と径方向に対向する部分において逃がすことができる。したがって、シャフト20を第2貫通孔30h内に圧入しやすくできる。
【0023】
なお、
図2では、一対の突起部32が中心軸Jを挟む径方向を直線LS1で示し、一対の突起部32が中心軸Jを挟む径方向に対して直交する径方向を直線LS2で示している。直線LS1は、軸方向に見て、一対の突起部32における周方向の中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。直線LS2は、軸方向に見て、一対の凹部34における周方向の中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。直線LS1と直線LS2とは、互いに直交している。
【0024】
ロータコア30は、磁性体製である。
図1に示すように、ロータコア30は、複数の板部材30aが軸方向に積層されて構成されている。板部材30aは、板面が軸方向を向く板状の部材である。板部材30aは、中心軸Jを中心とする円板状である。板部材30aの材料は、所定方向に圧延されて作られた圧延鋼材である。板部材30aの材料は、例えば、電磁鋼板である。本実施形態において複数の板部材30aは、転積されている。つまり、複数の板部材30aは、圧延方向が互いに異なる方向となる2つ以上の板部材30aを含む。板部材30aにおける圧延方向は、板部材30aの材料である圧延鋼材が圧延された所定方向である。本実施形態では、板部材30aを1つまたは複数ずつ積層する度に、当該1つまたは複数の板部材30aを、前回積層された板部材30aに対して中心軸J回りに90°回転させて積層する。
【0025】
図2に示すように、ロータコア30は、周方向に並んで配置された複数のマグネット保持部31を有する。複数のマグネット保持部31は、ロータコア30のうち径方向外側部分に設けられている。複数のマグネット保持部31は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態においてマグネット保持部31は、8つ設けられている。
【0026】
図3に示すように、複数のマグネット保持部31は、周方向に互いに隣り合う一対の第1マグネット穴51a,51bと、一対の第1マグネット穴51a,51bの径方向外側に位置し、周方向に互いに隣り合う一対の第2マグネット穴52a,52bと、をそれぞれ有する。つまり、本実施形態において各マグネット保持部31には、一対の第1マグネット穴51a,51bと一対の第2マグネット穴52a,52bとの合計4つのマグネット穴がそれぞれ設けられている。本実施形態において一対の第1マグネット穴51a,51bおよび一対の第2マグネット穴52a,52bは、ロータコア30を軸方向に貫通している。なお、一対の第1マグネット穴51a,51bおよび一対の第2マグネット穴52a,52bは、軸方向の端部に底部を有する穴であってもよい。
【0027】
図2に示すように、各マグネット保持部31における4つのマグネット穴内には、それぞれマグネット40が1つずつ配置されている。マグネット40の種類は、特に限定されない。マグネット40は、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。マグネット40は、例えば、軸方向に長い直方体状である。マグネット40は、例えば、ロータコア30の軸方向一端部から軸方向他端部まで延びている。
【0028】
複数のマグネット40は、一対の第1マグネット穴51a,51b内にそれぞれ配置された一対の第1マグネット41a,41bと、一対の第2マグネット穴52a,52b内にそれぞれ配置された一対の第2マグネット42a,42bと、を含む。各マグネット40は、各マグネット穴内にそれぞれ固定されている。各マグネット40の各マグネット穴内への固定方法は、特に限定されない。例えば、各マグネットは、ロータコア30の一部がカシメられることによって各マグネット穴内に固定されてもよいし、各マグネット穴内のうちマグネット40が配置された部分以外の部分に充填された樹脂によって各マグネット穴内に固定されていてもよいし、各マグネット穴内のうちマグネット40が配置された部分以外の部分に配置された発泡シートによって各マグネット穴内に固定されていてもよい。
【0029】
図2に示すように、1つのマグネット保持部31と、1つのマグネット保持部31に設けられた複数のマグネット穴内に配置された複数のマグネット40と、によって磁極部10Pが構成されている。磁極部10Pは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に複数配置されている。本実施形態において磁極部10Pは、8つ設けられている。複数の磁極部10Pは、ロータコア30の外周面における磁極がN極の磁極部10Nと、ロータコア30の外周面における磁極がS極の磁極部10Sと、を複数ずつ含む。本実施形態において磁極部10Nと磁極部10Sとは、4つずつ設けられている。4つの磁極部10Nと4つの磁極部10Sとは、周方向に沿って交互に配置されている。各磁極部10Pの構成は、ロータコア30の外周面の磁極が異なる点および周方向位置が異なる点を除いて、同様の構成である。
【0030】
図3に示すように、磁極部10Pにおいて、第1マグネット穴51aと第1マグネット穴51bとは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで配置されている。磁極中心線Ldは、磁極部10Pの周方向の中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。磁極部10Pの周方向の中心は、マグネット保持部31の周方向の中心である。磁極中心線Ldは、磁極部10Pごとに設けられる。磁極中心線Ldは、軸方向に見て、ロータ10のd軸上を通っている。磁極中心線Ldが延びる方向は、ロータ10のd軸方向である。第1マグネット穴51aと第1マグネット穴51bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldに対して線対称に配置されている。
【0031】
一対の第1マグネット穴51a,51bは、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、第1マグネット穴51aと第1マグネット穴51bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。一対の第1マグネット穴51a,51bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。
【0032】
第1マグネット穴51aは、マグネット収容穴部51cと、内側穴部51dと、外側穴部51eと、を有する。マグネット収容穴部51cは、軸方向に見て第1マグネット穴51aが延びる方向に長い長方形状の穴である。内側穴部51dは、軸方向に見てマグネット収容穴部51cが延びる方向におけるマグネット収容穴部51cの端部のうち径方向内側の端部に繋がっている。外側穴部51eは、軸方向に見てマグネット収容穴部51cが延びる方向におけるマグネット収容穴部51cの端部のうち径方向外側の端部に繋がっている。
【0033】
第1マグネット穴51bは、マグネット収容穴部51fと、内側穴部51gと、外側穴部51hと、を有する。マグネット収容穴部51fは、軸方向に見て第1マグネット穴51bが延びる方向に長い長方形状の穴である。内側穴部51gは、軸方向に見てマグネット収容穴部51fが延びる方向におけるマグネット収容穴部51fの端部のうち径方向内側の端部に繋がっている。外側穴部51hは、軸方向に見てマグネット収容穴部51fが延びる方向におけるマグネット収容穴部51fの端部のうち径方向外側の端部に繋がっている。
【0034】
内側穴部51dと内側穴部51gとは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで周方向に間隔を空けて配置されている。各内側穴部51d,51gにおいて、他方の内側穴部に周方向に最も近い部分は、一対の第1マグネット穴51a,51bのうち周方向において他方の第1マグネット穴に最も近い部分である。本実施形態において、一対の第1マグネット穴51a,51bのうち周方向において他方の第1マグネット穴に最も近い部分は、内側穴部51d,51gの径方向外側寄りの部分である。内側穴部51dと内側穴部51gとは、軸方向に見て、それぞれ他方の内側穴部に近い側の縁部が、他方の内側穴部に向かって凹となる略円弧状である。
【0035】
図2に示すように、一対の第1マグネット穴51a,51bに配置された一対の第1マグネット41a,41bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。第1マグネット41aは、第1マグネット穴51aのマグネット収容穴部51c内に配置されている。第1マグネット41bは、第1マグネット穴51bのマグネット収容穴部51f内に配置されている。内側穴部51d,51gおよび外側穴部51e,51hは、例えば、空洞部であり、それぞれフラックスバリア部を構成している。なお、内側穴部51d,51gおよび外側穴部51e,51hには、樹脂などの非磁性体が充填されていてもよく、各穴部と各穴部に充填された樹脂などの非磁性体とによってフラックスバリア部が構成されてもよい。なお、本明細書において「フラックスバリア部」とは、磁束の流れを抑制できる部分である。つまり、各フラックスバリア部には、磁束が通りにくい。
【0036】
一対の第2マグネット穴52a,52bは、一対の第1マグネット穴51a,51bの径方向外側にそれぞれ位置する。第2マグネット穴52aは、第1マグネット穴51aの径方向外側に位置する。第2マグネット穴52bは、第1マグネット穴51bの径方向外側に位置する。一対の第2マグネット穴52a,52bは、一対の第1マグネット穴51a,51b同士の周方向の間に配置されている。磁極部10Pにおいて、第2マグネット穴52aと第2マグネット穴52bとは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで配置されている。第2マグネット穴52aと第2マグネット穴52bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldに対して線対称に配置されている。
【0037】
一対の第2マグネット穴52a,52bは、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、第2マグネット穴52aと第2マグネット穴52bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。一対の第2マグネット穴52a,52bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。
【0038】
図3に示すように、第2マグネット穴52aは、マグネット収容穴部52cと、内側穴部52dと、外側穴部52eと、を有する。マグネット収容穴部52cは、軸方向に見て第2マグネット穴52aが延びる方向に長い長方形状の穴である。内側穴部52dは、軸方向に見てマグネット収容穴部52cが延びる方向におけるマグネット収容穴部52cの端部のうち径方向内側の端部に繋がっている。外側穴部52eは、軸方向に見てマグネット収容穴部52cが延びる方向におけるマグネット収容穴部52cの端部のうち径方向外側の端部に繋がっている。
【0039】
第2マグネット穴52bは、マグネット収容穴部52fと、内側穴部52gと、外側穴部52hと、を有する。マグネット収容穴部52fは、軸方向に見て第2マグネット穴52bが延びる方向に長い長方形状の穴である。内側穴部52gは、軸方向に見てマグネット収容穴部52fが延びる方向におけるマグネット収容穴部52fの端部のうち径方向内側の端部に繋がっている。外側穴部52hは、軸方向に見てマグネット収容穴部52fが延びる方向におけるマグネット収容穴部52fの端部のうち径方向外側の端部に繋がっている。
【0040】
内側穴部52dと内側穴部52gとは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで周方向に間隔を空けて配置されている。内側穴部52dと内側穴部52gとの周方向の間隔は、内側穴部51dと内側穴部51gとの周方向の間隔よりも小さい。各内側穴部52d,52gにおいて、他方の内側穴部に周方向に最も近い部分は、一対の第2マグネット穴52a,52bのうち周方向において他方の第2マグネット穴に最も近い部分である。本実施形態において、一対の第2マグネット穴52a,52bのうち周方向において他方の第2マグネット穴に最も近い部分は、内側穴部52d,52gの径方向外側寄りの部分である。内側穴部52dと内側穴部52gとは、軸方向に見て、それぞれ他方の内側穴部に近い側の縁部が、他方の内側穴部に向かって凹となる略円弧状である。
【0041】
図2に示すように、一対の第2マグネット穴52a,52bに配置された一対の第2マグネット42a,42bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。つまり、本実施形態の各磁極部10Pにおいては、軸方向に見てV字形状に沿って配置された一対のマグネット40が径方向に並んで二対設けられている。第2マグネット42aは、第2マグネット穴52aのマグネット収容穴部52c内に配置されている。第2マグネット42bは、第2マグネット穴52bのマグネット収容穴部52f内に配置されている。内側穴部52d,52gおよび外側穴部52e,52hは、例えば、空洞部であり、それぞれフラックスバリア部を構成している。なお、内側穴部52d,52gおよび外側穴部52e,52hには、樹脂などの非磁性体が充填されていてもよく、各穴部と各穴部に充填された樹脂などの非磁性体とによってフラックスバリア部が構成されてもよい。
【0042】
なお、本明細書において「軸方向に見てマグネット穴が延びる方向」とは、例えば本実施形態の第1マグネット穴51a,51bのように、マグネットが収容されるマグネット収容穴部が軸方向に見て長方形状の場合、軸方向に見て長方形状のマグネット収容穴部の長辺が延びる方向である。つまり、例えば、本実施形態において、「軸方向に見て第1マグネット穴51aが延びる方向」とは、軸方向に見て長方形状のマグネット収容穴部51cの長辺が延びる方向である。
【0043】
図2に示すように、ロータコア30は、ロータコア30を軸方向に貫通する第1貫通孔90を有する。第1貫通孔90は、ロータコア30の径方向内側部分に設けられている。第1貫通孔90は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。本実施形態において第1貫通孔90は、8つ設けられている。各第1貫通孔90は、周方向に隣り合うマグネット保持部31同士の間の径方向内側にそれぞれ配置されている。各第1貫通孔90は、周方向に隣り合うマグネット保持部31のうち一方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51aと他方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51bとの径方向内側に位置する。このように、第1貫通孔90は、第1マグネット穴51a,51bの径方向内側に位置する部分を有する。
【0044】
複数の第1貫通孔90は、第1貫通孔90aと、第1貫通孔90bと、を含む。第1貫通孔90aと第1貫通孔90bとは、複数ずつ設けられている。本実施形態において第1貫通孔90aと第1貫通孔90bとは、4つずつ設けられている。第1貫通孔90aと第1貫通孔90bとは、周方向に交互に配置されている。第1貫通孔90aと第1貫通孔90bとは、互いに周方向に反転した形状である。そのため、以下の説明においては、代表して第1貫通孔90aについてのみ説明する場合がある。
【0045】
本実施形態において、マグネット保持部31の数をNとしたとき、複数の第1貫通孔90は、中心軸J回りにN/2回対称に配置されている。これにより、複数の第1貫通孔90は、中心軸J回りに{360/(N/2)}°回転しても、回転する前の複数の第1貫通孔90と全体が軸方向に重なり合う。したがって、ロータコア30を構成する複数の板部材30aを{360/(N/2)}°で回転させながら転積すれば、各板部材30aの形状を同一としつつ、各第1貫通孔90を作ることができる。本実施形態においてマグネット保持部31の数、すなわちNは、8であるため、複数の第1貫通孔90は、中心軸J回りに4回対称に配置されている。したがって、複数の板部材30aを中心軸J回りに90°回転させて転積していくことができる。
【0046】
図3に示すように、第1貫通孔90aは、軸方向に見て、仮想線Lqと重なる位置に設けられている。仮想線Lqは、周方向に隣り合うマグネット保持部31同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる仮想線である。仮想線Lqは、軸方向に見て、ロータ10のq軸上を通っている。仮想線Lqが延びる方向は、ロータ10のq軸方向である。仮想線Lqは、マグネット保持部31同士の間ごとに設けられている。磁極中心線Ldが延びる方向と仮想線Lqが延びる方向とは、互いに交差する方向である。磁極中心線Ldと仮想線Lqとは、周方向に沿って交互に設けられる。本実施形態において、周方向に隣り合うマグネット保持部31同士の間における周方向の中心は、ロータコア30のうち、一方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51aと他方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51bとの周方向の間に位置する部分における周方向の中心である。
【0047】
第1貫通孔90aは、軸方向に見て、仮想線Lqを挟んで非対称な形状である。そのため、第1貫通孔90aを円形状または単純な多角形状などの仮想線Lqを挟んで対称な形状にする場合に比べて、第1貫通孔90aを変形させにくくできる。これにより、第1貫通孔90aの大きさを或る程度大きくしてロータコア30をより軽量化しても、第1貫通孔90aの周囲においてロータコア30が変形しにくい。したがって、ロータコア30の剛性を確保しつつ、ロータコア30をより軽量化できる。そのため、ロータ10が高速回転した場合などに、ロータコア30に比較的大きな遠心力が加えられたとしても、ロータコア30が変形することを抑制できる。
【0048】
なお、「第1貫通孔90aが軸方向に見て仮想線Lqを挟んで非対称な形状である」とは、軸方向に見て、第1貫通孔90aのうち仮想線Lqよりも周方向一方側に位置する部分の形状と、第1貫通孔90aのうち仮想線Lqよりも周方向他方側に位置する部分の形状とが、互いに仮想線Lqを対称軸とした線対称となる形状でなければよい。
【0049】
本実施形態において第1貫通孔90aのうち仮想線Lqよりも周方向一方側に位置する部分における大きさと、第1貫通孔90aのうち仮想線Lqよりも周方向他方側に位置する部分における大きさとは、互いに異なる。以下の第1貫通孔90aの説明において、周方向一方側は
図3から
図5に示す矢印θが向く側(+θ側)とし、周方向他方側は
図3から
図5に示す矢印θが向く側と逆側(-θ側)とする。矢印θは、周方向を示している。本実施形態において、第1貫通孔90aのうち仮想線Lqよりも周方向一方側(+θ側)に位置する部分における大きさは、第1貫通孔90aのうち仮想線Lqよりも周方向他方側(-θ側)に位置する部分における大きさよりも大きい。
【0050】
図4に示すように、軸方向に見たときに、第1貫通孔90aの内壁は、第1内壁部91aと、第2内壁部91bと、第3内壁部91cと、第4内壁部91dと、第5内壁部91eと、第6内壁部91fと、第1接続部92aと、第2接続部92bと、第3接続部92cと、第4接続部92dと、第5接続部92eと、第6接続部92fと、を有する。このように、第1貫通孔90aの内壁が、6つの内壁部と6つの接続部とを有する形状であることによって、第1貫通孔90aの形状が単純な形状である場合に比べて、第1貫通孔90aをより変形させにくくできる。これにより、ロータコア30の剛性をより好適に確保しやすい。第1貫通孔90aにおける各内壁部および各接続部は、それぞれ第1貫通孔90aの内部に面する壁部である。軸方向に見て第1貫通孔90aの内縁部は、各内壁部と各接続部とによって構成されている。
【0051】
第1接続部92aは、第1内壁部91aと第2内壁部91bとを繋ぐ部分である。第2接続部92bは、第2内壁部91bと第3内壁部91cとを繋ぐ部分である。第3接続部92cは、第3内壁部91cと第4内壁部91dとを繋ぐ部分である。第4接続部92dは、第4内壁部91dと第5内壁部91eとを繋ぐ部分である。第5接続部92eは、第5内壁部91eと第6内壁部91fとを繋ぐ部分である。第6接続部92fは、第6内壁部91fと第1内壁部91aとを繋ぐ部分である。本実施形態において第1接続部92a、第2接続部92b、第4接続部92d、第5接続部92e、および第6接続部92fは、軸方向に見て、第1貫通孔90aの外側に向かって窪む円弧状である。本実施形態において第3接続部92cは、軸方向に見て、第1貫通孔90aの内側に向かって突出する円弧状である。そのため、各内壁部同士を繋ぐ各接続部が鋭い角部となっている場合に比べて、各接続部において第1貫通孔90aの内壁に生じる応力を分散して受けやすい。これにより、第1貫通孔90aをより好適に変形させにくくでき、ロータコア30の剛性をより好適に確保しやすい。
【0052】
第1接続部92aは、第1貫通孔90aの内壁のうち最も径方向外側に位置する部分である。本実施形態において第1接続部92aは、軸方向に見て、径方向外側に凹となる円弧状である。第1接続部92aは、軸方向に見て、少なくとも一部が仮想線Lqと重なる位置に設けられている。本実施形態において仮想線Lqは、軸方向に見て、第1接続部92aの周方向の中心と重なっている。第1接続部92aのうち軸方向に見て仮想線Lqと重なる部分は、第1接続部92aのうち最も径方向外側に位置する部分である。第1接続部92aの周方向一方側(+θ側)の端部は、周方向に隣り合うマグネット保持部31のうち一方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51aの径方向内側に位置する。第1接続部92aの周方向他方側(-θ側)の端部は、周方向に隣り合うマグネット保持部31のうち他方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51bの径方向内側に位置する。
【0053】
なお、第1貫通孔90aの説明において、上述した一方のマグネット保持部31は、周方向に隣り合うマグネット保持部31のうち周方向一方側(+θ側)に位置するマグネット保持部31である。第1貫通孔90aの説明において、上述した他方のマグネット保持部31は、周方向に隣り合うマグネット保持部31のうち周方向他方側(-θ側)に位置するマグネット保持部31である。
【0054】
第1内壁部91aは、第1接続部92aの周方向一方側(+θ側)に繋がっている。第1内壁部91aは、仮想線Lqよりも周方向一方側に位置する。第1内壁部91aは、軸方向に見て、第1接続部92aから径方向内側に延びている。より詳細には、第1内壁部91aは、軸方向に見て、第1接続部92aの周方向一方側の端部から、径方向内側かつ周方向一方側に直線状に延びている。つまり、第1内壁部91aは、径方向内側に向かうに従って周方向一方側に位置する。
【0055】
第1内壁部91aは、周方向に隣り合うマグネット保持部31のうち一方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51aの径方向内側に離れて位置する。第1内壁部91aは、軸方向に見て、当該第1マグネット穴51aが延びる方向に延びている。そのため、ロータコア30のうち第1マグネット穴51aと第1内壁部91aとの間の部分に、磁束が流れる磁路を好適に作ることができる。第1内壁部91aは、軸方向に見て、第1マグネット穴51aにおけるマグネット収容穴部51cの長辺が延びる方向と平行に延びている。
図4では、軸方向に見て第1内壁部91aが延びる方向を直線L1で示しており、軸方向に見て第1マグネット穴51aにおけるマグネット収容穴部51cの長辺が延びる方向を直線Laで示している。直線L1と直線Laとは、互いに平行に延びる仮想線である。直線L1は、軸方向に見て、第1内壁部91aの全体と重なっている。直線Laは、軸方向に見て、マグネット収容穴部51cの長辺のうち径方向内側に位置する長辺の全体と重なっている。
【0056】
第2内壁部91bは、第1接続部92aの周方向他方側(-θ側)に繋がっている。第2内壁部91bは、仮想線Lqよりも周方向他方側に位置する。第2内壁部91bは、軸方向に見て、第1接続部92aから径方向内側に延びている。より詳細には、第2内壁部91bは、軸方向に見て、第1接続部92aの周方向他方側の端部から、径方向内側かつ周方向他方側に直線状に延びている。つまり、第2内壁部91bは、径方向内側に向かうに従って周方向他方側に位置する。第1内壁部91aと第2内壁部91bとは、軸方向に見て、一部が仮想線Lqと重なる位置に設けられた第1接続部92aから、径方向内側に向かうに従って互いに周方向に離れる向きに延びている。そのため、第1内壁部91aと第2内壁部91bとを、周方向に隣り合う二対の第1マグネット穴51a,51bのそれぞれにおける1つの第1マグネット穴の径方向内側にそれぞれ配置しやすい。これにより、第1貫通孔90aが周方向に隣り合うマグネット保持部31のいずれか一方に寄り過ぎた位置に配置されることを抑制でき、ロータコア30の周方向全体の剛性をより好適に確保しやすい。また、ロータコア30のうち第1マグネット穴51aと第1内壁部91aとの間、およびロータコア30のうち第1マグネット穴51bと第2内壁部91bとの間に、磁束が流れる磁路を好適に作りやすい。
【0057】
第2内壁部91bは、周方向に隣り合うマグネット保持部31のうち他方のマグネット保持部31における第1マグネット穴51bの径方向内側に離れて位置する。第2内壁部91bは、軸方向に見て、当該第1マグネット穴51bが延びる方向に延びている。そのため、ロータコア30のうち第1マグネット穴51bと第2内壁部91bとの間の部分に、磁束が流れる磁路を好適に作ることができる。第2内壁部91bは、軸方向に見て、第1マグネット穴51bにおけるマグネット収容穴部51fの長辺が延びる方向と平行に延びている。
図4では、第2内壁部91bが延びる方向を直線L2で示しており、第1マグネット穴51bにおけるマグネット収容穴部51fの長辺が延びる方向を直線Lbで示している。直線L2と直線Lbとは、互いに平行に延びる仮想線である。直線L2は、軸方向に見て、第2内壁部91bと重なっている。直線Lbは、軸方向に見て、マグネット収容穴部51fの長辺のうち径方向内側に位置する長辺と重なっている。
【0058】
軸方向に見て、第2内壁部91bが延びる方向における第2内壁部91bの寸法は、第1内壁部91aが延びる方向における第1内壁部91aの寸法よりも小さい。第2内壁部91bの径方向内側の端部は、第1内壁部91aの径方向内側の端部よりも径方向外側に位置する。第2内壁部91bの径方向内側の端部は、第1内壁部91aの径方向内側の端部よりも、周方向において仮想線Lqに近い位置に位置する。
【0059】
第2接続部92bは、第2内壁部91bの径方向内側の端部に繋がっている。本実施形態において第2接続部92bは、軸方向に見て、周方向他方側(-θ側)に凹となる円弧状である。第2接続部92bは、仮想線Lqよりも周方向他方側に位置する。第2接続部92bのうち第2内壁部91bに繋がる側と逆側の端部は、第2内壁部91bの径方向内側の端部よりも径方向内側で、かつ、仮想線Lqに周方向に近い側、すなわち周方向一方側(+θ側)に位置する。
【0060】
第3内壁部91cは、第2接続部92bを介して第2内壁部91bに繋がっている。第3内壁部91cは、第2接続部92bから周方向において第1内壁部91aに近づく向きに延びている。本実施形態において第3内壁部91cは、第2接続部92bのうち第2内壁部91bに繋がる側と逆側の端部から周方向一方側(+θ側)に円弧状に延びている。
図3では、軸方向に見て、円弧状に延びる第3内壁部91cに重なる第1仮想円C1を示している。つまり、第3内壁部91cは、軸方向に見て、第1仮想円C1に沿って配置されている。第1仮想円C1は、中心軸Jを中心とする仮想円である。第3内壁部91cは、仮想線Lqよりも周方向他方側(-θ側)に位置する。
【0061】
第3接続部92cは、第3内壁部91cのうち第2接続部92bに繋がる側と逆側(+θ側)の端部に繋がっている。本実施形態において第3接続部92cは、軸方向に見て、周方向一方側(+θ側)かつ径方向外側に凸となる円弧状である。第3接続部92cは、仮想線Lqよりも周方向他方側(-θ側)に位置する。第3接続部92cのうち第3内壁部91cに繋がる側と逆側の端部は、第3内壁部91cに繋がる側の端部よりも径方向内側で、かつ、仮想線Lqに周方向に近い側、すなわち周方向一方側(+θ側)に位置する。
【0062】
第4内壁部91dは、第3接続部92cを介して第3内壁部91cに繋がっている。第4内壁部91dは、軸方向に見て、第3接続部92cの周方向一方側(+θ側)の端部から周方向一方側かつ径方向内側に直線状に延びている。第4内壁部91dは、径方向内側に向かうに従って周方向一方側に位置する。第4内壁部91dは、軸方向に見て、一部が仮想線Lqと重なる位置に設けられている。本実施形態において仮想線Lqは、軸方向に見て、第4内壁部91dの周方向の中央部分と重なっている。第4内壁部91dの径方向外側の端部、すなわち第3接続部92cに繋がる側の端部は、仮想線Lqよりも周方向他方側(-θ側)に位置する。第4内壁部91dの径方向内側の端部、すなわち第3接続部92cに繋がる側と逆側の端部は、仮想線Lqよりも周方向一方側に位置する。
【0063】
第4内壁部91dは、軸方向に見て、第1内壁部91aが延びる方向に延びている。ここで、上述したように、第1内壁部91aは、軸方向に見て、第1マグネット穴51aが延びる方向に延びている。そのため、本実施形態では、第1内壁部91aと第4内壁部91dとが、軸方向に見て、第1マグネット穴51aが延びる方向にそれぞれ延びている。これにより、第1マグネット穴51aが延びる方向に生じる応力を第1内壁部91aと第4内壁部91dとによって好適に受けることができる。したがって、第1貫通孔90aをより好適に変形させにくくでき、ロータコア30の剛性をより好適に確保できる。
【0064】
図4では、軸方向に見て第4内壁部91dが延びる方向を直線L4で示している。直線L4は、直線L1,Laと平行に延びる仮想線である。直線L4は、軸方向に見て、第4内壁部91dと重なっている。第4内壁部91dは、第1貫通孔90aの内部を介して第1内壁部91aと対向して配置されている。第1貫通孔90aの内壁のうち第3内壁部91cと第3接続部92cと第4内壁部91dとによって構成される部分は、軸方向に見て、第1貫通孔90aの内側に突出する凸部95となっている。
【0065】
第4接続部92dは、第4内壁部91dのうち第3接続部92cに繋がる側と逆側の端部に繋がっている。本実施形態において第4接続部92dは、軸方向に見て、周方向他方側(-θ側)かつ径方向内側に凹となる円弧状である。第4接続部92dは、仮想線Lqよりも周方向一方側(+θ側)に位置する。第4接続部92dのうち第4内壁部91dに繋がる側と逆側の端部は、第4内壁部91dに繋がる側の端部よりも径方向内側で、かつ、仮想線Lqから周方向に遠い側、すなわち周方向一方側(+θ側)に位置する。
【0066】
第5内壁部91eは、第4接続部92dを介して第4内壁部91dに繋がっている。第5内壁部91eは、第4接続部92dのうち第4内壁部91dに繋がる側と逆側の端部から周方向一方側(+θ側)に円弧状に延びている。第5内壁部91eは、第3内壁部91cよりも径方向内側に位置する。第5内壁部91eは、第3内壁部91cよりも周方向一方側に位置する。第5内壁部91eは、仮想線Lqよりも周方向一方側に位置する。
【0067】
図3では、軸方向に見て、円弧状に延びる第5内壁部91eに重なる第2仮想円C2を示している。つまり、第5内壁部91eは、軸方向に見て、第2仮想円C2に沿って配置されている。第2仮想円C2は、中心軸Jを中心とする仮想円である。つまり、上述した第1仮想円C1と第2仮想円C2とは、同心の円である。そのため、軸方向に見て第1仮想円C1に沿って配置された第3内壁部91cと、軸方向に見て第2仮想円C2に沿って配置された第5内壁部91eとによって、第1仮想円C1と第2仮想円C2との中心回りの方向に生じる応力を好適に受けやすい。これにより、第1貫通孔90aをより好適に変形させにくくでき、ロータコア30の剛性をより好適に確保できる。本実施形態では、第1仮想円C1と第2仮想円C2とが中心軸Jを中心とする仮想円であるため、第3内壁部91cと第5内壁部91eとによってロータ10が回転する際にロータコア30に生じる周方向の応力を受けやすく、ロータ10が回転する際にロータコア30が変形することをより好適に抑制できる。
【0068】
第5接続部92eは、第5内壁部91eのうち第4接続部92dに繋がる側と逆側(+θ側)の端部に繋がっている。本実施形態において第5接続部92eは、軸方向に見て、周方向一方側(+θ側)かつ径方向内側に凹となる円弧状である。第5接続部92eは、仮想線Lqよりも周方向一方側(+θ側)に位置する。第5接続部92eのうち第5内壁部91eに繋がる側と逆側の端部は、第5内壁部91eに繋がる側の端部よりも径方向外側で、かつ、仮想線Lqから周方向に遠い側、すなわち周方向一方側(+θ側)に位置する。
【0069】
第6接続部92fは、第1内壁部91aの径方向内側の端部に繋がっている。本実施形態において第6接続部92fは、軸方向に見て、周方向一方側(+θ側)に凹となる円弧状である。第6接続部92fは、仮想線Lqよりも周方向一方側(+θ側)に位置する。第6接続部92fのうち第1内壁部91aに繋がる側と逆側の端部は、第1内壁部91aに繋がる側の端部よりも径方向内側で、かつ、仮想線Lqから周方向に遠い側、すなわち周方向一方側(+θ側)に位置する。
【0070】
第6内壁部91fは、軸方向に見て、径方向に延びている。第6内壁部91fは、第5接続部92eを介して第5内壁部91eに繋がっている。第6内壁部91fは、第6接続部92fを介して第1内壁部91aに繋がっている。
図3に示すように、第6内壁部91fは、軸方向に見て、磁極中心線Ldのうち第6内壁部91fの最も近くに位置する磁極中心線Ldが延びる方向と平行に延びている。
図3では、軸方向に見て第6内壁部91fが延びる方向を直線L6で示している。直線L6は、磁極中心線Ldのうち第6内壁部91fの最も近くに位置する磁極中心線Ldと平行に延びる仮想線である。直線L6は、軸方向に見て、第6内壁部91fと重なっている。直線L6は、軸方向に見て、第1マグネット穴51aおよび第2マグネット穴52aと重なっている。第6内壁部91fは、仮想線Lqよりも周方向一方側(+θ側)に位置する。第6内壁部91fは、第1マグネット穴51aおよび第2マグネット穴52aのうち磁極中心線Ldに近い側の周方向の端部よりも、周方向において仮想線Lqに近い位置に設けられている。
【0071】
第6内壁部91fは、軸方向に見て、一対の第1マグネット穴51a,51bのうち周方向において他方の第1マグネット穴に最も近い部分に接する第1接線LM1に沿って延びている。
図3では、第1マグネット穴51aのうち周方向において第1マグネット穴51bに最も近い部分に接する第1接線LM1を示している。第1接線LM1は、一対の第1マグネット穴51a,51b同士の間を通る磁極中心線Ldと平行に延びる仮想線である。第1接線LM1と直線L6とは、互いに平行に延びている。本実施形態において第1接線LM1は、軸方向に見て、第1マグネット穴51aの内側穴部51dのうち第1マグネット穴51bの内側穴部51gに近い側(+θ側)の略円弧状に延びる縁部に接している。
【0072】
軸方向に見て、第1接線LM1は、一対の第2マグネット穴52a,52bのうち周方向において他方の第2マグネット穴に最も近い部分に接する第2接線LM2に沿って延びている。つまり、第6内壁部91fは、第1接線LM1および第2接線LM2に沿って延びている。このように第6内壁部91fを配置することで、一対の第1マグネット穴51a,51b同士の周方向の間の部分および一対の第2マグネット穴52a,52b同士の周方向の間の部分を通る径方向において、ロータコア30に生じる応力を第6内壁部91fによって受けやすくできる。これにより、ロータコア30の剛性をより好適に確保できる。本実施形態では、磁極中心線Ldが延びる径方向に生じる応力を第6内壁部91fによって受けやすくできる。したがって、第1貫通孔90aをより好適に変形させにくくでき、ロータコア30の剛性をさらにより好適に確保できる。
【0073】
図3では、第2マグネット穴52aのうち周方向において第2マグネット穴52bに最も近い部分に接する第2接線LM2を示している。第2接線LM2は、一対の第2マグネット穴52a,52b同士の間を通る磁極中心線Ldと平行に延びる仮想線である。第1接線LM1と第2接線LM2とは、互いに平行に延びている。本実施形態において第2接線LM2は、軸方向に見て、第2マグネット穴52aの内側穴部52dのうち第2マグネット穴52bの内側穴部52gに近い側(+θ側)の略円弧状に延びる縁部に接している。
【0074】
本実施形態において第1接続部92aの曲率半径と第2接続部92bの曲率半径とは、互いに同じである。そのため、第1貫通孔90aの全体的な形状をロータコア30に生じる応力を受けやすい形状にしやすい。これにより、第1貫通孔90aをより好適に変形させにくくでき、ロータコア30の剛性をより好適に確保しやすい。
【0075】
本実施形態において第4接続部92dの曲率半径と第5接続部92eの曲率半径と第6接続部92fの曲率半径とは、互いに同じである。そのため、第1貫通孔90aの全体的な形状をよりロータコア30に生じる応力を受けやすい形状にしやすい。これにより、第1貫通孔90aをより好適に変形させにくくでき、ロータコア30の剛性をより好適に確保しやすい。
【0076】
本実施形態において第3接続部92cの曲率半径は、第4接続部92dの曲率半径、第5接続部92eの曲率半径、および第6接続部92fの曲率半径よりも小さい。そのため、第3接続部92cの曲率半径を比較的小さくできる。これにより、第1貫通孔90aのうち第3内壁部91cと第3接続部92cと第4内壁部91dとによって構成される部分、すなわち凸部95を、軸方向に見て第1貫通孔90aの内側に突出させやすい。したがって、凸部95において第1貫通孔90aを小さくでき、ロータコア30のうち凸部95と隣り合う部分における剛性を好適に向上できる。
【0077】
本実施形態において第4接続部92dの曲率半径、第5接続部92eの曲率半径、および第6接続部92fの曲率半径は、第1接続部92aの曲率半径および第2接続部92bの曲率半径よりも小さい。そのため、第4接続部92dの曲率半径、第5接続部92eの曲率半径、および第6接続部92fの曲率半径を比較的小さくできる。これにより、第1貫通孔90aのうち、第4内壁部91d、第4接続部92d、第5内壁部91e、第5接続部92e、第6内壁部91f、および第6接続部92fによって構成される部分が、軸方向に見て、第1貫通孔90aの外側に大きく窪み過ぎることを抑制できる。したがって、第1貫通孔90aが大きくなり過ぎてロータコア30の剛性が低下することを好適に抑制できる。
【0078】
図5に示すように、軸方向に見たときに、第1貫通孔90bの内壁は、第1内壁部93aと、第2内壁部93bと、第3内壁部93cと、第4内壁部93dと、第5内壁部93eと、第6内壁部93fと、第1接続部94aと、第2接続部94bと、第3接続部94cと、第4接続部94dと、第5接続部94eと、第6接続部94fと、を有する。第1貫通孔90bにおける各内壁部および各接続部は、第1貫通孔90aにおける各内壁部および各接続部のそれぞれに対して、磁極中心線Ldを挟んで周方向に対称に配置されている。第2接続部92bと第2接続部94bとが周方向に対向して配置される一対の第1貫通孔90a,90b同士の間の周方向の距離d1は、第6内壁部91fと第6内壁部93fとが周方向に対向して配置される一対の第1貫通孔90a,90b同士の間の周方向の距離d2よりも大きい。
【0079】
凹部33a,33b,34の少なくとも一部は、第3内壁部91cまたは第3内壁部93cと周方向において同じ位置に配置されている。ここで、第3内壁部91c,93cは、第5内壁部91e,93eよりも径方向外側に位置する。そのため、第3内壁部91c,93cは、第5内壁部91e,93eよりも第2貫通孔30hから径方向外側に離れた位置に配置されている。したがって、凹部33a,33b,34の少なくとも一部における周方向の位置を第3内壁部91c,93cの周方向の位置に合わせることで、ロータコア30のうち、第2貫通孔30hと第1貫通孔90a,90bとの径方向の間に位置する部分が細くなり過ぎることを抑制できる。これにより、第2貫通孔30hの内縁に径方向外側に窪む凹部33a,33b,34を設けた場合でも、ロータコア30の剛性が低下することを抑制できる。
【0080】
凹部33aの周方向他方側(-θ側)の部分は、凹部33aの径方向外側に位置する第1貫通孔90bにおける第3内壁部93cと周方向において同じ位置に配置されている。凹部33bの周方向一方側(+θ側)の部分は、凹部33bの径方向外側に位置する第1貫通孔90aにおける第3内壁部91cと周方向において同じ位置に配置されている。凹部34の周方向一方側寄りの部分の一部は、凹部34の径方向外側に位置する第1貫通孔90aにおける第3内壁部91cと周方向において同じ位置に配置されている。凹部34の周方向他方側寄りの部分の一部は、凹部34の径方向外側に位置する第1貫通孔90bにおける第3内壁部93cと周方向において同じ位置に配置されている。本実施形態において凹部34の周方向の中央部、および突起部32は、第2接続部92bと第2接続部94bとが周方向に対向して配置される一対の第1貫通孔90a,90b同士の間における径方向内側に配置されている。
【0081】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。第1貫通孔の形状は、軸方向に見て、周方向に隣り合うマグネット保持部同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる仮想線と重なる位置に設けられ、かつ、当該仮想線を挟んで非対称な形状であれば、特に限定されない。軸方向に見たときに、第1貫通孔の内壁が、第1内壁部から第6内壁部と、第1内壁部から第6接続部と、を有する形状である場合において、各接続部は、2つの内壁部同士を接続する部分であれば、どのような形状であってもよい。各接続部は、例えば、軸方向に見て、2つの内壁部の端部同士を結ぶ点であってもよい。各接続部が軸方向に見て円弧状である場合、各接続部における曲率半径は、特に限定されない。各内壁部は、軸方向に見て、どのような形状であってもよい。各内壁部は、軸方向に見て、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
【0082】
第1貫通孔の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。第1貫通孔が複数設けられる場合、複数の第1貫通孔は、全てが同じ形状であってもよいし、全てが互いに異なる形状であってもよい。複数の第1貫通孔が互いに異なる形状の第1貫通孔を含む場合、互いに異なる形状の第1貫通孔は、上述した実施形態のように互いに周方向に反転した形状であってもよいし、互いに周方向に反転した形状とは異なる形状であってもよい。複数の第1貫通孔は、中心軸回りの回転対称に配置されなくてもよい。
【0083】
一対の第2マグネット穴は、設けられなくてもよい。ロータコアは、一対の第2マグネット穴の代わりに、一対の第1マグネット穴同士の周方向に間に位置する第3マグネット穴を有していてもよい。第3マグネット穴は、例えば、周方向に沿って直線状に延びていてもよい。マグネット保持部の数は、2つ以上であれば、特に限定されない。
【0084】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、車両以外の機器に搭載されてもよい。本発明が適用される駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機、および駆動装置が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。回転電機の中心軸は、鉛直方向と直交する水平方向に対して傾いていてもよいし、鉛直方向に延びてもよい。
【0085】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸を中心として回転可能なロータのロータコアであって、周方向に互いに隣り合う一対の第1マグネット穴をそれぞれ有し、周方向に並んで配置された複数のマグネット保持部と、前記第1マグネット穴の径方向内側に位置する部分を有し、前記ロータコアを軸方向に貫通する第1貫通孔と、を有し、前記一対の第1マグネット穴は、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、前記第1貫通孔は、軸方向に見て、周方向に隣り合う前記マグネット保持部同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる仮想線と重なる位置に設けられ、かつ、前記仮想線を挟んで非対称な形状である、ロータコア。
(2) 軸方向に見たときに、前記第1貫通孔の内壁は、前記第1貫通孔の内壁のうち最も径方向外側に位置する第1接続部と、前記第1接続部の周方向一方側に繋がり前記第1接続部から径方向内側に延びる第1内壁部と、前記第1接続部の周方向他方側に繋がり前記第1接続部から径方向内側に延びる第2内壁部と、前記第2内壁部の径方向内側の端部に繋がる第2接続部と、前記第2接続部を介して前記第2内壁部に繋がり、前記第2接続部から周方向において前記第1内壁部に近づく向きに延びる第3内壁部と、前記第3内壁部のうち前記第2接続部に繋がる側と逆側の端部に繋がる第3接続部と、前記第3接続部を介して前記第3内壁部に繋がる第4内壁部と、前記第4内壁部のうち前記第3接続部に繋がる側と逆側の端部に繋がる第4接続部と、前記第4接続部を介して前記第4内壁部に繋がり、前記第3内壁部よりも径方向内側に位置する第5内壁部と、前記第5内壁部のうち前記第4接続部に繋がる側と逆側の端部に繋がる第5接続部と、前記第1内壁部の径方向内側の端部に繋がる第6接続部と、径方向に延び、前記第5接続部を介して前記第5内壁部に繋がり、かつ、前記第6接続部を介して前記第1内壁部に繋がる第6内壁部と、を有する、(1)に記載のロータコア。
(3) 前記第1接続部は、軸方向に見て、少なくとも一部が前記仮想線と重なる位置に設けられており、前記第1内壁部と前記第2内壁部とは、軸方向に見て、前記第1接続部から径方向内側に向かうに従って互いに周方向に離れる向きに延びている、(2)に記載のロータコア。
(4) 前記第1接続部、前記第2接続部、前記第4接続部、前記第5接続部、および前記第6接続部は、軸方向に見て、前記第1貫通孔の外側に向かって窪む円弧状であり、
前記第3接続部は、軸方向に見て、前記第1貫通孔の内側に向かって突出する円弧状である、(2)または(3)に記載のロータコア。
(5) 前記第1接続部の曲率半径と前記第2接続部の曲率半径とは、互いに同じである、(4)に記載のロータコア。
(6) 前記第4接続部の曲率半径と前記第5接続部の曲率半径と前記第6接続部の曲率半径とは、互いに同じである、(4)または(5)に記載のロータコア。
(7) 前記第3接続部の曲率半径は、前記第4接続部の曲率半径、前記第5接続部の曲率半径、および前記第6接続部の曲率半径よりも小さい、(4)から(6)のいずれか一つに記載のロータコア。
(8) 前記第4接続部の曲率半径、前記第5接続部の曲率半径、および前記第6接続部の曲率半径は、前記第1接続部の曲率半径および前記第2接続部の曲率半径よりも小さい、(4)から(7)のいずれか一つに記載のロータコア。
(9) 前記第1内壁部は、周方向に隣り合う前記マグネット保持部のうち一方のマグネット保持部における前記第1マグネット穴の径方向内側に位置し、かつ、軸方向に見て、当該第1マグネット穴が延びる方向に延び、前記第4内壁部は、軸方向に見て、前記第1内壁部が延びる方向に延びている、(2)から(8)のいずれか一つに記載のロータコア。
(10) 前記第2内壁部は、周方向に隣り合う前記マグネット保持部のうち他方のマグネット保持部における前記第1マグネット穴の径方向内側に位置し、かつ、軸方向に見て、当該第1マグネット穴が延びる方向に延びている、(9)に記載のロータコア。
(11) 前記マグネット保持部は、前記一対の第1マグネット穴の径方向外側に位置する一対の第2マグネット穴を有し、前記一対の第2マグネット穴は、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、前記第6内壁部は、軸方向に見て、前記一対の第1マグネット穴のうち周方向において他方の第1マグネット穴に最も近い部分に接する第1接線に沿って延び、軸方向に見て、前記第1接線は、前記一対の第2マグネット穴のうち周方向において他方の第2マグネット穴に最も近い部分に接する第2接線に沿って延びている、(2)から(10)のいずれか一つに記載のロータコア。
(12) 前記第3内壁部は、軸方向に見て、第1仮想円に沿って配置され、前記第5内壁部は、軸方向に見て、第2仮想円に沿って配置され、前記第1仮想円と前記第2仮想円とは、同心の円である、(2)から(11)のいずれか一つに記載のロータコア。
(13) 前記ロータコアを軸方向に貫通する第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔の内部には、前記中心軸が通り、前記第2貫通孔の内縁には、径方向外側に窪む凹部が設けられ、前記凹部の少なくとも一部は、前記第3内壁部と周方向において同じ位置に配置されている、(2)から(12)のいずれか一つに記載のロータコア。
(14) 前記第1貫通孔は、周方向に間隔を空けて複数設けられ、前記マグネット保持部の数をNとしたとき、複数の前記第1貫通孔は、前記中心軸回りにN/2回対称に配置されている、(1)から(13)のいずれか一つに記載のロータコア。
(15) (1)から(14)のいずれか一つに記載のロータコアを有するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備える、回転電機。
(16) (15)に記載の回転電機と、前記回転電機に接続されたギヤ機構と、を備える、駆動装置。
【0086】
以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0087】
10…ロータ、30…ロータコア、30h…第2貫通孔、31…マグネット保持部、33a,33b,34…凹部、40…マグネット、41a,41b…第1マグネット、42a,42b…第2マグネット、51a,51b…第1マグネット穴、52a,52b…第2マグネット穴、60…回転電機、61…ステータ、70…ギヤ機構、90,90a,90b…第1貫通孔、91a,93a…第1内壁部、91b,93b…第2内壁部、91c,93c…第3内壁部、91d,93d…第4内壁部、91e,93e…第5内壁部、91f,93f…第6内壁部、92a,94a…第1接続部、92b,94b…第2接続部、92c,94c…第3接続部、92d,94d…第4接続部、92e,94e…第5接続部、92f,94f…第6接続部、100…駆動装置、C1…第1仮想円、C2…第2仮想円、J…中心軸、LM1…第1接線、LM2…第2接線、Lq…仮想線