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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179093
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ICモジュール及びICカード
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20231212BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20231212BHJP
   B42D 25/305 20140101ALI20231212BHJP
【FI】
G06K19/077 196
G06K19/077 244
G06K19/077 216
G06K19/077 272
G06K19/077 296
H01Q7/00
B42D25/305 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092157
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】金子 真士
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慎
(72)【発明者】
【氏名】塚田 哲也
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005MA19
2C005NA04
2C005NB03
(57)【要約】
【課題】本発明に係るICモジュール及びICカードによれば、アンテナ設計の自由度が高く、また、製造工程においてアンテナ断線が無く、生産性の高いICモジュール及びICカードを提供することができる。
【解決手段】本発明に係るICモジュール20は、シート状に形成され、板厚方向に貫通する貫通孔を有する基板21と、基板21の裏面に設けられ、螺旋状に形成された接続コイル23と、基板の裏面へ設けられ、接続コイル23の内周側に配置されたICチップ22と、基板の表面に設けられた接触端子と、ICチップ22と接触端子とを電気的に接続し、貫通孔26を挿通するワイヤ25と、を備え、接続コイル23は、少なくとも一部に内周側に突出して貫通孔26と接する導通性の補助パターン部27を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成され、板厚方向に貫通する貫通孔を有する基板と、
前記基板の裏面に設けられ、螺旋状に形成された接続コイルと、
前記基板の前記裏面へ設けられ、前記接続コイルの内周側に配置されたICチップと、
前記基板の表面に設けられた接触端子と、
前記ICチップと前記接触端子とを電気的に接続し、前記貫通孔を挿通するワイヤと、
を備え、
前記接続コイルは、少なくとも一部に前記内周側に突出して前記貫通孔と接する導通性の補助パターン部を有する
ICモジュール。
【請求項2】
前記補助パターン部は、前記貫通孔の縁部の少なくとも一部に沿って形成される
請求項1に記載のICモジュール。
【請求項3】
前記補助パターン部は、前記貫通孔の縁部と前記接続コイルとの間に形成される
請求項1または請求項2に記載のICモジュール。
【請求項4】
前記補助パターン部は、前記貫通孔が前記接続コイルの最内周の導線を断線した状態で、最内周の導線を通電する
請求項1または請求項2に記載のICモジュール。
【請求項5】
前記貫通孔の縁部は、前記補助パターン部を有する前記接続コイルの領域内に形成される
請求項4に記載のICモジュール。
【請求項6】
表裏面に設けられた外装基材と、
外装基材に内包されたインレットと、
表面側に備えられ、シート状に形成され板厚方向に貫通する貫通孔を有する基板と、前記基板の裏面に設けられ、螺旋状に形成された接続コイルと、前記基板の前記裏面へ設けられ、前記接続コイルの内周側に配置されたICチップと、前記基板の表面に設けられた接触端子と、前記ICチップと前記接触端子とを電気的に接続し前記貫通孔を挿通するワイヤと、を有するICモジュールと、
を備え、
前記インレットは、前記表面側に前記接続コイルと電磁結合可能なアンテナを有し、
前記接続コイルは、少なくとも一部に前記内周側に突出して前記貫通孔と接する導通性の補助パターン部を有する
ICカード。
【請求項7】
前記補助パターン部は、前記貫通孔の少なくとも一部に沿って形成される
請求項6に記載のICカード。
【請求項8】
前記補助パターン部は、前記貫通孔と前記接続コイルとの間に形成される
請求項6または請求項7に記載のICカード。
【請求項9】
前記補助パターン部は、前記貫通孔が前記接続コイルの最内周の導線を断線した状態で、前記最内周の導線を通電する
請求項6または請求項7に記載のICカード。
【請求項10】
前記貫通孔の縁部は、前記補助パターン部を有する前記接続コイルの領域内に形成される
請求項9に記載のICカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICモジュール及びICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリー等を内蔵するICカードとして、接触型及び非接触型の双方として機能する、いわゆる複合ICカード(デュアルICカード)が知られている。複合ICカードは、例えば、クレジットカードや、キャッシュカード、プリペイドカード、会員カード、ギフトカード、交通カード、パスポートおよび免許証などに使用されている。複合ICカードは、例えば、接触型外部機器と接触するための接触端子及び接触型及び非接触型の双方として機能するICチップとを搭載し、コイルが形成されたICモジュールと、ICモジュールに形成されたコイルへ非接触で電気的に結合するための結合用コイルと外部の端末と非接触通信するための通信用のアンテナパターン(アンテナコイル)とを有するアンテナを備えたアンテナシートと、を外装基材で挟持して構成される(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の接触端子は、スルーホールと呼ばれる金属めっきが施された貫通孔を介して、ICモジュールの裏面への導通経路を備える。ICモジュールの裏面上に形成されたスルーホールの金属めっきの一部は、ワイヤボンディング等によってICチップ上の電極と電気的に接続され、ワイヤボンディングを含むICチップの周囲は封止樹脂により保護されている。
【0004】
また、近年ICモジュールの低コスト化案として、スルーホールがなく、金属めっきの施されていない貫通孔のみを備えたICモジュール基板が知られている。スルーホールを形成するためには、専用の電解めっき工程が必要となるため、同工程を省くことで、基板コストやICモジュールの製作時間を削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-041272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたスルーホールは、ICモジュール基板に貫通孔が形成される際に、ICモジュール基板に応力変化を与え、ICモジュールに形成されたコイルのはく離及び断線のリスクを高くする虞があった。また、スルーホールや貫通孔の工程位置にズレが生じると、ICモジュールに形成されたコイルが断線してしまうため、リスク回避のためコイルを含む金属パターンから一定以上の距離を開けてスルーホールや貫通孔を形成する必要があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、アンテナ設計の自由度が高く、また、製造工程においてアンテナ断線が無く、生産性の高いICモジュール及びICカードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るICモジュールは、シート状に形成され、板厚方向に貫通する貫通孔を有する基板と、前記基板の裏面に設けられ、螺旋状に形成された接続コイルと、前記基板の前記裏面へ設けられ、前記接続コイルの内周側に配置されたICチップと、前記基板の表面に設けられた接触端子と、前記ICチップと前記接触端子とを電気的に接続し、前記貫通孔を挿通するワイヤと、を備え、前記接続コイルは、少なくとも一部に前記内周側に突出して前記貫通孔と接する導通性の補助パターン部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るICモジュール及びICカードによれば、アンテナ設計の自由度が高く、また、製造工程においてアンテナ断線が無く、生産性の高いICモジュール及びICカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るICカードを模式的に示す平面図である。
図2】同ICカードのインレットの模式的な平面図である。
図3】同ICカードを短辺方向から見た状態を模式的に示す断面図である。
図4】同ICカードのICモジュールを模式的に示す断面図である。
図5】同ICカードのICモジュールを模式的に示す平面図である。
図6図5の同ICカードのICモジュールの貫通孔を拡大した図である。
図7】本発明の第二実施形態に係るICカードのICモジュールの貫通孔を拡大した図である。
図8】本発明の第三実施形態に係るICカードのICモジュールの貫通孔を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)
本発明の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態や変形例において、相互に対応する構成については同一の符号を付し、重複部分については説明を省略する場合がある。さらに、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るICカード1を模式的に示す平面図である。図2は、図1のICカード1のインレット10の模式的な平面図である。図3は、図1のICカード1を短辺方向D2から見た状態を模式的に示す断面図である。
【0013】
以下のICカード1の説明において、ICカード1の長辺に沿う方向を長辺方向D1とし、水平面上で長辺方向D1に直交するICカード1の短辺に沿う方向を短辺方向D2とする。長辺方向D1及び短辺方向D2に沿う面は水平面とする(以下、単に水平面という)。また、長辺方向D1及び短辺方向D2と直交する鉛直方向を板厚方向Dtとする。
【0014】
長辺方向D1において、ICカード1の板厚方向Dtに沿う中心軸(不図示)から離れる一方側を左方LHとし、他方側を右方RHとする。また、短辺方向D2において、一方側を前方FRとし、他方側を後方RRとする。さらに、ICカード1の板厚方向Dtにおいて、上方側を上側UPとし、下方側を下側DWとする。なお、板厚方向Dtの上側UP側に備えられた面を表面とし、下側DWに備えられた面を裏面とする。
【0015】
図1に示すように、ICカード1は、外部機器との間で、接触型通信と非接触型通信とを可能としたデュアルICカードである。ICカード1は、板状であり、板厚方向Dtの上側UP側から見て、互いに対抗する長辺及び短辺を有する長方形形状に形成されている。ICカード1は、板厚方向Dtの厚みが、例えば、0.5~1.0mm程度に形成されている(ICカード1がクレジットカードである場合、ICカード1の厚みは0.76mm)。
【0016】
ICカード1は、インレット10と、ICモジュール20と、外装基材40と、を備えている。
【0017】
[インレット10]
インレット10は、本実施形態において、図3に示すように、外装基材40に内包される。インレット10は、図2に示すように、アンテナシート本体11と、アンテナ12と、キャパシタ13と、を備える。
【0018】
アンテナシート本体11は、外装基材40内に備えられた可撓性を有する絶縁性の基板である。アンテナシート本体11は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ガラスエポキシ、フェノール樹脂等の材料を適宜選択することができる。
【0019】
アンテナシート本体11は、図3に示すように、後述する外装基材40にミリング加工等によって凹部50が形成され、加工範囲がアンテナシート本体11へ達する場合に、開口部11hを形成する。この場合、開口部11hは、凹部50に連通して形成されている。開口部11hは、後述する外装基材40に備えられた凹部50に加えて、外装基材40を介してICモジュール20が接合される場合に、ICモジュール20の裏面20gに備えられた樹脂封止部30によってICカード1の表面1f上に凹凸が出ないようインレット10に設けられている。なお、アンテナシート本体11は、外装基材40にミリング加工等によって凹部50が形成され、加工範囲がアンテナシート本体11に達しない場合は、開口部11hを形成しない。そのため、アンテナシート本体11は、必ずしも開口部11hを設けていなくてもよい。
【0020】
アンテナ12は、結合用コイル121と、主コイル122とを有する。なお、アンテナ12の幅(太さ)、間隔、巻数は、アンテナ12の特性や配置による制限などに応じて適宜設定できる。
【0021】
結合用コイル(アンテナ)121は、図2に示すように、アンテナシート本体11の表面11fに円を描くように螺旋状に備えられ、図示しない配線等によって主コイル122またはキャパシタ13へ電気的に接続される。結合用コイル121は、図3に示すように、インレット10の表面10f側から外装基材40を介してICモジュール20が接合されたときに、ICモジュール20の接続コイル23と電磁結合可能となるように配置されている。結合用コイル121の内径は、特に限定されないが、ICモジュール20の樹脂封止部30の大きさを考慮して、形成されるのがよい。
【0022】
主コイル122は図示しない配線等によって結合用コイル121またはキャパシタ13へ電気的に接続されて、リーダライタなどの非接触型外部機器との非接触型通信を行う。主コイル122は、アンテナシート本体11の周縁11kに沿って矩形状に形成されている。主コイル122は、図2に示すように、アンテナシート本体11の周縁11kに沿って一巻き、または二巻きに形成されている。ただし、主コイル122は、非接触型外部機器との非接触型通信が可能であればよく、巻き数、形状及び線幅等については限定されない。
【0023】
主コイル122の線幅は、結合用コイル121の線幅よりも広い。結合用コイル121および主コイル122の線幅は適宜設定することができ、設定により、設定通信周波数における両者の虚部インピーダンスを同等とするのが好ましい。ただし、主コイル122の線幅は、結合用コイル121の線幅と略同じであってもよいし、結合用コイル121の線幅よりも細くてもよい。
【0024】
アンテナ12の結合用コイル121および主コイル122の製造方法に特に制限はなく、様々な方法で形成することができる。製造方法として、金属板や金属箔のレーザー切断や打ち抜き、金属箔や金属層のエッチング、金属線の配置などを例示できる。打ち抜きは、特に主コイル122を幅広に形成する際に好適である。絶縁被覆された金属線を使って結合用コイル121を形成すると、立体交差部位に別途絶縁体を配置する必要がなく、簡便に形成できる。結合用コイル121と主コイル122とを異なる材料で形成する場合、両者の接続方法としては、はんだ付け、溶接、圧接などを採用できる。
【0025】
キャパシタ13は、主コイル122へ直列又は並列に接続され、例えばチップコンデンサ等(平板コンデンサも含む)である。キャパシタ13は、主コイル122と共振回路を構成し共振周波数を調整する。
【0026】
[ICモジュール20]
図4は、ICカード1のICモジュール20を模式的に示す断面図である。図5は、ICカード1のICモジュール20を模式的に示す平面図である。
ICモジュール20は、図4に示すように、モジュール基板(基板)21と、ICチップ22と、接続コイル23と、接触端子24と、ワイヤ25と、樹脂封止部30とを備える。ICモジュール20の外形サイズは、例えば接触端子24が、6端子で構成されている場合には、水平面において、約8mm×10.6mmの寸法で形成される。ICモジュール20は、本実施形態では、ICカード1の中心軸(不図示)よりも長辺方向D1において左方LHであって、短辺方向D2において前方FRへ配置される。
【0027】
モジュール基板(基板)21は、ガラスエポキシやPETなどの材料を用いて水平面上に形成されたシート状の基板である。モジュール基板21は、板厚方向Dtにおいて、表面21fと、裏面21gとを有し、板厚方向Dtから見て、矩形状に形成されている。モジュール基板21の厚さは、例えば、50~200μmである。モジュール基板21は、貫通孔26を備える。
【0028】
貫通孔26は、モジュール基板21を板厚方向Dtに貫通する孔である。貫通孔26は、ICチップ22の周囲に備えられる。貫通孔26は、例えば、板厚方向Dtから見て断面が略円状となるように、略円柱状に形成される。貫通孔26には、図4に示すように、後述のワイヤ25が挿通する。貫通孔26の個数は、特に限定されないが、本実施形態では、ワイヤ25を介して接触端子24と接続されるICチップ22の電極220の個数に合わせて形成されている。なお、貫通孔26の配置、形状及び大きさ等は、特に限定されない。貫通孔26は、図5に示すように、接続コイル23近傍を貫通する貫通孔26pと、接続コイル23よりも内周側23iに離れて配置された貫通孔26qとを備える。
【0029】
ICチップ22は、モジュール基板21の裏面21gへ備えられる。ICチップ22は、接触型通信機能および非接触型通信機能を有する公知の構成のものを用いることができる。ICチップ22は、図4または図5に示すように、表面に複数の電極220を備えている。ICチップ22は、板厚方向Dtから見て矩形状に形成されている。また、ICチップ22は、接続コイル23の内周側23iへ配置されている。
【0030】
接続コイル23は、モジュール基板21の裏面21gに備えられる。接続コイル23は、内周側23iに、ICチップ22、貫通孔26及びワイヤ25が配置されるように、螺旋状に10数回程度巻いて形成されている。
【0031】
接続コイル23は、例えば、銅箔やアルミニウム箔をエッチングでパターン化することで形成され、接続コイル23の厚さは、5~50μmである。接続コイル23は、インレット10へ備えられた結合用コイル121と電磁結合する。接続コイル23の最外端及び最内端には、接続コイル23の線幅(太さ)よりも幅が広く形成された最外周端子部231及び最内周端子部232が形成されている。最外周端子部231及び最内周端子部232は、スルーホール(不図示)を備えており、ICチップ22が備えている複数の電極220の一部へワイヤボンディング等で電気的に接続される。また、接続コイル23の最内周の導線23aには、内周側23iに断線防止パターン部(補助パターン部)27が備えられている。
【0032】
図6は、図5のICカード1のICモジュール20の貫通孔26を拡大した図である。
断線防止パターン部(補助パターン部)27は、図6に示すように、接続コイル23の内周側23iに備えられ、最内周の導線23aから内周側23iに突出した部分である。断線防止パターン部27は、例えば、複数の貫通孔26のうち、接続コイル23近傍を貫通する貫通孔26pに合わせて設けられている。断線防止パターン部27は、図5に示すように、接続コイル23よりも内周側23iに離れて配置された貫通孔26qには備えていなくてもよい。
【0033】
以下の断線防止パターン部27の説明においては、説明の便宜のため、複数の断線防止パターン部27のうち図6に示すICチップ22よりも後方RRかつ右方RHに備えられた1つの断線防止パターン部27のみを説明して、その他の断線防止パターン部27は同様の構成であるとして説明を省略する。なお、配置や方向については、特に限定されず、断線防止パターン部27の形成場所に従って、任意に設定される。また、図6においては、ワイヤ25の図示を省略する。
【0034】
断線防止パターン部27は、接続コイル23の最内周の導線23aの一部に備えられる。断線防止パターン部27は、短辺方向D2の後方RRを接続コイル23の最内周の導線23aに連結され、上側UPを貫通孔26pに接するように内周側23iに突出して設けられる。具体的には、断線防止パターン部27は、貫通孔26pの縁部260の少なくとも一部に接している。本実施形態では、断線防止パターン部27は、貫通孔26pの縁部260の後方RRに接している。すなわち、断線防止パターン部27は、表面において貫通孔26pと接続コイル23との間に形成される。
【0035】
断線防止パターン部27は、例えば、貫通孔26pの形状に沿って形成される。本実施形態では、貫通孔26pは略円柱状に形成されており、縁部260は、断面形状と同じ円状である。そのため、断線防止パターン部27は、貫通孔26pの縁部260に沿って形成される。具体的には、断線防止パターン部27は、貫通孔26pの縁部260の円状の一部に沿って円弧をもつ略扇状に形成され、板厚方向Dtからみて貫通孔26pと重なる部分が切り取られた残りの部分である。このとき、扇状の中心は、貫通孔26pの中心Oと略同じ位置に配置されている。扇状の断線防止パターン部27の外径は、貫通孔26pの外径よりも大きく、少なくとも接続コイル23の最内周の導線23aに連結されている。
【0036】
ここで、貫通孔26pの中心Oから接続コイル23の最内周の導線23aに向けて垂直に延びる線を垂直線L1とする。また、貫通孔26pの中心Oから垂直線L1よりも長辺方向D1の右方RHの第一点P1を結ぶ線を第一線L2とする。貫通孔26pの中心Oから垂直線L1よりも長辺方向D1の左方LHの第二点P2を結ぶ線を第二線L3とする。第一点P1及び第二点P2は、図6に示すように、垂直線L1と、第一線L2及び第二線L3のそれぞれとがなす角度Rが60度以上(合わせて120度以上)となるように設定される。断線防止パターン部27の扇状の中心から円弧の両端部に向けて延びる2辺は、本実施形態では、それぞれ第一線L2及び第二線L3に沿う。なお、断線防止パターン部27の形状は、特に限定されず、貫通孔26pの縁部260の全体に接するように形成されていてもよいし、貫通孔26pの縁部260の一部に接するように形成されていてもよい。
【0037】
断線防止パターン部27は導電性であり、接続コイル23と同様に、銅箔やアルミニウム箔をエッチングでパターン化することで形成される。本実施形態では、断線防止パターン部27は、製造工程において接続コイル23と同じタイミングで製造される。
【0038】
接触端子24は、図示しない接触型外部機器と接触可能に構成される。接触端子24は、図3に示すように、モジュール基板21の表面21fへ形成される。接触端子24は、裏面に図示しない電極を備える。接触端子24は、ワイヤ25を介してICチップ22へ電気的に接続される。
【0039】
ワイヤ25は、図3に示すように、ワイヤボンディング等によってモジュール基板21の裏面21gのICチップ22の電極220と、表面21fの接触端子24とを接続する。ワイヤ25は、図4に示すように、貫通孔26を挿通する。ICチップ22と接触端子24とは、ワイヤ25を介して電気的に接続される。ワイヤ25としては、金ワイヤが好ましい。ただし、ワイヤ25は、銀、白金、アルミニウム、銅、合金、異種金属によるコーティング線等のワイヤを使用してもよい。
【0040】
樹脂封止部30は、ICチップ22とワイヤ25とを被覆する突起状部位である。樹脂封止部30は、図3に示すように、モジュール基板21の裏面21gに備えられている。樹脂封止部30は、例えば、公知のエポキシ樹脂、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂等などで形成することができる。樹脂封止部30は、ICチップ22を外力負荷や環境負荷から保護したり、ワイヤ25等の断線を防いだりすることができる。樹脂封止部30は、一般的にICチップ22に中心を合わせて配置する。
【0041】
[外装基材40]
外装基材40は、図3に示すように、ICカード1の表裏面に配置され、インレット10を内包する基材である。外装基材40は、例えば、非晶質ポリエステルなどのポリエステル系材料、PVC(ポリ塩化ビニル)などの塩化ビニル系材料、ポリカーボネート系材料、PET-G(ポリエチレンテレフタレート共重合体)などの絶縁性を有し、十分な強度やエンボス性などのカードに必要な特性が得られる基材を用いて形成されている。また、外装基材40は、金属シートや磁性体材料などを用いて形成されることもある。また、外装基材40は、UV硬化タイプや混合液反応硬化タイプ等の高い流動性と絶縁性とを有するプラスチック材料を用いて、カード形状に成形することもある。外装基材40の外形等の形状は、適宜カード規格に準じた外形等の形状を採用することができる。外装基材40は、本実施形態では、中間樹脂層と、中間樹脂層よりもICカード1の表裏面側に印刷層である外装樹脂層とを有する2層以上の積層体として構成される。なお、外装基材40は、単層であってもよい。また、外装基材40は、さらに磁気層、保護層等を設けてもよいし、感熱・熱転写・インクジェット等の機能性の表面コートが施されていてもよい。
【0042】
外装基材40は、ICカード1の表面1fに凹部50を備えている。凹部50は、図3に示すように、外装基材40をミリング加工することで形成される。凹部50は、モジュール基板21の裏面21gに備えられたICチップ22及びICチップ22を保護する樹脂封止部30が収容可能である。凹部50は、例えば、表面1f側の上段が裏面1g側の下段よりも幅の大きい二段の階段状に形成されている。ただし、凹部50は、階段状に形成されていなくてもよいし、二段以上に形成されていてもよい。また、凹部50は、テーパ形状に形成されていてもよい。
【0043】
ICカード1は、外装基材40と、外装基材40に内包されたインレット10と、ICモジュール20とを、熱圧によるラミネートあるいは接着等により挟み込んで一体化させ、その後、カードの形状に打ち抜いて成形される。ICカード1は、さらに成形されたあとにエンボス加工等を施されていてもよい。
【0044】
(作用)
次にICカード1の作用について、ICモジュール20の製造工程を用いて説明する。
【0045】
ICカード1は、ICモジュール20を備えている。ICモジュール20の製造工程として、初めに、断線防止パターン部27を備えた接続コイル23が、例えば、銅箔やアルミニウム箔をエッチングでパターン化することによって、モジュール基板21に形成される。その後、モジュール基板21には、貫通孔26が形成され、ICチップ22と、接触端子24と、ワイヤ25と、樹脂封止部30とをそれぞれ搭載して、ICモジュール20が形成される。
【0046】
貫通孔26は、設計上接続コイル23の近傍に配置される。貫通孔26は、形成される段階で、モジュール基板21に曲げ応力や引張り圧縮等の応力変化を与える。モジュール基板21は、貫通孔26によって、特に貫通孔26に近い接続コイル23の通信機能に影響を受ける。しかし、断線防止パターン部27が貫通孔26pと接続コイル23との間に形成され、貫通孔26pに接するように内周側23iに突出して設けられることで、断線防止パターン部27が応力を緩衝する部分となり、応力変化を減らすことができる。
【0047】
なお、上述したICモジュール20の製造工程は、ICカード1の作用の説明のための一例であって、これに限定されない。例えば、貫通孔26が形成された後に、銅箔やアルミニウム箔をエッチングでパターン化することによって断線防止パターン部27を備えた接続コイル23が形成されてもよい。ICモジュール20は、上述の製造工程の順序が前後していてもよい。
【0048】
本実施形態では、上述の構成により、接続コイル23の断線防止パターン部27が貫通孔26によるモジュール基板21への応力変化を減らすことができる。そのため、接続コイル23の断線防止パターン部27は、応力変化によるコイルの剥離や断線リスク等を低減することができる。
【0049】
また、本実施形態では、接続コイル23の断線防止パターン部27によって、モジュール基板21への応力変化を減らすことで、接続コイル23の通信機能に大きな影響を与えることなく、コイルの剥離や断線リスク等を低減することができる。
【0050】
また、本実施形態では、断線防止パターン部27の扇状の中心から円弧の両端部に向けて延びる2辺は、本実施形態では、それぞれ第一線L2及び第二線L3に沿う。そのため、貫通孔26によるモジュール基板21への応力変化を確実に低減しつつ、接続コイル23の断線防止パターン部27を、貫通孔26pの縁部260の全体ではなく、一部に設けられることで最小限に小さくして、製造コストや製造の難易度を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態では、接続コイル23に断線防止パターン部27を設けることで、貫通孔工程の位置精度をある程度許容することができる。そのため、ICモジュール20の製造の難易度を低減することができる。また、本実施形態では、アンテナ設計の自由度の高いICモジュール20の製造が可能となり、生産性の高いICモジュール20を提供することができる。
【0052】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0053】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、図7を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施形態は、いずれも第一実施形態と比較してICモジュールの接続コイルの断線防止パターン部が異なっている。従って、以下の説明では、第一実施形態との相違点を中心に説明する。本発明の第二実施形態に係るICカード1のICモジュール20に備えられた接続コイル23Aは、内周側23iに断線防止パターン部(補助パターン部)27Aを備える。なお、接続コイル23Aは、断線防止パターン部27Aが第一実施形態と異なる点を除き、第一実施形態と同様の構成である。
【0054】
図7は、第二実施形態に係るICカード1のICモジュール20の貫通孔26を拡大した図である。断線防止パターン部27Aは、図7に示すように、接続コイル23Aの内周側23iに備えられ、最内周の導線23Aaから内周側23iに突出した部分である。以下の断線防止パターン部27Aの説明においては、第一実施形態と同様に、複数の断線防止パターン部27Aのうち図7に示すICチップ22よりも後方RRかつ右方RHに備えられた1つの断線防止パターン部27Aのみを説明する。
【0055】
断線防止パターン部27Aは、貫通孔26pを中心として、長辺方向D1において対称となるように、貫通孔26pの両側に2つ備えられる。2つの断線防止パターン部27Aは、短辺方向D2の後方RRを接続コイル23Aの最内周の導線23Aaに連結され、前方FRを貫通孔26pに接するように内周側23iに突出して設けられる。
【0056】
断線防止パターン部27Aは、例えば、接続コイル23Aの最内周の導線23Aaに連結された位置から前方FRにおいて、長辺方向D1の両側の2つの断線防止パターン部27Aを繋げると円環体(ドーナツ型)状となるように形成された状態から、貫通孔26によって切り取られた残りの部分である。このとき、円環体状の内側の曲線K1は、例えば、貫通孔26の縁部260の円径よりも小さく設定されている。また、円環体状の外側の曲線K2は、貫通孔26の縁部260の円径よりも大きく設定されている。また、円環体状の中心は、貫通孔の中心Oよりも後方RR側に配置される。
【0057】
上述の実施形態においても、断線防止パターン部27Aは、貫通孔26pに接するように内周側23iに突出して設けられる。そのため、接続コイル23Aの断線防止パターン部27Aは、貫通孔26によるモジュール基板21への応力変化を減らすことができる。さらに、接続コイル23Aの断線防止パターン部27Aは、応力変化によるコイルの剥離や断線リスク等を低減することができる。
【0058】
また、本実施形態では、接続コイル23Aの断線防止パターン部27Aによって、モジュール基板21への応力変化を減らすことで、接続コイル23Aの通信機能に大きな影響を与えることなく、コイルの剥離や断線リスク等を低減することができる。
【0059】
なお、断線防止パターン部27Aは、製造工程において、断線防止パターン部27Aが、円環体(ドーナツ型)状となるように形成された状態に形成されたのち、貫通孔26の形成時に同時に切り取られて形成されてもよい。また、断線防止パターン部27Aは、貫通孔26が形成されたのち、長辺方向D1において貫通孔の両側に接するように形成されてもよい。断線防止パターン部27Aは、製造工程において特に限定されない。
【0060】
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0061】
(第三施形態)
次に、本発明の第三実施形態について、図8を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施形態は、いずれも第二実施形態と比較してICモジュールのモジュール基板に備えられた貫通孔と、接続コイルの断線防止パターン部とが異なっている。従って、以下の説明では、第二実施形態との相違点を中心に説明する。本発明の第三実施形態に係るICカード1のICモジュール20に備えられたモジュール基板(基板)21Bは、貫通孔26Bを備える。また、接続コイル23Bは、断線防止パターン部(補助パターン部)27Bを備える。なお、モジュール基板21Bは、貫通孔26Bが第二実施形態と異なる点を除き、第二実施形態と同様の構成である。また、接続コイル23Bは、断線防止パターン部27Bが第二実施形態と異なる点を除き、第二実施形態と同様の構成である。
【0062】
図8は、第三実施形態に係るICカード1のICモジュール20の貫通孔26Bを拡大した図である。ここで、図8に示す貫通孔26Bは、複数の貫通孔26BのうちICチップ22よりも後方RRかつ右方RHに備えられた1つの貫通孔26Bのみを示している。その他の貫通孔26Bは、図8に示す貫通孔26Bと同様の構成であるとして説明を省略する。なお、配置や方向については、特に限定されず、貫通孔26Bの形成場所に従って、任意に設定される。
【0063】
モジュール基板21Bに備えられた貫通孔26Bは、第一実施形態及び第二実施形態と比較して、図8に示すように、さらに接続コイル23Bに近い内周側23iと反対の外周側23jに配置される。貫通孔26Bは、接続コイル23Bの最内周の導線23Baに重なるように位置しており、長辺方向D1に沿う最内周の導線23Baを切断する。
【0064】
断線防止パターン部27Bは、第二実施形態と比較して、円環体状となるように形成された状態から、貫通孔26によって切り取られない形状である。このとき、円環体状の中心と貫通孔26Bの中心OBとは、例えば、略同じ位置に配置される。断線防止パターン部27Bは、円環体状の外側の曲線K2が、貫通孔26の縁部260の円径よりも大きく設定されているため、貫通孔26によって前方FRを切り取られず、円環体状の形状を維持する。なお、断線防止パターン部27Bは、上述の実施形態と同様に、導電性であり、接続コイル23Bと同様に、銅箔やアルミニウム箔をエッチングでパターン化することで形成される。
【0065】
上述の実施形態においても、断線防止パターン部27Bは、貫通孔26Bに接するように内周側23iに突出して設けられる。そのため、接続コイル23Bの断線防止パターン部27Bは、貫通孔26Bによるモジュール基板21Bへの応力変化を減らすことができる。さらに、接続コイル23Bの断線防止パターン部27Bは、応力変化によるコイルの剥離や断線リスク等を低減することができる。
【0066】
また、本実施形態では、貫通孔26Bが、長辺方向D1に沿う最内周の導線23Baを切断する。しかし、断線防止パターン部27Bが貫通孔26の縁部260の円径よりも大きく設定されているため、貫通孔26によって前方FRを切り取られず、円環体状の形状を維持する。そのため、貫通孔26によって導線23Baを切断された状態でも、導電性の断線防止パターン部27Bが導通時に迂回路の役目を果たすため、接続コイル23Bは、最内周の導線23Baを通電可能に導通経路を確保することができる。また、上述の構成によって、貫通孔工程の位置精度をある程度許容することができる。そのため、ICモジュール20の製造の難易度を低減することができる。また、本実施形態では、アンテナ設計の自由度の高いICモジュール20の製造が可能となり、生産性の高いICモジュール20を提供することができる。
【0067】
以上、本発明の第三実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0068】
(変形例)
例えば、上述した実施形態では、金属めっきの施されていない貫通孔を備えたICモジュール基板を用いているが、特に限定されず、スルーホールを備えたICモジュール基板を用いてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、ICモジュール基板の貫通孔は、略円柱状に形成されるが、貫通孔の形状は、特に限定されず、例えば円錐状や多角柱状であってもよい。
【0070】
また、上述した第一実施形態では、断線防止パターン部27は、貫通孔26pと接続コイル23との間に形成されるが、特に限定されない。断線防止パターン部は、貫通孔の周囲に形成されていればよい。この場合においても、断線防止パターン部は、貫通孔によるモジュール基板への応力変化を減らすことができる。
【0071】
また、ICモジュール基板の貫通孔は、断線防止パターン部(補助パターン部)を有する接続コイルの領域内に形成されていてもよい。具体的には、貫通孔の縁部は、接続コイルの領域内に形成され、貫通孔が接続コイルの外周縁部内に形成される。この場合においても、断線防止パターン部は、貫通孔によるモジュール基板への応力変化を減らすことができる。
【0072】
また、上述した実施形態では、ICカードの例として、接触型及び非接触型の双方として機能する、いわゆる複合ICカードの例を説明したが、特に限定されず、接触型のみ機能するICカードや、非接触型のみ機能するICカードにおいても適用可能である。
【0073】
また、本発明の樹脂封止部は、略円形状に形成されるが、樹脂封止部の形状は、特に限定されず、例えば四角形状や多角形状であってもよい。
【0074】
また、上述した実施形態の凹部の形状及び大きさ及び形状は、上述の実施形態に限らず、モジュール基板、ICチップ及び樹脂封止部の形状及び大きさに応じて適宜変更可能である。
【0075】
いずれの上記形態においても、本発明に係るICモジュール及びICカードによれば、アンテナ設計の自由度が高く、また、製造工程においてアンテナ断線が無く、生産性の高いICモジュール及びICカードを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係るICモジュール及びICカードによれば、アンテナ設計の自由度が高く、また、製造工程においてアンテナ断線が無く、生産性が高いので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 ICカード
1f 表面
1g 裏面
10 インレット
10f 表面
10g 裏面
11 アンテナシート本体
12 アンテナ
121 結合用コイル(アンテナ)
122 主コイル
20 ICモジュール
21、21B モジュール基板(基板)
21f 表面
21g 裏面
22 ICチップ
220 電極
23、23A、23B 接続コイル
23a、23Aa、23Ba 最内周の導線
23i 内周側
24 接触端子
25 ワイヤ
26、26B 貫通孔
260 縁部
27、27A、27B 断線防止パターン部(補助パターン部)
30 樹脂封止部
40 外装基材
50 凹部
D1 長辺方向
D2 短辺方向
Dt 板厚方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8