(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179102
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ワーク載置ステージ、ボンディング装置、およびボンディング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092172
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】永元 信裕
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047FA08
5F047FA14
5F047FA90
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、異物(ダイシング屑)等にて、チップ(ダイ)の品質不良が発生しにくいワーク載置ステージおよびボンディング装置を提供する。
【解決手段】ピックアップポジションでピックアップされた小片ワークが載置されるワーク載置ステージである。ステージ本体の上面に、小片ワークが載置された状態で外形が前記チップの外形からはみ出さないワーク載置面を設ける。ワーク載置面にチップを吸着するための吸引孔を開口させる。ワーク載置面の外周部に、小片ワークの切断端部に付着している異物が接触しない空間を設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピックアップポジションでピックアップされた小片ワークが載置されるワーク載置ステージであって、
ステージ本体の上面に、小片ワークが載置された状態で外形が前記小片ワークの外形からはみ出さないワーク載置面を設けるとともに、前記ワーク載置面に小片ワークを吸着するための吸引孔を開口させ、このワーク載置面の外周部に、小片ワークの切断端部に付着している異物が接触しない空間を設けたことを特徴とするワーク載置ステージ。
【請求項2】
前記ステージ本体の上面に、上面が前記ステージ本体の上面から突出する凸部を設け、この凸部の上面を前記ワーク載置面とし、このワーク載置面の外周部に、このワーク載置面よりも低位である前記ステージ本体の上面と、ワーク切断端面に付着している異物との間を前記空間としたことを特徴とする請求項1に記載のワーク載置ステージ。
【請求項3】
前記ステージ本体の上面に、前記ステージ本体の上面と同一高さの前記ワーク載置面を設け、このワーク載置面の外周部に、ワーク切断端面に付着している異物が接触しない前記空間を設けたことを特徴とする請求項1に記載のワーク載置ステージ。
【請求項4】
前記隙間に、落下する異物を外部に排出する異物排出手段を接続したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載するワーク載置ステージ。
【請求項5】
前記異物排出手段は、落下する異物を吸引する吸引手段にて構成したことを特徴とする請求項4に記載のワーク載置ステージ。
【請求項6】
小片ワークは、裏面側に、接着剤としてのダイアタッチフィルムが貼り付けられているDAF付きチップであることを特徴とする請求項1に記載のワーク載置ステージ。
【請求項7】
前記載置面が異物付着防止用の表面処理面とされていることを特徴とする請求項1に記載のワーク載置ステージ。
【請求項8】
前記ステージ本体に、中央ブロック体と、この中央ブロック体の外周側に配設される外周側ブロック体にて構成される載置面構成体を配設し、少なくとも外周側ブロック体の上下動を可能とし、外周側ブロック体が上昇してその上面が前記中央ブロック体の上面と同一高さとなって、面積大となる面積大形態のワーク載置面を形成し、前記外周側ブロック体が前記中央ブロック体の上面より下方に位置して、面積小となる面積小形態のワーク載置面を形成することを特徴とする請求項1に記載のワーク載置ステージ。
【請求項9】
複数の外周側ブロック体を備え、各外周側ブロック体の上下動にて、前記載置面積の変更を可能としたことを特徴とする請求項8に記載のワーク載置ステージ。
【請求項10】
ピックアップポジションでピックアップ用コレットにてチップをピックアップし、このピックアップ用コレットにてピックアップしたチップを中間ステージに供給し、この中間ステージに供給されたチップをボンディング用コレットにてピックアップし、このボンディング用コレットにてピックアップしたチップをボンディングポジションでボンディングするボンディング装置であって、
前記中間ステージに前記請求項1に記載のワーク載置ステージを用いたことを特徴とするボンディング装置。
【請求項11】
ピックアップポジションでピックアップ用コレットにてチップをピックアップし、このピックアップ用コレットにてピックアップしたチップを中間ステージに供給し、この中間ステージに供給されたチップをボンディング用コレットにてピックアップし、このボンディング用コレットにてピックアップしたチップをボンディングポジションでボンディングするボンディング方法であって、
前記中間ステージに前記請求項1に記載のワーク載置ステージを用いたことを特徴とするボンディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク載置ステージ、ボンディング装置、およびボンディング方法に関する
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、多数個の素子を一括して造り込まれたウエハをダイシングして個々のチップ(ダイ)に分離し、これを一個ずつリードフレーム等の所定位置にボンディングするというチップボンディングの手法が採用されている。
【0003】
従来においては、チップをピックアップポジションにおいてピップアップ用コレットにてピックアップして、ピップアップ用コレットにて吸着されているチップを中間ステージに供給し、この中間ステージ上に供給されているチップをボンディング用コレットにてピックアップして、ボンディング用コレットにて吸着されているチップをボンディングポジションに供給するものがある。
【0004】
ところで、半導体ウエハから半導体チップが分割されるものであるが、半導体ウエハの裏面(下面)に接着剤を構成するDAF(ダイアタッチフィルム)が貼り付けられているものがある。すなわち、ウエハとダイシングテープとの間にこのダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。DAFを有するものでは、ダイシングは、ウエハとDAFに対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウエハとDAFをダイシングテープから剥離する。
【0005】
従来の中間ステージ1は、
図7に示すように、平坦面のワーク載置面1aを有し、このワーク載置面1aには、吸着孔2の開口部2aが開口している。なお、この吸着孔2には、図示省略の吸引手段が接続されている。このため、ワーク載置面1a上にチップ3が載置されていれば、吸着孔2の開口部2aからの吸引力で、このワーク載置面1a上にチップ3が吸着されることになる。
【0006】
具体的には、
図8(a)に示すように、チップ3の裏面にはDAF4が付着され、このDAF付きチップ3がワーク載置面1aに載置されることになる。この場合、チップ3の切断端面には、ダイシング屑(チップ屑、DAF屑、ダイシングシート屑)5が付着している場合が多く、このように、ダイシング屑5が付着しているチップ3をワーク載置面1aに載置して、この中間ステージ1から再度チップ3をピックアップした際に、
図8(b)に示すように、ダイシング屑5が中間ステージ上に落下して残る場合がある。
【0007】
このような中間ステージ上に、ダイシング屑5が残れば、次に、この中間ステージ1に搬送されて、ワーク載置面1aもチップ3が載置されば、
図8(c)に示すように、DAF付きチップ3とワーク載置面1aとの間にダイシング屑5が挟まることがある。このような場合、ダイシング屑5がダイ(チップ)に傷を付けたり、割れを生じさせたりする場合がある。
【0008】
そこで、従来には、中間ステージ上の異物(ダイシング屑)を除去するためのクリーニング機構を備えたボンディング装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載のクリーニング機構は、クリーニングブラシを有するクリーニングヘッドと、このクリーニングヘッドの下方から吸引して異物を捕集する吸引手段とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、ウエハからビップアップされたDAF付きダイ(チップ)では、中間ステージ上に長時間放置すると、DAFの硬化によりダイが中間ステージに貼りつくおそれがあった。このため、ダイの貼りつき防止のため、中間ステージ上(ワーク載置面)にフッ素樹脂等を塗布するコーティング処理が行われる場合が多い。
【0011】
このようなコーティング処理が行われている場合において、クリーニングブラシで、スレージ上の異物を掻き出すと、コーティング処理層が剥離する場合がある。このように、コーティング処理層が剥離すれば、チップが中間ステージに貼りついて、このチップをボンディングコレットにてピックアップする場合、うまくピックアップできなかったり、ピックアップ動作で、チップが損傷したりすることがあった。
【0012】
また、クリーニング機構として、クリーニングブラシを移動させる必要があり、しかも、吸引手段を設ける必要があり、装置全体構成として複雑化して、装置生産性に劣ることになっていた。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、簡単な構成で、異物(ダイシング屑)等にて、チップ(ダイ)の品質不良が発生しにくいワーク載置ステージおよびボンディング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のワーク載置ステージは、ピックアップポジションでピックアップされた小片ワークが載置されるワーク載置ステージであって、ステージ本体の上面に、小片ワークが載置された状態で外形が前記小片ワークの外形からはみ出さないワーク載置面を設けるとともに、前記ワーク載置面に小片ワークを吸着するための吸引孔を開口させ、このワーク載置面の外周部に、小片ワークの切断端部に付着している異物が接触しない空間を設けたものである。
【0015】
小片ワークとしてのチップは、一枚のシート体(例えば、ウエハ)を個片に切断することによって形成される。このため、小片ワーク(チップ)の切断端面に切断屑(ダイシング屑)等の異物が付着している場合がある。従って、本発明のワーク載置ステージでは、小片ワークが載置された状態で外形が前記小片ワークの外形からはみ出さないワーク載置面を設け、しかも、ワーク載置面の外周部に、小片ワークの切断端部に付着している異物が接触しない空間を設けているので、ワーク載置面上に異物であるダイシング屑が落下して残ることを有効に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、簡単な構成で、異物(ダイシング屑)等にて、小片ワークであるチップ(ダイ)の品質不良が発生しにくいワーク載置ステージおよびボンディング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るボンディング装置を示し、(a)はピックアップ工程を示す簡略図であり、(b)はボンディング工程を示す簡略図である。
【
図2】ワーク載置ステージである中間ステージの簡略斜視図である。
【
図3】ワーク載置ステージである中間ステージの正面図である。
【
図4】他のワーク載置ステージである中間ステージの一部断面で示す正面図である。
【
図5】別のワーク載置ステージを示し、面積大形態のときの正面図である。
【
図6】別のワーク載置ステージを示し、面積小形態のときの正面図である。
【
図8】従来の中間ステージの問題点を説明するものであり、(a)は中間ステージにDAF付きチップを載置した状態の正面図であり、(b)はダイシング屑が中間ステージ上に落下した状態の正面図であり、(c)は次のDAF付きチップを載置した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を
図1~
図6に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係るダイボンダ(ボンディング装置)を示し、このボンディング装置は、小片ワークW(DAF付きチップ11)をピックアップポジションAにおいてピップアップ用コレット12にてピックアップして、ピップアップ用コレット12にて吸着されているチップ11を中間ステージ13に供給し、この中間ステージ13上に供給されている小片ワークWをボンディング用コレット14にてピックアップして、ボンディング用コレット14にて吸着されているチップを基板15等のボンディングポジションBに供給するものである。なお、ピックアップポジションAの小片ワークWは、ウエハ16から多数に分割されてなる。
【0020】
ピップアップ用コレット12は、コレットホルダを介してアーム(図示省略)が接続され、このアームがピックアップ側搬送手段(図示省略)にて、水平方向、鉛直方向及びθ方向に駆動することができる。この場合、ピックアップ側搬送手段としては、ロボットアーム機構やXYZθ軸ステージ等で構成できる。また、コレット12は、その下端面に開口した吸着孔を介して小片ワークWが真空吸引され、このコレット12の下端面にチップ11が吸着する。この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット12から小片ワークWが外れる。ピップアップ用コレット12としては、吸着面がフラットなフラットコレットであっても、吸着時に小片ワークWのエッジを案内するテーパ部を有する角錐コレットであってもよい。なお、このピップアップ用コレット12の真空引きには、真空ポンプやエジェクタ等の真空発生器を使用する。
【0021】
ピップアップ用コレット12は、
図1(a)に示す移動が可能となっている。すなわち、待機位置、つまり、ピックアップポジションAと中間ステージ13との中間位置の上部位置から、矢印C1方向に沿ってピックアップポジションAの上方位置までの移動、この位置から矢印D1方向に沿って下降して、ピックアップポジションAにおける小片ワークWを吸着するための移動、この位置から矢印D2方向に沿って上昇してピックアップポジションAの上方位置までの移動、この位置から矢印C2方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。また、待機位置から矢印C3方向に沿って中間ステージ13の上方位置までの移動、この位置から矢印D3方向に沿って下降して、中間ステージ13上のチップ供給位置へ小片ワークWを供給するための移動、この位置から矢印D4方向に沿って上昇して中間ステージ13の上方位置までの移動、この位置から矢印C4方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。なお、ピックアップポジションAの上方位置には、CCDカメラ等の観察用カメラ(図示省略)が配置され、ピックアップ時の位置認識を用いることができる。
【0022】
ボンディング用コレット14は、コレットホルダを介してアーム(図示省略)が接続され、このアームがボンディング側コレット搬送手段にて、水平方向、鉛直方向、及びθ方向に駆動することができる。このボンディング側コレット搬送手段も、ロボットアーム機構やXYZθ軸ステージ等で構成できる。また、コレット14としても、吸着面がフラットなフラットコレットであっても、吸着時に小片ワークWのエッジを案内するテーパ部を有する角錐コレットであってもよい。なお、コレット14の真空引きには、真空ポンプやエジェクタ等の真空発生器を使用する。
【0023】
これによって、ボンディング用コレット14は、
図1(b)に示す移動が可能となっている。ボンディングポジションBと中間ステージ13との中間位置の上部位置から、矢印E1方向に沿って中間ステージ13の上方位置までの移動、この位置から矢印F1方向に沿って下降して、中間ステージ13上の小片ワークWを吸着するための移動、この位置から矢印F2方向に沿って上昇して中間ステージ13の上方位置までの移動、この位置から矢印E2方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。また、待機位置から矢印E3方向に沿ってボンディングポジションBの上方位置までの移動、この位置から矢印F3方向に沿って下降して、ボンディングポジションBへ小片ワークWを供給するための移動、この位置から矢印F4方向に沿って上昇してボンディングポジションBの上方位置までの移動、この位置から矢印E4方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。
【0024】
ところで、半導体ウエハから小片ワークWが分割されるものであるが、半導体ウエハの裏面(下面)に接着剤を構成するDAF(ダイアタッチフィルム)10(
図3参照)が貼り付けられているものがある。すなわち、ウエハとダイシングテープとの間にこのダイアタッチフィルム(DAF10)と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。DAF10を有するものでは、ダイシングは、ウエハとDAFに対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウエハとDAFをダイシングテープから剥離する。このため、小片ワークWとしては、DAF付きチップ11である。
【0025】
このため、ピックアップステージからピックアップしたDAF付きチップ11は、その切断端面(4つの辺の端面)には、ダイシング屑(チップ屑、DAF屑、ダイシングシート屑)10aが付着している場合がある。
【0026】
図2は、中間ステージ13としてのワーク載置ステージ20の要部簡略斜視図を示し、
図3はこのワーク載置ステージの正面図を示す。この場合、ステージ本体21とこのステージ本体21の上面21aから突設している凸部22とを有するものである。この凸部22の上面22aがワーク載置面Sを構成する。なお、この実施形態では、ステージ本体21は、正方形乃至矩形平板形状をなし、凸部22も正方形乃至矩形平板形状をなし、凸部22のステージ本体21からの突出量T(高さ寸法)として、例えば、0.5mm~1.0mm程度とされる。この場合、ステージ本体21と凸部22とが一体形成品であっても、ステージ本体21に、立方体乃至直方体形状のブロック体24を嵌合させて、ブロック体・の上部を、ステージ本体21から突出させ、この突出部を凸部22としてもよい。
【0027】
また、ワーク載置ステージ20には、複数個の吸引孔23が設けられる。つまり、ワーク載置面Sに、各吸引孔23の開口部23aを開口させている。各吸引孔23には、図示省略の吸引手段が接続されている。このため、ワーク載置面S上にチップ11が載置されていれば、吸引孔23の開口部23aからの吸引力で、このワーク載置面S上に小片ワークWが吸着されることになる。この場合の吸引手段は、吸引孔23の開口部23aからの吸引力を調整でき、しかも、吸引孔23を正圧状態とすることを可能としている。
【0028】
この場合、凸部22は、載置される小片ワークWの外形と同一乃至小片ワークWの外形よりも微小所定寸だけ小さい外形を有するものに設定される。この実施形態では、凸部22の外形の各辺の長さをチップ11の外形の各辺の長さよりも0.1mm~0.5mm小さくして、凸部22の外形の各辺がチップの外形の各辺よりも突出しないように設定している。すなわち、
図2及び
図3に示すように、ワーク載置面Sの中心位置に、チップ11の中心位置が対応するように、チップ11をワーク載置面Sに載置した際に、チップ11の各辺(4辺)がワーク載置面Sの対応する各辺(4辺)から外形側へ突出することになる。この実施形態では、ワーク載置面Sの各辺からの突出量をHとしたときに、H=0.05mm~0.25mmとしている。ところで、凸部22として、載置される小片ワークの外形と同一でよいのは、小片ワークWよりDAFが大きいため、屑がある部分が凸部22よりも外側に位置することになって、屑が凸部22に触れないためである。
【0029】
この場合、前記したように、載置されるチップ11の外形と凸部22の外形とが同一であってもよい。すなわち、H=0mmであってもよい。H=0mmであっても、チップ11をワーク載置面Sに載置した状態で、平面視において、チップ11の各辺がワーク載置面Sの各辺よりはみ出さない。
【0030】
このため、
図2及び
図3に示すワーク載置ステージ20では、ワーク載置面の外周部に、このワーク載置面よりも低位であるステージ本体21の上面21aと、ワーク切断端面に付着している異物10aとの間に空間(隙間)Saが形成される。このため、小片ワークWの切断端面に異物10aが付着していても、ワーク載置ステージ20のワーク載置面Sに付着することを有効に防止できる。
【0031】
また、
図2に示すように、このワーク載置ステージ20は、落下する異物を外部に排出する異物排出手段Mが設けられている。
図2及び
図3に示すワーク載置ステージでは、凸部22の外周部位に、凹溝25aを設けるとともに、この凹溝25aに図示省略の吸引機構を接続することで、ワーク切断端面に付着している異物10aを外部へ排出するための吸引溝25を設けることになり、この吸引溝25をもって、異物排出手段Mを構成している。この場合、例えば、吸引孔23に接続される吸引手段に、吸引溝25を接続することによって、チップ11に付着している異物を吸引溝25に吸引することができ、その異物を外部へ排出することができる。しかしながら、吸引溝25の吸引力は一定でよく、しかも、常時吸引力を付与しておくのが好ましいので、吸引溝25には、吸引孔23に接続される吸引手段とは異なる吸引手段を接続するものであってもよい。また、同一の真空源を用いて、真空配管を分離して、別々に制御するようにしてよい。
【0032】
凸部22の上面22a、つまり、ワーク載置面Sが異物付着防止用の表面処理面とされている。ここで、表面処置面とは、樹脂コーティング等が施されてなる。樹脂コーティングの他の表面処理であってもよい。このように、ワーク載置面Sが表面処理面とされていれば、小片ワーク裏面に、接着剤としてのダイアタッチフィルムDAFが貼り付けられている場合であっても、チップ11がワーク載置面Sに貼りつくことを有効に防止できる。これにより、このワーク載置ステージに載置された小片ワークWのピックアップ動作が安定する。
【0033】
ところで、このボンディング装置では、ピックアップポジションで、一つの小片ワークW(チップ11)をヒップアップ側のコレット12にてピックアップし、このピックアップした小片ワークWが中間ステージに供給される。すなわち、コレット12の下面(吸着面)に小片ワークWを吸着保持し、このコレット12を中間ステージ13の上方に位置させる。その後、コレット12のワーク載置面Sに小片ワークWを載置し、コレット側の吸引を解除するとともに、中間ステージ側の吸引手段を駆動して、中間ステージ13のワーク載置面Sに小片ワークWを吸着させる。
【0034】
また、中間ステージのワーク載置面Sに吸着されている小片ワークWを、ボンディングポジション側のコレット14に吸着する。すなわち、ボンディングポジション側のコレット14を中間ステージ上の小片ワークWに当接させて、コレット14にチップ11を吸着する。この場合、中間ステージ側の吸引を解除するとともに、コレット14側の吸引手段を駆動してコレット14に小片ワークWを吸着する。その後は、このコレット14に吸着されている小片ワークWをボンディングポジションに搬送することになる。
【0035】
ところで、ピックアップ側のコレット12の搬送手段、ボンディング側のコレット14の搬送手段、ピックアップ側のコレット12の吸引機構、ボンディング側のコレット14の吸引機構、及び中間ステージ13側の吸引機構等は、図示省略のコンピュータにて制御(コンピュータ制御)される。ここで、コンピュータは、基本的には、入力機能を備えた入力手段と、出力機能を備えた出力手段と、記憶機能を備えた記憶手段と、演算機能を備えた演算手段と、制御機能を備えた制御手段にて構成される。入力機能は、外部からの情報を、コンピュータに読み取るためのものであって、読み込まれたデータやプログラムは、コンピュータシステムに適した形式の信号に変換される。出力機能は、演算結果や保存されているデータなどを外部に表示するものである。記憶手段は、プログラムやデータ、処理結果などを記憶して保存するものである。演算機能は、データをプログラムの命令に随って、計算や比較して処理するものである。制御機能は、プログラムの命令を解読し、各手段に指示を出すものであり、この制御機能はコンピュータの全手段の統括をする。入力手段には、キーボード、マウス、タブレット、マイク、ジョイスティック、スキャナ、キャプチャーボード等がある。また、出力手段には、モニタ、スピーカー、プリンタ等がある。記憶手段には、メモリ、ハードディスク、CD・CD-R,PD・MO等がある。演算手段には、CPU等があり、制御手段には、CPUやマザーボード等がある。
【0036】
このように構成された中間ステージ13を用いれば、小片ワークWが載置された状態で外形が小片ワークWの外形からはみ出さないワーク載置面Sを設け、しかも、ワーク載置面Sの外周部に、小片ワークWの切断端部に付着している異物が接触しない空間Saを設けているので、ワーク載置面S上に異物であるダイシング屑が落下して残ることを有効に防止できる。
【0037】
このため、本発明に係るワーク載置ステージによれば、簡単な構成で、異物(ダイシング屑)等にて、小片ワークWであるチップ(ダイ)11の品質不良が発生しにくいワーク載置ステージを提供できる。すなわち、ワーク載置面Sに異物10aが付着しにくい構造となっているため、クリーニングブラシ等を有するクリーニング機構を設ける必要がない。このため、装置構成として、複雑化せず、しかも、ワーク載置面S上のコーティング処理層の剥離を有効に防止でき、チップ11のワーク載置ステージからのピックアップ動作を長期にわたって安定して行うことができる。
【0038】
次に、
図4は他の実施形態を示し、この場合、前記ステージ本体26の上面26aに、ステージ本体26の上面26aと同一高さのワーク載置面Sを設け、このワーク載置面Sの外周部に、ワーク切断端面に付着している異物が接触しない前記空間Saを設けたものである場合がある。空間Saは、ワーク載置面Sの外周に沿って形成される凹溝27にて形成される。
【0039】
この場合であっても、小片ワークWが載置された状態で外形が小片ワークWの外形からはみ出さないワーク載置面Sを設け、しかも、ワーク載置面Sの外周部に、小片ワークWの切断端部に付着している異物10aが接触しない空間Saを設けているので、ワーク載置面上に異物であるダイシング屑が落下して残ることを有効に防止できる。
【0040】
また、凹溝27の吸引機構を接続すれば、この凹溝27が吸引溝25となって、異物排出手段Mを構成することができる。
【0041】
図5と
図6は別のワーク載置ステージを示し、このステージでは、凸部22は、中央ブロック体30と、この中央ブロック体30の外周側に配設される外周側ブロック体31にて構成される。中央ブロック体30は、複数の吸引孔を有する直方体乃至立方体形状のブロック体にて構成され、外周側ブロック体31は、中央ブロック体30の外周を包囲するように配置される矩形枠形状のブロック体からなる。また、この外周側ブロック体31にも複数の吸引孔が設けられている。
【0042】
この場合、少なくとも、外周側ブロック体31が図示省略の昇降機構にて上下動し、中央ブロック体30は上下動しない構成になっている。
図5に示す状態では、ステージ本体21の上面から、所定量だけ突出した状態に維持されている。すなわち、外周側ブロック体31のステージ本体21の上面21aからの突出量を、中央ブロック体30のステージ本体21の上面21aからの突出量と同一としている。このため、ワーク載置面Sは、中央ブロック体30の上面と外周側ブロック体31の上面とで構成され、面積大の面積大形態をなしている。この状態では、中央ブロック体31の吸引孔及び外周側ブロック体31の吸引孔を介した小片ワークWであるチップ11の吸引が可能となっている。なお、昇降機構として、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアガイド機構等の公知・公用の往復動機構を用いることができる。
【0043】
また、
図6に示す状態では、外周側ブロック体31を、その上面がステージ本体21の上面と同一高さになるように下降させている。このため、ワーク載置面Sは、中央ブロック体30の上面のみで構成され、面積小の面積小形態をなしている。
【0044】
このため、外周側ブロック体31を上昇させて、面積大となる面積大形態をなした場合、この面積大形態に対応して面積大の小片ワークWを、このワーク載置面Sに載置することができる。また、外周側ブロック体31を下降させて、面積小となる面積小形態となした場合、面積小形態に対応して面積小の小片ワークWを、このワーク載置面Sに載置することができる。このため、ワーク載置ステージに載置する小片ワークWの大きさに応じて、小片ワークWが載置されるワーク載置面の面積を変更でき、使い勝手のよい装置となる。
【0045】
本発明に係るワーク載置ステージを用いた本発明のボンディング装置及びボンディング方法では、ワーク載置ステージを用いるので、チップ11の切断端面に付着している異物10aがこのワーク載置面に付着することを防止できる。しかも、切断端面に付着している異物10aが、ワーク載置面の外周部位に設けられた吸引溝に吸引される。
【0046】
本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、ワーク載置ステージに設けられている吸引孔の数は、任意であって、図例のように、3行3列のものに限らない。また、各吸引孔の大きさとしても任意に設定できるが、小片ワークの肉厚が50μm以下の薄いものが吸引孔に吸い込まれて変形しないものとするのが好ましい。
【0047】
図5と
図6に示すワーク載置ステージでは、上下動する外周側ブロック体が1個であったが、2個以上備えたものであってもよい。複数の上下動可能な外周側ブロック体を備えたものであれば、種々の大きさの小片ワークWの載置に用いることができる。また、前記実施形態では、中央ブロック体は上下動できない構造であったが、中央ブロック体も上下動できるものであってもよい。
【0048】
装置として、ワーク載置面Sを構成する部材のみの交換、ステージ本体21およびワーク載置面Sを構成する部材の交換を可能としたものであってもよい。また、ワーク載置ステージとして、前記実施形態では、中間ステージ13を備えたボンディング装置の中間ステージ13をもってワーク載置ステージとしていたが、このような中間ステージに限定されない。たとえば、異物(屑)付着面を吸着するコレット等を用いることができる。
【0049】
また、異物排出手段Mとして、実施形態では、吸引機構を用いて、異物を吸引するものであったが、エアブロー機構を用いて、異物を外部へ吹き出すようなものであってもよい。この場合、ワーク載置テーブル上のワーク載置面Sに異物が付着しないように、吹き出し路を設けようにするのが好ましい。
【符号の説明】
【0050】
10a 異物
11 チップ
12 ピップアップ用コレット
13 中間ステージ
14 ボンディング用コレット
20 ワーク載置ステージ
21 ステージ本体
21a 上面
22 凸部
22a 上面
23 吸引孔
23a 開口部
26 ステージ本体
26a 上面
30 中央ブロック体
31 外周側ブロック体
A ピックアップポジション
B ボンディングポジション
M 異物排出手段
S ワーク載置面
Sa 空間
W 小片ワーク