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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179115
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231212BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20231212BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
H01L33/60
G09F9/33
G09F9/30 349D
G09F9/30 349C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092203
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA06
5C094AA10
5C094BA25
5C094DA09
5C094DB04
5C094EC04
5C094ED11
5C094ED15
5C094FA02
5C094FA03
5C094JA09
5C094JA13
5F142AA04
5F142CA11
5F142DB42
5F142DB54
5F142EA02
5F142EA04
5F142EA34
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】正面輝度が高く、且つコントラストの高い表示装置を提供することを課題の一つとする。
【解決手段】表示装置は、第1基板と、第1基板上の発光素子と、第1基板と対向する第2基板と、第2基板の第1基板と対向する面上の発光素子を囲む第1構造体と、第1基板と第2基板との間の第1構造体と重畳する遮光膜と、を含み、第1構造体の側面の傾斜角の補角は、30度以上90度未満である。また、表示装置は、第1構造体の側面上の反射膜を、さらに含む。さらに、遮光膜は、第1構造体と第2基板との間に位置する。加えて、第1構造体の第2基板側に位置する面は、遮光膜より小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上の発光素子と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第2基板の前記第1基板と対向する面上の前記発光素子を囲む第1構造体と、
前記第1基板と前記第2基板との間の前記第1構造体と重畳する遮光膜と、を含み、
前記第1構造体の側面の傾斜角の補角は、30度以上90度未満である、
表示装置。
【請求項2】
前記第1構造体の側面上の反射膜を、さらに含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記遮光膜は、前記第1構造体と前記第2基板との間に位置する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1構造体の前記第2基板側に位置する面は、前記遮光膜より小さい、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記遮光膜と前記第1基板との間に前記発光素子と電気的に接続するICチップを、さらに含み、
前記発光素子と前記ICチップは、画素内に配置され、
前記遮光膜は、前記ICチップと重畳するように配置される、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記遮光膜は、前記第1構造体と前記第1基板との間に位置する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光素子と前記第2基板との間に有機層を、さらに含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2基板の前記第1基板と対向する面上の前記発光素子に直面する第2構造体を、さらに含み、
前記第1構造体の屈折率は、第2基板および前記第2構造体の屈折率より大きい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2構造体は前記発光素子に対して凹形である、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
第1基板と、
前記第1基板上の発光素子と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第2基板の前記第1基板と対向する面上の前記発光素子を囲む第1構造体と、
前記第1基板と前記第2基板との間の前記第1構造体と重畳する遮光膜と、
前記第1構造体の側面の傾斜角は、30度以上90度未満である、
表示装置。
【請求項11】
前記第1構造体の側面上の反射膜を、さらに含む、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記遮光膜は、前記第1構造体と前記第2基板との間に位置する、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1構造体の前記第2基板側に位置する面は、前記遮光膜より小さい、
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記遮光膜と前記第1基板との間に前記発光素子と電気的に接続するICチップを、さらに含み、
前記発光素子と前記ICチップは、画素内に配置され、
前記遮光膜は、前記ICチップと重畳するように配置される、
請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
前記遮光膜は、前記第1構造体と前記第1基板との間に位置する、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項16】
前記発光素子と前記第2基板との間に有機層を、さらに含む、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第2基板の前記第1基板と対向する面上の前記発光素子に直面する第2構造体を、さらに含み、
前記第1構造体の屈折率は、第2基板および前記第2構造体の屈折率より大きい、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第2構造体は前記発光素子に対して凹形である、
請求項17に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置、特に、発光ダイオード(LED)を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代ディスプレイとして、画素内に微小なマイクロLEDを配置した、いわゆるマイクロLEDディスプレイの開発が進められている。マイクロLEDは、OLED(Organic Light Emitting Diode)と同様の自発光型素子であるが、OLEDと異なり、ガリウム(Ga)またはインジウム(In)などを含む安定した無機化合物で構成されるため、OLEDディスプレイと比較すると、マイクロLEDディスプレイは高信頼性を確保しやすい。さらに、マイクロLEDは、発光効率が高く、高輝度を実現することができる。したがって、マイクロLEDディスプレイは、高信頼性、高輝度、および高コントラストを有する次世代ディスプレイとして期待されている。
【0003】
マイクロLEDディスプレイの中でも、発光素子が実装される基板に発光素子からの光を外部に放出させる遮光層を用い、ディスプレイの正面輝度を向上させる方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、ディスプレイの正面輝度を調整するだけでは、発光素子の上面および側面から放射された光による内部反射が抑制できず、コントラストの低下、主に黒色の表示の低下の問題が生じることがある。また、マイクロLEDディスプレイは、反射率の高い金属材料などを用いたトランジスタやICチップ(integrated circuit chip)を発光素子の周辺に設けることがあるため、それらの界面に発光素子から出射された光が反射し、コントラストの低下を引き起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/033775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、正面輝度が高く、且つコントラストの高い表示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、第1基板上の発光素子と、第1基板と対向する第2基板と、第2基板の第1基板と対向する面上の発光素子を囲む第1構造体と、第1基板と第2基板との間の第1構造体と重畳する遮光膜と、を含み、第1構造体の側面の傾斜角の補角は、30度以上90度未満である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の作製方法の模式的な断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
本明細書において「αはA、BまたはCを含む」、「αはA,BおよびCのいずれかを含む」、「αはA,BおよびCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0011】
本明細書において、説明の便宜上、「上」または「上方」もしくは「下」または「下方」という語句を用いて説明するが、原則として、構造物が形成される基板を基準とし、基板から構造物に向かう方向を「上」または「上方」とする。逆に、構造物から基板に向かう方向を「下」または「下方」とする。したがって、基板上の発光素子という表現において、発光素子の基板側の面が下面となり、その反対側の面が上面となる。また、基板上の発光素子という表現においては、基板と発光素子との上下関係を説明しているに過ぎず、基板と発光素子との間に他の部材が配置されていてもよい。さらに、「上」または「上方」もしくは「下」または「下方」の語句は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、平面視において重畳する位置関係になくてもよい。
【0012】
本明細書において、「表示装置」とは、発光素子を用いて映像を表示する装置を幅広く含むものであり、表示パネルや表示モジュールだけでなく、他の光学部材(例えば、偏光部材、バックライト、タッチパネル等)が取り付けられた装置も含む場合がある。
【0013】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0014】
<第1実施形態>
1.全体構成
本実施形態は、一実施形態に係る表示装置10の構造を示す。図1は、本実施形態に係る表示装置の模式的平面図である。
【0015】
図1に示すように、表示装置10は、第1基板102、第2基板104、フレキシブルプリント回路基板106、ICチップ108を含む。第1基板102と第2基板104は対向するように配置される。第1基板102と第2基板104が対向する領域に表示領域110が設けられる。表示領域110には複数の画素118が配列される。表示装置10は表示領域110の外側に、さらに周辺領域112及び端子領域114を有する。
【0016】
表示領域110には第1構造体132が配置される。第1構造体132は、表示領域110の全体に亘って設けられる。第1構造体132は、発光素子116が露出する開口パターンを有する。第1構造体132の開口パターンは画素118に対応して設けられる。別言すれば、発光素子116は、第1構造体132に囲まれるように配置される。図1では、第1構造体132が有する1つの開口パターンの中に1つの発光素子116が配置される例を示すが、画素118に複数の発光素子116が配置される場合には、1つの開口パターンの中に複数の発光素子116が配置されてもよい。例えば、3つの発光素子116が第1構造体132の一つの開口パターンの中に設けられてもよい。このように、第1構造体132が発光素子116を囲む領域を一つの画素118として扱うことができる。
【0017】
表示領域110には、また、遮光膜122が設けられる。遮光膜122は、平面視において、第1構造体132と重なるように設けられ、かつ、第1構造体132の開口パターンを塞がないように設けられる。別言すれば、遮光膜122は、平面視において発光素子116を囲むように設けられる。図1に示すように、遮光膜122は、表示領域110に配列される画素118の隣接間を覆うように設けられる。表示領域110にこのような遮光膜122が設けられることにより、画素間の光漏れを防ぐことができる。図1は、遮光膜122が表示領域110に設けられる例を示すが、遮光膜122は周辺領域112に広がっていてもよい。
【0018】
周辺領域112には、各画素118に設けられる発光素子116の発光状態を制御するためのドライバ回路107を設けることができる。また、第1基板102には、周辺領域112の一端に端子領域114が設けられる。端子領域114には複数の端子が設けられる。フレキシブルプリント回路基板106は端子領域114に取り付けられ、複数の端子と電気的に接続される。フレキシブルプリント回路基板106にはICチップ108が実装されている。ICチップ108はビデオ信号を出力する。ICチップ108から出力されるビデオ信号は、フレキシブルプリント回路基板106を介して第1基板102に設けられたドライバ回路107に送信される。
【0019】
図1に示す領域124の拡大図を図2に示す。図2は、領域124の平面図を示し、具体的には画素118の平面図を示す。遮光膜122は開口部144を有する。遮光膜122の開口部144は、上述した第1構造体132の開口パターンと重なるように設けられる。開口部144の内側の領域に発光素子116が配置される。遮光膜122は、発光素子116から出射された光を遮る機能を有するので、開口部144の内側の領域を画素118とみなすことができる。図2は、開口部144において、発光素子116に加え、第1構造体132の一部の領域が露出することを示す。この一部の領域は、第1構造体132の側面に沿って反射膜120が設けられれる領域である。画素118は、発光素子116、第1導電層126、第2導電層128、第1構造体132の一部(及び反射膜120)を含む。画素118は、平面視において第1構造体132の一部を含み、この一部は、後述する第1構造体132の側面140に相当する。第1構造体132の側面140は、発光素子116、第1導電層126及び第2導電層128を囲むように配置される。発光素子116は、第1導電層126及び第2導電層128上に配置される。図2は、一つの画素118に一つの発光素子116が設けられる例を示すが、この例に限定されず、複数の発光素子116が一つの画素118に設けられてもよい。
【0020】
2.断面構造
図3は、図2に示すA1-A2線に沿った断面模式図を示す。図3に示すように、第1基板102上に発光素子116が配置され、第2基板104の第1基板と対向する面上の発光素子116を囲むように第1構造体132が設けられる。また、第1基板102に向して第2基板104が配置される。
【0021】
発光素子116と第1構造体132は、第1基板102と第2基板104との間に設けられる。第1構造体132は一定の高さを有する。また、第1構造体132は、発光素子116の上端よりも高い構造を有する。そのため、第1基板102と第2基板104との間に第1構造体132が介在することで、第1基板102と第2基板104との間隔を一定に保つことができ、発光素子116が第2基板104に直接接触しないようにすることができる。そして、図3に示されるように、発光素子116を囲む空間を形成することができる。この空間は発光素子116が収納される空間であり、これを本実施形態では格納部134と呼ぶこととする。
【0022】
格納部134は、図3に示すように断面視において、第1構造体132の間、および第1基板102と第2基板104との間に配置される。格納部134には、気体、又は透明な樹脂材料が充填されていてもよい。気体としては、例えば、空気のような混合気体、不活性ガス、窒素ガスなどを用いることができる。透明な樹脂材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。このとき、格納部134に充填される気体または樹脂材料は、第2基板104の屈折率と同等の屈折率を有することが好ましい。充填物の屈折率が第2基板104の屈折率が近い値を示すことで、第2基板104と充填物との界面での反射を抑制することができ、発光素子116から射出される光を効率よく表示装置10から取り出すことができる。また、樹脂等を充填物に用いる場合、第2基板104の全体に樹脂を塗布し格納部134に充填物を充填することができる。また、格納部134に樹脂を吐出して、格納部134に充填物を充填することもできる。
【0023】
第1構造体132は、図3に示すように、第2面136と反対の面である第1面138を有し、第2面136と第1面138との間に側面140を有する。第1面138の面積は、第2面136の面積より小さく、そのため側面140は傾斜を有して第1面138と第2面136とに接続されている。第1構造体132の形状は、図3に示すように、断面視において台形である。ここで、第1面138に対する側面140の傾斜角をθ1とすると、傾斜角θ1に対する補角をθ2とする。第1面138に対する側面140の傾斜角θ1の補角θ2は、例えば、30度以上90度未満である。また、傾斜角θ1および補角θ2は、第1面138に対して垂直であってもよい。さらに、第1構造体132の高さ、すなわち第1面138から第2面136までの距離は、例えば、5μm以上50μm以下である。第1構造体132と第2基板104との間に遮光膜122を設ける場合は、第1構造体132の高さは遮光膜122の厚みを合わせた高さ、つまり、第1基板102と第2基板104との間の距離とすることができる。
【0024】
第1構造体132は、第2基板104に設けられる。第1構造体132が第2基板104に設けられることで、表示装置10は、図4に示すような貼り合わせ工程を経て作製される。図4に示すように、第1基板102と向かい合う第1構造体132の面を第2面136としたとき、第1構造体132の第2面136が第1基板102と接するように、第2基板104と第1基板102は貼り合わされる。貼り合わせには、シールやガラスフリットを用いる、または、紫外線硬化性の充填樹脂等を用いることができる。また、貼り合わせの時に、第1構造体132の第2面136と第1基板102を接着させてもよい。第1構造体132の第2面136と第1基板102との間に紫外線硬化性の充填樹脂等の接着層を設け、第1構造体132の第2面と第1基板102とを接着させてもよい。
【0025】
第1構造体132に用いられる材料としては、格納部134の充填物と屈折率が異なる材料を用いる。例えば、格納部134の充填物が空気である場合、屈折率が1.5程度である樹脂を用いることができる。このように第1構造体132と充填物の屈折率を異ならせ上記のように側面140に傾斜角を持たせることで、側面140(第1構造体132と充填物との界面)を反射面とすることができ、発光素子116から射出される光を第2基板104の方向へ反射させ、出射光とすることができる。
【0026】
第1構造体132は、側面140に反射膜120を設けて反射面を形成してもよい。反射膜120は、第1構造体132の側面140に設けられる。反射膜120は、側面140の少なくとも一部を覆うように設けられ、さらに好ましくは、側面140の第1面138側または第2面136側を覆うように設けられるとよい。反射膜120には、発光素子116から射出される光の反射率の高い材料を用いることができ、例えば、アルミニウムなどを用いることができる。反射膜120を設けることによっても、同様に発光素子116から射出される光を第2基板104の方向へ反射させ、出射光とすることができる。
【0027】
遮光膜122は、第1構造体132の第1面138と重畳するように設けられる。遮光膜122は、第1構造体132と第2基板104との間に配置される。図3に示すように、遮光膜122は、第1構造体132の第2基板104側に位置する第1面138と第2基板104との間に設けられる。遮光膜122は、第1構造体132の第1基板102側に位置する第2面136より小さい。図3に示すように、断面視において、遮光膜122の幅は、第1構造体132の第1面138の幅と同程度の大きさを有するため、第1面138の幅より大きい第2面136の幅より小さい。遮光膜122は、断面視において、第1構造体132の第2面136の面積より小さくすることができる。
【0028】
発光素子116として、例えば、発光ダイオード(LED)が用いられる。発光ダイオードとして、例えば、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、または紫外発光ダイオードなどを用いることができる。なお、発光ダイオードには、ミニLEDまたはマイクロLEDと呼ばれる微小な発光ダイオードが含まれる。
【0029】
本発明の一実施形態において、マイクロLEDとは、チップサイズが数マイクロメートル以上、100μm以下、ミニLEDとは、チップサイズが100μm以上のものをいう。本発明の一実施形態はいずれのサイズのLEDも用いることができ、発光装置の用途及び形態に応じて適宜使い分けることができる。
【0030】
発光素子116が発光ダイオードである場合、p側電極及びn側電極を有する。n側電極は第1バンプ130によって第1導電層126と接続され、p側電極は第2バンプ131によって第2導電層128と接続される。
【0031】
発光素子116と第1導電層126および第2導電層128との電気的な接続に第1バンプ130および第2バンプ131が用いられる。図3は、発光素子116がフリップチップ型のLEDチップで提供され、n側電極と第1導電層126との接続に第1バンプ130が用いられ、p側電極と第2導電層128との接続に第2バンプ131が用いられる構造を示す。フリップチップ型のLEDチップはn側電極とp側電極とで高さが異なるが、第1バンプ130の高さを第2バンプ131よりも高くすることで、LEDチップを水平に実装することができる。第1バンプ130および第2バンプ131は、めっき、スパッタ、蒸着、または印刷などによって形成することができる。第1バンプ130および第2バンプ131の材料としては、例えば、金を用いることができるが、これに制限されない。
【0032】
第1導電層126および第2導電層128は、第1基板102に設けられたトランジスタ(図示されない)と電気的に接続する。このトランジスタは、例えばドライバ回路107と電気的に接続され、発光素子116は発光状態を制御する。第1導電層126および第2導電層128に用いる材料は、例えば、アルミニウムまたは銀などがあげられる。
【0033】
発光素子116を実装する第1基板102は、ポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板などの可撓性基板を用いることができる。第1基板102の耐熱性を向上させるために、上記可撓性基板に不純物を導入してもよい。第1基板102が可撓性を有する必要がないときは、第1基板102として、例えば、ガラス基板、石英基板、またはサファイア基板などの剛性基板を用いることができる。なお、詳細は図示しないが、第1基板102は、発光素子116を駆動するための回路が形成された、いわゆる回路基板であってもよい。また、表示装置10の第1構造体132、反射膜120、遮光膜122および第2基板104を除く、第1基板102から発光素子116までの構造をアレイ基板と称する場合がある。
【0034】
ここで、発光素子116から出射される光の進行について、図3を用いて説明する。
【0035】
発光素子116は全周囲に光を射出する。発光素子116から射出された光のうち斜め方向及び横方向に射出された光は、第1構造体132の反射面によって、第2基板104の方向へ反射され、その進行方向が変化する。第1構造体132の反射面は、発光素子116から斜め方向及び横方向に射出される光の進行方向を第2基板104の方向へ変えることができる。例えば、図3に示すように、発光素子116の第2基板104と対向する面から射出する光L1は、第2基板104の方向に進み、発光素子116の斜め方向及び横方向に射出する光L2および光L3は、第1構造体132の側面140にて反射した後、第2基板104の方向へ進行方向を変えることができる。したがって、画素118は、発光素子116から射出され、そのまま第2基板104を通して出射される光に加え、第1構造体132の側へ射出された光を出射光とすることができる。
【0036】
次に、光の反射率の高い反射膜120を側面140に設ける場合、発光素子116の反射膜120の方向へ射出する光L4および光L5は、反射膜120にて反射し、進行方向を変えることができる。具体的には、図3に示すように、発光素子116の反射膜120の方向へ射出する光L4および光L5は、反射膜120にて反射した後、第2基板104の方向へ進行方向を変えることができる。ただし、光L4および光L5のうち反射膜120を透過した光は、光L2およびL3のように、第1構造体132の側面140に反射し、第2基板104へ進行方向を変えることができる。このように、第1構造体132が反射面を有することで、発光素子116から射出される光は第2基板104方向に進行方向を変えることができる。したがって、画素118は、発光素子116から射出され、そのまま第2基板104を通して出射される光に加え、第1構造体132の側へ射出された光を出射光とすることができる。
【0037】
第2基板104は、発光素子116から射出される光が透過するため、発光素子116から射出される光の透過率が高い基板を用いることが好ましい。したがって、第2基板104として、例えば、ポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、フッ素樹脂基板、またはガラス基板などの透光性基板を用いることができる。
【0038】
次に、図5を参照して、複数の発光素子116が一つの格納部134に格納される例を示す。
【0039】
複数の発光素子116を一つの格納部134に設ける場合、図5に示すように、複数の発光素子116は、第1構造体132の側面140に挟まれて配置することができる。図5では、複数の発光素子116を横並びに配置した例を示したが、縦並びに配置されてもよく、特に複数の発光素子116の配置は制限されない。
【0040】
また、複数の発光素子116は、図6に示すように、第3基板142に設けることができる。複数の発光素子116が設けられた第3基板142は、格納部134内に配置されるように、第1基板102に設けることができる。また、第3基板142は、第1基板102と同様の基板を用いることができ、さらに複数の発光素子116の駆動回路が実装されたモジュール基板を用いてもよい。複数の発光素子116を第3基板142に設けることで、第1基板102に設けられる構造物の作製工程を簡略化することができる。
【0041】
3.変形例
3-1.変形例1
図7を参照して、表示装置10の変形例を説明する。図1から3に示す表示装置10と異なる点は、遮光膜122が第1構造体132の第1面138より大きい点である。なお、図1から3に示す表示装置10と同一、または類似する構成については、説明を割愛することがある。
【0042】
図7は、発光素子116を第2基板104からみる平面図を示す。第2基板104は、便宜上図示していない。図7に示すように、遮光膜122が反射膜120(図示しない側面140)を覆うように設けられるため、平面視において、遮光膜122の開口部144は、発光素子116の外形を囲むように配置される。
【0043】
図8は、図7に示すB1-B2線に沿った断面模式図を示す。
【0044】
図8に示すように、断面視において、遮光膜122の幅は、第1構造体132の第1面138の幅より大きい。また、遮光膜122は、第1構造体132の側面140と重畳するように設けられる。このとき、遮光膜122は、発光素子116の上方の第2基板104には設けられない。このとき、発光素子116の上方とは、発光素子116の光が第2基板104側に射出される方向とする。
【0045】
図7および図8に示したように、遮光膜122が平面視で反射膜120または側面140と重なるように設けられることで、反射膜120または側面140に外光が入射しないようにすることができ、表示画面の鏡面化を防止することができる。これにより、コントラストの向上を図ることができる。
【0046】
3-2.変形例2
図9を参照して、表示装置10の変形例を説明する。図3に示す表示装置10と異なる点は、遮光膜122が、第1基板102と第1構造体132との間に設けられる点である。なお、図3に示す表示装置10と同一、または類似する構成については、説明を割愛することがある。
【0047】
図9に示すように、遮光膜122は、第1構造体132と第1基板102との間に設けられる。遮光膜122は、第1構造体132の第2面136に設けられる。断面視において、遮光膜122は、第1構造体132の第2面136と同程度の大きさを有することができる。このように、遮光膜122は、第1基板102と第1構造体132との間に設けられることで、第1基板102による反射や散乱による光を第1構造体132を介さずに抑制することができる。
【0048】
3-3.変形例3
図10を参照して、表示装置10の変形例を説明する。図1から図3に示す表示装置10と異なる点は、画素118内にICチップ146を設ける点である。なお、図1から図3に示す表示装置10と同一、または類似する構成については、説明を割愛することがある。
【0049】
図10は、ICチップ146を第2基板104からみた模式的な平面図を示す。図10に示すようにICチップ146は、発光素子116と隣接する第1構造体132の開口パターンに設けられ、第1構造体132の側面140または反射膜120に囲まれるように配置される。このとき、画素118は、発光素子116及びICチップ146を含む領域とする。図10では、画素118に一つの発光素子116とICチップ146を設ける例を示したが、複数の発光素子116とICチップ146を画素118に設けてもよく、例えば、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を1組とすると、2組以上の発光素子116とICチップ146を一つの画素118に設けることができる。
【0050】
図11は、図10に示すC1-C2線に沿った断面模式図を示す。図11に示すように、ICチップ146は、発光素子116と第1構造体132を挟むように設けられる。このICチップ146は、発光素子116と電気的に接続し、上述したように発光素子116が設けられる画素118内に配置される。発光素子116とICチップ146との間の第1構造体132と第2基板104との間に位置する遮光膜122は、ICチップ146上に延伸し、ICチップ146と重畳するように配置される。ICチップ146は、断面視において、遮光膜122と第1基板102との間に配置される。ICチップ146は、第1構造体132の側面140に挟まれ、第1基板102と第2基板104との間に設けられ、発光素子116のように充填物をICチップ146上に設けてもよい。
【0051】
ICチップ146は、発光素子116と第1構造体132を挟むように画素118に配置され、ICチップ146を覆うように遮光膜122を設けることで、ICチップ146による反射や散乱した光の表示装置10の外への放出を抑制することができる。また、ICチップ146と発光素子116との間に第1構造体132を有することで、発光素子116の光は第1構造体132の側面140で反射し、ICチップ146に向かって進行する光を抑制することができる。
【0052】
3-4.変形例4
図12を参照して、表示装置10の変形例を説明する。図1から図3に示す表示装置10と異なる点は、発光素子116と第2基板104との間に第2構造体148を設ける点である。なお、図3に示す表示装置10と同一、または類似する構成については、説明を割愛することがある。
【0053】
第2構造体148は、第2基板104の第1基板102と対向する面に設けられる。第2構造体148は、断面視において、第1構造体132の側面140に挟まれるように配置される。図12では、第2構造体148と第1構造体132との間に反射膜120を設ける例を示しているが、反射膜120をそれらの間に設けず、第2構造体148を第1構造体132と接するように設けることもできる。また、第2構造体148は、発光素子116と直面するように配置される。第2構造体148は、発光素子116と接することができ、具体的には、第2構造体148の第2基板104と直面する面である第1面138と反対の面である第2面136は、発光素子116の発光面である上面と接することができる。第2構造体148と発光素子116との間に、接着層を設けてもよい。この場合、接着層は、第2構造体148に用いられる材料と同じ材料を用いるか、または第2構造体148に用いられる材料の屈折率と同程度の材料を用いるとよい。
【0054】
第2構造体148の第2面136は、第1面138より大きい。具体的には、図12に示すように、断面視において、第2構造体の第2面136の幅は、第1面138の幅より大きい。また、第2構造体148の第2面136は、第1構造体132の第2面136と同一平面上に設けることができる。
【0055】
第2構造体148及び第1構造体132の第2面136と第1基板102との間に、平坦化膜150を設けてもよい。平坦化膜150は、第1導電層126、第2導電層128、および発光素子116の段差を埋めるように設けられている。平坦化膜150は、第1基板102に実装された発光素子116などの段差を平坦化する。平坦化膜150の材料として、例えば、アクリル樹脂またはポリイミド樹脂などを用いることができる。
【0056】
平坦化膜150と第1構造体132との間、および平坦化膜150と第2構造体148との間に、接着層を設けてもよい。接着層は、発光素子116と第2構造体148との間に用いられた接着層と同様の材料を用いることができる。
【0057】
平坦化膜150を第1構造体132および第2構造体148との間に設けない場合、図13に示すように、第2構造体148に凹部152を設けることができる。具体的には、凹部152は、第1基板102から第2基板104に向かって凹の形である。凹部152は、断面視において、第1構造体132の側面140に挟まれるように配置される。凹部152は、第2構造体148と第1基板102との間に位置しているため、第2構造体148と第1基板102との間の発光素子116を格納することができる。また、第2構造体148の第1基板102と対向する面と発光素子116の発光面とが接するように、発光素子116と第2構造体148は配置することができる。第2構造体148の第1基板102と対向する面と発光素子116の発光面との間に、第2構造体148の屈折率と同じ、または同程度の屈折率を有する接着層を設けてもよい。または、第2構造体148の第1基板102と対向する面と発光素子116の発光面とに間隙を有していてもよい。また、第1基板102と第1構造体132は接するように設けられることが好ましく、したがって、発光素子116、第1導電層126、第2導電層128をあわせた厚みは、第2構造体148の第1基板102と対向する面から第1基板102までの距離以下であるとよい。
【0058】
第2構造体148の凹部152の形状は、図13に示すように、断面視において台形である例を示したが、これに制限されず、矩形でもよい。
【0059】
以上、説明したように、表示装置10では、第1基板102に発光素子116を設け、発光素子116を囲むように、第1基板102に対向する第2基板104に第1構造体132を設け、第1構造体132の側面140に遮光膜を設け、側面140の傾斜角θ1の補角θ2を30度以上90度未満とすることで、発光素子116は射出する光は、表示装置10の正面に集まりやすくなり、正面輝度の高い表示装置10を提供することができる。さらに、表示装置10は、第1構造体132の第1面138または第2面136に遮光膜122を設けることで、第1基板102による反射や散乱の光を抑制することができ、コントラストの高い表示装置10を提供することができる。
【0060】
<第2実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る表示装置20の構造について記述する。表示装置20と第1実施形態の表示装置20との異なる点の一つは、第1構造体232の側面140の傾斜角θ1が90度未満である点である。第1実施形態と同一、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0061】
図14は、表示装置20の模式的な断面図を示す。図14に示すように、第1構造体232は、第2基板204に設けられ、第2基板204側の第1面238は、第1基板202側の第2面236より大きい。また、図14に示すように、断面視において、第1構造体の第1面238の幅は、第2面236の幅より大きい。さらに、第1面238の面積は、第2面236の面積より大きく、そのため側面140は傾斜を有して第1面238と第2面236とに接続されている。第1面238に対する側面の傾斜角θ1は、例えば、30度以上90度未満である。
【0062】
以上、説明したように、表示装置20では、第1構造体232の側面の傾斜角θ1を30度以上90度未満にし、第1構造体232と第2基板204との間に遮光膜222を設け、第1構造体232で発光素子216を囲むことで、発光素子216から出射される光の進行方向を調整することができ、さらに第1基板202による反射や散乱の光を抑制することができ、正面輝度が高く、コントラストの高い表示装置20を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
10:表示装置、20:表示装置、102:第1基板、104:第2基板、106:フレキシブルプリント回路基板、108:ICチップ、110:表示領域、112:周辺領域、114:端子領域、116:発光素子、116a:発光体、118:画素、120:反射膜、122:遮光膜、124:領域、126:第1導電層、128:第2導電層、130:第1バンプ、131:第2バンプ、132:第1構造体、134:格納部、136:第2面、138:第1面、140:側面、142:第3基板、144:開口部、146:ICチップ、148:第2構造体、150:平坦化膜、152:凹部、202:第1基板、204:第2基板、216:発光素子、222:遮光膜、232:第1構造体、236:第2面、238:第1面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14