(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179118
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電圧増幅回路と回路モジュール
(51)【国際特許分類】
H03F 3/34 20060101AFI20231212BHJP
H03F 3/45 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H03F3/34 220
H03F3/45
H03F3/34 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092207
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 淳一
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA53
5J500AC13
5J500AC14
5J500AF15
5J500AF17
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH39
5J500AK01
5J500AK03
5J500AK06
5J500AK09
5J500AK27
5J500AM08
5J500AM13
5J500AM17
5J500AT01
5J500DN12
5J500DN24
5J500DN25
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】 受動素子の定数のばらつきに起因する出力電圧のばらつきを抑制する。
【解決手段】 電圧増幅回路であって、一対の入力端子と、複数の受動素子と、一対の前記入力端子間に設けられたスイッチ(S1)と、補正回路(40)を有する。前記電圧増幅回路が、入力電圧を複数の前記受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で増幅した増幅電圧に、前記補正回路の設定値(Icor)に応じた電圧を加算した出力電圧(Vout3)を出力する。前記電圧増幅回路は、補正動作と電圧増幅動作を実行可能である。前記補正動作が、前記スイッチがオンしている状態で前記出力電圧を出力し、前記出力電圧が基準電圧(Vref)と一致するように前記補正回路の前記設定値を調整する動作である。前記電圧増幅動作が、前記設定値が前記補正動作で調整された値に設定されている状態で前記出力電圧を出力する動作である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧増幅回路であって、
一対の入力端子(IN2H、IN2L)と、
出力端子(OUT3)と、
複数の受動素子(28、30)と、
一対の前記入力端子間を短絡するオンと一対の前記入力端子間を開放するオフとに切り換わるスイッチ(S1)と、
補正回路(40)、
を有し、
前記電圧増幅回路が、一対の前記入力端子間に印加される入力電圧(Vina)を複数の前記受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で増幅した増幅電圧に、前記補正回路の設定値(Icor)に応じた電圧を加算した出力電圧(Vout3)を前記出力端子に出力するように構成されており、
前記電圧増幅回路は、補正動作と電圧増幅動作を実行可能であり、
前記補正動作が、前記スイッチがオンしている状態で前記出力電圧を出力し、前記出力電圧が基準電圧(Vref)と一致するように前記補正回路の前記設定値を調整する動作であり、
前記電圧増幅動作が、前記スイッチがオフしているとともに前記設定値が前記補正動作で調整された値に設定されている状態で前記出力電圧を出力する動作である、
電圧増幅回路。
【請求項2】
電圧電流変換回路(20)と電流電圧変換回路(30)をさらに有し、
前記電圧電流変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第1受動素子(28)を有しており、前記入力電圧と前記第1受動素子の定数に応じた大きさの電流(Iout2)を出力し、
前記補正回路が、前記設定値に応じた補正電流(Icor)を出力し、
前記電流電圧変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第2受動素子(32)を有しており、前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力する、
請求項1に記載の電圧増幅回路。
【請求項3】
前記電圧電流変換回路が、一対の前記入力端子の一方である第1入力端子に接続された第1カレントミラー回路(21)と、一対の前記入力端子の他方である第2入力端子に接続された第2カレントミラー回路(22)、を有しており、
前記第1カレントミラー回路が、前記第1入力端子を介して第1入力電流が流れる第1入力配線(21a)と、前記第1入力端子を介して第1出力電流が流れる第1出力配線(21b)を有し、
前記第2カレントミラー回路が、前記第2入力端子を介して第2入力電流が流れる第2入力配線(22a)と、前記第2入力端子を介して第2出力電流が流れる第2出力配線(22b)を有し、
前記第1受動素子が、前記第1出力配線と前記第2出力配線の間に接続された抵抗である、
請求項2に記載の電圧増幅回路。
【請求項4】
前記電圧電流変換回路が出力する前記電流の入力を受けるとともに前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と同じ大きさの電流を出力するインピーダンス変換回路(50)であって、前記電圧電流変換回路の出力インピーダンスよりも高い出力インピーダンスを有するインピーダンス変換回路をさらに有し、
前記電流電圧変換回路が、前記インピーダンス変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力する、
請求項2または3に記載の電圧増幅回路。
【請求項5】
一対の前記入力端子間に印加される前記入力電圧の入力源を変更する入力源切換スイッチ(S3~S6)をさらに有する請求項1~3のいずれか一項に記載の電圧増幅回路。
【請求項6】
請求項2または3に記載の前記電圧増幅回路を複数備える回路モジュールであって、
複数の前記電圧増幅回路の間で前記電流電圧変換回路が共用されている、
回路モジュール。
【請求項7】
複数の前記電圧増幅回路の間で前記補正回路が共用されている、
請求項6に記載の回路モジュール。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の前記電圧増幅回路を複数備える回路モジュールであって、
複数の前記電圧増幅回路が、第1電圧増幅回路(10-1)と第2電圧増幅回路(10-2)を有し、
前記第1電圧増幅回路と前記第2電圧増幅回路の両方に前記入力電圧を印加可能な端子(IN1H、IN1L)を有し、
前記第1電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第2電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行し、
前記第2電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第1電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行する、
回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、電圧増幅回路と回路モジュールに関する。
【0002】
特許文献1には、オフセット電圧を補正可能なオペアンプが開示されている。補正動作では、一対の入力端子の間を短絡した状態でオペアンプの出力電圧をコンデンサに印加し、コンデンサにその出力電圧を保持させる。その後、電圧増幅動作では、コンデンサに保持された電圧に応じた補正電流がオペアンプの内部に供給される。これによって、オフセット電圧の影響を排除でき、オペアンプの出力電圧のばらつきを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、オペアンプは複数の受動素子と共に使用される。オペアンプと複数の受動素子を有する電圧増幅回路は、複数の受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で入力電圧を増幅した出力電圧を出力する。したがって、各受動素子の定数の誤差によって電圧増幅回路の出力電圧にばらつきが生じる。特許文献1の技術では、オペアンプのオフセット電圧に基づく出力電圧のばらつきを抑制することは可能であるが、複数の受動素子の定数のばらつきに起因する電圧増幅回路の出力電圧のばらつきを抑制することはできない。本明細書では、複数の受動素子の定数のばらつきに起因する電圧増幅回路の出力電圧のばらつきを抑制する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電圧増幅回路は、一対の入力端子(IN2H、IN2L)と、出力端子(OUT3)と、複数の受動素子(28、30)と、一対の前記入力端子間を短絡するオンと一対の前記入力端子間を開放するオフとに切り換わるスイッチ(S1)と、補正回路(40)、を有する。前記電圧増幅回路が、一対の前記入力端子間に印加される入力電圧(Vina)を複数の前記受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で増幅した増幅電圧に、前記補正回路の設定値(Icor)に応じた電圧を加算した出力電圧(Vout3)を前記出力端子に出力するように構成されている。前記電圧増幅回路は、補正動作と電圧増幅動作を実行可能である。前記補正動作が、前記スイッチがオンしている状態で前記出力電圧を出力し、前記出力電圧が基準電圧(Vref)と一致するように前記補正回路の前記設定値を調整する動作である。前記電圧増幅動作が、前記スイッチがオフしているとともに前記設定値が前記補正動作で調整された値に設定されている状態で前記出力電圧を出力する動作である。
【0006】
この電圧増幅回路では、スイッチがオンしている状態(すなわち、入力端子間が短絡した状態)で出力電圧が基準電圧と一致するように補正回路の補正値を設定する。この状態では、電圧増幅回路の出力電圧には、電圧増幅回路のオフセット電圧だけでなく複数の受動素子の定数のばらつきも影響している。この状態で出力電圧と基準電圧が一致するように補正回路の設定値を設定するので、オフセット電圧と複数の受動素子の定数に基づく出力電圧の誤差を除去するように設定値を調整できる。したがって、その後、電圧増幅動作において、オフセット電圧と複数の受動素子の定数のばらつきの影響を抑制した状態で、電圧増幅回路が出力電圧を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図14】実施例6の回路モジュール10eの回路図。
【
図19】実施例7の変形例の電圧変換回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、電圧電流変換回路と電流電圧変換回路をさらに有していてもよい。前記電圧電流変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第1受動素子を有しており、前記入力電圧と前記第1受動素子の定数に応じた大きさの電流を出力してもよい。前記補正回路が、前記設定値に応じた補正電流を出力してもよい。前記電流電圧変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第2受動素子を有しており、前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力してもよい。
【0009】
この構成によれば、電圧電流変換回路が出力する電流と補正電流を容易に加算することができ、電圧増幅回路の出力電圧を容易に補正することができる。
【0010】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、前記電圧電流変換回路が、一対の前記入力端子の一方である第1入力端子に接続された第1カレントミラー回路と、一対の前記入力端子の他方である第2入力端子に接続された第2カレントミラー回路、を有していてもよい。前記第1カレントミラー回路が、前記第1入力端子を介して第1入力電流が流れる第1入力配線と、前記第1入力端子を介して第1出力電流が流れる第1出力配線を有していてもよい。前記第2カレントミラー回路が、前記第2入力端子を介して第2入力電流が流れる第2入力配線と、前記第2入力端子を介して第2出力電流が流れる第2出力配線を有していてもよい。前記第1受動素子が、前記第1出力配線と前記第2出力配線の間に接続された抵抗であってもよい。
【0011】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、前記電圧電流変換回路が出力する前記電流の入力を受けるとともに前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と同じ大きさの電流を出力するインピーダンス変換回路であって、前記電圧電流変換回路の出力インピーダンスよりも高い出力インピーダンスを有するインピーダンス変換回路をさらに有していてもよい。前記電流電圧変換回路が、前記インピーダンス変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力してもよい。
【0012】
この構成によれば、電圧電流変換回路が出力する電流をより安定させることができる。
【0013】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、一対の前記入力端子間に印加される前記入力電圧の入力源を変更する入力源切換スイッチをさらに有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、電圧増幅回路に複数の入力源から入力電圧を入力できる。
【0015】
本明細書は、上記いずれかの電圧増幅回路を複数備える回路モジュールを提案する。この回路モジュールでは、複数の前記電圧増幅回路の間で前記電流電圧変換回路が共用されていてもよい。また、この場合には、複数の前記電圧増幅回路の間で前記補正回路が共用されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、複数の電圧増幅回路が必要な場合に、回路構成を簡略化できる。
【0017】
本明細書は、上記いずれかの電圧増幅回路を複数備える別の回路モジュールを提案する。この回路モジュールでは、複数の前記電圧増幅回路が、第1電圧増幅回路と第2電圧増幅回路を有していてもよい。前記第1電圧増幅回路と前記第2電圧増幅回路の両方に前記入力電圧を印加可能な端子を有していてもよい。前記第1電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第2電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行してもよい。前記第2電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第1電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行してもよい。
【0018】
この構成によれば、一方の電圧増幅回路が補正動作を実行中に、他方の電圧増幅回路で電圧増幅動作を実行できる。
【0019】
図1に示すゲート制御回路92は、インバータ等に使用されるスイッチング素子90のゲート電圧を制御する。ゲート制御回路92は、スイッチング素子92a、ゲート抵抗92b、ゲート抵抗92c、及び、スイッチング素子92dを有している。スイッチング素子92aがオンすると、電源配線93からスイッチング素子92aとゲート抵抗92bを介してスイッチング素子90のゲートへゲート電流が流れ、ゲートが充電される。スイッチング素子92dがオンすると、スイッチング素子90のゲートからゲート抵抗92cとスイッチング素子92dを介してグランド配線94へゲート電流が流れ、ゲートが放電される。以下に説明する実施例の電圧増幅回路は、ゲート抵抗92bまたはゲート抵抗92cの両端間の電圧を増幅して出力する回路である。ゲート抵抗92bまたはゲート抵抗92cの両端間の電圧は、ゲート電流に比例する。実施例の電圧増幅回路は、ゲート抵抗92bまたはゲート抵抗92cの両端間の電圧を検出することで、ゲートリーク電流を検出する。
【実施例0020】
図2に示す実施例1の電圧増幅回路10は、一対の入力端子IN1H、IN1Lと、電圧電流変換回路20と、電流電圧変換回路30と、補正回路40を有している。一対の入力端子IN1H、IN1Lの間に、ゲート抵抗の両端間の電圧が印加される。以下では、一対の入力端子IN1H、IN1Lの間に印加される電圧を、入力電圧Vinという。また、電圧増幅回路10は、制御回路80を有している。制御回路80は、電圧増幅回路10内の各スイッチを制御する。
【0021】
電圧電流変換回路20は、一対の入力端子IN2H、IN2Lと、出力端子OUT2を有している。入力端子IN2Hには、スイッチS2を介して入力端子IN1Hが接続されている。スイッチS2は、制御回路80によって制御される。入力端子IN2Lには入力端子IN1Lが接続されている。以下では、入力端子IN2Lと入力端子IN2Lの間の電圧を、入力電圧Vinaという。なお、Vinaは、入力端子IN2Lに対する入力端子IN2Hの電位である。入力電圧Vinaは、正の値である場合もあるし、負の値である場合もある。一対の入力端子IN2H、IN2Lの間にスイッチS1が接続されている。スイッチS1は制御回路80によって制御される。スイッチS1がオンすると入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間が短絡し、スイッチS1がオフすると入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間が開放される。スイッチS1がオンすると、入力電圧Vinaは0Vとなる。スイッチS1がオフし、スイッチS2がオンすると、入力電圧Vinaが入力電圧Vinと等しくなる。電圧電流変換回路20は、入力電圧Vinaに比例する大きさの出力電流Iout2を出力端子OUT2から出力する。
【0022】
図3は、電圧電流変換回路20の詳細を示している。電圧電流変換回路20は、カレントミラー回路21、カレントミラー回路22、及び、電流出力回路24を有している。カレントミラー回路21は、PMOS21pa、21pb、入力配線21a及び出力配線21bを有している。PMOS21paのソースとPMOS21pbのソースは、入力端子IN2Hに接続されている。PMOS21paのドレインは入力配線21aと電流制御素子21xを介してグランドに接続されている。電流制御素子21xは、入力配線21aに流れる電流I21aを一定値に制御する。PMOS21pbのドレインは出力配線21b、配線21c、及び、電流制御素子21yを介してグランドに接続されている。電流制御素子21yは、配線21cに流れる電流I21cを一定値に制御する。PMOS21paのゲートとPMOS21pbのゲートは、出力配線21bに接続されている。カレントミラー回路22は、PMOS22pa、22pb、入力配線22a及び出力配線22bを有している。PMOS22paのソースとPMOS22pbのソースは、入力端子IN2Lに接続されている。PMOS22paのドレインは入力配線22aと電流制御素子22xを介してグランドに接続されている。電流制御素子22xは、入力配線22aに流れる電流I22aを一定値に制御する。PMOS22pbのドレインは出力配線22b、配線22c、及び、電流制御素子22yを介してグランドに接続されている。電流制御素子22yは、配線22cに流れる電流I22cを一定値に制御する。PMOS22paのゲートとPMOS22pbのゲートは、出力配線22bに接続されている。出力配線21bと出力配線22bの間に抵抗28が接続されている。
【0023】
電流出力回路24は、NMOS24a、24bによって構成されているカレントミラー回路とPMOS26a、26bによって構成されているカレントミラー回路とを直列に接続した構成を有している。NMOS24aのソースは配線21dを介して配線21cに接続されている。NMOS24bのソースは配線22dを介して配線22cに接続されている。PMOS26bのソースとNMOS24bのソースは、出力端子OUT2に接続されている。
【0024】
電流制御素子21xは、入力配線21aに流れる電流I21aを一定値に制御する。また、カレントミラー回路21は、出力配線21bに流れる電流I21bを、入力配線21aに流れる電流I21aと同じ値に制御する。電流制御素子21yは、配線21cに流れる電流I21cを、電流I21aの2倍の値に制御する。電流I21cは、I21c=I21b+I21d-IR28の関係を満たす。なお、電流IR28は抵抗28に流れる電流であり、電流I21dは配線21dに流れる電流である。電流IR28は、出力配線21bから出力配線22bに向かって流れる向きを正の値として示されている。電流IR28が負の値となる場合もある。電流IR28が流れていない状態では、電流I21dは電流I21aと等しい。電流制御素子22xは、入力配線22aに流れる電流I22aを一定値に制御する。また、カレントミラー回路22は、出力配線22bに流れる電流I22bを、入力配線22aに流れる電流I22aと同じ値に制御する。電流制御素子22yは、配線22cに流れる電流I22cを、電流I22aの2倍の値に制御する。電流I22cは、I22c=I22b+I22d+IR28の関係を満たす。なお、電流I22dは、配線22dに流れる電流である。したがって、電流IR28が流れていない状態では、電流I22dは電流I22aと等しい。出力配線21bの電位は、入力端子IN2Hの電位からPMOS21pbのソース-ゲート間の電圧を減算した電位となる。また、出力配線22bの電位は、入力端子IN2Lの電位からPMOS22pbのソース-ゲート間の電圧を減算した電位となる。したがって、抵抗28に印加される電圧は、入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間に印加されている入力電圧Vinaと等しい。このため、抵抗28に流れる電流IR28は、IR28=Vina/R28の関係を満たす。なお、符号R28は、抵抗28の抵抗値である。電流制御素子21yが電流I21cを一定値に維持するので、電流IR28が流れると、電流I21dが電流IR28の分だけ増加する。電流I21dが電流IR28の分だけ増加すると、NMOS24aに流れる電流が電流IR28の分だけ増加し、PMOS26aに流れる電流が電流IR28の分だけ増加し、PMOS26bに流れる電流が電流IR28の分だけ増加する。また、電流制御素子22yが電流I22cを一定値に維持するので、電流IR28が流れると、電流I22dが電流IR28の分だけ減少する。電流I22dが電流IR28の分だけ減少すると、NMOS24bに流れる電流が電流IR28の分だけ減少する。PMOS26bに流れる電流とNMOS24bに流れる電流の差が、出力端子OUT2に出力電流Iout2として流れる。したがって、出力電流Iout2は、Iout2=2・IR28=2・Vina/R28の関係を満たす。このように、電流出力回路24は、入力電圧Vinaに比例し、抵抗値R28に反比例する大きさの出力電流Iout2を出力する。なお、電圧電流変換回路20のオフセット電流や抵抗28の誤差の影響によって出力電流Iout2に誤差が生じる場合がある。
【0025】
図2に示すように、電流電圧変換回路30は、複数の配線が接続された接続部31とオペアンプ34を有している。接続部31は、配線30aによって電圧電流変換回路20の出力端子OUT2に接続されている。配線30aには、出力電流Iout2が流れる。接続部31は、配線30bによって補正回路40の出力端子OUTcに接続されている。配線30bには、補正回路40が出力する補正電流Icorが流れる。接続部31は、配線30cによってオペアンプ34の非反転入力端子に接続されている。接続部31は、抵抗32によって基準電圧配線30dに接続されている。基準電圧配線30dには、基準電圧Vrefが印加されている。後述する電圧Vout2、Vout3は、基準電圧Vrefを基準とした電圧である。オペアンプ34の反転入力端子はオペアンプ34の出力端子と接続されている。オペアンプ34の出力端子は、電圧増幅回路10の出力端子OUT3に接続されている。したがって、オペアンプ34が出力する電圧が、電圧増幅回路10の出力電圧Vout3である。
【0026】
出力電流Iout2と補正電流Icorは、抵抗32を介して基準電圧配線30dへ流れる。したがって、抵抗32に流れる電流I32は出力電流Iout2と補正電流Icorを合計した電流であり、接続部31で生じる電圧Vout2はVout2=R32(Iout2+Icor)の関係を満たす。なお、符号R32は、抵抗32の抵抗値である。電圧Vout2は、オペアンプ34の非反転入力端子に入力される。オペアンプ34は、ボルテージフォロワ回路を構成している。したがって、オペアンプ34は、電圧Vout2と等しい電圧を出力電圧Vout3として出力する。すなわち、Vout3=R32(Iout2+Icor)の関係が満たされる。上述したように、Iout2=2・Vina/R28の関係が満たされる。すなわち、電流電圧変換回路30は、入力電圧Vinを増幅した増幅電圧(R32・Iout2)に補正電流Icorに応じた電圧(R32・Icor)を加算した出力電圧Vout3を出力する。したがって、補正電流Icorがゼロであれば、出力電圧Vout3は、入力電圧Vinaを増幅率2・R32/R28で増幅した電圧となる。但し、電圧電流変換回路20のオフセット電流と抵抗値R28、R32の誤差の影響によって、実際の出力電圧Vout3には誤差が生じる。補正電流Icorは、出力電圧Vout3の誤差を補正するための電流である。
【0027】
補正回路40は、入力端子INc、基準電圧端子INr、及び、出力端子OUTcを有している。入力端子INcは、出力端子OUT3に接続されている。基準電圧端子INrは、基準電圧配線30dに接続されている。出力端子OUTcは、配線30bに接続されている。また、補正回路40には、制御回路80からイネーブル信号EN1が入力される。
【0028】
図4は、補正回路40の詳細を示している。補正回路40は、OTA(Operational Transconductance Amplifier)42と、スイッチ44と、コンデンサ46と、OTA48を有している。OTA42の非反転入力端子は基準電圧端子INrに接続されており、OTA42の反転入力端子は入力端子INcに接続されている。OTA42は、基準電圧端子INrの電圧(すなわち、基準電圧Vref)と入力端子INcの電圧(すなわち、出力電圧Vout3)の差に比例する電流Idefを出力端子から出力する。なお、電流Idefについては、OTA42から流出する向きを正の値として表し、OTA42に流入する向きを負の値として表す。OTA42は、基準電圧Vrefが出力電圧Vout3よりも高いときに電流Idefを正の値に制御し、基準電圧Vrefが出力電圧Vout3よりも低いときに電流Idefを負の値に制御する。OTA48の非反転入力端子は、スイッチ44を介してOTA42の出力端子に接続されている。OTA48の反転入力端子は、基準電圧端子INrに接続されている。コンデンサ46は、OTA48の非反転入力端子と反転入力端子の間に接続されている。スイッチ44は、イネーブル信号EN1に応じてスイッチングする。スイッチ44がオンすると、OTA42が出力する電流Idefによってコンデンサ46が充放電され、OTA48に対する入力電圧Vc(すなわち、OTA48の非反転入力端子の反転有力端子に対する電位)が変化する。スイッチ44がオフすると、電流Idefが停止し、入力電圧Vcが固定される。OTA48は、入力電圧Vcに比例する電流を補正電流Icorとして出力端子OUTcに出力する。なお、補正電流Icorについては、OTA48から流出する向きを正の値として表し、OTA48に流入する向きを負の値として表す。OTA48は、入力電圧Vcが正の値のときに補正電流Icorを正の値に制御し、入力電圧Vcが負の値のときに補正電流Icorを負の値に制御する。
【0029】
電圧増幅回路10は、補正動作と電圧増幅動作を実行することができる。補正動作は、補正電流Icorを適正値に設定する動作であり、電圧増幅動作は補正電流Icorが適正値に設定された状態で入力電圧Vinを増幅する動作である。
【0030】
(補正動作)
補正動作では、制御回路80が、スイッチS1をオン、スイッチS2をオフ、スイッチ44をオンに制御する。この状態では、電圧電流変換回路20の入力電圧Vinaは0Vとなる。この場合、理想的には、電圧電流変換回路20の出力電流Iout2は0μAとなるはずである。しかしながら、実際には、入力電圧Vinaが0Vの場合に、出力電流Iout2として微小なオフセット電流が出力される。また、補正回路40は、補正動作前に設定されていた補正電流Icorを出力する。電流電圧変換回路30は、Vout3=R32(Iout2+Icor)の関係を満たす出力電圧Vout3を出力する。補正回路40のOTA42は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも低ければ、正の電流Idefを出力して入力電圧Vcを上昇させる。この場合、補正電流Icorが増加し、出力電圧Vout3が上昇する。また、OTA42は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも高ければ、負の電流Idefを出力して入力電圧Vcを低下させる。この場合、補正電流Icorが減少し、出力電圧Vout3が低下する。このように、補正回路40は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致するように補正電流Icorをフィードバック制御する。出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致した段階で、制御回路80がスイッチ44をオフする。したがって、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致しているときの入力電圧Vcがコンデンサ46で保持される。したがって、その後は、補正回路40は、コンデンサ46で保持されている入力電圧Vcに応じた補正電流Icorを出力する。このように、補正動作では、補正回路40が出力する補正電流Icorが、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致する値に設定される。このように補正電流Icorを設定することで、電圧電流変換回路20のオフセット電流の影響、及び、抵抗値R28、R32のばらつきの影響を受けることなく、入力電圧Vinaが0Vのときに出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致するように電圧電流変換回路20の出力電圧特性を調整することができる。その後、スイッチ44は、次の補正動作が実行されるまでオフに維持される。
【0031】
(電圧増幅動作)
補正動作の完了後に電圧増幅動作が実施される。電圧増幅動作では、制御回路80が、スイッチS1をオフ、スイッチS2をオンに制御する。したがって、入力電圧Vinaが入力電圧Vinと等しくなる。このため、電圧電流変換回路20は、入力電圧Vinに応じた出力電流Iout2を出力する。また、補正回路40は、補正動作で設定された補正電流Icorを出力する。補正動作で補正電流Icorが適切に設定されているので、補正電流Icorによって出力電圧Vout3の誤差成分がキャンセルされる。したがって、Vout3=2・Vin・R32/R28の関係を満たす出力電圧Vout3が出力端子OUT3に出力される。このように、電圧増幅動作では、電圧電流変換回路20のオフセット電流の影響、及び、抵抗値R28、R32のばらつきの影響を受けることなく、入力電圧Vinを正確に増幅した出力電圧Vout3を出力することができ、ゲート漏れ電流を正確に検出することができる。電圧増幅回路10は、補正動作と電圧増幅動作を所定周期で交互に実行することで、入力電圧Vinをモニタする。
【0032】
また、
図3の電圧電流変換回路20は、入力端子IN2H、IN2Lに基準電圧Vrefに対して比較的高い電位が印加されても、正常に動作することができる。すなわち、
図3の電圧電流変換回路20は、高電位側に広い入力電圧範囲を有している。したがって、基準電圧Vrefに対して比較的高い電位を基準として動作している回路のゲート電流を検出することができる。なお、入力端子IN2H、IN2Lの電位として基準電圧Vrefに対して比較的低い電位を扱う場合には、電圧電流変換回路20として
図5に示す回路を用いてもよい。
図5に示す回路は、
図3に示す回路と高電位側と低電位側を反転した構成を有している。
図5に示す回路は、低電位側に広い入力電圧範囲を有している。
図5の回路は、
図3の回路と同様に、Iout2=2・IR28=2・Vina/R28となる出力電流Iout2を出力する。
【0033】
また、電圧電流変換回路20として、
図3に示す回路に代えて、
図6に示す回路を用いてもよい。
図6に示す電圧電流変換回路20は、オペアンプ29a、29bを有している。オペアンプ29aの非反転入力端子は抵抗29-3を介して入力端子IN2Lに接続されている。オペアンプ29aの反転入力端子は抵抗29-1を介して入力端子IN2Hに接続されている。オペアンプ29aの出力端子は抵抗29-5を介して出力端子OUT2に接続されている。オペアンプ29aの反転入力端子とオペアンプ29aの出力端子の間に抵抗29-2が接続されている。オペアンプ29bの非反転入力端子は出力端子OUT2に接続されている。オペアンプ29bの出力端子は抵抗29-4を介してオペアンプ29aの非反転入力端子に接続されている。オペアンプ29bの反転入力端子はオペアンプ29bの出力端子に接続されている。抵抗29-1と抵抗29-3はともに抵抗値R1を有している。抵抗29-2と抵抗29-4はともに抵抗値R2を有している。抵抗29-5は抵抗値R5を有している。
図6に示す電圧電流変換回路20は、Iout2=(R2・Vina)/(R1・R5)の関係を満たす出力電流Iout2を出力する。
図6の電圧電流変換回路20を用いる場合でも、電圧増幅回路10は、上記の補正動作と電圧増幅動作を実行することで、オフセット電流の影響、及び、抵抗値R1、R2、R5、R32のばらつきの影響を抑制しながら入力電圧Vinを正確に増幅することができる。
実施例1では、電圧電流変換回路20の出力端子OUT2が電流電圧変換回路30に直接接続されているので、電流電圧変換回路30の動作によって電圧電流変換回路20の出力端子OUT2の電位が変動し、出力電流Iout2に誤差が生じる場合がある。これに対し、実施例2では、電圧電流変換回路20の出力端子OUT2がインピーダンス変換回路50を介して電流電圧変換回路30に接続されているので、出力端子OUT2が電流電圧変換回路30の影響をほとんど受けない。したがって、出力電流Iout2で生じる誤差を低減できる。また、インピーダンス変換回路50が高い出力インピーダンスを有しているので、インピーダンス変換回路50が電流電圧変換回路30に直接接続されていても、インピーダンス変換回路50の出力電流Iout2iに誤差はほとんど生じない。したがって、実施例2の電圧増幅回路10aによれば、より正確に入力電圧Vinを増幅することができる。