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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179118
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電圧増幅回路と回路モジュール
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/34 20060101AFI20231212BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H03F3/34 220
H03F3/45
H03F3/34 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092207
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 淳一
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA53
5J500AC13
5J500AC14
5J500AF15
5J500AF17
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH39
5J500AK01
5J500AK03
5J500AK06
5J500AK09
5J500AK27
5J500AM08
5J500AM13
5J500AM17
5J500AT01
5J500DN12
5J500DN24
5J500DN25
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】 受動素子の定数のばらつきに起因する出力電圧のばらつきを抑制する。
【解決手段】 電圧増幅回路であって、一対の入力端子と、複数の受動素子と、一対の前記入力端子間に設けられたスイッチ(S1)と、補正回路(40)を有する。前記電圧増幅回路が、入力電圧を複数の前記受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で増幅した増幅電圧に、前記補正回路の設定値(Icor)に応じた電圧を加算した出力電圧(Vout3)を出力する。前記電圧増幅回路は、補正動作と電圧増幅動作を実行可能である。前記補正動作が、前記スイッチがオンしている状態で前記出力電圧を出力し、前記出力電圧が基準電圧(Vref)と一致するように前記補正回路の前記設定値を調整する動作である。前記電圧増幅動作が、前記設定値が前記補正動作で調整された値に設定されている状態で前記出力電圧を出力する動作である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧増幅回路であって、
一対の入力端子(IN2H、IN2L)と、
出力端子(OUT3)と、
複数の受動素子(28、30)と、
一対の前記入力端子間を短絡するオンと一対の前記入力端子間を開放するオフとに切り換わるスイッチ(S1)と、
補正回路(40)、
を有し、
前記電圧増幅回路が、一対の前記入力端子間に印加される入力電圧(Vina)を複数の前記受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で増幅した増幅電圧に、前記補正回路の設定値(Icor)に応じた電圧を加算した出力電圧(Vout3)を前記出力端子に出力するように構成されており、
前記電圧増幅回路は、補正動作と電圧増幅動作を実行可能であり、
前記補正動作が、前記スイッチがオンしている状態で前記出力電圧を出力し、前記出力電圧が基準電圧(Vref)と一致するように前記補正回路の前記設定値を調整する動作であり、
前記電圧増幅動作が、前記スイッチがオフしているとともに前記設定値が前記補正動作で調整された値に設定されている状態で前記出力電圧を出力する動作である、
電圧増幅回路。
【請求項2】
電圧電流変換回路(20)と電流電圧変換回路(30)をさらに有し、
前記電圧電流変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第1受動素子(28)を有しており、前記入力電圧と前記第1受動素子の定数に応じた大きさの電流(Iout2)を出力し、
前記補正回路が、前記設定値に応じた補正電流(Icor)を出力し、
前記電流電圧変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第2受動素子(32)を有しており、前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力する、
請求項1に記載の電圧増幅回路。
【請求項3】
前記電圧電流変換回路が、一対の前記入力端子の一方である第1入力端子に接続された第1カレントミラー回路(21)と、一対の前記入力端子の他方である第2入力端子に接続された第2カレントミラー回路(22)、を有しており、
前記第1カレントミラー回路が、前記第1入力端子を介して第1入力電流が流れる第1入力配線(21a)と、前記第1入力端子を介して第1出力電流が流れる第1出力配線(21b)を有し、
前記第2カレントミラー回路が、前記第2入力端子を介して第2入力電流が流れる第2入力配線(22a)と、前記第2入力端子を介して第2出力電流が流れる第2出力配線(22b)を有し、
前記第1受動素子が、前記第1出力配線と前記第2出力配線の間に接続された抵抗である、
請求項2に記載の電圧増幅回路。
【請求項4】
前記電圧電流変換回路が出力する前記電流の入力を受けるとともに前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と同じ大きさの電流を出力するインピーダンス変換回路(50)であって、前記電圧電流変換回路の出力インピーダンスよりも高い出力インピーダンスを有するインピーダンス変換回路をさらに有し、
前記電流電圧変換回路が、前記インピーダンス変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力する、
請求項2または3に記載の電圧増幅回路。
【請求項5】
一対の前記入力端子間に印加される前記入力電圧の入力源を変更する入力源切換スイッチ(S3~S6)をさらに有する請求項1~3のいずれか一項に記載の電圧増幅回路。
【請求項6】
請求項2または3に記載の前記電圧増幅回路を複数備える回路モジュールであって、
複数の前記電圧増幅回路の間で前記電流電圧変換回路が共用されている、
回路モジュール。
【請求項7】
複数の前記電圧増幅回路の間で前記補正回路が共用されている、
請求項6に記載の回路モジュール。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の前記電圧増幅回路を複数備える回路モジュールであって、
複数の前記電圧増幅回路が、第1電圧増幅回路(10-1)と第2電圧増幅回路(10-2)を有し、
前記第1電圧増幅回路と前記第2電圧増幅回路の両方に前記入力電圧を印加可能な端子(IN1H、IN1L)を有し、
前記第1電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第2電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行し、
前記第2電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第1電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行する、
回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、電圧増幅回路と回路モジュールに関する。
【0002】
特許文献1には、オフセット電圧を補正可能なオペアンプが開示されている。補正動作では、一対の入力端子の間を短絡した状態でオペアンプの出力電圧をコンデンサに印加し、コンデンサにその出力電圧を保持させる。その後、電圧増幅動作では、コンデンサに保持された電圧に応じた補正電流がオペアンプの内部に供給される。これによって、オフセット電圧の影響を排除でき、オペアンプの出力電圧のばらつきを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-311350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、オペアンプは複数の受動素子と共に使用される。オペアンプと複数の受動素子を有する電圧増幅回路は、複数の受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で入力電圧を増幅した出力電圧を出力する。したがって、各受動素子の定数の誤差によって電圧増幅回路の出力電圧にばらつきが生じる。特許文献1の技術では、オペアンプのオフセット電圧に基づく出力電圧のばらつきを抑制することは可能であるが、複数の受動素子の定数のばらつきに起因する電圧増幅回路の出力電圧のばらつきを抑制することはできない。本明細書では、複数の受動素子の定数のばらつきに起因する電圧増幅回路の出力電圧のばらつきを抑制する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電圧増幅回路は、一対の入力端子(IN2H、IN2L)と、出力端子(OUT3)と、複数の受動素子(28、30)と、一対の前記入力端子間を短絡するオンと一対の前記入力端子間を開放するオフとに切り換わるスイッチ(S1)と、補正回路(40)、を有する。前記電圧増幅回路が、一対の前記入力端子間に印加される入力電圧(Vina)を複数の前記受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で増幅した増幅電圧に、前記補正回路の設定値(Icor)に応じた電圧を加算した出力電圧(Vout3)を前記出力端子に出力するように構成されている。前記電圧増幅回路は、補正動作と電圧増幅動作を実行可能である。前記補正動作が、前記スイッチがオンしている状態で前記出力電圧を出力し、前記出力電圧が基準電圧(Vref)と一致するように前記補正回路の前記設定値を調整する動作である。前記電圧増幅動作が、前記スイッチがオフしているとともに前記設定値が前記補正動作で調整された値に設定されている状態で前記出力電圧を出力する動作である。
【0006】
この電圧増幅回路では、スイッチがオンしている状態(すなわち、入力端子間が短絡した状態)で出力電圧が基準電圧と一致するように補正回路の補正値を設定する。この状態では、電圧増幅回路の出力電圧には、電圧増幅回路のオフセット電圧だけでなく複数の受動素子の定数のばらつきも影響している。この状態で出力電圧と基準電圧が一致するように補正回路の設定値を設定するので、オフセット電圧と複数の受動素子の定数に基づく出力電圧の誤差を除去するように設定値を調整できる。したがって、その後、電圧増幅動作において、オフセット電圧と複数の受動素子の定数のばらつきの影響を抑制した状態で、電圧増幅回路が出力電圧を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ゲート制御回路の回路図。
図2】電圧増幅回路10の回路図。
図3】電圧電流変換回路20の回路図。
図4】補正回路40の回路図。
図5】変形例1の電圧電流変換回路20の回路図。
図6】変形例2の電圧電流変換回路20の回路図。
図7】実施例2の電圧増幅回路10aの回路図。
図8】インピーダンス変換回路50の回路図。
図9】実施例3の電圧増幅回路10bの回路図。
図10】実施例4の電圧増幅回路10cの回路図。
図11】実施例4の補正回路の回路図。
図12】実施例4の電圧電流変換回路の回路図。
図13】実施例5の電圧増幅回路10dの回路図。
図14】実施例6の回路モジュール10eの回路図。
図15】実施例7の電圧増幅回路10fの回路図。
図16】実施例7の電圧変換回路120の回路図。
図17】実施例7の加算回路130の回路図。
図18】実施例7の補正回路140の回路図。
図19】実施例7の変形例の電圧変換回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、電圧電流変換回路と電流電圧変換回路をさらに有していてもよい。前記電圧電流変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第1受動素子を有しており、前記入力電圧と前記第1受動素子の定数に応じた大きさの電流を出力してもよい。前記補正回路が、前記設定値に応じた補正電流を出力してもよい。前記電流電圧変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第2受動素子を有しており、前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力してもよい。
【0009】
この構成によれば、電圧電流変換回路が出力する電流と補正電流を容易に加算することができ、電圧増幅回路の出力電圧を容易に補正することができる。
【0010】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、前記電圧電流変換回路が、一対の前記入力端子の一方である第1入力端子に接続された第1カレントミラー回路と、一対の前記入力端子の他方である第2入力端子に接続された第2カレントミラー回路、を有していてもよい。前記第1カレントミラー回路が、前記第1入力端子を介して第1入力電流が流れる第1入力配線と、前記第1入力端子を介して第1出力電流が流れる第1出力配線を有していてもよい。前記第2カレントミラー回路が、前記第2入力端子を介して第2入力電流が流れる第2入力配線と、前記第2入力端子を介して第2出力電流が流れる第2出力配線を有していてもよい。前記第1受動素子が、前記第1出力配線と前記第2出力配線の間に接続された抵抗であってもよい。
【0011】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、前記電圧電流変換回路が出力する前記電流の入力を受けるとともに前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と同じ大きさの電流を出力するインピーダンス変換回路であって、前記電圧電流変換回路の出力インピーダンスよりも高い出力インピーダンスを有するインピーダンス変換回路をさらに有していてもよい。前記電流電圧変換回路が、前記インピーダンス変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力してもよい。
【0012】
この構成によれば、電圧電流変換回路が出力する電流をより安定させることができる。
【0013】
本明細書が開示する一例の電圧増幅回路は、一対の前記入力端子間に印加される前記入力電圧の入力源を変更する入力源切換スイッチをさらに有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、電圧増幅回路に複数の入力源から入力電圧を入力できる。
【0015】
本明細書は、上記いずれかの電圧増幅回路を複数備える回路モジュールを提案する。この回路モジュールでは、複数の前記電圧増幅回路の間で前記電流電圧変換回路が共用されていてもよい。また、この場合には、複数の前記電圧増幅回路の間で前記補正回路が共用されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、複数の電圧増幅回路が必要な場合に、回路構成を簡略化できる。
【0017】
本明細書は、上記いずれかの電圧増幅回路を複数備える別の回路モジュールを提案する。この回路モジュールでは、複数の前記電圧増幅回路が、第1電圧増幅回路と第2電圧増幅回路を有していてもよい。前記第1電圧増幅回路と前記第2電圧増幅回路の両方に前記入力電圧を印加可能な端子を有していてもよい。前記第1電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第2電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行してもよい。前記第2電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第1電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行してもよい。
【0018】
この構成によれば、一方の電圧増幅回路が補正動作を実行中に、他方の電圧増幅回路で電圧増幅動作を実行できる。
【0019】
図1に示すゲート制御回路92は、インバータ等に使用されるスイッチング素子90のゲート電圧を制御する。ゲート制御回路92は、スイッチング素子92a、ゲート抵抗92b、ゲート抵抗92c、及び、スイッチング素子92dを有している。スイッチング素子92aがオンすると、電源配線93からスイッチング素子92aとゲート抵抗92bを介してスイッチング素子90のゲートへゲート電流が流れ、ゲートが充電される。スイッチング素子92dがオンすると、スイッチング素子90のゲートからゲート抵抗92cとスイッチング素子92dを介してグランド配線94へゲート電流が流れ、ゲートが放電される。以下に説明する実施例の電圧増幅回路は、ゲート抵抗92bまたはゲート抵抗92cの両端間の電圧を増幅して出力する回路である。ゲート抵抗92bまたはゲート抵抗92cの両端間の電圧は、ゲート電流に比例する。実施例の電圧増幅回路は、ゲート抵抗92bまたはゲート抵抗92cの両端間の電圧を検出することで、ゲートリーク電流を検出する。
【実施例0020】
図2に示す実施例1の電圧増幅回路10は、一対の入力端子IN1H、IN1Lと、電圧電流変換回路20と、電流電圧変換回路30と、補正回路40を有している。一対の入力端子IN1H、IN1Lの間に、ゲート抵抗の両端間の電圧が印加される。以下では、一対の入力端子IN1H、IN1Lの間に印加される電圧を、入力電圧Vinという。また、電圧増幅回路10は、制御回路80を有している。制御回路80は、電圧増幅回路10内の各スイッチを制御する。
【0021】
電圧電流変換回路20は、一対の入力端子IN2H、IN2Lと、出力端子OUT2を有している。入力端子IN2Hには、スイッチS2を介して入力端子IN1Hが接続されている。スイッチS2は、制御回路80によって制御される。入力端子IN2Lには入力端子IN1Lが接続されている。以下では、入力端子IN2Lと入力端子IN2Lの間の電圧を、入力電圧Vinaという。なお、Vinaは、入力端子IN2Lに対する入力端子IN2Hの電位である。入力電圧Vinaは、正の値である場合もあるし、負の値である場合もある。一対の入力端子IN2H、IN2Lの間にスイッチS1が接続されている。スイッチS1は制御回路80によって制御される。スイッチS1がオンすると入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間が短絡し、スイッチS1がオフすると入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間が開放される。スイッチS1がオンすると、入力電圧Vinaは0Vとなる。スイッチS1がオフし、スイッチS2がオンすると、入力電圧Vinaが入力電圧Vinと等しくなる。電圧電流変換回路20は、入力電圧Vinaに比例する大きさの出力電流Iout2を出力端子OUT2から出力する。
【0022】
図3は、電圧電流変換回路20の詳細を示している。電圧電流変換回路20は、カレントミラー回路21、カレントミラー回路22、及び、電流出力回路24を有している。カレントミラー回路21は、PMOS21pa、21pb、入力配線21a及び出力配線21bを有している。PMOS21paのソースとPMOS21pbのソースは、入力端子IN2Hに接続されている。PMOS21paのドレインは入力配線21aと電流制御素子21xを介してグランドに接続されている。電流制御素子21xは、入力配線21aに流れる電流I21aを一定値に制御する。PMOS21pbのドレインは出力配線21b、配線21c、及び、電流制御素子21yを介してグランドに接続されている。電流制御素子21yは、配線21cに流れる電流I21cを一定値に制御する。PMOS21paのゲートとPMOS21pbのゲートは、出力配線21bに接続されている。カレントミラー回路22は、PMOS22pa、22pb、入力配線22a及び出力配線22bを有している。PMOS22paのソースとPMOS22pbのソースは、入力端子IN2Lに接続されている。PMOS22paのドレインは入力配線22aと電流制御素子22xを介してグランドに接続されている。電流制御素子22xは、入力配線22aに流れる電流I22aを一定値に制御する。PMOS22pbのドレインは出力配線22b、配線22c、及び、電流制御素子22yを介してグランドに接続されている。電流制御素子22yは、配線22cに流れる電流I22cを一定値に制御する。PMOS22paのゲートとPMOS22pbのゲートは、出力配線22bに接続されている。出力配線21bと出力配線22bの間に抵抗28が接続されている。
【0023】
電流出力回路24は、NMOS24a、24bによって構成されているカレントミラー回路とPMOS26a、26bによって構成されているカレントミラー回路とを直列に接続した構成を有している。NMOS24aのソースは配線21dを介して配線21cに接続されている。NMOS24bのソースは配線22dを介して配線22cに接続されている。PMOS26bのソースとNMOS24bのソースは、出力端子OUT2に接続されている。
【0024】
電流制御素子21xは、入力配線21aに流れる電流I21aを一定値に制御する。また、カレントミラー回路21は、出力配線21bに流れる電流I21bを、入力配線21aに流れる電流I21aと同じ値に制御する。電流制御素子21yは、配線21cに流れる電流I21cを、電流I21aの2倍の値に制御する。電流I21cは、I21c=I21b+I21d-IR28の関係を満たす。なお、電流IR28は抵抗28に流れる電流であり、電流I21dは配線21dに流れる電流である。電流IR28は、出力配線21bから出力配線22bに向かって流れる向きを正の値として示されている。電流IR28が負の値となる場合もある。電流IR28が流れていない状態では、電流I21dは電流I21aと等しい。電流制御素子22xは、入力配線22aに流れる電流I22aを一定値に制御する。また、カレントミラー回路22は、出力配線22bに流れる電流I22bを、入力配線22aに流れる電流I22aと同じ値に制御する。電流制御素子22yは、配線22cに流れる電流I22cを、電流I22aの2倍の値に制御する。電流I22cは、I22c=I22b+I22d+IR28の関係を満たす。なお、電流I22dは、配線22dに流れる電流である。したがって、電流IR28が流れていない状態では、電流I22dは電流I22aと等しい。出力配線21bの電位は、入力端子IN2Hの電位からPMOS21pbのソース-ゲート間の電圧を減算した電位となる。また、出力配線22bの電位は、入力端子IN2Lの電位からPMOS22pbのソース-ゲート間の電圧を減算した電位となる。したがって、抵抗28に印加される電圧は、入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間に印加されている入力電圧Vinaと等しい。このため、抵抗28に流れる電流IR28は、IR28=Vina/R28の関係を満たす。なお、符号R28は、抵抗28の抵抗値である。電流制御素子21yが電流I21cを一定値に維持するので、電流IR28が流れると、電流I21dが電流IR28の分だけ増加する。電流I21dが電流IR28の分だけ増加すると、NMOS24aに流れる電流が電流IR28の分だけ増加し、PMOS26aに流れる電流が電流IR28の分だけ増加し、PMOS26bに流れる電流が電流IR28の分だけ増加する。また、電流制御素子22yが電流I22cを一定値に維持するので、電流IR28が流れると、電流I22dが電流IR28の分だけ減少する。電流I22dが電流IR28の分だけ減少すると、NMOS24bに流れる電流が電流IR28の分だけ減少する。PMOS26bに流れる電流とNMOS24bに流れる電流の差が、出力端子OUT2に出力電流Iout2として流れる。したがって、出力電流Iout2は、Iout2=2・IR28=2・Vina/R28の関係を満たす。このように、電流出力回路24は、入力電圧Vinaに比例し、抵抗値R28に反比例する大きさの出力電流Iout2を出力する。なお、電圧電流変換回路20のオフセット電流や抵抗28の誤差の影響によって出力電流Iout2に誤差が生じる場合がある。
【0025】
図2に示すように、電流電圧変換回路30は、複数の配線が接続された接続部31とオペアンプ34を有している。接続部31は、配線30aによって電圧電流変換回路20の出力端子OUT2に接続されている。配線30aには、出力電流Iout2が流れる。接続部31は、配線30bによって補正回路40の出力端子OUTcに接続されている。配線30bには、補正回路40が出力する補正電流Icorが流れる。接続部31は、配線30cによってオペアンプ34の非反転入力端子に接続されている。接続部31は、抵抗32によって基準電圧配線30dに接続されている。基準電圧配線30dには、基準電圧Vrefが印加されている。後述する電圧Vout2、Vout3は、基準電圧Vrefを基準とした電圧である。オペアンプ34の反転入力端子はオペアンプ34の出力端子と接続されている。オペアンプ34の出力端子は、電圧増幅回路10の出力端子OUT3に接続されている。したがって、オペアンプ34が出力する電圧が、電圧増幅回路10の出力電圧Vout3である。
【0026】
出力電流Iout2と補正電流Icorは、抵抗32を介して基準電圧配線30dへ流れる。したがって、抵抗32に流れる電流I32は出力電流Iout2と補正電流Icorを合計した電流であり、接続部31で生じる電圧Vout2はVout2=R32(Iout2+Icor)の関係を満たす。なお、符号R32は、抵抗32の抵抗値である。電圧Vout2は、オペアンプ34の非反転入力端子に入力される。オペアンプ34は、ボルテージフォロワ回路を構成している。したがって、オペアンプ34は、電圧Vout2と等しい電圧を出力電圧Vout3として出力する。すなわち、Vout3=R32(Iout2+Icor)の関係が満たされる。上述したように、Iout2=2・Vina/R28の関係が満たされる。すなわち、電流電圧変換回路30は、入力電圧Vinを増幅した増幅電圧(R32・Iout2)に補正電流Icorに応じた電圧(R32・Icor)を加算した出力電圧Vout3を出力する。したがって、補正電流Icorがゼロであれば、出力電圧Vout3は、入力電圧Vinaを増幅率2・R32/R28で増幅した電圧となる。但し、電圧電流変換回路20のオフセット電流と抵抗値R28、R32の誤差の影響によって、実際の出力電圧Vout3には誤差が生じる。補正電流Icorは、出力電圧Vout3の誤差を補正するための電流である。
【0027】
補正回路40は、入力端子INc、基準電圧端子INr、及び、出力端子OUTcを有している。入力端子INcは、出力端子OUT3に接続されている。基準電圧端子INrは、基準電圧配線30dに接続されている。出力端子OUTcは、配線30bに接続されている。また、補正回路40には、制御回路80からイネーブル信号EN1が入力される。
【0028】
図4は、補正回路40の詳細を示している。補正回路40は、OTA(Operational Transconductance Amplifier)42と、スイッチ44と、コンデンサ46と、OTA48を有している。OTA42の非反転入力端子は基準電圧端子INrに接続されており、OTA42の反転入力端子は入力端子INcに接続されている。OTA42は、基準電圧端子INrの電圧(すなわち、基準電圧Vref)と入力端子INcの電圧(すなわち、出力電圧Vout3)の差に比例する電流Idefを出力端子から出力する。なお、電流Idefについては、OTA42から流出する向きを正の値として表し、OTA42に流入する向きを負の値として表す。OTA42は、基準電圧Vrefが出力電圧Vout3よりも高いときに電流Idefを正の値に制御し、基準電圧Vrefが出力電圧Vout3よりも低いときに電流Idefを負の値に制御する。OTA48の非反転入力端子は、スイッチ44を介してOTA42の出力端子に接続されている。OTA48の反転入力端子は、基準電圧端子INrに接続されている。コンデンサ46は、OTA48の非反転入力端子と反転入力端子の間に接続されている。スイッチ44は、イネーブル信号EN1に応じてスイッチングする。スイッチ44がオンすると、OTA42が出力する電流Idefによってコンデンサ46が充放電され、OTA48に対する入力電圧Vc(すなわち、OTA48の非反転入力端子の反転有力端子に対する電位)が変化する。スイッチ44がオフすると、電流Idefが停止し、入力電圧Vcが固定される。OTA48は、入力電圧Vcに比例する電流を補正電流Icorとして出力端子OUTcに出力する。なお、補正電流Icorについては、OTA48から流出する向きを正の値として表し、OTA48に流入する向きを負の値として表す。OTA48は、入力電圧Vcが正の値のときに補正電流Icorを正の値に制御し、入力電圧Vcが負の値のときに補正電流Icorを負の値に制御する。
【0029】
電圧増幅回路10は、補正動作と電圧増幅動作を実行することができる。補正動作は、補正電流Icorを適正値に設定する動作であり、電圧増幅動作は補正電流Icorが適正値に設定された状態で入力電圧Vinを増幅する動作である。
【0030】
(補正動作)
補正動作では、制御回路80が、スイッチS1をオン、スイッチS2をオフ、スイッチ44をオンに制御する。この状態では、電圧電流変換回路20の入力電圧Vinaは0Vとなる。この場合、理想的には、電圧電流変換回路20の出力電流Iout2は0μAとなるはずである。しかしながら、実際には、入力電圧Vinaが0Vの場合に、出力電流Iout2として微小なオフセット電流が出力される。また、補正回路40は、補正動作前に設定されていた補正電流Icorを出力する。電流電圧変換回路30は、Vout3=R32(Iout2+Icor)の関係を満たす出力電圧Vout3を出力する。補正回路40のOTA42は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも低ければ、正の電流Idefを出力して入力電圧Vcを上昇させる。この場合、補正電流Icorが増加し、出力電圧Vout3が上昇する。また、OTA42は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも高ければ、負の電流Idefを出力して入力電圧Vcを低下させる。この場合、補正電流Icorが減少し、出力電圧Vout3が低下する。このように、補正回路40は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致するように補正電流Icorをフィードバック制御する。出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致した段階で、制御回路80がスイッチ44をオフする。したがって、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致しているときの入力電圧Vcがコンデンサ46で保持される。したがって、その後は、補正回路40は、コンデンサ46で保持されている入力電圧Vcに応じた補正電流Icorを出力する。このように、補正動作では、補正回路40が出力する補正電流Icorが、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致する値に設定される。このように補正電流Icorを設定することで、電圧電流変換回路20のオフセット電流の影響、及び、抵抗値R28、R32のばらつきの影響を受けることなく、入力電圧Vinaが0Vのときに出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致するように電圧電流変換回路20の出力電圧特性を調整することができる。その後、スイッチ44は、次の補正動作が実行されるまでオフに維持される。
【0031】
(電圧増幅動作)
補正動作の完了後に電圧増幅動作が実施される。電圧増幅動作では、制御回路80が、スイッチS1をオフ、スイッチS2をオンに制御する。したがって、入力電圧Vinaが入力電圧Vinと等しくなる。このため、電圧電流変換回路20は、入力電圧Vinに応じた出力電流Iout2を出力する。また、補正回路40は、補正動作で設定された補正電流Icorを出力する。補正動作で補正電流Icorが適切に設定されているので、補正電流Icorによって出力電圧Vout3の誤差成分がキャンセルされる。したがって、Vout3=2・Vin・R32/R28の関係を満たす出力電圧Vout3が出力端子OUT3に出力される。このように、電圧増幅動作では、電圧電流変換回路20のオフセット電流の影響、及び、抵抗値R28、R32のばらつきの影響を受けることなく、入力電圧Vinを正確に増幅した出力電圧Vout3を出力することができ、ゲート漏れ電流を正確に検出することができる。電圧増幅回路10は、補正動作と電圧増幅動作を所定周期で交互に実行することで、入力電圧Vinをモニタする。
【0032】
また、図3の電圧電流変換回路20は、入力端子IN2H、IN2Lに基準電圧Vrefに対して比較的高い電位が印加されても、正常に動作することができる。すなわち、図3の電圧電流変換回路20は、高電位側に広い入力電圧範囲を有している。したがって、基準電圧Vrefに対して比較的高い電位を基準として動作している回路のゲート電流を検出することができる。なお、入力端子IN2H、IN2Lの電位として基準電圧Vrefに対して比較的低い電位を扱う場合には、電圧電流変換回路20として図5に示す回路を用いてもよい。図5に示す回路は、図3に示す回路と高電位側と低電位側を反転した構成を有している。図5に示す回路は、低電位側に広い入力電圧範囲を有している。図5の回路は、図3の回路と同様に、Iout2=2・IR28=2・Vina/R28となる出力電流Iout2を出力する。
【0033】
また、電圧電流変換回路20として、図3に示す回路に代えて、図6に示す回路を用いてもよい。図6に示す電圧電流変換回路20は、オペアンプ29a、29bを有している。オペアンプ29aの非反転入力端子は抵抗29-3を介して入力端子IN2Lに接続されている。オペアンプ29aの反転入力端子は抵抗29-1を介して入力端子IN2Hに接続されている。オペアンプ29aの出力端子は抵抗29-5を介して出力端子OUT2に接続されている。オペアンプ29aの反転入力端子とオペアンプ29aの出力端子の間に抵抗29-2が接続されている。オペアンプ29bの非反転入力端子は出力端子OUT2に接続されている。オペアンプ29bの出力端子は抵抗29-4を介してオペアンプ29aの非反転入力端子に接続されている。オペアンプ29bの反転入力端子はオペアンプ29bの出力端子に接続されている。抵抗29-1と抵抗29-3はともに抵抗値R1を有している。抵抗29-2と抵抗29-4はともに抵抗値R2を有している。抵抗29-5は抵抗値R5を有している。図6に示す電圧電流変換回路20は、Iout2=(R2・Vina)/(R1・R5)の関係を満たす出力電流Iout2を出力する。図6の電圧電流変換回路20を用いる場合でも、電圧増幅回路10は、上記の補正動作と電圧増幅動作を実行することで、オフセット電流の影響、及び、抵抗値R1、R2、R5、R32のばらつきの影響を抑制しながら入力電圧Vinを正確に増幅することができる。
【実施例0034】
図7に示す実施例2の電圧増幅回路10aは、インピーダンス変換回路50を有する点で実施例1の電圧増幅回路10とは異なる。その他については、実施例2の電圧増幅回路10aは、実施例1の電圧増幅回路10と同じ構成を有している。
【0035】
インピーダンス変換回路50は、電圧電流変換回路20と電流電圧変換回路30の間に設けられている。インピーダンス変換回路50の入力端子は、電圧電流変換回路20の出力端子OUT2に接続されている。インピーダンス変換回路50の出力端子は、配線30aに接続されている。図8は、インピーダンス変換回路50の一例を示している。インピーダンス変換回路50の入力端子INiには、電圧電流変換回路20の出力電流Iout2が入力される。インピーダンス変換回路50は、入力された出力電流Iout2と同じ大きさの電流Iout2iを出力端子OUTiに出力する。インピーダンス変換回路50の出力インピーダンスは、電圧電流変換回路20の出力インピーダンスよりも高い。図7に示すように、インピーダンス変換回路50の出力電流Iout2iは、電流電圧変換回路30に入力される。電流電圧変換回路30は実施例1と同様に動作する。
【0036】
実施例1では、電圧電流変換回路20の出力端子OUT2が電流電圧変換回路30に直接接続されているので、電流電圧変換回路30の動作によって電圧電流変換回路20の出力端子OUT2の電位が変動し、出力電流Iout2に誤差が生じる場合がある。これに対し、実施例2では、電圧電流変換回路20の出力端子OUT2がインピーダンス変換回路50を介して電流電圧変換回路30に接続されているので、出力端子OUT2が電流電圧変換回路30の影響をほとんど受けない。したがって、出力電流Iout2で生じる誤差を低減できる。また、インピーダンス変換回路50が高い出力インピーダンスを有しているので、インピーダンス変換回路50が電流電圧変換回路30に直接接続されていても、インピーダンス変換回路50の出力電流Iout2iに誤差はほとんど生じない。したがって、実施例2の電圧増幅回路10aによれば、より正確に入力電圧Vinを増幅することができる。
【実施例0037】
図9に示す実施例3の電圧増幅回路10bは、4つの入力端子IN1H1、IN1L1、IN1H2、IN1L2を有している。入力端子IN1H1と入力端子IN1L1の間に第1の検出対象から入力電圧Vin1が印加され、入力端子IN1H2と入力端子IN1L2の間に第2の検出対象から入力電圧Vin2が印加される。入力端子IN1H1は、スイッチS3、S2を介して入力端子IN2Hに接続されている。入力端子IN1L1は、スイッチS5を介して入力端子IN2Lに接続されている。入力端子IN1H2は、スイッチS4、S2を介して入力端子IN2Hに接続されている。入力端子IN1L2は、スイッチS6を介して入力端子IN2Lに接続されている。スイッチS3~S6は、制御回路80によって制御される。実施例3の電圧増幅回路10bのその他の構成は、実施例1の電圧増幅回路10と等しい。
【0038】
電圧増幅動作においてスイッチS3、S4をオンするとともにスイッチS5、S6をオフすると、入力電圧Vin1が入力電圧Vinaとして電圧電流変換回路20に入力される。電圧増幅動作においてスイッチS3、S4をオフするとともにスイッチS5、S6をオンすると、入力電圧Vin2が入力電圧Vinaとして電圧電流変換回路20に入力される。このように、実施例3の電圧増幅回路10bでは、電圧増幅動作において、検出対象を変更することができる。
【実施例0039】
図10に示す実施例4の電圧増幅回路10cは、2つの電圧電流変換回路20a、20bと2つの補正回路40a、40bを有している。電圧電流変換回路20aと補正回路40aには、制御回路80からイネーブル信号ENaが入力される。電圧電流変換回路20bと補正回路40bには、制御回路80からイネーブル信号ENbが入力される。電圧電流変換回路20aに対応する入力端子IN1H1、IN1L1の間に第1の検出対象から入力電圧Vin1が印加され、電圧電流変換回路20bに対応する入力端子IN1H2、IN1L2の間に第2の検出対象から入力電圧Vin2が印加される。電圧電流変換回路20aの出力端子OUT2と電圧電流変換回路20bの出力端子OUT2は共に接続部31に接続されている。補正回路40aの入力端子INcと補正回路40bの入力端子INcは共に出力端子OUT3に接続されている。補正回路40aの基準電圧端子INrと補正回路40bの基準電圧端子INrは共に基準電圧配線30dに接続されている。補正回路40aの出力端子OUTcと補正回路40bの出力端子OUTcは共に接続部31に接続されている。
【0040】
上記の電圧増幅回路10cの構成は、以下のように言い換えることもできる。電圧増幅回路10cは、電圧電流変換回路20aと補正回路40aを有する第1の電圧増幅回路と、電圧電流変換回路20bと補正回路40bを有する第2の電圧増幅回路を有している。第1の電圧増幅回路と第2の電圧増幅回路の間で電流電圧変換回路30が共用されている。
【0041】
電圧増幅回路10cは、電圧電流変換回路20aに対する補正動作、電圧電流変換回路20aによる電圧増幅動作、電圧電流変換回路20bに対する補正動作、電圧電流変換回路20bによる電圧増幅動作を実行することができる。
【0042】
電圧電流変換回路20aに対する補正動作では、イネーブル信号ENaによって補正回路40aと電圧電流変換回路20aを動作させ、イネーブル信号ENbによって補正回路40bと電圧電流変換回路20bの動作を停止させる。この状態で、実施例1と同様に補正回路40aと電圧電流変換回路20aによって補正動作を実行することで、補正回路40aが出力する補正電流Icorを電圧電流変換回路20aに対して適切な値に設定する。電圧電流変換回路20aによる電圧増幅動作は、電圧電流変換回路20aに対する補正動作の後に実行される。この動作では、イネーブル信号ENaによって補正回路40aと電圧電流変換回路20aを動作させ、イネーブル信号ENbによって補正回路40bと電圧電流変換回路20bの動作を停止させる。この状態で、実施例1と同様に補正回路40aと電圧電流変換回路20aによって電圧増幅動作を実行し、入力電圧Vin1を増幅する。電圧電流変換回路20bに対する補正動作では、イネーブル信号ENbによって補正回路40bと電圧電流変換回路20bを動作させ、イネーブル信号ENaによって補正回路40aと電圧電流変換回路20aの動作を停止させる。この状態で、実施例1と同様に補正回路40bと電圧電流変換回路20bによって補正動作を実行することで、補正回路40bが出力する補正電流Icorを電圧電流変換回路20bに対して適切な値に設定する。電圧電流変換回路20bによる電圧増幅動作は、電圧電流変換回路20bに対する補正動作の後に実行される。この動作では、イネーブル信号ENbによって補正回路40bと電圧電流変換回路20bを動作させ、イネーブル信号ENaによって補正回路40aと電圧電流変換回路20aの動作を停止させる。この状態で、実施例1と同様に補正回路40bと電圧電流変換回路20bによって電圧増幅動作を実行し、入力電圧Vin2を増幅する。
【0043】
このように、実施例4の電圧増幅回路10cによれば、入力電圧Vin1、Vin2を検出することができる。また、実施例4の電圧増幅回路10cでは、入力端子IN1H1、IN1L1の組と入力端子IN1H2、IN1L2の組のそれぞれに対して電圧電流変換回路20a、20bが独立して設けられている。したがって、入力端子IN1H1、IN1L1の組に対する電圧入力範囲と入力端子IN1H2、IN1L2の組に対する電圧入力範囲とを異ならせることができる。この構成によれば、基準電圧が異なる複数の検出対象に対して、これらの検査対象から入力される入力電圧Vin1、Vin2を適切に検出することができる。
【0044】
図11は、補正回路40a、40bとして使用可能な補正回路の一例を示している。図11の補正回路は、OTA48の出力端子と出力端子OUTcの間にスイッチSc1が設けられている。図11の補正回路のその他の構成は、図4の補正回路と等しい。スイッチSc1は、イネーブル信号ENaまたはENbによってスイッチングする。スイッチSc1がオンしていると補正回路が動作可能となり、スイッチSc1がオフすると補正回路が動作を停止する。
【0045】
図12は、電圧電流変換回路20a、20bとして使用可能な電圧電流変換回路の一例を示している。図12の電圧増幅回路は、スイッチSc2、Sc3を有している。スイッチSc2は、電流制御素子21x、21y、22x、22yのゲートとグランドの間に接続されている。スイッチSc3は、NMOS24a、24bのゲートとグランドの間に接続されている。図12の電圧電流変換回路のその他の構成は、図3の電圧電流変換回路と等しい。スイッチSc2、Sc3は、イネーブル信号ENaまたはENbによってスイッチングする。イネーブル信号は、スイッチSc2、Sc3が共にオフしている状態と、スイッチSc2、Sc3が共にオンしている状態とに切り換える。スイッチSc2がオンしていると、電流制御素子21x、21y、22x、22yがオフし、カレントミラー回路21、22の動作が停止する。また、スイッチSc3がオンしていると、NMOS24a、24bがオフし、電流出力回路24の動作が停止する。したがって、スイッチSc2、Sc3が共にオフしていると、電圧電流変換回路の動作が停止する。スイッチSc2、Sc3が共にオンしていると、電圧電流変換回路が動作可能となる。
【実施例0046】
図13に示す実施例5の電圧増幅回路10dは、実施例4と同様に2つの電圧電流変換回路20a、20bを有している。実施例5の電圧増幅回路10dは、単一の補正回路40を有している点で実施例4とは異なる。図13の電圧増幅回路10dの構成は、以下のように言い換えることもできる。電圧増幅回路10dは、電圧電流変換回路20aを有する第1の電圧増幅回路と、電圧電流変換回路20bを有する第2の電圧増幅回路を有している。第1の電圧増幅回路と第2の電圧増幅回路の間で電流電圧変換回路30と補正回路40が共用されている。
【0047】
この電圧増幅回路10dは、第1補正動作、電圧電流変換回路20aによる電圧増幅動作、第2補正動作、電圧電流変換回路20bによる電圧増幅動作を実行することができる。
【0048】
第1補正動作では、電圧電流変換回路20bを停止させた状態で補正回路40と電圧電流変換回路20aを動作させて、実施例1と同様に補正動作を実行する。したがって、第1補正動作では、補正回路40が出力する補正電流Icorが電圧電流変換回路20aに対して適切な値に設定される。電圧電流変換回路20aによる電圧増幅動作は、第1補正動作の後に実行される。この動作では、電圧電流変換回路20bを停止させた状態で補正回路40と電圧電流変換回路20aを動作させて、実施例1と同様に電圧増幅動作を実行する。第2補正動作では、電圧電流変換回路20aを停止させた状態で補正回路40と電圧電流変換回路20bを動作させて、実施例1と同様に補正動作を実行する。したがって、第2補正動作では、補正回路40が出力する補正電流Icorが電圧電流変換回路20bに対して適切な値に設定される。電圧電流変換回路20bによる電圧増幅動作は、第2補正動作の後に実行される。この動作では、電圧電流変換回路20aを停止させた状態で補正回路40と電圧電流変換回路20bを動作させて、実施例1と同様に電圧増幅動作を実行する。このように、実施例5の構成でも、実施例4と同様に、入力電圧Vin1、Vin2を選択的に検出することができる。また、この構成によれば、実施例4よりも電圧増幅回路を小型化することができる。
【実施例0049】
図14に示す実施例6の回路モジュール10eは、2つの電圧増幅回路10-1、10-2を有している。電圧増幅回路10-1、10-2の構成は、実施例1と等しい。この回路モジュール10eでは、2つの電圧増幅回路10-1、10-2の間で入力端子IN1H、IN1Lが共用されている。すなわち、入力端子IN1Hは、電圧増幅回路10-1のスイッチS2に接続されているとともに、電圧増幅回路10-2のスイッチS2に接続されている。入力端子IN1Lは、電圧増幅回路10-1の入力端子IN2Lに接続されているとともに、電圧増幅回路10-2の入力端子IN2Lに接続されている。この回路モジュール10eでは、電圧増幅回路10-1で補正動作を行っているときに電圧増幅回路10-2で電圧増幅動作を実行し、電圧増幅回路10-2で補正動作を行っているときに電圧増幅回路10-1で電圧増幅動作を実行する。したがって、補正動作によって検出不可能な期間を減少させることができ、入力電圧Vinをより連続的にモニタすることができる。
【0050】
なお、実施例3~6において、図7のように、電圧電流変換回路20と電流電圧変換回路30の間にインピーダンス変換回路を設けてもよい。
【0051】
なお、実施例1~6では、電圧電流変換回路20が入力電圧Vinaに応じた出力電流Iout2を出力し、補正回路40が補正電流Icorを出力するので、接続部31で配線を接続するだけで出力電流Iout2に補正電流Icorを加えることができる。また、出力電流Iout2と補正電流Icorを合計した電流I32を抵抗32に流すことで、電流I32に比例する電圧Vout2を容易に得ることができる。したがって、実施例1~6の構成によれば、電圧電流変換回路20の構成を簡易化できるとともに消費電力を低減することができる。
【実施例0052】
図15に示す実施例7の電圧増幅回路10fは、一対の入力端子IN1H、IN1Lと、電圧変換回路120と、加算回路130と、補正回路140を有している。一対の入力端子IN1H、IN1Lの間に、入力電圧Vinが印加される。
【0053】
電圧変換回路120は、一対の入力端子IN2H、IN2Lと、出力端子OUT2を有している。入力端子IN2Hには、スイッチS2を介して入力端子IN1Hが接続されている。入力端子IN2Lには入力端子IN1Lが接続されている。また、一対の入力端子IN2H、IN2Lの間にスイッチS1が接続されている。スイッチS1がオンすると入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間が短絡し、入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間の入力電圧Vinaが0Vとなる。スイッチS2がオフすると入力端子IN2Hと入力端子IN2Lの間が開放される。スイッチS1がオフし、スイッチS2がオンすると、入力電圧Vinaとして入力電圧Vinが印加される。電圧変換回路120は、入力電圧Vinaを増幅した電圧Vout2を出力端子OUT2から出力する。
【0054】
図16は、電圧変換回路120の詳細を示している。電圧変換回路120は、オペアンプ120aを有している。オペアンプ120aの非反転入力端子は、抵抗120-2を介して入力端子IN2Lに接続されている。オペアンプ120aの非反転入力端子は、抵抗120-4を介して基準電圧配線30dに接続されている。オペアンプ120aの反転入力端子は、抵抗120-1を介して入力端子IN2Hに接続されている。オペアンプ120aの反転入力端子は、抵抗120-3を介してオペアンプ120aの出力端子に接続されている。オペアンプ120aの出力端子は、電圧変換回路120の出力端子OUT2に接続されている。電圧変換回路120は、差動増幅回路である。電圧変換回路120は、Vout2=R2・Vina/R1の関係を満たす電圧Vout2を出力端子OUT2に出力する。なお、符号R1は抵抗120-1及び抵抗120-2の抵抗値であり、符号R2は抵抗120-3及び抵抗120-4の抵抗値である。
【0055】
図15に示すように、加算回路130は、入力端子IN3、補正電圧入力端子IN3c、基準電圧端子IN3r、及び、出力端子OUT3を有している。入力端子IN3は、電圧変換回路120の出力端子OUT2に接続されている。入力端子IN3には、電圧変換回路120の出力電圧Vout2が印加される。補正電圧入力端子IN3cは、補正回路140の出力端子OUTcに接続されている。補正電圧入力端子IN3cには、補正回路140が出力する補正電圧Vcorが印加される。基準電圧端子IN3rは、基準電圧配線30dに接続されている。基準電圧端子IN3rには、基準電圧Vrefが印加される。出力端子OUT3は、電圧増幅回路10fの出力端子OUT4に接続されている。
【0056】
図17は、加算回路130の詳細を示している。加算回路130は、オペアンプ130aを有している。オペアンプ130aの非反転入力端子は、基準電圧端子IN3rに接続されている。オペアンプ130aの反転入力端子は、抵抗130-1を介して補正電圧入力端子IN3cに接続されている。オペアンプ130aの反転入力端子は、抵抗130-2を介して入力端子IN3に接続されている。オペアンプ130aの反転入力端子は、抵抗130-3を介してオペアンプ130aの出力端子に接続されている。オペアンプ130aの出力端子は、出力端子OUT3に接続されている。抵抗130-1の抵抗値と抵抗130-2の抵抗値は等しい。加算回路130は、Vout3=-(Vout2+Vcor)となる出力電圧Vout3を出力端子OUT3に出力する。したがって、電圧増幅回路10fの出力端子OUT4に、電圧Vout3が出力される。
【0057】
補正回路140は、入力端子INcと、基準電圧端子INrと、出力端子OUTcを有している。入力端子INcは、電圧増幅回路10fの出力端子OUT4に接続されている。入力端子INcには、電圧増幅回路10fの出力電圧Vout3が印加される。基準電圧端子INrは、基準電圧配線30dに接続されている。基準電圧端子INrには、基準電圧Vrefが印加される。出力端子OUTcは、加算回路130の補正電圧入力端子IN3cに接続されている。
【0058】
図18は、補正回路140の詳細を示している。補正回路140は、OTA142と、スイッチ144と、コンデンサ146と、オペアンプ148を有している。OTA142の非反転入力端子は入力端子INcに接続されており、OTA142の反転入力端子は基準電圧端子INrに接続されている。OTA142は、入力端子INcの電圧(すなわち、出力電圧Vout3)と基準電圧端子INrの電圧(すなわち、基準電圧Vref)との差に比例する電流Idefを出力端子から出力する。なお、電流Idefについては、OTA142から流出する向きを正の値として示し、OTA142に流入する向きを負の値として示す。OTA142は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも高いときに電流Idefを正の値に制御し、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも低いときに電流Idefを負の値に制御する。オペアンプ148の非反転入力端子は、スイッチ144を介してOTA142の出力端子に接続されている。オペアンプ148の反転入力端子は、基準電圧端子INrに接続されている。コンデンサ146は、オペアンプ148の非反転入力端子と反転入力端子の間に接続されている。スイッチ144は、イネーブル信号EN1に応じてスイッチングする。スイッチ144がオンすると、OTA142が出力する電流Idefによってコンデンサ146が充放電され、オペアンプ148の入力電圧Vc(すなわち、オペアンプ148の非反転入力端子の反転入力端子に対する電位)が変化する。スイッチ144がオフすると、電流Idefが停止し、入力電圧Vcが固定される。オペアンプ148の出力端子は、出力端子OUTcに接続されている。オペアンプ148は、入力電圧Vcに応じた電圧を補正電圧Vcorとして出力する。
【0059】
電圧増幅回路10fは、補正動作と電圧増幅動作を実行することができる。補正動作は、補正電圧Vcorを適正値に設定する動作であり、電圧増幅動作は補正電圧Vcorが適正値に設定された状態で入力電圧Vinを増幅する動作である。
【0060】
(補正動作)
補正動作では、制御回路80によって、スイッチS1がオン、スイッチS2がオフ、スイッチ144がオンに制御される。この状態では、電圧変換回路120の入力電圧Vinaは0Vである。この場合、理想的には、電圧変換回路120の出力電圧Vout2は0Vとなるはずである。しかしながら、実際には、入力電圧Vinaが0Vの場合に、出力電圧Vout2として微小なオフセット電圧が出力される。また、補正回路140は、補正動作前に設定されていた補正電圧Vcorを出力する。加算回路130は、Vout3=-(Vout2+Vcor)の関係を満たす出力電圧Vout3を出力する。補正回路140のOTA142は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも高ければ、正の電流Idefを出力して入力電圧Vcを上昇させる。この場合、補正電圧Vcorが上昇し、出力電圧Vout3が低下する。また、OTA142は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefよりも低ければ、負の電流Idefを出力して入力電圧Vcを低下させる。この場合、補正電圧Vcorが低下し、出力電圧Vout3が上昇する。このように、補正回路140は、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致するように補正電圧Vcorをフィードバック制御する。出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致した段階で、制御回路80がスイッチ144をオフする。すると、補正電圧Vcorが固定される。このように、補正動作では、出力電圧Vout3が基準電圧Vrefと一致しているときの補正電圧Vcorが出力されるように補正回路140が設定される。このように補正電圧Vcorを設定することで、電圧変換回路120のオフセット電圧の影響、及び、抵抗120-1~120-4、抵抗130-1~130-3の抵抗値のばらつきの影響が抑制されるように、電圧増幅回路10fの出力電圧特性を調整することができる。その後、スイッチ144は、次の補正動作が実行されるまでオフに維持される。
【0061】
(電圧増幅動作)
電圧増幅動作では、制御回路80によって、スイッチS1がオフ、スイッチS2がオンに制御される。したがって、電圧変換回路120の入力電圧Vinaは入力電圧Vinと等しい。電圧変換回路120は、入力電圧Vinに応じた出力電圧Vout2(より詳細には、Vout2=R2・Vin/R1を満たす出力電圧Vout2)を出力する。また、補正回路140は、補正動作で設定された補正電圧Vcorを出力する。加算回路130は、Vout3=-(Vout2+Vcor)となる出力電圧Vout3を出力する。補正電圧Vcorが補正動作で適切に設定されているので、電圧増幅動作中に電圧変換回路120のオフセット電流の影響、及び、各抵抗の抵抗値のばらつきの影響を抑制しながら入力電圧Vinを正確に増幅することができ、ゲート漏れ電流を正確に検出することができる。
【0062】
電圧増幅回路10fは、上述した補正動作と電圧増幅動作を所定周期で交互に実行する。したがって、電圧増幅回路10fは、入力電圧Vinを正確に増幅することができる。
【0063】
また、電圧変換回路120として、図16に示す回路に代えて、図19に示す回路を用いてもよい。図19に示す回路は、例えば特開2010-041662号公報に記載されているように、Vout2=Csa・Vina/Cfaの関係を満たす出力電圧Vout2を出力する。なお、符号Csaはコンデンサ125-1、125-2の容量値であり、符号Cfaはコンデンサ125-3、125-4の容量値である。また、図19において、符号Vref1、Vref2は、基準電圧Vrefとは別の基準電圧である。このように、電圧変換回路120は、コンデンサの容量値に基づいて定まる増幅率で入力電圧Vinaを増幅する回路であってもよい。この場合、補正動作を実行することによって、コンデンサの容量値のばらつきの影響を抑制することができる。
【0064】
なお、上述した実施例では、電圧増幅回路によってゲート抵抗の両端間の電圧を増幅して検出する場合について説明した。しかしながら、他の電圧を増幅する電圧増幅回路に本明細書に記載の技術を適用してもよい。
【0065】
実施例の補正電流及び補正電圧は、補正回路の設定値の一例である。実施例の抵抗28は、第1受動素子の一例である。実施例の抵抗32は、第2受動素子の一例である。
【0066】
以下に、本明細書に開示の回路の構成を列記する。
(構成1)
電圧増幅回路であって、
一対の入力端子と、
出力端子と、
複数の受動素子と、
一対の前記入力端子間を短絡するオンと一対の前記入力端子間を開放するオフとに切り換わるスイッチと、
補正回路、
を有し、
前記電圧増幅回路が、一対の前記入力端子間に印加される入力電圧を複数の前記受動素子の定数に基づいて定まる増幅率で増幅した増幅電圧に、前記補正回路の設定値に応じた電圧を加算した出力電圧を前記出力端子に出力するように構成されており、
前記電圧増幅回路は、補正動作と電圧増幅動作を実行可能であり、
前記補正動作が、前記スイッチがオンしている状態で前記出力電圧を出力し、前記出力電圧が基準電圧と一致するように前記補正回路の前記設定値を調整する動作であり、
前記電圧増幅動作が、前記スイッチがオフしているとともに前記設定値が前記補正動作で調整された値に設定されている状態で前記出力電圧を出力する動作である、
電圧増幅回路。
(構成2)
電圧電流変換回路と電流電圧変換回路をさらに有し、
前記電圧電流変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第1受動素子を有しており、前記入力電圧と前記第1受動素子の定数に応じた大きさの電流を出力し、
前記補正回路が、前記設定値に応じた補正電流を出力し、
前記電流電圧変換回路が、複数の前記受動素子のうちの第2受動素子を有しており、前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力する、
構成1に記載の電圧増幅回路。
(構成3)
前記電圧電流変換回路が、一対の前記入力端子の一方である第1入力端子に接続された第1カレントミラー回路と、一対の前記入力端子の他方である第2入力端子に接続された第2カレントミラー回路、を有しており、
前記第1カレントミラー回路が、前記第1入力端子を介して第1入力電流が流れる第1入力配線と、前記第1入力端子を介して第1出力電流が流れる第1出力配線を有し、
前記第2カレントミラー回路が、前記第2入力端子を介して第2入力電流が流れる第2入力配線と、前記第2入力端子を介して第2出力電流が流れる第2出力配線を有し、
前記第1受動素子が、前記第1出力配線と前記第2出力配線の間に接続された抵抗である、
構成2に記載の電圧増幅回路。
(構成4)
前記電圧電流変換回路が出力する前記電流の入力を受けるとともに前記電圧電流変換回路が出力する前記電流と同じ大きさの電流を出力するインピーダンス変換回路であって、前記電圧電流変換回路の出力インピーダンスよりも高い出力インピーダンスを有するインピーダンス変換回路をさらに有し、
前記電流電圧変換回路が、前記インピーダンス変換回路が出力する前記電流と前記補正電流とを合わせた電流と前記第2受動素子の定数に応じた大きさの電圧を前記出力電圧として出力する、
構成2または3に記載の電圧増幅回路。
(構成5)
一対の前記入力端子間に印加される前記入力電圧の入力源を変更する入力源切換スイッチをさらに有する構成1~4のいずれか一項に記載の電圧増幅回路。
(構成6)
構成2~4のいずれか一項に記載の前記電圧増幅回路を複数備える回路モジュールであって、
複数の前記電圧増幅回路の間で前記電流電圧変換回路が共用されている、
回路モジュール。
(構成7)
複数の前記電圧増幅回路の間で前記補正回路が共用されている、
構成6に記載の回路モジュール。
(構成8)
構成1~4のいずれか一項に記載の前記電圧増幅回路を複数備える回路モジュールであって、
複数の前記電圧増幅回路が、第1電圧増幅回路と第2電圧増幅回路を有し、
前記第1電圧増幅回路と前記第2電圧増幅回路の両方に前記入力電圧を印加可能な端子(IN1H、IN1L)を有し、
前記第1電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第2電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行し、
前記第2電圧増幅回路が前記補正動作を実行中に前記第1電圧増幅回路が前記電圧増幅動作を実行する、
回路モジュール。
【0067】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0068】
20:電圧電流変換回路、30:電流電圧変換回路、40:補正回路
図1
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