(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179133
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】装着具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20231212BHJP
A46B 5/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A45D34/04 515Z
A46B5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092239
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】曲 威
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA14
3B202AB15
3B202CB02
3B202CB03
(57)【要約】
【課題】使用者の操作性が向上された装着具を提供する。
【解決手段】化粧料の収容空間を形成する容器本体20の口栓部230に係合する筒部322と、前記筒部322の内側で支持される基部346、および前記基部346から延出しており前記容器本体20の口栓部230の開口を介して前記収容空間に挿入される軸部342、を有する挿入体34と、前記筒部322の軸方向上での往復移動により前記筒部322の一側の端部からの突出長さが可変である可動部36と、を備える、装着具10。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料の収容空間を形成する容器本体の口栓部に係合する筒部と、
前記筒部の内側で支持される基部、および前記基部から延出しており前記容器本体の口栓部の開口を介して前記収容空間に挿入される軸部、を有する挿入体と、
前記筒部の軸方向上での往復移動により前記筒部の一側の端部からの突出長さが可変である可動部と、
を備える、装着具。
【請求項2】
前記基部は中空の第1領域を有し、
前記可動部の少なくとも一部は、前記可動部が前記筒部に最も深く挿入されている状態において、前記基部の前記第1領域内に位置する、請求項1に記載の装着具。
【請求項3】
前記軸部は、前記基部の前記第1領域に繋がる中空の第2領域を有し、
前記可動部の少なくとも一部は、前記可動部が前記筒部に最も深く挿入されている状態において、前記軸部の前記第2領域内に位置する、請求項2に記載の装着具。
【請求項4】
前記軸部は、
第1部分と、
前記第1部分と前記基部の間に、前記筒部の軸方向上で前記第1部分と離隔して位置しており、前記第1部分よりも外径が大きい第2部分と、
前記第1部分および前記第2部分よりも前記筒部の軸方向に対する傾きが大きく、前記第1部分と第2部分を繋ぐ、傾斜部分と、
を有する、請求項3に記載の装着具。
【請求項5】
前記可動部の少なくとも一部は、前記可動部が前記筒部に最も深く挿入されている状態において、前記筒部の前記一側の反対側である他側に形成されている第1開口から突出する、請求項3または4に記載の装着具。
【請求項6】
前記装着具は、前記可動部と前記挿入体の間に弾性部材を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装着具。
【請求項7】
前記可動部は、前記筒部に螺合する螺合部をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の装着具。
【請求項8】
前記筒部は、平面視において非真円形状を有する第2開口が形成されている天面を含み、
前記可動部は、前記第2開口に挿入された後に前記可動部が前記筒部の軸方向周りに回転することにより前記天面の裏面に当接する爪部を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装着具。
【請求項9】
前記爪部および前記天面の裏面には、互いに係合することにより前記可動部の回転をロックするロック機構が形成されている、請求項8に記載の装着具。
【請求項10】
前記筒部の前記端部から延出しており、前記可動部の前記筒部から所定長さ突出した状態において、前記筒部の軸方向と交差する軸方向を有する回転軸周りで回転可能に前記可動部を前記筒部に連結する連結部、をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の装着具。
【請求項11】
前記連結部は、前記筒部の前記一側から延出しており、対向する一対の壁領域を有し、
前記可動部は、前記回転軸方向に突出する第1凸部が形成されており、前記一対の壁領域の間で前記筒部の軸方向に沿って往復移動する延伸部を有し、
前記一対の壁領域の各々は、他方の壁領域側の面に、前記第1凸部が嵌合することで前記回転軸を形成する穴部を有する、請求項10に記載の装着具。
【請求項12】
前記可動部は、前記可動部が前記筒部に最も深く挿入されている状態において、前記一対の壁領域を覆い前記筒部に嵌合する嵌合部を有し、
前記嵌合部は透光性を有し、
前記一対の壁領域、および前記延伸部には、文字または模様が形成されている、請求項11に記載の装着具。
【請求項13】
前記容器本体と、
前記口栓部の内周側に配置され、前記軸部が通過する環状部材と、
前記口栓部に前記筒部が係合することにより前記容器本体に装着される、請求項1~12のいずれか一項に記載の装着具と、
を備える、容器。
【請求項14】
前記環状部材は、樹脂で形成されている、請求項13に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液状口紅、リップグロス、マスカラおよびアイライナーなどの化粧料の容器として、有底筒状の容器胴部および口栓部を有する容器本体、および、口栓部の開口を覆うキャップ(容器本体に対する装着具)を有する容器が広く普及している。キャップには、口栓部の開口から容器本体に挿入される挿入体が取り付けられる。挿入体は、軸部、および軸部の先端に位置する塗布部を含む。このような容器のキャップを使用者が容器本体から取り外すと、挿入体も容器本体から抜き出される。容器本体から抜き出された挿入体の塗布部には化粧料が付着しているので、使用者は、キャップを把持しながら塗布部を目的の部位に当てることにより、化粧料を目的の部位に塗布することができる。
【0003】
このような容器に関し、特許文献1には、キャップ部および塗布具を含むキャップを容器本体から取り外した際に、キャップ部から塗布具の先端までの長さが長くなる化粧料容器が開示されている。特許文献1には、このような化粧料容器によれば、使い勝手が良くなることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用者は、基本的に、手が空中に浮いている状態でキャップを操作して、化粧料を目的の部位に塗布する。このため、上記の操作は不安定になり易い。この点に関し、使用者の手とキャップとの接触面積が大きいほど、安定感および操作の自由度が向上し、疲労感が軽減することが期待される。一方で、化粧料容器の小型化へのニーズも存在するが、例えば上記の特許文献1に記載の化粧料容器におけるキャップ部を小型化すると、使用者の手とキャップ部との接触面積も小さくなってしまうので、操作性が低下する。
【0006】
本発明は、使用者の操作性が向上された装着具に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点は、化粧料の収容空間を形成する容器本体の口栓部に係合する筒部と、前記筒部の内側で支持される基部、および前記基部から延出しており前記容器本体の口栓部の開口を介して前記収容空間に挿入される軸部、を有する挿入体と、前記筒部の軸方向上での往復移動により前記筒部の一側の端部からの突出長さが可変である可動部と、を備える、装着具に関する。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明の装着具によれば、使用者の操作性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による容器10の外観構成を示す説明図である。
【
図2】比較例による容器の断面構成を示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態による容器本体20の断面構成を示す説明図である。
【
図4】キャップ本体32の外観構成を示す説明図である。
【
図5】
図4に示したI-I線でキャップ本体32を切断して得られる断面構成を示す説明図である。
【
図8】装着具30が容器本体20に装着された状態における容器10の断面構成を示す説明図である。
【
図9】可動部36がキャップ本体32から所定長さ突出した状態を示す説明図である。
【
図10】可動部36がキャップ本体32に対して回転した状態を示す説明図である。
【
図11】第1の変形例による容器10-1の断面構成を示す説明図である。
【
図12】第2の変形例による容器10-2の断面構成を示す説明図である。
【
図13】第3の変形例による装着具30-3を示す部分断面図である。
【
図14】可動部46が弾性部材448により押し上げられた状態を示す説明図である。
【
図15】第4の変形例による装着具30-4の外観を示す説明図である。
【
図16】第4の変形例による装着具30-4の断面図である。
【
図21】可動部56が弾性部材548により押し上げられた状態を示す説明図である。
【
図22】第5の変形例による容器10-5を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
本発明の一実施形態は、液状口紅、リップグロス、マスカラおよびアイライナーなどの化粧料の容器に関する。まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態による容器の外観構成を説明する。
【0012】
<容器の外観構成>
図1は、本発明の一実施形態による容器10の外観構成を示す説明図である。
図1に示したように、本発明の一実施形態による容器10は、容器本体20および装着具30を備える。なお、本発明の一実施形態による容器10の断面構成については
図8を参照されたい。
【0013】
容器本体20は、化粧料の収容空間を形成する。化粧料としては、例えば、液状口紅、リップグロス、コンシーラー、美容液、マッサージクリーム、マッサージオイル、エッセンスオイル、マスカラ、アイライナーおよびアイシャドーなどの、液状、ゲル状またはペースト状の化粧料が挙げられる。液状、ゲル状およびペースト状は、いずれも流動性を有する状態である点で共通するが、液状は一定の形を有さず、ゲル状およびペースト状は半固形であり一時的には一定の形を有し得る。
【0014】
装着具30は、容器本体20に着脱可能に装着される。
図1に示したように、装着具30は、キャップ31および挿入体34を含む。キャップ31は、容器本体20に係合するキャップ本体32、およびキャップ本体32に対して移動可能な可動部36を有する。本明細書においては、容器本体20から見てキャップ31が位置する側を上側と称し、その反対側を下側と称し、容器本体20とキャップ31が並ぶ方向(後述する本体筒部322の軸方向)を上下方向と称する場合がある。
【0015】
挿入体34は、容器本体20が形成する化粧料の収容空間に挿入される部分である。
図1に示したように、挿入体34は、上下方向に沿って形成されている軸部342、および軸部342の先端側に位置している塗布部344を有する。塗布部344には化粧料が付着する。このため、使用者は、装着具30を容器本体20から取り外した後に塗布部344を目的の部位に当てることにより、化粧料を目的の部位に塗布することができる。
【0016】
(比較例)
ここで、本発明の一実施形態による容器10の詳細な説明に先立ち、
図2を参照して比較例による容器の構成を説明する。
【0017】
図2は、比較例による容器の断面構成を示す説明図である。
図2に示したように、比較例による容器は、容器本体80、キャップ92、軸部94および塗布部96を有する。容器本体80は、容器胴部82、口栓部84、肩部86および中栓88を含む。
【0018】
口栓部84は、容器胴部82の開口側に設けられ、キャップ92と着脱可能に係合する。肩部86は、容器胴部82と口栓部84を繋ぐ部分である。中栓88は、環状の部材であり、口栓部84の上端と肩部86を挟み込むことで固定されている。中栓88は、ゴム製であり、キャップ92が容器本体80から取り外される際に軸部94および塗布部96などに付着した化粧料をしごき落とす。
【0019】
このような容器においても、使用者がキャップ92を容器本体80から取り外し、キャップ92を持ちながら塗布部96を目的の部位に当てることにより、化粧料を目的の部位に塗布することができる。しかし、当該容器においては、使用者が手を触れ得るキャップ92の長さが一定である。このため、キャップ92を小型化すると、使用者の手とキャップ92が接触する面積も小さくなるので、操作性が低下してしまう。
【0020】
本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の一実施形態を創作するに至った。本発明の一実施形態によれば、小型化と操作性の向上を実現することが可能である。以下、このような本発明の一実施形態による容器10が有する容器本体20、キャップ本体32、挿入体34および可動部36などの構成を詳細に説明する。
【0021】
<容器本体20の構成>
図3は、本発明の一実施形態による容器本体20の断面構成を示す説明図である。
図3に示したように、本発明の一実施形態による容器本体20は、底部210、容器胴部220、口栓部230、肩部240およびしごき部材250を有する。
【0022】
底部210は、容器胴部220が形成する一対の開口のうちの下側の開口を塞ぐ。容器胴部220は、筒状の部材であり、化粧料の収容区間を形成する。筒状が意味する形状は、円柱形であってもよいし、角柱形であってもよいし、円錐台であってもよいし、角錐台であってもよい。
【0023】
口栓部230は、容器胴部220の上側に位置しており、筒状の中空形状を有する。口栓部230の下側の開口が容器胴部220の開口と繋がり(すなわち、化粧料の収容空間に繋がり)、他側の開口が容器本体20の外部空間に繋がる。口栓部230は、
図3に示したように外周に螺合部232を有する。当該螺合部232に装着具30が螺合することにより、装着具30が容器本体20に着脱可能に装着される。肩部240は、容器胴部220と口栓部230を繋ぐ部分である。
【0024】
しごき部材250は、環状に形成されている環状部材の一例である。環状は、ある領域を取り囲う形状である。しごき部材250は、樹脂材料で形成されてもよい。このようなしごき部材250は、
図3に示したように、張出部252、中栓筒部254およびテーパー部256を有する。張出部252は、中栓筒部254の上端から外側に張り出している部分である。当該張出部252が口栓部230の上端に載置された位置で、しごき部材250が口栓部230に支持される。中栓筒部254は、筒状の形状を有する。中栓筒部254の外周にはリブが形成され、口栓部230の内周には溝が形成されていてもよく、これらのリブと溝が嵌合することにより、しごき部材250が口栓部230から外れることを防止し得る。
【0025】
テーパー部256は、下側に向かうにつれて内径が小さくなるテーパー形状を有する。装着具30が容器本体20から引き抜かれる際に、当該テーパー部256が挿入体34の軸部342および塗布部344に付着している化粧料をしごき落とす。
【0026】
<キャップ本体32の構成>
図4は、キャップ本体32の外観構成を示す説明図である。
図5は、
図4に示したI-I線でキャップ本体32を切断して得られる断面構成を示す説明図である。
図4および
図5に示したように、キャップ本体32は、本体筒部322および一対の壁領域326を有する。
【0027】
本体筒部322は、筒部の一例であり、筒形状を有する。本体筒部322の軸方向は、上下方向に等しい。本体筒部322の内周には螺合部323が形成されている。当該螺合部323が容器本体20の口栓部230に形成されている螺合部232と螺合することにより、キャップ本体32が容器本体20に装着される。
【0028】
また、本体筒部322は、上側開口322U(第2開口)が形成されている本体天面322Cを有する。本体筒部322には、上側開口322Uに対向する下側開口322L(第1開口)も形成されている。
【0029】
一対の壁領域326は、本体筒部322に対して回転可能に可動部36を本体筒部322に連結する連結部の一例である。一対の壁領域326は、互いに対向して、本体天面322Cから上側に延出している。一対の壁領域326の各々は、他方の壁領域326側の面に、上下方向に沿う穴部327を有する。可動部36の後述する凸部363が当該穴部327に嵌合することにより、上下方向に直交する方向に沿う回転軸が形成され、当該回転軸周りに可動部36が回転可能となる。
【0030】
<挿入体34の構成>
図6は、挿入体34の断面構成を示す説明図である。
図6に示したように、挿入体34は、軸部342、塗布部344および基部346を有する。
【0031】
基部346は、本体筒部322の内側で支持される部分である。基部346は、中空の第1領域347aを有する。軸部342は、基部346から延出しており、容器本体20の口栓部230の開口およびしごき部材250を介して化粧料の収容空間に挿入される。軸部342は、中空の第2領域347bを有する。基部346の中空の第1領域347aと軸部342の中空の第2領域347bが繋がり、一体的に中空領域347が形成される。
【0032】
塗布部344は、軸部342の先端側に位置している。塗布部344の先端は丸みを帯びていてもよいし、鈍角または鋭角に形成されていてもよい。また、塗布部344は、軸部342に対して傾きを有していてもよい。また、塗布部344と軸部342は一体成型されてもよく、この場合、塗布部344と軸部342の間にくびれが形成されていてもよい。また、塗布部344はフロッキー加工されていてもよいし、塗布部344には液だまり部が形成されていてもよい。
【0033】
<可動部36の構成>
図7は、可動部36の外観構成を示す説明図である。
図7に示したように、可動部36は、延伸部362、可動部筒部365および可動部天面366を有する。延伸部362は、直線方向に沿って形成されている部分である。延伸部362の、互いに対向する2つの面の各々には、凸部363が形成されている。
【0034】
可動部筒部365は、筒形状を有し、延伸部362の外側に位置する。可動部筒部365は、一対の壁領域326を囲いキャップ本体32に嵌合する嵌合部の一例である。可動部筒部365の外径は、本体筒部322の外径と等しい。可動部天面366は、延伸部362の上端と可動部筒部365の上端を繋ぐ面である。
【0035】
<容器10の使用態様>
以上、容器10が有する各構成を説明した。続いて、
図8~
図10を参照して、容器10の使用態様を説明する。
【0036】
図8は、装着具30が容器本体20に装着された状態における容器10の断面構成を示す説明図である。
図8に示した状態は、可動部36が本体筒部322に最も深く挿入されている状態でもある。
図8に示した状態においては、装着具30の螺合部323と容器本体20の螺合部232が螺合している。また、容器本体20が形成する化粧料の収容空間に挿入体34が挿入されている。
【0037】
また、
図8に示した状態においては、可動部36の延伸部362の一部が、基部346の中空の第1領域347a内に位置している。さらには、可動部36の延伸部362の一部が、軸部342の中空の第2領域347b内に位置している。加えて、延伸部362は、本体筒部322の下側開口322Lから突出している。
【0038】
使用者は、
図8に示した状態において、装着具30の螺合部323と容器本体20の螺合部232の螺合を解除することにより、装着具30を容器本体20から取り外すことが可能である。ここで、本体筒部322の上端からの可動部36の突出長さは、上下方向における可動部36の往復移動により可変である。可動部36の上下方向における往復移動は、使用者が可動部36を動かすことにより実現される。
【0039】
図9は、可動部36がキャップ本体32から所定長さ突出した状態を示す説明図である。
図8に示した状態において使用者が可動部36を引き上げると、延伸部362の凸部363が壁領域326の穴部327に嵌合した状態で可動部36が本体筒部322に対して上昇する。そして、
図9に示したように、延伸部362の凸部363が壁領域326の穴部327の上端に当接する位置で可動部36の上昇が止まる。
【0040】
図9に示した状態において、凸部363および穴部327が回転軸を形成し、可動部36が本体筒部322に対して当該回転軸周りに回転可能となる。例えば、
図10に示したように、可動部36が本体筒部322に対して傾斜するように可動部36は回転可能である。
【0041】
<作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態によれば、本体筒部322の上端からの可動部36の突出長さは、上下方向における可動部36の往復移動により可変である。従って、上下方向でのキャップ31の長さは、可動部36が本体筒部322に最も深く挿入されている
図8に示した状態における長さL1(すなわち、キャップ31の最小長さ)と、可動部36が本体筒部322から最も突出している
図9に示した状態における長さL2(すなわち、キャップ31の最大長さ)との間で可変となる。
【0042】
かかる構成によれば、使用者は容器10を使用する際に可動部36を本体筒部322から引き出して使用することで、使用者の手とキャップ31との接触面積を大きくすることができる。例えば、指先だけでなく、手の平にもキャップ31を接触させることが可能となる。結果、装着具30の操作の安定感が向上する。また、使用者は、キャップ31が長くなることにより、キャップ31を持つ位置をより広い範囲内で自由に変更できる。また、使用者は、キャップ31が長くなることにより、装着具30の姿勢を目的の部位に対してより広い角度の範囲内で自由に変更し易い。例えば、使用者は、目的の部位に対して装着具30を寝かせた状態で使用することも、立たせた状態で使用することも可能である。このように、本発明の一実施形態による容器10によれば、シンプルな構造で、さらに、デザイン性への支障なく、キャップ31の最小長さL1に対して、優れた操作性を実現できる。すなわち、本発明の一実施形態によれば、操作性の低下を抑えつつ、または操作性を維持向上しつつ、容器10の小型化を実現することが可能である。従って、容器10は携帯性にも優れる。
【0043】
さらに、本発明の一実施形態によれば、可動部36が本体筒部322に最も深く挿入されている状態において、可動部36の延伸部362の一部が、基部346の中空の第1領域347a内に位置している。さらには、可動部36の延伸部362の一部が、軸部342の中空の第2領域347b内に位置している。加えて、延伸部362は、本体筒部322の下側開口322Lから突出している。従って、可動部36の挿入長さが十分に確保される。結果、可動部36が往復移動可能な最大長さL3(
図9参照)、およびキャップ31の最大長さL2を長くすることが可能である。
【0044】
例えば、キャップ31の最小長さL1が20.7mmである場合、可動部36が往復移動可能な最大長さL3を18.5mmとし、キャップ31の最大長さL2を39.2mmとすることが可能である。すなわち、比較例においてはキャップ92の長さを39.2mmにしないと実現できなかった操作性を、本発明の一実施形態では、キャップ31の最小長さL1を20.7mmとして実現することが可能である。また、本体筒部322の螺合部323のネジピッチが2mmである場合には、巻き数を2巻きから1巻きに変更することで螺合部323の長さを2mm減らせる。さらに、螺合部323の下端から本体筒部322の下端までの裾距離を2mm減らした場合、キャップ31の最小長さL1を16.7mmとし、キャップ31の最大長さL2を、最小長さL1の倍以上である35.2mmとすることが可能となる。なお、本体筒部322の螺合部323の巻き数を1巻きに変更すると、口栓部230の螺合部232の巻き数も1巻きになるので、口栓部230の高さを減らすこともできる。
【0045】
なお、本発明の一実施形態においては、本体筒部322の下側開口322Lから突出する位置まで、軸部342の内部に延伸部362が挿入されるための中空領域347が形成される。このために軸部342を太くすると、容器本体20内の収容空間の体積が減少し得る。しかし、本発明の一実施形態では、
図2に示した比較例で用いられる中栓88に代えて、しごき部材250が用いられる。しごき部材250は中栓88よりも小さく設計可能であるので、中栓88よりも収容空間の体積を圧迫しない分、軸部342が太くなることによる収容空間の体積の減少分を相殺することが可能である。
【0046】
また、本発明の一実施形態によれば、本体筒部322に対して回転可能に可動部36を本体筒部322に連結する一対の壁領域326がキャップ本体32に設けられる。一対の壁領域326の各々は、他方の壁領域326側の面に、上下方向に沿う穴部327が形成されている。可動部36の凸部363が当該穴部327に嵌合することにより、上下方向に直交する方向に沿う回転軸が形成され、当該回転軸周りに可動部36が回転可能となる。従って、使用者は、
図10を参照して説明したように、キャップ本体32に対する可動部36の姿勢、すなわち、キャップ31の形状を変更して容器10を使用することが可能である。
【0047】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明した。以下では、上述した実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で上述した実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで上述した実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、上述した実施形態の構成に代えて適用されてもよいし、上述した実施形態の構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0048】
(第1の変形例)
図11は、第1の変形例による容器10-1の断面構成を示す説明図である。
図11に示したように、第1の変形例による容器10-1は、容器本体20-1、キャップ本体32、挿入体34-1、可動部36-1を有する。以下では、上述した実施形態と異なる構成を主に説明する。
【0049】
容器本体20-1は、口栓部230の内側に中栓部260を有する。中栓部260は、環状の部材であり、口栓部230の上端と肩部240を挟み込むことで固定されている。中栓部260は、ゴム製であり、軸部342-1および塗布部344などに付着した化粧料をしごき落とす。
【0050】
挿入体34-1は、軸部342-1、塗布部344、押出部345および基部346-1を有する。軸部342-1には、上述した実施形態の軸部342に形成されていた中空の領域を有さない。押出部345は、軸部342-1の外周に設けられている。押出部345は、中栓部260のヘラに溜まった化粧料を容器本体20-1内の収容空間側に押し出す機能を有する。基部346-1は、中空の領域を有する。
【0051】
可動部36-1は、延伸部362-1を有する。
図11に示したように、可動部36-1が本体筒部322に最も深く挿入されている状態において、延伸部362-1の少なくとも一部は基部346-1の中空の領域内に位置している。
【0052】
このような第1の変形例においても、使用者は容器10-1を使用する際に可動部36-1を本体筒部322から引き出して使用することで、使用者の手とキャップ31-1との接触面積を大きくすることができる。すなわち、第1の変形例においても、小型化と操作性の向上を実現することが可能である。
【0053】
(第2の変形例)
図12は、第2の変形例による容器10-2の断面構成を示す説明図である。
図12に示したように、第2の変形例による容器10-2は、容器本体20-1、キャップ本体32、挿入体34-2、可動部36-2を有する。以下では、上述した実施形態および変形例と異なる構成を主に説明する。
【0054】
挿入体34-2は、軸部342-2、塗布部344、および基部346-2を有する。軸部342-2および基部346-2は、互いに繋がる中空の領域を有する。軸部342-2は、第1部分351、第2部分352および傾斜部分353を有する。第2部分352は、第1部分351と基部346-2の間に、上下方向において第1部分351と離隔して位置している。第2部分352の外径は、第1部分351の外径よりも大きい。傾斜部分353は、第1部分351と第2部分352を繋ぐ部分であり、第1部分351および第2部分352よりも上下方向に対する傾きが大きい。
【0055】
可動部36-2は、延伸部362-2を有する。
図12に示したように、可動部36-2が本体筒部322に最も深く挿入されている状態において、延伸部362-2の少なくとも一部は基部346-2の中空の領域内、および軸部342-2の中空の領域内に位置している。
【0056】
このような第2の変形例においては、第1の変形例よりも本体筒部322に対する可動部36-2の挿入長さが長いので、本体筒部322から可動部36-2が突出した際の本体筒部322からの可動部36-2の突出長さも長くなる。従って、第1の変形例よりも使用者の手とキャップ31-2との接触面積を大きくすることができる。また、第2の変形例においては、傾斜部分353の形状により傾斜部分353が中栓部260のヘラに溜まった化粧料を押し出せるので、第1の変形例で説明した押出部345無しの設計を実現できる。
【0057】
(第3の変形例)
図13は、第3の変形例による装着具30-3を示す部分断面図である。
図13に示したように、第3の変形例による装着具30-3は、側面割り構造を有し、キャップ本体42と、挿入体44と、可動部46と、を備える。以下では、上述した実施形態および変形例と異なる構成を主に説明する。
【0058】
キャップ本体42は、筒形状を有する筒部の一例である。キャップ本体42は、内周で挿入体44を支持する。挿入体44は、基部446を有する。基部446は中空の領域を有し、当該中空の領域内に弾性部材448が配置されている。弾性部材448は、可動部46と挿入体44の間に位置しており、可動部46がキャップ本体42に挿入されている状態において、可動部46を上側に付勢する。
図13に示した例では、弾性部材448はコイルスプリングである。
【0059】
可動部46は、円筒形状を有する延伸部462を含む。延伸部462の一部は、基部446の中空の領域内に位置している。可動部46の可動部465の内周には螺合部が形成されている。また、キャップ本体42は上端部に螺合部を有し(
図14に示す螺合部423)、可動部465の内周の螺合部と当該螺合部423が螺合することにより、可動部46がキャップ本体42に挿入された状態が維持される。
【0060】
図13に示したように可動部46がキャップ本体42に挿入された状態において、使用者がキャップ本体42に対して可動部46を回転させると、キャップ本体42と可動部46の螺合が解除される。すると、弾性部材448の付勢力により、可動部46が上側に押し上げられ、キャップ本体42からの可動部46の突出長さが長くなる。
【0061】
図14は、可動部46が弾性部材448により押し上げられた状態を示す説明図である。
図14に示したように、可動部46が弾性部材448により押し上げられることにより、キャップ41の上下方向での長さが長くなる。従って、上述した実施形態および変形例と同様に、装着具30-3の小型化と操作性の向上を実現することが可能である。なお、延伸部462とキャップ本体42の連結を、ヒンジギザピンと回転機構の適用により実現することで、キャップ本体42に対して可動部46を半球範囲において回転可能にすることも可能である。
【0062】
(第4の変形例)
図15は、第4の変形例による装着具30-4の外観を示す説明図である。
図16は、第4の変形例による装着具30-4の断面図である。
図15および
図16に示したように、第4の変形例による装着具30-4は、天面割り構造を有し、キャップ本体52と、挿入体54と、可動部56と、を備える。以下では、上述した実施形態および変形例と異なる構成を主に説明する。
【0063】
キャップ本体52は、筒形状を有する筒部の一例である。キャップ本体52は、内周で挿入体54を支持する。
【0064】
図17は、キャップ本体52の平面図である。
図18は、キャップ本体52の断面斜視図である。
図17に示したように、キャップ本体52の筒部天面522Cは、キャップ本体52の上端と段差を有する位置に形成されている段差面524を含む。段差面524には、平面視において非真円形状を有する天面開口522Uが形成されている。天面開口522Uは、他の領域よりも径が大きい長径開口領域523を含む。また、段差面524の裏面には、
図18に示したように、2つの突起527が形成されている。
【0065】
挿入体54は、挿入体546を有する。挿入体546は中空の領域を有し、当該中空の領域内に弾性部材548が配置されている。弾性部材548は、可動部56と挿入体54の間に位置しており、可動部56がキャップ本体52に挿入された状態において、可動部56を上側に付勢する。
【0066】
可動部56は、延伸部562、可動部天面565および取手部566を有する。延伸部562は、円筒形状を有し、挿入体546の中空の領域内に位置している。可動部天面565は、延伸部562の上側に位置し、筒部天面522Cと面一となる。取手部566は、可動部天面565の上側に位置する。取手部566は、使用者により摘ままれる部分である。
図19に示した例では取手部566は球体であるが、取手部566は、直方体、立方体、角錐、円錐、または8面体などであってもよいし、王冠形状、宝石形状、動物の顔または手などのデザイン性のある形状を有してもよい。ここで、
図19および
図20を参照し、可動部56の構成をより詳細に説明する。
【0067】
図19は、可動部56の斜視図である。
図20は、可動部56の部分拡大図である。
図19に示したように、可動部天面565の裏面からは2つの爪部568が延出している。爪部568は、
図20に示したように、上下方向に沿う領域568a、および当該領域568aの下端から外周側に張り出す領域568bを有する。さらに、領域568bの上面には突起569が形成されている。当該突起569が、段差面524の裏面に形成されている突起527と係合することにより、キャップ本体52に対する可動部56の回転がロックされる。すなわち、突起569および突起527は協働してロック機構として機能する。
【0068】
図15および
図16に示したように、可動部56がキャップ本体52に挿入された状態において、使用者が取手部566を摘まんでキャップ本体52に対して可動部56を
図17に示したD2方向に回転させることにより、爪部568の突起569が段差面524の裏面に形成されている突起527を乗り越える。そして、爪部568が
図17に示した長径開口領域523に移動する。爪部568が長径開口領域523に移動すると、弾性部材548の付勢力により、可動部56が上側に押し上げられ、キャップ本体52からの可動部56の突出長さが大きくなる。
【0069】
図21は、可動部56が弾性部材548により押し上げられた状態を示す説明図である。
図21に示したように、可動部56が弾性部材548により押し上げられることにより、キャップ51の上下方向での長さが長くなる。従って、上述した実施形態および変形例と同様に、装着具30-4の小型化と操作性の向上を実現することが可能である。なお、使用者は、可動部56をキャップ本体52に対して押下げて、爪部568が長径開口領域523に入った後に、可動部56を
図17に示したD1方向に回転させることにより、装着具30-4の状態を
図15および
図16に示した状態に戻すことが可能である。
【0070】
(第5の変形例)
図22は、第5の変形例による容器10-5を示す説明図である。
図22に示したように、容器10-5は、容器本体20、キャップ本体32-5、および可動部36-5を備える。以下では、上述した実施形態および変形例と異なる構成を主に説明する。
【0071】
可動部36-5の可動部筒部365-5は、透光性を有する。このため、
図22の左方に示した可動部36-5がキャップ本体32-5に最も深く挿入された状態においても、壁領域326-5が視認される。壁領域326-5の外周には、模様P1が形成されている。
図22に示した例では、模様P1は植物の茎と葉を示す。
【0072】
図22の右方に示したように、可動部36-5の延伸部362-5にも、模様P2が形成されている。
図22に示した例では、模様P2は植物の茎、葉および花を示す。
図22の左方に示した状態において使用者が可動部36-5を引き出すと、
図22の右方に示したように、延伸部362-5に形成された模様P2が現れる。模様P2は、模様P1と一体的に1つのデザインを形成する。
【0073】
このように、第5の変形例によれば、使用者が可動部36-5を引き出すことにより、それまで隠れていた模様P2が現れるので、使用者に驚き、ドラマチック感などを与えることが可能である。なお、
図22には壁領域326-5および延伸部362-5に模様が形成される例を説明したが、壁領域326-5および延伸部362-5には、模様に代えて、または加えて、文字が形成されてもよい。
【0074】
<補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、第3の変形例では可動部46の突出のために弾性部材448が用いられる例を説明したが、他の機構により可動部46が突出可能に構成されてもよい。他の機構としては、例えば、可動部46が回転することにより可動部46が突出する螺旋またはネジ機構、ノックスライド機構または多様な繰り出し機構が挙げられる。第4の変形例にも同様に、これらの機構を適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 容器
20 容器本体
210 底部
220 容器胴部
230 口栓部
232 螺合部
240 肩部
250 しごき部材
252 張出部
254 中栓筒部
256 テーパー部
260 中栓部
30 装着具
31 キャップ
32 キャップ本体
322 本体筒部
322C 本体天面
322L 下側開口
322U 上側開口
323 螺合部
326 壁領域
327 穴部
34 挿入体
342 軸部
344 塗布部
345 押出部
346 基部
347 中空領域
347a 第1領域
347b 第2領域
351 第1部分
352 第2部分
353 傾斜部分
36 可動部
362 延伸部
363 凸部
365 可動部筒部
366 可動部天面
41 キャップ
42 キャップ本体
423 螺合部
44 挿入体
446 基部
448 弾性部材
46 可動部
462 延伸部
51 キャップ
52 キャップ本体
522C 筒部天面
522U 天面開口
523 長径開口領域
524 段差面
527 突起
54 挿入体
548 弾性部材
56 可動部
562 延伸部
565 可動部天面
566 取手部
568 爪部
569 突起