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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179137
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】移載装置および移乗装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 1/003 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61G1/003 701
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092246
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】若林 尚之
(72)【発明者】
【氏名】村山 学
(72)【発明者】
【氏名】濱田 信吾
(72)【発明者】
【氏名】曽川 輝明
(72)【発明者】
【氏名】上島 力哉
(57)【要約】
【課題】駆動源の数の増加に起因する駆動機構の複雑化を抑制することが可能な移載装置および移乗装置を提供する。
【解決手段】この移載装置100は、ベース部材10と、第1回転部材40および第2回転部材42を含む中間部材20と、被移載者Sが載置される載置部材30と、第1回転部材40に巻き掛けられ、中間部材20に対して相対的に載置部材30を第1方向にスライド移動させるとともに、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30を第2方向にスライド移動させる第1紐状部材41と、第2回転部材42に巻き掛けられ、中間部材20に対して相対的に載置部材30を第2方向にスライド移動させるとともに、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30を第1方向にスライド移動させる第2紐状部材43と、第1紐状部材41および第2紐状部材43を駆動させる単一の駆動源50と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材上に設けられ、第1回転部材および第2回転部材を含む中間部材と、
前記中間部材上に設けられ、被移載者が載置される載置部材と、
前記第1回転部材に巻き掛けられ、前記中間部材に対して相対的に前記載置部材を第1方向にスライド移動させるとともに、前記ベース部材に対して相対的に前記中間部材および前記載置部材を前記第1方向とは反対の第2方向にスライド移動させる第1紐状部材と、
前記第2回転部材に巻き掛けられ、前記中間部材に対して相対的に前記載置部材を前記第2方向にスライド移動させるとともに、前記ベース部材に対して相対的に前記中間部材および前記載置部材を前記第1方向にスライド移動させる第2紐状部材と、
前記第1紐状部材および前記第2紐状部材を駆動させる単一の駆動源と、を備える、移載装置。
【請求項2】
前記第1紐状部材は、一端が前記第2方向における前記載置部材の端部側に接続され、他端が前記第2方向における前記ベース部材の端部側に接続され、
前記第2紐状部材は、一端が前記第1方向における前記載置部材の端部側に接続され、他端が前記第2方向における前記ベース部材の端部側に接続されている、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記駆動源は、前記第1回転部材および前記第2回転部材を回転駆動させることにより、前記第1紐状部材および前記第2紐状部材を駆動させるように構成されている、請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記駆動源により回転駆動される第3回転部材と、
前記第3回転部材の回転を前記第1回転部材および前記第2回転部材の両方に伝達する駆動力伝達部材と、をさらに備える、請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記載置部材は、芯材および芯材の外周面に回転可能に設けられたシートを含む第1載置部材と、前記第1載置部材と前記中間部材との間に配置された第2載置部材とを含み、
前記載置部材の前記中間部材に対するスライド移動の際、前記シートの前記中間部材と反対側の上面をスライド移動方向と反対方向に回転移動させるように構成され、かつ、前記シートの前記上面を前記反対方向に回転移動させる第1状態と前記第1状態を解除した第2状態とを切り替え可能に構成されたシート回転機構をさらに備える、請求項2に記載の移載装置。
【請求項6】
前記シート回転機構は、前記シートに設けられた係合部材と、前記第1状態において前記係合部材と係合して前記シートの前記上面を前記反対方向に回転移動させ、前記第2状態において前記シートの前記上面を前記反対方向に回転移動させないように構成された切替機構とを含む、請求項5に記載の移載装置。
【請求項7】
前記切替機構は、前記係合部材と係合する第1被係合部材と、前記駆動源の動力の前記第1被係合部材への伝達および伝達解除を行う第1クラッチと、前記係合部材と係合する第2被係合部材と、前記駆動源の動力の前記第2被係合部材への伝達および伝達解除を行う第2クラッチと、を含む、請求項6に記載の移載装置。
【請求項8】
前記切替機構は、前記係合部材と係合する第3被係合部材と、前記第1状態において前記係合部材に前記第3被係合部材を係合させ、前記第2状態において前記係合部材と前記第3被係合部材との係合を解除するように、前記第3被係合部材を移動させるアクチュエータと、を含む、請求項6に記載の移載装置。
【請求項9】
前記第2載置部材には、前記スライド移動方向に貫通する間隙が形成され、
前記切替機構は前記間隙に配置されている、請求項6に記載の移載装置。
【請求項10】
前記第1回転部材および第1紐状部材は、スライド移動方向と直交する方向における前記載置部材、前記中間部材および前記ベース部材の一端側に設けられ、前記第2回転部材および第2紐状部材は、前記スライド移動方向と直交する方向における前記載置部材、前記中間部材および前記ベース部材の他端側に設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の移載装置。
【請求項11】
被移載者の臀部を支持する座部と、
前記座部と回動可能に接続され、前記被移載者の背中を支持する背部と、
前記座部と回動可能に接続され、前記被移載者の脚を支持する脚部と、
前記座部、前記背部および前記脚部の各々に設けられた移載装置と、を備え、
前記座部、前記背部および前記脚部は、寝台の状態と椅子の状態とに変形可能なように構成され、
前記移載装置は、
ベース部材と、
前記ベース部材上に設けられ、第1回転部材および第2回転部材を含む中間部材と、
前記中間部材上に設けられ、被移載者が載置される載置部材と、
前記第1回転部材に巻き掛けられ、前記中間部材に対して相対的に前記載置部材を第1方向にスライド移動させるとともに、前記ベース部材に対して相対的に前記中間部材および前記載置部材を前記第1方向とは反対の第2方向にスライド移動させる第1紐状部材と、
前記第2回転部材に巻き掛けられ、前記中間部材に対して相対的に前記載置部材を前記第2方向にスライド移動させるとともに、前記ベース部材に対して相対的に前記中間部材および前記載置部材を前記第1方向にスライド移動させる第2紐状部材と、
前記第1紐状部材および前記第2紐状部材を駆動させる単一の駆動源と、を含む、移乗装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置および移乗装置に関し、特に、ベース部材と中間部材と載置部材とを備える移載装置および移乗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース部材と中間部材と載置部材とを備える移載装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、2段の移載機構(ベース部材および中間部材)と、移載台(載置部材)とを備える患者搬送装置(移載装置)が開示されている。患者搬送装置は、2段の移載機構のうちの上部の移載機構をホイールおよびチェーンにより左右側方に張り出すとともに、移載台をラックギアおよびピニオンにより左右側方に張り出すように構成されている。上部の移載機構は、移載駆動モータによりチェーンおよびホイールを駆動させることにより、装置本体の上部から左右側方に張り出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-68377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、ラックギアおよびピニオンの駆動手段について記載されていない。しかしながら、モータなどによりラックギアおよびピニオンを駆動させることにより、移載台を装置本体の上部から左右側方に張り出させるように構成されていると考えられる。そのため、上記特許文献1の患者搬送装置は、2段の移載機構のうちの上部の移載機構を下部の移載機構に対して左右側方に張り出させるためのモータと、移載台を上部の移載機構に対して左右側方に張り出させるためのモータとの2つの異なるモータを備えていると考えられる。そのため、患者搬送装置(移載装置)の左右側方への張り出し(スライド移動)に用いられるモータ(駆動源)の数の増加に起因する駆動機構の複雑化を抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、スライド移動に用いられる駆動源の数の増加に起因する駆動機構の複雑化を抑制することが可能な移載装置および移乗装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による移載装置は、ベース部材と、ベース部材上に設けられ、第1回転部材および第2回転部材を含む中間部材と、中間部材上に設けられ、被移載者が載置される載置部材と、第1回転部材に巻き掛けられ、中間部材に対して相対的に載置部材を第1方向にスライド移動させるとともに、ベース部材に対して相対的に中間部材および載置部材を第1方向とは反対の第2方向にスライド移動させる第1紐状部材と、第2回転部材に巻き掛けられ、中間部材に対して相対的に載置部材を第2方向にスライド移動させるとともに、ベース部材に対して相対的に中間部材および載置部材を第1方向にスライド移動させる第2紐状部材と、第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させる単一の駆動源と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による移載装置では、上記のように、第1回転部材に巻き掛けられた第1紐状部材と、第2回転部材に巻き掛けられた第2紐状部材と、第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させる単一の駆動源とを備える。これにより、中間部材に設けられた第1回転部材に巻き掛けられた第1紐状部材および中間部材に設けられた第2回転部材に巻き掛けられた第2紐状部材を、単一の駆動源により駆動させることにより、中間部材および載置部材の両方をベース部に対して相対的に第1方向および第2方向にスライド移動させることができる。そのため、中間部材および載置部材の第1方向および第2方向への相対的なスライド移動において用いられる駆動源の数の増加に起因する駆動機構の複雑化を抑制することができる。
【0009】
この発明の第1の局面による移載装置において、好ましくは、第1紐状部材は、一端が第2方向における載置部材の端部側に接続され、他端が第2方向におけるベース部材の端部側に接続され、第2紐状部材は、一端が第1方向における載置部材の端部側に接続され、他端が第2方向におけるベース部材の端部側に接続されている。このように構成すれば、第1紐状部材により載置部材を相対的に第1方向にスライド移動させるとともに、第2紐状部材により中間部材および載置部材を相対的に第1方向にスライド移動させることができ、かつ、第1紐状部材により中間部材および載置部材を相対的に第2方向にスライド移動させるとともに、第2紐状部材により載置部材を相対的に第2方向にスライド移動させることができる。そのため、単一の駆動源と、中間部材に設けられた第1回転部材に巻き掛けられた第1紐状部材および中間部材に設けられた第2回転部材に巻き掛けられた第2紐状部材とを含む簡易な構成により、ベース部材に対して相対的に中間部材および載置部材を第1方向および第2方向にスライド移動させることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、駆動源は、第1回転部材および第2回転部材を回転駆動させることにより、第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させるように構成されている。このように構成すれば、単一の駆動源による第1回転部材および第2回転部材の回転駆動により、第1紐状部材および第2紐状部材を確実に駆動させることができる。そのため、単一の駆動源により第1紐状部材および第2紐状部材を確実に駆動させることができる。
【0011】
駆動源は第1回転部材および第2回転部材を回転駆動させることにより第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させるように構成されている場合、好ましくは、駆動源により回転駆動される第3回転部材と、第3回転部材の回転を第1回転部材および第2回転部材の両方に伝達する駆動力伝達部材と、をさらに備える。このように構成すれば、単一の駆動源により、駆動力伝達部材を介して第1紐状部材および第2紐状部材をより確実に駆動させることができる。
【0012】
第1紐状部材は、一端が第2方向における載置部材の端部側に接続され、他端が第2方向におけるベース部材の端部側に接続され、第2紐状部材は、一端が第1方向における載置部材の端部側に接続され、他端が第2方向におけるベース部材の端部側に接続されている構成において、好ましくは、載置部材は、芯材および芯材の外周面に回転可能に設けられたシートを含む第1載置部材と、第1載置部材と中間部材との間に配置された第2載置部材とを含み、載置部材の中間部材に対するスライド移動の際、シートの中間部材と反対側の上面をスライド移動方向と反対方向に回転移動させるように構成され、かつ、シートの上面を反対方向に回転移動させる第1状態と第1状態を解除した第2状態とを切り替え可能に構成されたシート回転機構をさらに備える。このように構成すれば、被移載者と第1載置部材との位置関係に応じて、第1状態と第2状態とを切り替えることができる。そのため、被移載者が第1載置部材へ移載される際に、第1載置部材と被移載者との擦れを抑制することができたり、被移載者が第1載置部材に移載された場合に、第1状態から第2状態に切り替えることにより、被移載者の第1載置部材に対する移動を抑制したりすることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、シート回転機構は、シートに設けられた係合部材と、第1状態において係合部材と係合してシートの上面を反対方向に回転移動させ、第2状態においてシートの上面を反対方向に回転移動させないように構成された切替機構とを含む。このように構成すれば、第1状態において、係合部材によりシートの上面を反対方向に回転移動させることができるとともに、切替機構により第1状態と第2状態とを適切に切り替えることができる。
【0014】
シート回転機構は係合部材と切替機構とを含む構成において、好ましくは、切替機構は、係合部材と係合する第1被係合部材と、駆動源の動力の第1被係合部材への伝達および伝達解除を行う第1クラッチと、係合部材と係合する第2被係合部材と、駆動源の動力の第2被係合部材への伝達および伝達解除を行う第2クラッチと、を含む。このように構成すれば、第1クラッチにより、駆動源の動力を用いて第1被係合部材を駆動させることができる。また、第2クラッチにより、駆動源の動力を用いて第2被係合部材を駆動させることができる。そのため、第1被係合部材および第2被係合部材を駆動させるための駆動源を別途設けることなく、第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させるための単一の駆動源により切替機構の第1被係合部材および第2被係合部材を駆動させることができる。
【0015】
シート回転機構は係合部材と切替機構とを含む構成において、好ましくは、切替機構は、係合部材と係合する第3被係合部材と、第1状態において係合部材に第3被係合部材を係合させ、第2状態において係合部材と第3被係合部材との係合を解除するように、第3被係合部材を移動させるアクチュエータと、を含む。このように構成すれば、アクチュエータにより、第1状態と第2状態との切り替えを適切に行うことができる。
【0016】
シート回転機構は係合部材と切替機構とを含む構成において、好ましくは、第2載置部材には、スライド移動方向に貫通する間隙が形成され、切替機構は間隙に配置されている。このように構成すれば、第1載置部材のシートの上面側に切替機構を配置する場合と比べて、被移載者に切替機構が接触することに起因する被移載者の不快感を抑制することができる。
【0017】
この発明の第1の局面による移載装置において、好ましくは、第1回転部材および第1紐状部材は、スライド移動方向と直交する方向における載置部材、中間部材およびベース部材の一端側に設けられ、第2回転部材および第2紐状部材は、スライド移動方向と直交する方向における載置部材、中間部材およびベース部材の他端側に設けられている。このように構成すれば、第1紐状部材と第2紐状部材との接触を抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による移乗装置は、被移載者の臀部を支持する座部と、座部と回動可能に接続され、被移載者の背中を支持する背部と、座部と回動可能に接続され、被移載者の脚を支持する脚部と、座部、背部および脚部の各々に設けられた移載装置と、を備え、座部、背部および脚部は、寝台の状態と椅子の状態とに変形可能なように構成され、移載装置は、ベース部材と、ベース部材上に設けられ、第1回転部材および第2回転部材を含む中間部材と、中間部材上に設けられ、被移載者が載置される載置部材と、第1回転部材に巻き掛けられ、中間部材に対して相対的に載置部材を第1方向にスライド移動させるとともに、ベース部材に対して相対的に中間部材および載置部材を第1方向とは反対の第2方向にスライド移動させる第1紐状部材と、第2回転部材に巻き掛けられ、中間部材に対して相対的に載置部材を第2方向にスライド移動させるとともに、ベース部材に対して相対的に中間部材および載置部材を第1方向にスライド移動させる第2紐状部材と、第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させる単一の駆動源と、を含む。
【0019】
この発明の第2の局面による移乗装置では、上記のように、第1回転部材に巻き掛けられた第1紐状部材と、第2回転部材に巻き掛けられた第2紐状部材と、単一の駆動源が第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させる単一の駆動源とを備える。これにより、中間部材に設けられた第1回転部材に巻き掛けられた第1紐状部材および中間部材に設けられた第2回転部材に巻き掛けられた第2紐状部材を、単一の駆動源により駆動させることにより、中間部材および載置部材の両方をベース部に対して相対的に第1方向および第2方向にスライド移動させることができる。そのため、中間部材および載置部材の第1方向および第2方向への相対的なスライド移動において用いられる駆動源の数の増加に起因する駆動機構の複雑化を抑制することが可能な移乗装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、スライド移動に用いられる駆動源の数の増加を抑制することにより、部品点数の増加を抑制することが可能な移載装置および移乗装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態による移乗装置の寝台状態の概要図である。
図2】第1実施形態による移乗装置の椅子状態の概要図である。
図3】第1実施形態による移載装置の概念図である。
図4】第1実施形態による第1ローラおよび第2ローラの模式図である。
図5】第1実施形態による移載装置のスライド移動に係る構成を説明する第1模式図である。
図6】第1実施形態による移載装置のスライド移動に係る構成を説明する第2模式図である。
図7】第1実施形態による移載装置のスライド移動を説明する模式図である。
図8】第1実施形態による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作の例1を説明する模式図である。
図9】第1実施形態による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作の例2を説明する模式図である。
図10】第2実施形態による移載装置のスライド移動に係る構成を説明する第1模式図である。
図11】第2実施形態によるシート回転機構の構成を説明する模式図である。
図12】第2実施形態による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作を説明する模式図である。
図13】変形例によるシート回転機構の構成を説明する模式図である。
図14】変形例による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作の例1を説明する模式図である。
図15】変形例による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作の例2を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
(移乗装置1の構成)
図1図9を参照して、第1実施形態による移乗装置1および移載装置100の構成について説明する。なお、本明細書では、図1に示した寝台形態における移乗装置1の短手方向であってかつスライド移動方向を、X方向(左右方向)として説明する。また、図1に示した寝台形態における移乗装置1の長手方向であってかつスライド移動方向と直交する方向を、Y方向(前後方向)として説明する。また、図1に示した寝台形態における移載装置100の厚み方向をZ方向(上下方向)として説明する。
【0024】
第1実施形態による移乗装置1は、図1および図2に示すように、座部2と、背部3と、脚部4と、フレーム11と、移載装置100とを備える。
【0025】
座部2は、被移載者S(図8参照)の臀部を支持するように構成されている。背部3は、被移載者Sの背中を支持するように構成されている。背部3は、座部2と回動可能に接続されている。脚部4は、被移載者Sの脚を支持するように構成されている。脚部4は、座部2と回動可能に接続されている。移乗装置1は、座部2、背部3および脚部4が略水平な平板状の同一平面を構成している寝台の状態(図1参照)と、背部3の一端部が上方に回動するとともに、脚部4の一端部が下方に回動している椅子の状態(図2参照)とに変形可能なように構成されている。移載装置100は、座部2、背部3および脚部4の各々に1つずつ設けられている。移載装置100の各々は、フレーム11に設けられている。なお、移乗装置1の詳細は、後述する。
【0026】
(移載装置100の構成)
図3(a)~図3(c)に示すように、移載装置100は、ベース部材10と、中間部材20と、載置部材30とを含む。ベース部材10は、移乗装置1のフレーム11(図1参照)に固定されている。なお、図3は、移載装置100の概念図である。
【0027】
ベース部材10は、移載装置100におけるZ方向の最も下部に設けられている。ベース部材10には、中間部材20を相対的にスライド移動させるための第1ローラ90(図4参照)が設けられている。第1ローラ90は、中間部材20と接するように設けられている。第1ローラ90は、ガイド溝(不図示)に係合しており、Y方向に位置ずれしないように構成されている。第1ローラ90は、複数設けられている。第1ローラ90は、Y1方向およびY2方向におけるベース部材10の端部に設けられている。
【0028】
中間部材20は、ベース部材10上に設けられている。中間部材20は、第1ローラ90により、ベース部材10に対して相対的にX1方向およびX2方向にスライド移動可能なように支持されている。図3(b)に示すように、中間部材20は、移載装置100のX1方向に載置された被移載者S(図8参照)を載置部材30に載置するため、ベース部材10に対してX1方向にスライド移動可能なように構成されている。図3(c)に示すように、中間部材20は、移載装置100のX2方向に載置された被移載者Sを載置部材30に載置するため、ベース部材10に対してX2方向にスライド移動可能なように構成されている。
【0029】
中間部材20には、載置部材30を相対的にスライド移動させるための第2ローラ91(図4参照)が設けられている。第2ローラ91は、載置部材30に接するように設けられている。第2ローラ91は、ガイド溝(不図示)に係合しており、Y方向に位置ずれしないように構成されている。第2ローラ91は、複数設けられている。第2ローラ91は、Y1方向およびY2方向における中間部材20の端部に設けられている。
【0030】
載置部材30は、中間部材20上に設けられている。載置部材30は、第2ローラ91により、ベース部材10および中間部材20に対して相対的にX1方向およびX2方向にスライド移動可能なように支持されている。図3(b)に示すように、載置部材30は、移載装置100のX1方向に載置された被移載者S(図8参照)を載置するため、ベース部材10および中間部材20に対してX1方向にスライド移動可能なように構成されている。図3(c)に示すように、載置部材30は、移載装置100のX2方向に載置された被移載者Sを載置するため、ベース部材10および中間部材20に対してX2方向にスライド移動可能なように構成されている。載置部材30は、被移載者Sを移載する際に、スライド移動により被移載者Sと被移載者Sが載置されている台98(図8参照)との間に進入する部材である。
【0031】
(スライド移動に係る構成の説明)
図5図7を参照して、移載装置100のスライド移動に係る構成について説明する。
【0032】
図5に示すように、移載装置100は、第1回転部材40と、第1紐状部材41と、第2回転部材42と、第2紐状部材43と、第3回転部材44と、駆動力伝達部材45(図6参照)と、駆動源50(図6参照)とを備える。
【0033】
第1回転部材40は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第1回転部材40は、中間部材20に設けられている。第1回転部材40(図6参照)は、X1方向における中間部材20の端部側、かつ、Y1方向における中間部材20の端部側に設けられている。第1回転部材40は、X1方向における中間部材20の端部近傍、かつ、Y1方向における中間部材20の端部近傍に設けられている。
【0034】
第1紐状部材41は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。第1紐状部材41は、第1回転部材40と係合している。第1紐状部材41は、一端がX2方向における載置部材30の端部側に接続され、他端がX2方向におけるベース部材10の端部側に接続されている。第1紐状部材41の一端は、載置部材30の端部近傍に設けられた取付部41aにねじ留めされている。第1紐状部材41の他端は、ベース部材10の端部近傍に設けられた取付部41bにねじ留めされている。第1紐状部材41は、一端と他端との間において、第1回転部材40に巻き掛けられている。
【0035】
第1紐状部材41は、中間部材20に対して相対的に載置部材30をX1方向にスライド移動させるとともに、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30をX2方向にスライド移動させるように構成されている。
【0036】
第1紐状部材41(図6参照)は、Y1方向における載置部材30、中間部材20およびベース部材10の端部側に設けられている。第1紐状部材41(図6参照)は、Y1方向における載置部材30、中間部材20およびベース部材10の端部近傍に設けられている。
【0037】
第2回転部材42は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第2回転部材42は、中間部材20に設けられている。第2回転部材42は、X2方向における中間部材20の端部側、かつ、Y2方向における中間部材20の端部側に設けられている。第2回転部材42は、X2方向における中間部材20の端部近傍、かつ、Y2方向における中間部材20の端部近傍に設けられている。
【0038】
第2紐状部材43は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。第2紐状部材43は、第2回転部材42と係合している。第2紐状部材43は、一端がX1方向における載置部材30の端部側に接続され、他端がX1方向におけるベース部材10の端部側に接続されている。第2紐状部材43の一端は、載置部材30の端部近傍に設けられた取付部43aにねじ留めされている。第2紐状部材43の他端は、ベース部材10の端部近傍に設けられた取付部43bにねじ留めされている。第2紐状部材43は、一端と他端との間において、第2回転部材42に巻き掛けられている。
【0039】
第2紐状部材43は、中間部材20に対して相対的に載置部材30をX2方向にスライド移動させるとともに、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30をX1方向にスライド移動させるように構成されている。
【0040】
第2紐状部材43は、Y2方向における載置部材30、中間部材20およびベース部材10の端部側に設けられている。第2紐状部材43は、Y2方向における載置部材30、中間部材20およびベース部材10の端部近傍に設けられている。
【0041】
第3回転部材44は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第3回転部材44は、中間部材20に設けられている。第3回転部材44(図6参照)は、X方向における中間部、かつ、Y2方向の中間部材20の端部側に設けられている。第3回転部材44は、駆動源50により回転駆動される。第3回転部材44は、正方向および負方向に回転駆動される。ここで、正方向の回転とは一方向への回転を意味し、負方向の回転とは正方向とは異なる他方向への回転を意味する。
【0042】
図6(b)に示すように、駆動力伝達部材45は、第4回転部材46と、第5回転部材47と、環状部材48とを含む。第4回転部材46および第5回転部材47の各々は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。環状部材48は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。環状部材48は、第3回転部材44、第4回転部材46および第5回転部材47に巻き掛けられている。第4回転部材46は、第1回転部材40と同じ第1軸部材49aを介して第1回転部材40とともに回動するように設けられている。また、第5回転部材47は、第2回転部材42と同じ第2軸部材49bを介して第2回転部材42とともに回動するように設けられている。これにより、駆動力伝達部材45は、第3回転部材44の回転を第1回転部材40および第2回転部材42の両方に伝達するように構成されている。
【0043】
駆動源50は、たとえば、モータにより構成されている。駆動源50は、第1紐状部材41および第2紐状部材43を駆動させるための単一の駆動源50である。駆動源50は、第3回転部材44を正方向および負方向に回転するように構成されている。駆動源50による第3回転部材44の回転は、駆動力伝達部材45を介して第1回転部材40および第2回転部材42の両方に伝達される。駆動源50により、第3回転部材44、第1回転部材40および第2回転部材42は、同一方向に回転する。駆動源50により第1回転部材40および第2回転部材42が回転駆動されることにより、第1紐状部材41および第2紐状部材43が駆動されるように構成されている。
【0044】
図7(a)~図7(c)に示すように、駆動源50により第3回転部材44を正方向R1に回転させた場合、駆動力伝達部材45を介して第1回転部材40および第2回転部材42も正方向R1に回転される。この時、第1紐状部材41の第1回転部材40と載置部材30との間の部分B1が第1回転部材40の回転により第1回転部材40側に引っ張られ、中間部材20に対して相対的に載置部材30がX1方向にスライド移動される。また、この時、第2紐状部材43の第2回転部材42とベース部材10との間の部分B2が第2回転部材42の回転により第2回転部材42側に引っ張られ、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30がX1方向にスライド移動される。
【0045】
図7(d)~図7(f)に示すように、駆動源50により第3回転部材44を負方向R2に回転させた場合、駆動力伝達部材45を介して第1回転部材40および第2回転部材42も負方向R2に回転される。この時、第1紐状部材41の第1回転部材40とベース部材10との間の部分B3が第1回転部材40の回転により第1回転部材40側に引っ張られ、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30がX2方向にスライド移動される。また、この時、第2紐状部材43の第2回転部材42と載置部材30との間の部分B4が第2回転部材42の回転により第2回転部材42側に引っ張られ、中間部材20に対して相対的に載置部材30がX2方向にスライド移動される。
【0046】
なお、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30をX1方向にスライド移動させた後の、中間部材20および載置部材30のX2方向へのスライド移動は、モータにより第3回転部材44を負方向に回転させた場合と同様の動作であるため、説明は省略する。また、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30をX2方向にスライド移動させた後の、中間部材20および載置部材30のX1方向へのスライド移動は、モータにより第3回転部材44を正方向に回転させた場合と同様の動作であるため、説明は省略する。
【0047】
(載置部材30およびシート回転機構60の説明)
図3図5および図6を参照して、載置部材30およびシート回転機構60について説明する。
【0048】
図5に示すように、載置部材30は、第1載置部材31と、第2載置部材32とを含む。第1載置部材31と第2載置部材32とは、Z方向に重なるように配置されている。第2載置部材32は、第1載置部材31と中間部材20との間に配置されている。
【0049】
第1載置部材31は、第1芯材33と、第1シート34とを含む。第1芯材33は、外周面に摩擦係数が小さい部材(不図示)が設けられている。摩擦係数が小さな部材は、たとえば、ナイロンである。
【0050】
第1シート34は、第1芯材33のY軸周りの外周面に接して設けられている。第1シート34は、Y方向に開口を有する環状の部材である。第1シート34は、第1芯材33の外周面に沿って回転可能なように構成されている。第1シート34は、第1芯材33側の摩擦係数が小さい部材(不図示)と、第1芯材33と反対側の摩擦係数が大きい部材(不図示)とが縫い付けられて形成されている。摩擦係数が小さな部材は、たとえば、ナイロンである。摩擦係数が大きな部材は、たとえば、フェルトや綿織布である。なお、摩擦係数が大きい部材は、設けられていなくても良い。
【0051】
なお、第1シート34の外周面には、後述する第1係合部材35が設けられている。
【0052】
第2載置部材32は、第2芯材36と、第2シート37とを含む。第2載置部材32には、Y方向の略中央部において、X方向に貫通する間隙99が形成されている。図3に示すように、第2載置部材32は、Y1方向の第2載置部材32と、Y1方向の第2載置部材32と間隙99を介して設けられるY2方向の第2載置部材32とを含む。第2載置部材32の第2芯材36の各々は、外周面に摩擦係数が小さい部材(不図示)が設けられている。摩擦係数が小さな部材は、たとえば、ナイロンである。
【0053】
図5に示すように、第2シート37は、第2芯材36の各々のY軸周りの外周面に接して設けられている。第2シート37は、Y方向に開口を有する環状の部材である。第2シート37は、第2芯材36の外周面に沿って回転可能なように構成されている。第2シート37は、第2芯材36側の摩擦係数が小さい部材(不図示)と、第2芯材36と反対側の摩擦係数が大きい部材(不図示)とが縫い付けられて形成されている。摩擦係数が小さな部材は、たとえば、ナイロンである。摩擦係数が大きな部材は、たとえば、フェルトや綿織布である。なお、摩擦係数が大きい部材は、設けられていなくても良い。
【0054】
図6に示すように、シート回転機構60は、載置部材30の中間部材20に対するスライド移動の際、駆動源50の駆動力を第1シート34に伝達することにより、第1シート34を回転移動させるように構成されている。シート回転機構60は、第1シート34の中間部材20と反対側の上面をスライド移動方向と反対方向に回転移動させるように構成されている。
【0055】
シート回転機構60は、第1状態と第2状態とを切り替え可能に構成されている。第1状態とは、第1シート34の上面をスライド移動方向と反対方向に回転移動させる状態である。また、第2状態では、第1状態を解除した状態である。
【0056】
図6に示すように、シート回転機構60は、第1係合部材35と、切替機構61とを含む。切替機構61は、第1被係合部材62と、第1クラッチ63と、第2被係合部材64と、第2クラッチ65とを含む。説明の便宜上、第1被係合部材62および第2被係合部材64を点線にて図示している。
【0057】
第1係合部材35は、第1シート34に設けられている。第1係合部材35は、第1シート34の外周面に縫い付けられて設けられている。第1係合部材35は、Y方向に開口を有する環状の部材である。第1係合部材35は、第1載置部材31側において、第2載置部材32の間隙99に配置されている。第1係合部材35は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。第1係合部材35は、切替機構61の第1被係合部材62および第2被係合部材64と係合可能なように構成されている。第1係合部材35の中間部材20側の部分が、第1被係合部材62および第2被係合部材64と係合可能なように構成されている。
【0058】
切替機構61は、駆動源50の駆動力を第1シート34に伝達することにより、第1状態において第1係合部材35と係合して第1シート34の上面を反対方向に回転移動させるように構成されている。また、切替機構61は、第2状態において駆動源50の駆動力を第1シート34に伝達させないように構成されている。すなわち、切替機構61は、第2状態において第1シート34の上面を反対方向に回転移動させないように構成されている。切替機構61は、間隙99に配置されている。
【0059】
第1被係合部材62は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第1被係合部材62は、第1係合部材35と係合可能なように構成されている。第1被係合部材62は、中間部材20に設けられている。第1被係合部材62は、X1方向における中間部材20の端部側に設けられている。第1被係合部材62は、第1回転部材40および第4回転部材46と同じ第1軸部材49aを介して設けられている。第1被係合部材62の上端は、第2載置部材32の間隙99に配置されている。載置部材30がX1方向およびX2方向のいずれにもスライド移動していない状態、および、載置部材30がX1方向にスライド移動している状態において、第1被係合部材62は第1係合部材35と係合している。
【0060】
第1クラッチ63は、第1被係合部材62と第1軸部材49aとの接続および切り離しを行うように構成されている。第1クラッチ63は、駆動源50の動力の第1被係合部材62への伝達および伝達解除を行うように構成されている。第1クラッチ63は、電磁クラッチである。
【0061】
第2被係合部材64は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第2被係合部材64は、第1係合部材35と係合可能なように構成されている。第2被係合部材64は、中間部材20に設けられている。第2被係合部材64は、X2方向における中間部材20の端部側に設けられている。第2被係合部材64は、第2回転部材42および第5回転部材47と同じ第2軸部材49bを介して設けられている。第2被係合部材64の上端は、第2載置部材32の間隙99に配置されている。載置部材30がX1方向およびX2方向のいずれにもスライド移動していない状態、および、載置部材30がX2方向にスライド移動している状態において、第2被係合部材64は第1係合部材35と係合している。
【0062】
第2クラッチ65は、第2被係合部材64と第2軸部材49bとの接続および切り離しを行うように構成されている。第2クラッチ65は、駆動源50の動力の第2被係合部材64への伝達および伝達解除を行うように構成されている。第2クラッチ65は、電磁クラッチである。
【0063】
(第1実施形態におけるスライド移動の際のシート回転機構60の動作の説明)
図8および図9を参照して、移載装置100のスライド移動の際のシート回転機構60の動作の前提について説明する。
【0064】
図8(c)、図8(d)、図9(c)、図9(d)に示すように、被移載者Sが載置された台98から載置部材30に被移載者Sを移載する際、および、被移載者Sが載置された載置部材30から被移載者Sを載置する台98に被移載者Sを移載する際に、切替機構61(図6参照)は、第2状態から第1状態に切り替える。第1状態では、駆動源50の動力が第1被係合部材62へ伝達される。第1状態では、第1シート34の上面はスライド移動方向と反対方向に回転移動される。
【0065】
図8(c)および図8(d)に示すように、第1状態において、第1シート34の上面がスライド移動方向と反対方向に回転移動されることにより、第1シート34の上面の第1位置P1を、ベース部材10に対して固定することができる。すなわち、第1状態において、第1シート34の上面の第1位置P1とベース部材10との距離を一定とすることができる。第1位置P1は、図8(c)における第1シート34の上面のスライド移動方向の端部の位置である。これにより、載置部材30に被移載者Sを移載する際には、被移載者Sを持ち上げて載置部材30に移載させやすくなる。また、載置部材30から被移載者Sを移載する際には、載置部材30上において被移載者Sを移動させることにより、被移載者Sを載置する台98に被移載者Sを降ろしやすくなる。
【0066】
第1状態において、シート回転機構60は、第2位置P2を載置部材30の移動距離d1の2倍(d2)移動させる。第2位置P2とは、図8(c)における第1シート34の下面のスライド移動方向と反対の端部の位置である。シート回転機構60は、第1状態において載置部材30がスライド移動方向へ移動距離d1移動するのに対して、第2位置P2をスライド方向へ載置部材30の移動距離d1の2倍(d2)移動させる。これにより、第1状態において、第1シート34の上面の第1位置P1をベース部材10に対して固定することができる。
【0067】
図6に示すように、第1被係合部材62および第2被係合部材64の直径c1は、第1回転部材40および第2回転部材42の直径c2の3倍とするように構成されている。第1被係合部材62および第2被係合部材64の直径は、第1回転部材40および第2回転部材42の直径の3倍とするように構成されているため、載置部材30を中間部材20に対してX1方向に第1距離だけスライド移動させる際、第1シート34の下面の第2位置P2は、X1方向に第1距離の3倍分移動する。この時、載置部材30もX1方向に第1距離だけスライド移動するため、載置部材30を基準とすると第2位置P2は、第1距離の2倍分移動する。また、第1シート34の上面の第1位置P1は、X2方向に第1距離の2倍分移動する。ベース部材10を基準とすると、載置部材30は第1距離の2倍分X1方向に移動するため、第1位置P1はベース部材10に対して固定されたままである。
【0068】
被移載者Sが載置された台98から載置部材30に被移載者Sを移載する際、および、被移載者Sが載置された載置部材30から被移載者Sを載置する台98に被移載者Sを移載する際、を除いて、切替機構61は、第1状態から第2状態に切り替える。たとえば、被移載者Sが載置部材30に載置された後は、切替機構61は、第1状態から第2状態に切り替える。これにより、第1シート34の上面におけるスライド移動方向と反対方向の回転移動に起因する、移載者の載置部材30からの脱落を抑制することができる。
【0069】
図8および図9を参照して、移載装置100のスライド移動の際のシート回転機構60の動作について説明する。まず、被移載者Sを移載装置100に移載する動作について説明する。なお、第2状態から第1状態への切り替えは、移載装置100または移乗装置1に設けられたセンサなどによる被移載者の検知に基づいて行われても良いし、操作入力部5(図2参照)への操作に基づいて行われても良い。
【0070】
図8(a)に示すように、移載装置100は、初期状態にある。初期状態とは、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX1方向およびX2方向のいずれの方向にもスライド移動していない状態である。被移載者Sは、載置部材30に載置されていない。被移載者Sは、ベッドなどの台98に載置されている。切替機構61(図6参照)により、第2状態となっている。第1クラッチ63(図6参照)は、第1被係合部材62と第1軸部材49aとを切り離している。第2クラッチ65(図6参照)は、第2被係合部材64と第2軸部材49bとを切り離している。
【0071】
図8(b)に示すように、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX1方向にスライド移動する。
【0072】
図8(c)に示すように、切替機構61(図6参照)により、第2状態から第1状態に切り替えられる。第1クラッチ63(図6参照)は、第1被係合部材62と第1軸部材49aとを接続する。これにより、第1回転部材40(図6参照)の回転に伴い、第1シート34の上面はX2方向に回転移動される。
【0073】
図8(d)に示すように、載置部材30は被移載者Sと台98との間に潜り込むようにスライド移動する。これにより、被移載者Sは載置部材30上に移載される。
【0074】
図8(e)に示すように、切替機構61(図6参照)により、第1状態から第2状態に切り替えられる。第1クラッチ63(図6参照)は、第1被係合部材62と第1軸部材49aとを切り離す。そして、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44が負方向に回転駆動されることにより、被移載者Sを載置した載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX2方向にスライド移動する。
【0075】
図8(f)に示すように、移載装置100は、再び初期状態となる。
【0076】
次に、被移載者Sを移載装置100から移載する動作について説明する。
【0077】
図9(a)に示すように、移載装置100は、初期状態にある。被移載者Sは、載置部材30に載置されている。切替機構61(図6参照)により、第2状態となっている。第1クラッチ63(図6参照)は、第1被係合部材62と第1軸部材49aとを切り離している。第2クラッチ65(図6参照)は、第2被係合部材64と第2軸部材49bとを切り離している。
【0078】
図9(b)に示すように、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX1方向にスライド移動する。
【0079】
図9(c)に示すように、切替機構61(図6参照)により、第2状態から第1状態に切り替えられる。第1クラッチ63(図6参照)は、第1被係合部材62と第1軸部材49aとを接続する。駆動源50(図6参照)により第3回転部材44が負方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX2方向にスライド移動する。これにより、第1回転部材40(図6参照)の回転に伴い、第1シート34の上面はX1方向に回転移動される。
【0080】
図9(d)に示すように、被移載者Sは台98の上に降ろされる。
【0081】
図9(e)に示すように、切替機構61(図6参照)により、第1状態から第2状態に切り替えられる。第1クラッチ63(図6参照)は、第1被係合部材62と第1軸部材49aとを切り離す。そして、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44が負方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX2方向にスライド移動する。
【0082】
図9(f)に示すように、移載装置100は、再び初期状態となる。
【0083】
以上、移載装置100をX1方向にスライド移動させ、被移載者Sを載置部材30に載置した後、または載置部材30から降下させた後に、移載装置100をX2方向にスライド移動させる第1例を説明した。移載装置100をX2方向にスライド移動させ、被移載者Sを載置部材30に載置した後、または載置部材30から降下させた後に、移載装置100をX1方向にスライド移動させる第2例についても、第2クラッチ65により第2被係合部材64と第2軸部材49bとが接続および切り離しが行われること以外は第1例と同様であるため、説明は省略する。
【0084】
(移乗装置1)
図1に示すように、移乗装置1は、操作入力部5(図2参照)と、形態変形機構6と、昇降機構7と、装置移動部材8と、制御部(不図示)とを、をさらに備える。
【0085】
操作入力部5は、たとえば、移載装置100および移乗装置1を操作するリモコンである。なお、操作入力部5は、移載装置100および移乗装置1の操作のためのアプリケーションソフトがインストールされたスマートフォンやタブレットなどの端末などであっても良い。
【0086】
形態変形機構6は、背部3、座部2および脚部4を含む人搭載部9のフレーム11をリンク機構により接続するように構成されている。形態変形機構6は、移乗装置1の形態を、寝台の形態と椅子の形態とに変形させる。形態変形機構6は、直動モータにより駆動される。ブレーキ付きの直動モータであっても良いし、ウォームギヤを用いた直動モータであっても良い。
【0087】
昇降機構7は、人搭載部9の高さを調整するように構成されている。昇降機構7は、ベースフレーム12およびフレーム11をリンク機構により接続するように構成されている。昇降機構7は、直動モータにより駆動される。昇降機構7は、直動モータにより駆動される。ブレーキ付きの直動モータであっても良いし、ウォームギヤを用いた直動モータであっても良い。
【0088】
また、昇降機構7は、人搭載部9の高さを、400mm~750mm程度の範囲で調整できるように構成されている。これにより、任意の高さのベッドからの被移載者Sの移乗のみならず、ベッドより高さの低いトイレの便器への被移載者Sの移乗も可能になる。
【0089】
装置移動部材8は、たとえば、複数の車輪である。これにより、移乗装置1を移動させることが可能である。
【0090】
制御部は、スライド動作、第1シート34の回転動作、形態変形動作、昇降動作などを行うように、各機構に設けたモータの制御を行うように構成されている。制御部は、操作入力部5により入力された内容に応じた動作の制御を行うように構成されている。
【0091】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
第1実施形態では、上記のように、第1回転部材40に巻き掛けられた第1紐状部材41と、第2回転部材42に巻き掛けられた第2紐状部材43と、単一の駆動源50が第1紐状部材41および第2紐状部材43を駆動させる単一の駆動源50とを備える。中間部材20に設けられた第1回転部材40に巻き掛けられた第1紐状部材41および中間部材20に設けられた第2回転部材42に巻き掛けられた第2紐状部材43を、単一の駆動源50により駆動させることにより、中間部材20および載置部材30の両方をベース部に対して相対的にX1方向およびX2方向にスライド移動させることができる。そのため、中間部材20および載置部材30のX1方向およびX2方向への相対的なスライド移動において用いられる駆動源50の数の増加に起因する駆動機構の複雑化を抑制することができる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、第1紐状部材41は、一端が第2方向における載置部材30の端部側に接続され、他端が第2方向におけるベース部材10の端部側に接続され、第2紐状部材43は、一端が第1方向における載置部材30の端部側に接続され、他端が第2方向におけるベース部材10の端部側に接続されている。これにより、第1紐状部材41により載置部材30を相対的にX1方向にスライド移動させるとともに、第2紐状部材43により中間部材20および載置部材30を相対的にX1方向にスライド移動させることができ、かつ、第1紐状部材41により中間部材20および載置部材30を相対的にX2方向にスライド移動させるとともに、第2紐状部材43により載置部材30を相対的にX2方向にスライド移動させることができる。そのため、単一の駆動源50と、中間部材20に設けられた第1回転部材40に巻き掛けられた第1紐状部材41および中間部材20に設けられた第2回転部材42に巻き掛けられた第2紐状部材43とを含む簡易な構成により、ベース部材10に対して相対的に中間部材20および載置部材30をX1方向およびX2方向にスライド移動させることができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、駆動源50は、第1回転部材40および第2回転部材42を回転駆動させることにより、第1紐状部材41および第2紐状部材43を駆動させるように構成されている。これにより、単一の駆動源50による第1回転部材40および第2回転部材42の回転駆動により、第1紐状部材41および第2紐状部材43を確実に駆動させることができる。そのため、単一の駆動源50により第1紐状部材41および第2紐状部材43を確実に駆動させることができる。
【0095】
また、第1実施形態では、上記のように、駆動源50により回転駆動される第3回転部材44と、第3回転部材44の回転を第1回転部材40および第2回転部材42の両方に伝達する駆動力伝達部材45と、をさらに備える。これにより、単一の駆動源50により、駆動力伝達部材45を介して第1紐状部材41および第2紐状部材43をより確実に駆動させることができる。
【0096】
また、第1実施形態では、上記のように、載置部材30は、芯材および芯材の外周面に回転可能に設けられたシートを含む第1載置部材31と、第1載置部材31と中間部材20との間に配置された第2載置部材32とを含み、載置部材30の中間部材20に対するスライド移動の際、シートの中間部材20と反対側の上面をスライド移動方向と反対方向に回転移動させるように構成され、かつ、シートの上面を反対方向に回転移動させる第1状態と第1状態を解除した第2状態とを切り替え可能に構成されたシート回転機構60をさらに備える。これにより、被移載者Sと第1載置部材31との位置関係に応じて、第1状態と第2状態とを切り替えることができる。そのため、被移載者Sが第1載置部材31へ移載される際に、第1載置部材31と被移載者Sとの擦れを抑制することができたり、被移載者Sが第1載置部材31に移載された場合に、第1状態から第2状態に切り替えることにより、被移載者Sの第1載置部材31に対する移動を抑制したりすることができる。
【0097】
また、第1実施形態では、上記のように、シート回転機構60は、シートに設けられた第1係合部材35と、第1状態において第1係合部材35と係合してシートの上面を反対方向に回転移動させ、第2状態においてシートの上面を反対方向に回転移動させないように構成された切替機構61とを含む。これにより、第1状態において、第1係合部材35によりシートの上面を反対方向に回転移動させることができるとともに、切替機構61により第1状態と第2状態とを適切に切り替えることができる。
【0098】
また、第1実施形態では、上記のように、切替機構61は、第1係合部材35と係合する第1被係合部材62と、駆動源50の動力の第1被係合部材62への伝達および伝達解除を行う第1クラッチ63と、第1係合部材35と係合する第2被係合部材64と、駆動源50の動力の第2被係合部材64への伝達および伝達解除を行う第2クラッチ65と、を含む。これにより、第1クラッチ63により、駆動源50の動力を用いて第1被係合部材62を駆動させることができる。また、第2クラッチ65により、駆動源50の動力を用いて第2被係合部材64を駆動させることができる。そのため、第1被係合部材62および第2被係合部材64を駆動させるための駆動源50を別途設けることなく、第1紐状部材41および第2紐状部材43を駆動させるための単一の駆動源50により切替機構61の第1被係合部材62および第2被係合部材64を駆動させることができる。
【0099】
また、第1実施形態では、上記のように、第2載置部材32には、スライド移動方向に貫通する間隙99が形成され、切替機構61は間隙99に配置されている。これにより、第1載置部材31のシートの上面側に切替機構61を配置する場合と比べて、被移載者Sに切替機構61が接触することに起因する被移載者Sの不快感を抑制することができる。
【0100】
また、第1実施形態では、上記のように、第1回転部材40および第1紐状部材41は、スライド移動方向と直交する方向における載置部材30、中間部材20およびベース部材10の一端側に設けられ、第2回転部材42および第2紐状部材43は、スライド移動方向と直交する方向における載置部材30、中間部材20および前記ベース部材10の他端側に設けられている。このように構成すれば、第1紐状部材41と第2紐状部材43との接触を抑制することができる。
【0101】
また、第1実施形態では、上記のように、移乗装置1は、第1回転部材40に巻き掛けられた第1紐状部材41と、第2回転部材42に巻き掛けられた第2紐状部材43と、単一の駆動源50が第1紐状部材41および第2紐状部材43を駆動させる単一の駆動源50とを備える。これにより、中間部材20に設けられた第1回転部材40に巻き掛けられた第1紐状部材41および中間部材20に設けられた第2回転部材42に巻き掛けられた第2紐状部材43を、単一の駆動源50により駆動させることにより、中間部材20および載置部材30の両方をベース部に対して相対的に第1方向および第2方向にスライド移動させることができる。そのため、中間部材20および載置部材30のX1方向およびX2方向への相対的なスライド移動において用いられる駆動源50の数の増加に起因する駆動機構の複雑化を抑制することが可能な移乗装置1を提供することができる。
【0102】
[第2実施形態]
次に、図10図12を参照して、本発明の第2実施形態による移載装置100の構成について説明する。切替機構61は、第1被係合部材62と、第1クラッチ63と、第2被係合部材64と、第2クラッチ65と、を含む第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、切替機構61は、第3被係合部材70と、第3被係合部材70を移動させる第1アクチュエータ71と、を含む。
【0103】
図11に示すように、切替機構61は、第3被係合部材70と、第1アクチュエータ71と、移動機構72と、を含む。切替機構61は、間隙99(図1参照)に配置されている。
【0104】
第3被係合部材70は、たとえば、歯型が設けられた部材である。第3被係合部材70は、第1係合部材35と係合可能なように構成されている。第3被係合部材70は、第1係合部材35の中間部材20側の部分と係合可能なように構成されている。
【0105】
第1アクチュエータ71は、第3被係合部材70をZ方向に移動させるように構成されている。第1アクチュエータ71は、第1状態において第1係合部材35に第3被係合部材70を係合させ、第2状態において第1係合部材35と第3被係合部材70との係合を解除するように、第3被係合部材70を移動させる。第1アクチュエータ71は、たとえば、ソレノイドや直動モータにより構成されている。
【0106】
移動機構72は、第3被係合部材70をX方向に移動可能なように構成されている。移動機構72は、たとえば、ボールねじ73と、ボールねじ73を駆動させるボールねじ用モータ74(図10参照)と、ガイド部材75とを含む。ボールねじ73のねじ軸に設けられたナット部材76には、第3被係合部材70が接続されている。ガイド部材75は、第1アクチュエータ71および第3被係合部材70を支持するとともに、第3被係合部材70のX方向の移動をガイドする。
【0107】
図10に示すように、ボールねじ用モータ74は、第3被係合部材70をX方向に移動させるように構成されている。ボールねじ用モータ74は、X1方向の端部側またはX2方向の端部側のいずれか一方に配置されている。ボールねじ用モータ74は、第1状態において駆動源50(図6参照)に同期して、ボールねじ73のナット部材76を移動させるように構成されている。ボールねじ用モータ74は、第2状態において駆動源50と同期させないように構成されている。ボールねじ用モータ74は、載置部材30がスライド移動する距離の2倍の距離分、ボールねじ73のナット部材76を移動させるように構成されている。なお、移載装置100が初期状態にあるとき、ボールねじ用モータ74を駆動させることにより、スライド移動方向に応じて、切替機構61をX1方向の端部側に寄せておいたり、切替機構61をX2方向の端部側に寄せておいたりすることができる。
【0108】
(第2実施形態におけるスライド移動の際のシート回転機構60の動作の説明)
図12を参照して、移載装置100のスライド移動の際のシート回転機構60の動作について説明する。図12では、説明の便宜上、被移載者Sが載置された台の図示は省略している。
【0109】
図12(a)に示すように、移載装置100は、初期状態にある。被移載者Sは、載置部材30に載置されていない。被移載者Sは、ベッドなどの台(不図示)に載置されている。切替機構61により、第2状態となっている。第1アクチュエータ71(図11参照)は、第1係合部材35と第3被係合部材70との係合を解除している。第3被係合部材70およびボールねじ73のナット部材76は、X2方向の端部側に配置されている。
【0110】
図12(b)に示すように、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX1方向にスライド移動する。切替機構61により、第2状態から第1状態に切り替えられる。第1アクチュエータ71(図11参照)は、第3被係合部材70と第1係合部材35とを係合させる。ボールねじ用モータ74の駆動により、第3被係合部材70はX1方向に移動されるとともに、第1シート34の中間部材20と反対側の上面はX2方向に回転移動される。
【0111】
図11(c)に示すように、載置部材30は被移載者Sと台との間に潜り込むようにスライド移動する。これにより、被移載者Sは、載置部材30上に移載される。そして、切替機構61により、第1状態から第2状態に切り替えられる。第1アクチュエータ71は、第3被係合部材70と第1係合部材35との係合を解除する。
【0112】
なお、被移載者Sを載置した載置部材30および中間部材20がベース部材10に対してX2方向にスライド移動し、移載装置100は再び初期状態となることの説明は省略する。また、移載装置100をX2方向にスライド移動させ、被移載者Sを載置部材30に載置した後、または載置部材30から降下させた後に、移載装置100をX1方向にスライド移動させる例についても、説明は省略する。
【0113】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0114】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、切替機構61は、第1係合部材35と係合する第3被係合部材70と、第1状態において第1係合部材35に第3被係合部材70を係合させ、第2状態において第1係合部材35と第3被係合部材70との係合を解除するように、第3被係合部材70を移動させる第1アクチュエータ71と、を含む。これにより、第1アクチュエータ71により、第1状態と第2状態との切り替えを適切に行うことができる。
【0115】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0116】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0117】
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、シート回転機構60において、第1~第3被係合部材と、第1係合部材35の中間部材側の部分とが係合するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、シート回転機構60において、第4被係合部材81と、第1シート34の中間部材20と反対側に位置する第2係合部材80とが係合するように構成されていても良い。
【0118】
図13に示すように、シート回転機構60は、第1シート34の中間部材20と反対側の部分に位置する第2係合部材80と、第1状態と第2状態とを切り替える切替機構61とを含む。切替機構61は、第2係合部材80と係合する第4被係合部材81と、第4被係合部材81を移動させる第2アクチュエータ82と、第2アクチュエータ82を移動させるガイド機構83とを含む。図13では、説明の便宜上、第2載置部材の図示は省略している。
【0119】
第2係合部材80は、たとえば、Z方向に貫通する貫通孔86が形成された部材である。第2係合部材80は、2つ設けられている。第2係合部材80は、第1シート34のY1方向側の端部に設けられている。第2係合部材80は、移載装置100の初期状態において、第1シート34の上面に配置されている。第2係合部材80は、移載装置100の初期状態において、X方向における第1シート34の両端部に1つずつ配置されている。第2係合部材80は、第2係合部材80aおよび第2係合部材80bを含む。なお、第2係合部材80は、第1シート34のY2方向側の端部に設けられていても良い。
【0120】
第4被係合部材81は、たとえば、柱状の部材により構成されている。第4被係合部材81は、第2係合部材80の貫通孔86に挿入可能なように構成されている。第2アクチュエータ82は、第4被係合部材81をZ方向に移動させるように構成されている。第2アクチュエータ82は、第1状態において第2係合部材80に第4被係合部材81を挿入させ、第2状態において第2係合部材80から第4被係合部材81を引き出すように、第4被係合部材81を移動させる。第2アクチュエータ82は、たとえば、ソレノイドにより構成されている。第2アクチュエータ82および第4被係合部材81は、2つ設けられている。第2アクチュエータ82および第4被係合部材81は、X1方向におけるガイド機構83の端部およびX2方向におけるガイド機構83の端部に1つずつ設けられている。第4被係合部材81は、第4被係合部材81aおよび第4被係合部材81bを含む。
【0121】
ガイド機構83は、ベース部材10に設けられている。ガイド機構83は、Y1方向におけるベース部材10の端部に設けられている。ガイド機構83は、ガイドロッド84と、伸縮固定ロッド85とを含む。なお、ガイド機構83は、Y2方向におけるベース部材10の端部に設けられていても良い。
【0122】
ガイドロッド84は、X1方向およびX2方向に伸縮可能なように構成されている。ガイドロッド84は、径の異なる複数の円形のパイプ84aと、ストッパ(不図示)とを含む。ストッパは、パイプ84aの両端部に設けられている。ストッパは、抜け止めのために設けられている。ガイドロッド84は、X方向の任意の範囲内で自在に伸縮可能に構成されている。
【0123】
伸縮固定ロッド85は、X1方向およびX2方向に伸縮可能であるとともに、X方向において任意の長さに固定可能なように構成されている。伸縮固定ロッド85は、たとえば、径の異なる複数の楕円形のパイプ85aと、ストッパ(不図示)とを含む。ストッパは、パイプ85aの両端部に設けられている。ストッパは、抜け止めのために設けられている。伸縮固定ロッド85の外側のパイプはモータ(不図示)で捻じられることにより、複数のパイプ85aの各々の外周面および内周面が接触する。複数のパイプ85aの各々の接触により、複数のパイプ85aは固定される。これにより、伸縮固定ロッド85は、X方向の任意の範囲内で自在に伸縮可能かつ固定可能に構成されている。
【0124】
図14および図15を参照して、移載装置100のスライド移動の際のシート回転機構60の動作について説明する。まず、被移載者Sを移載装置100に移載する動作について説明する。図14および図15では、説明の便宜上、第2載置部材、ガイドロッド84および被移載者Sが載置された台の図示は省略している。
【0125】
図14(a)に示すように、移載装置100は、初期状態にある。被移載者Sは、載置部材30に載置されていない。被移載者Sは、ベッドなどの台(不図示)に載置されている。第4被係合部材81aは、第2係合部材80aに係合されている。第4被係合部材81bは、第2係合部材80bに係合されていない。伸縮固定ロッド85は、X方向の長さを固定されていない。
【0126】
図14(b)に示すように、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44(図6参照)が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX1方向にスライド移動する。載置部材30が被移載者に接触する直前において、伸縮固定ロッド85は、X方向の長さを固定される。
【0127】
図14(c)に示すように、載置部材30は被移載者Sと台との間に潜り込むようにスライド移動する。被移載者Sは、載置部材30の上に移載される。この時、第2係合部材80aはX2方向に移動する。被移載者Sの載置部材30の上への移載後に、伸縮固定ロッド85は、X方向の長さ固定を解除される。
【0128】
図14(d)に示すように、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44(図6参照)が負方向に回転駆動されることにより、被移載者Sを載置した載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX2方向にスライド移動する。
【0129】
図14(e)に示すように、伸縮固定ロッド85のX方向の長さが初期状態の長さになったとき、第4被係合部材81aと第2係合部材80aとの係合を解除する。そして、移載装置100は、再び初期状態になる。
【0130】
次に、被移載者Sを移載装置100から移載する動作について説明する。
【0131】
図15(a)に示すように、移載装置100は、初期状態にある。被移載者Sは、載置部材30に載置されている。第4被係合部材81aは、第2係合部材80bに係合されていない。第4被係合部材81bは、第2係合部材80aに係合されていない。伸縮固定ロッド85は、X方向の長さを固定されていない。そして、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44(図6参照)が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX1方向にスライド移動する。この時、伸縮固定ロッド85は、X1方向に伸びず、かつ、第1シート34は回転しない。
【0132】
図15(b)に示すように、第4被係合部材81aと第2係合部材80aとがZ方向において重なる位置になったとき、第2アクチュエータ82は、第4被係合部材81aと第2係合部材80aとを係合させる。これにより、第1シート34は回転せずに、伸縮固定ロッド85はX1方向に伸びる。
【0133】
図15(c)に示すように、被移載者Sを降ろす位置まで載置部材30をスライド移動させた後、伸縮固定ロッド85は、X方向の長さを固定される。そして、駆動源50(図6参照)により第3回転部材44(図6参照)が負方向に回転駆動されることにより、載置部材30および中間部材20が、ベース部材10に対してX2方向にスライド移動する。これにより、第1シート34は回転するとともにベース部材10に対する第2係合部材80aの位置は変化しないため、被移載者Sは台に降ろされる。
【0134】
図15(d)に示すように、被移載者Sの台上への移載後に、伸縮固定ロッド85は、X方向の長さ固定を解除される。載置部材30および中間部材20は、ベース部材10に対してX2方向にスライド移動を続ける。
【0135】
図15(e)に示すように、移載装置100は、再び初期状態となる。第2アクチュエータ82により、第4被係合部材81aと第2係合部材80aとの係合は解除される。
【0136】
上記変形例のその他の構成は、上記第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0137】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、第1紐状部材は、一端が第2方向における載置部材の端部側に接続され、他端が第2方向における前記ベース部材の端部側に接続され、第2紐状部材は、一端が第1方向における載置部材の端部側に接続され、他端が第2方向におけるベース部材の端部側に接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。単一の駆動源により第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させることができれば、第1紐状部材および第2紐状部材の配置は特に限定されない。
【0138】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、駆動源は第1回転部材および第2回転部材を回転駆動させることにより第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。単一の駆動源により第1紐状部材および第2紐状部材を駆動させることができれば、第1紐状部材および第2紐状部材の駆動方法は特に限定されない。
【0139】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、駆動源により回転駆動される第3回転部材と駆動力伝達部材とを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。駆動源による第1回転部材および第2回転部材の回転駆動の構成は、特に限定されない。
【0140】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、載置部材は第1載置部材と第2載置部材とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、載置部材は、第1載置部材を含み、第2載置部材を含まなくても良い。
【0141】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、シート回転機構を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、シート回転機構は設けられていなくても良い。
【0142】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、第2載置部材にスライド移動方向に貫通する間隙が形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、間隙は設けられていなくても良い。
【0143】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、第1回転部材および第1紐状部材は、スライド移動方向と直交する方向における載置部材、中間部材およびベース部材の一端側に設けられ、第2回転部材および第2紐状部材は、スライド移動方向と直交する方向における載置部材、中間部材およびベース部材の他端側に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1回転部材、第1紐状部材、第2回転部材および第2紐状部材は、載置部材、中間部材およびベース部材のY方向中央部に設けられていても良い。
【0144】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、第1紐状部材、第2紐状部材および係合部材は、歯付きベルトであり、第1回転部材、第2回転部材、第3回転部材、第4回転部材、第5回転部材、第1被係合部材および第2被係合部材は、歯型が設けられたプーリである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1紐状部材、第2紐状部材および係合部材は、歯型が設けられていないベルトや、チェーンであっても良い。また、たとえば、第1回転部材、第2回転部材、第3回転部材、第4回転部材、第5回転部材、第1被係合部材および第2被係合部材は、歯型が設けられていないプーリや、スプロケットであっても良い。
【符号の説明】
【0145】
1 移乗装置
2 座部
3 背部
4 脚部
10 ベース部材
20 中間部材
30 載置部材
31 第1載置部材
32 第2載置部材
34 第1シート
35 第1係合部材
40 第1回転部材
41 第1紐状部材
42 第2回転部材
43 第2紐状部材
44 第3回転部材
45 駆動力伝達部材
50 駆動源
60 シート回転機構
61 切替機構
62 第1被係合部材
63 第1クラッチ
64 第2被係合部材
65 第2クラッチ
70 第3被係合部材
71 第1アクチュエータ
100 移載装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15