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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179146
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】遠隔操作棒支持具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20231212BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H02G1/02
B66F9/06 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092258
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000163419
【氏名又は名称】株式会社きんでん
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大田 新治
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 智春
【テーマコード(参考)】
3F333
5G352
【Fターム(参考)】
3F333AA09
3F333AB04
3F333AC07
3F333AC14
3F333DA03
5G352AE05
5G352AJ01
5G352AJ09
(57)【要約】
【課題】バケットの手摺の挟持面に沿った方向に生じる外力に対して固定状態が安定する遠隔操作棒支持具を提供する。
【解決手段】遠隔操作棒支持具1は、遠隔操作棒を固定する操作棒固定部2と、この操作棒固定部2を着脱可能に取り付けることができる本体10とを備えている。操作棒固定部2は、遠隔操作棒を把持するトグルクランプ4と支柱6とがボールジョイント28によって連結されている。ボールジョイント28は、ボールジョイントロック部30によって、任意の屈曲角度でロックすることができる。本体10は、操作棒固定部2を着脱する基台12と、バケットの手摺に取り付けるための手摺取付部20を有している。手摺取付部20の下方側には、バケットの手摺からの離脱を防止するための離脱防止部24が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所作業車のバケットの手摺に取り付けられ、遠隔操作棒を位置調節可能に支持する遠隔操作棒支持具であって、
上方に遠隔操作棒を固定する把持部、下方に前記把持部を支える支柱を有した操作棒固定部と、
前記操作棒固定部の前記支柱側を着脱可能に支持する基台と、
前記基台を上方に配置すると共に、前記手摺の上端に掛けるように取り付ける手摺取付部を有する本体と、
前記手摺の上端外側に突出した縁部の下方空間に向けて出没可能となるように前記本体に設けられ、前記手摺取付部内に収容された前記縁部の離脱を防止する離脱防止部と
を備えたことを特徴とする遠隔操作棒支持具。
【請求項2】
前記操作棒固定部は、
前記支柱の側面の一部から径方向にフランジ状に延設された少なくとも1枚のフランジ部を有し、
前記基台は、
前記フランジ部を載せて固定する固定座と、
前記固定座の上方に前記フランジ部の厚さと同程度の隙間を隔てて設けられ、前記フランジ部がフランジ面の面外方向へ通過可能な開口が形成されたフランジカバーと
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作棒支持具。
【請求項3】
前記基台には、前記フランジ部に形成された凹部に嵌合可能なインデックスプランジャーが前記開口から離隔した位置に備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠隔操作棒支持具。
【請求項4】
前記把持部は、
先端にボールヘッドを有するボールスタッドと、
前記ボールスタッドの延びる方向にレバー操作するように構成され、前記遠隔操作棒を把持する力を与えるトグルクランプとを備え、
前記支柱は、
前記ボールヘッドを収容し、前記ボールスタッドが嵌入可能な切り欠きが一部に形成されたソケットを備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の遠隔操作棒支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業車を用いた間接作業による架空線工事において遠隔操作棒を支持するための遠隔操作棒支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線の架設や修復などの架空線工事では、通電状態の活線作業が行われることが多くなっている。このため、間接作業を安全に行うための工具が考えられている。
【0003】
例えば、電線を切断する場合、金属製の掴線器を有する総重量数kgの張線装置が用いられる。このような場合、作業者は、遠隔操作棒に取り付けられた先端工具を用いて高重量の張線装置を遠隔操作により設置し、電線の取り回しを行わなければならない。そして、高所作業車を用いたバケット上の作業であれば、二人以上の作業が一般的であり、作業を分担したとしても、それぞれの負担は大きい。
【0004】
各作業員の負担を軽減し、安全に作業を行うために、遠隔操作棒を支持する工具や装置が考えられている。図7は従来の活線作業用工具の固定装置100である。固定装置100はバケットBの手摺に取り付けることができ、遠隔操作棒Sを固定することができる。クランプ101はボールジョイント102を介して設けられているので、固定された遠隔操作棒Sの向きを自由に変えることができる。尚、このような装置は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-324635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図7のような固定装置100では、バケットBの手摺の挟持面(鉛直面)において面外の方向に作用する外力に対しては安定するが、面内方向へ外力が加わった場合、手摺の面内で回転して固定位置がずれてしまう恐れがある。
【0007】
そこで、本発明では、バケットの手摺の挟持面に沿った方向に生じる外力に対して固定状態が安定する遠隔操作棒支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遠隔操作棒支持具は、高所作業車のバケットの手摺に取り付けられ、遠隔操作棒を位置調節可能に支持する遠隔操作棒支持具であって、上方に遠隔操作棒を固定する把持部、下方に前記把持部を支える支柱を有した操作棒固定部と、前記操作棒固定部の前記支柱側を着脱可能に支持する基台と、前記基台を上方に配置すると共に、前記手摺の上端に掛けるように取り付ける手摺取付部を有する本体と、前記手摺の上端外側に突出した縁部の下方空間に向けて出没可能となるように前記本体に設けられ、前記手摺取付部内に収容された前記縁部の離脱を防止する離脱防止部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の遠隔操作棒支持具は、上記構成に加えて、前記操作棒固定部は、前記支柱の側面の一部から径方向にフランジ状に延設された少なくとも1枚のフランジ部を有し、前記基台は、前記フランジ部を載せて固定する固定座と、前記固定座の上方に前記フラ
ンジ部の厚さと同程度の隙間を隔てて設けられ、前記フランジ部がフランジ面の面外方向へ通過可能な開口が形成されたフランジカバーとを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の遠隔操作棒支持具は、上記構成に加えて、前記基台には、前記フランジ部に形成された凹部に嵌合可能なインデックスプランジャーが前記開口から離隔した位置に備えられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の遠隔操作棒支持具は、上記構成に加えて、前記把持部は、先端にボールヘッドを有するボールスタッドと、前記ボールスタッドの延びる方向にレバー操作するように構成され、前記遠隔操作棒を把持する力を与えるトグルクランプとを備え、前記支柱は、前記ボールヘッドを収容し、前記ボールスタッドが嵌入可能な切り欠きが一部に形成されたソケットを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の遠隔操作棒支持具によれば、基台と操作棒固定部とは着脱可能に構成されているので、分離状態でコンパクトにまとめて搬送することが可能となる。また、バケットの手摺の上端外側に突出した縁部の下方空間に向けて離脱防止部が出没可能に構成されているので、バケットに装着した後、離脱防止部を突出させて手摺取付部の取付状態を安定させることが可能となる。これにより、架空線工事の作業中にバケットの手摺の鉛直面内方向の力が加わった場合であっても、離脱防止部が縁部に引っ掛かるため、脱落を防止できる。
【0013】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、基台では、固定座とフランジカバーとの間に、フランジ部の厚さと同程度の隙間が形成されている。フランジカバーには、フランジ部を面外方向から通過させることのできる開口が形成されている。これにより、開口から基台内にフランジ部を収容した後、支柱を回転させるだけで、固定座とフランジカバーとの間の隙間にフランジ部を潜り込ませるように収容し、基台から操作棒固定部が抜け落ちることを防止できる。
【0014】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、フランジカバーの開口から基台内に収容されたフランジ部は、支柱の回転によりフランジカバーと固定座との隙間に潜り込ませて開口から離隔させた状態で、インデックスプランジャーを凹部に嵌合させるという簡単な操作で固定できる。これにより操作棒固定部を組み付ける時間が短縮される。
【0015】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、把持部を支えるボールスタッドが嵌入により傾倒可能な切り欠きがソケット側に形成されているので、この切り欠き内にボールスタッドを収容した状態でクランプ操作を行うと、作業が安定する。また、トグルクランプのレバーはボールスタッドの延びる方向に操作できるように構成されているので、挟持動作及び解除動作の何れの場合にも、ボールスタッドが首振り状態になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の遠隔操作棒支持具の全体斜視図である。
図2図1の遠隔操作棒支持具の操作棒固定部の斜視図である。
図3図1の遠隔操作棒支持具の本体の斜視図である。
図4図3の本体の基台を分解して示した斜視図である。
図5図2の操作棒固定部のフランジ部を示し、(a)は斜視図、(b)はフランジ部先端の拡大図である。
図6図1の遠隔操作棒支持具の離脱防止部の動作を示し、(a)は解除状態、(b)はロック状態を示す図である。
図7】従来の活線作業用工具の固定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る遠隔操作棒支持具について図を用いて説明する。尚、同一構造については同一符号を付して説明することとする。
【0018】
図1は、本発明の遠隔操作棒支持具1の全体斜視図である。図1中には、取付対象であるバケットの内側を後方とし、外側を前方として矢印で表わしている。
【0019】
遠隔操作棒支持具1を上方から順に説明する。
【0020】
上端には、遠隔操作棒を把持する把持部としてのトグルクランプ4が配置されている。図1では、遠隔操作棒を把持する際に挟持による圧力が加わる方向を補助線L1によって表わしている。図1に見て取れるように、トグルクランプ4は、遠隔操作棒を下方に押し付けるようにして把持できるように構成されている。そして、トグルクランプ4を操作するレバー4aは、補助線L1の方向に沿って力を加えることができるように設けられていることに加えて、挟圧状態において先端も補助線L1に沿う方向に向くように設定されている。
【0021】
トグルクランプ4の下方には、ボールスタッド28a及びソケット28bからなるボールジョイント28が設けられている。このボールスタッド28aはトグルクランプ4から下方へ延設されている。そして、ボールスタッド28aの先端のボールヘッド28a1を回動自在に収容するソケット28bは、ボールジョイントロック部30を介して支柱6の上方に設けられている。ボールジョイントロック部30のロックレバー30aを操作することによって、任意の屈曲角度でボールジョイント28を固定できる。また、ソケット28bには、バケットの内側(後方)にボールスタッド28aを収容できる切り欠き28b1が形成されている。これにより、ボールスタッド28aより上方の構成をバケットの内側の作業者側へ倒すことができる。
【0022】
支柱6の下端には、フランジ部8(後述の図2を参照)が、支柱6の径方向へ張り出すように設けられている。上述のトグルクランプ4からフランジ部8までの構成が、本実施の形態に係る遠隔操作棒支持具1のうちの操作棒固定部2に含まれる。操作棒固定部2は、次に説明する本体10に対して着脱可能である。ここで、本体10から分離した操作棒固定部2を示す。
【0023】
図2は、操作棒固定部2の斜視図である。上述したように、支柱6の下端から径方向において対極する向きに張り出すようにフランジ部8が形成されている。このフランジ部8は平板状に形成されており、最も面積の大きい主面が支柱6に対して直交するように配置されている。以降、この主面に沿った方向をフランジ部8に対する面内方向とし、主面に交差する方向を面外方向と呼ぶことにする。
【0024】
図1に戻って、本体10の上方には、操作棒固定部2の支柱6側を着脱可能に支持する基台12が配置されている。そして、この基台12の下方には、設置対象であるバケットの手摺の上端に掛けるように取り付けることができる手摺取付部20を有している。この手摺取付部20は、逆U字型に切り欠かれた内側に手摺の上端側を収容できるように形成されている。
【0025】
手摺取付部20の下方には、バケットの手摺に掛け置かれた状態でバケットの外側から押圧固定するためのバケット固定クランプ22が設けられている。このバケット固定クランプ22により、本体10をバケットと一体となるように安定させることができる。
【0026】
さらに、手摺取付部20の下方には、離脱防止部24も設けられている。この離脱防止部24は、バケット固定クランプ22と同様に、バケットの外側に設けられている。本体10をバケット固定クランプ22によって固定した後、離脱防止部24によってロックすると、万が一、バケット固定クランプ22に緩みや滑りが生じた場合であっても、バケットから本体10が離脱することを防ぐことができる。この離脱防止部24の機構については、後に図6を用いて説明を行う。
【0027】
次に図3を参照し、操作棒固定部2(図1参照)が外された状態の本体10を示す。図3は、遠隔操作棒支持具1の本体10の斜視図であり、説明の便宜のため、上述のバケット固定クランプ22及び離脱防止部24も取り除かれた状態を示している。同形の逆U字型の板状部材を並設した手摺取付部20の上端に、基台12が水平に載置するように取り付けられている。基台12の上面側には、上述の操作棒固定部2のフランジ部8の輪郭と同形の開口16aが形成されている。開口16aは、フランジ部8が主面の面外方向に通過可能となるようにフランジ部8の外形よりも僅かに大きく形成されている。これにより、操作棒固定部2のフランジ部8を上方から合わせるようにして開口16aに嵌め込むことができる。嵌め込まれたフランジ部8は、支柱6を軸として回転させることにより、基台12の内側へ滑り込ませることができる。また、基台12の側方には、フランジ部8を固定するためのインデックスプランジャー26が設けられている。続いて、基台12の詳細構造について図4を用いて説明する。
【0028】
図4は、本体10の基台12を分解して表した斜視図である。基台12は、最も下側に、フランジ部8が載置されて固定される固定座14を有している。一方、基台12の上側には、上述の開口16aが形成され、固定座14に載置されたフランジ部8を覆うフランジカバー16を有している。そして、固定座14とフランジカバー16との間には、フランジ部8の厚さと同程度の隙間を隔てるように空間を形成する同形の2つのスペーサー18が、180度の回転対称の配置で設けられている。
【0029】
図4中には、スペーサー18に対してフランジ部8の配置される2つの方向が補助線L2、L3によって表されている。フランジカバー16の開口16aを通ったままの姿勢のフランジ部8の長手方向の向きは、補助線L2に沿った方向となる。この配置から補助線L3の配置まで支柱6の周りに約90度回転させると、図4中に点線で表したように、フランジ部8の先端が2つのスペーサー18の隙間に現れる。このスペーサー18同士の隙間が形成される固定座14上の位置には、フランジ部8を固定するためのインデックスプランジャー26(図3参照)を配置するプランジャー取付部14aが形成されている。図4に示したように、プランジャー取付部14aは、固定座14の対極の位置に形成されているが、図3のように、少なくとも一方にインデックスプランジャー26を設けていれば、フランジ部8の回転位置を締結構造よりも少ない動作で安定して固定することが可能である。
【0030】
なお、本実施の形態に係るスペーサー18には、フランジ部8の先端をスペーサー18同士の間に形成される隙間に合わせる位置で回転を規制するための回転規制部18aが回転域を遮るように突出して設けられている。このように構成されているので、フランジ部8を回転規制部18aに突き当たるまで回転させるだけで、固定位置への位置合わせを容易に行える。次に、フランジ部8の形状について図5を用いて説明する。
【0031】
図5は、図2の操作棒固定部2のフランジ部8を示しており、図5(a)は斜視図、図5(b)はフランジ部先端の拡大図である。
【0032】
フランジ部8は上述のように、支柱6の径方向において対極側に延びるように形成された板状部材である。このフランジ部8の延びる対極方向は、図5中に補助線L4で表され
ている。対極にある2つの先端には、水平嵌合部8aと垂直嵌合部8bとが形成されている。図5(b)の拡大図では、水平嵌合部8aに対して嵌合する方向を上述の補助線L4で表し、垂直嵌合部8bに対して嵌合する方向を補助線L5で表わしている。図3に示したインデックスプランジャー26は、補助線L4の方向に出没可能であり、フランジ部8の水平嵌合部8aに対して嵌合するように構成されている。
【0033】
なお、この水平方向への嵌合構造に置き換えて、補助線L5の方向に出没可能に構成されたプランジャーを用いることも可能である。また、補助線L4の方向には水平嵌合するインデックスプランジャー26を用いると共に、補助線L5の方向にはネジによる締結固定機構を用いても良い。
【0034】
図6は、図1の遠隔操作棒支持具1の離脱防止部24の動作を表わしており、図6(a)は解除状態、図6(b)はロック状態を示す図である。
【0035】
ここでは、固定対象であるバケットB一部である手摺B2は、斜線を施した断面により表わされている。バケットBは、手摺B2から外側へ突出するように形成された縁部B1を有している。この縁部B1よりも下方においてバケット固定クランプ22を用いて、バケットBの外側から押圧固定している状態が示されている。
【0036】
図6(a)に示すように、バケットBのうち、縁部B1及び手摺B2を含む部分を収容する手摺取付部20の内側空間の幅は、少なくとも縁部B1を収容可能な幅に形成されている必要がある。よって、バケット固定クランプ22によって外側から押圧固定した際に、縁部B1の下方に空間が形成される。バケットBの垂直面に沿わない面外方向の力に対しては、バケット固定クランプ22にずれが生じ難いので取付状態が安定する。
【0037】
ところが、作業内容によっては、バケットBの垂直面に沿った面内方向への力が生じる場合がある。このような力がバケット固定クランプ22とバケットBとの間の摩擦力を超える場合、バケットBの垂直面に沿ってずれを生じる恐れがある。本実施の形態に係る構成では、このようなずれに対して安定させるために、離脱防止部24が設けられている。
【0038】
離脱防止部24は、図3に示した本体10の手摺取付部20の下方側に、回動可能に設けられている。図6(a)の解除状態においては、離脱防止部24は、下方に垂下した状態にあり、縁部B1の下方空間が空いている。離脱防止部24には、垂下状態を安定させるために、位置選択ピン24aが手摺取付部20に形成された解除側凹部20aに嵌入されている(図3参照)。
【0039】
図6(b)に示すロック状態では、図6(a)の状態から約90度の旋回により離脱防止部24が持ち上げられている。図6(b)に見て取れるように、離脱防止部24の揺動端がバケットBの縁部B1の下方空間内に収容されており、手摺取付部20に形成されたロック側凹部20b(図3参照)に位置選択ピン24aが嵌入することにより固定されている。このように、ロック状態においては、離脱防止部24が縁部B1の下方の空間を埋めるように配置されるので、縁部B1が手摺取付部20から離脱することを阻止できる。よって、バケットBの垂直面に沿った向きに外力が作用した場合であっても、縁部B1が離脱防止部24に引っ掛かることにより手摺取付部20がバケットBから離脱することを防止できる。
【0040】
本実施の形態に係る構成においては、手摺取付部20に対して独立した2つの離脱防止部24が設けられている。これにより、バケットBの手摺の垂直面に沿って左右何れの方向に外力が加わったとしても、安定して遠隔操作棒支持具1をバケットに対する固定状態が維持される。
【0041】
また、上述のようにフランジ部8は、バケットBの手摺B2に沿う方向に張り出した回転位置で基台12に対して固定されるので(図3、4参照)、手摺B2に沿った左右方向への負荷に対して安定させることができる。
【0042】
以上に述べた構成は本発明の一例であり、以下のような変形例も含まれる。
【0043】
(1)上記の実施の形態では、フランジ部8は支柱6を中心として対極する2方向へ向けて2枚の板状部材が形成されている構成を例として示した。しかし、1枚又は3枚以上の板状部材が支柱6の径方向外側へ延設されるような構成でも構わない。このように構成されていると、支柱6を中心として足場が周囲に広がるので、固定座14に加わる力を広く分散させることができる。よって、本体10に対する操作棒固定部2の安定度が向上する。
【0044】
(2)上記の実施の形態では、支柱6の径方向外側へ延設されるフランジ部8の板状部材は、回転対称な形状で構成されている例を示した。しかし、これら延設される複数の板状部分は、異なる形状で構成されていても構わない。このように構成されていると、着脱の際に、本体10に対する操作棒固定部2の向きの確認が容易になる。
【0045】
(3)上記の実施の形態では、遠隔操作棒を把持するトグルクランプ4のレバー4aは、固定状態において挟持圧力が加わる下方向きに延びるように構成されている例を示した。しかし、挟持圧力が加わる方向に直交する向きへ突出しない構成であれば、逆に、固定状態において上向きに延びるように配置される構成であっても構わない。このように構成されていると、遠隔操作棒が固定状態にある作業時に、レバー4aが作業者や他の工具類に干渉することを防止できる。
【0046】
(4)上記の実施の形態では、フランジカバー16の形成された開口16aの形状が、フランジ部8の外形と略同形に形成されている構成を例として示した。しかし、フランジ部8を自身の面外方向へ移動させて開口16aを通過させることができ、且つ、フランジカバー16と固定座14との間にフランジ部8を収容できる領域を有していれば、開口16aの形状はフランジ部8と同形でなくても構わない。
【0047】
(5)上記の実施の形態では、離脱防止部24は、本体10の手摺取付部20に対して旋回によりロック状態と解除状態とを切り替える構成を例として示した。しかし、バケットBの縁部B1の下方空間に向けて出没可能に構成され、且つ、縁部B1の離脱を阻止できる構成であれば、直線運動によって出没する構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0048】
1 遠隔操作棒支持具
2 操作棒固定部
4 トグルクランプ(把持部)
4a レバー
6 支柱
8 フランジ部
8a 水平嵌合部
8b 垂直嵌合部
10 本体
12 基台
14 固定座
14a プランジャー取付部
16 フランジカバー
16a 開口
18 スペーサー
18a 回転規制部
20 手摺取付部
20a 解除側凹部
20b ロック側凹部
22 バケット固定クランプ
24 離脱防止部
24a 位置選択ピン
26 インデックスプランジャー
28 ボールジョイント
28a ボールスタッド
28a1 ボールヘッド
28b ソケット
28b1 切り欠き
30 ボールジョイントロック部
30a ロックレバー
B バケット
B1 縁部
B2 手摺
L1、L2、L3、L4、L5 補助線
S 遠隔操作棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7