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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179157
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092279
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安西 利樹
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 止水体の持ち上げる作業を容易にする。
【解決手段】 止水装置であって、水の流れに対し交差する板状の止水体1を、複数積み上げるようにした止水装置において、各止水体1の一方の面に、横幅方向に間隔の置いた複数の取手21,22が設けられ、前記取手の各々は、上下方向へ延設された握り部20aと、握り部20aを握った手を上方側から受ける手受け部20bとを有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流れに対し交差する板状の止水体を、複数積み上げるようにした止水装置において、
各止水体の一方の面に、横幅方向に間隔の置いた複数の取手が設けられ、
前記取手の各々は、上下方向へ延設された握り部と、前記握り部を握った手を上方側から受ける手受部とを有することを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記複数の取手には、一方の手で握られる第一の取手と、他方の手で握られる第二の取手とを含み、前記第二の取手が、前記第一の取手よりも上方に位置することを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項3】
前記第二の取手の下方側に、前記他方の手で握ることが可能な第三の取手が設けられていることを特徴とする請求項2記載の止水装置。
【請求項4】
前記第一の取手と前記第二の取手の間隔が、人の肩幅に対応して設定されていることを特徴とする請求項2記載の止水装置。
【請求項5】
前記第一の取手が前記止水体の幅方向の両端寄りにそれぞれ設けられ、
これら両端寄りの二つの前記第一の取手にそれぞれ対応するように、前記止水体の幅方向の中央寄りに二つの前記第二の取手が設けられていることを特徴とする請求項2記載の止水装置。
【請求項6】
左右に間隔を置いた支柱に対し、前記流れの方向の上流側から止着するように前記止水体を設け、この止水体の前記上流側の面に、前記取手を設けたことを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増水時に建物や地下道の開口部を略板状の止水体により閉鎖して水の侵入を阻む止水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が建物や地下道の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態に備えて、予め建物や地下道などの開口部の両側に支柱を立設しておくとともに、この支柱の近傍に板状の止水板を格納しておき、増水が発生したときには、止水板を両側の前記支柱にボルト状の止水板押圧具で固定し、水の侵入を阻むようにしたものが従来知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-68964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、増水した水の深さが比較的大きくなることが予想される場合に、前記止水板を複数積み上げて対応することが考えられるが、人が持ち易くかつ積み上げ作業が容易になるようにするためには工夫を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
水の流れに対し交差する板状の止水体を、複数積み上げるようにした止水装置において、各止水体の一方の面に、横幅方向に間隔の置いた複数の取手が設けられ、前記取手の各々は、上下方向へ延設された握り部と、前記握り部を握った手を上方側から受ける手受部とを有することを特徴とする止水装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、止水体の持ち上げる作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る止水装置の一例を示す斜視図である。
図2】同止水装置の要部拡大平面図である。
図3】同止水装置の分解斜視図である。
図4】同止水装置における止水体の一つを示す斜視図である。
図5】同止水体を正面から視た図である。
図6】同止水体を側方から視た図である。
図7】止水体に第一の補助水密材を装着している様子を示す要部拡大斜視図である。
図8】止水体に第二の補助水密材を装着している様子を示す要部拡大斜視図である。
図9】上下の止水体を重ね合わせている様子を示す要部拡大斜視図である。
図10】支柱の要部拡大斜視図である。
図11】(a)は上側係合凹部を有する上側係合部材を側方から視た図、(b)は下側係合凹部を有する下側係合部材を側方から視た図である。
図12】(a)は上側係合凹部を有する上側係合部材を側方から視た図、(b)は下側係合凹部を有する下側係合部材を側方から視た図であり、止水体が水圧を受けて下側係合突部及び上側係合突部が下流側へ移動した状態を示す。
図13】止水体を支柱に装着している様子を(a)~(c)に順次に示す側面図である。
図14】止水体を支柱に装着している様子を(d)~(f)に順次に示す側面図である。
図15】止水体の他例を示す縦断面図であり、(a)は上側の止水体を下側の止水体に係合している様子を示し、(b)上下の止水体が嵌り合った状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、上流側とは、想定される水の流れの方向における上流側を意味し、下流側とは、想定される水の流れの方向における下流側であって前記上流側に対する逆方向側を意味する。
【0009】
止水装置Aは、水の流れ方向に交差するように立設され積み上げられた複数(図示例によれば3つ)の略板状の止水体1と、これら止水体を両側で支える左右の支柱2と、これら左右の支柱を直立状に支持する基台3とを備える(図1及び図3参照)。
【0010】
各止水体1は、横長矩形状の本体板10と、この本体板の下側で左右側方へそれぞれ突出する下側係合突部11,11と、同本体板10の下側係合突部11よりも上側で左右側方へそれぞれ突出する上側係合突部12,12と、左右の支柱2,2に係脱するラッチ装置13,13と、本体板10の一方(図示例によれば上流側)の面に設けられた第一~第三の取手21,22,23とを一体的に具備する。
さらに、各止水体1は、本体板10の横幅方向の両側でそれぞれ上下方向に連続して支柱2に圧接される縦方向水密材31と、本体板10の下端部で横幅方向へ連続して下方側不動部位に圧接される横方向水密材32と、本体板10及び縦方向水密材31の上端部に固定された第一の補助水密材33と、本体板10及び縦方向水密材31の下端部に固定された第二の補助水密材34とを一体的に具備する。
【0011】
本体板10は、金属等の硬質材料により横長矩形状に形成され、その長手方向の一端側と他端側が、それぞれ、支柱2の受面2a(図2参照)に重なり合う。
この本体板10は、図示例によれば、引き抜き成形された中空横長矩形状の部材と、この部材の両側面を覆う部材等からなる。なお、この本体板10の他例としては、単一の横長矩形状部材からなる態様や、図示例以外の複数の部材を適宜に組み合わせた態様等とすることが可能である。
【0012】
本体板10には、第一~第三の取手21,22,23等の部材間の接合部分から内部に浸入する水を外部に排出するための水抜き孔(図示せず)が設けられる。
このため、止水体1の周囲に水が溜まると、止水体1は、自重により沈むことになる。
【0013】
各下側係合突部11と各上側係合突部12は、それぞれ、下側係合凹部41内と上側係合凹部51内で転動可能なローラ状に構成されている。
【0014】
詳細に説明すれば、この下側係合突部11は、本体板10の側面に固定された軸部11aと、この軸部11aの突端側に回転自在に支持された転動部材11bとを具備し、本体板10側面の下端寄り部分から側方へ突出している。
【0015】
また、上側係合突部12は、本体板10の側面に固定された軸部12aと、この軸部12aの突端側に回転自在に支持された転動部材12bとを具備し、本体板10側面の上端寄り部分から側方へ突出している。
【0016】
転動部材11bと転動部材12bの各々は、軸部11aに対しベアリングを介して回転自在に装着された円筒状のローラである。
これら転動部材11b,12bは、下側係合突部11と上側係合突部12をそれぞれ下側係合凹部41と上側係合凹部51に嵌め合わせる作業において、接触部分の摩擦抵抗を軽減して、その設置作業性を向上する。
【0017】
ラッチ装置13は、本体板10の上流側面の上端寄りにおいて、左右端部側にそれぞれ設けられる。
各ラッチ装置13は、横向きの係脱棒を、手動操作により側方へ出没させるように構成される。前記係脱棒は、支柱2の係脱孔2bに、抜き差しされる。
【0018】
第一~第三の取手21,22,23は、複数の止水体1を水の流れの上流側から両側の支柱2,2に装着する際に握られるように、各本体板10の上流側の面に、横幅方向及び上下方向に間隔を置いて適宜に配設される。
これら第一~第三の取手21,22,23の各々は、上下方向へ延設された棒状の握り部20aと、この握り部を握った手を上方側から受けるとともに本体板10に止着された手受け部20bと、握り部20aの下端側で本体板10に止着された下側止着部20cとを有し、図6に示す一例によれば、側面視コ字状に形成される(図6参照)。
【0019】
第一の取手21は、一方の手(右手又は左手)で握られるように、本体板10の上流側面において、左端寄りと右端寄りにそれぞれ設けられる(図4及び図5参照)。
【0020】
第二の取手22は、他方の手(左手又は右手)によって握られるように、本体板10の上流側面の中央寄りにおいて、横方向に並んでいる。
各第二の取手22は、第一の取手21よりも上方側に位置する。
【0021】
また、第三の取手23は、各第二の取手22の下方側に、前記他方の手で握ることが可能なように設けられる。図示例によれば、この第三の取手23は、各第二の取手22の真下において、第一の取手21と同じ高さ位置にある。
【0022】
そして、左端側(又は右端側)の第一の取手21と、中央寄り左側(又は右側)の第二の取手22及び第三の取手23との間隔X1と、左端側(又は右端側)の第一の取手21と、中央寄り右側(又は右側)の第二の取手22及び第三の取手23との間隔X2は、平均的な人の肩幅に応じて適宜に設定されている。
すなわち、作業者等が、間隔X1の両側に位置する第一の取手21と第二の取手22又は第三の取手23、あるいは間隔X2の両側に位置する第一の取手21と第二の取手22又は第三の取手23に、左手と右手を掛けられるようにしている。
【0023】
縦方向水密材31は、本体板10の下流側の面における左端側と右端側に、それぞれ上下方向へわたって設けられる。
各縦方向水密材31は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から本体板10の上下方向の全長にわたって連続する長尺状に形成される。
この縦方向水密材31は、本体板10の下流側面に対し、ブラケットを介した嵌合等により固定され、本体板10から下流側へ突出している。この縦方向水密材31の突端側は、下流方向へ凸部分を向けた横断面凸状に形成される(図7参照)。
止水体1が両側の支柱2,2に装着される際、縦方向水密材31は、受面2aに圧接されて弾性変形する。
【0024】
横方向水密材32は、本体板10の下端部に、水平方向へわたって設けられる。
この横方向水密材32は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から本体板10の横方向にわたって連続する長尺状に形成される。この横方向水密材32の長手方向の両端部は、後述する第二の補助水密材34に接して、水密性を向上している(図8参照)。
この横方向水密材32は、本体板10の下端面に対し、ブラケットを介した嵌合等により固定され、本体板10から下方へ突出している。この横方向水密材32の下端側は、下方へ凸部分を向けた横断面凸状に形成される。
止水体1が下方の不動面(床面、又は下方に隣接する止水体1の上端面)に載置される際に、横方向水密材32は、この不動面に圧接されて弾性変形する。
【0025】
なお、縦方向水密材31と横方向水密材32は、同一の長尺状弾性部材から適宜長さに切断されたものを用いればよい。
【0026】
第一及び第二の補助水密材33,34は、上側の止水体1の縦方向水密材31の下端部と、隣接する下側の止水体1の縦方向水密材31との上端部との間に挟み込まれるように配設されている。
【0027】
詳細に説明すれば、第一の補助水密材33は、本体板10の幅方向の一端側において、本体板10の上端面と、縦方向水密材31との上端面とを跨って覆っており、これら上端面に、接着材(例えば、両面テープや接着剤等)を介して接着されている。
この第一の補助水密材33は、縦方向水密材31とよりも柔らかい、あるいはゴム硬度の小さい、弾性材料から形成されている。
本実施の形態の一例によれば、この第一の補助水密材33は、スポンジ状(発泡ゴム状)のEPDMによって、矩形平板状に形成さている。
【0028】
また、第一の補助水密材33は、その上下方向の収縮可能量Δt(図9参照)が、縦方向水密材31の上下長さの寸法公差幅(寸法公差の最大値と最小値の差)よりも大きく設定されている。
ここで、前記収縮可能量とは、第一の補助水密材33が上下方向に圧縮されて弾性的に収縮する場合に、その収縮寸法(=収縮前の寸法-収縮後の寸法)の最大値を意味する。
また、前記寸法公差幅は、縦方向水密材31の上下長さ寸法の公差である。
本実施形態の一例では、前記収縮可能量を約1.7mm、前記寸法公差幅を1.0mmに設定している。すなわち、縦方向水密材31の上下長さの寸法の公差は、±0.5mmである。
この設定によれば、第一の補助水密材33により前記寸法公差幅を吸収して、上下の縦方向水密材31,31間を密接させ、止水性能を向上することができる。
【0029】
なお、上記実施形態によれば、第一の補助水密材33の収縮可能量Δtを縦方向水密材31の上下長さの寸法公差よりも大きくしたが、他例としては、第二の補助水密材34の収縮可能量を前記寸法公差よりも大きくしたり、第一の補助水密材33及び第二の補助水密材34の合計の収縮可能量を前記寸法公差よりも大きくしたりすることも可能である。
【0030】
また、第二の補助水密材34は、本体板10の幅方向の一端側において、本体板10の下端面と、縦方向水密材31との下端面とを跨っており、これらの下端面に、接着材(例えば、両面テープや接着剤等)を介して接着されている。
この第二の補助水密材34は、縦方向水密材31と同等の硬さ、又は縦方向水密材31よりも柔らかい、弾性材料から形成されている。
本実施の形態の一例によれば、この第二の補助水密材34は、縦方向水密材31と略同等の硬度を有するゴム材料によって、直方体状(あるいはブロック状)に形成さている。
【0031】
各止水体1において、各第二の補助水密材34は、一方の側面を、横方向水密材32の端部に接する(図8参照)。
【0032】
また、止水体1が上下に積み重ねられる際、上側の止水体1における第二の補助水密材34の下端面は、下側の止水体1における第一の補助水密材33の上端面に圧接される(図9参照)。
【0033】
各支柱2は、各止水体1の下側係合突部11を水の流れ方向の上流側から挿入して内部に係合する下側係合凹部41と、同止水体1の上側係合突部12を前記上流側から挿入して内部に係合する上側係合凹部51とを具備している。
【0034】
詳細に説明すれば、各支柱2は、硬質金属材料の引き抜き成形等により、外側に受面2aを有するとともに、内側に上下方向へわたる中空部を有する長尺な柱状に形成される。
前記中空部には、下側係合凹部41を有する下側係合部材40と、上側係合凹部51を有する上側係合部材50とが、上下方向に間隔を置いて複数組(図示例によれば三つ)設けられる。これら複数組の下側係合部材40及び上側係合部材50は、複数の止水体1に対応している。
【0035】
受面2aは、下側係合凹部41及び上側係合凹部51よりも水の流れ方向の下流側に位置し、本体板10との間に縦方向水密材31を介在するようにして、止水体1を下流側から受ける。
この受面2aは、両支柱2,2の内側において、各支柱2の内面を横断面段状に凹ませて形成され(図2参照)、平坦状の面を上下方向へ連続している。
【0036】
上記構成によれば、止水体1の下側係合突部11と上側係合突部12をそれぞれ下側係合凹部41と上側係合凹部51に係合した際に、止水体1の側方側では、縦方向水密材31が本体板10と受面2aの間に挟まれて圧縮され、止水体1の下方側では、横方向水密材32が本体板10と下方側の不動面との間に挟まれて圧縮される。
【0037】
下側係合部材40と上側係合部材50は、図10及び図11に示すように、それぞれ、略直方体状のブロック状に構成され、上流側を開口した下側係合凹部41と上側係合凹部51を有する。
【0038】
下側係合凹部41内の下側部分(底部分)には、図11(b)に示すように、上流側端部寄りで上方へ突出する突部41aと、この突部41aよりも下流側で下側係合突部11の転動部材11bを下流側斜め下方へ導く第一傾斜底面部41bと、この第一傾斜底面部41bよりもさらに下流側で転動部材11bの外周面に部分的に嵌り合う凹曲面部41cと、この凹曲面部41cよりもさらに下流側で略水平に連続する平坦状の底面部41dと、底面部41dの下流側端部で立ち上がった面状の規制部41eとが設けられる。
【0039】
突部41aは、下側係合突部11が下側係合凹部41から上流側へ外れるのを阻む抜け止め突起として機能する。
【0040】
第一傾斜底面部41bは、下側係合突部11を下流側斜め下方へ導き移動させることで、本体板10と受面2aの間で縦方向水密材31が圧縮されるとともに、本体板10と下方側不動面との間で横方向水密材32が圧縮されるようにしている。この第一傾斜底面部41bを下流側へ向かう途中箇所には、凹曲面部41cが設けられる。
【0041】
凹曲面部41cは、転動部材11bの外周面と略同等の曲率の凹曲状に形成される。この凹曲面部41cは、下側係合突部11と上側係合突部12がそれぞれ下側係合凹部41と上側係合凹部51の内部に進入した際に、転動部材11b外周面の下側に部分的に嵌り合って下側係合突部11を位置決めする。
【0042】
そして、第一傾斜底面部41bは、凹曲面部41cよりもさらに下流側斜め下方へ連続して、略水平状の底面部41dに接続される。
【0043】
転動部材11bが凹曲面部41cに嵌り合った状態で、止水体1が水圧を受けた場合、止水体1には、水圧による下流方向の力と当該止水体1自体の重量による下方向の力が加わる。このため、止水体1は、転動部材11bを第一傾斜底面部41bにおける凹曲面部41cよりも下流側の部分に沿わせて、下流側斜め下方向へ移動する。このため、第二の補助水密材34が圧縮されて水密性が増す。
この後、さらに水圧が加わると、止水体1は、転動部材11bを底面部41dに沿わせて下流側へ略水平に移動する。このため、止水体1が下方へ沈み込みすぎて、第二の補助水密材34がへたったり損傷したりするのを防ぐことができる。
転動部材11bがこの第一傾斜底面部41bに沿って下流側へ移動した場合、縦方向水密材31がさらに圧縮され、横方向水密材32の圧縮量は殆ど変わらない。
【0044】
規制部41eは、転動部材11bが底面部41dを下流側へ移動した場合に、この転動部材11bを受けて、転動部材11bの移動を規制する。
【0045】
また、下側係合凹部41内の天部41fは、略水平な平坦面状に形成される。この天部41fは、下側係合突部11の上方に間隔を置いて位置する。
【0046】
また、上側係合凹部51の上側部分には、上側係合突部12の転動部材12bを下流側斜め下方へ導く傾斜天面部51aと、この傾斜天面部51aよりもさらに下流側へ移動した場合の転動部材12bの上端に接する係止天面部51bとが設けられる。
【0047】
傾斜天面部51aは、止水体1が下流側へ移動した際に、本体板10と受面2aの間に縦方向水密材31が挟まれて圧縮され、本体板10と下方側不動面との間に横方向水密材32が挟まれて圧縮されるようにしている。
【0048】
係止天面部51bは、止水体1がさらに下流側へ移動した際に、転動部材12bの上端に接して、横方向水密材32の圧縮状態を保持する。
この係止天面部51bは、下流側へ略水平状に延設されている。
【0049】
上側係合部材50内において、係止天面部51bよりも下側には、上側係合突部12(転動部材12b)を周囲部分に接することなく下方へ移動可能にする空間Sが確保されている(図12参照)。
このため、転動部材12bが係止天面部51bに接触している状態で、止水体1が水圧を受けた場合、下側係合部材40側では、下側係合突部11が第一傾斜底面部41bに沿って凹曲面部41cよりも下流側斜め下方へ移動し、上側係合部材50側では、転動部材12bが、係止天面部51bから下方へ離れて周囲の部位に接触することなく空間Sに位置する。
したがって、支柱2に対する上側係合部材50の止着部分(例えば、ネジ等)に過剰な負荷が加わり、この止着部分が破損してしまうようなことを防ぐことができる。
【0050】
また、上側係合凹部51内の底部には、係止天面部51bに接した上側係合突部12よりも上流側で、この上側係合突部12(詳細には転動部材12b)の下端よりも上側へ突出するように、底側突部51cが設けられている。
この底側突部51cは、上側係合突部12が上側係合凹部51に嵌り合った後で、不意の衝撃等により、上側係合突部12が上側係合凹部51から抜け出してしまうのを阻む。
【0051】
また、上側係合凹部51内の底面において、底側突部51cよりも下流側には、略水平に連続する平坦状の底面部51dと、底面部51dの下流側端部で立ち上がった面状の規制部51eとが設けられる。
【0052】
底面部51dは、係止天面部51bに接した転動部材12bよりも間隔を置いて下方側に位置する(図11参照)。
規制部51eは、転動部材12bが係止天面部51bに沿って下流側へ移動した場合に、この転動部材12bを受けて、その移動を規制する。
【0053】
そして、上記構成の下側係合部材40及び上側係合部材50において、下側係合凹部41の凹状部分の上下寸法は、上側係合凹部51の凹状部分の上下寸法よりも大きい(図11参照)。
詳細に説明すれば、下側係合凹部41の開口部分の寸法H1は、上側係合凹部51の開口部分の寸法H2よりも大きい。さらに、下側係合凹部41の奥側(下流側)部分の寸法H3は、上側係合凹部51の奥側部分の寸法H4よりも大きい。
これらの寸法設定によれば、図14に示すように、下側係合突部11を先に下側係合凹部41に係合した後に上側係合凹部51を係合する場合に、その作業性が良好である。
【0054】
また、基台3は、左右に間隔を置いて立設された縦基部3a,3aと、これら縦基部の下端側を接続する横基部3bとから、一体的な正面視凹状に構成される(図1参照)。
【0055】
各縦基部3aは、金属材料により支柱2より上下に長い柱状に形成される。
この縦基部3aに対し、支柱2は、下流側の面を接するようにして固定される。この固定手段は、ねじ止めや、嵌合、溶接等とすればよい。
【0056】
横基部3bは、金属材料より下方側不動面に接する矩形板状に形成される。この横基部3bは、両側の縦基部3a,3aの下端部に対し、前記同様に適宜な固定手段によって固定される。
【0057】
次に、上記構成の止水装置Aについて、止水体1を両側の支柱2,2に嵌め合わせる手順を、詳細に説明する。
【0058】
先ず、作業者等は、一枚目の止水体1を左右の支柱2,2の最下寄りに設置する。
この際、例えば、二人で作業を行う場合、一方の作業者は、左手を左端側の第一の取手21に手を掛け、右手を中央寄り左上側の第二の取手22に手を掛けて、止水体1を持ち上げる。なお、右手を中央寄り左下側の第三の取手23に手を掛けてもよい。
【0059】
また、他方の作業者は、右手を右端側の第一の取手21に掛け、左手を中央寄り右上側の第二の取手22又は右下側の第三の取手23に手を掛けて止水体1を持ち上げる。
【0060】
また、一人で作業をする場合は、その作業者は、左端の第一の取手21と中央寄り右上側の第二の取手22、又は右端の第一の取手21と中央寄り左上側の第二の取手22に手を掛けると、バランスよく持つことができ、作業性が良好である。
なお、作業者は、前記以外の二つの取手に手を掛けて作業することも可能である。
【0061】
前記持ち上げ作業中、取手の握り部20aを握った手は、同取手の手受け部20bに当たるため、上方へ滑るのを阻まれる。
また、例えば止水体の上端に取手を設けた従来技術等では、積み上げ作業において、下側の止水体の取手が上側の止水体に干渉してしまうが、上記構成の止水体1では、各取手が止水体1の表面に設けられているため、取手が他の部材等に干渉し難い。
また、本実施形態のように、第一~第三の取手21,22,23を縦向きに具備した場合、各取手を掴んで止水体1を持ち上げ、この止水体1を降下して下方側の止水体1に積み重ねる積み上げ作業性が、横向きの取手のみ具備する止水体(図示せず)よりも良好である。
【0062】
止水体1を左右の支柱2,2に装着する際は、左右それぞれにおいて、止水体1の下側係合突部11を支柱2の下側係合凹部41に嵌め合わせた後に、同止水体1の上側係合突部12を同支柱2の上側係合凹部51に嵌め合わせる。
【0063】
より詳細に説明すれば、先ず、止水体1について上部を上流側へ傾けた状態で、下側係合突部11を下側係合凹部41に近づけ(図13(a)参照)、下側係合突部11を下側係合凹部41内へ挿入する(図13(b)参照)。
この後、止水体1全体を下げて、下側係合突部11の転動部材11bを下側係合凹部41の第一傾斜底面部41bに接触させる(図13(c)参照)。
【0064】
次に、止水体1の上部を起こすように下流側へ回動させて、上側係合突部12を上側係合凹部51内へ挿入する(図14(d)参照)。
【0065】
そして、下側係合突部11の転動部材11bを第一傾斜底面部41bに沿わせるとともに、上側係合突部12の転動部材12bを傾斜天面部51aに沿わせるようにして、止水体1全体を下流側斜め下方へ移動する。
この移動中、止水体1の縦方向水密材31は、支柱2の受面2aに圧接されて収縮し、同止水体1の横方向水密材32は、下方側不動面に圧接されて収縮する。
【0066】
下側係合突部11の転動部材11bが、下側係合凹部41の凹曲面部41cに重なり合うことで位置決めされたら、止水体1の上部をさらに起こすようにして回動させ、上側係合突部12の転動部材12bを係止天面部51bに係止する(図14(e))。
前記回動中、止水体1の縦方向水密材31は、支柱2に受面2aに対しさらに圧接されて収縮する
【0067】
これらの経過を経て、止水体1は、下側係合突部11を下側係合凹部41に嵌め合わせるとともに、上側係合突部12を上側係合凹部51に嵌め合わせて略直立し(図14(f)参照)、縦方向水密材31及び横方向水密材32による水密性能を発揮する。そして、この直立状態において、ラッチ装置13が手動操作されて係脱孔2bに係合する。
【0068】
次に、前記直立状態の止水体1の上側に、二つ目の止水体1を重ね合わせる。この止水体1も、前記と同様にして、支柱2に装着さされる。
さらに、二つ目以降(図示例によれば三つ目)の止水体1も同様にして、支柱2に装着する。
【0069】
上記構成によれば、上側の止水体1の縦方向水密材31の下端部や、下側の止水体1の縦方向水密材31の上端部に、切断作業等による凹凸が残されていた場合でも、これら下端部と上端部の間に、第一の補助水密材33及び第二の補助水密材34が挟まれ弾性変形するため、これら下端部と上端部の間に、前記凹凸に起因する隙間が生じるのを防ぐことができ、ひいては、上下の縦方向水密材31,31間の水密性を高く保持することができる。
【0070】
また、第一の補助水密材33及び第二の補助水密材34は、本体板10と縦方向水密材31又は横方向水密材32に対し跨るようにして接着されており、上下に隣接する本体板10の間に挟まれるため、安易に外れてしまうようなことがない。
【0071】
このようにして複数の止水体1が支柱2に装着された状態で、洪水等により上流側に水が溜まり増水した場合、各止水体1は水圧によって下流側を押される。
このため、各止水体1の下側係合突部11が、下側係合凹部41内で下流側へ移動し、同止水体1の上側係合突部12は、上側係合凹部51内で係止天面部51bに沿って下流側へ移動する。
このため、上側係合凹部51の圧接状態が保持されるとともに、縦方向水密材31がより強く受面2aに圧接されて、高い水密性能を発揮する。
【0072】
<変形例>
上記構成の止水装置Aは、以下に説明するように、一部の構成を適宜に変更することが可能である。
【0073】
例えば、上記実施形態によれば、下側係合突部11及び上側係合突部12は、好ましい態様として突端側に回転自在な転動部材11b,12bを具備したが、他例として、これら下側係合突部11及び上側係合突部12の突端側を、転動部材を具備しない軸状に構成することも可能である。
【0074】
また、上記実施形態によれば、下側係合突部11及び上側係合突部12を止水体1の側端面に装着したが、他例としては、これら下側係合突部11及び上側係合突部12の下側係合突部11を止水体1の一方(上流側又は下流側)の面に装着して、その突端側を幅方向へ突出させることも可能である。
【0075】
また、上記実施形態によれば、下側係合凹部41及び上側係合凹部51を、支柱2に装着されるブロック状の下側係合部材40及び下側係合凹部41に形成したが、他例としては、各支柱2を中実状に構成し、この支柱2に対し下側係合凹部41及び上側係合凹部51を直接加工することも可能である。
【0076】
また、上記実施形態によれば、各止水体1の左半部と右半部にそれぞれ対応するように、第一の取手21、第二の取手22及び第三の取手23を二組設けたが、他例としては、これら取手を止水体1の中央側に一組だけ設けた態様や、これら取手を幅方向に三組以上設けた態様等とすることも可能である。
【0077】
また、上記実施形態によれば、止水体1の幅方向の端部側に第一の取手21を配設し、同止水体1の幅方向の中央側に第二の取手22及び第三の取手23を配設したが、他例としては、止水体1の幅方向の端部側に第二の取手22及び第三の取手23を配設し、同止水体1の幅方向の中央側に第三の取手23を配設することも可能である。
【0078】
また、上記実施形態によれば、第一の取手21、第二の取手22、第三の取手23の各々を、握り部20a、手受け部20b及び下側止着部20cを有する側面視コ字状に構成したが、これら取手の他例としては。下側止着部20cを省いて、握り部20a及び手受け部20bのみを有する側面視逆さL字状に形成することも可能である。
【0079】
また、上記実施形態によれば、特に好ましい一例として、止水体1における上流側の面に、第一の取手21、第二の取手22及び第三の取手23等の複数の取手を設けたが、止水体1における下流側の面に前記複数の取手を設けることも可能である。
すなわち、上記実施形態のように、止水体1の上流側の面に取手を設けるとともに下流側の面には取手等の装着物がない構成では、例えば、上流側の取手が止水体1を貫通しており、その貫通部分の隙間から止水体1の内部に水が浸入した場合でも、この水が屋内側(下流側)へ浸入する可能性を低くすることができる。
一方、止水体1の下流側の面に取手を追加した場合には、止水体1を下流側からも掴むことができるので、搬送性向上の観点からは好ましい。
【0080】
また、上記実施形態によれば、第一~第三の取手21,22,23等の各取手を縦向きに設けたが、図示例以外の他例としては、これらに加えて横向きの取手(すなわち、握り部20aが横向きの取手)を設けたり、第一~第三の取手21,22,23の一部を横向きの取手に置換したりすることも可能である。このような横向きの取手を含む構成では、特に止水体1を持ち上げる際の作業性が良好である。
【0081】
また、上記実施形態によれば、上側の止水体1の縦方向水密材31の下端部と、下側の止水体1の縦方向水密材31の上端部との間に、第一の補助水密材33及び第二の補助水密材34の二つを挟み込むようにしたが、他例としては、前記下端部と前記上端部の間に、第一の補助水密材33と第二の補助水密材34のうち、何れか一方のみを挟み込んだ態様とすることも可能である。
【0082】
また、上記実施形態によれば、特に好ましい一例として、第一の補助水密材33と第二の補助水密材34が、それぞれ、本体板10と縦方向水密材31の端部に跨るようにしたが、他例としては、前記補助水密材が縦方向水密材31の端部のみに接する態様とすることも可能である。
【0083】
また、上記実施形態によれば、水密性の良好な一例として、第一の補助水密材33を縦方向水密材31よりも柔らかい材料から形成したが、他例としては、第一の補助水密材33と縦方向水密材31の硬度を同等にすることも可能である。
【0084】
また、上記実施の形態において、上下に隣接する止水体1,1は、図15において上下に隣接する止水体4,5に置換することが可能である。
【0085】
上側の止水体4は、本体板10’と、この本体板10’の下端側で横幅方向へわたる横方向水密材32’とを備える。
【0086】
本体板10’は、下端部に、横幅方向へ連続する断面略V字状の突曲部10a’を一体に有する。この本体板10’は、本体板10’の厚さ方向の一方寄り(図示例によれば上流側)に偏って位置する。
【0087】
横方向水密材32’は、弾性材料からなり、本体板10’の下端部における突曲部10a’よりも下流側に装着される。
この横方向水密材32’は、下側の本体板10”の被圧接面10c”から凹曲部10b”のに跨って接する断面形状(図15参照)を、横幅方向へわたって連続している。
【0088】
すなわち、この横方向水密材32’は、被圧接面10c”に接する略水平状の平坦部32a’と、突曲部10a’と凹曲部10b”の間に挟まれる傾斜状の被挟持部32b’とを有する。
横方向水密材32’は、これら平坦部32a’と被挟持部32b’を一体成形したものでもよいし、別体の平坦部32a’と被挟持部32b’を接合したものでもよい。
【0089】
なお、図15に示す一例によれば、被挟持部32b’は、止水体厚さ方向の下流寄りで、突曲部10a’と凹曲部10b”の間に部分的に挟まれるようにしたが、この被挟持部32b’の他例としては、止水体厚さ方向の略全域にわたって突曲部10a’と凹曲部10b”の間に縦断面略V字状に挟まれるようにしてもよい。
【0090】
下側の止水体5は、本体板10”と、この本体板10”の下端側で横幅方向へわたる横方向水密材32”とを備える。
【0091】
本体板10”は、上端部における下流側に、横方向水密材32’に圧接される平坦状の被圧接面10c”を有し、この被圧接面10c”よりも上流側に、突曲部10a’に嵌り合う凹曲部10b”を有する。
【0092】
横方向水密材32”は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から長尺状に形成され、本体板10”の下端部に水平方向へわたって装着される。
この横方向水密材32”は、下方側の不動面(例えば、床面等)に圧接される。
【0093】
図15に示す止水体4,5においても、上記止水体1と同様にして、縦方向水密材31や、第一の取手21、第二の取手22及び第三の取手23、ラッチ装置13、第一の補助水密材33、第二の補助水密材34を設けることが可能である。
【0094】
よって、図15に示す止水体4,5を用いた止水装置によれば、図15(a)(b)に示すように、上側の止水体4を下側の止水体5に重ね合わせる作業をスムーズに行うことができ、水密性も良好である。
詳細に説明すれば、この作業は、上側の止水体4について上端を上流側へ傾け、この止水体4の下端の突曲部10a’を、下側の止水体5上端の凹曲部10b”に嵌め合わせ、この後、上側の止水体4を直立状に起こすようにすればよい。
【0095】
なお、上記実施態様の止水装置は、止水体1,2,3又は4を両側の支柱2により支えるようにしたが、この止水装置の他例としては、止水体1,2,3又は4を上方へ順次に収納するようにした止水パネルシャッターを構成することも可能である。
【0096】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0097】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の構成を開示している。
(1)
水の流れに対し交差する板状の止水体を、複数積み上げるようにした止水装置において、各止水体の一方の面に、横幅方向に間隔の置いた複数の取手が設けられ、前記取手の各々は、上下方向へ延設された握り部と、前記握り部を握った手を上方側から受ける手受部とを有することを特徴とする止水装置(図1図6参照)。
(2)
前記複数の取手には、一方の手で握られる第一の取手と、他方の手で握られる第二の取手とを含み、前記第二の取手が、前記第一の取手よりも上方に位置することを特徴とする(1)に記載の止水装置(図4及び図5参照)。
(3)
前記第二の取手の下方側に、前記他方の手で握ることが可能な第三の取手が設けられていることを特徴とする(2)に記載の止水装置(図4及び図5参照)。
(4)
前記第一の取手と前記第二の取手の間隔が、人の肩幅に対応して設定されていることを特徴とする(2)又は(3)に記載の止水装置(図4及び図5参照)。
(5)
前記第一の取手が前記止水体の幅方向の両端寄りにそれぞれ設けられ、これら両端寄りの二つの前記第一の取手にそれぞれ対応するように、前記止水体の幅方向の中央寄りに二つの前記第二の取手が設けられていることを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載の止水装置(図4及び図5参照)。
(6)
左右に間隔を置いた支柱に対し、前記流れの方向の上流側から止着するように前記止水体を設け、この止水体の前記上流側の面に、前記取手を設けたことを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の止水装置(図1図3参照)。
【0098】
また、上記実施形態では、次の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明の一つは、水の流れ方向に交差するように上下に積み上げられた板状の止水体と、この止水体を両側で支える左右の支柱とを備えた止水装置であって、上下に隣接する前記止水体のうち、上側の止水体には、厚さ方向の一方寄りで下方へ突出するとともに横幅方向へ連続する突曲部が設けられ、下側の止水体には、横幅方向へわたって前記突曲部に嵌り合う凹曲部が設けられている(図15参照)。
この発明によれば、上側の止水体を下側の止水体に重ね合わせる作業をスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0099】
A:止水装置
1,4,5:止水体
2:支柱
3:基台
10:本体板
11:下側係合突部
12:上側係合突部
21:第一の取手
22:第二の取手
23:第三の取手
31:縦方向水密材
32:横方向水密材
33:第一の補助水密材
34:第二の補助水密材
40:下側係合部材
41:下側係合凹部
41a:突部
41b:第一傾斜底面部
41c:凹曲面部
41d:底面部
50:上側係合部材
51:上側係合凹部
51a:傾斜天面部
51b:係止天面部
51c:底側突部
51d:底面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流れに対し交差する板状の止水体を、複数積み上げるようにした止水装置において、
各止水体の一方の面に、横幅方向に間隔の置いた複数の取手が設けられ、
前記取手の各々は、上下方向へ延設された握り部と、前記握り部を握った手を上方側から受ける手受部とを有し、
前記複数の取手には、一方の手で握られる第一の取手と、他方の手で握られる第二の取手とを含み、前記第二の取手が、前記第一の取手よりも上方に位置することを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記第二の取手の下方側に、前記他方の手で握ることが可能な第三の取手が設けられていることを特徴とする請求項記載の止水装置。
【請求項3】
前記第一の取手と前記第二の取手の間隔が、人の肩幅に対応して設定されていることを特徴とする請求項記載の止水装置。
【請求項4】
前記第一の取手が前記止水体の幅方向の両端寄りにそれぞれ設けられ、
これら両端寄りの二つの前記第一の取手にそれぞれ対応するように、前記止水体の幅方向の中央寄りに二つの前記第二の取手が設けられていることを特徴とする請求項記載の止水装置。
【請求項5】
左右に間隔を置いた支柱に対し、前記流れの方向の上流側から止着するように前記止水体を設け、この止水体の前記上流側の面に、前記取手を設けたことを特徴とする請求項1~何れか1項記載の止水装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
水の流れに対し交差する板状の止水体を、複数積み上げるようにした止水装置において、各止水体の一方の面に、横幅方向に間隔の置いた複数の取手が設けられ、前記取手の各々は、上下方向へ延設された握り部と、前記握り部を握った手を上方側から受ける手受部とを有し、前記複数の取手には、一方の手で握られる第一の取手と、他方の手で握られる第二の取手とを含み、前記第二の取手が、前記第一の取手よりも上方に位置することを特徴とする止水装置。