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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179164
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231212BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092293
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大久保 明範
(72)【発明者】
【氏名】山上 滋春
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA02
5H770BA20
5H770DA01
5H770DA11
5H770DA17
5H770DA46
(57)【要約】
【課題】共振回路の共振動作により発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用することができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1の出力側に接続され、インダクタL3とプラズマアクチュエータPA10とが直列に接続された共振回路1と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、
前記スイッチング素子の出力側に接続され、第1インダクタと第1プラズマアクチュエータとが直列に接続された第1共振回路と、
を備える電力変換装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子に並列に接続されたコンデンサと、
複数の入力端子と前記スイッチング素子とに接続された少なくとも1つのチョークコイルとを有し、
前記スイッチング素子の少なくとも一端は、前記チョークコイルと前記第1共振回路とに接続されている高周波のE級回路を有する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1プラズマアクチュエータに並列に接続された第1コンデンサを備える請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
少なくとも2つの前記スイッチング素子が直列接続された第1スイッチ群と、
前記第1スイッチ群に並列に接続されたコンデンサと、
複数の入力端子と前記スイッチング素子とに接続された少なくとも1つのチョークコイルとを有し、
前記スイッチング素子の少なくとも一端は、前記チョークコイルと前記第1共振回路とに接続されている高周波のE級力率改善回路を有する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子に並列に接続されるピーク電圧抑制共振回路を有し、
前記ピーク電圧抑制共振回路は、第2インダクタと第2プラズマアクチュエータとが直列に接続された第2共振回路からなり、
前記第2インダクタと前記第2プラズマアクチュエータとによる共振周波数が前記スイッチング素子の駆動周波数よりも高い請求項2又は4記載の電力変換装置。
【請求項6】
少なくとも2つの前記スイッチング素子が直列接続された第2スイッチ群を有し、
前記第2スイッチ群の1つの前記スイッチング素子に並列に前記第1共振回路が接続される請求項1記載の電力変換装置。
【請求項7】
一次巻線と前記一次巻線に磁気結合する二次巻線とを有するトランスを有し、
前記第1共振回路は、前記第1プラズマアクチュエータと前記一次巻線の励磁インダクタンスとリーケージインダクタンスとが直列に接続される請求項6記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1プラズマアクチュエータは、誘電体と、前記誘電体の表面に露出した上部電極と、前記誘電体に覆われた下部電極とを備え、前記下部電極は、前記誘電体の面内方向に前記上部電極からオフセットして設けられ、前記誘電体の面内方向で前記上部電極から前記下部電極に向けて発生する風に対向する位置に前記第1インダクタが配置されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第2プラズマアクチュエータは、誘電体と、前記誘電体の表面に露出した上部電極と、前記誘電体に覆われた下部電極とを備え、前記下部電極は、前記誘電体の面内方向に前記上部電極からオフセットして設けられ、前記誘電体の面内方向で前記上部電極から前記下部電極に向けて発生する風に対向する位置に前記第2インダクタが配置されている請求項5記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スイッチング素子と、スイッチング素子の出力側に接続されるインダクタとキャパシタとからなる共振回路とを有するE級回路を用いた電力変換装置が開示されている。
【0003】
この電力変換装置は、スイッチング素子の両端電圧がゼロの時にターンオンするゼロ電圧スイッチングによって低損失なスイッチング動作を行う。これにより、スイッチング素子の駆動周波数を高周波化してインダクタやキャパシタなどの受動部品を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-196271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電力変換装置では、共振回路が共振動作を行っているため、電力変換装置内で高い電圧の高周波電圧が発生する。このため、発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用できていない。
【0006】
本発明は、共振回路の共振動作により発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用することができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電力変換装置は、スイッチング素子と、スイッチング素子の出力側に接続され、第1インダクタと第1プラズマアクチュエータとが直列に接続された第1共振回路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、共振回路の共振動作により発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。図1(b)は第1の実施形態に係る電力変換装置のプラズマアクチュエータに印加される電圧波形を示す図である。
図2図2は本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
図3図3は本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
図4図4は本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
図5図5は本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
図6図6は本発明の第6の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの実施形態に係る電力変換装置を、図面を参照しながら詳細に説明する。各実施形態に係る電力変換装置の図中の同一または相当部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。第1の実施に係る電力変換装置は、入力側に接続された入力電源から供給された電力をスイッチング素子Q1をオン・オフさせることにより所定の電力に変換し、変換された電力を出力側に接続された負荷に電力を供給する。
【0012】
電力変換装置は、E級電力変換器であり、E級インバータ回路と、図示しない整流回路とを有する。ここでは、電圧共振型のE級インバータ回路について説明する。E級インバータ回路は、チョークコイルL1,L2、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q1と並列に接続されたキャパシタC1、共振回路1を有する。
【0013】
E級インバータ回路は、スイッチング素子Q1が高周波、かつ高電圧でオン・オフを繰り返すことで高周波の交流電流を生成する。整流回路は、E級インバータ回路で生成された高周波電流を整流する。
【0014】
直流電源からなる入力電源の入力正極端子Pとスイッチング素子Q1の一端との間には、チョークコイルL1が接続されている。入力電源の入力負極端子Nとスイッチング素子Q1の他端との間には、チョークコイルL2が接続されている。
【0015】
スイッチング素子Q1は、一端がチョークコイルL1の一端に接続され、他端がチョークコイルL2の一端に接続されている。スイッチング素子Q1は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのユニポーラトランジスタで構成される。スイッチング素子Q1は、制御部5からのオン・オフ制御信号によりオン動作とオフ動作とを切り替える。
【0016】
キャパシタC1は、単体の部品のキャパシタが配置されることもあれば、スイッチング素子Q1として使用されるMOSFETの寄生容量を利用することで個別の部品としては配置されないこともある。
【0017】
整流回路は、ダイオードとダイオードに並列に接続された整流側シャントキャパシタと出力チョークインダクタを有する、いわゆるE級整流器を配置することもあれば、ブリッジ接続された4つのダイオードからなるいわゆるD級整流器を配置することもある。
【0018】
電力変換装置の動作周波数を高周波にするほど、使用されるインダクタやキャパシタなどの受動部品に要求されるインダクタンス値やキャパシタンス値が小さくなり、電力変換装置を小型化することができる。
【0019】
E級電力変換装置は、スイッチング素子Q1のオフの期間中に共振回路1の電流を利用してスイッチング素子Q1の両端電圧をゼロにしてからターンオンすることでターンオン損失をゼロにする。いわゆるゼロ電圧スイッチングを行うことができることから、動作周波数を高周波化しても損失を低減することが可能で、電力変換装置を小型化できるポテンシャルがある。
【0020】
しかし、電圧共振により共振回路内のコンデンサ素子間に高電圧が発生するため、発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用できていない。
【0021】
そこで、図1(a)に示す第1の実施形態に係る電力変換装置では、インダクタL3とキャパシタ成分を有するプラズマアクチュエータPA10(第1プラズマアクチュエータ)とが直列に接続されてなる共振回路1を設けている。共振回路1は、第1共振回路を構成する。インダクタL3とプラズマアクチュエータPA10とによる共振周波数は、スイッチング素子Q1の駆動周波数と略同じである。
【0022】
プラズマアクチュエータPA10は、後述するように、上部電極と、下部電極と、上部電極と下部電極との間に誘電体とを有して構成され、キャパシタを有する。
【0023】
即ち、共振を発生させるキャパシタをプラズマアクチュエータPA10に置き換えることで、インダクタL3とプラズマアクチュエータPA10との共振動作により、プラズマアクチュエータPA10に印加される電圧が高くなる。このことを利用し、プラズマアクチュエータPA10を駆動する。
【0024】
図1(b)に示すように、共振動作により、最大値と最小値との差電圧が例えば2.2kVの正弦波状の高い電圧が発生する。正弦波状の高い電圧により、プラズマアクチュエータPA10は、プラズマを発生させることができる。これにより、共振回路の共振動作により発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用することができる。
【0025】
さらに、電力変換装置からプラズマアクチュエータPA10に、プラズマ発生に必要な電力を供給することができるので、プラズマ発生に必要な追加電源を不要とすることができる。
【0026】
プラズマアクチュエータPA10により発生する風により、インダクタL3等の部品を冷却することができ、冷却装置を小型化することができる。
【0027】
また、電力変換装置は、E級インバータ回路に限定されるものではなく、インダクタLとリーケージインダクタンスLとキャパシタCで構成されるLLCコンバータ等も含む共振型電力変換装置であっても良い。この共振型電力変換装置でも、前述した実施形態に係る電力変換装置の効果と同様な効果を得ることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。図2に示す第2の実施形態に係る電力変換装置は、図1に示す第1の実施形態に係る電力変換装置に対して、共振型電力変換装置内の部品の少なくともインダクタL3等の一部がプラズマアクチュエータPA10により発生する風に対向する位置に配置されている。
【0029】
プラズマアクチュエータPA10は、大気圧バリア放電により生じた低温プラズマの陽イオン又は電子を電界により加速し、これが周囲の空気分子と衝突することで、その運動量が空気分子に輸送され、風(誘起流)を生じさせる。
【0030】
プラズマアクチュエータPA10は、図2に示すように、誘電体11と、誘電体11の表面に露出した上部電極12と、誘電体11に覆われた下部電極13とを備えている。下部電極13は、誘電体11の面内方向に上部電極12からオフセットして設けられている。
【0031】
下部電極13にはインダクタL3の一端が接続され、インダクタL3の他端はキャパシタC1の一端とスイッチング素子Q1の一端とチョークコイルL1の一端とに接続される。上部電極12には負荷Rの一端が接続され、負荷Rの他端は、キャパシタC1の他端とスイッチング素子Q1の他端とチョークコイルL2の一端とに接続される。
【0032】
誘電体11の表面で電極間に生じる電界が偏るので、陽イオン又は電子が誘電体11の面内方向で上部電極12から下部電極13に向けて加速され易く、一方向に誘起流が生じるため、消費電力に対する誘起流の発生効率が高い。このため、誘電体11の面内方向で上部電極12から下部電極13に向けて発生する風(誘起流)に対向する位置にインダクタL3を配置している。
【0033】
このように第2の実施形態に係る電力変換装置によれば、プラズマアクチュエータPA10の誘電体11の面内方向で上部電極12から下部電極13に向けて発生する風(誘起流)に対向する位置にインダクタL3等を配置した。このため、インダクタL3等に発生する熱は、プラズマアクチュエータPA10により発生する風により放熱される。
【0034】
即ち、プラズマアクチュエータPA10から発生した風を利用して回路内のインダクタL3等の部品、又はヒートシンクなどを冷却することができるため、放熱効率を向上することができ、冷却器を含めた電力変換装置を小型化することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。図3に示す第3の実施形態に係る電力変換装置は、図1に示す第1の実施形態に係る電力変換装置に対して、プラズマアクチュエータPA10に並列にキャパシタC2を接続した並列回路とインダクタL3とで共振回路1aを構成している。
【0036】
インダクタL3とプラズマアクチュエータPA10とによる共振周波数が所望の共振周波数、例えばスイッチング素子Q1の駆動周波数にならない場合には、プラズマアクチュエータPA10にキャパシタC2を並列に接続する。プラズマアクチュエータPA10のキャパシタンス値とキャパシタC2のキャパシタンス値との合計キャパシタンス値とインダクタL3のインダクタンス値とで所望の共振周波数に調整することができる。
【0037】
なお、第3の実施形態に係る電力変換装置のその他の効果は、第1の実施形態に係る電力変換装置の効果と同様である。
【0038】
(第4の実施形態)
図4は本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。第4の実施形態に係る電力変換装置は、電圧共振型の高周波のE級PFC(power factor correction)電力変換回路である。入力電源は、交流を電力変換装置に出力する。高周波のE級PFC電力変換装置は、図1に対して、スイッチング素子が少なくとも2つの直列接続されたスイッチ群Q1,Q2からなることを特徴とする。
【0039】
その他の構成は、図1に示す構成と同じであるので、ここでは、スイッチ群Q1,Q2の構成と動作についてのみ説明する。
【0040】
スイッチ群Q1,Q2は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との直列回路からなる。スイッチング素子Q1の一端がチョークコイルL1の一端に接続され、スイッチング素子Q2の一端がチョークコイルL2の一端に接続される。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とのオン動作とオフ動作は、制御部5からの制御信号により制御される。
【0041】
E級PFC電力変換装置に入力される電圧は、交流電圧となり、交流電圧の極性によりスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2のうち、制御部5が一方をスイッチング動作させ、他方を導通させる。これにより、PFC動作が可能となり、力率が改善される。
【0042】
入力電圧が交流であること、2つの スイッチング素子Q1,Q2の動作は、第1の実施形態に係る電力変換回路とは異なるが、作用効果は、第1の実施形態に係る電力変換装置と同様である。
【0043】
(第5の実施形態)
図5は本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。第5の実施形態に係る電力変換装置は、スイッチング素子Q1のピーク電圧を抑制するために共振するピーク電圧抑制共振回路2をスイッチング素子Q1と並列に設けている。ピーク電圧抑制共振回路2は、インダクタL4とプラズマアクチュエータPA20(第2プラズマアクチュエータ)とが直列に接続された共振回路からなる。
【0044】
インダクタL4とプラズマアクチュエータPA20とのピーク電圧抑制共振回路2において、インダクタL4の一端がチョークコイルL1の一端とスイッチング素子Q1の一端とに接続される。インダクタL4の他端にプラズマアクチュエータPA20の一端が接続される。プラズマアクチュエータPA20の他端はインダクタL2の一端とスイッチング素子Q1の他端とに接続される。インダクタL4とプラズマアクチュエータPA20とのピーク電圧抑制共振回路2は、第2共振回路を構成する。
【0045】
インダクタL4とプラズマアクチュエータPA20との共振周波数fLCは、式(1)で表される。Cは、プラズマアクチュエータPA20のキャパシタンス値である。
【0046】
LC=1/{2π(LC)1/2}…(1)
【0047】
共振周波数fLCは、スイッチング素子Q1をオン/オフさせるための駆動周波数fSWよりも高い周波数である。
【0048】
電圧共振によりスイッチング素子Q1にも高電圧が発生するが、駆動周波数(スイッチング周波数)よりも高い共振周波数に有するピーク電圧抑制共振回路2をスイッチング素子Q1と並列に付加することで、ピーク電圧を抑制させることができる。これにより、スイッチング素子Q1の低耐圧化が可能となり、低コスト、導通損失の抑制が可能となる。
【0049】
ピーク電圧抑制共振回路2のコンデンサ素子をプラズマアクチュエータPA20に置き換えることで、プラズマアクチュエータPA20に印加される電圧が共振により高くなることを利用し、電圧の変化によってプラズマを発生させることができる。これにより、共振回路の共振動作により発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用することができる。
【0050】
さらに、電力変換装置からプラズマ発生に必要な電力を供給することができるので、プラズマ発生に必要な追加電源を不要とすることができる。
【0051】
また、プラズマアクチュエータPA20は、図2に示したように、誘電体11と、誘電体11の表面に露出した上部電極12と、誘電体11に覆われた下部電極13とを備える。下部電極13は、誘電体11の面内方向に上部電極12からオフセットして設けられ、誘電体11の面内方向で上部電極12から下部電極13に向けて発生する風に対向する位置にインダクタL4が配置されている。
【0052】
ピーク電圧抑制共振回路2のプラズマアクチュエータPA20から発生した風を利用してインダクタL4、もしくはヒートシンクなどを冷却することができるため、放熱効率を向上することができ、冷却器を含めた電力変換装置を小型化することができる。
【0053】
(第6の実施形態)
図6は本発明の第6の実施形態に係る電力変換装置の回路図である。第6の実施形態に係る電力変換装置は、電流共振型のLLC電力変換回路であり、共振回路1bのコンデンサ素子をプラズマアクチュエータPA10に置き換えている。
【0054】
電流共振型のLLC電力変換回路は、入力電源の入力正極端子Pと入力負極端子Nとの間にスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との直列回路が接続されている。スイッチング素子Q2の両端にはプラズマアクチュエータPA10とリーケージインダクタンスLrとトランスTrの一次巻線Prの励磁インダクタンスLmとが接続されている。
【0055】
トランスTrの一次巻線Prと二次巻線Sとは、磁気結合し、リーケージインダクタンスLrを有している。二次巻線Sの両端には、負荷Rが接続される。
【0056】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは。交互にオン/オフする。スイッチング素子Q1がオンすると、P→Q1→PA10→Lr→Lm→Nの経路で電流が流れる。スイッチング素子Q2がオンすると、Lm→Q2→PA10→Lr→Lmの経路で電流が流れる。
【0057】
このとき、プラズマアクチュエータPA10とリーケージインダクタンスLrと励磁インダクタンスLmとによる共振動作、プラズマアクチュエータPA10とリーケージインダクタンスLrとによる共振動作が発生する。
【0058】
即ち、共振回路1bのキャパシタをプラズマアクチュエータPA10に置き換えることで、共振回路1b内のプラズマアクチュエータPA10に印加される電圧が共振により高くなることを利用し、電圧の変化によってプラズマを発生させることができる。これにより、共振回路の共振動作により発生する高電圧、高周波の電気エネルギーを有効活用することができる。
【0059】
さらに、電力変換装置からプラズマ発生に必要な電力を供給することができるので、プラズマ発生に必要な追加電源を不要とすることができる。
【0060】
プラズマアクチュエータPA10から発生した風を利用して回路内の一次巻線Prの励磁インダクタンスLm等の部品、もしくはヒートシンクなどを冷却することができる。このため、放熱効率を向上することができ、冷却器を含めた電力変換装置を小型化することができる。
【0061】
また、プラズマアクチュエータPA10に並列に図3に示すようなキャパシタC2を接続して、共振周波数を所望の共振周波数に調整することもできる。
【0062】
なお、本発明は、第1乃至第6の実施形態に係る電力変換装置に限定されるものではなく、第1乃至第6の実施形態に係る電力変換装置の内のいくつの実施形態に係る電力変換装置を組わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0063】
1,1a,1b 共振回路
2 ピーク電圧抑制共振回路
5 制御部
10,20 プラズマアクチュエータPA
11 誘電体
12 上部電極
13 下部電極
Q1,Q2 スイッチング素子
L1,L2 チョークコイル
L3,L4 インダクタ
C1,C2 キャパシタ
Tr トランス
Pr 一次巻線
S 二次巻線
Lm 励磁インダクタンス
Lr リーケージインダクタンス
P 入力正極端子
N 入力負極端子
T1,T2 入力端子
R 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6