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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179166
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】通知装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092296
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤掛 俊太
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA20
4C096AB44
4C096AD17
4C096AD19
4C096AD23
4C096EA07
4C096FC09
4C096FC20
(57)【要約】
【課題】 外気圧力の影響を受けることを抑制し、安定性および信頼性を向上すること。
【解決手段】実施形態に係る通知装置は、操作部と、検知部と、伝達部と、調整開口とを備えている。操作部は、気体を充填する内部空間を有している。検知部は、気体を検知する。伝達部は、内部空間に連通する一端と検知部に対向する他端とを有する連通路を具備し、操作部を検知部に接続している。調整開口は、操作部又は伝達部に設けられ、内部空間および連通路に外気を取入れることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が充填される内部空間を有する操作部と、
気体を検知する検知部と、
前記内部空間に連通する一端と前記検知部に対向する他端とを有する連通路を具備し、前記操作部を前記検知部に接続する伝達部と、
前記操作部又は前記伝達部に設けられ、前記内部空間および前記連通路に外気を取入れる調整開口と、
を備える通知装置。
【請求項2】
前記操作部は、非金属の弾性体で形成され前記内部空間を規定している中空の外被部を有している、請求項1に記載の通知装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記内部空間を有するシリンダと、前記シリンダに摺動可能に挿入されたピストン部を有する操作ロッドと、を備えている、請求項1に記載の通知装置。
【請求項4】
前記調整開口の内径は、前記連通路の内径の1/5以下の大きさである、請求項1に記載の通知装置。
【請求項5】
前記調整開口は、前記操作部に設けられ、
前記操作部は、前記調整開口を開閉する弁を有している、請求項1に記載の通知装置。
【請求項6】
前記伝達部は、前記連通路から分岐した分岐路と、前記分岐路の端に設けられた前記調整開口と、前記調整開口を開閉する弁と、を有している、請求項1に記載の通知装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記連通路の前記他端に気密に接続され、前記連通路内の圧力を検知する圧力センサを含んでいる、請求項1から6のいずれか1項に記載の通知装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記連通路の前記他端から流出する気体の流量を検知する流量センサを含んでいる、請求項1から3のいずれか1項に記載の通知装置。
【請求項9】
前記連通路の前記他端の開口は、前記調整開口を形成し、前記検知部の流出路を介して外部に連通している、請求項8に記載の通知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の検査装置として磁気共鳴イメージング装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging 装置)が知られている。磁気共鳴イメージング装置は、静磁場内に置かれた被検体に高周波磁場を印加し、高周波磁場の印加により被検体から発せられた磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号に基づいて被検体の撮像画像を生成する。
【0003】
磁気共鳴イメージング装置による検査中に用いる装置として、通知装置、例えば、ペイシェントコール、がある。検査中に被検体に不具合が生じた場合、被検体は通知装置により不具合をオペレータに通知することができる。
通知装置は、被検体によって操作される操作部と、圧力等の変化を検知する検知部と、操作部と検知部とをつなぐ伝達部とを有している。検知部は、警報装置に電気的に接続されている。通知装置の内部は、気密に密閉されている。このような通知装置では、被検体により操作部が押されることで伝達部内の圧力が変化すると、検知部は圧力変化を検知して検知信号を警報装置に出力する。これに応じて、警報装置は、警報音を鳴らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-153685号公報
【特許文献2】特開2005-322467号公報
【特許文献3】特開平2-52229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した通知装置は、内部が密閉された構造を有しているため、大気圧の変化によって内部圧力との差圧が変動し、意図した圧力で正常に動作しなくなる可能性がある。また、磁気共鳴イメージング装置に通知装置を据え付ける際(以下、単に「据付時」と称する)、据え付け場所の高度等により大気圧が変わるため、検知部や操作部の内圧の調整が必要となる。
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、外気圧力の影響を抑制し、安定性および信頼性を向上することにある。
本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る通知装置は、操作部と、検知部と、伝達部と、調整開口とを備えている。前記操作部は、気体を充填する内部空間を有している。前記検知部は、気体を検知する。前記伝達部は、前記内部空間に連通する一端と前記検知部に対向する他端とを有する連通路を具備し、前記操作部を前記検知部に接続している。前記調整開口は、前記操作部又は前記伝達部に設けられ、前記内部空間および前記連通路に外気を取入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の制御構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す通知装置の一例を示す断面図である。
図3A図3Aは、第1実施形態の第1変形例に係る通知装置の一部を示す断面図であり、操作部が操作されていない状態を示す断面図である。
図3B図3Bは、上記第1変形例に係る通知装置の一部を示す断面図であり、操作部が操作されている状態を示す断面図である。
図4A図4Aは、第1実施形態の第2変形例に係る通知装置の一部を示す断面図であり、逆止弁が開いている状態を示す断面図である。
図4B図4Bは、上記第2変形例に係る通知装置の一部を示す断面図であり、逆止弁が閉じている状態を示す断面図である。
図5図5は、第1実施形態の第3変形例に係る通知装置の一部を示す断面図である。
図6図6は、第1実施形態の第4変形例に係る通知装置の一部を示す断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置における通知装置の断面図である。
図8図8は、図7の線A-Aに沿った通知装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宣変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面や説明をより明確にするため、実際の様態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宣省略することがある。
【0009】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の構成を概略的に示すブロック図である。磁気共鳴イメージング装置10は、検査室Aに設置されるMRI本体12および通知装置(「ペイシェントコール」と称する場合もある)13と、操作室Bに設置される制御部14とを備えている。
【0010】
MRI本体12は、被検体を載置する寝台装置22と、被検体に高周波磁場を印加し撮影を行うガントリー21と、を有している。ガントリー21は、被検体を収容可能な撮影空間、撮影空間に静磁場を発生させるための静磁場磁石、傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場コイルなどを有している。寝台装置22は、被検体を載置するための図示しない天板と、撮影空間を通して天板を移動する駆動機構と、を有している。寝台装置22は、ガントリー21と連結及び連結解除が可能である。
【0011】
通知装置13は、操作部31と、伝達部32と、検知部33と、調整開口34と、を備えている。通知装置13は、例えば、寝台装置22に配置される。操作部31は、寝台装置22に載置された被検体によって操作される。第1実施形態において、検知部33は、気体の圧力を検知する圧力センサを含んでいる。検知部33は、所定値よりも高い圧力を検知した場合に、制御部14(詳細には後述する警告処理部42)に検知信号を送る。調整開口34は、操作部31あるいは伝達部32に設けられている。
【0012】
制御部14は、コントローラ41と、警告処理部42と、出力部43と、撮像画像あるいは種々の動作情報を表示するモニタ44と、を有している。コントローラ41は、MRI本体12及び警告処理部42に接続されている。コントローラ41は、寝台装置22の動作(被検体の移動)、ガントリー21の動作(被検体の撮影)を制御するとともに、撮像データの画像処理を実行し撮像画像をモニタ44に表示する。
【0013】
警告処理部42は、検知部33及び出力部43に接続されている。警告処理部42は、検知部33から送られた検知信号に基づいて圧力値を算出し、圧力値が所定の値を超えている場合に駆動信号を出力部43に出力する。出力部43は、例えば、警報器(ブザー、警告灯)であり、警告処理部42から駆動信号を受信すると振動、音、光などの警報を発生する。警告処理部42と検知部33とは、配線によって接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
また、警告処理部42は、駆動信号をコントローラ41に出力する。コントローラ41は、駆動信号を受信すると、寝台装置22および/あるいはガントリー21の動作を停止あるいは中断する。コントローラ41は、警報をモニタ44に表示しても良い。
【0014】
以下、通知装置13の構成について詳細に説明する。図2は、通知装置13の断面図である。図2に示すように、通知装置13は、操作部31と、伝達部32と、検知部33と、調整開口34と、を備えている。操作部31は、気体、ここでは空気が充填された内部空間を有する中空体で構成されている。本実施形態では、操作部31は、非金属の弾性体で形成され内部空間31aを有する中空、例えば、球状の外被部31bを有している。非金属の弾性体として、例えば、ゴムや合成樹脂などを用いることができる。外被部31bは、被検体が操作することにより、例えば、被検体が握ることにより、容易に押し潰されて内部空間31a内の空気を加圧することができる。
外被部31bは、内部空間31aを有する中空体であればよく、球体に限らず、他の種々の形状、例えば、筒状、蛇腹状の外被部としても良い。
【0015】
伝達部32は、非金属の長尺な中空部材、例えば、合成樹脂で形成されたチューブで構成されている。伝達部32は、操作部31に連結された一端部32aと、検知部33に接続された他端部32bと、一端部32aから他端部32bまで延びる連通路32cとを有している。一端部32aは、操作部31(外被部31b)に気密に連結されている。他端部32bは、検知部33に気密に固定されている。連通路32cの一端は、操作部31の内部空間31aに連通し、連通路32cの他端は、後述する検知部33の圧力センサに気密に対向している。
伝達部32(連通路32c)の内径D1は、例えば、2mm程度とすることができる。伝達部32の長さは、例えば、0.5~3m程度に形成される。伝達部32は、通知装置13の設置状況に応じて、種々の長さ、内径を選択可能である。
なお、伝達部32は、別体に限らず、操作部31(外被部31b)と一体に成形されてもよい。
【0016】
検知部33は、伝達部32の他端部32bに固定された筐体33cと、筐体33c内に設けられた圧力センサ33aと、圧力センサ33aと警告処理部42とを電気的に接続する配線33bと、を有している。圧力センサ33aは、連通路32cの他端開口と対向している。一例では、圧力センサ33aは、連通路32cの内部圧力と大気圧との差圧(ゲージ圧)を検知する圧力センサを含んでいる。検知部33は、圧力センサ33aで検出した圧力を検知信号に変換して警告処理部42に送る。警告処理部42は、検知部33から送られる検知信号(圧力値)をモニタリングし、所定の値以上の圧力値が入力された場合に、駆動信号を出力部43およびコントローラ41に出力する。
【0017】
第1実施形態によれば、調整開口34は、操作部31に設けられている。調整開口34は、外被部31bに形成され、外被部31bの内部空間31aと外部とを連通している。一例では、調整開口34は、外被部31bのうち、伝達部32に連結されている端部と反対側の端部に、設けられている。ただし、調整開口34の形成位置は、これに限らず、外被部31bの他の位置に設けても良い。また、後述するように、調整開口34は、操作部31に限らず、伝達部32に設けられても良い。
調整開口34を通して、内部空間31aおよび連通路32cに外気が取入れられる。これにより、操作部31が操作されていない状態では、内部空間31aの内部圧力および連通路32cの内部圧力は、外気の圧力(大気圧)と等しくなる。
【0018】
調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1の1/5以下であることが好ましく、例えば、0.3mm程度に設定している。調整開口34を十分に小さくすることにより、操作部31を操作した際、調整開口34から大気に逃げる圧力よりも、伝達部32を介して検知部33に伝わる圧力を充分に大きくすることができる。
【0019】
通知装置13において、操作部31は、被検体によって操作可能な位置、例えば、寝台装置22の天板の上に配置される。検知部33は、検査室Aにおいて、ガントリー21から発生する磁場の影響を受けにくく、かつ、磁場に影響を与えにくい位置に設けられる。検知部33は、例えば、寝台装置22の天板の裏面に設けられる。検知部33は、配線33bを介して、あるいは、無線により、操作室B内の警告処理部42に電気的に接続される。
検査中、寝台装置22に載置された被検体により操作部31が操作されると、例えば、操作部31が握られると、外被部31bが潰れ、内部空間31aの内部圧力が上昇する。上昇した圧力は伝達部32に伝わり、更に、伝達部32から検知部33の圧力センサ33aに印加される。圧力センサ33aは、印加された圧力と大気圧との差圧を検知信号に変換して制御部14の警告処理部42に送る。警告処理部42は、検知信号に基づいて圧力値を算出する。圧力値が所定の値以上の場合、警告処理部42は、出力部43に出力信号を送る。出力信号に応じて、出力部43は、警報を発生し、オペレータに通知する。
【0020】
上記のように構成された第1実施形態に係る通知装置13によれば、操作部31に調整開口34を設けることにより、調整開口34を通して、通知装置13の内部空間31aおよび連通路32cに外気を取り入れ、通知装置13の内部圧力を、設置場所の大気圧と等しい圧力にすることができる。これにより、大気圧の変動に起因する誤動作を無くし、安定性および信頼性の向上した通知装置を得ることができる。同時に、通知装置の据付作業時の圧力調整が不要となり、据付作業の簡素化を図ることができる。
【0021】
次に、この発明の変形例および他の実施形態に係る通知装置について説明する。以下に述べる変形例および他の実施形態において、前述した第1実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第1変形例)
第1実施形態の第1変形例について説明する。図3Aは、第1変形例に係る通知装置13の一部を示す断面図であり、操作部31が操作されていない状態を示す断面図である。図3Bは、第1変形例に係る通知装置13の一部を示す断面図であり、操作部31が操作されている状態を示す断面図である。
【0022】
図3Aに示すように、操作部31は、調整開口34を開閉する開閉弁を備えている。第1変形例では、開閉弁として、舌片状の逆止弁35を用いている。逆止弁35は、外被部31bの内面に固定され、調整開口34に対向している。内部空間31aの内部圧力が外気圧よりも低い場合、逆止弁35が開き、調整開口34を通して外気が内部空間31aに取り入れられる。
図3Bに示すように、操作部31を操作することにより内部空間31aの内部圧力が上昇すると、逆止弁35は内部圧力により外被部31bの内面に押し付けられ、調整開口34を閉塞する。これにより、逆止弁35は、内部空間31aから外部へ空気が流出することを制限する。
【0023】
以上のように、操作部31を操作していない状態では、逆止弁35は、調整開口34からの外気の流入を許容し、操作部31を操作している状態では、逆止弁35は、調整開口34を閉じて内部空間31aからの空気の流出を規制する。
なお、第1変形例において、調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1の1/5以下に制限されることなく、任意の径に設定可能である。すなわち、内径D2を大きくした場合でも、逆止弁35により調整開口34からの空気の流出を確実に規制することができる。
【0024】
上記のように構成された第1変形例に係る通知装置13によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。更に、第1変形例によれば、操作部31の操作時、外部への空気の流出を一層確実に規制することができ、通知動作の安定性および信頼性を一層向上することが可能となる。また、調整開口34の内径D2の大きさを制限することがなく、操作部31の設計の自由度を上げることができる。
【0025】
(第2変形例)
次に、上記第1実施形態の第2変形例について説明する。図4Aは、第2変形例に係る通知装置の一部を示す断面図であり、開閉弁が閉じている状態の通知装置の断面図である。図4Bは、第2変形例に係る通知装置の一部を示す断面図であり、開閉弁が開いている状態の通知装置の断面図である。
【0026】
図4Aに示すように、操作部31は、調整開口34を開閉する開閉弁38を備えている。第2変形例によれば、開閉弁38は、筒状の弁座38aと、弁座38aに対向する板状の弁体38bと、弁体38bと外被部との間に架設された付勢部材、例えば、引っ張りばね38cと、弁体38bに連結された、あるいは、弁体38bと一体に成形された押圧ロッド38dと、を有している。弁座38aは、一端部が調整開口34に嵌合した状態で外被部31bに固定され、調整開口34から内部空間31aに突出している。弁体38bは、内部空間31a内に配置され弁座38aの他端開口に対向している。押圧ロッド38dは、弁体38bから弁座38aおよび調整開口34を通って外被部31bの外方に延出している。引っ張りばね38cは、弁体38bを弁座38aに向けて付勢している。
開閉弁38の各構成部材は、非金属、例えば、合成樹脂で形成されている。引っ張りばね38cは、コイルばね、あるいは、板ばねのいずれでも良い。
【0027】
図4Aに示すように、通常状態において、開閉弁38の弁体38bは、引っ張りばね38cにより弁座38aに向かって付勢され、弁座38aの他端に密着することにより調整開口34を閉塞している。操作部31を操作することにより内部空間31aの内部圧力が上昇した場合でも、弁体38bは、弁座38aに密着した閉塞位置に保持される。
図4Bに示すように、操作部31の外側から内側に向かって押圧ロッド38dを押し込むことにより、弁体38bが弁座38aから離間し、調整開口34が開放される。開閉弁38を開放することにより、調整開口34を通して外気が内部空間31aおよび連通路32cに取り込まれる。これにより、通知装置13の内部の圧力は外部の気圧(大気圧)と等しい値となる。
【0028】
以上のように、第2変形例によれば、例えば、検査開始前に、押圧ロッド38dを押し込んで調整開口34を開放することにより、通知装置13内の圧力を大気圧に合わせることができる。圧力調整後、押圧ロッド38dを離すと、弁体38bにより調整開口34が閉塞され、通知装置13内の圧力は大気圧に保たれる。この状態で、被検体により操作部31bが操作されると、通知装置13の内の圧力は、調整開口34から外部に漏れることなく、全て検知部33に伝わり、正確に検知される。
なお、第2変形例において、調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1の1/5以下に制限されることなく、任意の径に設定可能である。内径D2を大きくした場合でも、開閉弁38により調整開口34からの空気の流出を確実に規制することができる。
【0029】
上記のように構成された第2変形例に係る通知装置13によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、第2変形例によれば、開閉弁38の押圧ロッド38dを押し込むだけの簡単な操作により、通知装置13内の圧力を所望の圧力、ここでは、大気圧に調整することができる。操作部31の操作時、外部への空気の流出を一層確実に規制することができ、通知動作の安定性および信頼性を一層向上することが可能となる。
なお、開閉弁38の構造、形状等は、上述した第2変形例に限定されることなく、種々変更可能である。
【0030】
(第3変形例)
次に、上記第1実施形態の第3変形例について説明する。図5は、第3変形例に係る通知装置の一部を示す断面図である。
図5に示すように、第3変形例によれば、調整開口34は、通知装置13の伝達部32に設けられている。詳細には、伝達部32は、連通路32cの中途部から分岐した分岐路32dと、分岐路32dの先端開口を閉塞した端壁32eとを有している。調整開口34は、端壁32eに形成され分岐路32dに連通している。
【0031】
伝達部32は、調整開口34を開閉する開閉弁を更に備えている。第3変形例では、開閉弁として、舌片状の逆止弁35を用いている。逆止弁35は、端壁32eの内面に固定され、調整開口34に対向している。内部空間31a、連通路32c、および分岐路32dの内部圧力が外気圧よりも低い場合、逆止弁35が開き、調整開口34を通して外気が通知装置13内に取り入れられる。これにより、通知装置13内の圧力は、外気圧(大気圧)と等しくなる。
操作部31を操作することにより内部空間31a、連通路32c、分岐路32dの気圧が上昇すると、逆止弁35は気圧により端壁32eの内面に押し付けられ、調整開口34を閉塞する。これにより、逆止弁35は、分岐路32dから外部へ空気が流出することを制限する。
【0032】
以上のように、操作部31を操作していない状態では、逆止弁35は、調整開口34からの外気の流入を許容し、操作部31を操作している状態では、逆止弁35は、調整開口34を閉じて調整開口34からの空気の流出を規制する。
第3変形例において、調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1の1/5以下に制限されることなく、任意の径に設定可能である。すなわち、内径D2を大きくした場合でも、逆止弁35により調整開口34からの空気の流出を確実に規制することができる。また、第3変形例において、逆止弁35を省略しても良い。逆止弁35を省略する場合、調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1の1/5以下に形成することが望ましい。
更に、第3変形例において、開閉弁は逆止弁に限らず、他の種々の開閉弁、例えば、図4Aに示したような開閉弁を用いることが可能である。
【0033】
上記のように構成された第3変形例に係る通知装置13によれば、前述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。更に、第3変形例によれば、操作部31の操作時、外部への空気の流出を一層確実に規制することができ、通知動作の安定性および信頼性を一層向上することが可能となる。また、調整開口34の内径D2の大きさを制限することがなく、通知装置13の設計の自由度を上げることができる。
【0034】
(第4変形例)
次に、上記第1実施形態の第4変形例について説明する。図6は、第4変形例に係る通知装置の一部を示す断面図である。
図6に示すように、第4変形例によれば、通知装置13は、シリンジ状の操作部31を有している。詳細には、操作部31は、気体が充填される内部空間31aを有するシリンダ36と、シリンダ36内に摺動自在に挿入されたピストン部37bを有する操作ロッド37と、を備えている。シリンダ36および操作ロッド37は、非金属、例えば、合成樹脂で形成されている。
シリンダ36は、中心軸線Cを有する内周面36aと、端壁により閉塞された閉塞端36bと、開口した開口端36cと、を有している。シリンダ36の内周面36a、閉塞端36b、およびピストン部37bにより、シリンダ36の内部空間31aが規定されている。
【0035】
操作ロッド37は、中心軸線Cに沿って延びるロッド部37aと、ロッド部37aの一端に設けられシリンダ36内に位置するピストン部37bと、ロッド部37aの他端に設けられた押圧端部37cと、を一体に有している。ピストン部37bは、円柱形状に形成され、全周に亘ってシリンダ36の内周面36aに摺接した外周面37dを有している。ロッド部37aは、ピストン部37bから開口端36cを通してシリンダ36の外方に延出している。
伝達部32の一端部32aがシリンダ36の閉塞端36bに気密に連結されている。伝達部32の連通路32cは、シリンダ36の内部空間31aに連通している。
【0036】
操作部31においては、被検体により操作ロッド37の押圧端部37cが押されると、ピストン部37bはシリンダ36内に押し込まれ内部空間31aを圧縮する。これにより、内部空間31aの圧力が上昇する。上昇した圧力は、伝達部32の連通路32cを介して検知部33に伝わり、検知部33により検知される。検知された圧力値が所定の圧力値以上の場合、コントローラ41は出力部43から警報を発することにより、オペレータに通知する。
【0037】
第4変形例によれば、シリンダ36に調整開口34が設けられ、シリンダ36の内部空間31aは、調整開口34を介して外部に連通している。調整開口34を通して、内部空間31aおよび連通路32cに外気が取入れられる。これにより、操作部31が操作されていない状態では、内部空間31aの内部圧力および連通路32cの内部圧力は、外気の圧力(大気圧)と等しくなる。
【0038】
調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1の1/5以下であることが好ましく、例えば、0.3mm程度に設定している。調整開口34を十分に小さくすることにより、操作部31を操作した際、調整開口34から大気に逃げる圧力よりも、伝達部32を介して検知部33に伝わる圧力を充分に大きくすることができる。
なお、調整開口34は、操作部31に限らず、伝達部32に設けられても良い。また、調整開口34を開閉する開閉弁を設けても良い。
上記のように構成された第4変形例に係る通知装置13によれば、前述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、大気圧の変動に影響されることなく、誤動作を防止し、安定性および信頼性の向上した通知装置をえることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の通知装置の断面図、図8は、図7の線A-Aに沿った通知装置の断面図である。
図7に示すように、通知装置13は、操作部31と、伝達部32と、検知部33とを備えている。操作部31は、中空の、例えば、球状の外被部31bを有し、外被部31bにより密閉された内部空間31aが規定されている。伝達部32は、長尺な中空部材、例えば、合成樹脂で形成されたチューブで構成されている。伝達部32は、操作部31に気密に連結された一端部32aと、検知部33に対向する他端部32bと、一端部32aから他端部32bまで延びる連通路32cとを有している。連通路32cの一端は、操作部31の内部空間31aに連通し、連通路32cの他端は、検知部33に対向している。伝達部32(連通路32c)の内径D1は、例えば、2mm程度とすることができる。伝達部32の長さは、例えば、0.5~3m程度に形成される。
【0040】
第2実施形態において、伝達部32の他端の開口は、流出口および調整開口34として機能する。調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1の1/5以下に制限されない。一例では、調整開口34の内径D2は、連通路32cの内径D1と同一に形成されている。
なお、伝達部32は、別体に限らず、操作部31(外被部31b)と一体に成形されてもよい。
【0041】
第2実施形態によれば、検知部33は、気体の流量を検知する流量センサを備えている。図7および図8に示すように、検知部33は、ほぼ角柱形状の筐体50と、筐体50を支持する支持板51と、を有している。筐体50は、伝達部32の側を向いた第1端面50aと、第1端面50aに間隔を置いて対向する第2端面50bと、支持板51に当接した底面50cと、を有している。筐体50は、底面50cが支持板51に載置された状態で、留め具54aにより支持板51に固定されている。留め具54aは、ゴムあるいは合成樹脂等の非金属で形成されていることが好ましい。
筐体50は、第1端面50aに開口する溝あるいは凹所52aと、凹所52aの底部から第2端面50bまで延びる流出路52bと、を有している。流出路52bは、第2端面50bに開口した排気口を有し、外部に連通している。凹所52aは、例えば、内径D4の円形に形成されている。
【0042】
流出路52bの中途部に、流量センサ33dが設けられている。流量センサ33dは、配線33bを介して制御部14の警告処理部42(図1参照)に電気的に接続されている。流量センサ33dは、流出路52bを流れる気体、ここでは、空気、の流量を検出し、検知信号に変換して警告処理部42に送る。一例では、流量センサ33dとして、流量検知素子を用いることができる。流量検知素子は、気体が通過する際の温度差を起電力として取得することで気体の流量を検知する。
【0043】
伝達部32の他端部32bは、留め具54bにより支持板51に固定され、検知部33に対して所定の位置に保持されている。すなわち、所定位置において、他端部32bは、筐体50の凹所52a内に差し込まれ、検知部33に気密に固定されている。同時に、他端部32bの調整開口34は、凹所52aの底面に比較的大きな隙間を置いて対向している。留め具54bは、ゴムあるいは合成樹脂等の非金属で形成されていることが好ましい。
伝達部32の調整開口34は、凹所52aおよび流出路52bを介して外部に連通している。通知装置13の非操作状態では、流出路52b、凹所52aおよび調整開口34を通して、外気が伝達部32および内部空間31aに取り込まれる。これにより、通知装置13の内部の圧力は外部の気圧(大気圧)と等しくなり、操作部31は、潰れることなく膨らんだ状態に維持される。
【0044】
伝達部32の他端部32bと筐体50との固定について説明する。図8に示すように、凹所52aの内径D4は他端部32bの外径D3と同じ大きさで形成されている。凹所52aの内において、他端部32bの外周面は、凹所52aの内周面に密着している。
【0045】
上記のように構成された通知装置13によれば、被検体により操作部31が操作されると、例えば、操作部31が握り潰されると、内部空間31aおよび連通路32cに充填されていた空気が押し出され調整開口34から検知部33の凹所52aに流出する。流出した空気は、流出路52bを流通した後、検知部33の外部に排気される。流量センサ33dは、流出路52bを流通する空気の流量を検知し、検知信号を制御部14の警告処理部42に送る。警告処理部42は、検知信号に基づいて流量を算出する。流量が所定の値以上の場合、警告処理部42は、出力部43に出力信号を送る。出力部43は、出力信号に応じて警報を発生し、オペレータに通知する。
一方、操作部31を操作していない状態では、流出路52bおよび凹所52aを介して伝達部32の調整開口34から外気が取り込まれ、伝達部32および内部空間31aの内部圧力は大気圧と等しくなる。そのため、操作部31は、潰れることなく膨らんだ状態に維持される。
【0046】
上記のように構成された第2実施形態に係る通知装置13によれば、検知部33は、伝達部32から流出する気体の流量を検知する流量センサを有し、伝達部32は、流出路52bを介して外部に連通した調整開口34を有している。これにより、通知装置13は、外気圧力に影響されることなく、安定した検知動作、通知動作を行うことができる。よって、第2実施形態においても、安定性および信頼性の向上した通知装置が得られる。
【0047】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、外気圧力の影響を受けることを抑制し、通知装置の安定性および信頼性を向上することができる。安定した通知装置の動作を可能にすることができる。
【0048】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。必要に応じて、複数の実施形態を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…磁気共鳴イメージング装置、12…MRI本体、13…通知装置、
14…制御部、21…ガントリー、22…寝台装置、31…操作部、
31a…内部空間、31b…外被部、32…伝達部、32a…一端部、
32b…他端部、32c…連通路、32d…分岐路、33…検知部、
34…調整開口、35…逆止弁、36…シリンダ、37…操作ロッド、
38…開閉弁、41…コントローラ、42…警告処理部、
43…出力部、D1、D2…内径
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8