(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179167
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】光受信機
(51)【国際特許分類】
H04B 10/69 20130101AFI20231212BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H04B10/69
H05K5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092300
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】519153165
【氏名又は名称】スターデジタル通信株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】グー シーヨン
(72)【発明者】
【氏名】光瀬 拓三
【テーマコード(参考)】
4E360
5K102
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB64
4E360AB70
4E360CA02
4E360EA05
4E360EA12
4E360EB02
4E360GA29
4E360GB99
5K102AB02
5K102AN01
5K102PH31
5K102RD05
(57)【要約】
【課題】
無給電時にも高周波信号を給電時と同じ端子から出力するとともにシール材やパッキン材の劣化のおそれのない防滴ケースに回路が収められている光受信機を提供する。
【解決手段】
光ファイバーを伝送路として一般個人宅へ直接引き込む、アクセス系光通信の網構成に用いられる光受信機であって、光ファイバーからの光信号を受光してRF信号に変換する受光器と、該RF信号を処理する処理回路と、給電状態により該RF信号の伝達経路を切り替えるRFスイッチとを有する信号処理部を備え、前記光受信機への給電が停止されたときに、前記RFスイッチにより前記RF信号を増幅しないでRF出力端子へ出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーを伝送路として一般個人宅へ直接引き込む、アクセス系光通信の網構成に用いられる光受信機であって、
光ファイバーからの光信号を受光してRF信号に変換する受光器と、該RF信号を処理する処理回路と、給電状態により該RF信号の伝達経路を切り替えるRFスイッチとを有する信号処理部を備え、
前記光受信機への給電が停止されたときに、前記RFスイッチにより前記RF信号を増幅しないでRF出力端子へ出力することを特徴とする光受信機。
【請求項2】
前記信号処理部が、前記受光器に接続される第1RFスイッチと、前記RF出力端子に接続される第2RFスイッチと、を備えることを特徴とする請求項1記載の光受信機。
【請求項3】
前記第1RFスイッチが無給電時に前記受光器との間にインダクターを有する閉回路を形成することを特徴とする請求項2に記載の光受信機。
【請求項4】
無給電時の前記第1RFスイッチと、前記第2RFスイッチの回路切り替え動作が、フェールセーフモードによるものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光受信機。
【請求項5】
前記信号処理部がシール材またはパッキン材を用いること無く構成される防滴ケースに収められていることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の光受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーを伝送路として一般個人宅へ直接引き込む、アクセス系光通信の網構成に用いられる光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
アクセス系光通信の網構成に用いられる光受信機については様々な機種が開発され開示されている。例えば、省電力を目的にした光受信端末装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、給電がされない非常時に動作する光受信装置が特許文献2に開示されている。
【0004】
屋外に設置されるアクセス系光通信の網構成に用いられる光受信機は防滴構造が必要になるのでケーブルの出入りがある防水ケースが特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-135880号公報
【特許文献2】特開2010-136018号公報
【特許文献3】特開2006-351905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、省電力ではあるが無給電
状態への対応がなされていない。
【0007】
特許文献2に記載された発明は商用電源が停電して無給電になる場合は、常時使用する給電時出力端子ではなく、無給電出力端子から高周波信号が出力されるので給電状態により端子の切り替えが必要になるので高周波信号の受け入れ回路が複雑化する。
【0008】
特許文献3に記載された発明は、防滴機能を実現するために、回路を内蔵するベースとこれに被せるカバーに挟まれる外周パッキングを使用し該パッキンの劣化による防水機能の低下の不安が残る。
【0009】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、無給電時にも高周波信号を給電時と同じ端子から出力するとともにシール材やパッキン材の劣化のおそれのない防滴ケースに回路が収められている光受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光受信機100は、光ファイバーを伝送路として一般個人宅へ直接引き込む、アクセス系光通信の網構成に用いられる光受信機であって、光ファイバーからの光信号を受光してRF信号に変換する受光器と、該RF信号を処理する処理回路と、給電状態により該RF信号の伝達経路を切り替えるRFスイッチとを有する信号処理部を備え、前記光受信機への給電が停止されたときに、前記RFスイッチにより前記RF信号を増幅しないでRF出力端子へ出力することを特徴とする光受信機である。
【0011】
光ファイバーからの光信号を受光してRF信号に変換する受光器と、該RF信号を処理する処理回路と、給電状態により該RF信号の伝達経路を切り替えるRFスイッチとを有する信号処理部を備え、前記光受信機への給電が停止されたときに、前記RFスイッチにより前記RF信号を増幅しないでRF出力端子へ出力するので、使用者は給電時と無給電時とでRF出力を利用する機器の入力回路の切り替えが不要になる。
【0012】
請求項2に記載された発明は、前記信号処理部が、前記受光器に接続される第1RFスイッチと、前記RF出力端子に接続される第2RFスイッチを備えることを特徴とする請求項1記載の光受信機である。
【0013】
前記信号処理部が、受光器に接続される第1RFスイッチと、RF出力端子に接続される第2RFスイッチと、を備えるので無給電時の動作の確実性の向上を図れる。
【0014】
が
請求項3に記載された発明は、前記第1RFスイッチが無給電時に前記受光器との間にインダクターを有する閉回路を形成することを特徴とする請求項2に記載の光受信機である。
【0015】
第1RFスイッチが無給電時に前記受光器との間にインダクターを有する閉回路を形成するので受光器から効果的にRF信号を得ることができる。
【0016】
請求項4に記載された発明は無給電時の前記第1RFスイッチと、前記第2RF端子スイッチの回路切り替え動作が、フェールセーフモードによるものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光受信機である。
【0017】
無給電時の第1RFスイッチと、第2RF端子スイッチの回路切り替え動作が、フェールセーフモードによるものであるので無給電時の動作の確実性の向上を図れる。
【0018】
請求項5に記載された発明は、前記信号処理部がシール材またはパッキン材を用いること無く構成される防滴ケースに収められていることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の光受信機である。
【0019】
前記信号処理部がシール材またはパッキン材を用いること無く構成される防滴ケースに収められているのでシール材またはパッキン材の経年劣化の不安が無く製造費用の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】防滴ケースに収められた状態の光受信機の外観図である。
【
図2】光入出力端子及びRF出力端子の配置説明図である。
【
図3】(A)処理回路のブロック図、(B)無給電時の接続説明図である。
【
図4】(A)本体ケース、(B)蓋の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は光ファイバーを伝送路として一般個人宅へ直接引き込む、アクセス系光通信の網構成に用いられる光受信機であって、光ファイバーからの光信号を受光してRF信号に変換する受光器と、該RF信号を処理する処理回路と、給電状態により該RF信号の伝達経路を切り替えるRFスイッチとを有する信号処理部を備え、前記光受信機への給電が停止されたときに、前記RFスイッチにより前記RF信号を増幅しないでRF出力端子へ出力するので、使用者は光受信機への給電への故障の不安から開放される。
【0022】
図1に本発明に係る光受信機(VONU)の外観図を示す。VONUを屋外設置する場合は
図1の下方に見える端子を下に向けて建物の壁面などへ装着する。VONUは後述する本体ケース200を覆うように蓋201が用意されているので雨水などの影響を受け難いJIS4級の防滴ケースになる。
【0023】
図2(A)に示すのはVONUの入出力部分である。本体ケースの端子取付け面204には、光ケーブルの入出力端子10,5、RF出力端子7、の他に電源及び光入力の有無を示すLEDランプ8,9が取り付けられる。蓋201の端子取付け面に掛かる部分は本体ケースの上部のみを覆い光ケーブルの入出力端子10,5の部分が切り欠けされている。
【0024】
図3(A)にVONUの光入力からRF出力に至るブロック図を示す。
図3(A)の左端に受光器であるフォトダイオード300が光ファイバからの光出力を光電気変換して高周波信号(RF信号)へ変換する。電圧変換機305はRF出力端子が受電する外部から重畳される直流電源の電圧を処理回路に適合した電圧に変換して処理回路への給電を行う。
【0025】
給電されているときは第1RFスイッチによりフォトダイオード300が無給電回路からきり離され、RF信号がリレーを介してイコライザーアンプ303へ送られる。RF信号は自動増幅器制御回路(AGC)302により適正レベルにその大きさを調整される。
【0026】
その後、RF信号は外部出力を得るためにパワーアンプ304へ送られ外部機器に適合する信号レベルまで増幅される。増幅された信号はスイッチ、アッテネータを通ってRF出力端子309へ送られ外部機器へ供給される。
【0027】
図3(B)に無給電時の動作を説明するブロック図を示す。無給電時用の回路は回路切り替え動作をする2個のRFスイッチを備える。このブロック図に示すように無給電時はフォトダイオード300は第1RFスイッチ306により無給電回路へ接続されてフォトダイオード300とインダクター301による閉回路を形成する。インダクター301をフォトダイオードへ接続することでフォトダイオード300からのRF信号のレベルが向上することを実験で確認した。今回の構成では、インダクター301は820nHが好適であった。また、第1RFスイッチ及び第2RFスイッチは共に無給電時への回路切り替え動作がフェールセーフモードになるように構成しているので無給電時の動作が確実となる。
【0028】
フォトダイオード300からのRF信号はマイクロストリップ回路などの導波路により第2RFスイッチ307へ伝送される。第2RFスイッチ307は、給電時のAMPからのRF信号と、無給電時の第1RFスイッチ306からのRF信号と、を給電状態により切り替えてRF出力端子309へRF信号を出力する。2個のRFスイッチを用いることで給電時の回路に悪影響を与えることなく無給電時にも十分な高周波信号を外部機器へ供給することができる。
【0029】
VONUの外筐を
図4に示す。
図4(A)が本体ケース200で
図4(B)が蓋201である。処理回路は本体ケース200に収められ、光入出力端子やRF出力端子が本体ケースの端子取付け面204へ取り付けられる。端子取付け面204には、通電状態を表すLEDランプや光入力の有無を示すLEDランプによる表示もされる。
【0030】
蓋201は本体ケースの底面及び端子取付け面204以外の部分を完全に覆うとともに端子取付け面204には、光入出力端子やRF出力端子の部分を切り欠いた庇205が設けられている。本体ケース200と蓋201とはその間にシール材やパッキン材を使わずに密に組み合わされてJIS4級の防滴ケースを形成することができた。
【0031】
本願発明の光受信機(VONU)を用いることで通電故障による信号遮断の不安が払しょくされ光ファイバー回線の信頼性向上に役立つので通信業界での経済的効果は大きい。
【符号の説明】
【0032】
100 光受信機(VONU)
200 本体ケース
201 蓋
204 端子取付け面
205 庇
300 受光器(フォトダイオード)
301 インダクター
302 AGC増幅器
303 イコライザー増幅器
304 パワー増幅器
305 電圧変換機
306 第1RFスイッチ
307 第2RFスイッチ
309 RF出力端子