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特開2023-179170梱包不良検出装置、梱包不良検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179170
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】梱包不良検出装置、梱包不良検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/18 20060101AFI20231212BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65B57/18
G01N21/89 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092304
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲
(72)【発明者】
【氏名】篠木 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】本田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】橋本 猛史
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB13
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA06
2G051EB01
2G051ED07
(57)【要約】
【課題】多様な梱包不良の検出が可能な検出技術を提供する。
【解決手段】開口部をテープで封止された梱包物品の搬送経路に、前記梱包物品の通過を検出する物体センサなどの物品検出部と、前記梱包物品の開口部に設けられた外フラップの自由端同士を当接させて形成した閉じ目を含むように、前記梱包物品に貼付された梱包テープに対して投光を行う発光部と、前記梱包物品とテープに反射した反射光を受光する受光部と、を、有するセンサ部と、前記センサ部で取得した前記梱包物品と、前記梱包テープの反射率の差を算出する演算部と、異常を報知する報知部と、を、備え、前記反射率の差が規定値から外れた場合に、前記報知部から報知を行う、梱包不良検出装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部をテープで封止された梱包物品の搬送経路に、
前記梱包物品の通過を検出する、物体センサなどの物品検出部と、
前記梱包物品の開口部に設けられた外フラップの自由端同士を当接させて形成した閉じ目を含むように、前記梱包物品に貼付された梱包テープに対して投光を行う発光部と、
前記梱包物品とテープに反射した反射光を受光する受光部と、
を、有するセンサ部と、
前記センサ部で取得した前記梱包物品と、前記梱包テープの反射率の差を算出する演算部と、
異常を報知する報知部と、
を、備え、
前記反射率の差が規定値から外れた場合に、前記報知部から報知を行う、
梱包不良検出装置。
【請求項2】
前記梱包物品の底面および天面に、検出軸が前記梱包物品の底面および天面と略垂直になるように、前記発光部と前記受光部とを設けた、
請求項1に記載の梱包不良検出装置。
【請求項3】
前記梱包物品の搬送経路は、前記梱包物品の重力方向下側に間欠的に設けられて、搬送方向に回転する搬送ローラを有し、
前記梱包物品の底面に設けられる前記発光部と前記受光部は、
前記搬送ローラの隙間に設けられている、
請求項2に記載の梱包不良検出装置。
【請求項4】
前記搬送経路には、所定半径で湾曲する湾曲搬送部が設けられ、
前記梱包物品が前記湾曲搬送部における前記湾曲搬送部に達する前の搬送経路の延長線上の外側側面と、前記梱包物品が前記湾曲搬送部における前記湾曲搬送部を通過後の搬送経路の仮想延長線上の外側側面に、前記発光部と前記受光部とを更に設けた、
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の梱包不良検出装置。
【請求項5】
前記搬送経路は、重力方向上側に斜行傾斜する上方傾斜部と、重力方向下側に斜行傾斜する下方傾斜部からなる傾斜搬送部を有し、
前記上方傾斜部と、前記下方傾斜部との間には、通常の搬送経路の重力方向上側で水平面と平行に移動する平行搬送部が設けられ、
前記傾斜搬送部の前後であって前記梱包物品と干渉しない重力方向上側に、前記発光部と前記受光部を、検出軸が前記平行搬送部を移動する前記梱包物品の搬送方向前面の幅面および搬送方向背面の幅面と略垂直になるように更に設けた、
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の梱包不良検出装置。
【請求項6】
開口部をテープで封止された梱包物品の搬送経路に設けられたセンサ部で、
前記梱包物品の通過を検出する物品検出ステップと、
前記梱包物品の開口部に設けられた外フラップの自由端同士を当接させて形成した閉じ目を含むように、前記梱包物品に貼付された梱包テープに対して発光部により投光を行う投光ステップと、
前記梱包物品と前記梱包テープに反射した反射光を、受光部により受光する受光ステップと、
前記センサ部で取得した前記梱包物品と、前記テープの反射率の差を算出する演算ステップと、
前記反射率の差が規定値から外れた場合に、異常を報知する報知ステップと、
を、含む、
梱包不良検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包不良検出装置、梱包不良検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等で製造された製品の流通には、段ボール箱等の組み立て式の梱包箱が利用されることがある。梱包箱を利用する場合、組み立てた梱包箱に製品を詰めて、ステープラーやテープで閉じ目を封止し、これを流通させる。これらの工程は、製函機・封函機などにより自動化されていることがある。
【0003】
テープ等による封止は、正しく行われている必要がある。封止が不十分である場合、流通過程において梱包から製品が逸脱する虞が生じるためである。封止が不十分な梱包箱を検出するため、梱包箱の封止状態を、撮影画像に基づいて検出可能な画像処理装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-076559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像処理装置では、梱包箱とテープの閉じ目部分のコントラスト比を用いて、封止状態を検出する。しかし、テープが透明な場合、また、コントラスト比により封止状態を検出する方法では、梱包箱とテープの色が近い場合に梱包箱とテープのコントラスト比が小さくなり、封止状態を正しく検出できない可能性がある。
【0006】
本発明は、より多様な梱包不良を正確に検出可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、センサで反射率の差を検出するようにした。
【0008】
本発明は、具体的には、開口部をテープで封止された梱包物品の搬送経路に、前記梱包物品の通過を検出する、物体センサなどの物体センサなどの物品検出部と、前記梱包物品の開口部に設けられた外フラップの自由端同士を当接させて形成した閉じ目を含むように、前記梱包物品に貼付された梱包テープに対して投光を行う発光部と、前記梱包物品とテープに反射した反射光を受光する受光部と、を、有するセンサ部と、前記センサ部で取得した前記梱包物品と、前記梱包テープの反射率の差を算出する演算部と、異常を報知する報知部と、を、備え、前記反射率の差が規定値から外れた場合に、前記報知部から報知を行う、梱包不良検出装置である。
【0009】
前記梱包物品の底面および天面に、検出軸が前記梱包物品の底面および天面と略垂直になるように、前記発光部と前記受光部とを設けてよい。
【0010】
前記梱包物品の搬送経路は、前記梱包物品の重力方向下側に間欠的に設けられて、搬送方向に回転する搬送ローラを有し、前記梱包物品の底面に設けられる前記発光部と前記受光部は、前記搬送ローラの隙間に設けられていてよい。
【0011】
前記搬送経路には、所定半径で湾曲する湾曲搬送部が設けられ、前記梱包物品が前記湾
曲搬送部における前記湾曲搬送部に達する前の搬送経路の延長線上の外側側面と、前記梱包物品が前記湾曲搬送部における前記湾曲搬送部を通過後の搬送経路の仮想延長線上の外側側面に、前記発光部と前記受光部とを更に設けてよい。
【0012】
前記搬送経路は、重力方向上側に斜行傾斜する上方傾斜部と、重力方向下側に斜行傾斜する下方傾斜部からなる傾斜搬送部を有し、前記上方傾斜部と、前記下方傾斜部との間には、通常の搬送経路の重力方向上側で水平面と平行に移動する平行搬送部が設けられ、前記傾斜搬送部の前後であって前記梱包物品と干渉しない重力方向上側に、前記発光部と前記受光部を、検出軸が前記平行搬送部を移動する前記梱包物品の搬送方向前面の幅面および搬送方向背面の幅面と略垂直になるように更に設けてよい。
【0013】
また、本発明は方法の側面から捉えることもできる。例えば、開口部をテープで封止された梱包物品の搬送経路に設けられたセンサ部で、前記梱包物品の通過を検出する物品検出ステップと、前記梱包物品の開口部に設けられた外フラップの自由端同士を当接させて形成した閉じ目を含むように、前記梱包物品に貼付された梱包テープに対して発光部により投光を行う投光ステップと、前記梱包物品と前記梱包テープに反射した反射光を、受光部により受光する受光ステップと、前記センサ部で取得した前記梱包物品と、前記テープの反射率の差を算出する演算ステップと、前記反射率の差が規定値から外れた場合に、異常を報知する報知ステップと、を、含む、梱包不良検出方法とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多様な梱包不良を正確に検出可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、梱包不良検出装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、梱包不良検出装置の動作を示す流れ図である。
図3図3は、梱包不良の例を示す図である。
図4図4は、梱包不良の例を示す図である。
図5図5は、鉛直方向の梱包不良検出装置の例を示す図である。
図6図6は、水平方向の梱包不良検出装置の例を示す図である。
図7図7は、水平方向の梱包不良検出装置のセンサ配置例の概念図である。
図8図8は、水平方向の梱包不良検出装置の別の配置例を示す概念図である。
図9図9は、画像認識により梱包不良を検出する手順を示した流れ図である。
図10図10は、反射率に基づく画像の例を示した図である。
図11図11は、反射率に基づく画像の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る梱包不良検出装置および梱包不良検出方法について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0017】
<実施形態>
梱包不良検出装置1は、内容物を梱包して封止がなされた状態で搬送経路上を移動する梱包物品の封止状態を判定する装置である。梱包物品は、一例としては、天面、底面、梱包状態で互いに略平行な2つの面を形成する長さ面と幅面とを有し、内容物を梱包して封止した状態で六面体となる段ボール箱である。本実施形態では、梱包物品の封止には梱包テープが用いられる。梱包テープは粘着面を有する紙または樹脂製のテープであり、梱包物品と異なる色彩を有していてもよいし、梱包物品と同じ色彩であってもよく、透明であってもよい。内容物としては、おむつやティッシュなどの家庭用紙製品が想定できる。勿論、内容物はこれに限られず、書籍や衣類、電気製品、器具類、食品など、段ボール箱で
梱包して流通させることができる任意の物品とすることができる。
【0018】
図1は、梱包不良検出装置の構成を示すブロック図である。梱包不良検出装置1は、物品の製造ライン中の搬送経路上に設けられる、梱包工程を経た梱包物品の梱包不良を検出する装置である。梱包不良検出装置1は、センサ部10と、制御部20と、報知部30とを備えている。センサ部10は、物体センサ11と、光電センサ12を備えており、梱包工程を経て搬送経路上を移動する梱包物品の封止状態を監視可能であり、かつ梱包物品と干渉しない位置に、複数設けられている。物体センサ11は、搬送経路上を移動する梱包物品を検出する。物体センサ11は、本開示における物品検出部の一例である。物体センサ11には、超音波センサ、荷重センサの他、明暗センサ、画像センサ、光電センサ等の光センサを含む、任意のセンサを用いることができる。
【0019】
光電センサ12は、発光部121と、受光部122とを備えている。発光部121は、例えばLEDであって、梱包物品に対して、可視光、赤外線等の任意の光を投光する。発光部121が投光する光は単波長であってもよいし、複数波長であってもよい。受光部122は、例えばCCDやCMOS等のイメージセンサであって、受光面に到達した、少なくとも発光部121が投光した光と同波長の光をイメージとして取得する。受光部122は、発光部121から投光されて梱包物品および、梱包物品に貼付された梱包テープから反射した反射光を受光する。
【0020】
発光部121から照射される光は、その光軸が梱包物品の天面、底面、幅面、長さ面のうちいずれかの平面部分と略垂直となるように投光されることが望ましく、受光部122も、照射された光の反射率を計測する特性上、梱包物品のいずれかの平面部分と検出軸が略垂直になるように配置されていることが望ましい。本実施形態では、光電センサ12が取得したイメージデータを制御部20が処理し、梱包物品と梱包テープの反射率の差を検出するが、光電センサ12自体がASIC等で構成される解析専用のコンピュータを搭載し、制御部20と協調して一定の解析処理を行う形態も考えられる。
【0021】
制御部20は、所謂コンピュータであって、通信部21と、演算部22と、記憶部23とを備えている。通信部21は、複数のセンサ部10との通信を行う。演算部22は、製造工程中複数個所に設けられたセンサ部10の制御を行うとともに、センサ部10から入力された情報を使用して、梱包物品と梱包テープの反射率の差から、梱包が正常になされているかを判断し、異常を検出した場合には、報知部30に異常情報を送信する。記憶部23は、図示しない主記憶装置に読み出されて演算部22により実行される検出プログラムを格納している。記憶部23は、磁気記憶装置であってもよいし、不揮発性の半導体メモリであってもよい。
【0022】
報知部30は、制御部20から異常情報を受け付け、スピーカやランプのような報知手段でオペレータに異常を通知する装置である。また、報知部30は、更に、搬送経路を制御する図示しないライン制御装置に異常情報を通知してもよい。通知を受けたライン制御装置は、異常梱包品がNGラインに導かれるようにしてもよいし、オペレータによる対応がなされるまでの間、搬送経路自体を停止させてもよい。なお、制御部20はライン制御装置を兼ねていてよく、この場合、搬送経路への介入は制御部20が行うため、報知部30はオペレータへの異常通知のみを行う。
【0023】
図2は、梱包不良検出装置の動作を示す流れ図である。梱包不良検出装置1は、物体センサ11を用いて、製造ラインの搬送経路中を移動している梱包物品を検出する(ステップS100)。梱包不良検出装置1は、梱包物品を検出した場合、梱包物品がセンサ部10の検出範囲を通過するまでの間、梱包物品の状態を繰り返し検出する(ステップS101)。ステップS100と、ステップS101は、本開示における物品検出ステップに相
当する。
【0024】
梱包不良検出装置1は、梱包物品の梱包状態を検出するため、まず、光電センサ12の発光部121を発光し、梱包物品に投光をする(ステップS102)。ステップS102は、本開示における投光ステップに相当する。次に、光電センサ12の受光部122で、梱包物品から反射した光を受光して、梱包物品と当該梱包物品に貼付された梱包テープの反射率を計測する(ステップS103)。ステップS103は、本開示における受光ステップに相当する。制御部20は、梱包物品と、当該梱包物品に貼付された梱包テープの反射率の差を算出し(ステップS104)、梱包が正しく行われ、梱包物品が梱包テープで正しく封止されているかを、当該反射率の差が規定値の範囲に収まっているかどうかの基準を用いて判定する(ステップS105)。ステップS104と、ステップS105は、本開示における演算ステップに相当する。封止が正常であれば(ステップS105でYES)、梱包物品が存在している間、光電センサ12を用いて引き続き梱包物品の検出を行う(ステップS101に戻る)。封止が正しくなされていない場合、換言すれば、反射率の差が規定値の範囲を外れた場合、制御部20は、異常情報を送信し、報知部30はこれを受けて報知処理を行う(ステップS106)。ステップS106は、本開示における報知ステップに相当する。
【0025】
図3は、梱包不良の例を示す図である。梱包物品2は、上述の通り、物品を梱包した箱状の梱包物品であり、一例を挙げると組み立て式の段ボール箱である。梱包物品2は、水平方向に、互いに平行な2つの長さ面と2つの幅面を有しており、重力方向上方の天面と重力方向下方の底面には開口部を有している。開口部の端部には、2枚の外フラップが設けられている。外フラップは、一端側が長さ面と接続しており、他端側が自由端となっており、扉状に開閉可能である。天面および底面において、当該外フラップ同士を当接させることで、開口部を閉じることができる。梱包テープ2Tは、梱包物品2の閉じ目を封止するテープである。外フラップの自由端同士を当接させて閉じ目を形成し、当該閉じ目の全てを含み、かつ幅面まで到達するように梱包テープ2Tを貼付することで、梱包物品2の内容物が逸脱しないように封止できる。閉じ目に梱包テープ2Tが正しく貼付されておらず封止不十分となる場合、輸送中に開口部が開いて梱包物品2から内容物が逸脱する虞がある。このため、梱包物品2の封止に梱包テープ2Tを用いる場合には、開口部の閉じ目の全てを含み、かつ幅面にまで到達するように、梱包テープ2Tが適切に貼付されている必要がある。
【0026】
図3(A)は、梱包物品2に貼り付けられた梱包テープ2Tが歪んでいる場合を示す図である。貼付された梱包テープ2Tは大きく歪んでおり適切な封止がなされていないが、梱包テープ2Tは閉じ目を覆っている。このような封止不良において、例えば閉じ目に梱包テープ2Tが存在するかのみを監視すると、梱包テープ2Tは閉じ目を覆っているため、封止不良を正しく検出できない虞がある。
【0027】
図3(B)は、梱包物品2に貼り付けられた梱包テープ2Tが梱包物品2から浮き上がっている状態を、梱包物品2の側面である長さ面側から見た図である。梱包テープ2Tが梱包物品2から浮き上がっている場合、閉じ目は正しく封止されておらず、梱包物品2の開口部が開いて内容物が逸脱しやすくなる。このような梱包不良は、天面側のみから梱包状態を検出するだけでは検出が難しい。
【0028】
図4は、梱包不良の例を示す図である。図4(A)では、閉じ目において梱包テープ2Tが正しく貼付されているものの、梱包物品2の幅面に貼付されているべき梱包テープ2Tが幅面から浮き上がっており、封止が不十分である。閉じ目のみの梱包状態を判断すると、このような梱包不良を正しく検出できない。
【0029】
図4(B)は、梱包物品2の重力方向上面においては梱包テープ2Tが正しく貼付されているが、重力方向下面において貼付不良が発生している。梱包物品2の重力方向上面のみから不良を検出していると、重力方向下面の梱包不良を検出できない。このような梱包不良を検出するためには、例えば梱包物品2を上下反転させて2回の不良検出を行うことが考えられるが、梱包物品2を上下反転させる機械的工程が必要となり、煩雑である。
【0030】
図5は、鉛直方向の梱包不良検出装置の例を示す図である。図5は、鉛直方向の梱包不良を検出するセンサの構成を示した図である。梱包物品2は、平板状になっており、図示しない製函機により組み立てられて箱型となって、内容物を封入される。内容物を封入された梱包物品2は、ライン上に間欠的に設けられ、少なくともその一部が搬送方向に回転する搬送ローラ4の上を矢印の方向に移動する。ライン中には封函機3が設けられている。封函機3は、梱包物品2の開口部が開かなくするように梱包テープ2Tを貼付して封止する装置であり、カートンシーラーとも呼ばれる。封函機3には、テープ2Tがセットされている。封函機3は、内部を通過する梱包物品2の天面および底面に存在する閉じ目を封止するように、テープ2Tを貼付する。封函機3を通過することで、梱包物品2はテープ2Tによって封止される。なお、梱包物品2の数が少ない場合には、封函機3を設けず、作業者が封止作業を行ってもよい。
【0031】
封函機3の下流には、ラインの重力方向上側に、物体センサ11が設けられており、物体センサ11は、ライン上を移動する梱包物品2を検出する。なお、物体センサは、ラインの重力方向下側であって、梱包物品2の底面が直上を通過する搬送ローラ4の隙間に設けられていてもよい。このような構成を取ると、例えば重量センサや明暗センサによって比較的簡易に梱包物品2を検出可能である。
【0032】
ラインの重力方向上側であって物体センサ11の近傍には、梱包物品2の天面の梱包状態を監視する光電センサ12Uが設けられている。光電センサ12Uは、図示しない発光部121と受光部122とを備えている。光電センサ12Uは、物体センサ11が梱包物品2を検出している間、発光部121で梱包物品2に向かって投光し、受光部122で、梱包物品2から反射した光を受光する。物体センサ11と光電センサ12Uとが隣接していない場合には、光電センサ12Uを制御する図示しない制御部20は、物体センサ11の物体検出時間に、物体センサ11と光電センサ12Uの距離をラインの移動速度で割った時間を加えることで検出時間を調整する。梱包テープ2Tが光透過性を有するか、またどのような色彩の素材で形成されているかに関係なく、梱包テープ2Tと梱包物品2の反射率は異なる。このため、制御部20は、発光部121から発光されて受光部122の受光面が受光した梱包物品2の天面の光の反射率を計算し、封止が正しく行われているか否かを判断できる。
【0033】
更に、ラインの重力方向下側であって、間欠的に設けられている搬送ローラ4の隙間には、光電センサ12Lが設けられている。光電センサ12Lの構成および動作は、光電センサ12Uと同様である。このように構成することで、梱包不良検出装置1は、梱包物品2を上下反転させる工程を経ることなく、梱包物品2の天面と底面の梱包不良を検出できる。なお、ラインの側面にも、光電センサ12U,12Lと同じ構成の光電センサ12Sを設けることで、梱包物品2の長さ面から梱包状態を計測し、図3(B)または図4(B)に示すような梱包不良を検出することとしてもよい。
【0034】
例えば、図6は、梱包物品2の水平方向にも光電センサ12S,12F,12Bを配置した例を示している。図5のように光電センサを配置し、更に、図6に示すように、ラインの側面にも光電センサを付することで、梱包物品2の上面、下面だけでなく側面からも撮像することができ、梱包物品2の梱包不良を高精度で検出可能となる。
【0035】
光電センサによりテープの有無を判断するために初期設定を行う必要があり、この時にテープとの反射率の一致度と設定値が自動で設定される。例えば、設定値を500とし、テープ部分から一致度が800の反射光が光電センサから得られた場合、制御部20は、テープが正しく存在していることを判断できる。仮に、一致度が300の反射光が光電センサから得られた場合、一致度が設定値に満たないため、梱包異常となる。
【0036】
例えば、図3Aに示すような梱包不良は、梱包物品2の各部分で梱包テープ2Tの反射率が均一でないことから判断できる。本実施形態に係る光電センサ12は、封止状態を面として認識するため、閉じ目が封止されていても、梱包テープ2Tが正しく貼付されていない場合には、梱包不良を検出可能である。図3Bに示すような梱包不良は、例えば梱包物品2の長さ面から梱包状態を計測する光電センサ12Sが、梱包物品2が存在していない場所に梱包テープ2Tのみが存在していることを検出することにより、検出可能である。また、梱包テープ2Tが梱包物品2の天面に正しく貼付されていない場合には投光した光が拡散するため、このような梱包不良は、開口部に対して略垂直に光を投射する光電センサ12Uによっても検出可能である。
【0037】
図4(A)に示すような梱包不良は、光電センサ12U,12Lにより検出可能である。梱包テープ2Tが梱包物品2から逸脱した箇所では、発光部121から発光された光は、梱包物品2が存在しないため梱包物品2からは反射しない。一方、梱包テープ2Tのみからは反射光を得られるため、梱包物品2と梱包テープ2Tの反射率の差は非常に大きくなり、異常値となる。このため、梱包不良検出装置1は、梱包不良を検出できる。同様に、梱包物品2の一部に梱包テープ2Tが貼付されていない場合には、光電センサ12U,12Lは、梱包物品2の反射光のみを検出でき、梱包テープ2Tの反射光を検出できないため、反射率の差は非常に小さくなり、異常値となる。このため、梱包不良検出装置1は、梱包不良を検出できる。
【0038】
本実施形態に係る梱包不良検出装置1は、梱包物品2の梱包状態を天面側と底面側の両方から検出するため、図4Bに示すような梱包不良を、梱包物品2を物理的に反転させることなく検出可能である。光電センサ12は発光部121を有しており、梱包物品2に対して梱包状態検出に必要な光を照射するため、環境光の状態に関わらず梱包物品2および梱包テープ2Tからの反射光を得ることができる。このため、梱包物品2の影となる底面側からの梱包状態検出も可能である。なお、環境光が不足することが想定される場合には、底面画像を確実に取得するため、発光部121に加えて別途投光部を設けてもよい。
【0039】
図5に示す構成では、封函機3から離れた搬送経路中に物体センサ11と光電センサ12U,12Lからなるセンサ10を設けているが、物体センサ11を封函機3の内部に設け、光電センサ12U,12Lを封函機3の外枠部分に配置する構成とし、制御部20が封函機3の制御を行うこととしてもよい。この場合、物体センサ11が梱包物品2を検出してから、梱包物品2が封函機3の外枠部分に達する一定時間後(一例としては0.5秒後)に光電センサ12U,12Lが投光および受光を開始するように設定して良い。制御部20が梱包不良を検出した場合、制御部20は封函機3の稼働を停止し、報知部30からオペレータに梱包不良(封止不良)を通知する。
【0040】
図6は、水平方向の梱包不良検出装置の例を示す図である。鉛直方向から検出できる梱包不良については、図5に示す構成により検出可能である。また、梱包物品2の長さ面からの梱包不良は、図6に示すようにラインの両側面に更に光電センサ12Sを設けることで検出可能である。なお、ラインの両側面に光電センサ12Sを設ける構成は、図5に示す構成にこのような光電センサ12Sを更に設けることでも実現できる。
【0041】
しかし、梱包不良は、梱包物品2の天面および底面の開口部、また長さ面のみならず、
搬送方向前面および搬送方向背面の幅面についても発生し得る。図5に示すセンサ配置において、搬送方向前面および搬送方向背面の幅面における梱包不良を発見しようとすると、光電センサ12と梱包物品2の干渉を避ける必要が生じる。このため、例えば、光電センサ12を梱包物品2の斜め上に配置する必要がある。このように配置すると、発光部121から照射されて梱包物品2および梱包テープ2Tに投光された光が散乱し、受光部122に反射光が正しく到達しなくなるため、梱包不良検出精度が低下する虞がある。
【0042】
そこで、図6に示す構成では、搬送ライン中に、搬送ラインを所定半径で湾曲させた湾曲搬送部を設ける。そして、湾曲搬送部において、梱包物品2が湾曲搬送部に達する前の搬送経路の仮想延長線上の外側側面に光電センサ12Fを配置し、梱包物品2が歪曲搬送部を通過後の搬送経路の仮想延長線上の外側側面に、光電センサ12Bを配置する。光電センサ12Fの発光および受光のトリガとなる物体センサ11Fは、ライン上を移動する梱包物品2が湾曲搬送部に到達する直前に設けられており、光電センサ12Fは、屈曲直前の梱包物品2のライン進行方向前側面の幅面に対して光線軸が略垂直になるように光を照射し、反射光を受光する。光電センサ12Bの発光および受光のトリガとなる物体センサ11Bは、ライン上を移動する梱包物品2が湾曲搬送部を通過した直後に設けられており、光電センサ12Bは、湾曲直後の梱包物品2のライン進行方向後面の幅面に対して光線軸が略垂直になるように光を照射し、反射光を受光する。このように構成することで、光電センサ12が梱包物品2の搬送方向前面の幅面および搬送方向背面の幅面に略垂直な検出軸を持つように配置できる。このように配置した光電センサ12は、梱包物品2の前方および後方の幅面に略垂直に光を照射し、反射光を受光できるため、梱包物品2の前方および後方の幅面の梱包状態を正しく検出可能である。
【0043】
図7は、水平方向の梱包不良検出装置のセンサ配置例の概念図である。点線で示した範囲は、光電センサ12S,12F,12Bの照射および受光範囲を示したものである。図7に示すように、光電センサ12S,12F,12Bは、いずれも梱包物品2の長さ面または幅面に略垂直に投光と受光ができるように配置されている。屈曲部分を含むラインを梱包物品2が通過する際に、光電センサ12S,12F,12Bのそれぞれが梱包物品2の長さ面と幅面の全ての梱包状態を検出することで、梱包物品2の水平方向の全側面について、センサを梱包物品2に対して斜めに配置することなく、梱包状態を検出できる。
【0044】
図8は、水平方向の梱包不良検出装置の別の配置例を示す概念図である。本配置例では、ラインは平面方向には湾曲していない。ライン上には、コンベア5が設けられており、梱包物品2はコンベア5上を矢印方向に移動する。ライン中には、重力方向上側に突出する2つのローラ6が設けられており、コンベア5はローラ6の重力方向上側を通過している。このため、コンベア5には、ローラ6の手前で重力方向上側に斜行傾斜する上方傾斜部と、ローラ6の間を、通常の搬送経路よりも重力方向上側で水平面と平行に移動する平行搬送部と、ローラ6を通過した後に、重力方向下側に斜行傾斜する下方傾斜部からなる傾斜搬送部が形成される。コンベア5上を移動する梱包物品2は、ローラ6に向かって上方傾斜部を重力方向上側に斜行移動し、平行搬送部において他の搬送経路よりも重力方向上側で水平面と平行に移動した後、下方傾斜部を重力方向下側に斜行移動して、通常の搬送経路に戻る。
【0045】
光電センサ12F,12Bは、傾斜搬送部の前後であって、通常の搬送経路における梱包物品2の重力方向上側の、梱包物品2と干渉しない位置に設けられる。光電センサ12F,12Bは、平行搬送部を移動中の梱包物品2の搬送方向前面の幅面と、搬送方向背面の幅面に略垂直に投光と受光が可能なように配置されて、梱包物品2の搬送方向前後の幅面の梱包状態を検出する。このように、製造ラインを水平方向に歪曲させることができない場合でも、重力方向上側に屈曲させることで、梱包物品2の水平方向の全長さ面、幅面について、センサを梱包物品2に対して斜め方向に配置することなく、梱包不良を検出す
ることができる。なお、図8に示す形態においても、光電センサ12Sを設け、梱包物品2の長さ面側からも更に梱包不良を検出してよい。
【0046】
<第2実施形態>
上記実施形態で示した光電センサ12として、物品の面を画像として検出する光電センサを用い、反射率のみではなく、反射率に基づく画像を取得することが考えられる。すなわち、梱包不良検出装置1の制御部20が画像処理を行うことにより、梱包不良を検出することも考えられる。たとえば、制御部20は、光電センサ12から取得した梱包箱2の各側面の画像を取得して、パターン認識等により梱包物品2の存在を認識することが考えられる。
【0047】
図9は、画像認識により梱包不良を検出する手順を示した流れ図である。制御部20は、製造ラインが稼働している間、定期的に光電センサ12に設けられた発光部121を発光させて、製造ラインに光を照射する(ステップS201)。反射光は、光電センサ12に設けられた受光部122によって受光される(ステップS202)。反射光は、制御部20に画像として取得される。なお、発光と受光は常に行う必要はなく、ライン上に別途設けられた物体センサ11によりライン上を移動する物体の存在を検出し、梱包物品2が検出範囲に存在することが想定される場合にのみ発光と受光を行ってもよい。
【0048】
制御部20は、取得した画像に対して画像認識処理を行い、梱包物検出処理を行う(ステップS203)。梱包物検出処理では、光電センサ12が取得した反射光から形成した画像内に梱包物品2が存在しているかどうかが判定される。画像認識処理の結果、光電センサ12が取得した反射光から形成した反射画像内に梱包物品が存在していない場合には(ステップS204でNO)、制御部20はその後の処理を行わず、光電センサ12による発光と受光を繰り返す。画像認識処理の結果、光電センサ12が取得した反射光から形成した反射画像内に梱包物品2が存在している場合(ステップS204でYES)、制御部は画像検査を行い、梱包状態を検出する(ステップS205)。なお、梱包物品2の存在検出は、ステップS203のように画像認識により行ってもよいし、物体センサ11の出力を参照することにより行ってもてもよい。
【0049】
画像検査の結果、封止状態が正常であれば(ステップS206でYES)、制御部20は、検査した梱包物品2の封止状態が正常であるものと判断し、次の梱包物品2の検査に進む(END)。画像検査の結果、封止状態に異常があれば(ステップS206でNO)、制御部20は、封止異常をオペレータ等に報知する(ステップS207)。また、ラインを停止したり、封止異常を検出した梱包物品2をライン上から排除したりしてもよい。
【0050】
図10図11は、反射率に基づく画像の例を示した図である。以下に示す図では、光電センサ12Uによって取得された梱包物品2の天面の反射率に基づく画像を例に説明をする。図10(A)は、テープ2Tによって梱包物品2の封止が正常に行われている状態の反射率に基づく画像である。を示す。図10(A)の画像中央には、梱包物品2が存在する。梱包物品2は、その中央部においてテープ2Tによって封止されている。
【0051】
梱包物品2の周囲の領域では、例えば搬送ローラ4やコンベア5などからの反射像が取得され得るが、これらは梱包物品2よりも光電センサ12から遠く、反射率が低くなるため暗くなっている。梱包物品2は、光電センサ12から近く、光電センサ12の発光部121から発光した光を比較的よく反射する。このため、梱包物品2の反射率は高くなり、梱包物品2の延在領域の反射率に基づく画像は明るくなる。このため、制御部20は、一定以上の反射率を持つ矩形の物体を梱包物品2として認識できる。
【0052】
梱包物品2の閉じ目には、テープ2Tが貼付されて、封止がなされている。テープ2T
の表面は、一例としては樹脂製フィルムなどにより形成されており、梱包物品2よりも反射率が高い。このため、梱包物品2の延在領域において、テープ2Tの貼付領域はより明るく検出される。
【0053】
図10(A)では封止が正常であるため、テープ2Tの検出範囲は、ほぼ梱包物品2の検出範囲内に納まっている。また、テープ2Tは、その延在領域全面に渡って、閉じ目からほぼ同じ距離に延在している。このような反射率に基づく画像が得られた場合、制御部20は、封止が正常であると判断できる。制御部20は、梱包物品2の延在領域とテープ2Tの貼付領域を決定するため、エッジ検出処理を行ってもよい。
【0054】
図10(B)は、梱包不良を示す反射率に基づく画像の例を示した図である。図10(B)は、具体的にはテープ2Tが梱包物品2に貼付されていない状態の反射率に基づく画像である。当該画像には、梱包物品2からの反射は存在するものの、梱包物品2よりも高い反射率を有するテープ2Tからの反射が存在しない。この画像からは、制御部20はテープ2Tを認識できない。このような反射率に基づく画像が得られた場合、制御部20は、テープ2Tが梱包物品2に貼付されておらず、封止が異常であると判断できる。なお、制御部20は、梱包物品2に想定されるテープ2T貼付領域において、テープ2Tを示す高反射領域が連続しているかどうかを判定する。このような判定処理を行うことにより、梱包物品2の閉じ目に断続的にテープ2Tが貼付されてしまっているような梱包不良も検出可能となる。
【0055】
また、制御部20は、テープ2Tの延在領域のコントラストについても判定を行う。テープ2T延在領域のコントラストが一定であれば、テープ2Tは梱包物品2に均等に貼付されていることが想定できる。一方、テープ2Tの延在領域のコントラストが一定でない場合、一例としてはテープ2Tに皺が形成されており、一部領域において封止が不十分となっていることが考えられる。よって、制御部20は、テープ2Tの延在領域のコントラストが閾値以上乱れている場合にも、梱包不良とする判定を行って良い。
【0056】
図11(A)は、梱包不良の別の例を示した図である。図11(A)では、テープ2Tは梱包物品2の閉じ目を覆うように貼付されてはいるものの大きく屈曲している。テープ2Tの屈曲が一定範囲を超えるとテープ2Tは梱包物品2から剥離しやすくなるため、このような状態の梱包物品2は梱包不良とすることが適切である。テープ2Tの屈曲による梱包不良を検出するため、制御部20は、取得した反射率に基づく画像の閉じ目を規定し、閉じ目に対してどの程度の幅でテープ2Tを示す領域が広がっているかを判断する。或いは、梱包物品2を示す領域の長手方向と平行に仮想境界線を設定し、テープ2Tの延在が想定される幅方向所定範囲において、仮想境界線の中にテープ2Tの延在領域を示す反射率が高い領域がどの程度含まれているかを判断する。制御部20は、テープ2Tの延在が想定される仮想境界線中の反射率が高い領域の割合が閾値以上である場合、テープ2Tは梱包物品2に正しく貼付されていると判断し、閾値を下回った場合には、梱包不良と判定する。
【0057】
このように、反射率に基づく画像からテープ2Tの延在領域を判断することで、梱包物品2の特定位置をサンプリングしてテープ2Tの存在を判定して梱包状態を判断する手法と比較すると、梱包不良の漏れのない検出が可能となる。
【0058】
図11(B)は、梱包不良の更に別の例を示した図である。図11(B)では、テープ2Tは、梱包物品2の延在領域では正しく貼付されているものの、梱包物品2の側面部分では梱包物品2に貼付されていない。梱包物品2の側面部分にテープ2Tが貼付されていない状態で天面に強い力がかかった場合、封止状態は容易に解除される。よって、図11(B)に示すような反射率に基づく画像が取得された場合には、梱包不良と判断すべきで
ある。
【0059】
梱包物品2がテープ2Tによって正しく封止されている状態では、テープ2Tの存在を示す反射率が非常に高い領域の周囲には、梱包物品2の存在を示す一定以上の反射率を持つ領域が存在する。しかし、図11(B)に示すように、テープ2Tが梱包物品2に正しく貼付されておらず、テープ2Tが梱包物品2から浮き上がっている場合には、テープ2Tの存在を示す反射率が非常に高い領域の周囲に、梱包物品2の存在を示す一定以上の反射率を持つ領域は存在しない。反射率に基づく画像上、梱包物品2が存在せず、テープ2Tのみが存在する領域は、周囲を低反射率の暗い領域に囲まれた状態で取得される。
【0060】
そこで、制御部20は、テープ2Tの存在を示す反射率が高い領域が存在するにもかかわらず、周囲の領域に梱包物品2の存在を示す一定以上の反射率を持つ領域がない場合には、梱包不良と判断する。
【0061】
なお、梱包不良は、反射率の高い領域の形状によっても判断可能である。例えば、図10(A)のようにテープ2Tが梱包物品2に正しく貼り合わせられている場合には、取得可能な反射率に基づく画像において反射率の高い領域の形状は梱包物品2とほぼ同じとなる。例えば、本実施形態においては、梱包物品2は直方体形状であるため、画像上、反射率が一定以上の領域は矩形である。これに対して、テープ2Tの貼付が不正の場合、例えば、図11(B)のように、テープ2Tが梱包物品2の一部の面において貼り合わされていない場合には、反射率が一定以上の領域は、梱包物品2の形状とは一致しなくなる。このため、制御部20は、反射率が一定以上の領域の形状を判断することで、梱包状態を判断してもよい。
【0062】
制御部20は、図5図8に示した、実施形態に記載の光電センサ12U,12L,12S,12F,12Bのそれぞれから取得される反射率に基づく画像のそれぞれについて梱包状態判断を行い、そのうちいずれかの光電センサ12から取得した画像から梱包不良が検出された場合には、報知部30から梱包不良を報知し、ラインを停止したり、梱包不良となった包装物品2をラインから排除したりすることができる。
【0063】
本開示における梱包不良検出装置1は、反射率に基づいて梱包状態の判断を行うため、透明な梱包テープを用いた場合でも梱包不良を検出できる。また、画像に基づいて梱包状態の判断を行うため、梱包物品の一部においては正しい封止がなされているが、その一部において封止が不適当な場合にも、梱包不良を検出可能である。
【0064】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。例えば、図8に示す形態において、ローラ6を一つとして、ローラ6の配置位置に向かって上昇する梱包物品2の搬送方向前面の幅面の延在方向に光電センサ12Fを設け、ローラ6の配置位置から下降する梱包物品2の搬送方向背面の幅面の延在方向に、光電センサ12Bを設けてもよい。このような形態でも、梱包物品2の搬送方向前面の幅面および背面の幅面の梱包状態を確認可能である。
【0065】
以上で開示した実施形態やその応用例は、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・梱包不良検出装置
2・・梱包物品
2T・・梱包テープ
3・・封函機
4・・搬送ローラ
5・・コンベア
6・・ローラ
10・・センサ部
11,11B,11F・・物体センサ
12,12B,12F,12L,12S,12U・・光電センサ
121・・発光部
122・・受光部
20・・制御部
21・・通信部
22・・演算部
23・・記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
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