(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179181
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092327
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】片井 裕昭
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE02
5E353EE21
5E353EE24
5E353EE25
5E353EE53
5E353EE54
5E353JJ29
5E353JJ45
5E353JJ60
5E353KK03
5E353KK11
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品吸着後のノズルから離脱した部品が部品実装中の基板上に落下することを抑制することが可能な部品実装装置を提供する。
【解決手段】この部品実装装置100は、複数の実装ヘッド602を第1回転方向および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向の両方向に一体的に回転するように構成されたロータリーヘッド6と、部品未吸着ヘッド622が部品供給部21から供給された部品Eを吸着するために回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する制御部10とを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する実装作業位置に前記基板を搬送する基板搬送部と、
平面視において、前記実装作業位置に対して、前記基板を搬送する搬送方向に直交する方向に配置されるとともに、前記実装作業位置に搬送された前記基板に実装する前記部品を供給する部品供給部と、
上下方向に延びる回転中心軸線回りの第1回転方向に沿って周状に配置されるとともに、前記部品供給部から供給される前記部品を先端部に設けられたノズルによって吸着して前記基板に実装する複数の実装ヘッドを含み、前記複数の実装ヘッドを前記第1回転方向および前記第1回転方向とは逆方向の第2回転方向の両方向に一体的に回転するように構成されたロータリーヘッドと、
前記複数の実装ヘッドのうちの前記部品を吸着していない部品未吸着ヘッドが前記部品供給部から供給された前記部品を吸着するために回転する際、前記複数の実装ヘッドのうちのすでに前記部品を吸着した部品吸着ヘッドが前記基板に向かわない方向に回転するように前記複数の実装ヘッドの回転方向を制御する制御部とを備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記部品未吸着ヘッドが前記部品を吸着するために回転する際、前記部品吸着ヘッドの接線方向が前記基板に向かわないように前記複数の実装ヘッドの回転方向を制御する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記部品未吸着ヘッドが前記部品を吸着するために回転する際、直前に前記部品を吸着した前記部品吸着ヘッドが前記基板側とは逆側の方向に向かって回転するように前記複数の実装ヘッドの回転方向を制御する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の実装ヘッドのうちの第1実装ヘッドにより前記部品を吸着する前に、前記複数の実装ヘッドを一体的に前記第1回転方向に回転させて前記第1実装ヘッドの前記第2回転方向側に隣り合う第2実装ヘッドにより前記部品を吸着した後、前記第1実装ヘッドが前記部品を吸着するために回転する際、直前に前記部品を吸着した前記第2実装ヘッドが前記基板側とは逆側の方向に向かって回転するように前記複数の実装ヘッドを前記第2回転方向に回転する制御を行う、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ノズルからの落下可能性が高い前記部品である高落下可能性部品を前記部品吸着ヘッドが吸着している場合、前記部品未吸着ヘッドが前記部品を吸着するために回転する際、前記部品吸着ヘッドが前記基板に向かわない方向に回転するように前記複数の実装ヘッドの回転方向を制御する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定された前記高落下可能性部品を前記部品吸着ヘッドが吸着している場合、前記部品未吸着ヘッドが前記部品を吸着するために回転する際、前記部品吸着ヘッドが前記基板に向かわない方向に回転するように前記複数の実装ヘッドの回転方向を制御する、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記高落下可能性部品は、前記ノズルに関連付けられた前記部品の質量の推奨範囲の上限値近傍の質量を有する部品を含む、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記高落下可能性部品は、前記ノズルに関連付けられた前記部品の高さおよび平面視における寸法の各々の推奨範囲の少なくともいずれかの上限値近傍の数値を有している部品、および、所定値以上の直径の吸着口を有する前記ノズルにより吸着される部品の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記高落下可能性部品は、前記ノズルによる前記部品の吸着の成功回数に基づく吸着率がしきい値以下である部品を含む、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記ノズルに吸着された前記部品を撮像する部品撮像部をさらに備え、
前記高落下可能性部品は、前記部品撮像部により撮像された画像における前記部品の中心点と前記ノズルの吸着口の中心点とが所定値以上ずれたと記録された履歴を有する部品を含む、請求項5に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置に関し、特に、ロータリーヘッドを備える部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリーヘッドを備える部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、回転型の装着ヘッド(ロータリーヘッド)を備える部品装着機(部品実装装置)が開示されている。この回転型の装着ヘッドは、回転軸を中心とする一の回転方向に沿って、複数のヘッドの各々に取り付けられた複数のノズルが所定間隔で配列されている。また、部品装着機は、部品供給部と、制御部とを備えている。部品供給部は、複数のノズルに部品を供給する。制御部は、一の回転方向に複数のヘッドを回転させた後、複数のヘッドのうちの吸着・装着ポイントに位置するヘッドを下降させて部品をノズルに吸着させる制御を行う。これにより、部品装着機では、一の回転方向への回転により複数のヘッドの各々を吸着・装着ポイントに位置させた後、吸着・装着ポイントに位置するヘッドを下降させることによって、複数のノズルの各々に部品が供給される。一の回転方向は、平面視において時計回りの方向である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1のような部品装着機では、ノズルの吸着口の中心点と部品の平面視における中心点との位置ずれが大きいために部品から吸着口が露出してしまい、ノズルの部品に対する吸着力が低下してしまう場合がある。この場合、部品を吸着していないノズルが取り付けられたヘッドを吸着・装着ポイントに向けて回転させる際、吸着力が低下したノズルも共に一の回転方向に回転するので、一の回転方向への回転によりノズルから離脱した部品が一の回転方向に沿った方向に向かって落下する可能性が高まる。ここで、上記特許文献1のような部品装着機では、通常、部品装着機における基板への部品の実装の生産性を考慮してタクトタイム(またはサイクルタイム)が最短になるように、複数のヘッドを一の回転方向に回転していると考えられる。
【0006】
上記特許文献1のような部品装着機では、部品がノズルから一の回転方向に沿った方向に向かって落下する際、部品の吸着力が低下したノズルの一の回転方向が基板に向いていると、ノズルから離脱した部品が部品実装中の基板へと落下してしまうことが考えられる。そこで、上記特許文献1のような部品装着機では、部品吸着後のノズルから離脱した部品が部品実装中の基板上に落下することを抑制することが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品吸着後のノズルから離脱した部品が部品実装中の基板上に落下することを抑制することが可能な部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における部品実装装置は、基板に部品を実装する実装作業位置に基板を搬送する基板搬送部と、平面視において、実装作業位置に対して、基板を搬送する搬送方向に直交する方向に配置されるとともに、実装作業位置に搬送された基板に実装する部品を供給する部品供給部と、上下方向に延びる回転中心軸線回りの第1回転方向に沿って周状に配置されるとともに、部品供給部から供給される部品を先端部に設けられたノズルによって吸着して基板に実装する複数の実装ヘッドを含み、複数の実装ヘッドを第1回転方向および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向の両方向に一体的に回転するように構成されたロータリーヘッドと、複数の実装ヘッドのうちの部品を吸着していない部品未吸着ヘッドが部品供給部から供給された部品を吸着するために回転する際、複数の実装ヘッドのうちのすでに部品を吸着した部品吸着ヘッドが基板に向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッドの回転方向を制御する制御部とを備える。
【0009】
この発明の一の局面による部品実装装置では、上記のように、部品未吸着ヘッドが部品供給部から供給された部品を吸着するために回転する際、部品吸着ヘッドが基板に向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッドの回転方向を制御する制御部を設ける。これにより、ノズルの吸着口の中心点と部品の平面視における中心点との位置ずれが大きく部品からノズルの吸着口が露出してしまうといったノズルの部品に対する吸着力が低下してしまう場合でも、部品未吸着ヘッドが部品を吸着するために回転する際、部品吸着ヘッドが基板に向かわない方向に回転することにより、基板とは異なる箇所に部品を落下させることができる。その結果、部品吸着後のノズルから離脱した部品が部品実装中の基板上に落下することを抑制することができる。また、部品吸着後のノズルから離脱した部品が基板上に落下することを抑制することができるので、部品と基板上の回路とが接触することを抑制することができる。また、部品装着装置における基板への部品の実装の生産性を考慮してタクトタイム(またはサイクルタイム)が最短になるように、複数のヘッドを一の回転方向に回転している場合と異なり、部品吸着後のノズルから離脱した部品が基板上に落下することを確実に抑制することができるので、部品が基板上に落下することに起因して部品実装装置が停止することを抑制することができる。その結果、部品実装装置の停止に起因する生産性の悪化を抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、部品未吸着ヘッドが部品を吸着するために回転する際、部品吸着ヘッドの接線方向が基板に向かわないように複数の実装ヘッドの回転方向を制御する。このように構成すれば、複数の実装ヘッドとともに部品吸着ヘッドが回転する際の部品吸着ヘッドの接線方向が基板に向かわないので、部品吸着ヘッドに設けられたノズルから部品吸着ヘッドの回転に伴い回転方向に向かって落下した部品を基板から外れた箇所に向かって落下させることができる。
【0011】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、部品未吸着ヘッドが部品を吸着するために回転する際、直前に部品を吸着した部品吸着ヘッドが基板側とは逆側の方向に向かって回転するように複数の実装ヘッドの回転方向を制御する。このように構成すれば、ノズルによる部品の吸着力が十分でなければ、直後の実装ヘッドの回転に伴って部品吸着ヘッドのノズルに吸着された部品が落下してしまうので、直前に部品を吸着した部品吸着ヘッドの回転方向を基板側とは逆側の方向にすることにより、直前に部品を吸着した部品吸着ヘッドのノズルから落下する部品が基板上に落下することを抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、複数の実装ヘッドのうちの第1実装ヘッドにより部品を吸着する前に、複数の実装ヘッドを一体的に第1回転方向に回転させて第1実装ヘッドの第2回転方向側に隣り合う第2実装ヘッドにより部品を吸着した後、第1実装ヘッドが部品を吸着するために回転する際、直前に部品を吸着した第2実装ヘッドが基板側とは逆側の方向に向かって回転するように複数の実装ヘッドを第2回転方向に回転する制御を行う。ここで、第1実装ヘッドによる部品の吸着の後に複数の実装ヘッドを一体的に第1回転方向に回転させて第2実装ヘッドを部品を吸着するために回転させる場合、部品を吸着した第1実装ヘッドが基板側の方向に向かって回転してしまうが、第2実装ヘッドによる部品の吸着の後に複数の実装ヘッドを一体的に第2回転方向に回転させることにより、第1実装ヘッドを部品を吸着させるために回転させつつ、部品を吸着した第2実装ヘッドの回転方向を基板側とは逆側の第2回転方向にすることができる。その結果、基板に向かって部品が落下することを抑制することができるとともに、第1実装ヘッドによる部品の吸着を行うことができる。
【0013】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、ノズルからの落下可能性が高い部品である高落下可能性部品を部品吸着ヘッドが吸着している場合、部品未吸着ヘッドが部品を吸着するために回転する際、部品吸着ヘッドが基板に向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッドの回転方向を制御する。このように構成すれば、複数の実装ヘッドの回転方向を基板に向かわない方向にする制御が高落下可能性部品を部品吸着ヘッドが吸着している場合に行われることにより、高落下可能性部品が基板に向かって落下する可能性を低減させることができるので、複数の実装ヘッドによる基板への部品の実装作業中に基板上に部品が落下することをより抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、予め設定された高落下可能性部品を部品吸着ヘッドが吸着している場合、部品未吸着ヘッドが部品を吸着するために回転する際、部品吸着ヘッドが基板に向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッドの回転方向を制御する。このように構成すれば、ノズルから落下しやすい部品だとわかっている部品を予め高落下可能性部品であると設定することにより、基板上に部品が落下する可能性をより低減させることができる。
【0015】
上記制御部が、高落下可能性部品に基づいて複数の実装ヘッドの回転方向を制御する部品実装装置において、好ましくは、高落下可能性部品は、ノズルに関連付けられた部品の質量の推奨範囲の上限値近傍の質量を有する部品を含む。このように構成すれば、複数の実装ヘッドの回転に伴う部品吸着ヘッドの回転により部品に発生する回転方向への力が大きくなりノズルから落下しやすい部品を高落下可能性部品として設定することができるので、基板上に部品が落下する可能性をより低減させることができる。なお、質量の推奨範囲の上限値近傍とは、推奨範囲の上限値だけでなく、推奨範囲の上限値よりも若干小さい数値、および、推奨範囲の上限値よりも若干大きい数値を示す。
【0016】
上記制御部が、高落下可能性部品に基づいて複数の実装ヘッドの回転方向を制御する部品実装装置において、好ましくは、高落下可能性部品は、ノズルに関連付けられた部品の高さおよび平面視における寸法の各々の推奨範囲の少なくともいずれかの上限値近傍の数値を有している部品、および、所定値以上の直径の吸着口を有するノズルにより吸着される部品の少なくとも1つを含む。ここで、上記推奨範囲の上限値近傍の数値を有している部品は上記部品の部品種において比較的質量が大きい部品であるので、部品に発生する回転方向への力が大きくなりノズルから落下しやすい部品を高落下可能性部品として設定することができる。その結果、基板上に部品が落下する可能性をより低減させることができる。また、高落下可能性部品が所定値以上の直径の吸着口を有するノズルにより吸着される部品であることにより、吸着口が吸着される部品の平面視の寸法よりも大きく、吸着される部品から露出した吸着口の面積の分だけ部品の吸着力(吸引力)が低下してしまうような場合でも、複数の実装ヘッドの回転に伴う部品吸着ヘッドのノズルから回転方向に向かって落下した部品が基板に落下しないようにすることができる。なお、部品の高さおよび平面視における寸法の各々の推奨範囲の上限値近傍とは、推奨範囲の上限値だけでなく、推奨範囲の上限値よりも若干小さい数値、および、推奨範囲の上限値よりも若干大きい数値を示す。
【0017】
上記制御部が、高落下可能性部品に基づいて複数の実装ヘッドの回転方向を制御する部品実装装置において、好ましくは、高落下可能性部品は、ノズルによる部品の吸着の成功回数に基づく吸着率がしきい値以下である部品を含む。このように構成すれば、部品実装装置において実装作業を行っていくうちにノズルの部品に対する吸着力が低下してしまい、吸着力が十分でなくなったノズルが吸着する部品を高落下可能性部品として設定することができるので、実装作業中に基板に部品が落下してしまうことをより一層抑制することができる。
【0018】
上記制御部が、高落下可能性部品に基づいて複数の実装ヘッドの回転方向を制御する部品実装装置において、好ましくは、ノズルに吸着された部品を撮像する部品撮像部をさらに備え、高落下可能性部品は、部品撮像部により撮像された画像における部品の中心点とノズルの吸着口の中心点とが所定値以上ずれたと記録された履歴を有する部品を含む。このように構成すれば、部品の中心点とノズルの吸着口の中心点とが所定値以上に位置ずれする可能性が高い部品を高落下可能性部品として設定することにより、吸着力が低下した状態のノズルにより吸着した部品を高落下可能性部品として設定することができるので、実装作業中に基板に部品が落下してしまうことをより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、部品吸着後のノズルから離脱した部品が部品実装中の基板上に落下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】一実施形態の部品実装装置のロータリーヘッドの簡略化した断面図である。
【
図3】
図1のZm部分において第1実装ヘッドにより吸着位置の部品を吸着する状態を示した模式図である。
【
図4】
図1のZm部分において第2実装ヘッドにより吸着位置の部品を吸着する状態を示した模式図である。
【
図5】
図1のZm部分において第8実装ヘッドを昇降位置に配置した状態を示した模式図である。
【
図6】
図1のZm部分において第9実装ヘッドにより吸着位置の部品を吸着する状態を示した模式図である。
【
図7】
図1のZm部分において第8実装ヘッドにより吸着位置の部品を吸着する状態を示した模式図である。
【
図8】一実施形態による部品実装装置の所定の部品種の縦の寸法の推奨範囲、横の寸法の推奨範囲、高さの推奨範囲、および、質量の推奨範囲を示した模式図である。
【
図9】一実施形態による部品実装装置のロータリーヘッドの実装ヘッドにより吸着される部品種の所定のサイズの部品の縦の寸法、横の寸法、高さ、および、質量を示した模式図である。
【
図10】一実施形態による部品実装装置における吸着率の経過時間による変化を示したグラフである。
【
図11】一実施形態による部品実装装置の部品撮像部により撮像された画像を示した模式図である。
【
図12】一実施形態による部品実装装置の部品側方撮像部により撮像された画像を示した模式図である。
【
図13】一実施形態による部品実装装置の制御部により実施されるヘッド回転処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図13を参照して、本発明の実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0023】
(部品実装装置)
図1に示すように、部品実装装置100は、クリーム半田が印刷された基板Sbの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)するように構成されている。
【0024】
ここで、部品実装装置100において、基板Sbを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Sbを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向の一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向の他方をZ2方向(下方向)とする。
【0025】
部品実装装置100は、基台1と、フィーダ配置部2と、基板搬送部3と、支持部4と、一対のレール部5と、ロータリーヘッド6と、部品撮像部7と、基板撮像部8と、部品側方撮像部9と、制御部10とを備えている。
【0026】
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1には、Y1方向側にフィーダ配置部2が設けられている。また、基台1には、Y2方向側にY2方向側にフィーダ配置部2が設けられている。なお、フィーダ配置部2は、1つ、または、3つ以上基台1に設けられてもよい。
【0027】
フィーダ配置部2には、複数のテープフィーダ21が配置可能である。テープフィーダ21は、実装作業位置Pwに搬送された基板Sbに部品Eを供給するように構成されている。テープフィーダ21は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープを巻き回したリール(図示せず)を保持している。部品Eは、チップ抵抗などの電子部品である。なお、テープフィーダ21は、特許請求の範囲の「部品供給部」の一例である。
【0028】
テープフィーダ21は、平面視において、実装作業位置Pwに対して、基板SbをX1方向(搬送する搬送方向)に直交する方向に配置されている。すなわち、テープフィーダ21は、平面視において、実装作業位置Pwに対してY1方向側の比較的近くに隣り合った位置に配置されている。Y1方向側のテープフィーダ21と実装作業位置Pwとの間には、基板搬送部3のY1方向側のコンベア31およびY1方向側の部品撮像部7が配置可能な程度の間隔が設けられている。また、テープフィーダ21は、平面視において、実装作業位置Pwに対してY2方向側の比較的近くに隣り合った位置に配置されている。Y2方向側のテープフィーダ21と実装作業位置Pwとの間には、基板搬送部3のY2方向側のコンベア31およびY2方向側の部品撮像部7が配置可能な程度の間隔が設けられている。
【0029】
テープフィーダ21は、ロータリーヘッド6の後述するノズル601に吸着位置Pvにおいて部品Eを吸着させるように構成されている。吸着位置Pvは、テープフィーダ21の先端部(実装作業位置Pw側の端部)に配置されている。すなわち、吸着位置Pvは、Y1方向側のテープフィーダ21におけるY2方向側の端部の位置である。また、吸着位置Pvは、Y2方向側のテープフィーダ21におけるY1方向側の端部の位置である。
【0030】
基板搬送部3は、部品実装装置100の外部から基板Sbを搬入し、基板Sbを搬送方向(X1方向)に搬送するように構成されている。ここで、基板搬送部3は、基板Sbに部品Eを実装する実装作業位置Pwに基板Sbを搬送するように構成されている。基板搬送部3は、一対のコンベア31と、駆動部(図示せず)とを有している。また、基板搬送部3は、一対のコンベア31により実装作業位置Pwに搬送された基板SbをZ方向において狭持することによって、実装作業位置Pwに搬送された基板Sbを位置固定するように構成されている。
【0031】
支持部4は、ロータリーヘッド6をX方向に移動可能に支持するように構成されている。支持部4は、ボールねじ軸41と、駆動部42とを有している。
【0032】
一対のレール部5は、支持部4をY方向に移動可能に支持するように構成されている。レール部5は、ボールねじ軸51と、ガイドレール52と、駆動部53とを有している。
【0033】
ロータリーヘッド6は、部品実装用のヘッドユニットであり、基板SbのZ1方向(上方)を移動するとともに、基板Sbに対して実装作業を行うように構成されている。つまり、ロータリーヘッド6は、実装作業位置Pwに位置固定された基板Sbに部品Eを実装するように構成されている。なお、ロータリーヘッド6の詳細な構造については後に詳細に説明する。
【0034】
部品撮像部7は、基板Sbに実装される部品Eを撮像するように構成されている。すなわち、部品撮像部7は、基板Sbへの部品Eの実装に先立ってノズル601に保持(吸着)された部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。部品撮像部7は、基台1上に固定されており、部品Eの下方(Z2方向)から、ノズル601に保持(吸着)された部品Eを撮像するように構成されている。
【0035】
基板撮像部8は、ロータリーヘッド6に取り付けられ、基板Sbへの部品Eの実装に先立って、基板Sbの上面に付されたFIマーク(Fiducial Mark(フィデューシャルマーク):図示せず)を撮像するマーク撮像用のカメラである。FIマークは、基板Sbの位置を確認するためのマークである。
【0036】
部品側方撮像部9は、ノズル601の先端部分を撮像するように構成されている。すなわち、部品側方撮像部9は、ロータリーヘッド6に固定されており、水平方向のうちの一方向(側方)から、ノズル601を撮像するように構成されている。部品側方撮像部9は、ノズル撮像用のカメラである。ここで、部品側方撮像部9は、
図3の第12実装ヘッドH12が配置された位置のノズル601を撮像可能な位置に配置されている。
【0037】
具体的には、部品側方撮像部9は、テープフィーダ21において部品Eを吸着した後のノズル601を撮像するように構成されている。部品側方撮像部9は、基板Sbへの部品Eの実装の後、ノズル601を撮像するように構成されている。
【0038】
制御部10は、部品実装装置100を制御する。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)と、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを有する記憶部とを含んでいる。記憶部には、吸着位置Pvに配置された部品Eを吸着する際のロータリーヘッド6の動作を制御するヘッド回転処理プログラムが記憶されている。
【0039】
(ロータリーヘッドの詳細な構造)
図2に示すように、ロータリーヘッド6は、複数のノズル601と、実装ヘッド602と、ノズル保持部材603と、ハウジング604と、付勢部材605と、第1ヘッド押圧部材606と、第2ヘッド押圧部材607と、第1昇降機構608と、第2昇降機構609と、自転機構610と、公転機構611とを含んでいる。
【0040】
複数のノズル601は、部品Eを吸着して基板Sbに実装するように構成されている。複数のノズル601の各々は、先細り形状となっている。複数のノズル601の各々は、負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0041】
負圧発生装置により生じた負圧は、公転機構611の公転用シャフト611b内の空気流路611cと実装ヘッド602内の空気流路602aとを繋ぐハウジング604内の空気流路(図示せず)と、公転機構611の公転用シャフト611b内の空気流路611dと実装ヘッド602内の空気流路602aとを繋ぐハウジング604内の空気流路(図示せず)とを電磁弁601aにより切り替えることによって、複数のノズル601の各々において発生する正圧または負圧が切り替えられる。ハウジング604内の空気流路は、正圧を発生させる正圧用空気流路と、負圧を発生させる負圧用空気流路とを有している。電磁弁601aは、正圧用空気流路と負圧用空気流路とを切り替える。なお、電磁弁601aによる正圧用空気流路への切り替えに基づいて複数のノズル601の各々において正圧が発生していることが取得される。
【0042】
ここで、複数のノズル601の各々において負圧が発生することにより、ノズル601に部品Eが吸着される。複数のノズル601の各々において正圧が発生することにより、ノズル601から部品Eが切り離される。
【0043】
図2および
図3に示すように、複数のノズル601は、Z方向に延びる回転中心軸線C1回りのR1方向に沿って円周状に並んで配置されている。複数のノズル601は、R1方向に等角度間隔(約30度間隔)に12本配置されている。複数のノズル601の各々は、ノズル保持部材603に保持されている。なお、R1方向は、特許請求の範囲の「第2回転方向」の一例である。また、ノズル601は、1~11本、または、13本以上であってもよい。
【0044】
実装ヘッド602は、テープフィーダ21から供給される部品Eを先端部に設けられたノズル601によって吸着して基板Sbに実装するように構成されている。複数の実装ヘッド602は、R1方向に沿って周状に配置されている。複数の実装ヘッド602は、R1方向に等角度間隔(約30度間隔)に12本配置されている。なお、実装ヘッド602は、1~11本、または、13本以上であってもよい。
【0045】
ハウジング604は、複数の実装ヘッド602、および、後述する公転用シャフト611bを取り付け可能に構成されている。詳細には、ハウジング604には、複数の実装ヘッド602を取り付けるための貫通孔604aが複数形成されている。ハウジング604には、公転用シャフト611bを取り付けるための貫通孔604bが形成されている。
【0046】
付勢部材605は、実装ヘッド602をZ1方向(上昇方向)に付勢するように構成されている。具体的には、付勢部材605は、コイルスプリングにより形成されている。
【0047】
第1ヘッド押圧部材606は、複数の実装ヘッド602のうち所定位置の(後述する昇降位置Pf1の)実装ヘッド602を昇降させるように構成されている。第1ヘッド押圧部材606は、複数の実装ヘッド602のZ1方向側に配置されている。第1ヘッド押圧部材606は、Z2方向側に移動してZ1方向側から所定位置の実装ヘッド602を押圧することによって、所定位置の実装ヘッド602をZ2方向に移動させるように構成されている。第1ヘッド押圧部材606は、Z1方向側に移動することにより、所定位置の実装ヘッド602をZ1方向に移動させるように構成されている。
【0048】
第2ヘッド押圧部材607は、複数の実装ヘッド602のうち所定位置の(後述する昇降位置Pf2の)実装ヘッド602を昇降させるように構成されている。第2ヘッド押圧部材607は、複数の実装ヘッド602のZ1方向側に配置されている。第2ヘッド押圧部材607は、Z2方向側に移動してZ1方向側から所定位置の実装ヘッド602を押圧することによって、所定位置の実装ヘッド602をZ2方向に移動させるように構成されている。第2ヘッド押圧部材607は、Z1方向側に移動することにより、所定位置の実装ヘッド602をZ1方向に移動させるように構成されている。
【0049】
第1昇降機構608は、第1ヘッド押圧部材606をZ方向に移動させるように構成されている。具体的には、第1昇降機構608は、昇降用モータ608aと、駆動力伝達部(図示せず)とを有している。昇降用モータ608aは、たとえば、サーボモータである。これにより、昇降用モータ608aにより昇降する実装ヘッド602の高さ位置が取得可能である。駆動力伝達部は、昇降用モータ608aの駆動力を第1ヘッド押圧部材606に伝達するように構成されている。これらにより、第1ヘッド押圧部材606は、Z1方向またはZ2方向に移動する。
【0050】
第2昇降機構609は、第2ヘッド押圧部材607をZ方向に移動させるように構成されている。具体的には、第2昇降機構609は、昇降用モータ609aと、駆動力伝達部(図示せず)とを有している。昇降用モータ609aは、たとえば、サーボモータである。これにより、昇降用モータ609aにより昇降する実装ヘッド602の高さ位置が取得可能である。駆動力伝達部は、昇降用モータ609aの駆動力を第2ヘッド押圧部材607に伝達するように構成されている。これらにより、第2ヘッド押圧部材607は、Z1方向またはZ2方向に移動する。
【0051】
自転機構610は、複数の実装ヘッド602の全てを中心軸線C2回りのR3方向に回転させることにより、複数の実装ヘッド602のうちの所定位置の実装ヘッド602に取り付けられた所定のノズル601をR3方向に回転させるように構成されている。これにより、所定のノズル601に吸着された部品Eの姿勢が修正される。
【0052】
自転機構610は、自転用モータ610aと、駆動力伝達部(図示せず)と、自転用シャフト610bと、自転用従動ギア610cとを有している。自転用モータ610aは、たとえば、サーボモータである。これにより、自転用モータ610aにより回転する複数の実装ヘッド602の各々の回転角度位置が取得可能である。駆動力伝達部は、自転用モータ610aの駆動力を自転用シャフト610bに伝達するように構成されている。これらにより、自転用シャフト610bは、R1方向またはR2方向に移動する。なお、R2方向は、特許請求の範囲の「第1回転方向」の一例である。
【0053】
自転用シャフト610bおよび自転用従動ギア610cの各々は、Z方向に延びる中心軸線回りの周方向に回転する。自転用従動ギア610cは、実装ヘッド602に取り付けられている。自転用シャフト610bの下部は、自転用従動ギア610cと機械的に噛み合っている。
【0054】
このように、複数の実装ヘッド602の全ては、自転用モータ610aの駆動に伴って、自転用シャフト610bおよび自転用従動ギア610cが回転することにより、中心軸線C2回りのR2方向に自転する。このように、複数の実装ヘッド602の全ては、同期して自転する。また、複数のノズル601の全ても、同期して自転する。
【0055】
公転機構611は、複数のノズル601を回転中心軸線C1回りのR1方向またはR2方向に回転させるように構成されている。公転機構611は、公転用モータ611aと、駆動力伝達部(図示せず)と、公転用シャフト611bとを有している。
【0056】
公転用モータ611aは、サーボモータである。これにより、公転用モータ611aにより回転する複数の実装ヘッド602の各々の回転角度位置が取得可能である。駆動力伝達部は、公転用モータ611aの駆動力を公転用シャフト611bに伝達するように構成されている。これにより、公転用シャフト611bは、R1方向またはR2方向に回転する。公転用シャフト611b(図示せず)は、Z方向に延びる回転中心軸線C1回りのR1方向またはR2方向に回転する。公転用シャフト611bは、自転用シャフト610b内に回転可能に配置されている。公転用シャフト611bは、公転用モータ611aとハウジング604とを接続している。ハウジング604は、公転用モータ611aの駆動に伴って、公転用シャフト611bが回転することにより、回転中心軸線C1回りのR1方向またはR2方向に回転する。これにより、複数の実装ヘッド602は、ハウジング604の回転に伴って、回転中心軸線C1回りのR1方向またはR2方向に一体的に公転する。
【0057】
このように、ロータリーヘッド6は、複数の実装ヘッド602をR1方向およびR2方向の両方向に一体的に回転するように構成されている。また、R1方向およびR2方向を合わせた方向が、複数の実装ヘッド602の回転方向である。
【0058】
ロータリーヘッド6では、公転機構611により複数の実装ヘッド602を回転させることにより、複数の実装ヘッド602のうちの選択された実装ヘッド602をテープフィーダ21の吸着位置Pvまで下降させる昇降位置Pfまで回転させる。具体的には、制御部10は、上記選択された実装ヘッド602の回転角度位置と昇降位置Pfの回転角度位置とに基づいて、公転機構611により複数の実装ヘッド602をR1方向(またはR2方向)に回転させることによって、上記選択された実装ヘッド602の回転角度位置と昇降位置Pfの回転角度位置とを互いに重なるように合わせる(互いに一致させる)制御を行う。
【0059】
ここで、
図2および
図3に示すように、ロータリーヘッド6では、環状の複数の実装ヘッド602のうちのX方向において最も離間された位置に配置された2つの実装ヘッド602が選択された実装ヘッド602である。すなわち、X1方向側に配置された選択された実装ヘッド602は、第1ヘッド押圧部材606により下端位置まで下降される所定位置の実装ヘッド602である。X2方向側に配置された選択された実装ヘッド602は、第2ヘッド押圧部材607により下端位置まで下降される所定位置の実装ヘッド602である。
【0060】
これらにより、X1方向側に配置された所定位置の実装ヘッド602のR1方向の配置位置は、昇降位置Pf1である。所定位置の実装ヘッド602により吸着位置Pvの部品Eを吸着する際、昇降位置Pf1は、平面視において、第1ヘッド押圧部材606の位置と互いに略一致する位置である。また、X2方向側に配置された所定位置の実装ヘッド602のR1方向の配置位置は、昇降位置Pf2(
図5を参照)である。所定位置の実装ヘッド602により吸着位置Pvの部品Eを吸着する際、昇降位置Pf2は、平面視において、第2ヘッド押圧部材607の位置と互いに略一致する位置である。
【0061】
また、ロータリーヘッド6では、第1昇降機構608により第1ヘッド押圧部材606が下降することによって、昇降位置Pf1(所定位置)の実装ヘッド602が下端位置に移動する。これにより、昇降位置Pf1の実装ヘッド602に取り付けられたノズル601が吸着位置Pvに移動する。ここで、昇降位置Pf1と吸着位置Pvとは、平面視において、昇降位置Pf1に移動した実装ヘッド602が部品Eを吸着する際、互いに重なっている。
【0062】
ロータリーヘッド6では、第1昇降機構608により昇降位置Pf1の実装ヘッド602を下端位置に移動させてノズル601に部品Eを吸着させた後、第1昇降機構608により第1ヘッド押圧部材606を上昇させることによって、昇降位置Pf1の実装ヘッド602を上昇させる。これにより、昇降位置Pf1に移動した実装ヘッド602が上端位置に戻る。
【0063】
また、ロータリーヘッド6では、第2昇降機構609により第2ヘッド押圧部材607が下降することによって、昇降位置Pf2(所定位置)の実装ヘッド602が下端位置に移動する。これにより、昇降位置Pf2の実装ヘッド602に取り付けられたノズル601が吸着位置Pvに移動する。ここで、昇降位置Pf2と吸着位置Pvとは、平面視において、昇降位置Pf2に移動した実装ヘッド602が部品Eを吸着する際、互いに重なっている。
【0064】
ロータリーヘッド6では、第2昇降機構609により昇降位置Pf2の実装ヘッド602を下端位置に移動させてノズル601に部品Eを吸着させた後、第2昇降機構609により第2ヘッド押圧部材607を上昇させることによって、昇降位置Pf2の実装ヘッド602を上昇させる。これにより、昇降位置Pf2に移動した実装ヘッド602が上端位置に戻る。
【0065】
(ヘッド回転処理プログラム)
図3~
図7を参照して、昇降位置Pfにおいて部品Eを吸着した後、昇降位置Pfにおいて部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621の回転方向が実装作業位置Pwに向かないような制御が記録されたヘッド回転処理プログラムについて説明する。ヘッド回転処理プログラムは、制御部10において処理される。なお、
図3~
図7に示すヘッド回転処理プログラムに基づくロータリーヘッド6の動作は、あくまで一例であり、
図3~
図7に示すロータリーヘッド6の動作に限定されない。
【0066】
図3~
図7において、実装作業位置Pwは、Zm部分の範囲よりもX1方向側に配置されているので、図示されていない。また、実装ヘッド602は、説明の便宜上、簡略化して図示されている。簡略化された実装ヘッド602には、複数(12本)の実装ヘッド602が示されている。ここで、複数(12本)の実装ヘッド602のうち昇降位置Pf1に配置された
図3の所定位置の実装ヘッド602を第1実装ヘッドH1(
図3~
図7においてH1により示す)とする。そして、第1実装ヘッドH1からR1方向に沿って順に第2実装ヘッドH2~第12実装ヘッドH12(
図3~
図7においてH2~H12により示す)とする。
【0067】
図3および
図4に示すように、部品実装装置100では、第1実装ヘッドH1が昇降位置Pf1に移動して、第1実装ヘッドH1のノズル601に部品Eが吸着された後、第2実装ヘッドH2が昇降位置Pf1に移動して、第2実装ヘッドH2のノズル601に部品Eが吸着される。
【0068】
この際、本実施形態の制御部10は、複数の実装ヘッド602のうちの部品Eを吸着していない部品未吸着ヘッド622がテープフィーダ21から供給された部品Eを吸着するために回転する際、複数の実装ヘッド602のうちのすでに部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0069】
具体的には、制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、周状に配置された複数の実装ヘッド602の各々に対応する回転角度位置のうちの部品未吸着ヘッド622がテープフィーダ21から供給された部品Eを吸着する吸着位置Pvに部品未吸着ヘッド622を昇降させる昇降位置Pf1(Pf2)に向かって回転する際、複数の実装ヘッド602のうちのすでに部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0070】
ここで、部品Eをノズル601に吸着した第1実装ヘッドH1は、部品吸着ヘッド621である(
図3および
図4においてドットにより表示)。また、部品Eをノズル601に吸着する前の第2実装ヘッドH2は、部品未吸着ヘッド622である。部品Eをノズル601に吸着した第2実装ヘッドH2は、部品吸着ヘッド621である(
図4においてドットにより表示)。
【0071】
制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622(第2実装ヘッドH2)が昇降位置Pf1に向かって回転する際、部品吸着ヘッド621(第1実装ヘッドH1)の接線方向Tdが基板Sbに向かわないように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。すなわち、制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622(第2実装ヘッドH2)が昇降位置Pf1に向かって回転する際、直前に部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621(第1実装ヘッドH1)が基板Sb側とは逆側の方向に向かって回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0072】
これにより、制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622(第2実装ヘッドH2)が昇降位置Pf1に向かって回転する際、複数の実装ヘッド602をR2方向に回転させる制御を行う。
【0073】
次に、
図5に示すように、部品実装装置100では、昇降位置Pf2に移動した第8実装ヘッドH8が、所定のテープフィーダ21の吸着位置Pvの上方に移動される。なお、第8実装ヘッドH8は、特許請求の範囲の「第1実装ヘッド」の一例である。
【0074】
そして、
図6および
図7に示すように、部品実装装置100では、第9実装ヘッドH9が昇降位置Pf2に移動して、第9実装ヘッドH9のノズル601に部品Eが吸着された後、第8実装ヘッドH8が昇降位置Pf2に移動して、第8実装ヘッドH8のノズル601に部品Eが吸着される。なお、第9実装ヘッドH9は、特許請求の範囲の「第2実装ヘッド」の一例である。
【0075】
この際、制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、複数の実装ヘッド602のうちの部品Eを吸着していない部品未吸着ヘッド622(第8実装ヘッドH8)が昇降位置Pf2に向かって回転する際、複数の実装ヘッド602のうちのすでに部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621(第9実装ヘッドH9)が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0076】
ここで、部品Eをノズル601に吸着した第9実装ヘッドH9は、部品吸着ヘッド621である(
図6および
図7においてハッチングにより表示)。また、部品Eをノズル601に吸着する前の第8実装ヘッドH8は、部品未吸着ヘッド622である。部品Eをノズル601に吸着した第8実装ヘッドH8は、部品吸着ヘッド621である(
図7においてハッチングにより表示)。
【0077】
制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622(第8実装ヘッドH8)が昇降位置Pf2に向かって回転する際、部品吸着ヘッド621(第9実装ヘッドH9)の接線方向Tdが基板Sbに向かわないように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622(第8実装ヘッドH8)が昇降位置Pf2に向かって回転する際、直前に部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621(第9実装ヘッドH9)が基板Sb側とは逆側の方向に向かって回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0078】
このように、
図5~
図7に示すように、制御部10は、部品未吸着ヘッド622(第8実装ヘッドH8)により部品Eを吸着する前に、複数の実装ヘッド602を一体的にR2方向に回転させて部品未吸着ヘッド622(第9実装ヘッドH9)により部品Eを吸着した後、部品未吸着ヘッド622(第8実装ヘッドH8)が吸着位置Pvに向かって回転する際、直前に部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621(第9実装ヘッドH9)が基板Sb側とは逆側の方向に向かって回転するように複数の実装ヘッド602をR1方向に回転する制御を行う。
【0079】
これにより、制御部10は、部品未吸着ヘッド622(第8実装ヘッドH8)が昇降位置Pf2に向かって回転する際、複数の実装ヘッド602をR1方向に回転させる制御を行う。
【0080】
〈高落下可能性部品〉
ヘッド回転処理プログラムでは、テープフィーダ21により供給される全ての部品Eに上記した回転方向の制御を行うのではなく、全ての部品Eのうちの高落下可能性部品Efのみに(限定して)回転方向の制御を行うことが可能である。
【0081】
すなわち、
図8~
図11に示すように、制御部10は、ノズル601からの落下可能性が高い部品Eである高落下可能性部品Efを部品吸着ヘッド621が吸着している場合、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622が昇降位置Pfに向かって回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0082】
〈予め設定された高落下可能性部品〉
具体的には、
図8および
図9に示すように、制御部10は、予め設定された高落下可能性部品Efを部品吸着ヘッド621が吸着している場合、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622が昇降位置Pfに向かって回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0083】
ここで、予め設定された高落下可能性部品Efとは、基板Sbの実装作業前に、部品Eの吸着および実装に使用する使用ノズルから落下する可能性が高いと設定された部品である。
【0084】
予め設定された高落下可能性部品Efは、基板Sbの実装作業前に、部品実装装置100外の管理用制御装置(たとえば、サーバまたはワークステーション)に記憶された登録部品情報Erに基づいて、管理用制御装置が自動で予め設定してもよい。また、予め設定された高落下可能性部品Efは、基板Sbの実装作業前に、部品実装装置100外の管理用制御装置(たとえば、サーバまたはワークステーション)に記憶された登録部品情報Erに基づいて、ユーザが手動で予め設定してもよい。
【0085】
なお、登録部品情報Erは、たとえば、角チップ抵抗などの複数の部品の情報を有している。また、上記複数の部品の情報の各々は、平面視の寸法、高さおよび質量などの少なくともいずれかが異なる部品(部品種)の情報を有している。また、登録部品情報Erは、異なる部品の情報に関連付けられた推奨ノズルの情報を有している。
【0086】
具体的には、予め設定された高落下可能性部品Efは、ノズル601に関連付けられた部品Eの平面視における寸法としての縦の寸法の推奨範囲R1の上限値近傍の数値を有している部品を有している。縦の寸法の推奨範囲R1の上限値近傍の数値を有している部品とは、推奨範囲R1の上限値だけでなく、推奨範囲R1の上限値よりも若干小さい数値、および、推奨範囲R1の上限値よりも若干大きい数値を含む部品を示す。
【0087】
また、予め設定された高落下可能性部品Efは、ノズル601に関連付けられた部品Eの平面視における寸法としての幅の寸法の推奨範囲R2の上限値近傍の数値を有している部品を有している。幅の寸法の推奨範囲R2の上限値近傍の数値を有している部品とは、推奨範囲R2の上限値だけでなく、推奨範囲R2の上限値よりも若干小さい数値、および、推奨範囲R2の上限値よりも若干大きい数値を含む部品を示す。
【0088】
また、予め設定された高落下可能性部品Efは、ノズル601に関連付けられた部品Eの高さの推奨範囲R3の上限値近傍の数値を有している部品を有している。高さの推奨範囲R3の上限値近傍の数値を有している部品とは、推奨範囲R3の上限値だけでなく、推奨範囲R3の上限値よりも若干小さい数値、および、推奨範囲R3の上限値よりも若干大きい数値を含む部品を示す。
【0089】
また、予め設定された高落下可能性部品Efは、ノズル601に関連付けられた部品Eの質量の推奨範囲R4の上限値近傍の質量を有する部品を有している。質量の推奨範囲R4の上限値近傍の質量を有する部品とは、推奨範囲R4の上限値だけでなく、推奨範囲R4の上限値よりも若干小さい数値、および、推奨範囲R4の上限値よりも若干大きい数値を含む部品を示す。
【0090】
予め設定された高落下可能性部品Efは、所定値以上の直径Daの吸着口601bを有するノズル601により吸着される部品Eを有している。所定値以上の直径Daの吸着口601bを有するノズル601とは、吸着される部品Eの平面視の寸法(縦の寸法および幅の寸法)に対して吸着口601bの直径Daが比較的大きいノズルを示す。以下に、このような高落下可能性部品Efを想定する必要がある理由について説明する。
【0091】
たとえば、吸着される部品Eの平面視の寸法が他の部品Eに対して小さいが、吸着される部品Eの質量が他の部品Eに対して大きい場合、ノズル601の吸引力を大きくするために吸着口601bが大きなノズルを使用することが考えられる。このような場合、吸着口601bが吸着される部品Eの平面視の寸法よりも大きくなってしまうと、吸着される部品Eから露出した吸着口601bの面積の分だけ部品の吸着力(吸引力)が低下するので、使用ノズルから落下する可能性が高くなってしまうことが考えられる。
【0092】
ここで、
図8に示す部品A(上記角チップ抵抗など複数の部品の情報のうちの1つ)の登録部品情報Erおよび
図9に示す部品E(実際に基板Sbに実装される部品)の登録部品情報Erを用いて、高落下可能性部品Efの設定について説明する。
【0093】
図8および
図9に示すように、基板Sbに実装する部品Eの登録部品情報Erは、部品Aの登録部品情報Erに関連付けられている。一例として説明すると、部品Eおよび部品Aは、角チップ抵抗などの共通の部品である。
【0094】
図8に示すように、部品Aの管理用制御装置に記憶されている登録部品情報Erは、たとえば、縦の寸法として1.60(1.80、2.00および3.00)[mm]、幅の寸法として0.80(1.20、1.40および2.20)[mm]、高さ0.45(0.50、0.60および2.00)[mm]、および、質量として0.6(0.65、0.70および1.00)[g/1000pcs]を有する情報である。また、部品Aに関連付けられた部品Aを吸着する際に使用されるノズルとして推奨される推奨ノズルの情報は、たとえば、ノズルA(吸着口601bの直径Da)という情報である。なお、
図8においては、説明を容易にするために、部品Aに関連付けられた推奨ノズルがノズルAのみであるが、推奨ノズルは部品Aに関連付けられた部品Eごとに異ならせて設定されていてもよい。
【0095】
ここで、推奨範囲R1は、部品Aの縦の寸法に基づいて、1.60[mm]以上3.00[mm]以下と設定される。推奨範囲R2は、部品Aの幅の寸法に基づいて、0.80[mm]以上2.20以下[mm]と設定される。推奨範囲R3は、部品Aの高さに基づいて、0.45[mm]以上2.00[mm]以下と設定される。推奨範囲R4は、部品Aの質量に基づいて、0.60[g/1000pcs]以上1.00[g/1000pcs]以下と設定される。
【0096】
図9に示すように、基板Sbに実装する部品Eの登録部品情報Erは、管理用制御装置に記憶されている。部品Eの登録部品情報Erは、縦の寸法として3.00[mm]、幅の寸法として2.20[mm]、高さ2.20[mm]、および、質量として1.02[g/1000pcs]を有している。部品Eを実装する際に使用する使用ノズルは、ノズルAである。
【0097】
部品Eを吸着する際に使用する使用ノズルは、ノズルAであるので、部品Aに対して推奨される推奨ノズルが設定されている。しかしながら、部品Eの高さは、推奨範囲R3を超える高さNv1であるとともに、部品Eの質量は、推奨範囲R4を超える重さNv2である。なお、ノズルAの吸着口601bの直径Daは所定値未満であると仮定する。
【0098】
これらにより、部品EをノズルAにより吸着した後、複数の実装ヘッド602をR1方向(またはR2方向)に回転させた際、部品Eに対するノズルAの吸着力(吸引力)が十分でなく、ノズルAに吸着された部品Eが回転方向に向かって落下するおそれがある。したがって、部品Eは、高落下可能性部品Efとして設定される。
【0099】
〈実装作業中に設定された高落下可能性部品〉
また、制御部10は、実装作業中に設定された高落下可能性部品Efを部品吸着ヘッド621が吸着している場合、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、部品未吸着ヘッド622が昇降位置Pfに向かって回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。
【0100】
ここで、実装作業中に設定された高落下可能性部品Efとは、部品Eを基板Sbに実装する実装作業中に、部品Eの吸着および実装に使用する使用ノズルから落下する可能性が高いと設定された部品である。実装作業中に設定された高落下可能性部品Efは、実装作業中に、部品実装装置100の制御部10に記憶された部品Eに対応する指標などに基づいて、制御部10により自動で設定される。
【0101】
具体的には、
図10に示すように、高落下可能性部品Efは、ノズル601による部品Eの吸着の成功回数に基づく吸着率Vrがしきい値Th以下である部品である。
【0102】
ここで、吸着率Vrは、部品Eの吸着に成功した回数を、部品Eを吸着した総回数で除算した数値である。なお、部品Eの吸着の成功は、たとえば、部品Eを吸着する際、ノズル601にかかる負圧が所定値以上に高まった場合を示す。部品Eの吸着の失敗は、たとえば、部品Eを吸着する際、ノズル601にかかる負圧が所定値以上に高くならなかった場合を示す。なお、部品Eの吸着の成功および失敗は、部品撮像部7および部品側方撮像部9により撮像されたノズル601の先端部分の画像に基づいて判定されてもよい。
【0103】
ここで、実装作業中の部品Eは、吸着率VrがTh以下になった
図10のTe時点から高落下可能性部品Efとなる。
【0104】
また、
図11に示すように、高落下可能性部品Efは、部品撮像部7により撮像された画像Geにおける部品Eの中心点Ceとノズル601の吸着口601bの中心点Cnとが所定値以上ずれたと記録された履歴を有する部品である。すなわち、高落下可能性部品Efは、画像Geにおける部品Eの中心点Ceとノズル601の吸着口601bの中心点Cnとが所定値以上ずれたことに基づいて吸着不良と記録された履歴を有する部品である。ここで、部品Eの中心点Ceとノズル601の吸着口601bの中心点Cnとが所定値以上ずれた場合、吸着された部品Eから露出した吸着口601bの面積の分だけ部品Eの吸着力(吸引力)が低下するので、ノズル601から落下する可能性が高くなってしまう。
【0105】
このような場合、次にノズル601により同じ部品Eを吸着する際にも同じような位置ずれの吸着不良が発生するおそれがあるので、位置ずれの吸着不良が記録された部品Eが高落下可能性部品Efと設定される。
【0106】
〈実装作業停止〉
図12に示すように、制御部10は、部品側方撮像部9により撮像されたノズル601の先端部分の画像Gnに基づいて、部品実装装置100の実装作業を停止するか否かを判定する制御を行う。
【0107】
具体的には、制御部10は、画像Gn中の部品Eに対応する部分の画素の縦方向の範囲がノズル601に正常に部品Eが吸着された場合の画像Gn中の部品Eを示した領域Gaの縦方向の範囲を超えたことに基づいて、部品実装装置100の実装作業を停止する制御を行う。また、制御部10は、画像Gn中の部品Eに対応する部分の画素の横方向の範囲がノズル601に正常に部品Eが吸着された場合の画像Gn中の領域Gaの横方向の範囲を超えたことに基づいて、部品実装装置100の実装作業を停止する制御を行う。
【0108】
(ヘッド回転処理)
図13を参照して、ヘッド回転処理プログラムに基づいて、制御部10により高落下可能性部品Efに対して実施されるヘッド回転処理について以下に説明する。
【0109】
ステップS1において、公転機構611により昇降位置Pf(上記昇降位置Pf1または昇降位置Pf2)に実装ヘッド602が移動する。ステップS2において、昇降位置Pfの実装ヘッド602が下降して、下降した昇降位置Pfの実装ヘッド602がテープフィーダ21の吸着位置Pvに配置された部品Eを吸着する。すなわち、昇降位置Pf1の実装ヘッド602は、昇降位置Pf1の第1ヘッド押圧部材606を第1昇降機構608により下降させることにより、下降する。また、昇降位置Pf2の実装ヘッド602は、昇降位置Pf2の第2ヘッド押圧部材607を第2昇降機構609により下降させることにより、下降する。ここで、部品Eを吸着した昇降位置Pfの実装ヘッド602は、部品吸着ヘッド621である。
【0110】
ステップS3において、部品吸着ヘッド621が上昇する。すなわち、昇降位置Pf1の部品吸着ヘッド621は、第1ヘッド押圧部材606を第1昇降機構608により上昇させることにより、上昇する。また、昇降位置Pf2の部品吸着ヘッド621は、第2ヘッド押圧部材607を第2昇降機構609により上昇させることにより、上昇する。
【0111】
ステップS4において、部品Eを吸着する実装ヘッド602があるか否かが判断される。部品Eを吸着する実装ヘッド602がある場合にはステップS5に進み、部品Eを吸着する実装ヘッド602がない場合にはヘッド回転処理が終了する。
【0112】
ステップS5において、吸着した部品Eが高落下可能性部品Efか否かが判断される。高落下可能性部品Efである場合にはステップS6に進み、高落下可能性部品Efでない場合にはステップS7に進む。
【0113】
ステップS6において、基板Sbに向かわない方向に部品吸着ヘッド621が回転するように、公転機構611によりハウジング604が回転する。これにより、複数の実装ヘッド602が一体的にR1方向またはR2方向に回転するので、次の実装ヘッド602の回転角度位置と昇降位置Pf(昇降位置Pf1または昇降位置Pf2)の回転角度位置とを互いに重なるように合わせる(互いに一致させる)ことができる。また、ステップS7において、公転機構611によるハウジング604の回転量(移動量)が最小になるように、公転機構611によりハウジング604が回転する。これにより、複数の実装ヘッド602が一体的にR1方向またはR2方向に回転するので、次の実装ヘッド602の回転角度位置と昇降位置Pf(昇降位置Pf1または昇降位置Pf2)の回転角度位置とを互いに重なるように合わせる(互いに一致させる)ことができる。ステップS6およびステップS7の各々の後、ステップS1に戻る。これにより、部品Eを吸着する実装ヘッド602が無くなるまで、ヘッド回転処理が実施される。
【0114】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0115】
本実施形態では、上記のように、部品実装装置100は、上記のように、部品未吸着ヘッド622がテープフィーダ21から供給された部品Eを吸着するために回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する制御部10を備えている。これにより、ノズル601の吸着口601bの中心点Cnと部品Eの平面視における中心点Ceとの位置ずれが大きく部品Eからノズル601の吸着口601bが露出してしまうといったノズル601の部品Eに対する吸着力が低下してしまう場合でも、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転することにより、基板Sbとは異なる箇所に部品Eを落下させることができる。この結果、部品吸着後のノズル601から離脱した部品Eが部品実装中の基板Sb上に落下することを抑制することができる。また、部品吸着後のノズル601から離脱した部品Eが基板Sb上に落下することを抑制することができるので、部品Eと基板Sb上の回路とが接触することを抑制することができる。また、部品実装装置100における基板Sbへの部品Eの実装の生産性を考慮してタクトタイム(またはサイクルタイム)が最短になるように、複数の実装ヘッド602を所定の回転方向に回転している場合と異なり、部品吸着後のノズル601から離脱した部品Eが基板Sb上に落下することを確実に抑制することができるので、部品Eが基板Sb上に落下することに起因して部品実装装置100が停止することを抑制することができる。この結果、部品実装装置100の停止に起因する生産性の悪化を抑制することができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために回転する際、部品吸着ヘッド621の接線方向Tdが基板Sbに向かわないように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。これにより、複数の実装ヘッド602とともに部品吸着ヘッド621が回転する際の部品吸着ヘッド621の接線方向Tdが基板Sbに向かわないので、部品吸着ヘッド621に設けられたノズル601から部品吸着ヘッド621の回転に伴い回転方向に向かって落下した部品Eを基板Sbから外れた箇所に向かって落下させることができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10は、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために、周状に配置された複数の実装ヘッド602の各々に対応する回転角度位置のうちの部品未吸着ヘッド622がテープフィーダ21から供給された部品Eを吸着する吸着位置Pvに部品未吸着ヘッド622を昇降させる昇降位置Pf1(Pf2)に向かって回転する際、直前に部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621が基板Sb側とは逆側の方向に向かって回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。これにより、ノズル601による部品Eの吸着力が十分でなければ、直後の実装ヘッド602の回転に伴って部品吸着ヘッド621のノズル601に吸着された部品Eが落下してしまうので、直前に部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621の回転方向を基板Sb側とは逆側の方向にすることにより、直前に部品Eを吸着した部品吸着ヘッド621のノズル601から落下する部品Eが基板Sb上に落下することを抑制することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10は、複数の実装ヘッド602のうちの第8実装ヘッドH8により部品Eを吸着する前に、複数の実装ヘッド602を一体的にR2方向(第1回転方向)に回転させて第8実装ヘッドH8のR1方向(第2回転方向)側に隣り合う第9実装ヘッドH9により部品Eを吸着した後、第8実装ヘッドH8が部品Eを吸着するために回転する際、直前に部品Eを吸着した第9実装ヘッドH9が基板Sb側とは逆側の方向に向かって回転するように複数の実装ヘッド602をR1方向(第2回転方向)に回転する制御を行う。ここで、第8実装ヘッドH8による部品Eの吸着の後に複数の実装ヘッド602を一体的にR2方向に回転させて第9実装ヘッドH9を部品Eを吸着するために回転させる場合、部品Eを吸着した第8実装ヘッドH8が基板Sb側の方向に向かって回転してしまうが、第9実装ヘッドH9による部品Eの吸着の後に複数の実装ヘッド602を一体的にR2方向に回転させることにより、第8実装ヘッドH8を部品Eを吸着するために回転させつつ、部品Eを吸着した第9実装ヘッドH9の回転方向を基板Sb側とは逆側のR2方向にすることができる。この結果、基板Sbに向かって部品Eが落下することを抑制することができるとともに、第8実装ヘッドH8による部品Eの吸着を行うことができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10は、ノズル601からの落下可能性が高い部品Eである高落下可能性部品Efを部品吸着ヘッド621が吸着している場合、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。これにより、複数の実装ヘッド602の回転方向を基板Sbに向かわない方向にする制御が高落下可能性部品Efを部品吸着ヘッド621が吸着している場合に行われることにより、高落下可能性部品Efが基板Sbに向かって落下する可能性を低減させることができるので、複数の実装ヘッド602による基板Sbへの部品Eの実装作業中に基板Sb上に部品Eが落下することをより抑制することができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10は、予め設定された高落下可能性部品Efを部品吸着ヘッド621が吸着している場合、部品未吸着ヘッド622が部品Eを吸着するために回転する際、部品吸着ヘッド621が基板Sbに向かわない方向に回転するように複数の実装ヘッド602の回転方向を制御する。これにより、ノズル601から落下しやすい部品Eだとわかっている部品Eを予め高落下可能性部品Efであると設定することにより、基板Sb上に部品Eが落下する可能性をより低減させることができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、高落下可能性部品Efは、ノズル601に関連付けられた部品Eの質量の推奨範囲R4の上限値近傍の質量を有する部品Eを含んでいる。これにより、複数の実装ヘッド602の回転に伴う部品吸着ヘッド621の回転により部品Eに発生する回転方向への力が大きくなりノズル601から落下しやすい部品Eを高落下可能性部品Efとして設定することができるので、基板Sb上に部品Eが落下する可能性をより低減させることができる。
【0122】
また、本実施形態では、上記のように、高落下可能性部品Efは、ノズル601に関連付けられた部品Eの高さおよび平面視における寸法のそれぞれの推奨範囲R1、推奨範囲R2および推奨範囲R3の少なくともいずれかの上限値近傍の数値を有している部品E、および、所定値以上の直径の吸着口601bを有するノズル601により吸着される部品Eの少なくとも1つを含んでいる。ここで、上記推奨範囲R1、推奨範囲R2および推奨範囲R3の各々の上限値近傍の数値を有している部品Eは上記部品Eの部品種において比較的質量の大きい部品Eであるので、部品Eに発生する回転方向への力が大きくなりノズル601から落下しやすい部品Eを高落下可能性部品Efとして設定することができる。この結果、基板Sb上に部品Eが落下する可能性をより低減させることができる。また、高落下可能性部品Efが所定値以上の直径の吸着口601bを有するノズル601により吸着される部品Eであることにより、吸着口601bが吸着される部品Eの平面視の寸法よりも大きく、吸着される部品Eから露出した吸着口601bの面積の分だけ部品Eの吸着力(吸引力)が低下してしまうような場合でも、複数の実装ヘッド602の回転に伴う部品吸着ヘッド621のノズル601から回転方向に向かって落下した部品Eが基板Sbに落下しないようにすることができる。
【0123】
また、本実施形態では、上記のように、高落下可能性部品Efは、ノズル601による部品Eの吸着の成功回数に基づく吸着率Vrがしきい値Th以下である部品Eを含んでいる。これにより、部品実装装置100において実装作業を行っていくうちにノズル601の部品Eに対する吸着力が低下してしまい、吸着力が十分でなくなったノズル601が吸着する部品Eを高落下可能性部品Efとして設定することができるので、実装作業中に基板Sbに部品Eが落下してしまうことをより一層抑制することができる。
【0124】
また、本実施形態では、上記のように、部品実装装置100は、ノズル601に吸着された部品Eを撮像する部品撮像部7を備えている。高落下可能性部品Efは、部品撮像部7により撮像された画像Geにおける部品Eの中心点Ceとノズル601の吸着口601bの中心点Cnとが所定値以上ずれたと記録された履歴を有する部品Eである。これにより、部品Eの中心点Ceとノズル601の吸着口601bの中心点Cnとが所定値以上に位置ずれる可能性が高い部品Eを高落下可能性部品Efとして設定することにより、吸着力が低下した状態のノズル601により吸着した部品Eを高落下可能性部品Efとして設定することができるので、実装作業中に基板Sbに部品Eが落下してしまうことをより一層抑制することができる。
【0125】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0126】
たとえば、上記実施形態では、複数のテープフィーダ21により部品Eが供給される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基台に部品が載置されたトレイから部品が供給されてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、昇降位置Pf1(第1昇降位置)において下降する所定位置の実装ヘッド602は、複数の実装ヘッド602のうちの第1実装ヘッドH1および第2実装ヘッドH2である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1昇降位置において下降する所定位置の実装ヘッドは、複数の実装ヘッドのうち径方向に対向する一対の実装ヘッドに対して第1昇降位置側に配置された実装ヘッドであればよい。
【0128】
また、上記実施形態では、昇降位置Pf2(第2昇降位置)において下降する所定位置の実装ヘッド602は、複数の実装ヘッド602のうちの第8実装ヘッドH8および第9実装ヘッドH9である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2昇降位置において下降する所定位置の実装ヘッドは、複数の実装ヘッドのうちの径方向に対向する一対の実装ヘッドに対して第2昇降位置側に配置された実装ヘッドであればよい。
【0129】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部10の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0130】
3 基板搬送部
6 ロータリーヘッド
7 部品撮像部
10 制御部
21 テープフィーダ(部品供給部)
100 部品実装装置
601 ノズル
601b 吸着口
602 実装ヘッド
621 部品吸着ヘッド
622 部品未吸着ヘッド
Ce (部品の)中心点
Cn (吸着口の)中心点
E 部品
Ef 高落下可能性部品
Ge (部品撮像部7により撮像された)画像
H8 第8実装ヘッド(第1実装ヘッド)
H9 第9実装ヘッド(第2実装ヘッド)
Pw 実装作業位置
R1、R2、R3、R4 推奨範囲
Sb 基板
Td 接線方向
Th しきい値
Vr 吸着率