(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179199
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ナノグラニュラーバルク部材およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/00 20060101AFI20231212BHJP
H01F 7/02 20060101ALI20231212BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20231212BHJP
H01F 1/24 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01F1/00 163
H01F7/02 E
H01F41/02 G
H01F1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092358
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000173795
【氏名又は名称】公益財団法人電磁材料研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸聖
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 忠義
(72)【発明者】
【氏名】池田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】直江 正幸
(72)【発明者】
【氏名】荒井 賢一
【テーマコード(参考)】
5E040
5E041
5E062
【Fターム(参考)】
5E040AA00
5E040BC01
5E040CA01
5E040CA05
5E040CA06
5E040CA13
5E040CA16
5E040HB15
5E040NN04
5E041AA02
5E041AA04
5E041AA05
5E041AA07
5E041BB01
5E041BC01
5E041CA01
5E041CA10
5E041CA13
5E041HB15
5E041NN04
5E062CD04
5E062CE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ナノグラニュラー構造を有する薄膜と同様の磁気的性質を有するバルク部材およびその作製方法を提供する。
【解決手段】ナノグラニュラーバルク部材1は、Li、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、Ba、Biおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素のフッ素化合物、酸素化合物または窒素化合物を含むマトリックス10に、Fe、CoおよびNiから選択される1種以上の元素からなるナノ磁性粒子11が分散しているナノグラニュラー構造を有している。ナノ磁性粒子11の体積占有率が10~70%の範囲に含まれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Li、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、Ba、Biおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素のフッ素化合物、酸素化合物または窒素化合物を含むマトリックスに、Fe、CoおよびNiから選択される1種以上の元素からなるナノ磁性粒子が分散しているナノグラニュラー構造を有し、
ナノ磁性粒子の体積占有率が10~70%の範囲に含まれている
ナノグラニュラーバルク部材。
【請求項2】
請求項1に記載のナノグラニュラーバルク部材において、
ナノ磁性粒子の体積占有率が10~60%の範囲に含まれている領域が存在している
ナノグラニュラーバルク部材。
【請求項3】
請求項2に記載のナノグラニュラーバルク部材において、
ナノ磁性粒子の体積占有率が30~70%の範囲に含まれている領域が存在している
ナノグラニュラーバルク部材。
【請求項4】
請求項2または3に記載のナノグラニュラーバルク部材において、
ナノ磁性粒子の体積占有率が指定方向について規則的に変化するように構成されている
ナノグラニュラーバルク部材。
【請求項5】
Li、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、Ba、Biおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素のフッ素化合物、酸素化合物または窒素化合物からなるマトリックスに、Fe、CoおよびNiから選択される1種以上の元素からなるナノ磁性粒子が分散しているナノグラニュラー構造を有する薄膜を作製する工程と、
前記薄膜を粉砕することにより、前記ナノグラニュラー構造を有する第1磁性粒子を作製する工程、前および、記薄膜を水に溶かすことにより、前記ナノ磁性粒子と、前記マトリックスに由来する保護膜と、により構成されている第2磁性粒子を抽出する工程のうち少なくとも一方の工程と、
前記第1磁性粒子および前記第2磁性粒子のうち少なくとも一方を押圧成形する工程と、を含む
ナノグラニュラーバルク部材の作製方法。
【請求項6】
請求項5に記載のナノグラニュラーバルク部材の作製方法において、
前記第1磁性粒子および前記第2磁性粒子の混合粒子を押圧成形する工程を含む
ナノグラニュラーバルク部材の作製方法。
【請求項7】
請求項6に記載のナノグラニュラーバルク部材の作製方法において、
前記第1磁性粒子および前記第2磁性粒子の混合比率が相違する混合粒子のそれぞれを指定方向に逐次的に押圧成形する工程を含む
ナノグラニュラーバルク部材の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノグラニュラー構造を有するバルク部材およびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人により、絶縁体マトリックスにナノメーターサイズの金属粒子が分散しているナノグラニュラー構造を有する磁性薄膜が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、薄膜では応用範囲が限定されてしまうのが実状である。
【0005】
本発明は、ナノグラニュラー構造を有する薄膜と同様の磁気的性質を有するバルク部材およびその作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナノグラニュラーバルク部材は、
Li、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、Ba、Biおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素のフッ素化合物、酸素化合物または窒素化合物を含むマトリックスに、Fe、CoおよびNiから選択される1種以上の元素からなるナノ磁性粒子が分散しているナノグラニュラー構造を有し、
ナノ磁性粒子の体積占有率が10~70%の範囲に含まれている。
【0007】
本発明のナノグラニュラーバルク部材の作製方法は、
Li、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、Ba、Biおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素のフッ素化合物、酸素化合物または窒素化合物からなるマトリックスに、Fe、CoおよびNiから選択される1種以上の元素からなるナノ磁性粒子が分散しているナノグラニュラー構造を有する薄膜を作製する工程と、
前記薄膜を粉砕することにより、前記ナノグラニュラー構造を有する第1磁性粒子を作製する工程、前および、記薄膜を水に溶かすことにより、前記ナノ磁性粒子と、前記マトリックスに由来する保護膜と、により構成されている第2磁性粒子を抽出する工程のうち少なくとも一方の工程と、
前記第1磁性粒子および前記第2磁性粒子のうち少なくとも一方を押圧成形する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態としてのナノグラニュラーバルク部材の構成説明図。
【
図4】第1磁性粒子および第2磁性粒子の混合粒子の構成説明図。
【
図5】磁性金属含有量およびナノ磁性粒子の平均粒径の関係に関する説明図。
【
図6A】磁性金属含有量およびナノ磁性粒子の粒径分布の関係に関する説明図。
【
図6B】磁性金属含有量およびナノ磁性粒子の粒径分布の関係に関する説明図。
【
図7】基板の温度およびナノ磁性粒子の粒径分布の関係に関する説明図。
【
図8】ナノグラニュラー薄膜および第2磁性粒子のそれぞれの磁化曲線に関する説明図。
【
図9】バルク部材(試料1)の複素透磁率の周波数特性に関する説明図。
【
図10】バルク部材(試料2)の複素透磁率の周波数特性に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(ナノグラニュラーバルク部材の構成)
図1に模式的に示されている本発明の一実施形態としてのナノグラニュラーバルク部材1は、マトリックス10にナノ磁性粒子11が分散されているナノグラニュラー構造を有している。「バルク部材」とは、幅および高さ(厚さ)のそれぞれが、例えば、ナノグラニュラー薄膜の標準的な厚さ約0.3~5μmの範囲を超えているような部材を意味する。
【0010】
マトリックス10は、Li、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、Ba、Biおよび希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種以上の元素のフッ素化合物、酸素化合物または窒素化合物からなる。
【0011】
ナノ磁性粒子11は、磁性金属またはその合金からなる。Fe、Co、NiおよびGdから選択される少なくとも1種類の強磁性金属が磁性金属として採用される。付加的または代替的に、Au、Ag、CuおよびZnから選択される少なくとも1種類の反磁性金属が磁性金属として採用されてもよい。磁性金属の合金としては、Fe-Pt合金、Fe-Pd合金、Co-Pt合金、Co-Pd合金、ケイ素鋼(Fe-Sn合金)、パーマロイ(Ni-Fe合金)、センダスト(Fe-Si-Al合金)、パーメンジュール(Fe-Co合金)およびソフトフェライトのほか、磁石を構成するアルニコ(Al-Ni-Co合金)、フェライト、サマリウムコバルト(Sm-Co合金)、ネオジム鉄ボロン(Nd-Fe-B合金)およびサマリウム鉄窒素(Sm-Fe-N合金)などがあげられる。ナノ磁性粒子11の粒径は、例えば、1~50nmの範囲、または1~20nmの範囲に含まれている。ナノ磁性粒子11の体積占有率が10~70%の範囲に含まれている。
【0012】
(ナノグラニュラーバルク部材の作製方法)
図1に示されているナノグラニュラーバルク部材の作製に際して、まず、ナノグラニュラー薄膜が作製される(STEP1)。ナノグラニュラー薄膜は、例えば、スパッタ法またはRFスパッタ法にしたがって作製される(例えば、特許文献1参照)。磁性金属またはその合金の円板の上に、水溶性(潮解性)を有するフッ素化合物、または酸素化合物や窒素化合物のチップが均等に配置されている複合ターゲット、または、磁性金属またはその合金のターゲットおよび水溶性(潮解性)を有するフッ素化合物、または酸素化合物や窒素化合物から成るターゲットが同時に用いられてスパッタリングされる。スパッタ成膜に際してはArガスが用いられる。ナノグラニュラー薄膜の膜厚は、成膜時間が調節されることにより調節され、例えば、約0.3~5μmの厚さに成膜される。基板は間接水冷され、あるいは、100~800℃の温度範囲に含まれる任意の温度に維持される。成膜時のスパッタ圧力は1~60mTorrの範囲に含まれるように制御される。スパッタ電力は50~350Wの範囲に含まれるように制御される。
【0013】
これにより、主にLからなるナノ磁性粒子11が、主にMのフッ化物からなるマトリックス10に均一に分散したナノグラニュラー構造を有するナノグラニュラー薄膜が作製される(
図1参照)。ナノグラニュラー薄膜は、例えば、LをFe、Co、Niから選択される1種以上の元素、MをLi、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、Ba、Bi、希土類元素から選択される少なくとも1種以上の元素、Fをフッ素、Oを酸素、Nを窒素とした場合に、L-M-F、L-M-OまたはL-M-Nで表される組成を有している。Mの原子比率が0.10~0.40の範囲に含まれ、F、OまたはNの原子比率が0.20~0.70の範囲に含まれ、かつ、MおよびF、OまたはNの合計の原子比率が0.30~0.60の範囲に含まれている。
【0014】
ナノ磁性粒子11の粒径は、例えば、1~50nmの範囲または1~20nmの範囲に含まれている。ナノ磁性粒子11の粒径分布は、成膜条件および/または成膜組成を変化させることにより調整可能である。
【0015】
図5には、Fe-Co-Mg-F系のナノグラニュラー構造材料における磁性金属であるFeおよびCoの含有量と、ナノ磁性粒子11の平均粒径との関係が示されている。
図5からわかるように、FeおよびCoの含有量が約10at%から約70at%まで変化するにつれて、ナノ磁性粒子11の平均粒径が約2nmから約8nmまで線形的に変化する。このように、ナノグラニュラー薄膜における磁性金属または合金の含有量を調節することにより、ナノ磁性粒子11の平均粒径が調整されうる。
【0016】
図6Aには、Fe-Co-Mg-F系のナノグラニュラー薄膜における磁性金属であるFeおよびCoの含有量が24at%である場合のナノ磁性粒子11の粒径分布が示されている。
図6Bには、Fe-Co-Mg-F系のナノグラニュラー薄膜における磁性金属であるFeおよびCoの含有量が30at%である場合のナノ磁性粒子11の粒径分布が示されている。
図6Aおよび
図6Bの対比からわかるように、FeおよびCoの含有量が変化するにつれて、ナノ磁性粒子11の粒径分布(粒径頻度の最大値および分散値など)が変化する。このように、ナノグラニュラー薄膜における磁性金属または合金の含有量を調節することにより、ナノ磁性粒子11の粒径分布が調整されうる。
【0017】
図7には、Fe-Co-Al-F系のナノグラニュラー薄膜をスパッタリング法により作製した際の基板の温度と、ナノ磁性粒子11の平均粒径との関係が示されている。
図7からわかるように、基板の温度が約20℃から約610℃まで変化するにつれて、ナノ磁性粒子11の平均粒径が約3nmから約20nmまで指数関数的に変化する。このように、基板の温度などの製膜条件が調節されることにより、ナノグラニュラー構造材料におけるナノ磁性粒子11の平均粒径が調整されうる。
【0018】
(第1磁性粒子の作製)
レジストが塗布された基板の上に前記のようにナノグラニュラー薄膜が成膜され、ナノグラニュラー薄膜が当該基板ごと有機溶媒に浸漬され、ナノグラニュラー薄膜が基板から分離される。続いて、ナノグラニュラー薄膜が適宜乾燥されたうえで、粉砕されることによって粒径0.1~5μmの第1磁性粒子PM1が作製される(STEP2-1)。粉砕の工程を用いることによって、潮解性を有しない酸素化合物および窒素化合物のマトリックスを含むナノグラニュラー薄膜の第1磁性粒子PM1が作製される。第1磁性粒子PM1は、
図2に示されているように、マトリックス10にナノ磁性粒子11が分散されているナノグラニュラー構造を有している。
【0019】
(第2磁性粒子の作製)
ナノグラニュラー薄膜が水に溶かされることにより、第2磁性粒子PM2が抽出または作製される(STEP2-2)。ナノグラニュラー薄膜を構成するマトリックス10はフッ素化合物からなるため、水に溶ける。その一方、ナノグラニュラー薄膜を構成するナノ磁性粒子11の周囲に存在するフッ素化合物は、ナノ磁性粒子11を構成する磁性金属または合金と電磁気力や分子間力により結合している。このため、
図3に模式的に示されているように、ナノ磁性粒子11と、マトリックス10に由来する保護膜12と、により構成されている第2磁性粒子PM2が抽出される。保護膜12は、Li、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sr、およびBaからなる群から選択される少なくとも1種以上の元素のフッ素化合物からなる。保護膜12の厚さは分子レベルであると推察される。
【0020】
例えば、ナノグラニュラー薄膜の水溶液が濾過されることにより第2磁性粒子PM2が抽出され、当該濾過物が乾燥されることにより第2磁性粒子PM2が得られる。Fe-Co-Ba-F系のナノグラニュラー薄膜の水溶液は、最初は無色透明であるものの、徐々に黄色味を帯び、最後には第2磁性粒子PM2が凝集して当該凝集物が茶色身を帯びる様子が観察された。
【0021】
図8には、Fe-Co-Ba-F系のナノグラニュラー薄膜の磁化曲線が破線で示され、当該ナノグラニュラー薄膜が水に溶かされて抽出された第2磁性粒子PM2の磁化曲線が実線で示されている。
図8から、第2磁性粒子PM2は、ナノグラニュラー薄膜と同様の磁気特性を示していることがわかる。よって、ナノ磁性粒子11が酸化していない、ひいては水と接触しないようにフッ素化合物からなる保護膜12により全体的に被覆されていることが確認された。
【0022】
(押圧成形)
第1磁性粒子PM1および/または第2磁性粒子PM2が、金型装置を用いて押圧成形されることにより、指定形状のナノグラニュラーバルク部材1が作製される(STEP3)。ナノグラニュラーバルク部材1は、用途に応じて、円環板状、三角板状、矩形板状、正多角形板状、台形板状など、さまざまな形態の板状に成形されてもよく、円錐状、円錐台状、直方体形状、正多面体形状などのさまざまな3次元形状に成形されてもよい。
【0023】
図2に示されている第1磁性粒子PM1のみが用いられて作製されたナノグラニュラーバルク部材1は、ナノ磁性粒子11の体積占有率が10~60%の範囲に含まれている。この場合、ナノ磁性粒子11同士の平均間隔は、0.2~10nmの範囲に含まれている。この場合、第2磁性粒子PM2の作製工程(STEP2-2)は省略されてもよい。潮解性を持たない酸素化合物および窒素化合物を用いてPM1作製した場合、ナノ磁性粒子11が上記の範囲であれば、第2磁性粒子PM2の作製工程(STEP2-2)は省略されてもよい。
【0024】
図3に示されている第2磁性粒子PM2のみが用いられて作製されたナノグラニュラーバルク部材1は、ナノ磁性粒子11の体積占有率が30~70%の範囲に含まれている。この場合、ナノ磁性粒子11同士の平均間隔は、0.2~10nmの範囲に含まれている。この場合、第1磁性粒子PM1の作製工程(STEP2-1)は省略されてもよい。
【0025】
図4に示されている第1磁性粒子PM1および第2磁性粒子PM2の混合粒子が用いられて作製されたナノグラニュラーバルク部材1は、ナノ磁性粒子11の体積占有率が10~60%の範囲に含まれている。この場合、ナノ磁性粒子11同士の平均間隔は、0.2~10nmの範囲に含まれている。第1磁性粒子PM1および第2磁性粒子PM2の混合比率が異なる複数の混合粒子が調整され、用途に応じた順で逐次的に積層かつ押圧成形されることにより、各層においてナノ磁性粒子11の体積占有率、ひいては、磁性的性質が積層方向(指定方向)について規則的に変化する積層構造を有するナノグラニュラーバルク部材1が作製される。
【0026】
(性能評価)
ナノグラニュラーバルク部材1が、外径20mm、内径14mm、厚さ1mmの略円環板状に形成された。
図9には、Fe-Co-Mg-F系のナノグラニュラー薄膜における磁性金属であるFeおよびCoの含有量が14~20at%である、試料1としてのナノグラニュラーバルク部材1の複素透磁率の周波数依存性の測定結果が示されている。
図10には、Fe-Co-Mg-F系のナノグラニュラー薄膜における磁性金属であるFeおよびCoの含有量が24~31at%である、試料2としてのナノグラニュラーバルク部材1の複素透磁率の周波数依存性の測定結果が示されている。
図9および
図10から、MHz帯からGHz帯に至るまで、試料1および試料2のそれぞれの複素透磁率μ’が高く維持されていること、ひいては磁気損失であるμ”が1以下と小さく、および強磁性共鳴周波数は測定磁界の1GHzを超えていることがわかる。
【0027】
(用途)
本発明に係るナノグラニュラーバルク部材1は、電磁波遮蔽材、医療用磁気ビーズ、電磁ノイズ吸収体、高周波用磁性材料、磁気ヨーク、磁気コア、高密度記録磁気媒体、生体分子標識材、薬剤キャリア、ナノスケールエレクトロニクス、永久磁石材料、電磁気シールド材および超常磁性材料などへの応用が可能な有用性が高い部材である。
【符号の説明】
【0028】
1‥ナノグラニュラーバルク部材
10‥マトリックス
11‥ナノ磁性粒子
12‥保護膜
PM1‥第1磁性粒子
PM2‥第2磁性粒子。