(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001792
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】入出場管理サーバ、携帯端末、入出場管理方法、電子チケットの表示方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20221226BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20221226BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07B15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102729
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】596130185
【氏名又は名称】株式会社 ヴァル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】吉尾 俊
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127CA35
3E127CA47
3E127DA02
3E127DA20
3E127DA33
3E127EA02
3E127EA19
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】コード画像の読取機能を有した自動改札機が設置されていない駅から入出場することができる入出場管理技術を提供する。
【解決手段】入出場管理サーバ1は、所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを発行し、利用者が所持する携帯端末2へ送信する。入出場管理サーバ1は、携帯端末2から、利用者が入場または出場する利用駅がコード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を取得し、問い合わせ情報に応じて、携帯端末2にコード画像と乗車券画像とのいずれか一方の表示を指示する。携帯端末2は、指示されたコード画像と乗車券画像とのいずれか一方を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを発行する発行手段と、
前記電子チケットを利用者が所持する携帯端末へ送信する送信手段と、
前記携帯端末から、前記利用者が入場または出場する前記所定の範囲内の利用駅が前記コード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を取得する取得手段と、
前記問い合わせ情報に応じて、前記携帯端末に前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示を指示する制御手段と、を備えることを特徴とする、
入出場管理サーバ。
【請求項2】
前記利用駅が前記コード画像の読取機能を有する改札機の設置駅であるか否かを判断する判断手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記利用駅が前記改札機の設置駅であれば前記携帯端末に前記コード画像の表示を指示し、前記利用駅が前記改札機の設置駅でなければ前記携帯端末に前記乗車券画像の表示を指示することを特徴とする、
請求項1記載の入出場管理サーバ。
【請求項3】
前記所定の範囲内の駅ごとの前記改札機の設置状況を表す設置情報を記憶する記憶手段をさらに備えており、
前記判断手段は、前記設置情報を参照して前記利用駅が前記改札機の設置駅であるか否かを判断することを特徴とする、
請求項2記載の入出場管理サーバ。
【請求項4】
前記取得手段は、前記携帯端末から該携帯端末の現在位置の位置情報を含む前記問い合わせ情報を取得し、
前記判断手段は、前記位置情報から利用可能な駅を前記利用駅に決定し、該利用駅が前記設置駅であるか否かを判断することを特徴とする、
請求項3記載の入出場管理サーバ。
【請求項5】
所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを発行するサーバとの間で通信可能な携帯端末であって、
前記サーバが発行した前記電子チケットを取得する取得手段と、
取得した前記電子チケットを保存する保存手段と、
入場または出場する利用駅が前記コード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を前記サーバへ送信し、該問い合わせ情報に対する応答として前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示の指示を前記サーバから取得し、取得した前記指示に応じて前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする、
携帯端末。
【請求項6】
現在位置を確認する位置確認手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記現在位置の情報を含む前記問い合わせ情報を前記サーバへ自動的に送信し、前記現在位置から利用可能な前記利用駅における前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示の指示を前記サーバから取得することを特徴とする、
請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
前記現在位置から利用可能な利用駅を判断する判断手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記利用駅の情報を含む前記問い合わせ情報を前記サーバへ自動的に送信し、前記利用駅における前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示の指示を前記サーバから取得することを特徴とする、
請求項6記載の携帯端末。
【請求項8】
利用者が所持する携帯端末と通信可能なサーバにより実行される方法であって、
前記サーバが、
所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを前記携帯端末へ送信し、
前記携帯端末から、前記利用者が入場または出場する前記所定の範囲内の利用駅が前記コード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を取得すると、前記問い合わせ情報に応じて、前記携帯端末に前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示を指示することを特徴とする、
入出場管理方法。
【請求項9】
所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを発行するサーバと通信可能な携帯端末により実行される方法であって、
前記携帯端末が、
前記サーバが発行した前記電子チケットを取得して所定の保存手段に保存しておき、
入場または出場する利用駅が前記コード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を前記サーバへ送信し、
該問い合わせ情報に対する応答として前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示の指示を前記サーバから取得し、
取得した前記指示に応じて前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示することを特徴とする、
電子チケットの表示方法。
【請求項10】
利用者が所持する携帯端末と通信可能なコンピュータを、
所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを発行する発行手段、
前記電子チケットを前記携帯端末へ送信する送信手段、
前記携帯端末から、前記利用者が入場または出場する前記所定の範囲内の利用駅が前記コード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を取得する取得手段、
前記問い合わせ情報に応じて、前記携帯端末に前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示を指示する制御手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを発行するサーバとの間で通信可能なコンピュータを、
前記サーバが発行した前記電子チケットを取得する取得手段、
取得した前記電子チケットを保存する保存手段、
入場または出場する利用駅が前記コード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を前記サーバへ送信し、該問い合わせ情報に対する応答として前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示の指示を前記サーバから取得し、取得した前記指示に応じて前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方を所定のディスプレイに表示させる制御手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の表示画面に表示されるコード画像を利用して公共交通機関への入場及び出場を管理することが可能な入出場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、QRコード(登録商標)などのコード画像を利用して自動改札機の改札処理を行うシステムが提案されている。一つの例でいえば、利用者は、自身が所持する携帯端末(端末装置)の表示画面にQRコードを表示して自動改札機にかざす。自動改札機は、該表示画面からQRコードを読み取り、QRコードに含まれる情報を取得する。自動改札機は、QRコードから取得した情報に基づいて改札処理、決済処理などを実行する。
特許文献1、2には、このようなQRコードを用いた改札処理における不正利用の防止技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-149115号公報
【特許文献2】特開2020-30583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
QRコードなどのコード画像を利用して改札処理を行う場合、入場時及び出場時の双方の自動改札機がコード画像の読取機能を備える必要がある。つまり、入場駅のみならず出場駅の両方に、コード画像の読取機能を備えた自動改札機を設置する必要がある。
しかしながら、このような自動改札機は、それ自体が高価である。また、コード画像の読取結果をサーバに送信するための設備も必要となる。そのため、コード画像の読取機能を備えた自動改札機のすべての駅への設置は、事業者にとって大きな負担となる。
【0005】
利用者の多い都市部の路線や駅の場合、コード画像の読取機能を備えた自動改札機を設置することで、利用者の利便性向上などのメリットがある。しかし、利用者が少ない地方の路線や駅の場合、導入費用が高いために費用対効果が見込めず、コード画像の読取機能を備えた自動改札機の導入のメリットが少ない。
コード画像の読取機能を備えた自動改札機が設置されていない駅では、コード画像を利用した入出場ができない。入場駅の場合には、利用者が切符の購入などの他の手段で入場することも可能である。しかし、出場駅の場合には、入場駅と同じ手段で出場するのが一般的であることから、利用者が目的の駅から出場できなくなる可能性があり、利便性が低下する。
【0006】
本発明は、上記背景のもと、例えばQRコードなどのコード画像を利用した改札処理を行うシステムにおいて、コード画像の読取機能を有した自動改札機が設置されていない駅からの入出場を容易にする入出場管理技術を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の入出場管理サーバは、所定の範囲内の交通機関で自由に乗降可能な乗車券の情報を表すコード画像、及び前記乗車券の情報を視認可能にした乗車券画像、を含む電子チケットを発行する発行手段と、前記電子チケットを利用者が所持する携帯端末へ送信する送信手段と、前記携帯端末から、前記利用者が入場または出場する前記所定の範囲内の利用駅が前記コード画像を利用可能な駅であるか否かの問い合わせ情報を取得する取得手段と、前記問い合わせ情報に応じて、前記携帯端末に前記コード画像と前記乗車券画像とのいずれか一方の表示を指示する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コード画像の読取機能を有した自動改札機が設置されている駅を利用する場合に携帯端末にコード画像が表示され、コード画像の読取機能を有した自動改札機が設置されていない駅を利用する場合に携帯端末に乗車券画像が表示される。これにより、利用者は、コード画像の読取機能を有した自動改札機が設置されていない駅であっても、入場又は出場することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】(a)、(b)は、入出場管理サーバの構成図。
【
図8】(a)、(b)は、自動改札機の制御システムの構成図。
【
図9】電子チケットの事前購入処理を表すシーケンス図。
【
図10】(a)は登録画面、(b)はログイン画面、(c)は事前購入画面の例示図。
【
図12】(a)、(b)は、電子チケットの例示図。
【
図13】(a)~(c)は、入場時と出場時の乗車券画像の例示図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ実施形態を詳細に説明する。
【0011】
(入出場管理システム)
図1は、本実施形態の入出場管理システムの全体構成図である。入出場管理システム1000は、公共交通機関の利用者に電子チケットを発行して、利用者による公共交通機関を用いた移動を管理する。利用者は、電子チケットにより、例えば駅への入出場、バスへの乗降等を行う。ここでは利用者が駅に入場して鉄道による移動を行い、他の駅から出場する場合について説明する。
【0012】
本実施形態の入出場管理システム1000は、入出場管理サーバ1、利用者が所持するスマートフォン等の携帯端末2、及び各駅に設けられる複数の駅システム3(3a、3b)により構成される。入出場管理サーバ1と携帯端末2とは、ネットワークN1を介して相互に通信可能に接続される。ネットワークN1は、例えば公衆通信回線等の携帯端末2により利用可能な通信回線である。入出場管理サーバ1と駅システム3とは、ネットワークN2を介して相互に通信可能に接続される。ネットワークN2は、公衆通信回線を用いてもよいが、通信の安定性や秘匿性の向上のために専用線を用いることが好ましい。
【0013】
入出場管理サーバ1は、利用者が駅から入場及び出場するための電子チケットを発行する。入出場管理サーバ1は、ネットワークN1を介して電子チケットを携帯端末2へ送信する。電子チケットは、詳細は後述するが、駅から入場及び出場するための乗車券の情報を、コード化したQRコードやバーコードのようなコード画像と、駅員が視認できるように画像化した乗車券画像と、を含む。電子チケットは、使用時に、コード画像と乗車券画像とのいずれか一方が携帯端末2のディスプレイに表示される。
【0014】
携帯端末2は、GPS(Global Positioning System)衛星4により位置情報と時刻を確認することができる。携帯端末2は、位置情報に基づいて、その時点で利用者が利用可能な駅(以下、「利用駅」という。)を判断できるようになっている。携帯端末2は、利用駅を表す情報を含む問い合わせ情報を入出場管理サーバ1へ送信し、その応答としてコード画像と乗車券画像とのいずれか一方の表示指示を取得する。問い合わせ情報は、利用駅がコード画像による入出場が可能であるか否かを問い合わせるために送信される。利用駅は、例えば携帯端末2の位置情報に基づいて検索される最寄駅や、利用者が利用を考えている駅である。本実施形態では、最寄駅を利用駅とする場合について説明する。携帯端末2は、利用駅を表す情報である最寄駅情報を含む問い合わせ情報を入出場管理サーバ1へ自動的に送信することになる。
【0015】
駅システム3aと駅システム3bは、同じ構成であり、それぞれ別の駅に設けられる。駅システム3は、それぞれ複数の自動改札機31と、各自動改札機31の動作を制御する駅サーバ30と、各自動改札機31と駅サーバ30とを通信可能に接続するLAN(Local Area Network)などの構内ネットワークN3と、を備える。自動改札機31には、電子チケットがコード画像である場合に、携帯端末2のディスプレイに表示されたコード画像を読み取る機能を有するものがある。ここでは、コード画像の読取機能を有する自動改札機31を「対応改札機」という。なお、図示は省略しているが、駅システム3a、3bは、券売機、精算機、及び駅員が使用する駅員端末等の駅務機器を備えている。これらの駅務機器も構内ネットワークN3を介して駅サーバ30に接続されている。
【0016】
携帯端末2は、コード画像を表示する場合に、対応改札機である自動改札機31によりコード画像が読み取られる。コード画像の読取結果は、自動改札機31から駅サーバ30を介して入出場管理サーバ1へ送信され、入出場管理サーバ1に記録される。
携帯端末2は、乗車券画像を表示する場合に、乗車券画像が駅員に視認される。乗車券が有効であると確認された場合、携帯端末2は、利用者により後述の「もぎり操作」が行われる。もぎり操作の結果は、携帯端末2から入出場管理サーバ1へ送信され、入出場管理サーバ1に記録される。
【0017】
(入出場管理サーバ)
図2は入出場管理サーバ1の構成図である。
図2(a)は入出場管理サーバ1のハードウェア構成を示し、
図2(b)は入出場管理サーバ1の機能ブロックを示す。
【0018】
入出場管理サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、及びRAM(Random Access Memory)12を備える情報処理装置である。入出場管理サーバ1は、携帯端末2への電子チケットの発行などの処理を行うための各種のデータや制御プログラムを保存するストレージ13を備える。ストレージ13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などである。入出場管理サーバ1は、ネットワークN1とネットワークN2により通信を行うために、二つのネットワークアダプタ14、15を備える。CPU10、ROM11、RAM12、ストレージ13、及びネットワークアダプタ14、15は、バス16を介して相互に通信可能に接続される。
【0019】
CPU10は、ROM11に格納されるブートプログラムやストレージ13に格納される制御プログラムなどのコンピュータプログラムを実行することで、入出場管理サーバ1の動作を制御する。RAM12は、CPU10がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。CPU10がコンピュータプログラムを実行することで、
図2(b)の各機能ブロックが実現される。
【0020】
入出場管理サーバ1は、制御部100、通信部101、102、判断部103、駅情報記憶部104、利用者管理部105、及び電子チケット発行部106として機能する。電子チケット発行部106は、電子チケット格納部107を備える。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0021】
制御部100は、入出場管理サーバ1による電子チケット発行処理などの全体動作を制御する。通信部101は、ネットワークアダプタ14によるネットワークN1を介した通信を制御する。通信部101により携帯端末2との間の通信が制御される。通信部102は、ネットワークアダプタ15によるネットワークN2を介した通信を制御する。通信部102により駅システム3との間の通信が制御される。
【0022】
判断部103は、携帯端末2から取得する最寄駅情報を含む問い合わせ情報に基づいて、該最寄駅に対応改札機が設置されているか否かを判断する。駅情報記憶部104には駅ごとの対応改札機の設置状況を示す設置情報と駅ごとの位置情報が記憶されている。判断部103は、最寄駅情報と駅情報記憶部104の設置情報とにより、最寄駅が対応改札機の設置駅であるか否かの判断を行うことができる。駅の位置情報は、例えば経度と緯度で表されている。最寄駅情報として携帯端末2の現在位置の位置情報を取得した場合、判断部103は、駅の位置情報と携帯端末2の現在位置の位置情報とにより、最寄駅を判断する。
【0023】
利用者管理部105は、利用者の情報を管理する。
図3は、利用者管理部105が利用者ごとに用意する利用者情報の例示図である。利用者情報は、利用者ごとに、「利用者ID」、「利用者名」、「認証情報」、「口座情報」などを含む。利用者情報は、携帯端末2を用いて利用者により事前登録される。利用者は、携帯端末2にインストールした乗車券発行アプリケーションを起動して利用者情報を登録してもよいし、鉄道事業者のWEBサイトにアクセスして利用者情報を登録してもよい。
【0024】
「利用者ID」は、利用者の識別情報であり、「利用者名」は、利用者の名前である。「認証情報」は、利用者を認証する認証処理(本人確認)に用いられる情報であり、例えば文字列からなるパスワード、生体情報(指紋情報、顔情報など)などである。利用者は任意の認証情報を設定することが可能である。「口座情報」は、電子チケット購入時の決済処理に用いられる口座の残高の情報である。口座情報は、電子マネーを利用する場合のチャージ額の残高であってもよいし、クレジットカードを利用する場合の引き落とし口座の情報であってもよい。電子マネーを利用する場合、利用者は、携帯端末2において乗車券発行アプリケーションを起動させて任意の金額を入金して口座情報を増額することができる。
【0025】
電子チケット発行部106は、携帯端末2からの要求に応じて電子チケットを発行する。電子チケットは、乗車券情報をコード化したコード画像と、該乗車券情報を視認可能に画像化した乗車券画像とを含む。乗車券情報は、「乗車券ID」、「利用者ID」、「入場駅ID」、「出場駅ID」、「利用開始日時」、「利用終了日時」などの駅を利用するための情報である。発行された電子チケットは、通信部101により携帯端末2へ送信される。本実施形態では、乗車券情報を記録したコード画像の一例としてQRコードを用いる。なお、自動改札機31において利用可能なコード画像としての電子チケットは、バーコードなどの一次元コード、QRコード以外の二次元コード、又はその他の乗車券情報を埋め込むことができる画像などである。本実施形態では、コード画像の乗車券を「QR乗車券」、乗車券画像の乗車券を「画像乗車券」ということもある。
【0026】
「乗車券ID」は、乗車券情報(電子チケット)の識別情報である。「利用者ID」は、電子チケットを購入した利用者の利用者情報に設定された利用者IDである。利用者IDにより、電子チケットの購入者が特定される。「入場駅ID」は、利用者が入場する駅の識別情報である。「出場駅ID」は、利用者が出場する駅の識別情報である。この電子チケットは、入場駅IDで識別される駅と出場駅IDで識別される駅との間の区間のフリーチケットである。利用者はこの区間で自由に乗降可能である。「利用開始日時」は、この電子チケットが利用可能となる日時である。「利用終了日時」は、この電子チケットが利用不可能となる日時である。
【0027】
電子チケット格納部107は、発行した電子チケットの乗車券情報を格納する。
図4は、乗車券情報の説明図である。
図4(a)は、発行した電子チケットの乗車券情報を例示する。
図4(b)は、乗車券IDごとに、電子チケットに含まれるQRコード(QR乗車券)と乗車券画像(画像乗車券)の発行日時を示す。
図4(c)は、電子チケットの利用履歴を表す。
図4(b)の情報及び
図4(c)の履歴情報は、
図4(a)の乗車券情報に、乗車券IDにより紐付けられる。
【0028】
図4(a)の乗車券情報は、電子チケット発行部106が電子チケットを発行するために乗車券情報を生成することで生成される。
図4(a)では、例えば利用者ID「U001」の利用者に対して、乗車券ID「C001」で、入場駅ID「A」の駅から出場駅ID「B」の駅までの範囲内で自由に乗降が可能な乗車券情報が生成されている。乗車券ID「C001」の乗車券は、「20**/**/01 3:00:00」から利用開始され、「20**/**/02 2:59:59」まで有効である。
【0029】
図4(b)では、乗車券情報に基づくQR乗車券及び画像乗車券の発行日時を示す。
図4(b)では、例えば乗車券ID「C001」の乗車券情報に基づいて、QR乗車券及び画像乗車券が「20**/**/01 7:00:00」に発行されている。
【0030】
図4(c)の履歴情報は、利用者が入出場時にQR乗車券と画像乗車券のいずれを使用したか(乗車券区分)、入場又は出場した駅の識別情報(入出場駅ID)、電子チケットの利用日時、入出場の記録(入出場区分)を含む。履歴情報は、利用者が電子チケットを用いて入出場するたびに生成される。
図4(c)では、例えば乗車券ID「C001」の画像乗車券が、入出場駅ID「A」の駅への入場に「20**/**/01 7:00:05」に使用され、入出場駅ID「B」の駅への出場に「20**/**/01 8:00:05」に使用されている。
【0031】
制御部100は、判断部103の判断結果に基づいて、携帯端末2へQRコード(QR乗車券)と乗車券画像(画像乗車券)とのいずれか一方の表示を指示する。つまり、QR乗車券と画像乗車券が電子チケットとして携帯端末2へ事前に発行されており、制御部100が、携帯端末からの問い合わせに応じて携帯端末2にQR乗車券と画像乗車券とのいずれか一方を表示させる。なお、不正利用防止のために、QRコードにはセキュアQRコードを用い、乗車券画像にはアニメーション画像を用いてもよい。
【0032】
(携帯端末)
図5は、携帯端末2の構成図である。
図5(a)は、携帯端末2のハードウェア構成を示し、
図5(b)は、携帯端末2の機能ブロックを示す。
【0033】
携帯端末2は、CPU20、ROM21、及びRAM22を備える携帯型の情報処理装置である。携帯端末2は、乗車券発行アプリケーションなどのコンピュータプログラムや各種データを保存するストレージ23を備える。ストレージ23は、例えばHDDやSSDなどである。携帯端末2は、入力インタフェース及び出力インタフェースを有するユーザインタフェース24を備える。入力インタフェースは、各種ボタンやタッチパネルなどである。出力インタフェースは、ディスプレイやスピーカなどである。携帯端末2は、ネットワークN1による通信を行うための通信アンテナ25と、GPS衛星4から電波を受信するGPSアンテナ26と、を備える。CPU20、ROM21、RAM22、ストレージ23、ユーザインタフェース24、通信アンテナ25、及びGPSアンテナ26は、バス27を介して相互に通信可能に接続される。
【0034】
CPU20は、ROM21に格納されるブートプログラムやストレージ23に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、携帯端末2の動作を制御する。RAM22は、CPU20がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。本実施形態では、CPU20が乗車券発行アプリケーションを実行することで、
図5(b)の各機能ブロックが実現される。乗車券発行アプリケーションは、電子チケットを利用した入出場を行うためのソフトウェアである。
【0035】
携帯端末2は、制御部200、通信部201、電子チケット保存部202、現在位置確認部203、最寄駅判断部204、入力部205、及び表示部206として機能する。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0036】
制御部200は、携帯端末2の動作を制御する。通信部201は、通信アンテナ25によるネットワークN1を介した通信を制御する。通信部201により入出場管理サーバ1との間の通信が制御される。本実施形態では、通信部201は入出場管理サーバ1に対して電子チケットを要求し、要求に応じた電子チケットを取得する。また通信部201は、上述の問い合わせ情報を入出場管理サーバ1へ送信し、問い合わせ情報に対する応答を受信する。電子チケット保存部202は、通信部201で取得した電子チケットを保存する。
【0037】
現在位置確認部203は、GPSアンテナ26によりGPS衛星4から受信した電波に基づいて現在位置を確認する。最寄駅判断部204は、現在位置確認部203により確認した現在位置に対する最寄駅を判断する。最寄駅の判断は、例えば現在位置からの直線距離で判断される。現在位置確認部203は、通信部201を介して、位置情報として現在位置の緯度及び経度を入出場管理サーバ1へ送信する。入出場管理サーバ1は、駅情報記憶部104に記憶した駅ごとの位置情報(経度、緯度)と、携帯端末2から取得した現在位置の緯度及び経度から、直線距離で最も近い駅を最寄駅と判断する。最寄駅判断部204は、入出場管理サーバ1による最寄駅の判断結果を、通信部201を介して取得する。また、最寄駅判断部204は、例えば地図アプリケーションを用いて地図上の現在位置から最も近い駅を判断してもよい。地図アプリケーションを用いる場合には、ストレージ23内に地図データを保存しておきこれを用いて行われてもよいが、ネットワークN1を介して他のサーバの地図データを用いて行われてもよい。
【0038】
入力部205は、入力インタフェースを用いて入力される指示やデータを受け付けて制御部200へ送信する。表示部206は、制御部200の制御により、出力インタフェースのディスプレイに画像を表示する。本実施形態では、表示部206は、入出場管理サーバ1からの指示に応じて、電子チケット保存部202に保存した電子チケットをディスプレイに表示する。つまり表示部206は、入出場管理サーバ1からの指示に応じて、電子チケットであるQR乗車券(QRコード)と画像乗車券(乗車券画像)とのいずれか一方をディスプレイに表示する。
【0039】
(駅システム)
図6は、駅システム3の駅サーバ30の構成図である。
図6(a)は、駅サーバ30のハードウェア構成を示し、
図6(b)は、駅サーバ30の機能ブロックを示す。
【0040】
駅サーバ30は、CPU300、ROM301、及びRAM302を備える情報処理装置である。駅サーバ30は、構内ネットワークN3を介して複数の自動改札機31との間の通信を行うための構内インタフェース303を備える。駅サーバ30は、ネットワークN2により通信を行うためのネットワークアダプタ304を備える。駅サーバ30は、入力インタフェース及び出力インタフェースを有するユーザインタフェース305を備える。入力インタフェースは、キーボード、各種ボタン、タッチパネルなどである。出力インタフェースは、ディスプレイやスピーカなどである。CPU300、ROM301、RAM302、構内インタフェース303、ネットワークアダプタ304、及びユーザインタフェース305は、バス306を介して相互に通信可能に接続される。
【0041】
CPU300は、ROM301に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、駅システム3の動作を制御する。RAM302は、CPU300がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。本実施形態では、CPU300がコンピュータプログラムを実行することで、
図6(b)の各機能ブロックが実現される。
【0042】
駅サーバ30は、制御部310、通信部311、改札機制御部312、入力部313、及び出力部314として機能する。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0043】
制御部310は、駅システム3の全体動作を制御する。通信部311は、ネットワークアダプタ304によるネットワークN2を介した通信を制御する。通信部311により入出場管理サーバ1との間の通信が制御される。改札機制御部312は、構内インタフェース303を介して各自動改札機31と通信を行うことで、各自動改札機31の動作を制御し、且つ各自動改札機31からの通知を取得する。入力部313は、入力インタフェースを用いて入力される指示やデータを受け付けて制御部310へ送信する。出力部314は、制御部310の制御により、出力インタフェースのディスプレイに画像を表示する。
【0044】
(対応改札機)
図7は、自動改札機31の外観図である。この自動改札機31は、対応改札機である。
【0045】
自動改札機31は、駅の改札口に設置されている。
図7に示すように、自動改札機31は、間に改札通路350を形成するように入場用の自動改札機31Aと出場用の自動改札機31Bとを対面させてセットで用いられる場合がある。一方の自動改札機31Aは、入場時の進行方向(矢印DAの方向)に沿って改札口から改札内に入場する利用者に対して改札処理(入場改札処理)を行う入場用自動改札機としての役割を担う。他方の自動改札機31Bは、出場時の進行方向(矢印DBの方向)に沿って改札口から改札外へ出場する利用者に対して改札処理(出場改札処理)を行う出場用自動改札機としての役割を担う。
【0046】
自動改札機31は、筐体320にゲート325が設けられる。筐体320の上部には、ICカード読取部326、QRコード読取部327、及び表示部323が設けられる。ICカード読取部326及びQRコード読取部327は、入場時の進行方向(矢印DAの方向)で表示部323に対して上流側に配置される。ICカード読取部326は、ICカード形式の乗車券の読み取りに用いられる。QRコード読取部327は、QRコードの読み取りに用いられる。
【0047】
QRコード読取部327は、携帯端末2のディスプレイに表示されたQRコードを含む画面画像を撮像し、デジタルの画像データ(読取データ)として出力するデジタルカメラなどの撮像部を含む。撮像部は、QRコード読取部327の読取面にかざされた携帯端末2のディスプレイを連続して撮像し(読み取り)、撮像によって得られた複数の画面画像(撮像画像)の画像データを生成する。また撮像部は、QRコードが印刷された紙媒体がQRコード読取部327の読取面にかざされた場合にも、紙媒体を撮像した撮像画像の画像データを生成する。QRコードを読み取って得られた読取データから、乗車券情報が取得される。
【0048】
本実施形態では、QRコード読取部327の読取面に携帯端末2のディスプレイがかざされてからディスプレイが読取面から離れるまでの所定時間において、撮像部が複数枚の画面画像を撮像する構成を例示するが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、撮像部は、所定時間の動画を撮像する構成であってもよい。
【0049】
ICカード読取部326は、ICカード形式の乗車券の読み取り、乗車券に記録されている乗車券情報を取得する。本実施形態では、ICカード読取部326の構成及びICカードの読取処理の説明を省略する。
【0050】
表示部323は、改札通路350を通行する利用者に対してメッセージを表示する。表示部323は、例えば、液晶パネルにより構成される。表示部323は、筐体320の上面において、改札通路350における利用者の進行方向(矢印DA又は矢印DBの方向)の前方側に配置されている。本実施形態では、表示部323は、入場又は出場に用いられるゲート325と概ね同じ位置、或いはゲート325よりも進行方向の前方側に配置されている。利用者の通行が許可される場合、表示部323には、利用者に通行可能であることを示すメッセージが表示される。利用者の通行が許可されない場合、表示部323には、利用者に通行不可(禁止)であることを示すメッセージが表示される。また、ICカード形式の乗車券或いはQRコードの読取処理が適切に行われなかった場合、表示部323には、読取エラーを示すメッセージ、或いは再度の読取操作を促すメッセージが表示されてもよい。
【0051】
また、自動改札機31が出場用として用いられる場合、表示部323に、例えば、運賃が不足していることを示すメッセージが表示されてもよい。また、出場用の電子チケットに入場駅の情報が含まれる場合には、表示部323に、利用金額(運賃)が表示されてもよい。
【0052】
ゲート325は、自動改札機31の改札通路350において進行方向の前方の出口付近に設置される。ゲート325は、例えば開閉可能な扉である。ゲート325が開放されると、利用者は自動改札機31の改札通路350を通過することが可能となり、ゲート325が閉鎖されると、利用者は自動改札機31の改札通路350を通過することが不可能となる。なお、ゲート325は、物理的な扉に限られず、例えば、ホログラムを用いた立体画像で現された扉であってもよい。また、ゲート325は、音声により利用者の通過を許可又は禁止する音声ゲートであってもよい。
【0053】
なお、自動改札機31は、自動改札機31A又は自動改札機31Bが単体として用いられて、一方向に通行する利用者に対して改札処理を行うものであってもよい。この場合、自動改札機31は、ICカード読取部326及びQRコード読取部327が改札外側に配置されるように設置されることで入場用自動改札機として用いられる。また、自動改札機31は、ICカード読取部326及びQRコード読取部327が改札内側に配置されるように設置されることで出場用自動改札機として用いられる。
【0054】
本実施形態では、自動改札機31は、改札通路350を通行しようとする利用者が所持する携帯端末2に表示されるQRコードを乗車券として読み取る。自動改札機31は、取得したQRコードが有効であると判定した場合に、QRコードに含まれる乗車券情報に基づく改札処理を行い、取得したQRコードが無効であると判定した場合に、ゲート325を閉鎖して改札通路350における利用者の通行を禁止する。
【0055】
図8は、自動改札機31の制御システムの構成図である。
図8(a)は、自動改札機31のハードウェア構成を示し、
図8(b)は、自動改札機31の機能ブロックを示す。自動改札機31は、上記の表示部323、ICカード読取部326、及びQRコード読取部327の他に、CPU330、ROM331、RAM332、ストレージ333、及び構内インタフェース334を備える。CPU330、ROM331、RAM332、ストレージ333、及び構内インタフェース334は、自動改札機31の筐体320内に設けられる。自動改札機31は、構内インタフェース334により構内ネットワークN3を介して駅サーバ30との間の通信を行う。ストレージ13は、例えばHDDやSSDなどである。CPU330、ROM331、RAM332、ストレージ333、表示部323、ICカード読取部326、QRコード読取部327、及び構内インタフェース334は、バス335を介して相互に通信可能に接続される。
【0056】
CPU330は、ROM331に格納されるブートプログラムやストレージ333に格納される制御プログラムなどのコンピュータプログラムを実行することで自動改札機31の動作を制御する。本実施形態では、CPU330は、自動改札機31による改札処理を行う。RAM332は、CPU330がコンピュータプログラムを実行する際の作業領域を提供する。ストレージ333には上記の制御プログラムの他に改札処理に用いられる各種データが保存される。CPU330がコンピュータプログラムを実行することで、
図8(b)の各機能ブロックが実現される。
【0057】
自動改札機31は、制御部340、通信部341、及び記憶部342として機能する。制御部340は、検出処理部3401、撮像処理部3402、読取処理部3403、判定処理部3404、通行処理部3405、ゲート制御部3406、及び表示制御部3407を備える。なお各機能ブロックは、一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0058】
通信部341は、構内インタフェース334による構内ネットワークN3を介した駅サーバ30との通信を制御する。記憶部342には、駅サーバ30から自動改札機31に送信される券発行情報が記憶されている。券発行情報は、入場改札処理時及び出場改札処理時に利用者が提示した電子チケット(QRコード)の乗車券情報を照合するために用いられる情報である。券発行情報は、入出場管理サーバ1から駅サーバ30を介して送信される。券発行情報は、乗車券情報の各項目に応じて生成される。
【0059】
検出処理部3401は、携帯端末2を検出する。具体的には、携帯端末2が筐体320に設けられた不図示の検知センサにより検知されると、検出処理部3401は、検知センサから取得する検知信号に基づいて携帯端末2を検出する。すなわち、検出処理部3401は、検知信号に基づいて携帯端末2を検出したか否かを判定する。ここで、検知センサは、例えばQRコード読取部327に近接して設けられている。このため、検出処理部3401が携帯端末2を検出した時点では、携帯端末2がQRコード読取部327の読取面上に位置していることになる。
【0060】
撮像処理部3402は、検出処理部3401により検出される携帯端末2の表示画面をQRコード読取部327の撮像部に撮像させる。なお、QRコードの読取精度を向上させるために、撮像処理部3402は、表示画面に光を照射して撮像処理を実行してもよい。制御部340は、QRコード読取部327から、撮像部により撮像された表示画面の画面画像(撮像画像)の画像データを取得する。
【0061】
読取処理部3403は、QRコード読取部327から取得した画面画像(撮像画像)の画像データからQRコードを読み取り、QRコードに記録されている乗車券情報を取得する。本実施形態では、読取処理部3403は、複数の画面画像(撮像画像)の画像データから乗車券情報を取得する。例えば、読取処理部3403は、画面画像(撮像画像)の画像データから、QRコードに含まれる3つの切り出しシンボル(ファインダパターン)を抽出し、各シンボルによって特定される矩形領域をQRコードの画像として特定する。そして、読取処理部3403は、特定したQRコードを文字列に復号して乗車券情報を取得する。
【0062】
判定処理部3404は、読取処理部3403により取得した乗車券情報の有効性を判定する。判定処理部3404は、判定結果を制御部340へ通知する。具体的には、判定処理部3404は、入場改札処理において、QRコードの乗車券情報に登録されている各種の情報に基づいてQRコードの有効性を判定する。例えば、利用者が携帯端末2により入場駅の自動改札機31にQRコードを読み取らせた場合に、判定処理部3404は、QRコードから読み取られた乗車券情報の乗車券IDと券発行情報に含まれる乗車券IDとが一致するか否かを判定する。判定処理部3404は、両者が一致する場合に、乗車券情報を有効と判定し、一致しない場合に乗車券情報を無効と判定する。
【0063】
また、判定処理部3404は、出場改札処理において、QRコードの乗車券情報に登録されている各種の情報に基づいて乗車券情報の有効性を判定する。例えば、利用者が携帯端末2により出場駅の自動改札機31にQRコードをかざした場合に、判定処理部3404は、QRコードから読み取られた入出場区分が「出場」であるか否かを判定する。判定処理部3404は、入出場区分が「出場」である場合に乗車券情報を有効と判定し、入出場区分が「出場」でない(「入場」である)場合に乗車券情報を無効と判定する。また、判定処理部3404は、乗車券ID、利用者ID、入場駅ID、発行日時などの情報を用いて判定処理を実行してもよい。これにより、例えば、入場用のQRコードを複製して出場しようとする不正利用を防ぐことができる。
【0064】
また、判定処理部3404は、入場駅IDと出場駅IDとにより乗車券情報の有効区間を判断し、利用者が利用する駅が有効区間内にあるか否かにより判定処理を実行してもよい。判定処理部3404は、利用駅が有効区間内にある場合に乗車券情報を有効と判定し、利用駅が有効区間内にない場合に乗車券情報を無効と判定する。また、判定処理部3404は、利用開始日時と利用終了日時とにより乗車券情報の有効期間を判断し、利用時刻が有効期間内であるか否かにより判定処理を実行してもよい。判定処理部3404は、利用時刻が有効期間内にある場合に乗車券情報を有効と判定し、利用時刻が有効期間内にない場合に乗車券情報を無効と判定する。
【0065】
ゲート制御部3406は、判定処理部3404による判定結果に基づいて、自動改札機31を利用する利用者の通過を制御する。具体的には、ゲート制御部3406は、乗車券情報が有効と判定された場合に、利用者が改札通路350を通行することを許可する。また、ゲート制御部3406は、乗車券情報が無効と判定された場合に、利用者が改札通路350を通行することを禁止する。ゲート325は、ゲート制御部3406の制御により動作(開閉動作)する。例えば、利用者が改札通路350の通行を許可された場合、ゲート制御部3406は、ゲート325を開放する。利用者が改札通路350の通行を禁止された場合、ゲート制御部3406は、ゲート325を閉鎖する。
【0066】
表示制御部3407は、表示部323に、改札通路350を通行する利用者に対してメッセージを表示する。
【0067】
(電子チケット購入処理)
利用者は、電子チケットを事前購入して交通機関を利用する。利用者は、電子チケットの事前購入のために入出場管理サーバ1に利用者情報を登録する必要がある。
図9は、電子チケットの事前購入処理を表すシーケンス図である。利用者は、携帯端末2に乗車券発行アプリケーションをインストールした後に、乗車券発行アプリケーションを実行して利用者情報の登録及び電子チケットの事前購入を行う。
図10は、乗車券発行アプリケーションにより表示される登録画面、ログイン画面、及び事前購入画面の例示図である。登録画面、ログイン画面、及び事前購入画面は、携帯端末2のディスプレイに表示される。
【0068】
利用者情報を登録する場合、利用者は、乗車券発行アプリケーションを実行して表示される
図10(a)の登録画面から、入力部205により名前、認証情報、及び口座情報などの利用者情報を入力する(S920)。認証情報は、確認のために二回入力される。利用者がすべての項目に入力後に「登録」ボタンを押下することで、入力された利用者情報が携帯端末2から入出場管理サーバ1へ送信される。利用者情報を受信した入出場管理サーバ1は、受信した利用者情報に利用者IDを付与して利用者管理部105に登録する(S910)。利用者情報の登録はこのように行われる。
【0069】
電子チケットを事前購入する場合、利用者は、乗車券発行アプリケーションを実行して表示される
図10(b)のログイン画面から、利用者ID及び認証情報を入力する(S921)。入力された利用者ID及び認証情報は、「送信」ボタンが押下されることで、ログイン情報として携帯端末2から入出場管理サーバ1へ送信される。ログイン情報を取得した入出場管理サーバ1は、利用者管理部105により、登録されている利用者情報を参照して利用者の認証処理を行う(S911)。認証結果は、入出場管理サーバ1から携帯端末2へ送信される。
【0070】
利用者が認証されない場合、携帯端末2は、利用者に再度認証情報の入力を促す。利用者が認証された場合、携帯端末2は、
図10(c)の電子チケットの事前購入画面を携帯端末2のディスプレイに表示する。利用者は、事前購入画面から、入力部205により入場駅、出場駅、及び利用日などの購入情報を入力する(S922)。
図10(c)の事前購入画面は、
図4(a)の乗車券ID「C001」の電子チケットを購入する場合の購入画面である。購入情報が入力されることで、購入金額が表示される。利用者が購入金額を確認して「購入」ボタンを押下することで、入力された購入情報が携帯端末2から入出場管理サーバ1へ送信される。ここでは、入場駅ID「A」の駅から出場駅ID「B」の駅までの間で自由に乗降可能な乗車券を事前購入する場合を例に説明するが、購入する乗車券は、所定範囲内の駅で自由に乗降が可能なフリーパスであってもよい。
【0071】
購入情報を受信した入出場管理サーバ1は、電子チケット発行部106により、受信した購入情報に基づいて生成した乗車券情報を電子チケット格納部107に登録する(S912)。この際、電子チケットの購入金額は、当該利用者の口座情報を用いて精算される。入出場管理サーバ1は、電子チケット発行部106により、生成した乗車券情報に基づく電子チケットを発行する(S913)。電子チケットは、入出場管理サーバ1から携帯端末2へ送信される。携帯端末2は、入出場管理サーバ1から電子チケットを取得して、電子チケット保存部202に保存する(S923)。このような電子チケットの購入処理により、携帯端末2の電子チケット保存部202には、QRコード(QR乗車券)と乗車券画像(画像乗車券)が保存される。
【0072】
(入出場処理)
入出場管理システム1000による入出場処理について説明する。本実施形態の利用者は、乗車券発行アプリケーションにより、上記のような処理により、所定範囲内の鉄道やバスなどの公共交通機関を利用可能なフリーパスなどの電子チケットを購入している。利用者は、購入した電子チケットにより所定の範囲内の駅や停留所で自由に乗降可能である。
図10(c)で購入された電子チケットでは、利用者がA駅からB駅までの間で自由に乗降可能となる。
図11は、入出場管理システム1000による入出場処理を表すシーケンス図である。入場時の処理と出場時の処理は同じである。
【0073】
携帯端末2は、乗車券発行アプリケーションを実行している。携帯端末2は、位置情報を取得して、利用駅情報を含む問い合わせ情報を自動的に入出場管理サーバ1へ送信する(S20)。利用駅情報は、位置情報に基づいて検索される最寄駅である。また、利用駅情報は、取得した位置情報であってもよい。問い合わせ情報には、購入済みの電子チケットの乗車券IDが含まれる。
【0074】
入出場管理サーバ1の判断部103は、携帯端末2から取得した問い合わせ情報に含まれる利用駅情報が示す利用駅が対応改札機の設置駅であるか否かを判断する(S10)。判断部103は、駅情報記憶部104を参照してこの判断を行う。なお、利用駅情報が位置情報の場合、判断部103は、この判断の前に位置情報に基づいて利用駅を検索する。判断部103は、駅情報記憶部104に記憶された各駅の位置情報と、問い合わせ情報に含まれる位置情報とにより利用駅を検索する。判断部は、例えば問い合わせ情報に含まれる位置情報から直線距離が最も近い最寄駅を利用駅に決定する。
【0075】
入出場管理サーバ1の制御部100は、利用駅が対応改札機の設置駅であるか否かに応じて、携帯端末2に表示させる電子チケットを決定する(S11)。制御部100は、利用駅が対応改札機の設置駅である場合に、携帯端末2に表示させる電子チケットをQRコード(QR乗車券)に決定する。制御部100は、利用駅が対応改札機の設置駅ではない場合に、携帯端末2に表示させる電子チケットを乗車券画像(画像乗車券)に決定する。制御部100は、この決定に応じて電子チケットの表示指示を携帯端末2へ送信する。電子チケットの表示指示により、携帯端末2にQR乗車券と画像乗車券とのいずれか一方の表示が指示される。また電子チケットの表示指示には、今回の入出場処理が入場と出場のいずれであるかの情報が含まれる。制御部100は、問い合わせ情報に含まれる乗車券IDの履歴情報(
図4(c)参照)を確認して、今回の入出場処理が入場と出場のいずれであるかを判断することができる。
【0076】
携帯端末2は、入出場管理サーバ1から電子チケットの表示指示を受信し、表示部206に、表示指示に応じた電子チケットを表示する(S21)。
図12は、表示部206に表示された電子チケットの例示図である。
図12(a)はQRコード(QR乗車券)を表示する場合の携帯端末2の表示部206を例示する。表示部206のほぼ中央にQRコード207が表示される。
図12(b)は乗車券画像(画像乗車券)を表示する場合の携帯端末2の表示部206を例示する。表示部206には乗車券画像208が表示される。乗車券画像208には、乗車券情報として乗車券ID、利用者名、入場駅名/出場駅名、及び発行日時の画像が含まれる。また、入場ボタン209及び出場ボタン210が表示される。
【0077】
電子チケットがQRコード207である場合、利用者は携帯端末2に表示されたQRコード207を自動改札機31(対応改札機)のQRコード読取部327にかざす。自動改札機31は、QRコード読取部327により読み取ったQRコード207に記録される乗車券情報に基づいて、ゲート325の開閉を制御する。自動改札機31は、乗車券情報が有効であればゲート325を開放し、乗車券情報が無効であればゲート325を閉鎖する。自動改札機31は、乗車券情報の有効/無効の確認結果及び利用者IDを駅サーバ30へ通知する。
【0078】
駅サーバ30は、自動改札機31から取得した乗車券情報の確認結果及び乗車券IDを入出場管理サーバ1へ通知する(S30)。入出場管理サーバ1の制御部100は、駅サーバ30から通知された乗車券IDに該当する履歴情報の入出場区分を、駅サーバ30から通知された確認結果に基づいて設定する(S12)。制御部100は、入場が確認されていれば入出場区分を「入場」に設定し、出場が確認されていれば入出場区分を「退場」に設定する。また制御部100は、該履歴情報に利用日時を記載する。対応改札機が設置された駅では、以上のような処理により利用者が利用駅から入場又は出場する。
【0079】
電子チケットが乗車券画像208である場合、利用者は携帯端末2に表示された乗車券画像208を駅員に視認してもらう。駅員は、乗車券画像208の入場駅名/出場駅名、発行日時により乗車券情報が有効であるか否かを確認する。乗車券情報が有効であれば、駅員は利用者の入出場を許可し、乗車券情報が無効であれば、駅員は利用者の入出場を許可しない。利用者は、駅員が入出場を許可した場合にもぎり操作を行う。もぎり操作では、利用者は、入場時には入場ボタン209を押下し、出場時には出場ボタン210を押下する。
【0080】
図13は、入場時と出場時の乗車券画像208の例示図である。電子チケットの表示指示に今回の入出場処理が入場あることを示す情報が含まれる場合、入場ボタン209がアクティブに表示される(
図13(a))。電子チケットの表示指示に今回の入出場処理が出場あることを示す情報が含まれる場合、出場ボタン210がアクティブに表示される(
図13(b)、(c))。
【0081】
入場時には、出場ボタン210が操作できないようになっている。利用者は、駅員が入場を許可した場合に、もぎり操作として入場ボタン209を押下する。携帯端末2は、入場ボタン209の押下により、乗車券情報の確認結果及び乗車券IDを入出場管理サーバ1へ通知する(S22)。入出場管理サーバ1の制御部100は、携帯端末2から通知された乗車券IDに該当する履歴情報の入出場区分を、「入場」に設定に設定する(S12)。また制御部100は、該履歴情報に利用日時を記載する。
図13(a)の画像は、例えば
図4(c)の履歴情報の乗車券ID「C001」、「C002」の入場時に表示される。
【0082】
出場時には、入場ボタン209が操作できないようになっている。入場ボタン209の近傍には、入場時刻が表示される。利用者は、駅員が出場を許可した場合に、もぎり操作として出場ボタン210を押下する。携帯端末2は、出場ボタン210の押下により、乗車券情報の確認結果及び乗車券IDを入出場管理サーバ1へ通知する(S22)。入出場管理サーバ1の制御部100は、携帯端末2から通知された乗車券IDに該当する履歴情報の入出場区分を、「出場」に設定に設定する(S12)。また制御部100は、該履歴情報に利用日時を記載する。
図13(b)の画像は、
図4(c)の履歴情報の乗車券ID「C001」の出場時に表示される。
図13(c)の画像は、
図4(c)の履歴情報の乗車券ID「C003」の出場時に表示される。対応改札機が設定されていない駅では、以上のような処理により利用者が利用駅から入場又は出場する。
【0083】
乗車券ID「C001」を購入した利用者は、対応改札機が設置されていない駅を利用して入場及び出場している。そのためにこの利用者の携帯端末2には、入場時に
図13(a)の画像が表示され、出場時に
図13(b)の画像が表示される。乗車券ID「C002」を購入した利用者は、入場時に対応改札機が設置されていない駅を利用し、出場時に対応改札機が設置されている駅を利用している。そのためにこの利用者の携帯端末2には、入場時に
図13(a)の画像が表示され、出場時に
図12(a)の画像が表示される。乗車券ID「C003」を購入した利用者は、入場時に対応改札機が設置されている駅を利用し、出場時に対応改札機が設置されていない駅を利用している。そのためにこの利用者の携帯端末2には、入場時に
図12(a)の画像が表示され、出場時に
図13(c)の画像が表示される。
【0084】
なお、入出場時に乗車券情報が無効の場合、入出場管理サーバ1は電子チケットを再発行してもよい。電子チケットの再発行は、確認結果が無効である場合に自動的に行われてもよく、或いは携帯端末2から指示がある場合に行われてもよい。
【0085】
以上のような構成の本実施形態の入出場管理システム1000では、QRコードなどのコード画像を利用した改札処理を行う設備が整っていない駅であっても、利用者は乗車券画像を駅員に提示することで入出場が可能となる。また、入場時と出場時とで異なる電子チケットの画像を用いることができる。例えば入場時にコード画像(或いは乗車券画像)で入場し、出場時に乗車券画像(或いはコード画像)により出場することができる。つまり異なる手段で駅への入場と出場を行うことができる。さらに、携帯端末2から入出場管理サーバ1へ問い合わせ情報が自動的に送信されるために、利用者は意識せずにコード画像と乗車券画像とのいずれかを用いて駅から入場又は出場することができる。そのために利便性が向上する。