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特開2023-179200車両運動制御装置、および、車両運動制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179200
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両運動制御装置、および、車両運動制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20231212BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20231212BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20231212BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W30/10
B60W60/00
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092359
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奈須 真吾
(72)【発明者】
【氏名】上野 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 信治
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA33
3D241BA51
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB06Z
3D241DB20Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC35Z
3D241DC39Z
3D241DC59Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】 自車両の減速要因発生時に車両揺れを抑える車両運動制御装置を提供する。
【解決手段】 曲がりを含む自車両の走行経路に基づいて第1目標速度・加速度を算出する第1目標速度・加速度算出部と、前記走行経路を曲げる要因以外の他の要因に基づいて第2目標速度・加速度を算出する第2目標速度・加速度算出部と、自車両の走行時の指令値である第3目標速度・加速度を算出する第3目標速度・加速度算出部と、を備え、前記第3目標速度・加速度算出部は、前記第1目標速度・加速度と前記第2目標速度・加速度に基づいて、前記他の要因に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画、または、前記他の要因に基づいて決定される所定の位置に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画を生成し、前記速度・加速度計画の評価結果に基づいて、前記第3目標速度・加速度の算出方法を変更する車両運動制御装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がりを含む自車両の走行経路に基づいて第1目標速度・加速度を算出する第1目標速度・加速度算出部と、
前記走行経路を曲げる要因以外の他の要因に基づいて第2目標速度・加速度を算出する第2目標速度・加速度算出部と、
自車両の走行時の指令値である第3目標速度・加速度を算出する第3目標速度・加速度算出部と、を備え、
前記第3目標速度・加速度算出部は、
前記第1目標速度・加速度と前記第2目標速度・加速度に基づいて、前記他の要因に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画、または、前記他の要因に基づいて決定される所定の位置に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画を生成し、
前記速度・加速度計画の評価結果に基づいて、前記第3目標速度・加速度の算出方法を変更することを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運動制御装置において、
前記他の要因は、自車両の進行方向または自車両周辺にいる移動体、障害物、信号、光、または通信であることを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両運動制御装置において、
前記第3目標速度・加速度算出部は、所定の規定値内となるように前記第3目標速度・加速度を算出することを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両運動制御装置において、
前記規定値は、車両の乗員や積み荷の質量や大きさや配置や許容できる物理量、車両が走行する経路の状態に基づいて設定されることを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の車両運動制御装置において、
前記第2目標速度・加速度算出部は、前記他の要因を検知手段で検知した結果、または、前記他の要因との通信によって取得したデータに基づき、前記第2目標速度・加速度を算出することを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の車両運動制御装置において、
前記第3目標速度・加速度算出部は、前記第2目標速度・加速度の発生が予測され、かつ、前記第1目標速度が前記第2目標速度より大きい場合、第2目標加速度が所定値以下になるように第1目標加速度に前記第2目標加速度を加算して前記第3目標速度・加速度を算出することを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の車両運動制御装置において、
前記第3目標速度・加速度算出部は、前記第2目標速度・加速度の発生が予測されない場合、または、前記第1目標速度が前記第2目標速度以下の場合、前記第1目標速度・加速度を前記第3目標速度・加速度に設定することを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の車両運動制御装置は、
上位コントローラから出力されるフラグが処理許可である場合に前記第1~第3目標速度・加速度を算出し、
前記フラグが処理禁止である場合に前記第1~第3目標速度・加速度を算出しないことを特徴とする車両運動制御装置。
【請求項9】
演算装置によって実行される車両運動制御方法であって、
曲がりを含む自車両の走行経路に基づいて第1目標速度・加速度を算出する第1ステップと、
前記走行経路を曲げる要因以外の他の要因に基づいて第2目標速度・加速度を算出する第2ステップと、
前記第1目標速度・加速度と前記第2目標速度・加速度に基づいて、自車両の走行時に使用する第3目標速度・加速度を算出する第3ステップと、を備え、
前記第3ステップでは、
前記他の要因に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画、または、前記他の要因に基づいて決定される所定の位置に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画を生成し、
前記速度・加速度計画の評価結果に基づいて、前記第3目標速度・加速度の算出方法を変更することを特徴とする車両運動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に応じて車両の運動を制御する車両運動制御装置、および、車両運動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転支援や自動運転に代表される車両運動制御技術の一種として、自車両の走行目標となる走行経路や走行速度といった情報で構成される走行軌道を生成し、その走行軌道に沿って車両が走行するようにパワートレイン、ブレーキ、ステアリングなどを制御する技術が知られている。最も単純な走行速度制御としては、例えば、設定した走行速度を維持する速度維持制御がある。
【0003】
また、より高度な走行速度制御技術としては、特許文献1に開示されるものがある。例えば、同文献の段落0012には、「先行車検知判定部11は、車間距離検出装置1からの出力信号に基づいて、自車両の前方を走行している先行車を検出しているか否かを示す信号をカーブ通過目標車速補正部14および目標車速切替部15に出力する。追従用目標車速演算部12は、先行車と自車両との相対的な位置関係に応じた目標車速、すなわち、先行車に追従して走行するための目標車速(第1の目標車速)を演算する。」と記載されており、段落0013には、「カーブ通過目標車速演算部13は、自車両前方のカーブ路の形状に基づいて、カーブ路を通過する際の目標車速(第2の目標車速)を演算する。カーブ通過目標車速補正部14は、カーブ通過目標車速演算部13によって演算される目標車速に基づいて、カーブ路で先行車をロストした場合の目標車速(第3の目標車速)を演算する。」と記載されている。
【0004】
このように、特許文献1には、カーブ路で先行車を見失った際に、見失う直前の先行車のカーブ路に対する位置および第2の目標車速に基づいて車速制御を行うことで、見失った後に先行車がカーブ路をどのように走行するのか推定し、先行車においていかれるような違和感をドライバに与えるのを抑える走行支援方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-162564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の走行支援方法は、カーブ路で先行車を見失った際の自車両の目標車速の低下を抑制する技術に留まり、乗員の乗り心地や快適性を改善する技術ではない。従って、特許文献1の技術を利用して、自車両前方のカーブ路の形状に合わせて自車両が単独で走行している状態から、検知した自車両前方を走行している先行車などの移動体に追従して走行する状態へ移行しようとすると、車速低下を補うために加減速の回数が増加したり、車両の挙動が不安定になったりするなど、乗員の乗り心地や快適性を損ねることもあった。
【0007】
そこで、本発明は、カーブ路や車線変更といった曲がりを含む自車走行経路で、先行車追従制御への移行等の自車減速要因が発生した際の、乗員の乗り心地や快適性を改善する車両運動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するため、本発明の車両運動制御装置は、曲がりを含む自車両の走行経路に基づいて第1目標速度・加速度を算出する第1目標速度・加速度算出部と、前記走行経路を曲げる要因以外の他の要因に基づいて第2目標速度・加速度を算出する第2目標速度・加速度算出部と、自車両の走行時の指令値である第3目標速度・加速度を算出する第3目標速度・加速度算出部と、を備え、前記第3目標速度・加速度算出部は、前記第1目標速度・加速度と前記第2目標速度・加速度に基づいて、前記他の要因に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画、または、前記他の要因に基づいて決定される所定の位置に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画を生成し、前記速度・加速度計画の評価結果に基づいて、前記第3目標速度・加速度の算出方法を変更する車両運動制御装置とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両運動制御装置または車両運動制御方法によれば、カーブ路や車線変更といった曲がりを含む自車走行経路で、先行車追従制御への移行等の自車減速要因が発生した際の、乗員の乗り心地や快適性を改善することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の車載システムの機能ブロック図。
図2】実施例1の走行軌道生成ユニットの機能ブロック図。
図3】実施例1の速度計画部の機能ブロック図。
図4】走行経路の平面図の一例。
図5】実施例1の速度計画部の処理概要を示すフローチャート。
図6A図4の走行経路の走行時に本発明を使用しない場合の物理量グラフの一例。
図6B図4の走行経路の走行時にステップS6の第3速度・加速度を使用する場合の物理量グラフの一例。
図6C図6Bの前後加速度の規定値を小さくした場合の物理量グラフの一例。
図6D図4の走行経路の走行時にステップS7の第3速度・加速度を使用する場合の物理量グラフの一例。
図7】走行経路の平面図の別例。
図8A図7の走行経路の走行時に本発明を使用しない場合の物理量グラフの一例。
図8B図7の走行経路の走行時にステップS6の第3速度・加速度を使用する場合の物理量グラフの一例。
図9】実施例2の速度計画部の処理概要を示すフローチャート。
図10】実施例3の速度計画部の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の車両運動制御装置の実施例を、図面を使用して説明する。なお、以下では、実質的に同一又は類似する構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する場合がある。また、周知技術についても、その説明を省略する場合がある。
【実施例0012】
まず、図1から図8Bを用い、本発明の実施例1の車両運動制御装置2を説明する。
【0013】
<車載システム1>
図1は、本実施例の車両運動制御装置2を有する車載システム1の機能ブロック図である。車載システム1は、自車両に搭載され、運転支援や自動運転などの車両運動制御を実行するためのシステムであり、図示するように、車外通信装置11、GNSS(Global Navigation Satellite System)12、地図情報記憶部13、センサ14、HMI(human machine interface)ユニット15、車両運動制御装置2、パワートレインシステム6、ブレーキシステム7、ステリングシステム8を有する。以下、順次説明する。
【0014】
<車両運動制御装置2の情報源群>
車外通信装置11は、無線通信により、自車両と他車両の間の車車間通信、又は、自車両と路側機の間の路車間通信を実行し、車両や周辺環境などの情報を、送受信する。
【0015】
GNSS12は、準天頂衛星やGPS(Global Positioning System)衛星などの人工衛星から発信される電波を受信し、自車両の位置などの情報を取得する。
【0016】
地図情報記憶部13は、ナビゲーションシステムなどで使用される一般的な道路情報、道路の幅や道路の曲率などのカーブに関する情報を有する道路情報、路面状況や交通状況などの情報、他車両の走行状態の情報である、車両や周辺環境などの情報を記憶する。なお、車両や周辺環境などの情報は、車外通信装置11を介して、車車間通信や路車間通信で取得される情報により、逐次更新される。
【0017】
センサ14は、画像センサ、ミリ波レーダ、ライダーなどの車両や周辺環境などの情報を検出する外界認識センサや、ドライバによる操作、車両の速度、加速度、加加速度、角速度、車輪の操舵角などの情報を検出するセンサである。外界認識センサにより検出する車両や周辺環境などの情報は、例えば、自車両の周辺に存在する障害物、標識、車線境界線、車線外側線、建造物、歩行者、他の車両などの各種物体の情報である。また、センサ14は、例えば、画像センサが撮像する画像データの白線と路面の輝度との差に基づいて、車線境界線や車線外側線などを認識する。
【0018】
HMIユニット15は、走行モードの選択や目的地の設定などのユーザの入力操作により受け付けられる情報、車外通信装置11、GNSS12、センサ14により取得される情報、地図情報記憶部13に記録される情報から、ユーザが必要とする情報を、ディスプレイに表示し、スピーカから音声案内する。また、HMIユニット15は、ユーザに注意喚起する警報を発生する。
【0019】
ここで、走行モードには、例えば、コンフォートモード、エコノミモード、スポーツモードなどがあり、走行モードは、ユーザが任意に設定し、若しくは、ユーザが予め設定し、又は、走行状況情報に基づいて後述の運行管理ユニット3により設定され、自車両の速度、加速度、加加速度、自車両と自車両前方を走行する先行車の間の速度(以下、「相対速度」と称す)と距離(以下、「相対距離」と称す)などが設定される。そのため、運行管理ユニット3の規定値設定部31は、設定された走行モードに応じて、車両の挙動の規定値を変化させる。なお、走行モードには、移動時間を最短にする最短時間モードや、移動距離を最短にする最短距離モードなどがある。
【0020】
<車両運動制御装置2>
車両運動制御装置2は、図1に示すように、運行管理ユニット3、走行軌道生成ユニット4、走行制御ユニット5を有する。この車両運動制御装置2は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、半導体メモリなどの主記憶装置や補助記憶装置、及び、通信装置などのハードウェアを有し、車両を統括制御するECU(Electronic Control Unit)であり、主記憶装置にロードされるプログラムを演算装置で実行することにより、運行管理ユニット3等の様々な機能を実現するものである。なお、本実施例では、説明の都合上、運行管理ユニット3、走行軌道生成ユニット4、走行制御ユニット5は分離した構成を有するが、必ずしも分離した構成を有する必要はなく、これらユニットを実際の車両に使用する場合には、上位のコントローラにより、これらユニットの様々な機能を実現してもよい。
【0021】
運行管理ユニット3は、車外通信装置11、GNSS12、センサ14により取得される情報、地図情報記憶部13に記録される地図情報に基づいて、自車両の位置の情報、自車両の周辺に存在する各種物体の情報(車両や周辺環境などの位置や速度などの情報)、前後加速度、前後加加速度、横加速度、ヨーレイト、横加加速度といった車両の挙動に関する情報を生成する。また、運行管理ユニット3は、これら自車両の位置の情報、各種物体の情報、車両の挙動に関する情報を、車外通信装置11を介して、定期的に他の車両や路側機に送信すると共に、地図情報記憶部13にも送信し、地図情報記憶部13に記憶される地図情報を逐次更新する。さらに、運行管理ユニット3は、これら自車両の位置の情報、各種物体の情報、車両の挙動に関する情報や、HMIユニット15により受け付けられる情報(例えば、走行モードや目的地)に基づいて、車両の現在位置から目的地までの経路の情報を設定する。ここで設定される経路の情報には、運行管理ユニット3の規定値設定部31が走行モードに応じて設定する、車両の挙動の規定値が含まれる。なお、以下、運行管理ユニット3により、生成される情報や設定される情報を、「走行状況情報」と称する場合がある。
【0022】
走行軌道生成ユニット4は、図2に示すように、情報取得部41、経路計画部42、速度計画部43、情報出力部44を有する。走行軌道生成ユニット4は、運行管理ユニット3から送信されて情報取得部41で取得した走行状況情報に基づいて、経路計画部42では車両が道路を走行する際の走行目標となる経路(以下「経路指令値P」と称する)を生成する。ここで、経路指令値Pは、例えば、センサ14などで取得した自車両の近傍の情報、または、地図情報記憶部13などに記録されている遠方の地図情報と前述の近傍の情報を合成した情報、の何れかに基づいて生成した指令値であるが、経路指令値Pの生成方法は限定しない。そして、速度計画部43では、経路指令値Pと走行状況情報に基づいて車両が道路を走行する際の走行目標となる速度・加速度(以下「速度・加速度指令値」と称する)を生成し、情報出力部44では経路指令値Pと速度・加速度指令値といった情報で構成される走行軌道を走行制御ユニット5に出力する。なお、速度計画部43の詳細は後述する。
【0023】
走行制御ユニット5は、走行軌道生成ユニット4から出力される走行軌道に、車両が追従して走行するように、目標駆動力、目標制動力、目標操舵角などを設定し、パワートレインシステム6、ブレーキシステム7、ステアリングシステム8を制御する。
【0024】
<車両運動制御装置2の制御対象群>
パワートレインシステム6は、ドライバによる操作や走行制御ユニット5から出力される目標駆動力に基づいて、内燃機関や電動機などにより発生する駆動力を制御する。
【0025】
ブレーキシステム7は、ドライバによる操作や走行制御ユニット5から出力される目標制動力に基づいて、ブレーキキャリパなどにより発生する制動力を制御する。
【0026】
ステアリングシステム8は、ドライバによる操作や走行制御ユニット5から出力される目標操舵角に基づいて、車輪の操舵角を制御する。
【0027】
<速度計画部43>
次に、図3の機能ブロック図を用いて、走行軌道生成ユニット4の速度計画部43の詳細を説明する。速度計画部43は、車両の位置や速度、挙動の上限値、経路指令値Pなどに基づいて、車両の速度指令値を生成するものであり、図3に示す、情報取得部43a、第1目標速度・加速度算出部43b、第2目標速度・加速度算出部43c、第3目標速度・加速度算出部43d、情報出力部43eを有する。以下、順次説明する。
【0028】
情報取得部43aは、運行管理ユニット3から走行状況情報を取得するとともに、経路計画部42から経路指令値Pを取得し、それらを速度計画部43内の各部に出力する。
【0029】
第1目標速度・加速度算出部43bは、情報取得部43aから取得した経路指令値Pに基づいて、自車両が経路指令値Pを走行する際の目標の速度・加速度(以下「第1目標速度・加速度」と称す)を算出する。
【0030】
第2目標速度・加速度算出部43cは、情報取得部43aから取得した経路指令値Pを生成する際に経路を曲げる要因以外の経路上にある移動体や障害物といったその他の要因(以下、「その他の要因」と称す)をセンサ14などの検知手段で検知した結果、または車外通信手段11などを用いて前記要因との通信によって取得したデータに基づいて、自車両が移動体に追従する際や障害物との衝突を回避する際の目標の速度・加速度(以下「第2目標速度・加速度」と称す)を算出する。ここで、第2目標速度・加速度算出部43cで考慮されるその他の要因は、信号、または太陽光や反射光、ヘッドライトのような光であっても良く、その他の要因の定義を限定しない。
【0031】
第3目標速度・加速度算出部43dは、第1目標速度・加速度と第2目標速度・加速度の発生の有無や大きさ、発生する位置などに基づいて、自車両が経路指令値Pを走行する際の指令値となる速度・加速度(以下「第3目標速度・加速度」と称す)を算出する。
【0032】
情報出力部43eは、第3目標速度・加速度算出部43dからの第3目標速度・加速度を速度・加速度指令値として情報出力部44へ出力する。
【0033】
<速度計画部43の処理の一例>
次に、図4の走行経路を走行する状況下で、速度計画部43が時々刻々と生成する速度・加速度指令値について、図5から図6Dを用いて説明する。
【0034】
図4は、自車両Vが走行する走行経路の平面図であり、ある時間において自車両Vの走行可能領域Rの範囲内に設定された経路指令値Pを例示したものである。この走行可能領域Rには、左旋回の始点に変曲点H、終点に変曲点Nが存在し、変曲点Hまでの区間を直線路Sと定義し、変曲点Hから変曲点Nまでの区間をカーブCと定義し、変曲点N以降の区間を直線路Mと定義する。また、この走行可能領域RのカーブCには、自車両Vの前方を走行する先行車Tが存在する。なお、カーブCは曲がりを含む自車走行経路の一例であり、後述する車両制御は、車線変更中の自車制御に適用しても良いものである。
【0035】
図5は、実施例1の速度計画部43のフローチャートである。
【0036】
まず、ステップS1では、速度計画部43の情報取得部43aは、情報取得部41から走行状況情報を取得し、経路計画部42から経路指令値Pを取得する。
【0037】
次に、ステップS2では、速度計画部43の第1目標速度・加速度算出部43bは、ステップS1で取得した走行状況情報と経路指令値Pに基づいて、経路指令値Pを自車両Vが単独で走行する際に生じる加速度や加加速度が規定値以内になる第1目標速度・加速度を算出する。
【0038】
ステップS3では、速度計画部43の第2目標速度・加速度算出部43cは、ステップS1で取得した走行状況情報に基づいて、自車両Vが先行車Tに追従して走行する際の相対速度や相対距離、加速度、加加速度が規定値以内になる第2目標速度・加速度を生成する。
【0039】
ここで、図6Aを用い、図4のカーブCに進入する自車両Vが、ステップS2で算出した第1目標速度・加速度で単独走行する走行状態から、ステップS3で算出した第2目標速度・加速度で遅い先行車Tに追従する走行状態へ移行する場合に生じる場合の問題を説明する。なお、図6Aにおいて、(a)は自車両Vと先行車Tの相対距離の時間変化、(b)は経路指令値Pの曲率の時間変化、(c)は自車両Vの車速の時間変化、(d)は自車両Vの前後加速度の時間変化、(e)は自車両Vの横加速度の時間変化、(f)は自車両Vの前後加加速度の時間変化、(g)は自車両Vの横加加速度の時間変化である。
【0040】
図6A(d)の区間Uと区間Qから分かるように、図6Aでは、第1目標加速度による前後加速度の変動と、第2目標加速度による前後加速度の変動が2回連続して生じており、これらが乗員の乗り心地や快適性に悪影響を与えると考えられる。従って、乗員の乗り心地等を改善するには、第1目標加速度から第2目標加速度に直ちに切り替える車両制御は望ましくないことが分かる。そこで、本実施例では、乗員の乗り心地や快適性を改善可能な、第3速度・加速度指令値を算出すべく、下記のステップS4からステップS7を設けている。
【0041】
まず、ステップS4では、速度計画部43の第3目標速度・加速度算出部43dは、ある種の他の要因(例えば、移動体、障害物、など)に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画、または、別種の他の要因(移動体からのデータ、信号、光、など)に基づいて決定される所定の位置に前記自車両が到達するまでの間の速度・加速度計画が、乗員の乗り心地や快適性を損ねる可能性があるかを評価する。そして、乗り心地や快適性を損ねる可能性があればステップS5に進み、そうでなければステップS7に進む。
【0042】
具体的には、第3目標速度・加速度算出部43dは、ステップS1で取得した走行状況情報と経路指令値Pと、ステップS2で算出した第1目標速度・加速度と、ステップS3で算出した第2目標速度・加速度に基づいて、自車両Vが経路指令値Pを走行する際に生じる第1目標加速度のピーク同士の間に、または、第1目標加速度のピークと経路指令値Pの最終点の間に、第2目標加速度が発生するか否かを判定する。
【0043】
ここで、第1目標加速度のピークとは、例えば、図6B(d)の区間Uに実線で示す第1目標加速度のピークp1と、区間Wに破線で示す第1目標加速度のピークp2である。また、経路指令値Pの最終点とは、例えば、図6B(b)に示す点Jである。従って、図6Bの例では、第1目標加速度のピークp1,p2の間に第2目標加速度が発生する場合、または、第1目標加速度のピークp2と経路指令値Pの最終点Jの間に第2目標加速度が発生する場合は、乗員の乗り心地や快適性を損ねる可能性があると判断し(ステップS4、YES)、ステップS5に進み、そうでない場合は、乗員の乗り心地や快適性を損ねる可能性がないと判断し(ステップS4、NO)、ステップS7に進む。
【0044】
次に、ステップS5では、第3目標速度・加速度算出部43dは、自車両Vが経路指令値Pを走行する際の速度・加速度計画に含まれる、単独走行用の第1目標速度が、追従走行用の第2目標速度より常に速いかを判定する。そして、第1目標速度が第2目標速度より速い場合、すなわち、自車両Vが先行車Tに接近する場合(ステップS5、YES)はステップS6に進み、第1目標速度が第2目標速度以下の場合、すなわち、自車両Vが先行車Tに接近しない場合(ステップS5、NO)はステップS7に進む。
【0045】
ステップS6では、第3目標速度・加速度算出部43dは、自車両Vが経路指令値Pを走行する際に生じる第1目標加速度のピークの間に発生する第2目標加速度が所定値以下になるような第3目標速度・加速度(指令値)を算出する。
【0046】
図6Bは、自車両VがステップS6で生成された第3速度・加速度指令値で走行する場合に生じる自車両Vの車両挙動に関する物理量の一例であり、グラフの構成は図6Aと共通である。なお、図6B(d)の区間Wの破線は、自車両Vが経路指令値Pを走行する際に生じる第1目標加速度を例示したものである。一方、図6B(d)の実線は、前後加速度の発生回数を最少化することによって車両振動を抑制するため、図6B(d)の区間Qで生じていた第2目標加速度(図6A(d)参照)が所定値以下、例えばゼロになるように、図6A(d)の第2目標加速度に相当する加速度を区間Uの第1目標加速度に加算して算出した、第3目標加速度(指令値)である。なお、図6A(d)と図6B(d)の比較から分かるように、区間Uの加速度ピークの絶対値は、規定値の範囲内で、図6A(d)より図6B(d)で大きくなっている。
【0047】
この結果、図6Bでは、ステップS6の速度・加速度指令値の利用により、(d)前後加速度での加速度変動の発生回数が2回から1回に抑制され、さらに(d)前後加速度、(e)横加速度、(f)前後加加速度、(g)横加加速度が規定値内となり、乗員の乗り心地や快適性を十分に確保できる。
【0048】
また、図6Cは、自車両VがステップS6で生成された第3速度・加速度指令値で走行する場合に生じる自車両Vの車両挙動に関する物理量の一例であり、グラフの構成は図6Aなどと共通である。図6Cは、図6Bより(d)前後加速度の規定値が小さい場合であり、振動を抑制しつつ、(d)前後加速度などを規定値内にするため、ステップS6の速度・加速度指令値の利用により、減速時であれば減速開始点を手前(自車両Vに近づく方向)に移動させ、加速時であれば加速終了点を奥(自車両Vから離れる方向)に移動させることで車両挙動に関する物理量が規定値内になる第3目標速度・加速度を算出し、乗員の乗り心地や快適性を十分に確保できた状況を例示したものである。
【0049】
ステップS7では、第3目標速度・加速度算出部43dは、第2目標速度・加速度を考慮する必要が無いため、ステップS2で算出した第1目標速度・加速度をそのまま第3目標速度・加速度(指令値)として出力する。
【0050】
図6Dは、自車両VがステップS7で生成された第3速度・加速度指令値で走行する場合に生じる自車両Vの車両挙動に関する物理量の一例であり、グラフの構成は図6Aなどと共通である。図6Dは、図4のカーブCを走行する先行車Tの車速が自車両Vと同等以上の場合(自車両Vが先行車Tに追いつかない場合)であり、ステップS2で算出した第1目標速度・加速度をそのまま第3目標速度・加速度に設定することで、加減速の発生回数を最小限に抑えつつ、(d)前後加速度などが規定値内となり、乗員の乗り心地や快適性を十分に確保できた状況を例示したものである。
【0051】
最後に、ステップS8では、速度計画部43の情報出力部43eは、ステップS6、ステップS7の何れかで算出した第3目標速度・加速度を速度・加速度指令値として、走行軌道生成ユニット4の情報出力部44へ出力する。なお、ステップS8で出力する速度・加速度指令値は何れも、車両振動を抑制しつつ、車両挙動に関する物理量を規定値内に収めることができるものであるため、情報出力部44からの速度指令値を受信する走行制御ユニット5は、乗り心地の良い車両制御を実現するように、パワートレインシステム6、ブレーキシステム7、ステアリングシステム8を制御することができる。
【0052】
<速度計画部43の処理の別例>
次に、図7から図8Bを用いて、速度計画部43の処理の別例を説明する。図7は、自車両Vが走行する走行経路の平面図の別例であり、自車両Vと先行車Tの位置以外は図4と共通である。図4では、走行可能領域Rの直線路Sを自車両Vが走行しており、その前方のカーブCを先行車Tが走行していたが、図7では、走行可能領域RのカーブCを自車両Vが走行しており、その前方の直線路Mを先行車Tが走行している。すなわち、図4に対応する図6A図6Dでは、自車両VのカーブCへの進入時の各物理量の時間変化を例示したが、図7に対応する図8A図8Bでは、自車両VのカーブCからの退出時の各物理量の時間変化を例示している。
【0053】
図8Aは、図7のカーブCを退出する自車両Vが、ステップS2で算出した第1目標速度・加速度で単独走行する走行状態から、ステップS3で算出した第2目標速度・加速度で遅い先行車Tに追従する走行状態へ移行する場合に生じる車両挙動に関する物理量の一例であり、グラフの構成は図6Aなどと共通である。
【0054】
図8A(d)の区間Hと区間Nから分かるように、図8Aでは、第1目標加速度による前後加速度の変動と、第2目標加速度による前後加速度の変動が2回連続して生じており、これらが乗員の乗り心地や快適性に悪影響を与えると考えられる。従って、乗員の乗り心地等を改善するには、第1目標加速度から第2目標加速度に直ちに切り替える車両制御は望ましくないことが分かる。
【0055】
一方、図8Bは、自車両VがステップS6で算出した第3速度・加速度を指令値として走行する場合に生じる、自車両Vの車両挙動に関する物理量の一例であり、グラフの構成は図6Aなどと共通である。
【0056】
図8Bの実線は、前後加速度の発生回数を最少化することによって車両振動を抑制するため、区間Nで生じていた第2目標加速度(図8A(d)参照)が所定値以下、例えばゼロになるように、図8A(d)の第2目標加速度に相当する加速度を区間Hの第1目標加速度に加算して算出した、第3目標加速度(指令値)である。
【0057】
この結果、図8Bでは、ステップS6の速度・加速度指令値の利用により、(d)前後加速度の発生回数が2回から1回に抑制され、さらに(d)前後加速度、(e)横加速度、(f)前後加加速度、(g)横加加速度が規定値内となり、乗員の乗り心地や快適性を十分に確保できる。
【0058】
このように、図6Aから図6D、あるいは、図8A図8Bに例示した本実施例の速度・加速度制御では、カーブ路や車線変更といった曲がりを含む自車両の走行経路に基づいて第1目標速度・加速度を算出、前記走行経路を曲げる要因以外の先行車や信号といった他の要因に基づいて第2目標速度・加速度を算出し、前記第2目標速度・加速度の発生が予測され、かつ前記第1目標速度が前記第2目標速度より大きい場合には、第2目標加速度が所定値以下になるように前記第1目標加速度に前記第2目標加速度を加算して算出した第3の目標速度・加速度を自車両の目標速度・加速度に設定し、前記第2目標速度・加速度の発生が予測されない、または前記第1目標速度が前記第2目標速度以下の場合には、前記第1目標速度・加速度を自車両の目標速度・加速度に設定して加減速の回数を最少化しつつ、車両挙動に関する物理量が規定値内になるまで徐々に前後加速度が生じる範囲を広げることで、振動を極力抑えながら、車両挙動に関する物理量を、乗員の乗り心地や快適性を損なわない規定値以内に収めることができる。
【0059】
以上で説明したように、本実施例の車両制御装置によれば、カーブ路や車線変更といった曲がりを含む自車走行経路で、先行車追従制御への移行等の自車減速要因が発生した際の、乗員の乗り心地や快適性を改善することができる。
【実施例0060】
次に、図9を用いて、本発明の実施例2の車両運動制御装置2を説明する。なお、実施例1との共通点は重複説明を省略する。
【0061】
図9は、実施例2の速度計画部43のフローチャートである。ここに示す本実施例のフローチャートは、図5に示した実施例1のフローチャートに対して、ステップS1とステップS2の間に、ステップS1Aを追加したものである。
【0062】
追加されたステップS1Aでは、速度計画部43は、速度計画部43より上位のコントローラ(例えば、運行管理ユニット3)で生成されたフラグに基づいて、速度計画部43で速度・加速度指令値を算出するか否かを判定する。そして、フラグが処理禁止である場合(ステップS1A、YES)は処理を終了し、速度計画部43では、何れの速度・加速度指令値も算出しない。一方、フラグが処理許可である場合(ステップS1A、NO)は、ステップS2以降の処理に進み、速度計画部43は、所望の速度・加速度指令値を算出する。
【0063】
これにより、例えばセンサやシステムの異常検出時等に、上位コントローラによって、速度計画部43での速度・加速度指令値の算出処理が禁止された場合には、回避性能を重視した上位コントローラの速度・加速度制御に移行させることで、乗り心地の悪化を招くものの障害物などへの衝突を回避できるため、安全性が向上する。
【実施例0064】
次に、図10を用いて、本発明の実施例3の車両運動制御装置2を説明する。なお、上記実施例との共通点は重複説明を省略する。
【0065】
図10は、実施例3の速度計画部43の機能ブロック図である。ここに示す本実施例の速度計画部43は、図3に示した実施例1の第1目標速度・加速度算出部43bと、第2目標速度・加速度算出部43cと、第3目標速度・加速度算出部43dを、目標速度・加速度候補生成部43fに置換し、さらに、目標速度・加速度選択部43gを追加したものである。
【0066】
目標速度・加速度候補生成部43fは、情報取得部43aが取得した走行状況情報と経路指令値Pに基づいて、経路指令値Pを走行する時に生じる自車両Vの車両挙動に関する物理量が規定値以内になる複数の速度・加速度指令値を生成し、目標速度・加速度選択部43gに出力する。
【0067】
そして、目標速度・加速度選択部43gは、情報取得部43aからの走行状況情報が示す現状の走行モード(最短時間モードやエコノミモードなど)、及び、目標速度・加速度候補生成部43fからの複数の速度・加速度指令値候補に基づいて、1つを速度・加速度指令値として選択し、情報出力部43eが走行制御ユニット5に出力する。
【0068】
例えば、走行状況情報が最短時間モードを示す場合には、目標速度・加速度候補生成部43fが生成した複数の速度・加速度指令値候補の中から、移動時間が最短の速度・加速度指令値候補を選択し、走行状況情報がエコノミモードを示す場合には、複数の速度・加速度指令値候補の中から消費エネルギが最小の速度・加速度指令値候補を選択する。つまり、目標速度・加速度選択部43gでは、複数の速度・加速度指令値候補の中から移動時間が最短の速度・加速度指令値を選択したり、複数の速度・加速度指令値候補から消費エネルギが最小の速度・加速度指令値を選択したりする。
【0069】
また、目標速度・加速度候補生成部43fで複数の速度・加速度指令値を生成できるようにするため、本実施例の運行管理ユニット3の規定値設定部31では、車両の乗員や積み荷の質量や大きさや配置や、車両が走行する経路の状態に基づいて複数の規定値を設定しても良い。これにより、目標速度・加速度候補生成部43fでは、乗員の人数や着座位置等に応じた複数の速度・加速度指令値を生成できるため、目標速度・加速度選択部43gでは、乗員の人数等に応じた速度指令値を選択することで、車両走行時の乗り心地を更に改善することができる。
【0070】
このように、実施例3の車両運動制御装置によれば、実施例1から実施例2と同様の効果が得られるだけでなく、走行モードの選択や、車両の搭載状況に応じて車両運動を制御することができる。
【0071】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために、具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成の一部に置換することもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を追加することもできる。また、各実施例の構成の一部について、それを削除し、他の構成の一部を追加し、他の構成の一部と置換することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 車載システム
11 車外通信装置
12 GNSS
13 地図情報記憶部
14 センサ
15 HMIユニット
2 車両運動制御装置
3 運行管理ユニット
31 規定値設定部
4 走行軌道生成ユニット
41 情報取得部
42 経路計画部
43 速度計画部
43a 情報取得部
43b 第1目標速度・加速度算出部
43c 第2目標速度・加速度算出部
43d 第3目標速度・加速度算出部
43e 情報出力部
44 情報出力部
5 走行制御ユニット
6 パワートレインシステム
7 ブレーキシステム
8 ステアリングシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9
図10