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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179204
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】移動管制システム及び移動管制方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G08G1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092367
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浦脇 浩二
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB05
5H181CC04
5H181CC14
5H181DD10
5H181EE10
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181KK06
5H181KK07
5H181KK08
5H181MA44
(57)【要約】
【課題】移動体収容領域において、収容の必要性が低い移動体を収容することにより空いている領域が確保できなくなり、収容の必要性が高い移動体の収容を阻害してしまう。
【解決手段】移動管制システムであって、演算部と、記憶部と、通信部と、を有し、記憶部は、移動体の収容領域内の収容予約情報を保持し、演算部は、第一の移動体からの収容領域内への収容予約申込情報を受信すると、収容予約情報に基づいて、第一の移動体を収容可能な収容領域内の空き領域の有無を判定し、第一の移動体を収容可能な空き領域がない場合、収容予約情報に基づいて、収容領域に収容された移動体の移動優先度を算出し、通信部を介して、移動優先度が高い少なくとも一つの移動体に対する、第一の移動体を収容可能な空き領域を生成するための移動の指示を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動管制システムであって、
演算部と、記憶部と、通信部と、を有し、
前記記憶部は、移動体の収容領域内の収容予約情報を保持し、
前記演算部は、
第一の移動体からの前記収容領域内への収容予約申込情報を受信すると、前記収容予約情報に基づいて、前記第一の移動体を収容可能な前記収容領域内の空き領域の有無を判定し、
前記第一の移動体を収容可能な空き領域がない場合、前記収容予約情報に基づいて、前記収容領域に収容された移動体の移動優先度を算出し、
前記通信部を介して、前記移動優先度が高い少なくとも一つの前記移動体に対する、前記第一の移動体を収容可能な空き領域を生成するための移動の指示を出力することを特徴とする移動管制システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記収容予約情報は、収容された移動体の収容の必要性の高さを示す情報を含み、
前記演算部は、収容の必要性が高いほど前記移動優先度が低くなるように、前記移動優先度を算出することを特徴とする移動管制システム。
【請求項3】
請求項2に記載の移動管制システムであって、
前記収容された移動体の収容の必要性の高さは、前記収容された移動体の状態、前記収容領域と前記収容された移動体の利用者との位置関係、及び、収容のために前記利用者が支払う料金の少なくとも一つに基づいて決定されることを特徴とする移動管制システム。
【請求項4】
請求項3に記載の移動管制システムであって、
前記演算部は、前記収容された移動体に異常がある場合、前記収容された移動体のエネルギー補充の必要性が高い場合、前記収容領域と前記収容された移動体の利用者との距離が近い場合、及び、収容のために前記利用者が支払う料金が高い場合の少なくとも一つの場合に、前記収容された移動体の収容の必要性が高くなるように、前記収容された移動体の収容の必要性の高さを決定することを特徴とする移動管制システム。
【請求項5】
請求項2に記載の移動管制システムであって、
前記収容予約申込情報は、前記第一の移動体の収容の必要性の高さを示す情報を含み、
前記演算部は、収容された移動体の収容の必要性が前記第一の移動体の収容の必要性より高い場合、当該収容された移動体に対する前記移動の指示を出力しないことを特徴とする移動管制システム。
【請求項6】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記収容予約情報は、前記収容された移動体の異常を示す情報、及び、エネルギー補充の必要性を示す情報の少なくともいずれかを含み、
前記演算部は、前記収容された移動体が異常であるか、又は、エネルギー補充の必要性が高い場合に、当該移動体の移動優先度が低くなるように、前記移動優先度を算出することを特徴とする移動管制システム。
【請求項7】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記収容予約情報は、収容された移動体の収容の目的を示す情報を含み、
前記演算部は、前記収容領域に収容された移動体に移動を指示する場合に、当該移動体の収容の目的に基づいて、移動先及び当該移動先への経路を推薦する情報を出力することを特徴とする移動管制システム。
【請求項8】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記演算部は、前記移動優先度が高い移動体に移動を指示する場合に、当該移動体の利用者に移動の承諾を求める情報を送信し、承諾が得られた場合に当該移動体に移動を指示することを特徴とする移動管制システム。
【請求項9】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記演算部は、前記移動優先度が高い移動体に移動を指示する場合に、当該移動体の所有者又は利用者に支払う対価を示す情報を出力することを特徴とする移動管制システム。
【請求項10】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記収容領域は、各々が一つの前記移動体を収容する一つ以上の区画を含み、
前記記憶部は、前記各区画の位置を示す情報、並びに、前記各区画が収容可能な移動体の大きさ及び重さの少なくともいずれかの条件を示す情報を保持し、
前記第一の移動体からの前記収容予約申込情報は、前記第一の移動体の大きさ及び重さを含み、
前記演算部は、前記収容領域内の空き区画であって、前記第一の移動体の大きさ及び重さが前記条件を満たす空き区画がない場合、前記第一の移動体を収容可能な空き領域がないと判定し、
前記第一の移動体を収容可能な空き領域を生成するための移動の指示は、前記収容領域内の他の区画への移動の指示、又は、当該収容領域の外への移動の指示であることを特徴とする移動管制システム。
【請求項11】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記収容予約情報は、前記収容領域に既に収容されている移動体の位置及び大きさを含み、
前記第一の移動体からの前記収容予約申込情報は、前記第一の移動体の大きさを含み、
前記演算部は、前記第一の移動体を収容可能な空き領域がない場合、前記移動優先度が高い少なくとも一つの前記移動体を前記収容領域内で移動させることによって、前記第一の移動体を収容可能な空き領域を生成できるかを判定し、
前記第一の移動体を収容可能な空き領域を生成できる場合、前記移動優先度が高い少なくとも一つの前記移動体を前記収容領域内で移動させる指示を出力し、
前記第一の移動体を収容可能な空き領域を生成できない場合、前記移動優先度が高い少なくとも一つの前記移動体を当該収容領域の外に移動させる指示を出力することを特徴とする移動管制システム。
【請求項12】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
前記収容予約情報は、前記収容領域に収容された移動体が自律移動可能かを示す情報を含み、
前記演算部は、前記収容領域に収容された移動体のうち、自律移動可能な移動体の前記移動優先度を算出することを特徴とする移動管制システム。
【請求項13】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
ネットワークを介して前記通信部と接続される端末装置をさらに有し、
前記端末装置は、前記第一の移動体を前記収容領域に収容するための前記収容予約申込情報を送信することを特徴とする移動管制システム。
【請求項14】
請求項1に記載の移動管制システムであって、
ネットワークを介して前記通信部と接続される端末装置をさらに有し、
前記端末装置は、前記移動の指示を受信すると、前記移動の指示を前記移動体の制御装置に伝達することを特徴とする移動管制システム。
【請求項15】
移動管制システムが実行する移動管制方法であって、
前記移動管制システムは、演算部と、記憶部と、通信部と、を有し、
前記記憶部は、移動体の収容領域内の収容予約情報を保持し、
前記移動管制方法は、
前記演算部が、第一の移動体からの前記収容領域内への収容予約申込情報を受信すると、前記収容予約情報に基づいて、前記第一の移動体を収容可能な前記収容領域内の空き領域の有無を判定する手順と、
前記演算部が、前記第一の移動体を収容可能な空き領域がない場合、前記収容予約情報に基づいて、前記収容領域に収容された移動体の移動優先度を算出する手順と、
前記演算部が、前記通信部を介して、前記移動優先度が高い少なくとも一つの前記移動体に、前記第一の移動体を収容可能な空き領域を生成するための移動の指示を出力する手順と、を含むことを特徴とする移動管制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体(例えば車両)の駐停車を管理する移動管制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、移動体の自動運転に関する技術が盛んに開発されている。自動運転技術により、駐車場などの駐停車収容領域において、移動体がドライバレスの車室間を移動することができる。
【0003】
下記特許文献1は、移動体の駐停車収容領域を有効活用するための収容領域管理技術について記載している。同文献は、『移動体ごとの自律走行レベルの違いを考慮することにより、収容領域を有効に活用することができる収容領域管理装置を提供する。』ことを課題として、
【0004】
『移動体を収容する収容領域を管理し、前記移動体を前記収容領域内の所定の収容位置に移動させる収容領域管理装置であって、前記移動体が可能な自律移動に関する自律移動レベル情報を取得する取得部と、前記移動体が前記収容領域に進入した後、前記移動体の前記収容領域内における移動が必要となった場合、前記移動体に対して自律移動レベルの変更を指示する処理部と、を備える収容領域管理装置』という技術を開示している(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-149709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
駐停車収容領域における駐停車のユースケースとしては、到着した移動体の条件に適した車室を自由に選択して駐停車するケース、および、予め日時指定で予約した場所に駐停車するケースに加え、特許文献1のような技術によって収容領域管理装置が自律走行可能な移動体に目的の車室位置を教示することで、車両が自動的に指示された車室に駐停車するケースなどがある。
【0007】
自律走行可能で道路の走行も駐停車もドライバレスで行える移動体が増えた場合、移動目的の無い移動体および時間待機を行う移動体などは、エネルギー消費の節約または時間待機を目的として駐停車収容領域に駐停車するケースが増加する。一方で、移動体の故障やメンテナンス、エネルギーの補充、移動体のユーザーの乗り降りなどの駐停車の必要性の高い移動体も同様に駐停車収容領域に駐停車するケースもある。後者の移動体は前者に比べ特定の駐停車収容領域に駐停車する必要性が高い。しかしながら、前者の移動体が増加すると駐停車収容領域に空いている車室が確保できなくなり、後者のような駐停車の必要性が高い移動体の駐停車を阻害することがある。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、本発明に係る走行管制システムによれば、新たに駐停車の必要性が高い車両が駐停車を希望した時に、自律走行可能でかつ駐停車の必要性が低い駐停車車両を優先的に移動させることで、駐停車収容領域を確保する。駐停車収容領域を有効に活用することができる技術の提供が目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題の少なくとも一つを解決するために、本発明は、移動管制システムであって、演算部と、記憶部と、通信部と、を有し、前記記憶部は、移動体の収容領域内の収容予約情報を保持し、前記演算部は、第一の移動体からの前記収容領域内への収容予約申込情報を受信すると、前記収容予約情報に基づいて、前記第一の移動体を収容可能な前記収容領域内の空き領域の有無を判定し、前記第一の移動体を収容可能な空き領域がない場合、前記収容予約情報に基づいて、前記収容領域に収容された移動体の移動優先度を算出し、前記通信部を介して、前記移動優先度が高い少なくとも一つの前記移動体に対する、前記第一の移動体を収容可能な空き領域を生成するための移動の指示を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る移動管制システムによれば、新たに駐停車の必要性が高い移動体(例えば車両)が駐停車を希望した時に、駐停車の必要性が低い駐停車車両を優先的に移動させることで、駐停車収容領域を確保することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る走行管制システムの動作の概要を示す説明図である。
図2A】本発明の実施例1に係る走行管制システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2B】本発明の実施例1に係る走行管制システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施例1に係る走行管制システムが車室の確保を行うときの動作を説明するフローチャートである。
図4】本発明の実施例2に係る走行管制システムの動作の概要を示す説明図である。
図5】本発明の実施例2に係る走行管制システムが車室の確保を行うときの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
図1は、本発明の実施例1に係る走行管制システム20の動作の概要を示す説明図である。
【0013】
具体的には、図1は、駐停車収容領域10において走行管制システム20が車両30を駐停車させるときの様子を示す。なお、本実施例の車両(例えば車両30及び移動車両40)は移動体の一例である。駐停車収容領域10は、移動体の収容領域の一例である。駐停車(すなわち駐車または停車)は、移動体の収容領域への収容の一例である。走行管制システム20は、移動体の移動を管制する移動管制システムの一例である。通信ネットワーク60は、走行管制システム20と各車両間を接続するインターネット回線などを示す。走行管制システム20は、以下の順序により、車両30を駐車させる。(1)車両30からの駐停車予約申込情報の受信、(2)駐停車収容領域10における車室の空き確認、(3)移動車両40の選定と移動指示、(4)車室50の確保、(5)車両30の駐車。
【0014】
ここで、駐停車収容領域10は、1以上の車両30を駐停車のために収容することができる領域である。例えば、駐停車収容領域10は、いわゆる駐車場であってもよいし、車両を駐停車することが許可されている路肩の領域等であってもよい。車室50は、駐停車収容領域10に含まれる、1台の車両を収容する区画であり、各駐停車収容領域10が1以上の車室を含む。各車室50は、例えば壁または白線等によって区切られ、位置及び大きさが固定された定形の区画であってもよいし、位置及び大きさが変動し得る不定形の区画であってもよい。実施例1では、各車室50が定形の区画である例を説明する。
【0015】
上記の駐停車予約申込から駐車までの過程において、車両30が車道での走行から駐停車までの間に車室の空きを待つことなく駐車できれば、車両30にとって有用である。
【0016】
駐停車収容領域10の車室に空きがない場合には、車両30は空きができるまで待機するか、駐停車を中止するなどの対応が考えられる。しかしながら、走行中の車両30に故障が発生した、または、燃料切れ、バッテリー上がり等が生じた場合は、車両30の駐停車の必要性は高くなってしまう。それにもかかわらず、車両30が所望の車室に対して駐停車できず、例えば車道に停車しまうようなことになると、車道を占領することになり、他の車両の走行を妨げるなどの課題が生じる。
【0017】
そこで本発明の実施例1においては、車両30を駐停車させるときに、車室の空きを効率よく確保する走行管制システムの技術を提供する。これにより、駐停車の必要性の高い車両に待機させることなく所望の車室に駐停車させることを図る。
【0018】
図2Aは、本発明の実施例1に係る走行管制システム20の構成を示す機能ブロック図である。
【0019】
走行管制システム20は、予約管理部120、車室管理部130、移動候補車選定部140、移動管理部150、車室モニタ部160、および車室予約データベース170を有する。
【0020】
予約管理部120は、車両30から駐停車予約申込情報を取得する。
【0021】
車室管理部130は、走行管制システム20による駐停車管理が可能な車室の位置、大きさ(例えばその車室に駐停車可能な車両の大きさの上限)、および耐荷重などの区画情報180(図2B参照)を管理する。また、車室管理部130は、駐停車を希望する車室の駐停車予約申込情報に含まれる位置情報をもとに、その希望に沿った車室の選定を行う。
【0022】
移動候補車選定部140は、車室に駐停車している各車両の中から移動依頼の送り先となる移動候補車を選定する。
【0023】
移動管理部150は、選定された移動候補車の移動を管理する。具体的には、移動管理部150は、移動候補車に移動依頼を送信し、移動候補車から移動結果の通知を受け取る。
【0024】
車室モニタ部160は、車室に駐停車している車両の有無の識別、および、駐停車している車両がある場合には各車両の識別を行う。例えば、車室ごとに設置された画像センサによって駐停車中の車両を撮像し、車室モニタ部160がその画像に含まれるナンバープレートを認識することで、車室の駐停車状況に加え、駐停車している車両の識別を行う。
【0025】
図2Bは、本発明の実施例1に係る走行管制システム20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0026】
走行管制システム20は、例えば、演算部231、記憶部232、入力部233、表示部234および通信部235を有するシステムによって実現される。
【0027】
演算部231は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を用いて構成することができる。演算部231が備える予約管理部120~車室モニタ部160等の各機能部は、その機能を実装した回路デバイスを用いて構成することもできるし、その機能を実装したソフトウェアを演算部231が実行することによって構成することもできる。演算部231が備える各機能部は、演算部231の一部として構成することもできるし、別の機能部として構成することもできる。
【0028】
記憶部232は、演算部231によって実行されるソフトウェア、演算部231が実行する処理において参照される情報、及び、処理の結果として生成される情報等を格納する記憶装置である。記憶部232は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置及びHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置を含んでもよい。本実施例の記憶部232には、車室予約データベース170および区画情報180が格納される。
【0029】
入力部233は、走行管制システム20のユーザーからの情報の入力を受け付ける装置であり、例えばキーボード、マウス及びタッチパネル等の少なくともいずれかを含んでもよい。表示部234は、走行管制システム20のユーザーに対して情報を出力するための装置であり、例えば画像表示装置であってもよい。通信部235は、通信ネットワーク60に接続され、他の機器との通信を実行する。図2Bの例では、通信部235は、通信ネットワーク60を介して画像センサ250および端末260と通信する。
【0030】
画像センサ250は、例えば光学カメラまたは三次元スキャナ等であり、各駐停車収容領域10に1以上の画像センサ250が設置されてもよい。画像センサ250は、撮影した二次元または三次元の画像情報を走行管制システム20に送信する。走行管制システム20の車室モニタ部160は、画像センサ250から受信した画像情報に基づいて、各駐停車収容領域10内の各車室50に車両が置かれているか否かを判定することができる。車室モニタ部160は、さらに、画像情報から車両の車室内の位置、サイズ、車種および識別情報(例えばナンバープレートから読み取られた登録情報)等を取得してもよい。
【0031】
各端末260は、例えば、各車両に搭載された車載端末装置であってもよいし、それらの車両のユーザーが持ち歩く携帯端末装置(例えばいわゆるスマートフォン等)であってもよい。端末260は、車載端末装置である場合、例えばナビゲーション端末であってもよいし、自律走行可能な車両に搭載されている場合には当該車両の自律走行の制御装置と通信して移動の指示等を伝達可能な端末であってもよい。駐停車予約申込情報は、例えば端末260から走行管制システム20に送信され、申し込みの結果(予約が登録されたか否かの情報等)が走行管制システム20から端末260に送信される。さらに、後述するように、移動の許諾を求める情報およびそれに対する応答が走行管制システム20と端末260との間で通信されてもよい。
【0032】
図3は、本発明の実施例1に係る走行管制システム20が車室の確保を行うときの動作を説明するフローチャートである。
【0033】
具体的には、図3は、走行管制システム20が車両30から駐停車予約の申し込みを受けてから車室の確保を行い車両30に駐停車予約結果を通知するまでの処理の流れを示している。以下、図3の各ステップについて説明する。
【0034】
図3:ステップS301)
車両30は、予約管理部120に対して駐停車予約申込情報を送信する。この送信は、例えば、車両30に搭載された、または、車両30の利用者が所持する、端末260によって行われる。送信される駐停車予約申込情報は、走行管制システム20に対する車両30の駐停車予約の申し込みに関する情報であり、車両30の識別子、車幅、車長および重量などの車両情報、駐停車を希望する車室の位置情報、駐停車期間に関する時間情報、ならびに、駐停車の必要性の高さを示す駐停車目的情報などが含まれる。
【0035】
図3:ステップS302)駐停車予約申込情報を車室管理部に転送
予約管理部120は、ステップS301において車両30から送信された駐停車予約申込情報を受信すると、それを車室管理部130に送信し、車両30が希望する車室の予約の可否について車室管理部130に問い合わせる。
【0036】
図3:ステップS303)車室管理部130が車室候補リストを検索
車室管理部130は、予約管理部120から受けた駐停車予約申込情報を用いて車室予約データベース170の中から車両30が駐停車可能な車室候補リストを検索する。駐停車予約申込情報には、上述の通り車両情報、位置情報、時間情報および駐停車目的情報などが含まれている。一方、車室予約データベース170は、各駐停車収容領域10の各車室50の位置、大きさおよび耐荷重制限等の情報に加えて、各車室50に駐停車する予約が既に確定している車両30に関する情報を含んでもよい。さらに、車室予約データベース170は、現時点で車室50に駐停車している車両に関する情報を含む。この情報は、少なくとも、車両がドライバレスで自律走行可能かを示す情報、および、車両の駐停車目的情報を含む。これらの情報は、例えば、車両が車室50の予約をしたときに送信された駐停車予約申込情報から取得されてもよい。
【0037】
車室管理部130は、予約情報、車両情報、位置情報および時間情報を検索条件にし、車室予約データベース170に登録されている各車室から、区画情報180を参照して、各条件を満たす車室を検索する。車両情報は、車両30の駐停車に対する車室50の大きさおよび耐荷重制限などにマッチングするかという検索条件に用いる。また、位置情報を検索条件とした検索は、例えば車両側で特定の位置を緯度、経度、高さなどで指定し、その周辺の指定した距離範囲内にある車室を選択することによって行われても良い。また、車室が特定の施設内の駐停車収容領域内にあることを位置の検索条件に用いても良い。時間の検索条件は、該当時間帯の車室50の空き状況の判定に用いる。検索条件を満たす1以上の車室が見つかった場合、それらが車室候補リストに登録される。
【0038】
図3:ステップS304)車室候補リストから車室を選定
車室管理部130は、ステップS303の車室検索結果から、条件を満たす空きの車室50が見つかった場合(図3:ステップS303のYes)、車室候補リストの中から車両30が使用する車室50を選定する。車室50の選定において、駐停車料金および指定位置に対する距離の近さなどから優先する車室50を選んでも良い。また、駐停車予約申込情報に含まれる駐停車目的情報を優先度の評価に用いても良い。例えば、車両30に乗車している移動者が特定の店を利用することが駐停車目的である場合、それらの店に近い車室50、または、店と提携している駐停車施設の車室50などを優先することが考えられる。
【0039】
図3:ステップS305)移動候補車選定
車室管理部130は、ステップS303の車室検索結果から、条件を満たす空きの車室50が見つからなかった場合(図3:ステップS303のNo)、既に各車室50に駐停車してある各車両の中から、移動の依頼先となる移動候補車の選定処理を行う。車室管理部130は、車室候補リストを移動候補車選定部140に送り、移動候補車選定を指示する。
【0040】
移動候補車選定部140は、車室候補リストに登録された各車室に駐停車している各駐停車車両の中から移動の依頼先となる移動候補車のリストを作成する。まずは、移動候補車選定部140は、各駐停車車両が自律走行可能かを確認する。各駐停車車両がドライバレスで自律走行によって車室から移動ができるかという、各駐停車車両が備える機能的な条件を確認し、条件を満たす場合、移動候補車リストに当該駐停車車両の車両情報を加える。
【0041】
図3:ステップS306)移動候補車の優先度決め
つぎに、移動候補車選定部140は、移動候補車リストの各車両に対して移動候補車となる優先度を定める。各車両の駐停車予約申込情報に含まれる駐停車目的情報は駐停車の必要性の高さを示している。その駐停車の必要性の度合いを駐停車目的レベルと称する。移動候補車選定部140は、各移動候補車の駐停車目的レベルを評価することで、駐停車目的レベルの低いもの(すなわち駐停車の必要性が低いもの)から順に移動の優先度が高い車両と評価する。
【0042】
例えば、車両の移動に必要なエネルギー源となるバッテリーもしくは燃料などの不足、または車両の故障などが発生した場合、車両はエネルギー源の補充または修理が必要な状態である。車両30においてもこれらの状態を維持する必要がある場合は、車室50からの移動が難しく、駐停車目的レベルが高い車両と評価する。一方で、用事の無い車両の駐停車である場合は、その車両の駐停車目的レベルは低いものと評価する。ここで、用事のない車両とは、例えば、いわゆるカーシェアリング用の車両またはレンタカーのように利用者が固定されていない車両であって、現時点の利用者が定まっていない車両であってもよいし、個人が専用する車両であって、当面は使用する予定がない車両であってもよい。
【0043】
また、車両利用者が指定の店に訪店することが目的である訪店用車両は、車両利用者が店に行き来する時間帯は当該車両利用者の所在地に近い車室に駐停車することになる。このような場合、駐停車目的は明確であり、駐停車目的レベルは高いと言えるが、車両利用者が訪店している店にいる期間は車両が使われる可能性が低いため、その期間の駐停車目的レベルは低く設定しても良い。
【0044】
更には、訪店に限らず、車両利用者と車両利用者が利用する駐停車中の車両との距離が離れている場合は、車両利用者が車両まで移動することに時間がかかるため、その時間帯は車両の駐停車目的レベルを低くしても良い。この場合は、車両利用者の位置情報を測定する必要がある。位置情報の取得方法は、例えばGPSなどの位置推定機能が備わっている情報端末(例えば端末260がこれに相当するものであってもよい)を車両利用者が所持しており、その情報端末を介して車両利用者の位置情報を取得する方法がある。また、車両利用者を周囲に設置されている監視カメラ等で認識し、監視カメラを介して位置情報を取得する方法でも良い。
【0045】
移動候補車選定部140は、駐停車を希望する車両30の駐停車目的レベルも評価し、移動候補車リストの各駐停車目的レベルと比較する。もし車両30の駐停車目的レベルの方が移動候補車リストの各車両の駐停車目的レベルより低い場合は、駐停車中の車両の駐停車継続が優先されることになる。すなわち、この場合、駐停車中の車両に対して後述する移動指示(ステップS307)が送信されない。
【0046】
移動候補車選定部140は、移動候補車リストに駐停車を希望する車両30の車両情報と、上述の手段で評価した各車両の駐停車目的レベルを添えて、優先度付き移動候補車リストとして車室管理部130に送付する。
【0047】
車室管理部130は、移動候補車選定部140から取得した優先度付き移動候補車リストを移動候補車の移動管理を行う移動管理部150に対して送付し、各車両の移動管理に移行する。
【0048】
<優先度の評価方法についての補足>
駐停車目的レベルの評価においては、車室50のユーザーが駐停車利用料を通常の駐停車よりも高く負担することで駐停車目的レベルを高く設定しても良い。これは、利用希望車両が多い車室50の利用費用を高くすることで、駐停車目的レベルの低い車両による利用を削減することにつながる。
【0049】
図3:ステップS307)移動指示と移動管理
移動管理部150は、優先度の高い移動候補車から順に移動指示を送信することによって移動を依頼する。自律走行可能な駐停車車両は、車両外から移動の指示を受けて車室から移動できることを想定する。このような車両は、例えば車両内に外部システム(例えば走行管制システム20)との通信が可能な情報処理端末(例えば端末260)が搭載されており、外部システムから移動指示を受けると、情報処理端末が目的地を設定し、経路の探索と選定を行い、経路に沿って走行するための車両制御を行うことが可能である。
【0050】
移動管理部150は、各移動候補車のうち、優先度の高い車両から順に移動指示を送信し、車室からの移動を依頼する。移動指示を受けた車両40は、自車両の状態を再び確認し、移動可否を判断する。そして、移動可否に関する判断結果を移動管理部150に応答する。なお、本移動可否の判断は、該車両のオーナーまたはユーザーに移動の可否を問合せ、承認を得ることによって行われてもよい。
【0051】
移動管理部150は、車両40からの判断結果を受けて、移動不可の場合は優先度付き移動候補車リストの中から次に優先度の高い車両を選定し、移動指示を送信する。ただし、次に優先度の高い車両が駐停車を希望する車両30であった場合は、駐停車を希望する車両30の駐停車の中止を判断する。このように、移動管理部150は、優先度に基づき移動指示を送付する車両選定と移動指示の送信、判断結果の受信を繰り返し、最終的に移動する車の選定、または、駐停車を希望する車両の駐停車中止判断を行う。
【0052】
<移動先の候補選定>
なお、ステップS307において、移動管理部150は移動候補車に対して車室からの出庫のみの移動指示を送るのではなく、該移動候補車の駐停車目的に沿った移動先および移動経路の指示を推薦しても良い。例えば、該移動候補車が特定の目的地に移動する途中で時間待機または休憩を駐停車の目的としていた場合には、特定の目的地により近い新たな駐停車収容領域における車室の予約と紹介、または、消化すべき待機時間を消化可能な目的地までの経路を推薦するなどしても良い。走行管制システム20は、特定地域の駐停車収容領域だけでなく、他の地域の駐停車収容領域も含めて車室とその空き状況の情報を得る、または、予約管理できることで、駐停車収容領域10を跨った車両の移動指示が可能となる。
【0053】
また、例えば駐停車収容領域10内に空き車室があるものの、当該空き車室が駐停車を希望する車両30に対応する条件を満たさない場合(例えば当該空き車室が車両30を駐停車するために必要な大きさを満たさない場合)には、当該駐停車収容領域10内の別の車室に収容されている車両を当該空き車室に移動させることで、駐停車を希望する車両30に対応する条件を満たす空き車室が生じる場合がある。そのような場合には、移動車両40の移動先として、当該駐停車収容領域10内の空き車室が指定されてもよい。一方、駐停車収容領域10内に空き車室がない場合、または、空き車室があっても当該駐停車収容領域10内での車両の移動によって車両30に対応する条件を満たす空き車室を得ることができない場合には、移動車両40の移動先として当該駐停車収容領域10外の場所(例えば他の駐停車収容領域)が指定される。
【0054】
図3:ステップS308)
移動管理部150から移動指示を受けた車両40が移動可能である場合、該当車両40は移動管理部150に移動判断の結果(この場合は移動可能であること)を返答し、自らの移動制御に移行する。
【0055】
図3:ステップS309)
該当車両40は、車室50からの移動が完了すると、移動管理部150に対して移動完了を通知する。
【0056】
図3:ステップS310)
移動管理部150は、該当車両40からの移動判断の結果と、移動可能な場合は移動結果の情報を受け取ったのち、車室管理部130に対して移動が完了した車両40の情報を通知する。
【0057】
もし、駐停車車両が全て移動不可で移動できなかった場合は、移動管理部150は、駐停車を希望する車両30の駐停車中止を車室管理部130に通知する。
【0058】
図3:ステップS311)車室の空きを確認
車室管理部130は、ステップS310で移動通知を受けた車両40の車室番号を確認し、車室モニタ部160に当該車室番号の車室50の空き状況の確認を指示する。車室モニタ部160は、例えば画像センサ250から取得した情報に基づいて、空きが期待される車室50の空き状況を確認し、確認結果を車室管理部130に通知する。
【0059】
図3:ステップS312)選定した車室を予約
車室管理部130は、ステップS311で空きが確認できた車室50を車両30の駐停車予定車室として予約をする。車室予約データベース170上の駐停車予定車室の情報に関連付けて、駐停車する車両30の駐停車予約申込情報と、予約時間とを登録する。
【0060】
図3:ステップS313)予約結果を予約管理部に通知
車室管理部130は、予約管理部120に車両30の駐停車予約申込に対する予約結果を通知する。この結果には、予約完了の場合は、対象の車室番号が含まれる。
【0061】
予約管理部120は、車両30に対して予約結果を通知する。
【0062】
図3:ステップS314)
予約結果を受けた車両30は、予約完了の場合は、目的地を通知された車室番号の車室50に設定し、その車室50まで移動制御を行う。一方、予約不可の場合は、新たな駐停車予約申込の発行、または、車室予約が可能となるまで走行を続けるなどの新たな走行計画を立てる。
【0063】
<予約していることが分かるようにする仕組み>
予約済みの車室50に対して予約していない車両が誤って駐停車してしまうことを防ぐため、予約管理部120は、車室予約データベース170の各車室50の予約状況を、駐停車中の車両、または、新たに駐停車を希望する車両30に対して通知する。
【0064】
<移動車インセンティブについて>
本実施例における走行管制システム20によれば、駐停車目的レベルの低い車両は、移動指示を受けて、出庫することになる。この場合、該当車両40は駐停車を継続しているときよりもエネルギーを消費する、または、予め駐停車料金を支払っている場合は利用時間が短くなったことの損失が生じる可能性がある。このような損失に対して、走行管制システム20は、予め支払いを受けた駐停車料金の部分的な返金をおこなう、または、新たな駐停車希望車両30の利用者もしくはオーナーから損失への対価を支払うなどの、移動車両40に対してインセンティブが発生する仕組みを用意してもよい。すなわち、走行管制システム20は、該当車両40の移動を指示する場合に、該当車両40の利用者またはオーナーに支払う、当該移動の対価を算出して、出力してもよい。
【0065】
<実施例1:まとめ>
実施例1に係る走行管制システム20は、駐停車を希望する車両30と各駐停車車両の駐停車目的レベルを比較評価し、駐停車目的レベルの低いものを車室の必要性が低い、すなわち車室から移動する車両と判断する。優先度の高い車両から順に移動指示を送り、移動可能な車両は、自律走行により車室から移動する。走行管制システム20は、車両の移動と車室の空きを確認し、車両30向けに車室を予約し、車両30に車室の予約結果を通知する。これらによって、車両30を駐停車させるときに、車室の空きを効率よく確保することができるようになる。
【実施例0066】
次に、本発明の実施例2について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例2のシステムの各部は、実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0067】
実施例1においては、駐停車を希望する車両向けの車室50を確保するために、駐停車中の車両の中から駐停車の必要性の高さに基づいて移動する優先車両を選定し、車室50から移動させることとした。予め車室50の区画が決まっている場合は、車室50と車両との対の関係が決まっているが、様々なサイズの車両が駐停車する場合においては、車室50の区画を動的に変更するのが駐停車スペースの活用には有効である。
【0068】
実施例2では、駐停車している車両の間隔(車間)を詰めることによる車室領域の確保を優先し、駐停車中の車両の各車室を動的に移動させることで、様々な車室領域要件をもつ車両の駐停車に対して車室領域を有効に活用する。以下の説明において車間を詰めるように車両を移動させることを幅寄せとも記載するが、これは、駐停車を希望する車両30を駐停車するための領域を確保するための他の車両の移動であれば、車両の前後方向に隣接する車両との間隔を詰めるための移動、および、車両の左右方向に隣接する車両との間隔を詰めるための移動のどちらであってもよい。幅寄せによる各車両の移動量の合計は、少なくとも、新たに駐停車を希望する車両の幅または全長相当であり、各車両の駐停車目的レベルが高い場合でも、その目的に反する移動にはならないことが想定される。そのため、可能な限り駐停車中車両の幅寄せによる新たな車室領域の確保をすることが実施例2の特徴である。
【0069】
以下、車室の区画を動的に変更して、新たに駐停車を希望する車両向けに車室を確保する実施例2の具体例について説明する。走行管制システム20の構成は実施例1と同様である。
【0070】
図4は、本発明の実施例2に係る走行管制システム20の動作の概要を示す説明図である。
【0071】
具体的には、図4は、実施例2において、走行管制システム20が車両30を駐車させるときの様子を示す。駐停車収容領域200は、車室の区画が予め決められていない収容領域である。走行管制システム20は、以下の順序により、車両30を駐車させる。(1)車両30からの駐停車予約申込情報の受信、(2)車両30向け車室領域要件の設計、(3)車室用スペースの確認、(4)移動車両の選定と移動指示、(5)車室の確保、(6)車両30の駐車。
【0072】
実施例2の処理フローは、実施形態1で説明したステップS303、ステップS304、ステップS305、ステップS306、ステップS307の部分が異なる。
【0073】
図5は、本発明の実施例2に係る走行管制システム20が車室の確保を行うときの動作を説明するフローチャートである。
【0074】
具体的には、図5は、実施形態1におけるステップS303からステップS307までの処理ステップを実施形態2の処理ステップ合わせるための部分的なフローチャートである。すなわち、実施例2では、図3のステップS303~S307が、それぞれ、図5のステップS501~ステップS505によって置き換えられる。
【0075】
図5:ステップS501)
本実施形態2において車室管理部130は、予約管理部120から受けた駐停車予約申込情報を用いて、車両30の駐停車に必要な車室領域要件の設計を行う。ここでいう車室領域要件は、車両30が駐停車するために必要な場所の条件であり、縦横の長さ、車高および耐荷重などを定めたものである。また、車両30の周辺に必要なスペース、例えば、車両30からの人の乗り降りおよび物の積み降ろしに必要なスペースなども含めて車室領域要件とする。
【0076】
図5:ステップS502)
車室管理部130は、車室予約データベースの中から車両30の車室領域要件に適した空き領域を検索し、空きがあればその領域を車室に再定義し予約する(ステップS501のYes)。この検索時には、車室モニタ部160を介して各駐停車車両の位置を測位し車室予約データベースに登録しておく。
【0077】
図5:ステップS503)
車室領域要件に適した領域が無い場合、実施例2においても駐停車中の車両の移動によって車室領域を確保する(ステップS501のNo)。車室管理部130は、車室予約データベース170から駐停車車両リストを作成し移動候補車選定部140に送付する。移動候補車選定部140は、各駐停車車両が自律走行可能かを確認する。移動候補車選定部140は、各駐停車車両がドライバレスで自律走行により車室から移動ができるかという車両が備える機能的な条件を確認し、条件を満たす場合、移動候補車リストに車両情報を加える。また、各駐停車車両の駐停車目的情報も取得し、実施例1と同様に駐停車目的レベルも評価し車両情報に追加する。
【0078】
図5:ステップS504)
移動管理部150は、車両30の車室領域要件に適した領域を確保するための駐停車車両の移動計画をたてる。移動候補車リストの中から各車両の位置情報を基に幅寄せの移動量を算出する。例えば、図4では、第一移動候補車210と第二移動候補車220がそれぞれ順に前方に幅寄せし、車間を短くすることで第二移動候補車220の後ろに車両30用の車室領域を確保する。ステップS504ではこれら第一移動候補車210と第二移動候補車220の幅寄せに必要な移動量と移動順位を移動計画として定める。
【0079】
図5:ステップS505)
移動管理部150は、ステップS504で作成した移動計画をもとに、移動順位に則り第一移動候補車210および第二移動候補車220に順次前方への移動を指示する。移動指示を受けた各車両は、実施例1のステップS307と同様に移動可否判断、オーナーまたはユーザーへの確認、移動制御開始、および、移動管理部150への移動結果または移動可否判断結果の通知を行う。
【0080】
なお、移動管理部150は、各移動候補車を当該駐停車収容領域200内で移動させる(すなわち幅寄せする)ことによって車両30を駐停車可能な領域を確保できないと判断した場合には、少なくともいずれかの移動候補車を当該駐停車収容領域200の外(例えば他の駐停車収容領域)に移動させるための指示を出力してもよい。
【0081】
<予約していることが分かるようにする仕組み>
移動候補車の移動が完了すると、車室管理部130は、移動によって確保された領域を車室領域として予約し、駐停車を希望していた車両30に予約車室を通知する。
【0082】
なお、走行管制システム20が車室領域を予約している場合に、その車室領域が予約領域であることをユーザーおよび各車両が分かるように、該当領域に予約済みのマークを表示しても良い。また、予約済みであることを各車両に通知しても良い。
【0083】
<実施例2:まとめ>
本実施形態2に係る走行管制システム20は、駐停車している車両の幅寄せによる車室領域の確保を優先し、駐停車中の車両の各車室を動的に移動させることで様々な車室領域要件をもつ車両の駐停車に対して車室領域を有効に活用することができる。
【0084】
<本発明の変形例について>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0085】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の計算機読み取り可能な非一時的データ記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0086】
なお、本発明の実施形態のシステムは、例えば次のように構成されてもよい。
【0087】
(1)移動管制システムであって、演算部(例えば演算部231)と、記憶部(例えば記憶部232)と、通信部(例えば通信部235)と、を有し、記憶部は、移動体(例えば車両)の収容領域(例えば駐停車収容領域10または200)内の収容予約情報(例えば車室予約データベース170)を保持し、演算部は、第一の移動体(例えば車両30)からの収容領域内への収容予約申込情報を受信すると、収容予約情報に基づいて、第一の移動体を収容可能な収容領域内の空き領域の有無を判定し(例えばステップS303)、第一の移動体を収容可能な空き領域がない場合、収容予約情報に基づいて、収容領域に収容された移動体の移動優先度を算出し(例えばステップS306)、通信部を介して、移動優先度が高い少なくとも一つの移動体(例えば移動車両40、第一移動候補車210および第二移動候補車220の少なくともいずれか)に対する、第一の移動体を収容可能な空き領域を生成するための移動の指示を出力する(例えばステップS307)。
【0088】
これによって、新たに駐停車の必要性が高い移動体(例えば車両)が駐停車を希望した時に、駐停車の必要性が低い駐停車車両を優先的に移動させることで、駐停車収容領域を確保することができる。
【0089】
(2)上記(1)において、収容予約情報は、収容された移動体の収容の必要性の高さを示す情報を含み、演算部は、収容の必要性が高いほど移動優先度が低くなるように、移動優先度を算出する。
【0090】
これによって、駐停車の必要性が低い駐停車車両を優先的に移動させることができる。
【0091】
(3)上記(2)において、収容された移動体の収容の必要性の高さは、収容された移動体の状態、収容領域と収容された移動体の利用者との位置関係、及び、収容のために利用者が支払う料金の少なくとも一つに基づいて決定される。
【0092】
これによって、駐停車の必要性を適切に評価することができる。
【0093】
(4)上記(3)において、演算部は、収容された移動体に異常がある場合、収容された移動体のエネルギー補充の必要性が高い場合、収容領域と収容された移動体の利用者との距離が近い場合、及び、収容のために利用者が支払う料金が高い場合の少なくとも一つの場合に、収容された移動体の収容の必要性が高くなるように、収容された移動体の収容の必要性の高さを決定する。
【0094】
これによって、駐停車の必要性を適切に評価することができる。
【0095】
(5)上記(2)において、収容予約申込情報は、第一の移動体の収容の必要性の高さを示す情報を含み、演算部は、収容された移動体の収容の必要性が第一の移動体の収容の必要性より高い場合、当該収容された移動体に対する移動の指示を出力しない。
【0096】
これによって、相対的に駐停車の必要性が高い車両の移動が防止される。
【0097】
(6)上記(1)において、収容予約情報は、収容された移動体の異常を示す情報、及び、エネルギー補充の必要性を示す情報の少なくともいずれかを含み、演算部は、収容された移動体が異常であるか、又は、エネルギー補充の必要性が高い場合に、当該移動体の移動優先度が低くなるように、移動優先度を算出する。
【0098】
これによって、所定の条件に応じて優先的に移動すべき車両を自動的に決定することができる。
【0099】
(7)上記(1)において、収容予約情報は、収容された移動体の収容の目的を示す情報を含み、演算部は、収容領域に収容された移動体に移動を指示する場合に、当該移動体の収容の目的に基づいて、移動先及び当該移動先への経路を推薦する情報を出力する。
【0100】
これによって、移動に起因する利用者の不利益を低減することができる。
【0101】
(8)上記(1)において、演算部は、移動優先度が高い移動体に移動を指示する場合に、当該移動体の利用者に移動の承諾を求める情報を送信し、承諾が得られた場合に当該移動体に移動を指示する。
【0102】
これによって、移動に起因する利用者の不利益を低減することができる。
【0103】
(9)上記(1)において、演算部は、移動優先度が高い移動体に移動を指示する場合に、当該移動体の所有者又は利用者に支払う対価を示す情報を出力する。
【0104】
これによって、移動に起因する利用者の不利益を低減することができる。
【0105】
(10)上記(1)において、収容領域は、各々が一つの移動体を収容する一つ以上の区画(例えば車室)を含み、記憶部は、各区画の位置を示す情報、並びに、各区画が収容可能な移動体の大きさ及び重さの少なくともいずれかの条件を示す情報(例えば区画情報180)を保持し、第一の移動体からの収容予約申込情報は、第一の移動体の大きさ及び重さを含み、演算部は、収容領域内の空き区画であって、第一の移動体の大きさ及び重さが条件を満たす空き区画がない場合、第一の移動体を収容可能な空き領域がないと判定し(例えばステップS303)、第一の移動体を収容可能な空き領域を生成するための移動の指示は、収容領域内の他の区画への移動の指示、又は、当該収容領域の外への移動の指示である。
【0106】
これによって、固定車室の場合の移動の判定を適切に行うことができる。
【0107】
(11)上記(1)において、収容予約情報は、収容領域に既に収容されている移動体の位置及び大きさを含み、第一の移動体からの収容予約申込情報は、第一の移動体の大きさを含み、演算部は、第一の移動体を収容可能な空き領域がない場合、移動優先度が高い少なくとも一つの移動体を収容領域内で移動させることによって、第一の移動体を収容可能な空き領域を生成できるかを判定し、第一の移動体を収容可能な空き領域を生成できる場合、移動優先度が高い少なくとも一つの移動体を収容領域内で移動させる指示を出力し、第一の移動体を収容可能な空き領域を生成できない場合、移動優先度が高い少なくとも一つの移動体を当該収容領域の外に移動させる指示を出力する(ステップS503~S505)。
【0108】
これによって、変動車室の場合の移動の判定を適切に行うことができる。
【0109】
(12)上記(1)において、収容予約情報は、収容領域に収容された移動体が自律移動可能かを示す情報を含み、演算部は、収容領域に収容された移動体のうち、自律移動可能な移動体の移動優先度を算出する(例えばステップS305、S306)。
【0110】
これによって、自律移動が可能な車両を移動の対象として選択することができる。
【0111】
(13)上記(1)において、ネットワークを介して通信部と接続される端末装置(例えば端末260)をさらに有し、端末装置は、第一の移動体を収容領域に収容するための収容予約申込情報を送信する(例えばステップS301)。
【0112】
これによって、ネットワークを介して駐停車の予約申し込みをすることができる。
【0113】
(14)上記(1)において、ネットワークを介して通信部と接続される端末装置(例えば端末260)をさらに有し、端末装置は、移動の指示を受信すると、移動の指示を移動体の制御装置に伝達する。
【0114】
これによって、自律移動が可能な車両を移動させることができる。
【符号の説明】
【0115】
10:駐停車収容領域
20:走行管制システム
30:車両
40:移動車両
50:車室
60:通信ネットワーク
120:予約管理部
130:車室管理部
140:移動候補車選定部
150:移動管理部
160:車室モニタ部
170:車室予約データベース
180:区画情報
200:駐停車収容領域
210:第一移動候補車
220:第二移動候補車
231:演算部
232:記憶部
233:入力部
234:表示部
235:通信部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5