(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179234
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/20 20060101AFI20231212BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H31/20
B65H31/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092419
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】白岩 寛史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼藤 悠貴
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AA06
3F054BA04
3F054BB01
3F054BC04
3F054BC13
3F054BD04
3F054DA12
(57)【要約】
【課題】高いデザイン性を有しつつ、複数の種類又はサイズの媒体を排出トレイに適切に載置することが可能な媒体排出装置を提供する。
【解決手段】媒体排出装置は、筐体と、媒体を排出するための排出ローラと、筐体に回転可能に取り付けられ、第1面及び第1面の裏側に形成された第2面を有し、且つ、排出ローラにより排出された媒体を載置する排出トレイと、を有し、第1面及び第2面は、一つの部材で形成され、第1面には、媒体排出方向に延伸する第1凹部、及び、媒体排出方向に延伸し且つ第1凹部より突出する第1梁部が形成され、第2面には、第1梁部により媒体排出方向に延伸する第2凹部が形成され、且つ、第1凹部により媒体排出方向に延伸し且つ第2凹部より突出する第2梁部が形成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
媒体を排出するための排出ローラと、
前記筐体に回転可能に取り付けられ、第1面及び前記第1面の裏側に形成された第2面を有し、且つ、前記排出ローラにより排出された媒体を載置する排出トレイと、を有し、
前記第1面及び前記第2面は、一つの部材で形成され、
前記第1面には、媒体排出方向に延伸する第1凹部、及び、媒体排出方向に延伸し且つ前記第1凹部より突出する第1梁部が形成され、
前記第2面には、前記第1梁部により媒体排出方向に延伸する第2凹部が形成され、且つ、前記第1凹部により媒体排出方向に延伸し且つ前記第2凹部より突出する第2梁部が形成される、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記筐体は、媒体の排出台を含み、
前記排出トレイは、前記排出台の媒体排出方向の下流側端部に回転可能に取り付けられる、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記排出トレイは、排出される媒体が前記第1面上に載置されるように前記排出台上に収容される第1位置と、排出される媒体が前記第2面上に載置されるように前記排出台から延長される第2位置との間で回転可能に設けられる、請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記第1梁部は、前記第1面に媒体を載置可能な状態で、媒体排出方向において所定位置より上流側の部分が前記所定位置より下流側の部分より窪むように形成される、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
前記第2面に媒体を載置可能な状態で、前記第2凹部の媒体排出方向における下流端には、突起部が形成され、
前記第2凹部には、媒体排出方向において所定位置から前記突起部に向けて徐々に高くなるように延伸するリブが形成される、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
媒体排出方向と直交する方向において、前記第1面の端部には、前記第1凹部が形成され、
媒体排出方向と直交する方向において、前記第1面の端部に形成された前記第1凹部の外側端部は、外側に向けて突出するように形成される、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【請求項7】
媒体排出方向と直交する方向において、前記第1面の端部に形成された前記第1凹部の外側側面は、前記第1面側から前記第2面側に向かって徐々に内側に配置されるように傾斜する、請求項6に記載の媒体排出装置。
【請求項8】
媒体排出方向において、前記第2面の筐体側端部には、媒体排出方向に延伸するリブが形成される、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出された媒体を載置するトレイを有する媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体排出装置は、媒体を搬送しながら撮像し、排出トレイ上に排出する。このような媒体排出装置では、複数の種類又はサイズの媒体をサポートするために、複数の種類又はサイズの媒体を排出トレイに適切に載置することが求められている。
【0003】
プリンタ本体に対して開閉自在に設けられるスタッカ本体と、スタッカ本体に対して設けられスタッカの作用長を拡張する延長スタッカとを備える開閉式排紙スタッカが開示されている(特許文献1を参照)。この開閉式排紙スタッカにおいて、延長スタッカの裏面にはプリンタ本体から排紙された用紙の円滑な移送を補助する通紙リブが設けられており、スタッカ本体の表面には通紙リブと係合するリブ溝が刻設された補強リブが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体排出装置では、高いデザイン性を有しつつ、複数の種類又はサイズの媒体を排出トレイに適切に載置できることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、高いデザイン性を有しつつ、複数の種類又はサイズの媒体を排出トレイに適切に載置することが可能な媒体排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、筐体と、媒体を排出するための排出ローラと、筐体に回転可能に取り付けられ、第1面及び第1面の裏側に形成された第2面を有し、且つ、排出ローラにより排出された媒体を載置する排出トレイと、を有し、第1面及び第2面は、一つの部材で形成され、第1面には、媒体排出方向に延伸する第1凹部、及び、媒体排出方向に延伸し且つ第1凹部より突出する第1梁部が形成され、第2面には、第1梁部により媒体排出方向に延伸する第2凹部が形成され、且つ、第1凹部により媒体排出方向に延伸し且つ第2凹部より突出する第2梁部が形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、媒体排出装置は、高いデザイン性を有しつつ、複数の種類又はサイズの媒体を排出トレイに適切に載置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図4】排出トレイ105について説明するための模式図である。
【
図5】排出トレイ105について説明するための模式図である。
【
図6】排出トレイ105について説明するための模式図である。
【
図7】排出トレイ105について説明するための模式図である。
【
図10】第1位置に配置された排出トレイ105を上流側から見た斜視図である。
【
図11】媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図12】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図13】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図14】他の実施形態に係る処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る媒体排出装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0011】
図1及び
図2は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置100を示す斜視図である。媒体排出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体排出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置100はプリンタ等でもよい。
【0012】
図1及び
図2において矢印A1は略鉛直方向(高さ方向)を示し、矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0013】
媒体排出装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、排出トレイ105、操作装置106及び表示装置107等を備える。
【0014】
第1筐体101及び第2筐体102は、筐体の一例である。第2筐体102は、第1筐体101の内側に配置され、媒体つまり時、又は、媒体排出装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第1筐体101に回転可能に係合している。
【0015】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に第1筐体101に係合している。載置台103は、第1筐体101の媒体供給側の側面に、高さ方向A1に移動可能に設けられる。載置台103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が、後述するピックローラと接触する位置まで上昇する。
【0016】
排出台104は、第2筐体102上に形成される。排出台104は、媒体を載置するための載置面104aを有し、第1筐体101及び第2筐体102の排出口から排出された媒体を載置する。
【0017】
排出トレイ105は、第2筐体102に回転可能に取り付けられる。特に、排出トレイ105は、排出台104の媒体排出方向A3の下流側端部に回転可能に取り付けられる。これにより、排出トレイ105は、排出台104に対して開閉可能に設けられる。排出トレイ105は、
図1に示すように、閉じた状態で、排出台104上に収容可能に設けられつつ、
図2に示すように、開いた状態で、排出台104の下流側端部から載置面104aを延長可能に設けられる。したがって、媒体排出装置100は、大型媒体の搬送をサポートしつつ、大型媒体を搬送しない時には装置サイズを小さくすることができる。
【0018】
排出トレイ105は、媒体を載置するための第1面105a及び第2面105bを有し、第1筐体101及び第2筐体102の排出口から排出された媒体を載置する。第2面105bは、第1面105aの裏側に形成される。排出トレイ105は、排出される媒体が第1面105a上に載置されるように排出台104上に収容される第1位置(
図1)と、排出される媒体が第2面105b上に載置されるように排出台104から延長される第2位置(
図2)との間で回転可能に設けられる。
【0019】
未使用時、又は、小型媒体(例えば、媒体排出方向A3の長さがA4横サイズ以下である媒体)が排出される場合、排出トレイ105が第1位置に配置されることにより、媒体排出装置100は、装置全体をコンパクトにすることができる。これにより、媒体排出装置100は、装置が占有するスペースを小さくし、利用者の作業スペースを十分に確保することができる。一方、大型媒体(例えば、媒体排出方向A3の長さがA4横サイズより大きい媒体)が排出される場合、排出トレイ105が第2位置に配置されることにより、媒体排出装置100は、排出された大型媒体を良好に保持することができる。したがって、媒体排出装置100は、大型媒体の搬送をサポートしつつ、大型媒体を搬送しない時には装置サイズを小さくすることができる。
【0020】
操作装置106は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置107は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。なお、表示装置107は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイでもよい。その場合、操作装置106は、タッチパネルから入力信号を取得するインタフェース回路を有する。
【0021】
図3は、媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0022】
媒体排出装置100内部の搬送経路は、媒体センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第5搬送ローラ115a~e、第1~第6従動ローラ116a~f、撮像装置117及び排出ローラ118等を有している。
【0023】
なお、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第5搬送ローラ115a~e、第1~第6従動ローラ116a~f及び/又は排出ローラ118のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第5搬送ローラ115a~e、第1~第6従動ローラ116a~f及び/又は排出ローラ118は、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0024】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0025】
媒体センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及び分離ローラ114より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。媒体センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。なお、媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0026】
ピックローラ112は、第2筐体102に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0027】
給送ローラ113は、第2筐体102内に、ピックローラ112より下流側に設けられ、載置台103に載置されてピックローラ112により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ114は、第1筐体101内に、給送ローラ113と対向して設けられる。分離ローラ114は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられる。給送ローラ113及び分離ローラ114は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ113は、分離ローラ114に対して上側に配置されており、媒体排出装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。なお、給送ローラ113が分離ローラ114に対して下側に配置され、媒体排出装置100は、いわゆる下取り方式により媒体を給送してもよい。
【0028】
第1~第5搬送ローラ115a~e及び第1~第5従動ローラ116a~eは、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側に、それぞれ相互に対向して設けられ、給送ローラ113及び分離ローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。
【0029】
撮像装置117は、媒体搬送方向A2において、第1~第2搬送ローラ115a~bより下流側に配置され、第1~第2搬送ローラ115a~b及び第1~第2従動ローラ116a~bにより搬送された媒体を撮像する。撮像装置117は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを含む。
【0030】
第1撮像装置117aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置117aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置117aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0031】
同様に、第2撮像装置117bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置117bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置117bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0032】
なお、媒体排出装置100は、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0033】
排出ローラ118及び第6従動ローラ116fは、第1~第5搬送ローラ115a~eより下流側に、相互に対向して設けられる。排出ローラ118及び第6従動ローラ116fは、第1~第5搬送ローラ115a~e及び第1~第5従動ローラ116a~eにより搬送された媒体を排出台104及び排出トレイ105に排出する。
【0034】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。媒体排出装置100は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有する。給送モードは、利用者により操作装置106又は媒体排出装置100と通信接続する情報処理装置を用いて設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ114は、矢印A7の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転又は停止する。これにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限される(重送の防止)。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ114は、矢印A7の反対方向、即ち媒体給送方向に回転する。
【0035】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ115a~bが矢印A8~9の方向に回転することによって、撮像装置117の撮像位置に送り込まれ、撮像装置117によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第5搬送ローラ115c~e及び排出ローラ118がそれぞれ矢印A10~13の方向に回転することによって排出台104及び排出トレイ105上に排出される。排出台104及び排出トレイ105は、排出ローラ118により排出された媒体を載置する。
【0036】
図4は、排出トレイ105について説明するための模式図である。
【0037】
図3及び
図4に示すように、排出トレイ105は、排出台104の媒体排出方向A3の下流側端部に、矢印A14の方向に回転可能に取り付けられる。排出トレイ105は、排出台104側端部に位置する、幅方向A4に延伸する回転軸を中心に回転可能に設けられる。
【0038】
図3に示すように、第1位置において、排出トレイ105は、第2面105bが排出台104の載置面104aと対向し、第1面105aが上方を向くように配置される。一方、
図4に示すように、第2位置において、排出トレイ105は、第2面105bが上方を向き、排出台104の載置面104aを延長するように配置される。排出トレイ105が第1位置に配置された場合、排出ローラ118により排出された媒体は、載置面104a及び第1面105a上に載置される。一方、排出トレイ105が第2位置に配置された場合、排出ローラ118により排出された媒体は、載置面104a及び第2面105b上に載置される。
【0039】
図5、
図6及び
図7は、排出トレイ105について説明するための模式図である。
図5は、排出台104から取り外された排出トレイ105を第1面105a側から見た斜視図である。
図6は、排出台104から取り外された排出トレイ105を第2面105b側から見た斜視図である。
図7は、
図5のA-A’線断面図である。
【0040】
図5及び
図7に示すように、第1面105aには、媒体排出方向A3に延伸する第1凹部121、及び、媒体排出方向A3に延伸し且つ第1凹部121より突出する第1梁部122が形成される。
図5及び
図7に示す例では、第1面105aに、四つの第1凹部121及び四つの第1梁部122が形成されている。第1面105aの幅方向A4における両端にそれぞれ第1凹部121が形成され、第1面105aの幅方向A4における中央部105cと、両端に形成された各第1凹部121との間にさらに第1凹部121が形成されている。また、両端に形成された各第1凹部121と、内側に形成された各第1凹部121との間にそれぞれ第1梁部122が形成され、中央部105cと、内側に形成された各第1凹部121との間にさらに第1梁部122が形成されている。
【0041】
一方、
図6及び
図7に示すように、第2面105bには、媒体排出方向A3に延伸する第2凹部123が形成され、且つ、媒体排出方向A3に延伸し且つ第2凹部123より突出する第2梁部124が形成される。
図6及び
図7に示す例では、第2面105bに、四つの第2凹部123及び四つの第2梁部124が形成されている。第2面105bの幅方向A4における両端にそれぞれ第2梁部124が形成され、第2面105bの幅方向A4における中央部105dと、両端に形成された各第2梁部124との間にさらに第2梁部124が形成されている。また、両端に形成された各第2梁部124と、内側に形成された各第2梁部124との間にそれぞれ第2凹部123が形成され、中央部105dと、内側に形成された各第2梁部124との間にさらに第2凹部123が形成されている。
【0042】
第1凹部121、第1梁部122、第2凹部123及び第2梁部124が媒体排出方向A3に沿って形成されることにより、排出トレイ105に媒体排出方向A3に沿って芯が通るため、媒体排出装置100は、排出トレイ105の強度を増大させることができる。また、第1面105a及び第2面105bに、それぞれ凹部と梁部が形成されることにより、排出される媒体と、排出トレイ105の各面との接触面積が小さくなり、両者の間の摩擦が小さくなる。したがって、媒体排出装置100は、何れの面に媒体を排出する場合も、排出される媒体をスムーズに移動させることが可能となり、媒体の撓み又はジャムの発生を抑制することができる。
【0043】
図7に示すように、第1面105a及び第2面105bは、一つの部材で形成される。即ち、第1面105a及び第2面105bは、一体に形成され、第1面105aと第2面105bの間には空間(隙間)が存在しない。排出トレイ105は、プラスチック等の合成樹脂で形成され、射出成形により成形される。
【0044】
第2凹部123は、第1梁部122により形成される。即ち、第1梁部122が突出することにより、第1梁部122の裏面に第2凹部123が形成される。一方、第2梁部124は、第1凹部121により形成される。即ち、第1凹部121がへこむことにより、第1凹部121の裏面に第2梁部124が形成される。排出トレイ105が一つの部材で形成されることにより、媒体排出装置100は、部品コストを低減させることができる。また、第1梁部122及び第1凹部121により第2凹部123及び第2梁部124が形成されることにより、媒体排出装置100は、射出成形による排出トレイ105の製造コストを低減させることができる。さらに、第1梁部122及び第1凹部121により第2凹部123及び第2梁部124が形成されることにより、第1面105a及び第2面105bは共通の外観を有する。これにより、媒体排出装置100は、一体感のある、高品位なデザインを有する。
【0045】
図8は、
図5のB-B’線断面図である。
図8は、第1位置に配置された排出トレイ105上に媒体Mが載置されている状態を示す。
【0046】
図5及び
図8に示すように、第1梁部122は、第1面105aに媒体を載置可能な状態で、媒体排出方向A3において第1所定位置122aより上流側の部分122bが第1所定位置122aより下流側の部分122cより窪むように形成される。即ち、排出トレイ105が第1位置に配置され、排出台104に収容されている状態で、第1梁部122は、第1所定位置122aより上流側に窪みを有する。第1所定位置122aは、所定位置の一例である。これにより、媒体Mと第1面105aの間に隙間Cが形成され、利用者は、載置台103から媒体を取り出す際に、上流側から隙間Cに指を入れて媒体を容易且つ良好に持ち上げることができる。したがって、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0047】
なお、第1梁部122は、窪みを有さないように形成されてもよい。
【0048】
【0049】
図6及び
図9に示すように、排出トレイ105が第2位置に配置され、第2面105bに媒体を載置可能な状態で、第2凹部123の媒体排出方向A3における下流端には、第1突起部123aが形成される。第1突起部123aは、突起部の一例である。第1突起部123aにより、排出トレイ105の下流端には略幅方向A4に沿って芯が通るため、媒体排出装置100は、排出トレイ105の強度を増大させることができる。
【0050】
また、第2凹部123には、媒体排出方向A3において第2所定位置123bから第1突起部123aに向けて徐々に高くなるように延伸する第1リブ123cが形成される。第2所定位置123bは、所定位置の一例であり、第1リブ123cは、リブの一例である。第1リブ123cは、第2凹部123の媒体排出方向A3における下流端において、第1突起部123aより高くなるように形成される。第1リブ123cは、第2凹部123の媒体排出方向A3における下流端において、第1突起部123aと同じ高さを有するように形成されてもよい。第1リブ123cが形成されることにより、排出トレイ105が第2位置に配置された状態で、排出される媒体の先端が第1突起部123aに衝突して媒体のジャムが発生することが抑制される。したがって、媒体排出装置100は、排出トレイ105の強度を増大させつつ、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0051】
なお、第2凹部123に形成される第1リブ123cの数は、一つ以上であればいくつでもよい。また、第1リブ123cは省略されてもよい。
【0052】
図10は、第1位置に配置された排出トレイ105を上流側から見た斜視図である。
【0053】
図5、
図7及び
図10に示すように、媒体排出方向と直交する幅方向A4において、第1面105aの端部には、第1凹部121が形成される。媒体排出方向と直交する幅方向A4において、第1面105aの端部に形成された第1凹部121の外側端部125は、外側に向けて突出する突出部125aを含む、即ち外側に向けて突出するように形成される。一方、排出台104において、排出トレイ105が排出台104に収容された状態で、突出部125aと対向する位置の周辺には窪みが形成される。利用者は、排出トレイ105が排出台104に収容されている状態で、突出部125aに指をかけることにより、排出トレイ105を容易に且つ良好に持ち上げて第2位置に配置させることができる。したがって、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0054】
また、媒体排出方向と直交する幅方向A4において、第1面105aの端部に形成された第1凹部121の外側端部125は、外側側面125bを有する。外側側面125bは、第1面105a側から第2面105b側に向かって徐々に内側に配置されるように傾斜する。排出トレイ105が排出台104に収容されている状態で、外側側面125bは下方ほど内側に配置されるため、利用者は、外側端部125の奥側まで指を挿入することができ、排出トレイ105をより良好に持ち上げて第2位置に配置させることができる。したがって、媒体排出装置100は、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0055】
なお、第1凹部121の外側端部125は、突出部125a及び/又は外側側面125bを有さないように形成されてもよい。
【0056】
また、
図6に示すように、媒体排出方向A3において、第2面105bの筐体側端部126には、それぞれ媒体排出方向と直交する幅方向A4に延伸する複数の第2突起部126aが形成される。複数の第2突起部126aの間には、媒体排出方向A3に延伸する第2リブ126bが形成される。即ち、媒体排出方向A3において、第2面105bの筐体側端部126には、媒体排出方向A3に延伸する第2リブ126bが形成される。第2リブ126bは、リブの一例である。上記したように、排出トレイ105は、排出台104の媒体排出方向A3の下流側端部に回転可能に取り付けられる。第2突起部126a及び第2リブ126bにより排出トレイ105の回転軸である筐体側端部が補強され、排出トレイ105の開閉による排出トレイ105の損傷の発生が抑制される。
【0057】
なお、第2リブ126bの数は、一つ以上であればいくつでもよい。また、第2突起部126a及び/又は第2リブ126bは省略されてもよい。
【0058】
また、第2梁部124には、媒体排出方向A3において第3所定位置124aから第2突起部126aに向けて徐々に第2梁部124が低くなるように、窪み124bが形成される。窪み124bには、媒体排出方向A3に延伸する第3リブ124cが形成される。第3リブ124cは、リブの一例である。第3リブ124cは、窪み124bの筐体側端部において、第2突起部126aと同じ高さを有するように形成される。第3リブ124cにより排出トレイ105の回転軸である筐体側端部が補強され、排出トレイ105の開閉による排出トレイ105の損傷の発生が抑制される。
【0059】
なお、第3リブ124cの数は、一つ以上であればいくつでもよい。また、窪み124b及び/又は第3リブ124cは省略されてもよい。
【0060】
図11は、媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0061】
媒体排出装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0062】
モータ131は、一又は複数のモータを含む。モータ131は、処理回路150からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第5搬送ローラ115a~e及び/又は排出ローラ118を回転させて媒体を搬送させるとともに、載置台103を移動させる。なお、第1~第6従動ローラ116a~fは、第1~第5搬送ローラ115a~e又は排出ローラ118に従動回転するのでなく、モータ131の駆動力に従って回転するように設けられてもよい。
【0063】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース回路を有してもよい。
【0064】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体排出装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0065】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0066】
処理回路150は、操作装置106、表示装置107、媒体センサ111、撮像装置117、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、媒体センサ111から受信した媒体信号に基づいて、モータ131の駆動制御、撮像装置117の撮像制御等を行う。処理回路150は、撮像装置117から入力画像を取得し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0067】
図12は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0068】
図12に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0069】
図13は、媒体排出装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0070】
以下、
図13に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。
【0071】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置106又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置106又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0072】
次に、制御部151は、媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0073】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動して、媒体を給送可能な位置まで載置台103を上昇させるとともに、各ローラを回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。
【0074】
次に、制御部151は、撮像装置117に媒体を撮像させて、撮像装置117から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS104)。
【0075】
次に、制御部151は、媒体センサ111から受信する媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS105)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S105の処理を繰り返す。
【0076】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、各ローラを停止させるように、モータ131を制御し(ステップS106)、一連のステップを終了する。
【0077】
以上詳述したように、媒体排出装置100では、回転可能に設けられた排出トレイ105の一方の面に形成された第1凹部121及び第1梁部122によって、その裏面に第2梁部124及び第2凹部123が形成される。これにより、媒体排出装置100は、搬送対象の媒体の種類又はサイズに応じて、排出トレイ105上で媒体を載置する面を切り替えることを可能としつつ、各面の外観を共通にすることにより一体感のある高品位なデザインを有する。したがって、媒体排出装置100は、高いデザイン性を有しつつ、複数の種類又はサイズの媒体を排出トレイ105に適切に載置することが可能となった。
【0078】
一般に、媒体排出装置の排出トレイは、装置の軽量化を図るために、厚さ2mm程度の樹脂部材で形成される。例えば、排出トレイが平板状に形成されている場合、排出トレイは、十分な強度を有さず、大量の媒体が積載されたときに媒体の重量により撓む可能性又は折れる可能性がある。媒体排出装置100では、排出トレイ105において媒体排出方向A3に沿って梁が設けられる。これにより、媒体排出装置100は、排出トレイ105の強度を向上させ、排出トレイ105に大量の媒体をまとめて積載することができる。
【0079】
図14は、他の実施形態に係る媒体排出装置の処理回路250の概略構成を示す図である。
【0080】
処理回路250は、媒体排出装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路250は、制御回路251及び画像取得回路252等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0081】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路251は、操作装置106又はインタフェース装置132から操作信号を、媒体センサ111から媒体信号を受信する。制御回路251は、受信した各情報に基づいてモータ131を制御する。
【0082】
画像取得回路252は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路252は、撮像装置117から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0083】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路250を用いる場合においても、高いデザイン性を有しつつ、複数の種類又はサイズの媒体を排出トレイ105に適切に載置することが可能となった。
【符号の説明】
【0084】
100 媒体排出装置、101 第1筐体、102 第2筐体、104 排出台、105 排出トレイ、118 排出ローラ、105a 第1面、105b 第2面、121 第1凹部、122 第1梁部、123 第2凹部、123a 第1突起部、123c 第1リブ、124 第2梁部、124c 第3リブ、125 外側端部、125b 外側側面、126b 第2リブ