(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179240
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】トンネル路肩構造物の補修用パネルと補修方法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/10 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
E21D11/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092434
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000228785
【氏名又は名称】日本サミコン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308029600
【氏名又は名称】株式会社デーロス・ジャパン
(71)【出願人】
【識別番号】591091087
【氏名又は名称】株式会社建設技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森山 守
(72)【発明者】
【氏名】清野 義人
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155AA02
2D155CA04
2D155GB01
2D155KA01
2D155KA02
2D155LA16
(57)【要約】
【課題】パネルの据付作業を容易に行うことができるトンネル路肩構造物の補修用パネルと補修方法を提供する。
【解決手段】既設トンネル内の車道2の路肩に設けられた縦壁面を有する監査路3に用いられ、縦壁面との間にグラウト材が充填される補修用パネル31において、高強度繊維補強モルタルからなるパネル本体32を備え、パネル本体32は、補修縦壁面5A側を覆う縦面部33と、この縦面部33の下部に設けられ、縦面部33の外面側に突設した脚部34とを一体に備えるから、補修縦壁面5Aを覆う縦面部33の下部に、脚部34が一体に設けられているため、脚部34を用いてパネル本体32を簡便に据え付けることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設トンネル内の道路の路肩に設けられた縦壁面を有する路肩構造物に用いられ、前記縦壁面との間に裏込め材が充填される補修用パネルにおいて、
繊維で補強されたセメント系材料からなるパネル本体を備え、
前記パネル本体は、前記縦壁面側を覆う縦面部と、この縦面部の下部に設けられ、前記縦面部の外面側に突設した脚部とを一体に備えることを特徴とするトンネル路肩構造物の補修用パネル。
【請求項2】
前記脚部に、前記トンネルのパネル取付箇所に突設した取付用アンカー部材を挿通する透孔を穿設したことを特徴とする請求項1記載のトンネル路肩構造物の補修用パネル。
【請求項3】
前記縦壁面の外面に、道路長さ方向に隣り合って縦方向の突条を設けると共に、これら突条の間に導水路を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のトンネル路肩構造物の補修用パネル。
【請求項4】
前記縦壁面の上部には、前記路肩構造物の天端部に設けた固定具に連結する連結腕部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のトンネル路肩構造物の補修用パネル。
【請求項5】
前記縦壁面の上縁部に、前記導水路に対応して凹部を設けたことを特徴とする請求項3記載のトンネル路肩構造物の補修用パネル。
【請求項6】
請求項1又は2記載の補修用パネルを用い、工場で前記縦壁面の外面に視線誘導塗料を塗布したことを特徴とするトンネル路肩構造物の補修方法。
【請求項7】
請求項2記載の補修用パネルを用い、前記縦壁面との間に裏込め材を充填するトンネル路肩構造物の補修方法において、
前記取付用アンカー部材を前記透孔に挿通し、前記取付用アンカー部材に定着具を取り付けて前記トンネルのパネル脚部取付箇所に前記脚部を取り付けることを特徴とするトンネル路肩構造物の補修方法。
【請求項8】
請求項4記載の補修用パネルを用い、前記縦壁面との間に裏込め材を充填するトンネル路肩構造物の補修方法において、
道路長さ方向に隣り合う前記パネル本体の前記連結腕部を、前記固定具により前記天端部に固定することを特徴とするトンネル路肩構造物の補修方法。
【請求項9】
前記パネル脚部取付箇所には鉄筋が埋設されており、
前記脚部の道路長さ方向両側には道路長さ方向に近接して複数の前記透孔を穿設し、
前記複数の透孔の一方に対応して前記パネル脚部取付箇所に取付孔を穿設し、この取付孔に前記取付用アンカー部材を取り付け、
前記取付用アンカー部材を前記透孔に挿通し、前記取付用アンカー部材に前記定着具を取り付けて前記パネル脚部取付箇所に前記脚部を取り付けることを特徴とする請求項7記載のトンネル路肩構造物の補修方法。
【請求項10】
前記パネル脚部取付箇所が傾斜上面を有する側溝であり、前記傾斜上面に、上面が平坦な高さ調整層を設け、この高さ調整層に前記脚部を載置することを特徴とする請求項7記載のトンネル路肩構造物の補修方法。
【請求項11】
前記パネル脚部取付箇所が傾斜上面を有する側溝であり、前記傾斜上面を斫った後、この斫った傾斜上面に前記取付用アンカー部材を取り付け、この取付用アンカー部材に高さ調整部材を挿通し、この高さ調整部材上に前記脚部を載置することを特徴とする請求項7記載のトンネル路肩構造物の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル路肩構造物の補修用パネルと補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル内の路肩構造物であるトンネル監査路は、経年劣化により外面に設けたタイルが剥がれ落ち、監査路の天端部に手摺を設けた場所では、手摺の支柱取付孔から内部に水が浸入するため、鉄筋が腐食しやすく、補修が必要となる。このような場合、タイルが剥がれた側面のコンクリートを必要に応じて斫り、その側面と間隔を置いてタイルパネルを配置し、固定ロッドの先端を側面に固定してタイルパネルを側面に支持し、側面とタイルパネルとの間の空間部に裏込め材を充填する補修方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
上記従来技術では、固定ロッドの先端をコンクリートの側面に固定してタイルパネルを側面に取り付け、側面とタイルパネルとの間の空間部に裏込め材を充填するため、タイルパネルの取付作業に手間が掛かるという問題がある。
【0004】
これに対して、トンネル監視員通路の鉄筋コンクリート製縦壁の補修方法であって、鉄筋コンクリート製縦壁天端部のコンクリートを除去する第1の工程と、鉄筋コンクリート製縦壁側面のかぶりをはつる第2の工程と、上端部に開口部を有する型枠兼用UFCパネルであって、複数枚の型枠兼用UFCパネルを、はつり面から所定間隔を空けて互いに隣り合うように配置する第3の工程と、型枠兼用UFCパネルと、はつり面との間隙に防錆剤含有無収縮モルタルを注入する第4の工程を含む、補修方法(例えば特許文献2)があり、パネルを用いることにより現場での作業性が向上する。
【0005】
上記補修方法では、パネルの下部をL型金具により道路面に固定するが、固定するまではパネルが自立しないため、パネルの上部をリップ溝型鋼により縦壁側のアンカーに固定するか、下部を固定するまでパネルを支持する必要があるため、据付作業が煩雑になる面がある。また、パネルの道路側の面にリップ溝型鋼を設けたり、パネルの下部にL型金具を設けたりすると、車両走行の邪魔になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-148825号公報
【特許文献2】特開2020-60012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、パネルの据付作業を容易に行うことができるトンネル路肩構造物の補修用パネルと補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、既設トンネル内の道路の路肩に設けられた縦壁面を有する路肩構造物に用いられ、前記縦壁面との間に裏込め材が充填される補修用パネルにおいて、繊維で補強されたセメント系材料からなるパネル本体を備え、前記パネル本体は、前記縦壁面側を覆う縦面部と、この縦面部の下部に設けられ、前記縦面部の外面側に突設した脚部とを一体に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、前記脚部に、前記トンネルのパネル取付箇所に突設した取付用アンカー部材を挿通する透孔を穿設したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、前記縦壁面の外面に、道路長さ方向に隣り合って縦方向の突条を設けると共に、これら突条の間に導水路を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記縦壁面の上部には、前記路肩構造物の天端部に設けた固定具に連結する連結腕部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、前記縦壁面の上縁部に、前記導水路に対応して凹部を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1又は2記載の補修用パネルを用い、工場で前記縦壁面の外面に視線誘導塗料を塗布したことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項2記載の補修用パネルを用い、前記縦壁面との間に裏込め材を充填するトンネル路肩構造物の補修方法において、前記取付用アンカー部材を前記透孔に挿通し、前記取付用アンカー部材に定着具を取り付けて前記トンネルのパネル脚部取付箇所に前記脚部を取り付けることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項4記載の補修用パネルを用い、前記縦壁面との間に裏込め材を充填するトンネル路肩構造物の補修方法において、道路長さ方向に隣り合う前記パネル本体の前記連結腕部を、前記固定具により前記天端面に固定することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、前記パネル脚部取付箇所には鉄筋が埋設されており、前記脚部の道路長さ方向両側には道路長さ方向に近接して複数の前記透孔を穿設し、前記複数の透孔の一方に対応して前記パネル脚部取付箇所に取付孔を穿設し、この取付孔に前記取付用アンカー部材を取り付け、前記取付用アンカー部材を前記透孔に挿通し、前記取付用アンカー部材に前記定着具を取り付けて前記パネル脚部取付箇所に前記脚部を取り付けることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、前記パネル脚部取付箇所が傾斜上面を有する側溝であり、前記傾斜上面に、上面が平坦な高さ調整層を設け、この高さ調整層に前記脚部を載置することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、前記パネル脚部取付箇所が傾斜上面を有する側溝であり、前記傾斜上面を斫った後、この斫った傾斜上面に前記取付用アンカー部材を取り付け、この取付用アンカー部材に高さ調整部材を挿通し、この高さ調整部材上に前記脚部を載置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の構成によれば、縦壁面を覆う縦面部の下部に、脚部が一体に設けられているため、脚部を用いてパネル本体を簡便に据え付けることができる。
【0020】
請求項2の構成によれば、取付用アンカー部材を透孔に挿通するようにパネル本体を設置し、脚部をアンカーによりトンネルパネル取付箇所に取り付けることができる。
【0021】
請求項3の構成によれば、縦壁面の外面に沿って流れ落ちる水を、導水路に集めて効率よく排水することができる。
【0022】
請求項4の構成によれば、パネル本体に設けた連結腕部を固定具に連結することにより、パネル本体の上部を路肩構造物に固定することができる。
【0023】
請求項5の構成によれば、路肩構造物の上面を伝わる水が、凹部から縦壁面の外面に流れ落ちる。
【0024】
請求項6の構成によれば、現場での視線誘導塗料の塗装作業が不要となる。
【0025】
請求項7の構成によれば、隣り合うパネル本体の連結腕部を、共通する固定具により天端面に固定することができる。
【0026】
請求項8の構成によれば、取付用アンカー部材を透孔に挿通するようにパネル本体を設置し、取付用アンカー部材に定着具を取り付けることにより脚部をトンネルパネル取付箇所に取り付けることができる。
【0027】
請求項9の構成によれば、パネル脚部取付箇所に取付孔を穿設する際、鉄筋に当たったら、取付孔の穿設位置を変えて取付用アンカー部材を取り付けることができる。
【0028】
請求項10の構成によれば、傾斜した傾斜上面に高さ調整層を設けることにより、上面が平坦な高さ調整層に脚部を載置することができる。
【0029】
請求項11の構成によれば、傾斜した傾斜上面を斫った後、取付用アンカー部材に高さ調整部材を挿通し、高さ調整部材の高さを合わせることにより、脚部の高さを揃えてパネル本体を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施例1を示す一方の既設の路肩構造物の断面図である。
【
図2】同上、他方の既設の路肩構造物の断面図である。
【
図3】同上、路肩構造物の縦壁面を所定厚さだけ除去した状態の斜視図である。
【
図4】同上、パネル脚部取付箇所にアンカー手段を取り付け、高さ調整モルタル層を形成した状態の斜視図である。
【
図5】同上、補修用パネルの据付作業を説明する斜視図である。
【
図6】同上、補修用パネルの脚部の要部の斜視図である。
【
図7】同上、補修用パネルの脚部の要部の斜視図であり、脚部をパネル脚部取付箇所に定着した状態を示す。
【
図8】同上、補修用パネルに全螺子ボルトを挿通した状態の斜視図である。
【
図9】同上、補修用パネルに押え構造を取り付けた状態の斜視図である。
【
図10】同上、全螺子ボルトを切断した状態の斜視図である。
【
図15】本発明の実施例2を示す補修用パネルを据え付けた状態の斜視図である。
【
図16】同上、押え構造を取り付けた補修用パネルの平断面図である。
【
図17】本発明の実施例3を示す補修用パネルの斜視図である。
【
図20】同上、パネル脚部取付箇所を斫った後の要部の斜視図である。
【
図21】同上、補修用パネルの据付作業を説明する要部の斜視図である。
【
図22】同上、補修用パネルの据付作業を説明する要部の説明斜視図である。
【
図23】同上、固定具による連結腕部の固定構造を示す斜視図である。
【
図24】本発明の実施例4を示す補修後の斜視図である。
【
図25】同上、補修後の監査路の上部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0032】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
図1~
図14は本発明の実施例1を示し、既設のトンネル1内には、通路たる車道2の両側に既設の路肩構造物たる監査路3,4が設けられている。これら監査路3,4は通路中央側に縦壁面5を有し、この縦壁面5の上部に平坦な天端面たる通路6を有し、この通路6はトンネル内面であるトンネル側壁7に連結されている。
【0033】
一方の監査路3は、基礎たるコンクリート基礎11上の車道2側に、複数の管路12,12・・・を埋設した縦壁コンクリート部13を有し、この縦壁コンクリート部13の外面である前記縦壁面5に、表面部材たるタイル14が設けられている。また、縦壁コンクリート部13とトンネル側壁7との間には、前記コンクリート基礎11上に、下から管路15を支持する支持コンクリート部16と、砂などの埋め戻し材を充填した埋め戻し部17と、天端コンクリート部18が設けられ、前記縦壁コンクリート部13の上面と天端コンクリート部18の上面が天端面たる前記通路6である。
【0034】
前記一方の監査路3の前記縦壁コンクリート部13には、前記複数の管路12を囲むように、略逆U字形の鉄筋19が埋設され、この鉄筋19は、管路12の上部の横筋部19Yと、この横筋部19Yの両側を屈曲してから下方に延設した縦筋部19T,19Tとからなり、これら両側の縦筋部19T,19Tの下端は前記コンクリート基礎11に埋設されている。また、前記鉄筋19は道路長さ方向に間隔を置いて複数配置され、これら複数の鉄筋19,19に沿って道路長さ方向の長さ方向鉄筋20が複数配筋されている。
【0035】
他方の監査路4は、トンネル側壁7に沿って設けられた縦壁コンクリート部13Aを有し、この縦壁コンクリート部13Aは、この縦壁コンクリート部13Aの外面である前記縦壁面5に、タイル14が設けられ、その縦壁コンクリート部13Aの上面が天端面6Aである。また、縦壁コンクリート部13Aには、複数の管路12A,12Aと鉄筋19Aが埋設されている。尚、他方の監査路4の天端面6Aは、一方の監査路3の天端面たる通路6に比べて、道路幅方向の幅寸法が小さく形成されている。
【0036】
前記両監査路3,4の下端と車道2との間には、側溝たる円形側溝21が設けられている。この円形側溝21は、内部に鉄筋(図示せず)を配筋して鉄筋コンクリート製であって、上面部22が車道2の上面より僅かに低く設けられている。また、円形側溝21は、内部に円形の通水路23を有し、上面部22の中央に縦設した縦溝状の集水口24が前記通水路23に連通している。
【0037】
また、前記上面部22は、前記集水口24によりトンネル1の中央側と外側の上面中央側部22Cと上面外側部22Sとに分割されており、これら上面中央側部22Cと上面外側部22Sは集水口24に向かって僅かに低くなるように傾斜している。尚、円形側溝21は基礎25上に設けられている。
【0038】
また、前記監査路3には手摺27が設けられている。この手摺27は、監査路3の通路6の道路側に複数の支柱28を道路長さ方向に間隔を置いて立設し、複数の支柱28,28・・・の上部を、道路長さ方向の手摺棒29により連結してなる。尚、支柱28は、その上部が下端より車道2側になるように、高さ方向中央側に略乙字状の屈曲部28Aが設けられている。
【0039】
前記監査路3,4の補修に用いる補修用パネル31は、高強度繊維補強モルタルや超高強度繊維補強コンクリートなどの繊維で補強されたセメント系材料からなる。高強度繊維補強モルタルからなるパネル本体32は、前記縦壁面5に設ける平板状の縦面部33と、この縦面部33の下部に設けられ、前記上面外側部22Sに対応してトンネル中央側(パネル31の外側)に突設された脚部34とを一体に備える。高強度繊維補強モルタルは、粗骨材を使用しないで、高強度の鋼繊維や有機繊維などの繊維を混入することに高強度の物性を有する繊維補強セメント系高強度材料からなる。
【0040】
また、パネル本体32を前記高強度繊維補強コンクリートとしてもよく、この場合は、超高強度繊維補強コンクリート(Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete)をパネル状に成型したものであり、例えば、「超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針(案)」(以下UFC指針)に示された超高強度繊維補強コンクリート、又は、UFC指針に示された物質移動に関する諸物性(透気係数、塩化物イオンの拡散係数)と同等の超高強度の繊維補強コンクリートを使用して製造することができる。
【0041】
前記脚部34は、前記縦面部33の内面に直交し、水平方向の設置面たる脚部下面34Aと、この脚部下面34Aの先端に設けた上下方向の脚部先端面34Bと、この脚部先端面33Bの上縁から前記縦面部33の外面に向かって斜め上向きに傾斜した脚部傾斜外面33Cとを有し、この脚部傾斜外面33Cは略45度程度の傾斜をなし、脚部34は、道路中央側の脚部先端面34Bから道路外側の縦面部33側に向かって肉厚になる形状をなす。尚、一例として前記縦面部33の厚さは20mm程度であり、前記脚部先端面34Bの厚さも同様に20mm程度である。尚、傾斜外面部33Cは縦面部33に対して、30~60度、この例では45度の角度をなす。
【0042】
前記脚部34の脚部傾斜面34Cには、道路長さ方向に離れて両側にそれぞれ複数(2箇所)の凹所41,41Aが形成され、道路長さ方向の両側で2つの凹所41,41Aが近接するように配置されている。尚、凹所41,41Aは同一形状をなし、凹所41が凹所41Aに比べてパネル31の道路長さ方向(パネル左右方向)の端部側に位置する。
【0043】
前記凹所41,41Aの底面部42は、前記脚部下面34Aと平行で、平面視で道路幅方向に長い略長方形形状をなし、その底面部42と前記脚部傾斜面34Cとの間には、パネル内面側に縦内面部43が垂直に形成されると共に、パネル左右方向の両側に斜め縦内面部44,44が垂直に形成されている。尚、斜め縦内面部44は、脚部傾斜面34Cの傾斜方向(道路幅方向)に形成されている。
【0044】
前記底面部42には、透孔45が穿設されており、この透孔45にアンカー手段たるボルトアンカー51の雄螺子棒52が遊挿され、この雄螺子棒52が棒状の取付用アンカー部材である。前記透孔45は道路幅方向(パネル内外方向)に長い長孔状をなす。そして、雄螺子棒52に、金属製からなる方形の定着プレート59の透孔59Tを挿通し、その雄螺子棒52に、緩み止めナットであるダブルのナット60,60を螺合することにより、雄螺子棒52に補修用パネル31の下部が固定される。
【0045】
図11に示すように、前記雄螺子棒52の先端には、先端側に向かってテーパー状に拡大する拡大頭部53が一体に設けられている。また、ボルトアンカー51は中空筒54を備え、この中空筒54の先端に、該中空筒長さ方向の切込み55を複数形成して複数の先端拡大片部56が形成され、前記雄螺子棒52の基端を中空筒54の先端から挿入してセットする。尚、拡大頭部53の最大径は、中空筒54の内径より大きい。
【0046】
この場合、通常はパネル左右方向両端の凹所41,41の透孔45,45の位置に合わせて、円形側溝21にボルトアンカー51の雄螺子棒52を固定する。具体的には、円形側溝21の上面外側部22Sにドリル(図示せず)で縦方向の取付孔73を穿設し、この取付孔73にボルトアンカー51を挿入し、治具58(図示せず)により中空筒54の基端側を打ち込むと、拡大頭部53により先端拡大片部56が拡大し、ボルトアンカー51が、円形側溝21の取付孔57(
図4)に固定される。
【0047】
このように基本は両側の凹所41,41の透孔45,45の位置に合わせて、ボルトアンカー用の取付孔73を穿設するが、円形側溝21内の鉄筋によりドリルで取付孔73を穿設できない場合がある。この場合は、中央側の凹所41A,41Aの透孔45,45の位置に合わせて円形側溝21に取付孔57を穿設する。この場合、左右一対の凹所41,41Aの透孔45,45の一方にボルトアンカー51を取り付ければよく、組合せは、左右の凹所41,41、左右の凹所41A,41、左右の凹所41A,41、左右の凹所41A,41Aとすることができる。尚、
図7に示すように、雄螺子棒52を挿通しない透孔45には、グラウト材96Aを充填する。
【0048】
前記監査路3,4を補修する場合、前記縦壁面5のタイル14及び縦壁コンクリート部13の一部を除去した補修縦壁面5Aに、前記補修用パネル31の縦面部33が配置される。一例として、タイル14と共に縦壁コンクリート部13の表面を除去するため、縦壁面5を所定厚さである30mm程度除去し、タイル14が20mmで、縦壁コンクリート部13を10mm程度斫って除去して補修縦壁面5Aを形成する。
【0049】
また、表面から10mmを越えて縦壁コンクリート部13が劣化している場合は、さらに10mmを越えて斫り、モルタルなどで補強して前記補修縦壁面5Aを形成する。尚、補修用パネル31は、その縦面部33の外面が既設の縦壁面5の外面の位置になるように据付られる。
【0050】
前記補修用パネル31の縦面部33には透孔36が複数穿設されており、前記透孔36に、アンカー手段たるグリップアンカー71の全螺子ボルト72が挿通される。この例では透孔36が左右方向に等間隔で、縦面部33の上側に3か所穿設されている。また、透孔36の縦面部33の外面側には、該透孔36より径大な径大孔部37が形成されている。
【0051】
前記車道2の舗装層8は、前記円形側溝21の上面中央側部22C上に設けられ、該舗装層8の道路幅方向の端部8Tは、前記集水口24に近接している。また、舗装層8の端部8T側には、道路の区画線としての機能を有する白線9が設けられ、この白線9は上面中央側部22C上に位置する。従って、白線9の道路幅方向の端部9Tが車道2の道路幅方向端部であり、道路幅方向両側の白線9,9の端部9T,9T間が車両の通常走行範囲となる。
【0052】
次に、路肩構造物である監査路3,4の補修方法を、監査路3を例にして説明する。まず、一例として、縦壁面5を所定厚さである30mm程度除去する。所定厚さはタイル14が20mmで、縦壁コンクリート部13の一部である10mm程度であり、縦壁コンクリート部13の一部を斫って除去し、補修縦壁面5Aを形成する。尚、縦壁コンクリート部13の一部を斫って錆びた鉄筋などが出てきた場合は、鉄筋の錆を落とし、補修用パネル31を配置する前に、補修縦壁面5Aにモルタルを塗って補強する。
【0053】
また、円形側溝21の上面外側部22Sがパネル脚部取付箇所であり、補修用パネル31を配置する前に、前記円形側溝21の上面外側部22Sに、前記ボルトアンカー51を取り付け、ボルトアンカー51の雄螺子棒52を上面外側部22Sに立設する。雄螺子棒52を立設した後、補修縦壁面5Aから補修用パネル31の脚部先端面34Bの間で、前記コンクリート基礎11の上面と上面外側部22Sに、調整モルタルを打設し、厚さが略20mm程度の調整モルタル層81を形成する。上述したように上面中央側部22Cは集水口24に向かって僅かに低くなるように傾斜しているのに対して、調整モルタル層81の上面は道路幅方向に水平に形成されている。尚、調整モルタル層81の道路長さ方向の勾配は車道2又は通路6と同一である。
【0054】
また、補修用パネル31を配置する前に、補修縦壁面5Aにグリップアンカー71を取付ける。
図12に示すように、前記グリップアンカー71は、前記拡大頭部53及び中空筒54を有し、この中空筒54内には雌螺子部(図示せず)が形成され、グリップアンカー71は、中空筒54の先端内に前記拡大頭部53を挿着してセットされる。
【0055】
そして、補修縦壁面5Aに横方向の取付孔73を穿設し、この取付孔73に、拡大頭部53を先端内に挿着した中空筒54を挿入し、治具(図示せず)により中空筒54の基端側を打ち込むと、拡大頭部53により先端拡大片部56が拡径し、アンカー取付部たる拡大頭部53及び中空筒54が取付孔73に固定される。尚、前記ボルトアンカー51の雄螺子棒52を透孔45に挿通した後、前記中空筒54に全螺子ボルト72を螺合する。
【0056】
調整モルタル層81を形成し、補修縦壁面5Aに、グリップアンカー71の前記アンカー取付部を取り付けた後、補修用パネル31を取り付ける。自走式の運搬吊上げ手段(図示せず)により補修用パネル31をトンネル1内に据付位置まで運搬し、図示しない荷台から補修用パネル31を吊上げ、補修用パネル31を吊り下して、対応する雄螺子棒52,52を透孔45,45に挿通し、調整モルタル層81上に脚部下面34Aを載置する。
【0057】
パネル本体32の縦面部33の厚さは20mmで、前記所定厚さが略30mmであるから、補修縦壁面5Aと縦面部33との間の隙間が略10mmになるように補修用パネル31を配置する。この場合、透孔45は道路幅方向に長い長孔であるから、補修用パネル31の道路幅方向位置を調整することでき、このために位置決め手段83を用いる。
【0058】
図13及び
図14に位置決め手段83の一例を示す。前記円形側溝21の集水口24に取付部材たる板材84を挿入し、位置決め部材たる複数の楔状板片85により、板材84の路肩側の外面84Gを集水口24の道路幅方向の外側の内面24Nに位置決めする。この場合、板材84と集水口24の隙間に楔状板片85を打ち込んで、板材84を集水口24に位置決めする。
【0059】
前記板材84の外面84Gに、角材などの間隔保持材86の一側面86Aが固定されており、その一側面86Aに対向する間隔保持材86の他側面86Bと前記外面84Gとの間隔Kを、前記集水口24の前記内面24Nと前記脚部先端面34Bの設計寸法に合わせる。尚、1枚の補修用パネル31に対して、間隔保持材86は板材84の外面84Gに道路長さ方向に間隔を置いて複数設けられる。尚、板材84及び間隔保持材86は木製のものを用いることができる。
【0060】
従って、透孔45に雄螺子棒52を挿通した後、補修用パネル31の脚部先端面34Bを、位置決め手段83の他側面86Bに当接することにより、補修用パネル31の道路幅方向の位置決めを行うことができる。
【0061】
補修用パネル31の道路幅方向の位置を位置決めした後、前記ダブルのナット60,60を締めて、円形側溝21に補修用パネル31の下部を固定する。
【0062】
また、補修用パネル31の内面側に裏込め材を充填する際、縦面部33の外側への撓みを防止する押え構造91を用い、この押え構造91は以下の構成を備える。
図8に示すように、前記縦面部33の透孔36に全螺子ボルト72を挿通し、この全螺子ボルト72の先端を補修縦壁面5Aの前記中空筒54に螺合する。また、
図9に示すように、複数の全螺子ボルト72の上下に、押え部材たる横杆92,92を配置し、これら横杆92,92が縦面部33の外面に当接する。また、略コ字型の保持具94により上下の横杆92,92を保持し、その保持具94の透孔94Tを前記全螺子ボルト72に挿通し、この全螺子ボルト72にナット95(
図9)を螺合し、このナット95により保持具94を固定し、横杆92,92を支持する。尚、
図9では、横杆92は、1枚の補修用パネル31に対応した長さを有するが、1枚を超えた長さを有するものでもよい。
【0063】
複数の補修用パネル31を道路長さ方向に並べ、それら補修用パネル31の下部をボルトアンカー51により固定し、補修用パネル31の上側を押え構造91により保持した後、型枠となる補修用パネル31の縦面部33の内面33Nと補修縦壁面5Aとの間の充填空間100に、裏込め材たるグラウト材96を上から充填する。この場合、補修縦壁面5Aの上端と補修用パネル31の上部内面との間の隙間からグラウト材96を充填する。また、複数枚の補修用パネル31,31・・・の内面側にグラウト材96を充填する。
【0064】
グラウト材96が硬化したら、ナット95を緩め、保持具94と横杆92,92を取り外した後、全螺子ボルト72の先端が縦面部33の外面に出っ張らないように、全螺子ボルト72を前記径大孔部37内で切断除去し、この径大孔部37を、モルタルなどのグラウト材96Aで塞ぐ。このように透孔36に径大孔部37を設けることにより、グラウト材96Aによる透孔36の穴埋め作業が容易となる。
【0065】
このように本実施例では、請求項1に対応して、既設トンネル1内の道路たる車道2の路肩に設けられた縦壁面5を有する路肩構造物たる監査路3,4に用いられ、縦壁面5との間に裏込め材たるグラウト材96が充填される補修用パネル31において、繊維で補強されたセメント系材料からなるパネル本体32を備え、パネル本体32は、縦壁面5側を覆う縦面部33と、この縦面部33の下部に設けられ、縦面部33の外面側に突設した脚部34とを一体に備えるから、縦壁面5を覆う縦面部33の下部に、脚部34が一体に設けられているため、脚部34を用いてパネル本体32を簡便に据え付けることができる。
【0066】
このように本実施例では、請求項2に対応して、脚部34に、トンネル1のパネル取付箇所たる円形側溝21の上面外側部22Sに突設した取付用アンカー部材たる雄螺子棒52を挿通する透孔45を穿設したから、雄螺子棒52を透孔45に挿通するようにパネル本体32を設置し、脚部34を雄螺子棒52により上面外側部22Sに取り付けることができる。
【0067】
このように本実施例では、請求項7に対応して、請求項2記載の補修用パネル31を用い、縦壁面たる補修縦壁面5Aとの間に裏込め材たるグラウト材96を充填するトンネル路肩構造物の補修方法において、取付用アンカー部材たる雄螺子棒52を透孔45に挿通し、雄螺子棒52に定着具たるナット60を取り付けてトンネル1のパネル脚部取付箇所たる上面外側部22Sに脚部34を取り付けるから、雄螺子棒52を透孔45に挿通するようにパネル本体32を設置し、雄螺子棒52にナット60を取り付けることにより脚部34を上面外側部22Sに取り付けることができる。
【0068】
このように本実施例では、請求項9に対応して、パネル脚部取付箇所たる円形側溝21には鉄筋が埋設されており、脚部34の道路長さ方向両側には道路長さ方向に近接して複数の透孔45,45を穿設し、複数の透孔45,45の一方に対応して上面外側部22Sに取付孔57を穿設し、この取付孔57に取付用アンカー部材たる雄螺子棒52を取り付け、雄螺子棒52を透孔45に挿通し、雄螺子棒52に定着具たるナット60を取り付けて雄螺子棒52に脚部34を取り付けるから、上面外側部22Sに取付孔57を穿設する際、鉄筋などの穿設を妨げる部材に当たったら、取付孔57の穿設位置を変えて雄螺子棒52を取り付けることができる。
【0069】
このように本実施例では、請求項10に対応して、パネル脚部取付箇所が傾斜上面たる上面外側部22Sを有する側溝たる円形側溝21であり、上面外側部22Sに、上面が平坦な高さ調整層たる高さ調整モルタル層81を設け、この高さ調整モルタル層81に脚部34を載置するから、傾斜した上面外側部22Sに高さ調整モルタル層81を設けることにより、上面が平坦な高さ調整モルタル層81に脚部34を載置することができる。
【0070】
以下、実施例上の効果として、脚部34は、平板状でなく、傾斜外面部33Cが縦面部33に対して、30~60度であり、断面略三角形形状であるから、強度的に優れる。また、その脚部34に取付用凹所41,41Aを設けたから、雄螺子棒52の上端、定着部材たる定着プレート59とワッシャ59Wとナット60とを取付用凹所41,41Aを収納することができ、それらがパネル本体32の外面に出っ張ることがない。
【0071】
前記透孔45は道路幅方向(パネル内外方向)に長い長孔状をなすから、補修用パネル31の道路幅方向の位置合わせが可能となる。さらに、補修用パネル31の幅方向の位置決めを行う位置決め手段83は、前記円形側溝21の集水口24に着脱可能で仮固定する取付部材たる板材84と、板材84の外面24Gと脚部34の先端たる脚部先端面34Bとの間隔を設定する間隔保持材86を備えるから、円形側溝21の集水口24を利用して、補修用パネル31を簡便に位置決めすることができる。
【0072】
押え構造91を備えるから、補修用パネル31の内面側に裏込め材を充填する際、縦面部33の外側への撓みを防止することができる。また、グラウト材96が硬化したら、ナット95を緩め、保持具94と横杆92,92を取り外した後、全螺子ボルト72の先端が縦面部33の外面に出っ張らないように、全螺子ボルト72を前記径大孔部37内で切断除去し、この径大孔部37を、モルタルなどのグラウト材96Aで塞ぐことにより、縦面部33の外面に出っ張りが無くなる。また、透孔36の縦面部33の外面側には、該透孔36より径大な径大孔部37が形成されているから、径大孔部37にグラウト材96Aを充填し易くなり、透孔36を簡便に塞ぐことができる。
【0073】
調整モルタル層81を形成してから円形側溝21の取付孔57を穿設すると、穿設時に調整モルタル層81が割れる虞があるが、ボルトアンカー51を円形側溝21の取付孔57に固定した後、薄い調整モルタル層81を形成することにより、前記割れの発生を防止できる。また、グリップアンカー71は、前記中空筒54に螺合する全螺子ボルト72を備えるから、補修用パネル31を吊り下した後、全螺子ボルト72を中空筒54に螺合することにより、吊り下し時に全螺子ボルト72が邪魔にならない。
補修用パネル31の上縁部61の中央には、通水部たる凹部62が形成され、この凹部62の底部には前記通路6と面一になる中央上縁部62Aが形成されており、この中央上縁部62Aの両側に立上り縁部62B,62Bを有し、これら立上り縁部62B,62Bの両側に左,右上縁部63,63が位置し、これら左,右上縁部63,63が前記中央上縁部62Aより一段高い止水部である。尚、凹部62の上部を閉塞して通水部を横方向に長い長孔状の開口部にしてもよい。
前記補修用パネル31の外面には、その外面を伝わって流れ落ちる水を案内する導水路65が設けられている。この導水路65は、前記凹部62に対応して設けられた一対の導水突条66,66と、これら導水突条66,66の間の補修用パネル31の外面と、からなり、それら導水突条66,66は道路長さ方向に間隔を置いて隣り合って配置されている。それら一対の導水突条66,66は、上方から下方に向かって間隔が狭まる一対の突条上部67,67と、これら一対の突条上部67,67の下部に連続して設けられた一対の突条下部68,68とを備える。これら一対の突条下部68,68は平行で上下方向に形成され、これら突条下部68,68の下端68T,68Tは、前記脚部34の先端面34Bに位置する。
前記突条上部67,67の上端の間隔は、前記凹部62の間隔より広いと共に、突条上部67,67の上端は、前記中央上縁部62Aより上方に位置する。また、凹部62の厚さはパネル本体32の厚さの0.25~0.5倍(0.25倍以上、0。5倍以下)である。また、凹部62の幅寸法はパネル本体32の厚さ寸法と略等しい。
前記補修用パネル31の縦面部33の外面には、工場において視線誘導塗料の塗布により、視線誘導部39が設けられている。尚、導水突条66,66にも視線誘導部39が設けられている。前記視線誘導塗料としては、蛍光体塗料,蓄光塗料、蛍光塗料又は蓄光蛍光塗料、再帰反射性塗料、所望の無機質繊維層上に着色された無機塗料などが例示される。前記視線誘導部39は塗装を塗る前に比べて、視覚認識効果に優れたものである。
尚、視線誘導部39の上縁は前記径大孔部37より下方に位置し、突条上部67の上端は、前記径大孔部37より下方に位置する。また、視線誘導部39の下縁は縦面部33の下縁に位置する。
このように本実施例では、請求項3に対応して、縦面部33の外面に、道路長さ方向に隣り合って縦方向の突条たる導水突条66,66を設けると共に、これら導水突条66,66の間に導水路65を設けたから、縦面部33の外面に沿って流れ落ちる水を、導水路65に集めて効率よく排水することができる。
このように本実施例では、請求項5に対応して、縦面部33の上縁部61に、導水路65に対応して通水部たる凹部62を設けたから、路肩構造物たる監査路3の上面を伝わる水が、凹部62から縦面部33の外面に流れ落ちるように誘導できる。
このように本実施例では、請求項6に対応して、請求項1~3のいずれか1項に記載の補修用パネル31を用い、工場で縦面部33の外面に視線誘導塗料を塗布したから、現場での視線誘導塗料の塗装作業が不要となる。
以下、実施例上の効果として、導水突条66,66の上部には、上方から下方に向かって間隔が狭まる一対の突条上部67,67が設けられ、前記突条上部67,67の上端の間隔は、前記凹部62の間隔より広いと共に、突条上部67,67の上端は、前記中央上縁部62Aより上方に位置するから、凹部62から流れ落ちる水を、突条上部67,67により確実に突条上部67,67内の導水路65に導くことができる。また、比較的薄いパネル本体32に凹みにより導水路を設けると強度が下がるのに対して、突条66,66により導水路65を設けたから、パネル本体32の強度を落とすことなく導水路65を設けることができる。
また、前記横杆92,92と縦面部33の外面との間にスペーサ93を設け、横杆92,92とスペーサ93が直接前記導水突条66に当たらないように構成したから、横杆92が当たって突条66の視線誘導塗料が剥がれる等の不具合を防止できる。また、パネル本体32を肉厚にして導水路65を凹部により構成する場合に比べて、導水突条66,66を設けることにより間のパネル本体32の外面により導水路65を構成したから、パネル本体32を軽量にできる。