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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179241
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】カップスタック装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/08 20060101AFI20231212BHJP
   B65G 57/20 20060101ALI20231212BHJP
   B65G 57/32 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65G57/08
B65G57/20
B65G57/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092435
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】武藤 英泰
(72)【発明者】
【氏名】南馬 孝之
(72)【発明者】
【氏名】土橋 希望
【テーマコード(参考)】
3F029
【Fターム(参考)】
3F029BA02
3F029CA21
(57)【要約】
【課題】装置の構造を複雑にすることなく、カップを安定してスタックできるカップスタック装置を提供する。
【解決手段】テーパ状の胴部100と底部110とを備える有底テーパ状のカップPを、複数積み重ねて移送するカップスタック装置40であって、複数のカップPを順次搬送するコンベア部2cと、コンベア部2cの端部から、底部110を下側へ向けた姿勢で落下するカップPを、上下方向に積み重ねた状態で保持する上スタック部41と、上スタック部41の下側に配置され、上スタック部41に保持された一定数のカップPを、積み重ねた状態のユニットUごと受け入れ可能な下スタック部42と、ユニットUを下スタック部42から受け取り、後工程に移送する移送部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパ状の胴部と底部とを備える有底テーパ状のカップを、複数積み重ねて移送するカップスタック装置であって、
複数の前記カップを順次搬送するコンベア部と、
前記コンベア部の端部から、前記底部を下側へ向けた姿勢で落下する前記カップを、上下方向に積み重ねた状態で保持する上スタック部と、
前記上スタック部の下側に配置され、前記上スタック部に保持された一定数の前記カップを、積み重ねた状態のユニットごと受け入れ可能な下スタック部と、
前記ユニットを前記下スタック部から受け取り、後工程に移送する移送部と、を備える、
カップスタック装置。
【請求項2】
前記コンベア部は、水平方向に沿って前記上スタック部に近づくに従い、上側へ向けて傾斜して延び、
前記カップは、前記底部を搬送方向の下流側へ向け、前記胴部の開口端部を搬送方向の上流側へ向けた姿勢で、前記コンベア部に搬送される、
請求項1に記載のカップスタック装置。
【請求項3】
前記コンベア部から前記上スタック部に搬送される前記カップの数を計測する計測部と、
前記上スタック部から前記下スタック部への前記カップの移動を規制するストッパーと、
前記計測部が一定数の前記カップを計測したときに、前記ストッパーによる規制を解除して、前記上スタック部から前記下スタック部に前記ユニットを移動させる制御部と、を備える、
請求項1または2に記載のカップスタック装置。
【請求項4】
前記上スタック部に配置され、前記カップを保持可能な保持部を備え、
前記制御部は、前記ストッパーによる規制を解除している間、前記保持部で前記カップを一時的に保持する、
請求項3に記載のカップスタック装置。
【請求項5】
前記下スタック部は、
上下方向に延びて配置され、前記上スタック部から前記ユニットを受け入れ可能な受け入れ位置と、
水平方向に延びて配置され、前記ユニットを前記移送部に受け渡す受け渡し位置と、の間で回動可能である、
請求項1または2に記載のカップスタック装置。
【請求項6】
前記移送部は、
前記下スタック部から供給された前記ユニットを、上側に移動させるリフト部と、
上側に移動した前記リフト部から前記ユニットが供給される移送台と、を有する、
請求項1または2に記載のカップスタック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップスタック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の容器用スタッカーが知られている。この容器用スタッカーでは、インスタント食品等に使用するカップ状の容器(ワーク)が、一定数スタックされ(積み重ねられ)、後工程に移送される。容器用スタッカーは、水平軸のまわりに回転可能に支持された吸着ドラムと、吸着ドラムに吸着支持されたワークを搬送路に送り出す平行コンベアと、平行コンベアと協働してワークをスタックさせるプッシャプレートと、スタックされたワークを搬送路から排出する排出手段と、を備えている。
また近年では、例えば特許文献2に記載されるような、胴部がテーパ状に形成された金属製カップへの需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-104434号公報
【特許文献2】特表2020-508874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2のようなカップを、装置の構造を複雑にすることなく、安定してスタックすることへの要望がある。
【0005】
本発明は、装置の構造を複雑にすることなく、カップを安定してスタックできるカップスタック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、テーパ状の胴部と底部とを備える有底テーパ状のカップを、複数積み重ねて移送するカップスタック装置であって、複数の前記カップを順次搬送するコンベア部と、前記コンベア部の端部から、前記底部を下側へ向けた姿勢で落下する前記カップを、上下方向に積み重ねた状態で保持する上スタック部と、前記上スタック部の下側に配置され、前記上スタック部に保持された一定数の前記カップを、積み重ねた状態のユニットごと受け入れ可能な下スタック部と、前記ユニットを前記下スタック部から受け取り、後工程に移送する移送部と、を備える。
【0007】
本発明のカップスタック装置では、コンベア部の端部から上スタック部に落下するカップが、自重により上下方向に積み重ねられる(スタックされる)。一定数のカップをスタックするにあたり、従来使用されていた例えば上記特許文献1(特開平8-104434号公報)に記載の吸着ドラムやプッシャプレート等の部材は不要であり、装置の構造を簡素化しつつ、カップを安定してスタックできる。
【0008】
また、上スタック部に一定数のカップをスタックした後は、積み重ねた状態のカップ(積層カップ)をユニットごと下スタック部に移動させ、さらにユニットごと、移送部によって後工程に移送することができる。このため、スタックしたカップを安定して移送できる。
以上より、本発明によれば、装置の構造を複雑にすることなく、カップを安定してスタックできる。また、スタックしたカップユニットを安定して移送できる。
【0009】
本発明の態様2において、前記コンベア部は、水平方向に沿って前記上スタック部に近づくに従い、上側へ向けて傾斜して延び、前記カップは、前記底部を搬送方向の下流側へ向け、前記胴部の開口端部を搬送方向の上流側へ向けた姿勢で、前記コンベア部に搬送される、態様1に記載のカップスタック装置としてもよい。
【0010】
この場合、コンベア部は、カップを斜め上側へ向けて搬送する。カップの底部は搬送方向の下流側(斜め上側)へ向けられ、胴部の開口端部は搬送方向の上流側(斜め下側)へ向けられて、カップはコンベア部により搬送される。
上記構成では、底部よりも直径の大きい開口端部が斜め下側を向くため、コンベア部によって搬送されるカップの搬送姿勢がより安定する。このため、上スタック部内に落下するカップが、精度よく安定してスタックされる。
【0011】
また、上スタック部内を自然落下するカップが正立姿勢とされる。すなわち、カップが小径の底部から上スタック部内に挿入されるため、カップの開口端部などが上スタック部の内周壁に引っ掛かりにくくなり、スムーズにスタックされる。
【0012】
本発明の態様3は、前記コンベア部から前記上スタック部に搬送される前記カップの数を計測する計測部と、前記上スタック部から前記下スタック部への前記カップの移動を規制するストッパーと、前記計測部が一定数の前記カップを計測したときに、前記ストッパーによる規制を解除して、前記上スタック部から前記下スタック部に前記ユニットを移動させる制御部と、を備える、態様1または2に記載のカップスタック装置としてもよい。
【0013】
この場合、上スタック部に一定数のカップがスタックされたときに、この積層されたカップユニットを自動的に下スタック部に移動させることができる。このため、カップのスタックを効率よく行うことができる。
【0014】
本発明の態様4は、前記上スタック部に配置され、前記カップを保持可能な保持部を備え、前記制御部は、前記ストッパーによる規制を解除している間、前記保持部で前記カップを一時的に保持する、態様3に記載のカップスタック装置としてもよい。
【0015】
この場合、上スタック部にスタックされた積層カップのユニットを、ストッパーによる規制を解除して下スタック部に移動させるときに、コンベア部から上スタック部に新たにカップが供給されても、このカップが保持部によって一時的に保持される。このため、ユニットの下方移動時に、上スタック部に新たに供給されるカップが、意図せず下スタック部にまで進入(落下)するような不具合が抑制される。
【0016】
本発明の態様5において、前記下スタック部は、上下方向に延びて配置され、前記上スタック部から前記ユニットを受け入れ可能な受け入れ位置と、水平方向に延びて配置され、前記ユニットを前記移送部に受け渡す受け渡し位置と、の間で回動可能である、態様1から4のいずれか1つに記載のカップスタック装置としてもよい。
【0017】
この場合、下スタック部が上下方向に延びる受け入れ位置とされることで、下スタック部は、上スタック部から積層カップのユニットを安定して受け入れることができる。また、下スタック部が水平方向に延びる受け渡し位置とされることで、下スタック部が保持するユニットを、移送部に安定して受け渡すことができる。
【0018】
本発明の態様6において、前記移送部は、前記下スタック部から供給された前記ユニットを、上側に移動させるリフト部と、上側に移動した前記リフト部から前記ユニットが供給される移送台と、を有する、態様1から5のいずれか1つに記載のカップスタック装置としてもよい。
【0019】
この場合、下スタック部から移送部へと、低い位置で積層カップのユニットが受け渡されても、リフト部によってユニットを上側に移動して、高い位置に設けた移送台上でユニットを移送することができる。このため、ユニットを移送する際の作業性がよい。また、装置全体の高さ寸法を小さく抑えることが可能になり、装置を設置する際のレイアウトの自由度がより高められる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の前記態様のカップスタック装置によれば、装置の構造を複雑にすることなく、カップを安定してスタックできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本実施形態のカップを示す側面図(半断面図)である。
図2図2は、本実施形態のカップ洗浄乾燥システムを示す上面図である。
図3図3は、本実施形態のカップスタック装置の一部を示す側面図である。
図4図4は、図3の一部を拡大して示す側面図である。
図5図5は、図4の矢視Vを示す正面図である。
図6図6は、図3の一部を拡大して示す側面図である。
図7図7は、本実施形態のカップスタック装置の一部を示す正面図である。
図8図8は、本実施形態のカップスタック装置の一部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態のカップ洗浄乾燥システム1、及びこれが備えるカップスタック装置40について、図1図8を参照して説明する。なお本明細書では、カップ洗浄乾燥システム1を単にシステムと呼んだり、カップスタック装置40を単に装置と呼んだりする場合がある。
【0023】
カップ洗浄乾燥システム1は、図1に示すような有底テーパ状のカップPを、洗浄、水切り、乾燥及びスタックするシステムである。なお、本実施形態でいう「スタック」とは、一のカップP内に他のカップPを収容するように、複数のカップPを積み重ねることを指す。カップPは、金属製であり、具体的には、アルミニウム製やアルミニウム合金製等である。カップPは、単一の部材により一体に形成されている。
【0024】
カップPは、カップ洗浄乾燥システム1よりも前工程に設けられる図示しないボトルネッカー等のカップ製造装置(缶製造装置)において、所定のカップ形状に成形される。
詳しくは、カップ製造装置は、図示しない有底筒状のDI缶(中間成形体の缶)に対して、ダイ加工及び回転加工を含む複数種類の成形加工を施すことにより、所定形状のカップPを製造する。なお前記DI缶は、カップ製造装置よりも前工程において、アルミニウム製やアルミニウム合金製等の板材から打ち抜いた円板状のブランクに、カッピング工程(絞り工程)、DI工程(絞りしごき工程)、トリミング工程、印刷工程、塗装工程等を施すことにより、有底円筒状に形成されている。
【0025】
まず、図1を参照して、カップPについて説明する。
本実施形態では、カップPの中心軸をカップ軸Aと呼ぶ。カップPは、テーパ状の胴部100と、底部110と、を備える。カップPは、胴部100の開口端部100aの直径寸法が最も大きくされている。本実施形態では、開口端部100a(の後述するカール部105)の外径寸法が、例えばφ86mm程度である。また、開口端部100aの内径寸法は、例えばφ80mm程度である。
また本実施形態では、カップPのカップ軸Aに沿う高さ寸法(カップ高さ寸法)が、例えば、146mm程度である。なお、特に図示しないが、本実施形態の変形例のカップPでは、カップ高さ寸法が、例えば、116mm程度や85mm程度とされていてもよい。
【0026】
本実施形態では、カップ軸Aが延びる方向をカップ軸方向と呼ぶ。カップ軸方向のうち、底部110から胴部100の開口端部100aへ向かう方向を開口側と呼び、開口端部100aから底部110へ向かう方向を底部側と呼ぶ。
カップ軸Aと直交する方向をカップ径方向と呼ぶ。カップ径方向のうち、カップ軸Aに近づく方向をカップ径方向の内側と呼び、カップ軸Aから離れる方向をカップ径方向の外側と呼ぶ。
カップ軸A回りに周回する方向をカップ周方向と呼ぶ。
【0027】
胴部100は、カップ軸Aを中心とする略テーパ筒状である。胴部100は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い直径寸法が大きくなる(拡径する)。
胴部100は、底部側円筒部101と、底部側段部102と、開口側円筒部103と、開口側段部104と、カール部105と、テーパ部106と、を有する。
【0028】
底部側円筒部101は、胴部100のうちカップ軸方向の底部側の端部に配置される。底部側円筒部101は、カップ軸Aを中心とする円筒状である。底部側円筒部101は、胴部100において最も小径とされている。底部側円筒部101の外径寸法は、例えば、φ66mm程度である。
【0029】
底部側段部102は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。底部側段部102は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径する。底部側段部102は、底部側円筒部101のカップ軸方向の開口側に隣り合って配置される。底部側段部102は、底部側円筒部101のカップ軸方向の開口側の端部に接続する。
【0030】
開口側円筒部103は、胴部100の開口端部100aに配置される。開口側円筒部103は、カップ軸Aを中心とする円筒状である。開口側円筒部103の直径寸法は、底部側円筒部101の直径寸法よりも大きい。
【0031】
開口側段部104は、胴部100の開口端部100aに配置される。開口側段部104は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。開口側段部104は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径する。開口側段部104は、開口側円筒部103のカップ軸方向の底部側に隣り合って配置される。開口側段部104は、開口側円筒部103のカップ軸方向の底部側の端部に接続する。
【0032】
カール部105は、胴部100の開口端部100aに配置される。カール部105は、開口端部100aに、カップ径方向の外側に突出して形成されている。カール部105は、カップ軸Aを中心とする円環状である。カール部105は、カップ周方向の全周にわたって延びている。カール部105は、胴部100において最も大径とされている。カール部105は、そのカップ径方向の内端部が、開口側円筒部103のカップ軸方向の開口側の端部に接続される。
【0033】
具体的に、カール部105は、開口端部100aにおけるカップ軸方向の開口側の端縁からカップ径方向の外側に向けて突出し、カップ軸方向の底部側からカップ径方向の内側に向けて折り返されている。カール部105は、カップ軸Aに沿う縦断面の形状が、略円形リング状をなす。カール部105は、その縦断面に表される円形リング形状のうち、カップ径方向の内端部に位置する円周の一部が開口されており、この開口部分を通して、カール部105の内部と外部とは連通している。
【0034】
カール部105の幅寸法(カップ径方向の寸法)は、例えば、3~5mm程度である。カール部105の高さ寸法(カップ軸方向の寸法)は、例えば、2~4mm程度である。開口側円筒部103の外周面と、カール部105との間に設けられる隙間の寸法は、例えば、1~2mm程度である。
【0035】
テーパ部106は、胴部100のうちカップ軸方向の両端部間に位置する中間部分に配置される。テーパ部106は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。テーパ部106は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径する。テーパ部106は、カップ軸方向において、底部側段部102と開口側段部104との間に配置される。テーパ部106のカップ軸方向の底部側の端部は、底部側段部102のカップ軸方向の開口側の端部と接続される。テーパ部106のカップ軸方向の開口側の端部は、開口側段部104のカップ軸方向の底部側の端部と接続される。
【0036】
本実施形態では、テーパ部106のカップ軸方向に沿う単位長さあたりのカップ径方向へ向けた変位量(つまりカップ軸Aに対する傾き)が、底部側段部102の前記変位量及び開口側段部104の前記変位量よりも小さい。テーパ部106のカップ軸方向の寸法は、底部側円筒部101、底部側段部102、開口側円筒部103、開口側段部104及びカール部105の各カップ軸方向の寸法よりも、大きい。胴部100の開口端部100aに配置される開口側段部104、開口側円筒部103及びカール部105は、テーパ部106よりもカップ径方向の外側に突出する。
【0037】
底部110は、カップ軸Aを中心とする略円板状である。
底部110は、カップ軸方向の開口側へ向けて膨出するドーム部111と、ドーム部111の外周部に連なり、カップ軸方向の底部側へ向けて突出しカップ周方向に延びる環状凸部(リム部)112と、を有する。
【0038】
環状凸部112は、カップ軸Aを中心とする円形リング状である。環状凸部112は、ドーム部111のカップ径方向の外側に隣り合って配置される。環状凸部112は、胴部100のカップ軸方向の底部側に隣り合って配置される。
環状凸部112は、接地部(ノーズ部)115と、内周壁(カウンターシンク)113と、外周壁(ヒール部)114と、を有する。
【0039】
接地部115は、環状凸部112のうち最もカップ軸方向の底部側に位置する部分である。接地部115は、カップPが正立姿勢(胴部100の開口端部100aが鉛直方向の上側を向く姿勢)でテーブル上面等の載置面に載置されたときに、載置面と接触する。接地部115の直径寸法すなわち接地径は、例えば、φ55mm程度である。
【0040】
内周壁113は、接地部115のカップ径方向の内側に隣り合って配置される。内周壁113は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。具体的に、内周壁113は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い縮径するテーパ状である。内周壁113のカップ軸方向の開口側の端部は、ドーム部111のカップ径方向の外側の端部と接続される。
【0041】
外周壁114は、接地部115のカップ径方向の外側に隣り合って配置される。外周壁114は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。具体的に、外周壁114は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径するテーパ状である。外周壁114のカップ軸方向の開口側の端部は、胴部100のカップ軸方向の底部側の端部と接続される。すなわち、外周壁114は、底部側円筒部101のカップ軸方向の底部側の端部に接続される。
【0042】
次に、カップ洗浄乾燥システム1について、説明する。
図2に示すように、カップ洗浄乾燥システム1は、複数のカップPを搬送方向Fに搬送する搬送部2と、搬送部2に搬送されるカップPに水等の洗浄液を噴射し、カップPを洗浄するカップ洗浄装置10と、カップ洗浄装置10よりも搬送方向Fの下流側に配置され、搬送部2に搬送されるカップPにエアを噴射し、カップPを水切りするカップ水切り装置20と、カップ水切り装置20よりも搬送方向Fの下流側に配置され、搬送部2に搬送されるカップPに熱風を供給し、カップPを乾燥するカップ乾燥装置30と、カップ乾燥装置30よりも搬送方向Fの下流側に配置され、カップPを複数積み重ねて移送するカップスタック装置40と、を備える。
【0043】
搬送部2は、カップ洗浄装置10、カップ水切り装置20、カップ乾燥装置30及びカップスタック装置40にわたって延びて設けられている。本実施形態では搬送部2が、カップ洗浄装置10、カップ水切り装置20及びカップ乾燥装置30にわたって、複数のカップPを、胴部100の開口端部100aが鉛直方向の下側を向く倒立姿勢で搬送方向Fに搬送する。また搬送部2は、複数のカップPを、単列(一列)で搬送する。
【0044】
図3に示すように、カップスタック装置40は、複数のカップPを移送しつつ積み重ねてスタックする。本実施形態のカップスタック装置40のスタック処理能力は、例えば、100~150cpmである。なお「cpm」とは、装置の1分間あたりの処理缶数(本実施形態ではスタック缶数)を表す単位である。
【0045】
カップスタック装置40の前工程には、カップ洗浄装置10、カップ水切り装置20及びカップ乾燥装置30が設けられている(図2を参照)。カップ洗浄装置10では、カップPを倒立姿勢として搬送しつつ、カップPの外面及び内面等に水などの洗浄液を噴射して洗浄を行う。この洗浄の後、カップPの外面及び内面等には、洗浄液の液滴(水滴)が付着している。カップ水切り装置20では、カップPを倒立姿勢のまま搬送しつつ、カップPの外面及び内面等に付着した液滴をエアによって吹き飛ばす。カップ乾燥装置30では、カップPを倒立姿勢のまま搬送しつつ、水切り処理後のカップPに残留した水分等を乾燥させて除去する。
【0046】
ここで、カップスタック装置40における「方向の定義」について説明する。
本実施形態のカップスタック装置40の説明では、XYZ直交座標系を設定して各構成を説明する。
【0047】
各図においてX軸方向は、水平方向のうちの所定方向であり、本実施形態ではこの所定方向を前後方向と呼ぶ。前後方向のうち、前側は-X側に相当し、後側は+X側に相当する。
Y軸方向は、水平方向のうち、X軸方向と直交する方向である。本実施形態ではY軸方向を、左右方向と呼ぶ。左右方向のうち、左側は-Y側に相当し、右側は+Y側に相当する。
Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と直交する方向であり、鉛直方向である。本実施形態ではZ軸方向を、上下方向と呼ぶ。上下方向のうち、上側は+Z側に相当し、下側は-Z側に相当する。
【0048】
図2に示すように、本実施形態では、カップスタック装置40でカップPが搬送されていく過程において、搬送方向Fが変化する。具体的な搬送方向Fについては、カップスタック装置40の各構成の説明とともに、後述する。
【0049】
図2図8に示すように、カップスタック装置40は、コンベア部2cと、ガイド部2dと、上スタック部41と、下スタック部42と、計測部43と、ストッパー44と、制御部45と、保持部46と、移送部47と、を備える。
【0050】
図3に示すように、コンベア部2cは、カップスタック装置40に配置される搬送部2の一部を構成する。コンベア部2cは、前側(-X側)へ向かうに従い上側(+Z側)に向けて延びており、すなわち、水平方向及び鉛直方向と傾斜する方向に延びる。
【0051】
コンベア部2cの前側には、上スタック部41が配置される。コンベア部2cは、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って上スタック部41に近づくに従い、上側へ向けて傾斜して延びる。コンベア部2cの前端部は、上スタック部41の上端部と隣接して配置される。
【0052】
コンベア部2cの後端部は、カップ乾燥装置30における搬送部2の前端部と隣接して配置される。カップ乾燥装置30の搬送部2により前側に搬送されるカップPは、この搬送部2の前端部から落下することでコンベア部2c上に載置され、コンベア部2cが延びる傾斜方向に沿って搬送される。コンベア部2cは、複数のカップPを順次搬送する。
【0053】
コンベア部2cによって搬送されるカップPの搬送方向Fは、前側(-X側)へ向かうに従い上側(+Z側)に向けて延びる傾斜方向である。カップPは、底部110を搬送方向Fの下流側(前方斜め上側)へ向け、胴部100の開口端部100aを搬送方向Fの上流側(後方斜め下側)へ向けた姿勢で、コンベア部2cに搬送される。
【0054】
図3図5に示すように、本実施形態のコンベア部2cは、例えば樹脂製やゴム製等であり、無端環状をなしている。コンベア部2cは、少なくとも一対のスプロケット2eに巻き回されている。一対のスプロケット2eは、コンベア部2cが延びる傾斜方向において、互いに離れて配置される。
【0055】
図5に示すように、コンベア部2cは、複数設けられている。複数のコンベア部2cは、左右方向(Y軸方向)に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態ではコンベア部2cが、搬送されるカップPのカップ軸Aの左側(-Y側)と右側(+Y側)とに、一対配置される。一対のコンベア部2c間の左右方向の距離は、カップPの底部110の外径寸法よりも小さい。カップPは、一対のコンベア部2cによって保持された状態で、搬送方向Fに搬送される。
【0056】
ガイド部2dは、左右方向においてコンベア部2cを間に挟むように、一対設けられる。一対のガイド部2dは、コンベア部2cの左側と右側とに配置される。ガイド部2dは、左右方向と略垂直な方向に拡がる板状であり、コンベア部2cに沿って傾斜方向に延びる。一対のガイド部2d間の左右方向の距離は、カップPの開口端部100a(具体的には、カール部105)の外径寸法よりも大きい。
【0057】
カップ乾燥装置30の搬送部2によって搬送されるカップPは、この搬送部2の下流側の端部(前端部)からコンベア部2c上に倒れ込んだ(落下した)ときに、一対のガイド部2dによって左右方向からガイドされる。これにより、カップPは、一対のコンベア部2c上に載置され、一対のコンベア部2cによって安定して保持されるとともに、底部110を搬送方向Fの下流側へ向け、胴部100の開口端部100aを搬送方向Fの上流側へ向けた搬送姿勢とされる。
【0058】
図4及び図5に示すように、本実施形態の上スタック部41は、上下方向に延びる円筒状の枠体である。ただしこれに限らず、特に図示しないが上スタック部41は、例えば、上下方向に延びる円筒状の筒体等であってもよい。
【0059】
上スタック部41の上部開口は、上側に開口されている。上スタック部41の上部開口は、上側へ向かうに従い内径寸法が大きくなる。すなわち、上スタック部41の上部開口は、上側へ向かうに従い拡径されている。上スタック部41の下部開口は、ストッパー44により開閉可能に塞がれている。
【0060】
上スタック部41は、コンベア部2cの端部(前端部)から、底部110を下側へ向けた姿勢で落下するカップPを、上下方向に積み重ねた状態で保持する。カップPは、開口端部100aが上側を向く正立姿勢とされて、上スタック部41の上端部から上スタック部41の内部に自然落下により挿入(投入)される。すなわち、コンベア部2cによって搬送される複数のカップPは、上スタック部41の上部開口を通して上スタック部41内に順次落下することにより、上スタック部41の内部において積み重ねられる(スタックされる)。
【0061】
図6に示すように、下スタック部42は、上下方向に延びる円筒状の枠体である。ただしこれに限らず、特に図示しないが下スタック部42は、例えば、上下方向に延びる円筒状の筒体等であってもよい。
【0062】
下スタック部42の上部開口は、上側に開口されている。下スタック部42の上部開口は、上側へ向かうに従い内径寸法が大きくなる。すなわち、下スタック部42の上部開口は、上側へ向かうに従い拡径されている。下スタック部42の下端部は、塞がれている。
【0063】
また、下スタック部42は、前後方向(X軸方向)に分割された半円筒状の一対の半割り体(分割体)によって構成されている。
詳しくは、図6に示すように下スタック部42は、後述する受け入れ位置S1に位置している場合には、上下方向に延びる円筒状とされており、後述する受け渡し位置S2に位置している場合には、前後方向に延びる半円筒状とされる。すなわち、受け渡し位置S2において下スタック部42の周壁は、下スタック部42の中心軸(図7の後述する第2回動軸R2に相当)回りの略半周にわたって、前記中心軸と直交する径方向に開口される。
【0064】
下記の説明では、主に下スタック部42が受け入れ位置S1に配置されている状態について述べる。下スタック部42は、上スタック部41の下側に配置される。上下方向から見て、上スタック部41と下スタック部42とは、互いに重なって配置される。具体的に、上スタック部41の中心軸と、下スタック部42の中心軸とは、互いに略同軸に配置されている。
【0065】
下スタック部42は、上スタック部41に保持された一定数のカップPを、積み重ねた状態のユニットUごと受け入れ可能である。すなわち、上スタック部41内でスタックされたカップPは、後述するストッパー44による規制が解除されることで、下スタック部42内へ向けてユニットUごと搬送方向F(下側)に搬送される。
【0066】
なお、本実施形態において前記「一定数」(つまり所定の数量)とは、例えば、50個等である。またユニットUは、正立姿勢とされた複数のカップPが互いのカップ軸Aを一致させるように略同軸に積み重ねられることにより、構成されている。本実施形態では、このように積み重ねられた複数のカップPの一体的なユニットUを、カップユニットUなどと呼ぶ場合がある。
【0067】
下スタック部42は、エアシリンダや電動アクチュエータ等の回動手段48に連結されている。回動手段48は、本体部48aと、本体部48aに対して前後方向(X軸方向)に伸縮可能な伸縮部48bと、を有する。回動手段48は、伸縮部48bを前後方向に伸縮させることにより、左右方向(Y軸方向)に延びる第1回動軸R1を中心として、第1回動軸R1回りの所定角度(本実施形態では略90°)の範囲内で、下スタック部42を回動させる。
【0068】
下スタック部42は、第1回動軸R1回りの所定角度の範囲内で回動させられることにより、図6に示す受け入れ位置S1と受け渡し位置S2との間で移動する。詳しくは、下スタック部42は、上下方向に延びて配置され、上スタック部41からユニットUを受け入れ可能な受け入れ位置S1と、水平方向(本実施形態では前後方向)に延びて配置され、ユニットUを移送部47に受け渡す受け渡し位置S2と、の間で回動可能である。
【0069】
下スタック部42が、受け入れ位置S1から受け渡し位置S2へと回動することで、下スタック部42に保持されるカップユニットUは、第1回動軸R1回りの搬送方向Fに搬送される。
このように、上スタック部41及び下スタック部42は、カップスタック装置40に配置される搬送部2の一部を構成する。
【0070】
図4に示すように、計測部43は、コンベア部2cから上スタック部41に搬送されるカップPの数を計測する。計測部43は、例えばセンサ等であり、本実施形態ではコンベア部2cと左右方向に隣り合って配置される。すなわち、本実施形態においては計測部43が、コンベア部2c上を搬送されるカップPの数を計測する。ただしこれに限らず、特に図示しないが、計測部43は、例えば、コンベア部2cの前端部(上端部)から上スタック部41内に落下する途中のカップPの数を計測してもよいし、あるいは、上スタック部41内のカップPの数を計測してもよい。
【0071】
ストッパー44は、上スタック部41から下スタック部42へのカップPの移動を規制する。ストッパー44は、上スタック部41の下部開口と下スタック部42の上部開口との間の連通を遮断可能に構成されている。ストッパー44は、例えば、エアシリンダや電動アクチュエータ等である。
【0072】
ストッパー44は、ストッパー本体44aと、ストッパー本体44aに対して前後方向(X軸方向)に移動可能な規制部44bと、を有する。規制部44bは、上下方向と垂直な方向に拡がる板体を有する。規制部44bが、前後方向の移動範囲のうち前進端位置に配置されたときに、板体の上面には、上スタック部41に保持されるカップユニットUの最下端に位置するカップPの底部110が接触する。
【0073】
詳しくは、ストッパー44は、規制部44bを前後方向に移動させることで、上スタック部41の下部開口を閉状態または開状態とする。
規制部44bが前進端位置に配置され、上スタック部41の下部開口が閉状態とされることにより、上スタック部41内に保持されるカップユニットUの下スタック部42への移動が規制される。
また、規制部44bが後退端位置に配置され、上スタック部41の下部開口が開状態とされることにより、上スタック部41内に保持されるカップユニットUは、下スタック部42への移動が許容される。
【0074】
制御部45は、少なくとも計測部43及びストッパー44と電気的に接続される。制御部45は、計測部43が一定数のカップPを計測したときに、ストッパー44による規制を解除して、上スタック部41から下スタック部42にユニットUを移動させる。具体的に、本実施形態では制御部45が、計測部43が例えば50個(一定数)のカップPを計測したときに、ストッパー44の規制部44bを前進端位置から後退端位置へと後退移動させて、上スタック部41内のカップユニットUを下スタック部42内に落下により移動させる。
【0075】
図4及び図5に示すように、保持部46は、上スタック部41に配置され、カップPを保持可能である。具体的に、保持部46は、上スタック部41の上端部に設けられており、コンベア部2cから上スタック部41に投入されるカップPを一時的に保持可能に構成されている。
【0076】
より詳しくは、保持部46は、左右方向(Y軸方向)と垂直な方向に拡がる略板状をなしており、上スタック部41の左側(-Y側)と右側(+Y側)とに、一対設けられる。一対の保持部46は、左右方向に互いに間隔をあけて対向配置されており、互いに接近離間可能に構成されている。
【0077】
一対の保持部46が互いに接近移動することで、一対の保持部46間に、1つまたは複数のカップPを保持することが可能である。具体的に、一対の保持部46が接近移動した状態で、一対の保持部46間の左右方向の距離は、カップPのカール部105の外径寸法よりも小さくされている。このため、上スタック部41の上部開口から上スタック部41内に供給されたカップPは、カール部105が一対の保持部46に引っ掛かることで、一対の保持部46間に保持される。
【0078】
また、互いに接近移動した状態の一対の保持部46が、互いに離間移動することで、一対の保持部46間に保持された1つまたは複数のカップPは解放され、上スタック部41内で正立姿勢のまま自然落下する。具体的に、一対の保持部46が離間移動した状態で、一対の保持部46間の左右方向の距離は、カップPのカール部105の外径寸法よりも大きくされる。
【0079】
図4において、制御部45は、ストッパー44による規制を解除している間、保持部46でカップPを一時的に保持する。具体的に、制御部45は、ストッパー44の規制部44bが前進端位置から後退移動し、上スタック部41の下部開口が開状態とされている間は、一対の保持部46を接近移動させた状態とし、これらの保持部46間にカップPを一時的に保持する。
【0080】
また、制御部45は、ストッパー44の規制部44bが後退端位置から前進移動し、上スタック部41の下部開口が閉状態とされている間は、一対の保持部46を離間移動させた状態とし、これらの保持部46間にカップPを通過させる。
【0081】
図2に示すように、移送部47は、上側から見て、受け渡し位置S2に配置された下スタック部42と左右方向(Y軸方向)に並んで配置されるリフト部47aと、上側から見てリフト部47aと左右方向に並んで配置される移送台47bと、を有する。
【0082】
本実施形態ではリフト部47aが、装置を上側から見た上面視で、受け渡し位置S2とされた下スタック部42の右側(+Y側)に隣接して配置されている。また、移送台47bが、前記上面視でリフト部47aの右側に隣接して配置されている。
移送部47、すなわちリフト部47a及び移送台47bは、カップスタック装置40に配置される搬送部2の一部を構成する。
【0083】
リフト部47aは、前後方向に延びる板状の台である。リフト部47aは、その上面にカップユニットUを保持可能である。図7に示すように、リフト部47aは、上下方向(Z軸方向)の所定範囲において、移動可能に構成されている。
【0084】
リフト部47aが最下端位置に配置されたときに、リフト部47aは、受け渡し位置S2の下スタック部42の右側下方に位置する。この配置関係において、下スタック部42が、例えば、図示しないモータ等の回動手段により第2回動軸R2回りに回動させられることで、下スタック部42に保持されたカップユニットUは、下スタック部42の周壁の開口部分を通して、リフト部47a上に移動させられる。
【0085】
リフト部47a上にカップユニットUが載置された状態で、リフト部47aが上側(+Z側)に移動することにより、カップユニットUは上側に移送される。すなわち、リフト部47aは、下スタック部42から供給されたユニットUを、上側に移動させる。このため、リフト部47aによって搬送されるカップユニットUの搬送方向Fは、上側とされる。
【0086】
図7に示すように、リフト部47aが最上端位置に配置されたときに、リフト部47aに載置されたカップユニットUは、移送台47bの上面(頂面)よりも上側に位置する。また、リフト部47aが上側へ移動し最上端位置に配置される過程において、リフト部47aの被係止片47cは、移送台47bの係止片47dに下側から接触する。これにより、リフト部47aに設けられたねじりコイルばね等の付勢部材47eの付勢力に抗して、リフト部47aは、前後方向(X軸方向)に延びる第3回動軸R3回りに回動させられる。
【0087】
リフト部47aが第3回動軸R3回りに回動させられることで、リフト部47aに保持されたカップユニットUは、リフト部47aの上面の傾斜に沿って右側(+Y側)に転動し、移送台47bの上面に移動させられる。このようにして、移送台47bには、上側に移動したリフト部47aからユニットUが供給される。
【0088】
移送台47bの上面は、右側(+Y側)へ向かうに従い下側(-Z側)に向けて傾斜している。このため、図7及び図8に示すように、カップユニットUは、移送台47bの上面において右側斜め下方へ向けた搬送方向Fへと、転動により搬送される。
このようにして移送部47は、ユニットUを下スタック部42から受け取り、装置の後工程に移送する。カップスタック装置40の後工程としては、例えば、カップユニットUの袋詰めを行う梱包工程などが挙げられる。梱包工程は、例えば、図示しない梱包装置を用いて行ってもよいし、あるいは作業者が手作業で行ってもよい。
【0089】
以上説明した本実施形態のカップスタック装置40では、コンベア部2cの端部(前端部)から上スタック部41に落下するカップPが、自重により上下方向に積み重ねられる(スタックされる)。一定数のカップPをスタックするにあたり、従来使用されていた例えば上記特許文献1(特開平8-104434号公報)に記載の吸着ドラムやプッシャプレート等の部材は不要であり、装置の構造を簡素化しつつ、カップPを安定してスタックできる。
【0090】
また、上スタック部41に一定数のカップPをスタックした後は、積み重ねた状態のカップP(積層カップP)をユニットUごと下スタック部42に移動させ、さらにユニットUごと、移送部47によって後工程に移送することができる。このため、スタックしたカップPを安定して移送できる。
以上より、本実施形態によれば、装置の構造を複雑にすることなく、カップPを安定してスタックできる。また、スタックしたカップユニットUを安定して移送できる。
【0091】
また本実施形態では、図4に示すようにコンベア部2cが、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って上スタック部41に近づくに従い、上側へ向けて傾斜して延びており、カップPは、底部110を搬送方向Fの下流側(斜め上側、本実施形態では前方斜め上側)へ向け、胴部100の開口端部100aを搬送方向Fの上流側(斜め下側、本実施形態では後方斜め下側)へ向けた姿勢で、コンベア部2cに搬送される。
上記構成では、底部110よりも直径の大きい開口端部100aが斜め下側を向くため、コンベア部2cによって搬送されるカップPの搬送姿勢がより安定する。このため、上スタック部41内に落下するカップPが、精度よく安定してスタックされる。
【0092】
また、上スタック部41内を自然落下するカップPが正立姿勢とされる。すなわち、カップPが小径の底部110から上スタック部41内に挿入されるため、カップPの開口端部100aなどが上スタック部41の内周壁に引っ掛かりにくくなり、スムーズにスタックされる。
【0093】
また、本実施形態のカップスタック装置40は、コンベア部2cから上スタック部41に搬送されるカップPの数を計測する計測部43と、上スタック部41から下スタック部42へのカップPの移動を規制するストッパー44と、計測部43が一定数のカップPを計測したときに、ストッパー44による規制を解除して、上スタック部41から下スタック部42にユニットUを移動させる制御部45と、を備える。
この場合、上スタック部41に一定数のカップPがスタックされたときに、この積層されたカップユニットUを自動的に下スタック部42に移動させることができる。このため、カップPのスタックを効率よく行うことができる。
【0094】
また本実施形態では、制御部45が、ストッパー44による規制を解除している間、保持部46でカップPを一時的に保持する。
この場合、上スタック部41にスタックされた積層カップPのユニットUを、ストッパー44による規制を解除して下スタック部42に移動させるときに、コンベア部2cから上スタック部41に新たにカップPが供給されても、このカップPが保持部46によって一時的に保持される。このため、ユニットUの下方移動時に、上スタック部41に新たに供給されるカップPが、意図せず下スタック部42にまで進入(落下)するような不具合が抑制される。
【0095】
また本実施形態では、図6に示すように、下スタック部42が、上下方向に延びて配置され、上スタック部41からユニットUを受け入れ可能な受け入れ位置S1と、水平方向(本実施形態では前後方向)に延びて配置され、ユニットUを移送部47に受け渡す受け渡し位置S2と、の間で回動可能である。
この場合、下スタック部42が上下方向に延びる受け入れ位置S1とされることで、下スタック部42は、上スタック部41から積層カップPのユニットUを安定して受け入れることができる。また、下スタック部42が水平方向に延びる受け渡し位置S2とされることで、下スタック部42が保持するユニットUを、移送部47に安定して受け渡すことができる。
【0096】
また本実施形態では、図7及び図8に示すように、移送部47が、下スタック部42から供給されたユニットUを、上側に移動させるリフト部47aと、上側に移動したリフト部47aからユニットUが供給される移送台47bと、を有する。
この場合、下スタック部42から移送部47へと、低い位置で積層カップPのユニットUが受け渡されても、リフト部47aによってユニットUを上側に移動して、高い位置に設けた移送台47b上でユニットUを移送することができる。このため、ユニットUを移送する際の作業性がよい。また、装置全体の高さ寸法を小さく抑えることが可能になり、装置を設置する際のレイアウトの自由度がより高められる。
【0097】
本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0098】
前述の実施形態では、保持部46が一対設けられており、これらの保持部46が左右方向(Y軸方向)に互いに間隔をあけて対向配置される例を挙げたが、これに限らない。すなわち、一対の保持部46は、例えば前後方向(X軸方向)などにおいて、互いに間隔をあけて対向配置されていてもよい。あるいは、保持部46が、上スタック部41の中心軸回りに3つ以上並んで設けられていてもよい。
【0099】
前述の実施形態では、受け渡し位置S2の下スタック部42が、図示しないモータ等の回動手段により第2回動軸R2回りに回動させられることで、下スタック部42に保持されたカップユニットUがリフト部47a上に移動させられる構成を一例として挙げたが、これに限らない。
特に図示しないが、例えば、下スタック部42に被係止片と、ねじりコイルばね等の付勢部材と、を設け、移送台47bの一部等に係止片を設けて、下スタック部42が受け入れ位置S1から受け渡し位置S2に回動する過程で、前記被係止片が前記係止片に上側から接触し、これにより前記付勢部材の付勢力に抗して、下スタック部42が第2回動軸R2回りに回動するように構成してもよい。
【0100】
また、最上端位置に配置されたリフト部47aを、図示しないモータ等の回動手段によって第3回動軸R3回りに回動させて、リフト部47a上から移送台47b上へとカップユニットUを移動させるように構成してもよい。
【0101】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態及び変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のカップスタック装置によれば、装置の構造を複雑にすることなく、カップを安定してスタックできる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0103】
2c…コンベア部、40…カップスタック装置、41…上スタック部、42…下スタック部、43…計測部、44…ストッパー、45…制御部、46…保持部、47…移送部、47a…リフト部、47b…移送台、100…胴部、100a…開口端部、110…底部、F…搬送方向、P…カップ、S1…受け入れ位置、S2…受け渡し位置、U…ユニット(カップユニット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8