(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179244
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】カップ洗浄乾燥システム及びカップ洗浄乾燥方法
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20231212BHJP
F26B 15/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B08B3/02 C
F26B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092440
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】武藤 英泰
(72)【発明者】
【氏名】南馬 孝之
(72)【発明者】
【氏名】土橋 希望
【テーマコード(参考)】
3B201
3L113
【Fターム(参考)】
3B201AA22
3B201AB14
3B201AB34
3B201BB22
3B201BB93
3B201BB98
3B201CC12
3L113AA02
3L113AB02
3L113AC04
3L113AC07
3L113AC36
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC69
3L113BA13
3L113CB02
3L113CB04
3L113CB22
3L113DA30
(57)【要約】
【課題】カップを安定した姿勢で搬送しつつ、洗浄、水切り及び乾燥を良好に行えるカップ洗浄乾燥システム及びカップ洗浄乾燥方法を提供する。
【解決手段】テーパ状の胴部と底部とを備え、胴部の開口端部にカップ径方向の外側に突出するカール部が形成された有底テーパ状のカップPを、洗浄、水切り及び乾燥するカップ洗浄乾燥システム1であって、カップPを、胴部の開口端部が下側を向く倒立姿勢で搬送方向Fに搬送する搬送部2と、搬送部2に搬送されるカップPに洗浄液を噴射し、カップPを洗浄するカップ洗浄装置10と、カップ洗浄装置10よりも搬送方向Fの下流側に配置され、搬送部2に搬送されるカップPの少なくともカール部にエアを噴射し、カップPを水切りするカップ水切り装置20と、カップ水切り装置20よりも搬送方向Fの下流側に配置され、搬送部2に搬送されるカップPに熱風を供給し、カップPを乾燥するカップ乾燥装置30と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパ状の胴部と底部とを備え、前記胴部の開口端部にカップ径方向の外側に突出するカール部が形成された有底テーパ状のカップを、洗浄、水切り及び乾燥するカップ洗浄乾燥システムであって、
前記カップを、前記胴部の開口端部が下側を向く倒立姿勢で搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部に搬送される前記カップに洗浄液を噴射し、前記カップを洗浄するカップ洗浄装置と、
前記カップ洗浄装置よりも前記搬送方向の下流側に配置され、前記搬送部に搬送される前記カップの少なくとも前記カール部にエアを噴射し、前記カップを水切りするカップ水切り装置と、
前記カップ水切り装置よりも前記搬送方向の下流側に配置され、前記搬送部に搬送される前記カップに熱風を供給し、前記カップを乾燥するカップ乾燥装置と、を備える、
カップ洗浄乾燥システム。
【請求項2】
テーパ状の胴部と底部とを備え、前記胴部の開口端部にカップ径方向の外側に突出するカール部が形成された有底テーパ状のカップを、洗浄、水切り及び乾燥するカップ洗浄乾燥方法であって、
前記カップを、前記胴部の開口端部が下側を向く倒立姿勢で搬送しつつ、前記カップに洗浄液を噴射し、前記カップを洗浄するカップ洗浄工程と、
前記カップを倒立姿勢で搬送しつつ、前記カップの少なくとも前記カール部にエアを噴射し、前記カップを水切りするカップ水切り工程と、
前記カップを倒立姿勢で搬送しつつ、前記カップに熱風を供給し、前記カップを乾燥するカップ乾燥工程と、を備える、
カップ洗浄乾燥方法。
【請求項3】
前記カップ洗浄工程、前記カップ水切り工程及び前記カップ乾燥工程では、それぞれ、複数の前記カップを単列で搬送する、
請求項2に記載のカップ洗浄乾燥方法。
【請求項4】
前記カップ洗浄工程では、前記カップをカップ軸回りに回転させつつ搬送する、
請求項2または3に記載のカップ洗浄乾燥方法。
【請求項5】
前記カップ乾燥工程よりも後に、前記カップを倒立姿勢から正立姿勢に反転させ、複数積み重ねてスタックするカップスタック工程を備える、
請求項2または3に記載のカップ洗浄乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ洗浄乾燥システム及びカップ洗浄乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の缶体の洗浄装置が知られている。この缶体の洗浄装置では、缶体の開口部が上側を向く姿勢(正立姿勢)から、缶体を180°反転させて開口部が下側を向く姿勢(倒立姿勢)とし、洗浄及び水切りを行う。その後、さらに缶体を正立姿勢に戻してから、乾燥工程等の後工程に缶体が搬送される。
また近年では、例えば特許文献2に記載されるような、胴部がテーパ状に形成された金属製カップへの需要がある。この種の金属製カップでは、飲み口となる胴部の開口端部に、唇を保護するためのカール部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-6215号公報
【特許文献2】特表2020-508874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2のようなカップを、安定した姿勢で搬送しつつ、洗浄、水切り及び乾燥を良好に行うことは難しかった。
【0005】
本発明は、カップを安定した姿勢で搬送しつつ、洗浄、水切り及び乾燥を良好に行うことができるカップ洗浄乾燥システム及びカップ洗浄乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、テーパ状の胴部と底部とを備え、前記胴部の開口端部にカップ径方向の外側に突出するカール部が形成された有底テーパ状のカップを、洗浄、水切り及び乾燥するカップ洗浄乾燥システムであって、前記カップを、前記胴部の開口端部が下側を向く倒立姿勢で搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部に搬送される前記カップに洗浄液を噴射し、前記カップを洗浄するカップ洗浄装置と、前記カップ洗浄装置よりも前記搬送方向の下流側に配置され、前記搬送部に搬送される前記カップの少なくとも前記カール部にエアを噴射し、前記カップを水切りするカップ水切り装置と、前記カップ水切り装置よりも前記搬送方向の下流側に配置され、前記搬送部に搬送される前記カップに熱風を供給し、前記カップを乾燥するカップ乾燥装置と、を備える。
また、本発明の態様2は、テーパ状の胴部と底部とを備え、前記胴部の開口端部にカップ径方向の外側に突出するカール部が形成された有底テーパ状のカップを、洗浄、水切り及び乾燥するカップ洗浄乾燥方法であって、前記カップを、前記胴部の開口端部が下側を向く倒立姿勢で搬送しつつ、前記カップに洗浄液を噴射し、前記カップを洗浄するカップ洗浄工程と、前記カップを倒立姿勢で搬送しつつ、前記カップの少なくとも前記カール部にエアを噴射し、前記カップを水切りするカップ水切り工程と、前記カップを倒立姿勢で搬送しつつ、前記カップに熱風を供給し、前記カップを乾燥するカップ乾燥工程と、を備える。
【0007】
本発明のカップ洗浄乾燥システム及びカップ洗浄乾燥方法では、カップの洗浄、水切り及び乾燥まで、搬送部がカップを倒立姿勢で搬送する。すなわち、倒立姿勢のカップに対して、洗浄、水切り及び乾燥がこの順に行われる。カップが倒立姿勢で搬送されることにより、カップの搬送中の姿勢が安定する。本発明では、洗浄、水切り及び乾燥の間に、カップの搬送姿勢を変える必要性はなく、このため、カップのハンドリング性(搬送性)がよい。
【0008】
なお、カップはカール部を有しているため、カップを倒立姿勢のまま搬送すると、カール部に水などの洗浄液が残りやすい傾向がある。この点、本発明によれば、カップ水切り装置またはカップ水切り工程において、少なくともカール部にエアが噴射されるため、カール部の水切りを良好に行うことができる。これにより、水切り処理後のカップ乾燥装置またはカップ乾燥工程において、カップのカール部まで安定して乾燥させることができる。
【0009】
以上より本発明によれば、カップを安定した姿勢で搬送しつつ、洗浄、水切り及び乾燥を良好に行うことができる。
【0010】
本発明の態様3において、前記カップ洗浄工程、前記カップ水切り工程及び前記カップ乾燥工程では、それぞれ、複数の前記カップを単列で搬送する、態様2に記載のカップ洗浄乾燥方法としてもよい。
【0011】
この場合、カップを単列(一列)で搬送することにより、一のカップが他の複数のカップに周囲から覆われるようなことが抑えられる。このため、カップへの洗浄、水切り及び乾燥の各処理が安定して行われる。
【0012】
本発明の態様4において、前記カップ洗浄工程では、前記カップをカップ軸回りに回転させつつ搬送する、態様2または3に記載のカップ洗浄乾燥方法としてもよい。
【0013】
この場合、カップが、カップ軸回りの全周にわたって安定して洗浄される。
【0014】
本発明の態様5は、前記カップ乾燥工程よりも後に、前記カップを倒立姿勢から正立姿勢に反転させ、複数積み重ねてスタックするカップスタック工程を備える、態様2から4のいずれか1つに記載のカップ洗浄乾燥方法としてもよい。
【0015】
カップは、胴部の開口端部から底部へ向かって縮径するテーパ形状とされている。このため、上記構成のように、正立姿勢としたカップを、例えば同じ位置に複数落下させるなどにより積み重ねることで、容易にかつ安定してスタックしやすい。洗浄、水切り及び乾燥後のカップを、簡素な構造を用いて、安定してスタックできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の前記態様のカップ洗浄乾燥システム及びカップ洗浄乾燥方法によれば、カップを安定した姿勢で搬送しつつ、洗浄、水切り及び乾燥を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施形態のカップを示す側面図(半断面図)である。
【
図2】
図2は、本実施形態のカップ洗浄乾燥システムを示す上面図である。
【
図3】
図3は、カップ洗浄装置及びカップ水切り装置を示す上面図である。
【
図6】
図6は、カップ洗浄装置の一部を搬送方向の下流側から見た正面図である。
【
図7】
図7は、搬送スクリューの一部を示す横断面図である。
【
図8】
図8は、搬送スクリューの一部を示す横断面図であり、カップ洗浄装置の第1変形例を表す。
【
図9】
図9は、搬送スクリューの一部を示す横断面図であり、カップ洗浄装置の第2変形例を表す。
【
図10】
図10は、カップ洗浄装置の一部を搬送方向の下流側から見た正面図であり、カップ洗浄装置の第3変形例を表す。
【
図11】
図11は、カップ水切り装置の一部を搬送方向の下流側から見た正面図である。
【
図12】
図12は、カップ水切り装置の一部を示す側面図である。
【
図13】
図13は、カップ水切り装置の一部を示す上面図である。
【
図15】
図15は、カップ乾燥装置の概略構成を示す側面図である。
【
図16】
図16は、カップ乾燥装置の一部を示す上面図である。
【
図17】
図17は、カップスタック装置の一部を示す側面図である。
【
図21】
図21は、カップスタック装置の一部を示す正面図である。
【
図22】
図22は、カップスタック装置の一部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態のカップ洗浄乾燥システム1及びカップ洗浄乾燥方法について、
図1~
図22を参照して説明する。なお本明細書では、カップ洗浄乾燥システム1を単にシステムと呼ぶ場合がある。また、カップ洗浄乾燥システム1が備える後述するカップ洗浄装置10、カップ水切り装置20、カップ乾燥装置30及びカップスタック装置40を、単に装置と呼ぶ場合がある。
【0019】
カップ洗浄乾燥システム1は、
図1に示すような有底テーパ状のカップPを、洗浄、水切り及び乾燥するシステムである。なお、本実施形態ではカップ洗浄乾燥システム1が、乾燥後のカップPを、さらにスタックする。なお、本実施形態でいう「スタック」とは、一のカップP内に他のカップPを収容するように、複数のカップPを積み重ねることを指す。
カップPは、金属製であり、具体的には、アルミニウム製やアルミニウム合金製等である。カップPは、単一の部材により一体に形成されている。
【0020】
カップPは、カップ洗浄乾燥システム1よりも前工程に設けられる図示しないボトルネッカー等のカップ製造装置(缶製造装置)において、所定のカップ形状に成形される。
詳しくは、カップ製造装置は、図示しない有底筒状のDI缶(中間成形体の缶)に対して、ダイ加工及び回転加工を含む複数種類の成形加工を施すことにより、所定形状のカップPを製造する。なお前記DI缶は、カップ製造装置よりも前工程において、アルミニウム製やアルミニウム合金製等の板材から打ち抜いた円板状のブランクに、カッピング工程(絞り工程)、DI工程(絞りしごき工程)、トリミング工程、印刷工程、塗装工程等を施すことにより、有底円筒状に形成されている。
【0021】
まず、
図1を参照して、カップPについて説明する。
本実施形態では、カップPの中心軸をカップ軸Aと呼ぶ。カップPは、テーパ状の胴部100と、底部110と、を備える。カップPは、胴部100の開口端部100aの直径寸法が最も大きくされている。本実施形態では、開口端部100a(の後述するカール部105)の外径寸法が、例えばφ86mm程度である。また、開口端部100aの内径寸法は、例えばφ80mm程度である。
また本実施形態では、カップPのカップ軸Aに沿う高さ寸法(カップ高さ寸法)が、例えば、146mm程度である。なお、特に図示しないが、本実施形態の変形例のカップPでは、カップ高さ寸法が、例えば、116mm程度や85mm程度とされていてもよい。
【0022】
本実施形態では、カップ軸Aが延びる方向をカップ軸方向と呼ぶ。カップ軸方向のうち、底部110から胴部100の開口端部100aへ向かう方向を開口側と呼び、開口端部100aから底部110へ向かう方向を底部側と呼ぶ。
カップ軸Aと直交する方向をカップ径方向と呼ぶ。カップ径方向のうち、カップ軸Aに近づく方向をカップ径方向の内側と呼び、カップ軸Aから離れる方向をカップ径方向の外側と呼ぶ。
カップ軸A回りに周回する方向をカップ周方向と呼ぶ。
【0023】
胴部100は、カップ軸Aを中心とする略テーパ筒状である。胴部100は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い直径寸法が大きくなる(拡径する)。
胴部100は、底部側円筒部101と、底部側段部102と、開口側円筒部103と、開口側段部104と、カール部105と、テーパ部106と、を有する。
【0024】
底部側円筒部101は、胴部100のうちカップ軸方向の底部側の端部に配置される。底部側円筒部101は、カップ軸Aを中心とする円筒状である。底部側円筒部101は、胴部100において最も小径とされている。底部側円筒部101の外径寸法は、例えば、φ66mm程度である。
【0025】
底部側段部102は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。底部側段部102は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径する。底部側段部102は、底部側円筒部101のカップ軸方向の開口側に隣り合って配置される。底部側段部102は、底部側円筒部101のカップ軸方向の開口側の端部に接続する。
【0026】
開口側円筒部103は、胴部100の開口端部100aに配置される。開口側円筒部103は、カップ軸Aを中心とする円筒状である。開口側円筒部103の直径寸法は、底部側円筒部101の直径寸法よりも大きい。
【0027】
開口側段部104は、胴部100の開口端部100aに配置される。開口側段部104は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。開口側段部104は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径する。開口側段部104は、開口側円筒部103のカップ軸方向の底部側に隣り合って配置される。開口側段部104は、開口側円筒部103のカップ軸方向の底部側の端部に接続する。
【0028】
カール部105は、胴部100の開口端部100aに配置される。カール部105は、開口端部100aに、カップ径方向の外側に突出して形成されている。カール部105は、カップ軸Aを中心とする円環状である。カール部105は、カップ周方向の全周にわたって延びている。カール部105は、胴部100において最も大径とされている。カール部105は、そのカップ径方向の内端部が、開口側円筒部103のカップ軸方向の開口側の端部に接続される。
【0029】
具体的に、カール部105は、開口端部100aにおけるカップ軸方向の開口側の端縁からカップ径方向の外側に向けて突出し、カップ軸方向の底部側からカップ径方向の内側に向けて折り返されている。カール部105は、カップ軸Aに沿う縦断面の形状が、略円形リング状をなす。カール部105は、その縦断面に表される円形リング形状のうち、カップ径方向の内端部に位置する円周の一部が開口されており、この開口部分を通して、カール部105の内部と外部とは連通している。
【0030】
カール部105の幅寸法(カップ径方向の寸法)は、例えば、3~5mm程度である。カール部105の高さ寸法(カップ軸方向の寸法)は、例えば、2~4mm程度である。開口側円筒部103の外周面と、カール部105との間に設けられる隙間の寸法は、例えば、1~2mm程度である。
【0031】
テーパ部106は、胴部100のうちカップ軸方向の両端部間に位置する中間部分に配置される。テーパ部106は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。テーパ部106は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径する。テーパ部106は、カップ軸方向において、底部側段部102と開口側段部104との間に配置される。テーパ部106のカップ軸方向の底部側の端部は、底部側段部102のカップ軸方向の開口側の端部と接続される。テーパ部106のカップ軸方向の開口側の端部は、開口側段部104のカップ軸方向の底部側の端部と接続される。
【0032】
本実施形態では、テーパ部106のカップ軸方向に沿う単位長さあたりのカップ径方向へ向けた変位量(つまりカップ軸Aに対する傾き)が、底部側段部102の前記変位量及び開口側段部104の前記変位量よりも小さい。テーパ部106のカップ軸方向の寸法は、底部側円筒部101、底部側段部102、開口側円筒部103、開口側段部104及びカール部105の各カップ軸方向の寸法よりも、大きい。胴部100の開口端部100aに配置される開口側段部104、開口側円筒部103及びカール部105は、テーパ部106よりもカップ径方向の外側に突出する。
【0033】
底部110は、カップ軸Aを中心とする略円板状である。
底部110は、カップ軸方向の開口側へ向けて膨出するドーム部111と、ドーム部111の外周部に連なり、カップ軸方向の底部側へ向けて突出しカップ周方向に延びる環状凸部(リム部)112と、を有する。
【0034】
環状凸部112は、カップ軸Aを中心とする円形リング状である。環状凸部112は、ドーム部111のカップ径方向の外側に隣り合って配置される。環状凸部112は、胴部100のカップ軸方向の底部側に隣り合って配置される。
環状凸部112は、接地部(ノーズ部)115と、内周壁(カウンターシンク)113と、外周壁(ヒール部)114と、を有する。
【0035】
接地部115は、環状凸部112のうち最もカップ軸方向の底部側に位置する部分である。接地部115は、カップPが正立姿勢(胴部100の開口端部100aが鉛直方向の上側を向く姿勢)でテーブル上面等の載置面に載置されたときに、載置面と接触する。接地部115の直径寸法すなわち接地径は、例えば、φ55mm程度である。
【0036】
内周壁113は、接地部115のカップ径方向の内側に隣り合って配置される。内周壁113は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。具体的に、内周壁113は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い縮径するテーパ状である。内周壁113のカップ軸方向の開口側の端部は、ドーム部111のカップ径方向の外側の端部と接続される。
【0037】
外周壁114は、接地部115のカップ径方向の外側に隣り合って配置される。外周壁114は、カップ軸Aを中心とするテーパ筒状である。具体的に、外周壁114は、カップ軸方向の開口側へ向かうに従い拡径するテーパ状である。外周壁114のカップ軸方向の開口側の端部は、胴部100のカップ軸方向の底部側の端部と接続される。すなわち、外周壁114は、底部側円筒部101のカップ軸方向の底部側の端部に接続される。
【0038】
次に、カップ洗浄乾燥システム1について、説明する。
図2に示すように、カップ洗浄乾燥システム1は、複数のカップPを搬送方向Fに搬送する搬送部2と、搬送部2に搬送されるカップPに水等の洗浄液を噴射し、カップPを洗浄するカップ洗浄装置10と、カップ洗浄装置10よりも搬送方向Fの下流側に配置され、搬送部2に搬送されるカップPの少なくともカール部105にエアを噴射し、カップPを水切りするカップ水切り装置20と、カップ水切り装置20よりも搬送方向Fの下流側に配置され、搬送部2に搬送されるカップPに熱風を供給し、カップPを乾燥するカップ乾燥装置30と、カップ乾燥装置30よりも搬送方向Fの下流側に配置され、カップPを複数積み重ねて移送するカップスタック装置40と、を備える。
【0039】
搬送部2は、カップ洗浄装置10、カップ水切り装置20、カップ乾燥装置30及びカップスタック装置40にわたって延びて設けられている。本実施形態では搬送部2が、カップ洗浄装置10、カップ水切り装置20及びカップ乾燥装置30にわたって、複数のカップPを、胴部100の開口端部100aが鉛直方向の下側を向く倒立姿勢で搬送方向Fに搬送する。また搬送部2は、複数のカップPを、単列(一列)で搬送する。
【0040】
図6に示すように、カップ洗浄装置10は、搬送部2に搬送されるカップPに洗浄液を噴射し、カップPを洗浄する。本実施形態のカップ洗浄装置10の洗浄処理能力は、例えば、100~150cpmである。なお「cpm」とは、装置の1分間あたりの処理缶数を表す単位であり、カップ洗浄装置10では、前記処理缶数は洗浄缶数に相当する。
【0041】
図3~
図7に示すように、カップ洗浄装置10は、搬送部2と、洗浄部11と、を備える。また、搬送部2は、下ガイド21と、上ガイド22と、回転軸Oを中心に回転する搬送スクリュー23と、横ガイド24と、を有する。
【0042】
ここで、カップ洗浄乾燥システム1及びカップ洗浄装置10における「方向の定義」について説明する。
本実施形態のシステム及び各装置の説明では、XYZ直交座標系を設定して各構成を説明する。各図においてX軸方向は、水平方向のうちの所定方向であり、Y軸方向は、水平方向のうち、X軸方向と直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と直交する方向であり、鉛直方向である。
【0043】
本実施形態のカップ洗浄装置10の説明では、搬送スクリュー23の中心軸である回転軸Oが延びる方向を、軸方向と呼ぶ。軸方向は、Y軸方向に相当する。
図4に示すように、回転軸Oは、搬送方向Fに沿って延びる。軸方向一方側(-Y側)は、搬送方向Fの下流側に相当し、軸方向他方側(+Y側)は、搬送方向Fの上流側に相当する。なお、軸方向および搬送方向Fは、前後方向と言い換えてもよい。すなわちカップ洗浄装置10において、前後方向は、Y軸方向に相当する。この場合、軸方向一方側および搬送方向Fの下流側は、前側(-Y側)に相当する。軸方向他方側および搬送方向Fの上流側は、後側(+Y側)に相当する。
【0044】
回転軸Oと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、回転軸Oに近づく方向を径方向内側と呼び、回転軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
回転軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。周方向のうち、所定の回転方向を周方向一方側と呼び、これとは反対の回転方向を周方向他方側と呼ぶ。本実施形態では、
図6に示すように、カップ洗浄装置10を搬送方向Fの下流側(-Y側)から見て、回転軸Oを中心とする時計回りの方向が周方向一方側であり、反時計回りの方向が周方向他方側である。
【0045】
また、Z軸方向を上下方向と呼ぶ。上下方向のうち、上側は+Z側に相当し、下側は-Z側に相当する。
【0046】
また、
図4に示すように、装置を上側から見た上面視で、搬送方向F(回転軸O)と直交する方向を、幅方向と呼ぶ。カップ洗浄装置10において、幅方向は、X軸方向に相当する。なお幅方向は、左右方向と言い換えてもよい。装置を搬送方向Fの上流側(+Y側)から見て、幅方向一方側(+X側)は、左側に相当し、幅方向他方側(-X側)は、右側に相当する。
【0047】
図4~
図6に示すように、下ガイド21は、搬送方向F(軸方向、Y軸方向)に延び、倒立姿勢で搬送されるカップPの下側(-Z側)に配置される。下ガイド21は、胴部100の開口端部100aを下側から支持する。
【0048】
下ガイド21は、胴部100の開口端部100aが載せられ、搬送方向Fに移動するコンベア21aと、コンベア21aが巻き回される少なくとも一対のスプロケット21bと、を有する。
【0049】
コンベア21aは、例えば樹脂製やゴム製等であり、無端環状をなしている。一対のスプロケット21bは、搬送方向F(軸方向)に互いに離れて配置されており、コンベア21aを循環移動させる。一対のスプロケット21bは、コンベア21aの搬送方向Fの下流側(軸方向一方側、-Y側)の端部と搬送方向Fの上流側(軸方向他方側、+Y側)の端部を支持する。
【0050】
コンベア21aは、その上面に載置されたカップPを、搬送方向Fに移動させる。具体的に、コンベア21aのうち、一対のスプロケット21bの上側に位置する部分は、搬送方向Fの下流側(-Y側)に移動する。コンベア21aのうち、一対のスプロケット21bの下側に位置する部分は、搬送方向Fの上流側(+Y側)に移動する。
【0051】
コンベア21aは、複数設けられている。複数のコンベア21aは、幅方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて配置される。
図6に示すように、本実施形態ではコンベア21aが、搬送されるカップPのカップ軸Aの幅方向一方側(左側、+X側)と幅方向他方側(右側、-X側)とに、一対配置されている。
【0052】
図4~
図6に示すように、上ガイド22は、搬送方向Fに延び、カップPの上側(+Z側)に配置される。上ガイド22は、例えばシャフトやパイプ等により形成されるレールである。上ガイド22は、カップPの底部110に、上側から隙間をあけて対向する。上ガイド22は、カップPの底部110をガイドする。
【0053】
図4に示すように、搬送スクリュー23は、搬送方向Fに沿って延びる柱状である。搬送スクリュー23は、下ガイド21上に載置されるカップPの幅方向一方側(左側)に配置される。搬送スクリュー23の外径寸法は、例えば、φ88mm程度である。
【0054】
図6に示すように、搬送スクリュー23の回転軸Oは、カップPの上下方向の中心よりも下側(開口端部100a側)に配置される。本実施形態において、搬送スクリュー23の回転軸Oと、下ガイド21の上面(コンベア21aの上面)との間の上下方向の寸法は、例えば、70mm程度である。
【0055】
図4に示すように、搬送スクリュー23は、回転軸Oが延びる軸方向(Y軸方向)へ向かうに従い、回転軸O回りに向けて螺旋状に延びる螺旋溝25を有する。詳しくは、螺旋溝25は、搬送スクリュー23の外周面から径方向内側に窪み、軸方向一方側(搬送方向F、-Y側)へ向かうに従い、周方向一方側に向けて延びる。
図7に示すように、回転軸Oに沿う断面視(回転軸Oを含む断面視)において、螺旋溝25は、径方向内側に窪む凹曲線状をなしている。
【0056】
図3及び
図4に示すように、螺旋溝25は、上側から見て幅方向の下ガイド21側(すなわち幅方向他方側であり、右側であり、-X側)を向く溝部25aによって、カップPの胴部100を案内する。溝部25aは、螺旋状に連続して延びる螺旋溝25の溝の一部を構成している。搬送スクリュー23のうち、溝部25aの内面において最も径方向内側に位置する溝底での直径寸法は、例えば、φ40mm程度である。
【0057】
本実施形態では、
図7に示すように、上下方向(Z軸方向)と垂直な横断面視において、溝部25aが、径方向内側に窪む凹曲線状であり、具体的には、凹円弧状をなしている。溝部25aは、カップPの胴部100のうち、テーパ部106を案内する。
【0058】
図7に示す上下方向と垂直な横断面視において、螺旋溝25の内面のうち胴部100と対向する部分(つまり溝部25a)の曲率半径は、胴部100の外面のうち溝部25aと対向する部分(テーパ部106のうち上下方向の一部)の曲率半径と、異なる。
【0059】
図7に示す例では、搬送スクリュー23の横断面視において、螺旋溝25の内面のうち胴部100と対向する溝部25aの曲率半径が、胴部100の外面のうち溝部25aと対向するテーパ部106の曲率半径に比べて、大きくされている。具体的に本実施形態では、
図7に示すように、回転軸Oに沿う横断面視(回転軸Oを含む横断面視)において、溝部25aの曲率半径が、例えば37mm程度であり、溝部25aと対向するテーパ部106(の上下方向の一部)の曲率半径が、例えば35~36mm程度である。
【0060】
ただしこれに限らず、搬送スクリュー23の横断面視において、螺旋溝25の内面のうち胴部100と対向する溝部25aの曲率半径が、胴部100の外面のうち溝部25aと対向するテーパ部106の曲率半径に比べて、小さくされていてもよい。
前述のいずれの構成の場合においても、胴部100のうち溝部25aに対向する部分と、溝部25aとの間には、洗浄液が通過する隙間が設けられることになる。
【0061】
図4に示すように、溝部25aは、搬送方向Fに互いに間隔をあけて複数配置される。螺旋溝25において軸方向(Y軸方向)に隣り合う一対の溝部25a同士の間のピッチ(軸方向に沿う中心間距離)は、例えば、100mm程度である。各溝部25aには、それぞれカップPが配置されて、案内される。軸方向に隣り合う一対の溝部25aに案内されることにより、軸方向に隣り合う一対のカップP同士の間のピッチも、例えば、100mm程度とされる。
【0062】
搬送スクリュー23が回転軸O回りに回転することで、カップPは、溝部25aに案内され、搬送方向F(軸方向一方側、-Y側)に搬送される。詳しくは、搬送スクリュー23が、回転軸O回りの周方向他方側(
図6に矢印で示す回転軸O回りの回転方向)に回転することにより、溝部25aに案内されたカップPは、螺旋溝25の螺旋に沿って、搬送方向Fへ移動する。
【0063】
本実施形態では、螺旋溝25がカップPを搬送方向Fに移動させる第1移動速度と、下ガイド21のコンベア21aがカップPを搬送方向Fに移動させる第2移動速度とが、互いに異なる。第1移動速度は、第2移動速度より速くてもよく、または遅くてもよい。
【0064】
図4及び
図6に示すように、横ガイド24は、搬送方向Fに延び、カップPと幅方向に隣り合って配置される。横ガイド24は、例えばシャフトやパイプ等により形成されるレールである。横ガイド24は、カップPの胴部100に、幅方向から隙間をあけて対向する。横ガイド24は、カップPの胴部100をガイドする。具体的に、横ガイド24は、胴部100のテーパ部106をガイドする。
【0065】
横ガイド24は、幅方向において、カップPを間に挟んで搬送スクリュー23とは反対側に配置される。すなわち、横ガイド24は、下ガイド21上に載置されるカップPの幅方向他方側(右側、-X側)に配置される。
【0066】
このように、搬送部2によって搬送されるカップPは、上下方向(Z軸方向)においては、下ガイド21と上ガイド22との間に挟まれるように配置されており、幅方向(X軸方向)においては、搬送スクリュー23と横ガイド24との間に挟まれるように配置されている。
【0067】
図6に示すように、洗浄部11は、搬送部2によって搬送されるカップPに洗浄液を噴射し、カップPを洗浄する。洗浄液は、例えば水等である。洗浄液の温度は、例えば、60~70℃である。
【0068】
洗浄部11は、搬送部2に搬送されるカップPの上側に配置される上側洗浄液供給管13と、搬送部2に搬送されるカップPの下側に配置される下側洗浄液供給管14と、カップPの外面に洗浄液を噴射する外面洗浄ノズル15と、カップPの内面に洗浄液を噴射する内面洗浄ノズル16と、を有する。
【0069】
上側洗浄液供給管13は、搬送方向Fに延びる管状である。上側洗浄液供給管13の内部には、洗浄液が流通する。上側洗浄液供給管13は、複数設けられる。複数の上側洗浄液供給管13は、幅方向に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態では、上側洗浄液供給管13が、搬送されるカップPのカップ軸Aの幅方向一方側(左側、+X側)と幅方向他方側(右側、-X側)とに、一対配置されている。
【0070】
下側洗浄液供給管14は、搬送方向Fに延びる管状である。下側洗浄液供給管14の内部には、洗浄液が流通する。本実施形態では下側洗浄液供給管14が、1つ設けられる。下側洗浄液供給管14は、幅方向において、搬送されるカップPのカップ軸Aと同じ位置に配置される。
【0071】
外面洗浄ノズル15は、上側洗浄液供給管13と接続される。外面洗浄ノズル15は、倒立状態とされたカップPの底部110及び胴部100の各外面に向けて、洗浄液を噴射する。外面洗浄ノズル15は、搬送されるカップPの上側に配置され、搬送方向Fに並んで複数設けられる。すなわち、外面洗浄ノズル15は、カップPに上側から洗浄液を噴射する。
【0072】
搬送方向Fに並ぶ複数の外面洗浄ノズル15により、外面洗浄ノズル15の列が形成されている。本実施形態では、外面洗浄ノズル15の列が、幅方向に互いに間隔をあけて複数列設けられ、
図6に示す例では、2列設けられる。
【0073】
2つの外面洗浄ノズル15の列のうち、幅方向一方側(左側、+X側)の外面洗浄ノズル15の列は、幅方向一方側の上側洗浄液供給管13に接続される。幅方向一方側の外面洗浄ノズル15の列は、搬送されるカップPのカップ軸Aよりも、幅方向一方側に配置される。
2つの外面洗浄ノズル15の列のうち、幅方向他方側(右側、-X側)の外面洗浄ノズル15の列は、幅方向他方側の上側洗浄液供給管13に接続される。幅方向他方側の外面洗浄ノズル15の列は、搬送されるカップPのカップ軸Aよりも、幅方向他方側に配置される。
【0074】
また、外面洗浄ノズル15の列を構成する複数の外面洗浄ノズル15のうち、搬送方向Fの上流側(+Y側)に配置される上流側外面洗浄ノズル15は、洗浄液として、例えば水道水等を噴射する。外面洗浄ノズル15の列を構成する複数の外面洗浄ノズル15のうち、搬送方向Fの下流側(-Y側)に配置される下流側外面洗浄ノズル15は、洗浄液として、例えば純水等を噴射する。
【0075】
内面洗浄ノズル16は、下側洗浄液供給管14と接続される。内面洗浄ノズル16は、倒立状態とされたカップPの底部110及び胴部100の各内面に向けて、洗浄液を噴射する。内面洗浄ノズル16は、搬送されるカップPの下側に配置され、搬送方向Fに並んで複数設けられる。すなわち、内面洗浄ノズル16は、カップPに下側から洗浄液を噴射する。
【0076】
搬送方向Fに並ぶ複数の内面洗浄ノズル16により、内面洗浄ノズル16の列が形成されている。本実施形態では、内面洗浄ノズル16の列が、1列設けられる。
【0077】
内面洗浄ノズル16の列は、幅方向(X軸方向)において、搬送されるカップPのカップ軸Aと同じ位置に配置される。内面洗浄ノズル16の列は、幅方向に隣り合う一対のコンベア21a間を通して、カップPの内面に下側から洗浄液を噴射する。
【0078】
また、内面洗浄ノズル16の列を構成する複数の内面洗浄ノズル16のうち、搬送方向Fの上流側(+Y側)に配置される上流側内面洗浄ノズル16は、洗浄液として、例えば水道水等を噴射する。内面洗浄ノズル16の列を構成する複数の内面洗浄ノズル16のうち、搬送方向Fの下流側(-Y側)に配置される下流側内面洗浄ノズル16は、洗浄液として、例えば純水等を噴射する。
【0079】
ここで、カップ洗浄装置10の作用効果について説明する。
本実施形態のカップ洗浄装置10では、テーパ状の胴部100を有するカップPが、搬送スクリュー23の螺旋溝25の一部を構成する溝部25aに案内された状態で、搬送スクリュー23が回転することにより、搬送方向Fに搬送される。搬送スクリュー23の各溝部25aは、搬送方向Fに互いに間隔をあけて配置されており、これらの溝部25aに案内されるカップP同士が、相互に押し合うことは抑制される。このため、カップPの搬送姿勢が不安定になることが抑えられ、カップPが倒れることが抑制される。また、搬送方向Fに並ぶカップP同士の間に間隔をあけることができるため、カップPの搬送方向Fを向く前側部分や後側部分を安定して洗浄できる。
以上より、本実施形態によれば、搬送されるカップPが倒れることを抑えつつ、カップPを安定して洗浄できる。
【0080】
また本実施形態では、下ガイド21が、カップPを搬送方向Fに搬送するコンベア21aを有しており、螺旋溝25がカップPを搬送方向Fに移動させる第1移動速度と、コンベア21aがカップPを搬送方向Fに移動させる第2移動速度とが、互いに異なる。
この場合、第1移動速度と第2移動速度とが異なることにより、カップPが搬送方向Fに搬送されつつ、カップ軸A回りに回転させられる。すなわち、カップPが搬送されていくに従い、胴部100のうち溝部25aに案内される箇所が、カップ周方向に徐々に変化する。これにより、胴部100をカップ軸A回りの全周にわたって安定して洗浄できる。
【0081】
また本実施形態では、洗浄部11が、カップPの外面に洗浄液を噴射する外面洗浄ノズル15を有しており、胴部100のうち溝部25aに対向する部分と、溝部25aとの間には、洗浄液が通過可能な隙間が設けられている。
この場合、胴部100の外面のうち溝部25aに案内される部分に、外面洗浄ノズル15から噴射される洗浄液を通過させることができる。このため、溝部25aで胴部100を案内しつつ、胴部100を安定して洗浄できる。
【0082】
本実施形態のカップ洗浄装置10は前述した構成に限定されず、例えば下記に説明するように、構成の変更等が可能である。なお、変形例の図示においては、前述と同じ構成要素には同一の符号を付し、下記では主に異なる点について説明する。
【0083】
図8は、前述したカップ洗浄装置10の第1変形例を表しており、具体的には、搬送スクリュー23の一部を示す横断面図である。
この第1変形例では、螺旋溝25が、螺旋溝25の内面から径方向内側に窪む凹部25bを有する。凹部25bは、少なくとも胴部100と対向する溝部25aに配置される。具体的に、この凹部25bは、螺旋溝25が延びる方向に沿って、螺旋状に延びる溝である。
図8に示すように、上下方向と垂直な横断面視において、凹部25bは、螺旋溝25の内面から窪む凹曲線状をなしており、図示の例では凹円弧状である。
【0084】
この第1変形例によれば、外面洗浄ノズル15から噴射される洗浄液を、溝部25aの凹部25bに通過させることで、胴部100のうち溝部25aに案内される外面部分を洗浄することができる。このため、溝部25aで胴部100を案内しつつ、この胴部100を安定して洗浄できる。
【0085】
図9は、前述したカップ洗浄装置10の第2変形例を表しており、具体的には、搬送スクリュー23の一部を示す横断面図である。
この第2変形例においても、螺旋溝25が、螺旋溝25の内面から窪む凹部25bを有している。具体的には、
図9に示すように上下方向と垂直な横断面視において、螺旋溝25の内面は、互いに曲率半径が異なる複数の凹曲線を有しており、複数の凹曲線のうち、一の凹曲線と他の凹曲線との接続部分に、屈曲した凹部25bが設けられている。また図示の例では、前記凹部25bが、互いに間隔をあけて複数(一対)設けられている。
この第2変形例によっても、前述の第1変形例と同様の作用効果が得られる。
【0086】
また、特に図示しないが、螺旋溝25は、その内面のうち胴部100と対向する溝部25aに、立体模様を有していてもよい。立体模様には、例えば、エンボス加工(凸加工)やデボス加工(凹加工)等が含まれる。この構成によっても、前述の第1、第2変形例と同様の作用効果が得られる。
【0087】
図10は、前述したカップ洗浄装置10の第3変形例を表しており、具体的には、カップ洗浄装置10の一部を搬送方向Fの下流側(-Y側)から見た正面図である。
この第3変形例では、横ガイド24が、胴部100と接触する滑り止め部24aを有する。滑り止め部24aは、胴部100との滑り性を低減させる(阻害する)材質からなり、例えばゴム等により形成される。
【0088】
この第3変形例によれば、横ガイド24の滑り止め部24aに胴部100が接触することにより、カップPが搬送方向Fに搬送されつつ、カップ軸A回りに回転させられる。すなわち、カップPが搬送されていくに従い、胴部100のうち溝部25aに案内される箇所が、カップ周方向に徐々に変化する。これにより、胴部100をカップ軸A回りの全周にわたって安定して洗浄できる。
【0089】
また、搬送スクリュー23の回転軸Oは、カップPの上下方向の中心と上下方向において同じ位置か、それよりも上側(底部110側)に配置されていてもよい。
ただし、前述したように、搬送スクリュー23の回転軸Oが、カップPの上下方向の中心よりも下側(開口端部100a側)に配置されていると、搬送されるカップPの搬送姿勢がより安定することから、好ましい。
【0090】
また前述の説明では、下ガイド21が、カップPを搬送方向Fに移動するコンベア21aを有する例を挙げたが、これに限らない。すなわち、搬送スクリュー23の螺旋溝25のみによって、カップPを搬送方向Fに移動させる構成としてもよい。この場合、下ガイド21は、例えばシャフトやパイプ等により形成されて搬送方向Fに延びるレール等とされる。上記構成によれば、装置の構造をより簡素化できる。
【0091】
次に、カップ水切り装置20について説明する。
図5及び
図11~
図14に示すように、カップ水切り装置20は、搬送部2に搬送されるカップPにエアを噴射し、カップPを水切りする。本実施形態のカップ水切り装置20の水切り処理能力は、例えば、100~150cpmである。カップ水切り装置20において「cpm」とは、装置の1分間あたりの水切り缶数に相当する。
【0092】
カップ水切り装置20は、カップPに付着する液滴(水滴)を除去し水切りを行う装置である。カップ水切り装置20の前工程に設けられるカップ洗浄装置10では、カップPを倒立姿勢として搬送しつつ、カップPに水などの洗浄液を噴射して洗浄を行う。この洗浄の後、カップPの外面及び内面には、洗浄液の液滴が付着している。カップ水切り装置20は、カップPの外面及び内面に付着した液滴をエアによって吹き飛ばし、除去する。また上記洗浄の後、胴部100の外側に突出するカール部105内には、洗浄液の液滴が溜まっている。カップ水切り装置20は、カール部105に溜まった液滴をエアによって吹き飛ばし、除去する。
【0093】
カップ水切り装置20は、搬送部2と、外面水切りノズル17と、内面水切りノズル18と、第1エア噴射部27と、エア供給管28と、切替部31と、カム29と、第2エア噴射部32と、検出部33と、を備える。また、搬送部2は、下ガイド21と、上ガイド22と、回転軸Oを中心に回転する搬送スクリュー23と、横ガイド24と、ターレット軸Cを中心に回転するターレット26と、を有する。
【0094】
ここで、カップ水切り装置20における「方向の定義」について説明する。
本実施形態のカップ水切り装置20の説明においても、搬送スクリュー23の中心軸である回転軸Oが延びる方向を、軸方向と呼ぶ。軸方向は、Y軸方向に相当する。
図5に示すように、回転軸Oは、カップ水切り装置20における搬送方向Fの上流側の一部に沿って延びる。すなわち、軸方向は、搬送方向Fに相当する。軸方向一方側(-Y側)は、搬送方向Fの下流側に相当し、軸方向他方側(+Y側)は、搬送方向Fの上流側に相当する。なお、軸方向は、前後方向と言い換えてもよい。この場合、軸方向一方側は、前側に相当する。軸方向他方側は、後側に相当する。
【0095】
回転軸Oと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、回転軸Oに近づく方向を径方向内側と呼び、回転軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
回転軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。周方向のうち、所定の回転方向を周方向一方側と呼び、これとは反対の回転方向を周方向他方側と呼ぶ。本実施形態では、
図11に示すように、カップ水切り装置20を軸方向一方側(搬送方向Fの下流側、-Y側)から見て、回転軸Oを中心とする時計回りの方向(矢印とは反対方向)が周方向一方側であり、反時計回りの方向(矢印の方向)が周方向他方側である。
【0096】
また、各図に示すZ軸方向は、鉛直方向すなわち上下方向を表している。各図において、+Z側は上側に相当し、-Z側は下側に相当する。
【0097】
また、
図5に示すように、装置を上側から見た上面視で、回転軸Oの軸方向(Y軸方向)と直交する方向を、幅方向(X軸方向)と呼ぶ。幅方向は、左右方向と言い換えてもよい。装置を軸方向他方側(搬送方向Fの上流側、+Y側)から見て、幅方向一方側(+X側)は、左側に相当し、幅方向他方側(-X側)は、右側に相当する。
【0098】
また、ターレット軸Cは、回転軸Oとはねじれの位置にあり、上下方向に沿って延びる。本実施形態では、前述した回転軸Oを基準とする方向の定義と区別して、ターレット軸Cを基準とする方向の定義を、下記の通りとする。
【0099】
ターレット軸Cが延びる方向を、ターレット軸方向と呼ぶ。ターレット軸方向は、上下方向(Z軸方向)に相当する。
ターレット軸Cと直交する方向をターレット径方向と呼ぶ。ターレット径方向のうち、ターレット軸Cに近づく方向をターレット径方向の内側と呼び、ターレット軸Cから離れる方向をターレット径方向の外側と呼ぶ。
【0100】
ターレット軸C回りに周回する方向をターレット周方向と呼ぶ。ターレット周方向のうち、装置稼働時にターレット26が回転させられる方向を、ターレット回転方向Tと呼び、これとは反対の方向を、反ターレット回転方向と呼ぶ。
【0101】
図5に示すように本実施形態では、カップ水切り装置20でカップPが搬送されていく過程において、搬送方向Fが変化する。具体的に、ターレット26よりも搬送方向Fの上流側においては、搬送方向Fが軸方向一方側(前側、-Y側)に相当する。また、カップPがターレット26に保持されて搬送されている間は、搬送方向Fはターレット回転方向Tに相当する。また、カップPがカップ水切り装置20から下流側のカップ乾燥装置30に移送される際は、搬送方向Fは幅方向他方側(右側、-X側)に相当する。
すなわち、カップPの搬送方向Fは、カップ水切り装置20を通過する間に、ターレット軸C回りに所定角度(本実施形態ではターレット軸Cを中心とする中心角で90°)変化させられる。
【0102】
カップ水切り装置20に配置される搬送部2の各構成要素のうち、下ガイド21、上ガイド22、搬送スクリュー23及び横ガイド24については、前述のカップ洗浄装置10において説明した通りであり、これらの説明は省略する。
【0103】
カップ水切り装置20のうち、ターレット26よりも搬送方向Fの上流側では、搬送部2によって搬送されるカップPは、上下方向(Z軸方向)において、下ガイド21と上ガイド22との間に挟まれるように配置されており、幅方向(X軸方向)において、搬送スクリュー23と横ガイド24との間に挟まれるように配置されている。
【0104】
なお、前述のカップ洗浄装置10では、搬送スクリュー23の螺旋溝25の内面のうち胴部100と対向する溝部25aと、胴部100の外面のうち溝部25aに対向するテーパ部106との間に、洗浄液が通過する隙間が設けられているとした。この構成に関して、カップ水切り装置20では、前記隙間にエアが通過する。
【0105】
図5に示すように、ターレット26は、搬送スクリュー23及びコンベア21aの各軸方向一方側(-Y側)の端部の幅方向他方側(右側、-X側)に配置される。搬送スクリュー23及びコンベア21aの軸方向一方側の端部まで搬送されたカップPは、ターレット26に受け渡され、ターレット26に保持されて搬送される。
【0106】
図5、
図13及び
図14に示すように、ターレット26は、ターレット軸Cと垂直な方向に拡がる板状である。ターレット26は、ターレット軸Cを中心とする略円板状である。ターレット26は、プーリー、ベルト及びギア等を介してモータなどの駆動源に連結されており、ターレット軸Cを中心としてターレット回転方向Tに回転させられる。
【0107】
ターレット26は、カップ保持部26aを有する。カップ保持部26aは、ターレット26の外周部に配置される。カップ保持部26aは、ターレット26の外周面からターレット径方向の内側に窪む凹状をなしている。カップ保持部26aは、ターレット軸方向から見て凹曲線状をなしており、具体的には、凹円弧状をなす。
【0108】
カップ保持部26aは、カップPの胴部100を保持する。詳しくは、カップ保持部26aは、胴部100のうちテーパ部106を保持する。カップ保持部26aは、テーパ部106のうち、カップPの上下方向の中心よりも下側(開口端部100a側)に位置する部分を保持する。
【0109】
カップ保持部26aは、複数設けられる。複数のカップ保持部26aは、ターレット周方向に並んで配置される。複数のカップ保持部26aは、ターレット周方向に等ピッチで配列する。本実施形態ではターレット26に、カップ保持部26aが12個設けられる。
【0110】
図5に示すように、外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18は、カップ洗浄装置10が備える洗浄部11よりも搬送方向Fの下流側(-Y側)に配置され、かつ、ターレット26よりも搬送方向Fの上流側(+Y側)に配置される。なお
図5においては、洗浄部11、外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18の具体的形状の図示については省略している。
【0111】
図11及び
図12に示すように、外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18は、搬送スクリュー23及びコンベア21aにより搬送されるカップPに、エアを噴射して水切りする。すなわち、外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18は、搬送部2に搬送されるカップPに付着する洗浄液の液滴(水滴)を、カップPにエアを噴射することにより除去し、水切りを行う。外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18には、それぞれ、図示しないエアコンプレッサ等のエア供給源から配管部材やホース部材等を介して、圧縮エアが供給される。
【0112】
外面水切りノズル17は、カップPの外面にエアを噴射する。外面水切りノズル17は、スリット状のエア噴射口を有する。外面水切りノズル17から噴射されるエアは、いわゆるエアナイフ等と呼ばれる、エアカーテン状の高速噴射エアである。外面水切りノズル17から噴射されるエアは、周囲の外気を二次エアとして誘引することで増量され、エア噴射口からの吐出量よりも多量の気流を形成しつつ、カップPに供給される。
【0113】
図12に示すように、外面水切りノズル17は、搬送方向Fの上流側(軸方向他方側、+Y側)かつ下側(-Z側)へ向けて、エアを噴射する。外面水切りノズル17は、複数設けられる。複数の外面水切りノズル17は、搬送されるカップPの胴部100にエアを噴射する胴部水切りノズル17Aと、搬送されるカップPの底部110にエアを噴射する底部水切りノズル17Bと、を含む。
【0114】
胴部水切りノズル17Aのエア噴射口は、上下方向に延びるスリット状である。より詳しくは、胴部水切りノズル17Aのエア噴射口は、下側へ向かうに従い搬送方向Fの下流側(軸方向一方側、-Y側)に向けて延びる。
【0115】
図11に示すように、胴部水切りノズル17Aは、複数設けられる。複数の胴部水切りノズル17Aは、幅方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態では胴部水切りノズル17Aが、搬送されるカップPのカップ軸Aの幅方向一方側(左側、+X側)と幅方向他方側(右側、-X側)とに、一対配置される。
【0116】
底部水切りノズル17Bのエア噴射口は、幅方向(左右方向)に延びるスリット状である。底部水切りノズル17Bは、搬送されるカップPの上側に位置して、1つ設けられる。底部水切りノズル17Bは、幅方向において、搬送されるカップPのカップ軸Aと同じ位置に配置される。底部水切りノズル17Bから噴射されるエアにより、底部110のドーム部111に溜まった洗浄液が吹き飛ばされて、除去される。
【0117】
内面水切りノズル18は、カップPの内面にエアを噴射する。内面水切りノズル18は、孔状のエア噴射口を有する。内面水切りノズル18は、搬送されるカップPの下側に位置して、1つ設けられる。
図11に示す例では、内面水切りノズル18が、幅方向に並ぶ一対のコンベア21a間に配置される。内面水切りノズル18は、上側へ向けて、エアを噴射する。
なお、カップPの胴部100はテーパ状であるため、内面水切りノズル18から噴射されるエアにより、カップP内面の水滴は安定して除去されやすい。
【0118】
図5に示すように、第1エア噴射部27及び第2エア噴射部32は、外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18よりも搬送方向Fの下流側に設けられる。第1エア噴射部27及び第2エア噴射部32は、外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18によっては除去しきれなかったカール部105内の水滴の除去を行う。
【0119】
図13に示すように、第1エア噴射部27は、ターレット26の外周部に配置される。また第1エア噴射部27は、ターレット26の内部を延び、ターレット26の下面に開口する。第1エア噴射部27は、ターレット26のカップ保持部26aに沿って配置される。第1エア噴射部27は、ターレット軸方向から見て、ターレット径方向の内側に向けて窪む凹曲線状に延びて配置される。
【0120】
本実施形態では第1エア噴射部27が、カップ保持部26aに沿って配置される複数の噴射孔27aを有する。複数の噴射孔27aは、カップ保持部26aに保持されるカップPのカップ周方向に沿って並ぶ。複数の噴射孔27aは、カップ周方向に沿って等ピッチで配列する。各噴射孔27aは、例えば、円孔状である。
【0121】
図5及び
図14に示すように、第1エア噴射部27は、胴部100の開口端部100aが下側を向く倒立姿勢とされたカップPのカール部105に向けて、エアを噴射する。第1エア噴射部27は、カップPのカール部105の直上に配置される。本実施形態では第1エア噴射部27が、上側から見て、カール部105と重なって配置される。第1エア噴射部27は、カール部105に向けて、上側からエアを噴射する。
【0122】
具体的に、第1エア噴射部27は、カップ保持部26aに保持されるカップPの、カップ周方向の全周のうち一部を除く範囲において、カール部105に向けてエアを噴射する。なお、上記「カップ周方向の全周のうち一部」とは、例えば、カップ軸方向(上下方向)から見て、カップ軸Aを中心とする180°以下の角度範囲であってもよいし、あるいは、180°以上の角度範囲であってもよい。
【0123】
本実施形態では、
図13に示すように、第1エア噴射部27が、カップ周方向の約半周の範囲において、カール部105に向けてエアを噴射する。詳しくは、第1エア噴射部27は、カップ保持部26aに保持されるカップPのカール部105のうち、ターレット径方向の内側に位置する約半周の部分に向けて、エアを噴射する。
【0124】
また、第1エア噴射部27は、ターレット26に複数設けられる。各第1エア噴射部27は、ターレット周方向に並ぶ複数のカップ保持部26aに、それぞれ配置される。複数の第1エア噴射部27は、ターレット周方向に等ピッチで配列する。
【0125】
エア供給管28は、ターレット26に設けられ、第1エア噴射部27と接続される。エア供給管28には、図示しないエアコンプレッサ等のエア供給源から配管部材やホース部材等を介して、圧縮エアが供給される。すなわち、第1エア噴射部27には、エア供給源からエア供給管28等を介して、圧縮エアが供給される。
【0126】
エア供給管28は、ターレット軸C上を上下方向に延びる基管28aと、基管28aから分岐する複数の分岐管28bと、を有する。各分岐管28bは、後述する各切替部31を介して、各第1エア噴射部27と接続される。
【0127】
図13及び
図14に示すように、切替部31は、ターレット26に配置される。本実施形態では切替部31が、ターレット26の上面に取り付けられる。切替部31は、ターレット26に複数設けられる。複数の切替部31は、ターレット周方向に並んで配置される。具体的に、複数の切替部31は、ターレット周方向に等ピッチで配列する。切替部31の数は、第1エア噴射部27の数と同じである。
【0128】
本実施形態では切替部31が、エア供給管28に設けられるスイッチ付きバルブである。具体的に、切替部31は、分岐管28bの管の途中に設けられる。切替部31は、分岐管28bの内部流路の連通と遮断とを切り替える。これにより、切替部31は、第1エア噴射部27からのエアの噴射と噴射停止とを切り替える。
【0129】
切替部31は、カム29に接触するスイッチ31aと、スイッチ31aの接点のON-OFFに応じて開閉するメカニカルバルブ(バルブ)31bと、を有する。スイッチ31aは、メカニカルスイッチなどと言い換えてもよい。
【0130】
ここで、カム29について説明する。カム29は、エアシリンダや電動アクチュエータ等の進退手段34により、ターレット径方向に進退可能である。カム29は、後退位置と、後退位置よりもターレット径方向の内側に配置される前進位置と、の間で移動可能である。なお
図13及び
図14は、カム29が前進位置に配置された状態を表している。
【0131】
カム29は、ターレット径方向の内側を向くスイッチ接触面29aを有する。スイッチ接触面29aは、ターレット径方向の外側に向けて窪む凹曲面状であり、ターレット周方向に沿って延びる。
【0132】
第1エア噴射部27によりカール部105の水切り処理を行う際には、カム29が、前進位置に配置される。これにより、カム29とスイッチ31aとが接触可能な状態となる。より詳しくは、カム29が前進位置に配置された状態で、ターレット26がターレット回転方向Tに回転すると、スイッチ31aの先端ローラがスイッチ接触面29aに接触し、スイッチ接触面29a上をターレット回転方向Tに転動する。スイッチ31aがスイッチ接触面29aと接触している間は、スイッチ31aの接点がONとされる。
【0133】
切替部31は、スイッチ31aがカム29に接触し接点がONになると、メカニカルバルブ31bを開状態とし、第1エア噴射部27からエアを噴射させる。スイッチ31aの接点がONである間は、メカニカルバルブ31bの開状態が維持される。また切替部31は、スイッチ31aがカム29から離れて接点がOFFになると、メカニカルバルブ31bを閉状態とし、第1エア噴射部27からのエアの噴射を停止させる。
【0134】
本実施形態では
図13に示すように、カップ保持部26aがターレット軸C回りの所定範囲Bに配置されている間、カム29とスイッチ31aとの接触状態が維持される。図示の例では、所定範囲Bは、ターレット軸方向から見て、ターレット軸Cを中心とする中心角で60°程度の範囲である。
また、カップ保持部26aがターレット軸C回りにおいて所定範囲B以外の部分に配置されている間は、カム29とスイッチ31aとは互いに非接触とされる。
【0135】
このため、切替部31は、カップ保持部26aがターレット周方向の所定範囲Bに配置されたときに、第1エア噴射部27からエアを噴射させ、カップ保持部26aがターレット周方向の所定範囲B以外の部分に配置されたときに、第1エア噴射部27からのエアの噴射を停止させる。
【0136】
カール部105の水切り処理を行わない場合は、カム29が、後退位置に配置される。特に図示しないが、カム29が後退位置に配置された状態では、ターレット26がターレット回転方向Tに回転しても、スイッチ31aの先端ローラがスイッチ接触面29aに接触することはなく、スイッチ31aの接点もOFFのままとされる。
【0137】
図5及び
図14に示すように、第2エア噴射部32は、ターレット26よりもターレット径方向の外側に配置されて、1つ設けられる。第2エア噴射部32には、図示しないエアコンプレッサ等のエア供給源から配管部材やホース部材等を介して、圧縮エアが供給される。第2エア噴射部32は、孔状のエア噴射口を有する。
【0138】
第2エア噴射部32は、胴部100の開口端部100aが下側を向く倒立姿勢とされたカップPのカール部105に向けて、エアを噴射する。具体的に、第2エア噴射部32は、カップ保持部26aに保持されるカップPの、カップ周方向の全周のうち一部において、カール部105に向けてエアを噴射する。第2エア噴射部32は、ターレット径方向の内側かつ下側へ向けて、エアを噴射する。
【0139】
本実施形態では上述したように、第1エア噴射部27が、カップ保持部26aに保持されるカップPのカール部105のうち、ターレット径方向の内側に位置する約半周の部分に向けてエアを噴射する。これに対し、第2エア噴射部32は、前記カール部105のうち、ターレット径方向の外側の端部に向けて、エアを噴射する。
【0140】
具体的に、第2エア噴射部32は、センサ等の検出部33がカップPを検出したときに、カール部105に向けてエアを噴射する。検出部33は、第2エア噴射部32よりも反ターレット回転方向に位置しており、所定範囲Bに配置される(
図13を参照)。具体的に、検出部33は、カップ保持部26aに保持されるカップPへ向けた第1エア噴射部27からのエアの噴射開始後に、カップPを検出する。このため、第2エア噴射部32は、第1エア噴射部27からのエアの噴射開始後に、カップ周方向の全周のうち一部において、カール部105に向けてエアを噴射するように構成される。
【0141】
図5に示すように、ターレット26によってターレット回転方向Tに搬送されつつカール部105に水切り処理が施されたカップPは、カップ水切り装置20の後工程に設けられるカップ乾燥装置30へと、カップ水切り装置20から幅方向他方側(右側、-X側)へ向けて搬送方向Fに搬送される。
【0142】
次に、カップ水切り装置20によってカップPを水切りするカップ水切り方法について、説明する。
本実施形態のカップ水切り方法は、表面エア噴射工程と、カール部エア噴射工程と、をこの順に備える。
【0143】
表面エア噴射工程では、
図11及び
図12に示すように、外面水切りノズル17によりカップPの外面にエアを噴射し、内面水切りノズル18によりカップPの内面にエアを噴射することで、カップPの外面及び内面(つまりカップPの表面)に付着する洗浄液の液滴(水滴)を除去する。
【0144】
カール部エア噴射工程では、
図5、
図13及び
図14に示すように、第1エア噴射部27及び第2エア噴射部32によってカップPのカール部105にエアを噴射し、カール部105内に溜まった液滴を除去する。
具体的に、カール部エア噴射工程は、第1エア噴射工程と、第2エア噴射工程と、を備える。すなわち、本実施形態のカップ水切り方法は、第1エア噴射工程と、第2エア噴射工程と、を備える。
【0145】
第1エア噴射工程では、第1エア噴射部27により、胴部100の開口端部100aが下側を向く倒立姿勢とされたカップPのカール部105に向けて、エアを噴射する。具体的に、第1エア噴射工程では、カップ保持部26aに保持されるカップPのカップ周方向の全周のうち一部(本実施形態では、ターレット径方向の外側の端部)を除く範囲において、カール部105に向けてエアを噴射する。
【0146】
第2エア噴射工程では、第1エア噴射工程のエアの噴射開始後に、第2エア噴射部32により、カップ保持部26aに保持されるカップPのカップ周方向の前記一部において、カール部105に向けてエアを噴射する。
【0147】
ここで、カップ水切り装置20及びカップ水切り方法の作用効果について説明する。
前述したカップ洗浄装置10でのカップPの洗浄後に、胴部100の外側に突出するカール部105に洗浄液が溜まっていても、本実施形態のカップ水切り装置20及びカップ水切り方法によれば、第1エア噴射部27から噴射されるエア(第1エア噴射工程で噴射されるエア)によって、カール部105に溜まった洗浄液を吹き飛ばすことができる。
以上より本実施形態によれば、洗浄後のカップPを安定して水切りできる。
【0148】
また本実施形態では、第1エア噴射部27が、カップ周方向の全周のうち一部を除く範囲において、カール部105に向けてエアを噴射する。
例えば、第1エア噴射部27がカップ周方向の全周にわたってカール部105にエアを噴射する場合と比べて、本実施形態の上記構成によれば、カール部105のカップ周方向の一部に、エア及び水滴が排出される経路(排出経路)を確保することができる。このため、より安定してカール部105の水切りを行うことができる。
【0149】
また本実施形態では、第2エア噴射部32が、第1エア噴射部27からのエアの噴射開始後に、カップ周方向の前記一部において、カール部105に向けてエアを噴射するように構成されている。
上記構成によれば、第1エア噴射部27からのエア噴射によりカール部105の水切りを開始し、カール部105のカップ周方向の前記一部(排出経路)に水滴が残っても、第2エア噴射部32からのエア噴射によって、この水滴を吹き飛ばすことができる。このため、カール部105の水切りをカップ周方向の全周にわたって安定して行うことができる。
【0150】
また本実施形態では、第1エア噴射部27が、カップPのカップ周方向に沿って並ぶ複数の噴射孔27aを有する。
この場合、第1エア噴射部27からエアを噴射することで、カール部105の水切りがカップ周方向の広い範囲にわたって安定して行われる。
なお特に図示しないが、第1エア噴射部27は、カップPのカップ周方向に沿って延びる噴射スリットを有していてもよい。この場合も、上記同様の作用効果が得られる。
【0151】
また本実施形態では、ターレット26が、カップPの胴部100を保持する凹状のカップ保持部26aを有しており、第1エア噴射部27は、カップ保持部26aに沿って配置される。
この場合、カップPがターレット26のカップ保持部26aに保持されて搬送されるときに、カップ保持部26aに設けられる第1エア噴射部27からカール部105にエアを噴射して、カール部105を水切りすることができる。カップPを搬送しつつ水切りできるため、カップPの生産効率が向上する。
【0152】
また本実施形態では、第1エア噴射部27が複数設けられ、各第1エア噴射部27は、ターレット周方向に並ぶ複数のカップ保持部26aに、それぞれ配置される。
この場合、ターレット26によって複数のカップPを搬送しつつ、これらカップPの水切りを連続的に効率よく行える。
【0153】
また本実施形態において、切替部31は、カップ保持部26aがターレット周方向の所定範囲Bに配置されたときに、第1エア噴射部27からエアを噴射させ、カップ保持部26aがターレット周方向の所定範囲B以外の部分に配置されたときに、第1エア噴射部27からのエアの噴射を停止させる。
この場合、カップPが、カップ保持部26aに保持されている間、すなわちターレット周方向の所定範囲Bに配置されている間は、第1エア噴射部27からエアを噴射してカール部105の水切りを行うことができる。また、カップ保持部26aがカップPを保持していないとき、すなわち、カップ保持部26aがターレット周方向の所定範囲B以外の部分に配置されている間は、第1エア噴射部27からのエアの噴射を停止できる。これにより、エアを無駄なく効率的に使用できる。
【0154】
また、本実施形態のカップ水切り装置20は、カップPの外面にエアを噴射する外面水切りノズル17と、カップPの内面にエアを噴射する内面水切りノズル18と、を備える。
この場合、洗浄後のカップPの外面及び内面に付着する水滴を吹き飛ばして、後工程での乾燥工程等における処理を安定させることができる。また、カップPの表面に水滴の跡などが残ることを抑制でき、カップPの表面性状を良好に維持して、カップPの品質を安定して高めることができる。
【0155】
また本実施形態では、外面水切りノズル17及び内面水切りノズル18が、第1、第2エア噴射部27,32よりもカップPの搬送方向Fの上流側に配置される。
この場合、例えば、外面水切りノズル17からのエア噴射によって、カップPの外面に付着した水滴がカール部105の内部に移動(流入)させられたとしても、外面水切りノズル17よりも搬送方向Fの下流側において、カール部105の水切りが行われるため、カップP全体を安定して水切りすることができる。
【0156】
また本実施形態では、カップPの胴部100のうち搬送スクリュー23の溝部25aに対向する部分と、溝部25aとの間に、エアが通過可能な隙間が設けられている。
この場合、胴部100の外面のうち溝部25aに案内される部分に、外面水切りノズル17から噴射されるエアを通過させることができる。このため、溝部25aで胴部100を案内しつつ、胴部100の外面を安定して水切りできる。
【0157】
また、本実施形態のカップ水切り方法は、第1エア噴射工程では、カップ周方向の全周のうち一部を除く範囲において、カール部105に向けてエアを噴射し、第1エア噴射工程のエアの噴射開始後に、カップ周方向の前記一部において、カール部105に向けてエアを噴射する第2エア噴射工程をさらに備える。
この場合、第1エア噴射工程においては、カール部105のカップ周方向の一部に、エア及び水滴が排出される経路(排出経路)を確保することができる。このため、より安定してカール部105の水切りを行える。
また、第1エア噴射工程によってカール部105の水切りを開始し、カール部105のカップ周方向の前記一部(排出経路)に水滴が残っても、第2エア噴射工程において、この水滴を吹き飛ばすことができる。このため、カール部105の水切りをカップ周方向の全周にわたって安定して行うことができる。
【0158】
本実施形態のカップ水切り装置20及びカップ水切り方法は前述した構成に限定されず、例えば下記に説明するように、構成の変更等が可能である。
【0159】
前述した
図8及び
図9に示すように、搬送スクリュー23の螺旋溝25が、螺旋溝25の内面から径方向内側に窪む凹部25bを有していてもよい。この凹部25bは、カップPの胴部100を案内する溝部25aに配置される。あるいは、螺旋溝25は、その内面のうち胴部100と対向する溝部25aに、立体模様を有していてもよい。立体模様には、例えば、エンボス加工(凸加工)やデボス加工(凹加工)等が含まれる。
上記構成によっても、胴部100の外面のうち溝部25aに案内される部分に、外面水切りノズル17から噴射されるエアを通過させることができる。このため、溝部25aで胴部100を案内しつつ、胴部100の外面を安定して水切りできる。
【0160】
次に、カップ乾燥装置30について説明する。
図15及び
図16に示すように、カップ乾燥装置30は、搬送部2に搬送されるカップPに熱風Hを供給し、カップPを乾燥させる。本実施形態のカップ乾燥装置30の乾燥処理能力は、例えば、100~150cpmである。カップ乾燥装置30において「cpm」とは、装置の1分間あたりの乾燥缶数に相当する。
【0161】
カップ乾燥装置30は、洗浄及び水切り処理後のカップPを乾燥させて、カップPに残留した水分等を除去する装置である。
カップ乾燥装置30は、装置筐体35と、搬送部2と、旋回流供給部36と、図示しない対流部と、図示しない制御部と、を備える。搬送部2は、搬送方向Fに沿って延びる。
【0162】
ここで、カップ乾燥装置30における「方向の定義」について説明する。
図2及び
図15に示すように、本実施形態のカップ乾燥装置30では、カップPの搬送方向Fの下流側が、-X側であり、搬送方向Fの上流側が、+X側である。また、搬送方向Fは、前後方向と言い換えてもよい。この場合、搬送方向Fの下流側(-X側)は前側に相当し、搬送方向Fの上流側(+X側)は後側に相当する。
【0163】
図16に示すように、装置を上側から見た上面視で、搬送方向F(X軸方向)と直交する方向を、幅方向(Y軸方向)と呼ぶ。幅方向は、左右方向と言い換えてもよい。装置を搬送方向Fの上流側(+X側)から見て、幅方向一方側(-Y側)は、左側に相当し、幅方向他方側(+Y側)は、右側に相当する。
【0164】
また、各図に示すZ軸方向は、鉛直方向すなわち上下方向を表している。各図において、+Z側は上側に相当し、-Z側は下側に相当する。
【0165】
図15に示すように、装置筐体35は、搬送方向F(X軸方向)に延びる例えば直方体状の箱体である。なお、装置筐体35は、搬送方向Fに延びる円筒状や多角形筒状などの筒体であってもよい。
装置筐体35は、予熱エリア35Aと、旋回流エリア35Bと、図示しない加熱手段と、上流側開口部37と、下流側開口部38と、を有する。
【0166】
予熱エリア35Aは、装置筐体35のうち搬送方向Fの上流側部分に位置する。
旋回流エリア35Bは、装置筐体35のうち搬送方向Fの下流側部分に位置する。旋回流エリア35Bは、予熱エリア35Aの搬送方向Fの下流側(-X側)に、予熱エリア35Aと隣り合って配置される。
すなわち、カップ乾燥装置30は、予熱エリア35Aと、予熱エリア35Aよりも搬送方向Fの下流側に配置される旋回流エリア35Bと、を有する。
【0167】
予熱エリア35Aは、カップPを旋回流エリア35Bよりも前に予備加熱(予備乾燥)する領域であり、旋回流エリア35Bは、カップPを本加熱(本乾燥)する領域である。具体的に、本実施形態では、予熱エリア35Aにおける温度(設定温度)及び風速に比べて、旋回流エリア35Bにおける温度(設定温度)及び風速が大きくされている。ただしこれに限らず、旋回流エリア35Bの温度については、予熱エリア35Aの温度と同じかそれ以下であってもよい。
【0168】
加熱手段は、例えばヒータやバーナ等であり、本実施形態ではヒータである。加熱手段は、例えば、装置筐体35の内部に配置される。加熱手段は、複数設けられる。複数の加熱手段のうち少なくとも1つは、予熱エリア35Aに配置される。複数の加熱手段のうち前記1つとは別の少なくとも1つは、旋回流エリア35Bに配置される。各加熱手段によって、予熱エリア35Aと旋回流エリア35Bがそれぞれ加熱される。ただしこれに限らず、1つの加熱手段によって、予熱エリア35A及び旋回流エリア35Bが両方とも加熱されるように構成されていてもよい。
【0169】
予熱エリア35Aには、図示しない温度センサが配置されている。予熱エリア35Aの温度は、この温度センサ、加熱手段及び制御部等により制御される。予熱エリア35Aの温度(設定温度)は、例えば、150~230℃の間で適宜変更可能である。また、予熱エリア35Aの風速範囲は、例えば、0~5m/sである。
なお、予熱エリア35Aにおいて、加熱手段として赤外線を放射する方式のヒータを用いることにより、例えば無風の場合であっても、カップPを予熱(予備加熱)する効果が安定して得られやすい。
【0170】
旋回流エリア35Bには、図示しない温度センサが配置されている。旋回流エリア35Bの温度は、この温度センサ、加熱手段及び制御部等により制御される。旋回流エリア35Bの温度(設定温度)は、例えば、180~250℃の間で適宜変更可能である。また、旋回流エリア35Bの風速範囲は、例えば、5~20m/sである。
【0171】
上流側開口部37は、装置筐体35の搬送方向Fの上流側(+X側)の端部に配置される。上流側開口部37は、装置筐体35の後端部に位置する後壁35aを前後方向(搬送方向F)に貫通して設けられる。上流側開口部37は、カップPを搬送方向Fに通過可能な開口形状とされており、具体的には、例えば四角形孔状等に形成されている。
【0172】
下流側開口部38は、装置筐体35の搬送方向Fの下流側(-X側)の端部に配置される。下流側開口部38は、装置筐体35の前端部に位置する前壁35bを前後方向(搬送方向F)に貫通して設けられる。下流側開口部38は、カップPを搬送方向Fに通過可能な開口形状とされており、具体的には、例えば四角形孔状等に形成されている。
【0173】
搬送部2は、装置筐体35を搬送方向Fに貫通して設けられる。搬送部2は、胴部100の開口端部100aが下側を向く倒立姿勢でカップPを搬送方向Fに搬送する。搬送部2は、装置筐体35の外部から上流側開口部37を通して装置筐体35の内部にカップPを移送し、予熱エリア35A及び旋回流エリア35Bの順にカップPを通過させ、装置筐体35の内部から下流側開口部38を通して装置筐体35の外部にカップPを移送する。
搬送部2によって搬送されるカップPが、装置筐体35の内部を通過する時間(すなわちカップPの乾燥時間)は、例えば、10秒以上30秒以下である。
【0174】
搬送部2は、下コンベア2aと、上コンベア2bと、を有する。
下コンベア2aは、搬送方向Fに沿って延び、胴部100の開口端部100aを下側(-Z側)から支持する。下コンベア2aは、予熱エリア35A及び旋回流エリア35Bにわたって配置される。下コンベア2aは、装置筐体35を搬送方向Fに貫通して設けられている。具体的に、下コンベア2aは、装置筐体35よりも搬送方向Fの上流側(+X側)に突出する部分と、装置筐体35の内部に配置される部分と、装置筐体35よりも搬送方向Fの下流側(-X側)に突出する部分と、を有する。
下コンベア2aは、例えば、耐熱性を有する布製等である。下コンベア2aは、通気性を有する材料により形成される。
【0175】
上コンベア2bは、搬送方向Fに沿って延び、カップPの底部110を上側(+Z側)から押さえる。すなわち、カップPは、下コンベア2aと上コンベア2bとの間で上下方向(Z軸方向)から挟まれるように保持された状態で搬送される。上コンベア2bがカップPを搬送方向Fに搬送するスピード(搬送速度)は、下コンベア2aがカップPを搬送方向Fに搬送するスピードと同じである。
【0176】
上コンベア2bは、少なくとも旋回流エリア35Bに配置される。本実施形態では上コンベア2bが、旋回流エリア35Bに配置される部分と、装置筐体35よりも搬送方向Fの下流側(-X側)に突出する部分と、を有する。
上コンベア2bは、例えば、耐熱性を有する布製等である。上コンベア2bは、通気性を有する材料により形成される。
【0177】
図15及び
図16に示すように、旋回流供給部36は、旋回流エリア35Bに配置される。このため、上述の上コンベア2bは、搬送方向Fにおいて、少なくとも旋回流供給部36が設けられる範囲(つまり旋回流エリア35B)に配置される。なお
図15においては、旋回流供給部36の図示を省略している。
【0178】
図16に示すように、旋回流供給部36は、搬送部2に搬送されるカップPに、カップ軸A回りに旋回する熱風Hを供給する。なお、上記「熱風H」とは、例えば、180℃以上250℃以下のエアの流れ(風)を指す。また、熱風Hは、加熱旋回流Hなどと言い換えてもよい。
【0179】
旋回流供給部36は、例えばノズルや整流板等であり、本実施形態ではノズルである。旋回流供給部36には、図示しないファン等により、加熱された空気が供給される。旋回流供給部36は、装置筐体35の内部の加熱された空気(加熱空気)、または装置筐体35の外部から供給される加熱された空気を、搬送部2によって搬送されるカップPに向けて噴射する。
【0180】
旋回流供給部36は、装置筐体35の内部に複数設けられる。複数の旋回流供給部36は、搬送部2の幅方向一方側(左側、-Y側)に配置されて搬送方向F(前後方向)に並ぶ複数の一方側ノズル(左側ノズル)36Aと、搬送部2の幅方向他方側(右側、+Y側)に配置されて搬送方向F(前後方向)に並ぶ複数の他方側ノズル(右側ノズル)36Bと、を含む。
【0181】
本実施形態では一方側ノズル36Aが、搬送方向Fに互いに間隔をあけて一対設けられる。
一対の一方側ノズル36Aのうち、搬送方向Fの下流側(-X側)に位置する前側の一方側ノズル36Aは、幅方向他方側(右側、+Y側)へ向かうに従い搬送方向Fの上流側(後側、+X側)へ向けて熱風Hを噴射する。
一対の一方側ノズル36Aのうち、搬送方向Fの上流側(+X側)に位置する後側の一方側ノズル36Aは、幅方向他方側(右側、+Y側)へ向かうに従い搬送方向Fの下流側(前側、-X側)へ向けて熱風Hを噴射する。
【0182】
また、本実施形態では他方側ノズル36Bが、搬送方向Fに互いに間隔をあけて一対設けられる。
一対の他方側ノズル36Bのうち、搬送方向Fの下流側(-X側)に位置する前側の他方側ノズル36Bは、幅方向一方側(左側、-Y側)へ向かうに従い搬送方向Fの上流側(後側、+X側)へ向けて熱風Hを噴射する。
一対の他方側ノズル36Bのうち、搬送方向Fの上流側(+X側)に位置する後側の他方側ノズル36Bは、幅方向一方側(左側、-Y側)へ向かうに従い搬送方向Fの下流側(前側、-X側)へ向けて熱風Hを噴射する。
【0183】
特に図示しないが、対流部は、例えばファン等である。対流部は、装置筐体35の内部の加熱された空気を対流させ、循環させる。対流部は、装置筐体35の内部に1つのみ設けられてもよいし、あるいは、予熱エリア35A及び旋回流エリア35Bにそれぞれ(つまり複数)設けられていてもよい。
【0184】
特に図示しないが、制御部は、予熱エリア35Aの温度(加熱温度)、旋回流エリア35Bの温度(加熱温度)、旋回流供給部36の風量(風力)、対流部の風量(風力)、及び搬送部2の搬送速度(コンベア速度)等を制御する。また制御部によって、予熱エリア35Aの温度、旋回流エリア35Bの温度、旋回流供給部36の風量、対流部の風量、及び搬送部2の搬送速度等が調整可能である。
【0185】
ここで、カップ乾燥装置30の作用効果について説明する。
前述したカップ乾燥装置30によれば、搬送部2が、胴部100の開口端部100aが下側を向く倒立姿勢でカップPを搬送するため、カップPの搬送姿勢が安定し、乾燥中にカップPが倒れることを抑制できる。また、旋回流供給部36が、カップPの周囲を旋回する熱風H(旋回流)をカップPに供給するため、この旋回流がカップPの外周面及びカール部105に沿うようにカップ周方向に流れる。これにより、カール部105内に残った液滴や水分等の乾燥が促進され、カップPの外周面は勿論のこと、カール部105内まで十分に乾燥させることができる。
以上より本実施形態によれば、洗浄後のカップPを安定して搬送しつつ、安定して乾燥することができる。
【0186】
また本実施形態では、搬送部2が、胴部100の開口端部100aを下側から支持する下コンベア2aと、底部110を上側から押さえる上コンベア2bと、を有しており、上コンベア2bは、搬送方向Fにおいて、少なくとも旋回流供給部36が設けられる範囲に配置される。
この場合、カップ乾燥装置30のうち、搬送方向Fにおいて旋回流供給部36が設けられる範囲(旋回流エリア35B)で、旋回流によってカップPを動かそうとする力が作用しても、カップPが下コンベア2aと上コンベア2bとの間で上下方向から挟持されているため、カップPの搬送姿勢が不安定になるようなことが抑制される。このため、本実施形態による作用効果が安定して奏功される。また、より強い風量の旋回流をカップPに供給することが可能となり、より効果的に乾燥を促すことができる。
【0187】
また本実施形態では、搬送部2のうち少なくとも下コンベア2aが、通気性を有する材料により形成される。
この場合、下コンベア2aの網目などを通して、カップPの内部に熱風Hや加熱された空気を供給することができるため、カップPの内面の乾燥についても促進することができる。なお、胴部100がテーパ状とされたカップPでは、カップPの内面に付着した液滴等が流れやすいため、カップ乾燥装置30の前工程において、カップP内面の水切りは十分になされており、例えば下コンベア2aを通して供給される熱風H等の風量が微弱であっても、カップPの内面を十分に乾燥させることが可能である。
【0188】
また本実施形態では、搬送部2が、カップPを単列(一列)で搬送方向Fに搬送する。
この場合、装置筐体35の上流側開口部37の開口面積及び下流側開口部38の開口面積を、それぞれ小さく抑えることができる。このため、装置筐体35の内部空間の加熱効率が安定して高められる。また、上流側開口部37及び下流側開口部38から装置筐体35の外部に漏れ出る熱気を少なく抑えて、装置周囲の作業環境を快適に維持することができる。
【0189】
本実施形態のカップ乾燥装置30は前述した構成に限定されず、例えば下記に説明するように、構成の変更等が可能である。
【0190】
前述の説明では、一方側ノズル36Aが搬送方向Fに並んで一対設けられ、他方側ノズル36Bが搬送方向Fに並んで一対設けられる例を挙げたが、これに限らない。一方側ノズル36Aは、搬送方向Fに並んで3つ以上設けられていてもよい。また、他方側ノズル36Bは、搬送方向Fに並んで3つ以上設けられていてもよい。
【0191】
また、複数のノズル(旋回流供給部)36が、下コンベア2aと上コンベア2bとの間で1つの旋回流を形成するように設けられていてもよいし、あるいは、複数のノズル36が、下コンベア2aと上コンベア2bとの間で搬送方向Fに並ぶ複数の旋回流を形成するように設けられていてもよい。
【0192】
また、旋回流供給部36からカップPに供給される熱風Hは、カップ周方向に旋回しつつ、下側へ向けて流れることがより好ましい。すなわち、旋回流供給部36は、水平方向へ向かうに従い鉛直方向の下側へ向けて、カップPの外周面に熱風Hを供給することがより好ましい。この場合、カール部105内により熱風Hが入り込みやすくなり、カール部105の乾燥がさらに促進される。
【0193】
次に、カップスタック装置40について説明する。
図17に示すように、カップスタック装置40は、複数のカップPを移送しつつ積み重ねてスタックする。本実施形態のカップスタック装置40のスタック処理能力は、例えば、100~150cpmである。カップスタック装置40において「cpm」とは、装置の1分間あたりのスタック缶数に相当する。
【0194】
ここで、カップスタック装置40における「方向の定義」について説明する。
図2及び
図17~
図22において、カップスタック装置40の説明では、X軸方向を前後方向と呼ぶ。前後方向のうち、前側は-X側に相当し、後側は+X側に相当する。
Y軸方向を、左右方向と呼ぶ。左右方向のうち、左側は-Y側に相当し、右側は+Y側に相当する。
Z軸方向を、上下方向と呼ぶ。上下方向のうち、上側は+Z側に相当し、下側は-Z側に相当する。
【0195】
図2に示すように、本実施形態では、カップスタック装置40でカップPが搬送されていく過程において、搬送方向Fが変化する。具体的な搬送方向Fについては、カップスタック装置40の各構成の説明とともに、後述する。
【0196】
図2及び
図17~
図22に示すように、カップスタック装置40は、コンベア部2cと、ガイド部2dと、上スタック部41と、下スタック部42と、計測部43と、ストッパー44と、制御部45と、保持部46と、移送部47と、を備える。
【0197】
図17に示すように、コンベア部2cは、カップスタック装置40に配置される搬送部2の一部を構成する。コンベア部2cは、前側(-X側)へ向かうに従い上側(+Z側)に向けて延びており、すなわち、水平方向及び鉛直方向と傾斜する方向に延びる。
【0198】
コンベア部2cの前側には、上スタック部41が配置される。コンベア部2cは、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って上スタック部41に近づくに従い、上側へ向けて傾斜して延びる。コンベア部2cの前端部は、上スタック部41の上端部と隣接して配置される。
【0199】
コンベア部2cの後端部は、カップ乾燥装置30における搬送部2の前端部と隣接して配置される。カップ乾燥装置30の搬送部2により前側に搬送されるカップPは、この搬送部2の前端部から落下することでコンベア部2c上に載置され、コンベア部2cが延びる傾斜方向に沿って搬送される。コンベア部2cは、複数のカップPを順次搬送する。
【0200】
コンベア部2cによって搬送されるカップPの搬送方向Fは、前側(-X側)へ向かうに従い上側(+Z側)に向けて延びる傾斜方向である。カップPは、底部110を搬送方向Fの下流側(前方斜め上側)へ向け、胴部100の開口端部100aを搬送方向Fの上流側(後方斜め下側)へ向けた姿勢で、コンベア部2cに搬送される。
【0201】
図17~
図19に示すように、本実施形態のコンベア部2cは、例えば樹脂製やゴム製等であり、無端環状をなしている。コンベア部2cは、少なくとも一対のスプロケット2eに巻き回されている。一対のスプロケット2eは、コンベア部2cが延びる傾斜方向において、互いに離れて配置される。
【0202】
図19に示すように、コンベア部2cは、複数設けられている。複数のコンベア部2cは、左右方向(Y軸方向)に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態ではコンベア部2cが、搬送されるカップPのカップ軸Aの左側(-Y側)と右側(+Y側)とに、一対配置される。一対のコンベア部2c間の左右方向の距離は、カップPの底部110の外径寸法よりも小さい。カップPは、一対のコンベア部2cによって保持された状態で、搬送方向Fに搬送される。
【0203】
ガイド部2dは、左右方向においてコンベア部2cを間に挟むように、一対設けられる。一対のガイド部2dは、コンベア部2cの左側と右側とに配置される。ガイド部2dは、左右方向と略垂直な方向に拡がる板状であり、コンベア部2cに沿って傾斜方向に延びる。一対のガイド部2d間の左右方向の距離は、カップPの開口端部100a(具体的には、カール部105)の外径寸法よりも大きい。
【0204】
カップ乾燥装置30の搬送部2によって搬送されるカップPは、この搬送部2の下流側の端部(前端部)からコンベア部2c上に倒れ込んだ(落下した)ときに、一対のガイド部2dによって左右方向からガイドされる。これにより、カップPは、一対のコンベア部2c上に載置され、一対のコンベア部2cによって安定して保持されるとともに、底部110を搬送方向Fの下流側へ向け、胴部100の開口端部100aを搬送方向Fの上流側へ向けた搬送姿勢とされる。
【0205】
図18及び
図19に示すように、本実施形態の上スタック部41は、上下方向に延びる円筒状の枠体である。ただしこれに限らず、特に図示しないが上スタック部41は、例えば、上下方向に延びる円筒状の筒体等であってもよい。
【0206】
上スタック部41の上部開口は、上側に開口されている。上スタック部41の上部開口は、上側へ向かうに従い内径寸法が大きくなる。すなわち、上スタック部41の上部開口は、上側へ向かうに従い拡径されている。上スタック部41の下部開口は、ストッパー44により開閉可能に塞がれている。
【0207】
上スタック部41は、コンベア部2cの端部(前端部)から、底部110を下側へ向けた姿勢で落下するカップPを、上下方向に積み重ねた状態で保持する。カップPは、開口端部100aが上側を向く正立姿勢とされて、上スタック部41の上端部から上スタック部41の内部に自然落下により挿入(投入)される。すなわち、コンベア部2cによって搬送される複数のカップPは、上スタック部41の上部開口を通して上スタック部41内に順次落下することにより、上スタック部41の内部において積み重ねられる(スタックされる)。
【0208】
図20に示すように、下スタック部42は、上下方向に延びる円筒状の枠体である。ただしこれに限らず、特に図示しないが下スタック部42は、例えば、上下方向に延びる円筒状の筒体等であってもよい。
【0209】
下スタック部42の上部開口は、上側に開口されている。下スタック部42の上部開口は、上側へ向かうに従い内径寸法が大きくなる。すなわち、下スタック部42の上部開口は、上側へ向かうに従い拡径されている。下スタック部42の下端部は、塞がれている。
【0210】
また、下スタック部42は、前後方向(X軸方向)に分割された半円筒状の一対の半割り体(分割体)によって構成されている。
詳しくは、
図20に示すように下スタック部42は、後述する受け入れ位置S1に位置している場合には、上下方向に延びる円筒状とされており、後述する受け渡し位置S2に位置している場合には、前後方向に延びる半円筒状とされる。すなわち、受け渡し位置S2において下スタック部42の周壁は、下スタック部42の中心軸(
図21の後述する第2回動軸R2に相当)回りの略半周にわたって、前記中心軸と直交する径方向に開口される。
【0211】
下記の説明では、主に下スタック部42が受け入れ位置S1に配置されている状態について述べる。下スタック部42は、上スタック部41の下側に配置される。上下方向から見て、上スタック部41と下スタック部42とは、互いに重なって配置される。具体的に、上スタック部41の中心軸と、下スタック部42の中心軸とは、互いに略同軸に配置されている。
【0212】
下スタック部42は、上スタック部41に保持された一定数のカップPを、積み重ねた状態のユニットUごと受け入れ可能である。すなわち、上スタック部41内でスタックされたカップPは、後述するストッパー44による規制が解除されることで、下スタック部42内へ向けてユニットUごと搬送方向F(下側)に搬送される。
【0213】
なお、本実施形態において前記「一定数」(つまり所定の数量)とは、例えば、50個等である。またユニットUは、正立姿勢とされた複数のカップPが互いのカップ軸Aを一致させるように略同軸に積み重ねられることにより、構成されている。本実施形態では、このように積み重ねられた複数のカップPの一体的なユニットUを、カップユニットUなどと呼ぶ場合がある。
【0214】
下スタック部42は、エアシリンダや電動アクチュエータ等の回動手段48に連結されている。回動手段48は、本体部48aと、本体部48aに対して前後方向(X軸方向)に伸縮可能な伸縮部48bと、を有する。回動手段48は、伸縮部48bを前後方向に伸縮させることにより、左右方向(Y軸方向)に延びる第1回動軸R1を中心として、第1回動軸R1回りの所定角度(本実施形態では略90°)の範囲内で、下スタック部42を回動させる。
【0215】
下スタック部42は、第1回動軸R1回りの所定角度の範囲内で回動させられることにより、
図20に示す受け入れ位置S1と受け渡し位置S2との間で移動する。詳しくは、下スタック部42は、上下方向に延びて配置され、上スタック部41からユニットUを受け入れ可能な受け入れ位置S1と、水平方向(本実施形態では前後方向)に延びて配置され、ユニットUを移送部47に受け渡す受け渡し位置S2と、の間で回動可能である。
【0216】
下スタック部42が、受け入れ位置S1から受け渡し位置S2へと回動することで、下スタック部42に保持されるカップユニットUは、第1回動軸R1回りの搬送方向Fに搬送される。
このように、上スタック部41及び下スタック部42は、カップスタック装置40に配置される搬送部2の一部を構成する。
【0217】
図18に示すように、計測部43は、コンベア部2cから上スタック部41に搬送されるカップPの数を計測する。計測部43は、例えばセンサ等であり、本実施形態ではコンベア部2cと左右方向に隣り合って配置される。すなわち、本実施形態においては計測部43が、コンベア部2c上を搬送されるカップPの数を計測する。ただしこれに限らず、特に図示しないが、計測部43は、例えば、コンベア部2cの前端部(上端部)から上スタック部41内に落下する途中のカップPの数を計測してもよいし、あるいは、上スタック部41内のカップPの数を計測してもよい。
【0218】
ストッパー44は、上スタック部41から下スタック部42へのカップPの移動を規制する。ストッパー44は、上スタック部41の下部開口と下スタック部42の上部開口との間の連通を遮断可能に構成されている。ストッパー44は、例えば、エアシリンダや電動アクチュエータ等である。
【0219】
ストッパー44は、ストッパー本体44aと、ストッパー本体44aに対して前後方向(X軸方向)に移動可能な規制部44bと、を有する。規制部44bは、上下方向と垂直な方向に拡がる板体を有する。規制部44bが、前後方向の移動範囲のうち前進端位置に配置されたときに、板体の上面には、上スタック部41に保持されるカップユニットUの最下端に位置するカップPの底部110が接触する。
【0220】
詳しくは、ストッパー44は、規制部44bを前後方向に移動させることで、上スタック部41の下部開口を閉状態または開状態とする。
規制部44bが前進端位置に配置され、上スタック部41の下部開口が閉状態とされることにより、上スタック部41内に保持されるカップユニットUの下スタック部42への移動が規制される。
また、規制部44bが後退端位置に配置され、上スタック部41の下部開口が開状態とされることにより、上スタック部41内に保持されるカップユニットUは、下スタック部42への移動が許容される。
【0221】
制御部45は、少なくとも計測部43及びストッパー44と電気的に接続される。制御部45は、計測部43が一定数のカップPを計測したときに、ストッパー44による規制を解除して、上スタック部41から下スタック部42にユニットUを移動させる。具体的に、本実施形態では制御部45が、計測部43が例えば50個(一定数)のカップPを計測したときに、ストッパー44の規制部44bを前進端位置から後退端位置へと後退移動させて、上スタック部41内のカップユニットUを下スタック部42内に落下により移動させる。
【0222】
図18及び
図19に示すように、保持部46は、上スタック部41に配置され、カップPを保持可能である。具体的に、保持部46は、上スタック部41の上端部に設けられており、コンベア部2cから上スタック部41に投入されるカップPを一時的に保持可能に構成されている。
【0223】
より詳しくは、保持部46は、左右方向(Y軸方向)と垂直な方向に拡がる略板状をなしており、上スタック部41の左側(-Y側)と右側(+Y側)とに、一対設けられる。一対の保持部46は、左右方向に互いに間隔をあけて対向配置されており、互いに接近離間可能に構成されている。
【0224】
一対の保持部46が互いに接近移動することで、一対の保持部46間に、1つまたは複数のカップPを保持することが可能である。具体的に、一対の保持部46が接近移動した状態で、一対の保持部46間の左右方向の距離は、カップPのカール部105の外径寸法よりも小さくされている。このため、上スタック部41の上部開口から上スタック部41内に供給されたカップPは、カール部105が一対の保持部46に引っ掛かることで、一対の保持部46間に保持される。
【0225】
また、互いに接近移動した状態の一対の保持部46が、互いに離間移動することで、一対の保持部46間に保持された1つまたは複数のカップPは解放され、上スタック部41内で正立姿勢のまま自然落下する。具体的に、一対の保持部46が離間移動した状態で、一対の保持部46間の左右方向の距離は、カップPのカール部105の外径寸法よりも大きくされる。
【0226】
図18において、制御部45は、ストッパー44による規制を解除している間、保持部46でカップPを一時的に保持する。具体的に、制御部45は、ストッパー44の規制部44bが前進端位置から後退移動し、上スタック部41の下部開口が開状態とされている間は、一対の保持部46を接近移動させた状態とし、これらの保持部46間にカップPを一時的に保持する。
【0227】
また、制御部45は、ストッパー44の規制部44bが後退端位置から前進移動し、上スタック部41の下部開口が閉状態とされている間は、一対の保持部46を離間移動させた状態とし、これらの保持部46間にカップPを通過させる。
【0228】
図2に示すように、移送部47は、上側から見て、受け渡し位置S2に配置された下スタック部42と左右方向(Y軸方向)に並んで配置されるリフト部47aと、上側から見てリフト部47aと左右方向に並んで配置される移送台47bと、を有する。
【0229】
本実施形態ではリフト部47aが、装置を上側から見た上面視で、受け渡し位置S2とされた下スタック部42の右側(+Y側)に隣接して配置されている。また、移送台47bが、前記上面視でリフト部47aの右側に隣接して配置されている。
移送部47、すなわちリフト部47a及び移送台47bは、カップスタック装置40に配置される搬送部2の一部を構成する。
【0230】
リフト部47aは、前後方向に延びる板状の台である。リフト部47aは、その上面にカップユニットUを保持可能である。
図21に示すように、リフト部47aは、上下方向(Z軸方向)の所定範囲において、移動可能に構成されている。
【0231】
リフト部47aが最下端位置に配置されたときに、リフト部47aは、受け渡し位置S2の下スタック部42の右側下方に位置する。この配置関係において、下スタック部42が、例えば、図示しないモータ等の回動手段により第2回動軸R2回りに回動させられることで、下スタック部42に保持されたカップユニットUは、下スタック部42の周壁の開口部分を通して、リフト部47a上に移動させられる。
【0232】
リフト部47a上にカップユニットUが載置された状態で、リフト部47aが上側(+Z側)に移動することにより、カップユニットUは上側に移送される。すなわち、リフト部47aは、下スタック部42から供給されたユニットUを、上側に移動させる。このため、リフト部47aによって搬送されるカップユニットUの搬送方向Fは、上側とされる。
【0233】
図21に示すように、リフト部47aが最上端位置に配置されたときに、リフト部47aに載置されたカップユニットUは、移送台47bの上面(頂面)よりも上側に位置する。また、リフト部47aが上側へ移動し最上端位置に配置される過程において、リフト部47aの被係止片47cは、移送台47bの係止片47dに下側から接触する。これにより、リフト部47aに設けられたねじりコイルばね等の付勢部材47eの付勢力に抗して、リフト部47aは、前後方向(X軸方向)に延びる第3回動軸R3回りに回動させられる。
【0234】
リフト部47aが第3回動軸R3回りに回動させられることで、リフト部47aに保持されたカップユニットUは、リフト部47aの上面の傾斜に沿って右側(+Y側)に転動し、移送台47bの上面に移動させられる。このようにして、移送台47bには、上側に移動したリフト部47aからユニットUが供給される。
【0235】
移送台47bの上面は、右側(+Y側)へ向かうに従い下側(-Z側)に向けて傾斜している。このため、
図21及び
図22に示すように、カップユニットUは、移送台47bの上面において右側斜め下方へ向けた搬送方向Fへと、転動により搬送される。
このようにして移送部47は、ユニットUを下スタック部42から受け取り、装置の後工程に移送する。カップスタック装置40の後工程としては、例えば、カップユニットUの袋詰めを行う梱包工程などが挙げられる。梱包工程は、例えば、図示しない梱包装置を用いて行ってもよいし、あるいは作業者が手作業で行ってもよい。
【0236】
ここで、カップスタック装置40の作用効果について説明する。
前述したカップスタック装置40では、コンベア部2cの端部(前端部)から上スタック部41に落下するカップPが、自重により上下方向に積み重ねられる(スタックされる)。一定数のカップPをスタックするにあたり、従来使用されていた例えば特開平8-104434号公報に記載の吸着ドラムやプッシャプレート等の部材は不要であり、装置の構造を簡素化しつつ、カップPを安定してスタックできる。
【0237】
また、上スタック部41に一定数のカップPをスタックした後は、積み重ねた状態のカップP(積層カップP)をユニットUごと下スタック部42に移動させ、さらにユニットUごと、移送部47によって後工程に移送することができる。このため、スタックしたカップPを安定して移送できる。
以上より、本実施形態によれば、装置の構造を複雑にすることなく、カップPを安定してスタックできる。また、スタックしたカップユニットUを安定して移送できる。
【0238】
また本実施形態では、
図18に示すようにコンベア部2cが、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って上スタック部41に近づくに従い、上側へ向けて傾斜して延びており、カップPは、底部110を搬送方向Fの下流側(斜め上側、本実施形態では前方斜め上側)へ向け、胴部100の開口端部100aを搬送方向Fの上流側(斜め下側、本実施形態では後方斜め下側)へ向けた姿勢で、コンベア部2cに搬送される。
上記構成では、底部110よりも直径の大きい開口端部100aが斜め下側を向くため、コンベア部2cによって搬送されるカップPの搬送姿勢がより安定する。このため、上スタック部41内に落下するカップPが、精度よく安定してスタックされる。
【0239】
また、上スタック部41内を自然落下するカップPが正立姿勢とされる。すなわち、カップPが小径の底部110から上スタック部41内に挿入されるため、カップPの開口端部100aなどが上スタック部41の内周壁に引っ掛かりにくくなり、スムーズにスタックされる。
【0240】
また、本実施形態のカップスタック装置40は、コンベア部2cから上スタック部41に搬送されるカップPの数を計測する計測部43と、上スタック部41から下スタック部42へのカップPの移動を規制するストッパー44と、計測部43が一定数のカップPを計測したときに、ストッパー44による規制を解除して、上スタック部41から下スタック部42にユニットUを移動させる制御部45と、を備える。
この場合、上スタック部41に一定数のカップPがスタックされたときに、この積層されたカップユニットUを自動的に下スタック部42に移動させることができる。このため、カップPのスタックを効率よく行うことができる。
【0241】
また本実施形態では、制御部45が、ストッパー44による規制を解除している間、保持部46でカップPを一時的に保持する。
この場合、上スタック部41にスタックされた積層カップPのユニットUを、ストッパー44による規制を解除して下スタック部42に移動させるときに、コンベア部2cから上スタック部41に新たにカップPが供給されても、このカップPが保持部46によって一時的に保持される。このため、ユニットUの下方移動時に、上スタック部41に新たに供給されるカップPが、意図せず下スタック部42にまで進入(落下)するような不具合が抑制される。
【0242】
また本実施形態では、
図20に示すように、下スタック部42が、上下方向に延びて配置され、上スタック部41からユニットUを受け入れ可能な受け入れ位置S1と、水平方向(本実施形態では前後方向)に延びて配置され、ユニットUを移送部47に受け渡す受け渡し位置S2と、の間で回動可能である。
この場合、下スタック部42が上下方向に延びる受け入れ位置S1とされることで、下スタック部42は、上スタック部41から積層カップPのユニットUを安定して受け入れることができる。また、下スタック部42が水平方向に延びる受け渡し位置S2とされることで、下スタック部42が保持するユニットUを、移送部47に安定して受け渡すことができる。
【0243】
また本実施形態では、
図21及び
図22に示すように、移送部47が、下スタック部42から供給されたユニットUを、上側に移動させるリフト部47aと、上側に移動したリフト部47aからユニットUが供給される移送台47bと、を有する。
この場合、下スタック部42から移送部47へと、低い位置で積層カップPのユニットUが受け渡されても、リフト部47aによってユニットUを上側に移動して、高い位置に設けた移送台47b上でユニットUを移送することができる。このため、ユニットUを移送する際の作業性がよい。また、装置全体の高さ寸法を小さく抑えることが可能になり、装置を設置する際のレイアウトの自由度がより高められる。
【0244】
本実施形態のカップスタック装置40は前述した構成に限定されず、例えば下記に説明するように、構成の変更等が可能である。
【0245】
前述の説明では、保持部46が一対設けられており、これらの保持部46が左右方向(Y軸方向)に互いに間隔をあけて対向配置される例を挙げたが、これに限らない。すなわち、一対の保持部46は、例えば前後方向(X軸方向)などにおいて、互いに間隔をあけて対向配置されていてもよい。あるいは、保持部46が、上スタック部41の中心軸回りに3つ以上並んで設けられていてもよい。
【0246】
前述の説明では、受け渡し位置S2の下スタック部42が、図示しないモータ等の回動手段により第2回動軸R2回りに回動させられることで、下スタック部42に保持されたカップユニットUがリフト部47a上に移動させられる構成を一例として挙げたが、これに限らない。
特に図示しないが、例えば、下スタック部42に被係止片と、ねじりコイルばね等の付勢部材と、を設け、移送台47bの一部等に係止片を設けて、下スタック部42が受け入れ位置S1から受け渡し位置S2に回動する過程で、前記被係止片が前記係止片に上側から接触し、これにより前記付勢部材の付勢力に抗して、下スタック部42が第2回動軸R2回りに回動するように構成してもよい。
【0247】
また、最上端位置に配置されたリフト部47aを、図示しないモータ等の回動手段によって第3回動軸R3回りに回動させて、リフト部47a上から移送台47b上へとカップユニットUを移動させるように構成してもよい。
【0248】
次に、カップ洗浄乾燥方法について説明する。
本実施形態のカップ洗浄乾燥方法は、前述した
図2のカップ洗浄乾燥システム1を用いて、有底テーパ状のカップPを、洗浄、水切り及び乾燥する。また、本実施形態のカップ洗浄乾燥方法では、乾燥後のカップPを、さらにスタックする。
【0249】
カップ洗浄乾燥方法は、カップ洗浄工程と、カップ水切り工程と、カップ乾燥工程と、カップスタック工程と、を備える。
【0250】
カップ洗浄工程では、前述したカップ洗浄装置10を用いて、カップPを洗浄する。具体的に、カップ洗浄工程では、
図6に示すように、カップPを、胴部100の開口端部100aが下側を向く倒立姿勢で搬送しつつ、カップPに洗浄液を噴射し、カップPを洗浄する。また本実施形態では、カップ洗浄工程において、カップPをカップ軸A回りに回転させつつ搬送し、洗浄を行う。
【0251】
カップ水切り工程では、前述したカップ水切り装置20を用いて、カップPを水切りする。具体的に、カップ水切り工程では、
図14に示すように、カップPを倒立姿勢で搬送しつつ、カップPの少なくともカール部105にエアを噴射し、カップPを水切りする。また本実施形態では、カップ水切り工程において、
図11及び
図12に示すように、カップPを倒立姿勢で搬送しつつ、カップPの外面及び内面にもエアを噴射し、カップPを水切りする。
【0252】
カップ乾燥工程では、前述したカップ乾燥装置30を用いて、カップPを乾燥する。具体的に、カップ乾燥工程では、
図15に示すように、カップPを倒立姿勢で搬送しつつ、カップPに熱風Hを供給し、カップPを乾燥する。また本実施形態では、カップ乾燥工程において、
図16に示すように、カップPに、カップ軸A回りに旋回する熱風(加熱旋回流)Hを供給し、カップPを乾燥させる。
【0253】
また、カップ洗浄工程、カップ水切り工程及びカップ乾燥工程では、それぞれ、搬送部2によって複数のカップPを搬送方向Fに単列(一列)で搬送する。
【0254】
また、カップスタック工程では、前述したカップスタック装置40を用いて、カップPをスタックする。具体的に、カップスタック工程では、
図17に示すように、カップ乾燥工程よりも後において、カップPを倒立姿勢から正立姿勢に反転させ、複数積み重ねてスタックする。また本実施形態では、カップスタック工程において、複数のカップPを積層したユニットUごと、搬送方向Fの下流側へと移送する。
【0255】
具体的に、ユニットUの搬送方向Fは、ユニットUが保持される各構成部材に応じて、それぞれの搬送過程において変化する。
より詳しくは、
図18に示すように、ユニットUが、上スタック部41から下スタック部42に搬送されるときの搬送方向Fは、下側である。また
図20に示すように、ユニットUが、下スタック部42に保持されているときの搬送方向F(受け入れ位置S1から受け渡し位置S2への搬送方向F)は、第1回動軸R1を中心とする回転方向である。また
図21に示すように、ユニットUが、リフト部47aに保持されているときの搬送方向Fは、上側である。またユニットUが、移送台47bの上面を転がるときの搬送方向Fは、水平方向(本実施形態では右側、+Y側)へ向かうに従い下側に向けた傾斜方向である。
【0256】
以上説明した本実施形態のカップ洗浄乾燥システム1及びカップ洗浄乾燥方法では、カップPの洗浄、水切り及び乾燥まで、搬送部2がカップPを倒立姿勢で搬送する。すなわち、倒立姿勢のカップPに対して、洗浄、水切り及び乾燥がこの順に行われる。カップPが倒立姿勢で搬送されることにより、カップPの搬送中の姿勢が安定する。本実施形態では、洗浄、水切り及び乾燥の間に、カップPの搬送姿勢を変える必要性はなく、このため、カップPのハンドリング性(搬送性)がよい。
【0257】
なお、カップPはカール部105を有しているため、カップPを倒立姿勢のまま搬送すると、カール部105に水などの洗浄液が残りやすい傾向がある。この点、本実施形態によれば、カップ水切り装置20またはカップ水切り工程において、少なくともカール部105にエアが噴射されるため、カール部105の水切りを良好に行うことができる。これにより、水切り処理後のカップ乾燥装置30またはカップ乾燥工程において、カップPのカール部105まで安定して乾燥させることができる。
【0258】
以上より本実施形態によれば、カップPを安定した姿勢で搬送しつつ、洗浄、水切り及び乾燥を良好に行うことができる。
【0259】
また本実施形態において、カップ洗浄工程、カップ水切り工程及びカップ乾燥工程では、それぞれ、複数のカップPを単列で搬送する。
この場合、カップPを単列(一列)で搬送することにより、一のカップPが他の複数のカップPに周囲から覆われるようなことが抑えられる。このため、カップPへの洗浄、水切り及び乾燥の各処理が安定して行われる。
【0260】
また本実施形態において、カップ洗浄工程では、カップPをカップ軸A回りに回転させつつ搬送する。
この場合、カップPが、カップ軸A回りの全周にわたって安定して洗浄される。
【0261】
また、本実施形態のカップ洗浄乾燥方法は、カップ乾燥工程よりも後に、カップPを倒立姿勢から正立姿勢に反転させ、複数積み重ねてスタックするカップスタック工程を備える。
カップPは、胴部100の開口端部100aから底部110へ向かって縮径するテーパ形状とされている。このため、上記構成のように、正立姿勢としたカップPを、例えば同じ位置(本実施形態では上スタック部41の内部)に複数落下させるなどにより積み重ねることで、容易にかつ安定してスタックしやすい。洗浄、水切り及び乾燥後のカップPを、簡素な構造を用いて、安定してスタックできる。
【0262】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態及び変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0263】
本発明のカップ洗浄乾燥システム及びカップ洗浄乾燥方法によれば、カップを安定した姿勢で搬送しつつ、洗浄、水切り及び乾燥を良好に行うことができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0264】
1…カップ洗浄乾燥システム、2…搬送部、10…カップ洗浄装置、20…カップ水切り装置、30…カップ乾燥装置、40…カップスタック装置、100…胴部、100a…開口端部、105…カール部、110…底部、A…カップ軸、F…搬送方向、H…熱風、P…カップ