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特開2023-179264Cu-Ag合金線およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179264
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】Cu-Ag合金線およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 9/00 20060101AFI20231212BHJP
   C22F 1/08 20060101ALI20231212BHJP
   H01B 1/02 20060101ALI20231212BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
C22C9/00
C22F1/08 C
H01B1/02 A
C22F1/00 625
C22F1/00 630C
C22F1/00 661A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 691Z
C22F1/00 694A
C22F1/00 624
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 681
C22F1/00 611
C22F1/00 682
C22F1/00 630A
C22F1/00 694Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092485
(22)【出願日】2022-06-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大達 剛
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 璃久也
(72)【発明者】
【氏名】新井 龍一
【テーマコード(参考)】
5G301
【Fターム(参考)】
5G301AA01
5G301AA08
5G301AB03
5G301AB20
5G301AD04
(57)【要約】
【課題】プローブピンに適合する硬さと比抵抗とを同時に満たすCu-Ag合金線を提供する。
【解決手段】Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu-AG合金線であって、当該Cu-Ag合金線はビッカース硬さが300HV以上でかつ比抵抗が3.0μΩ・cm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu-Ag合金線であって、
ビッカース硬さが300HV以上でかつ比抵抗が3.0μΩ・cm以下であることを特徴とするCu-Ag合金線。
【請求項2】
請求項1に記載のCu-Ag合金線において、
曲率半径が300mm以上であることを特徴とするCu-Ag合金線。
【請求項3】
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる棒材を鋳造する工程と、
前記棒材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記棒材を冷間加工度2.3以上で伸線し第1の線材を製造する工程と、
前記第1の線材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記第1の線材を冷間加工度7.2超で伸線し第2の線材を製造する工程と、
を備えることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のCu-Ag合金線の製造方法において、
前記第2の線材を製造する工程では、冷間加工度8.1以上とすることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載のCu-Ag合金線の製造方法において、
前記第2の線材を捻回加工する工程を備え、
前記第2の線材を捻回加工する工程では、前記第2の線材を、捻回量0.1回転/mm以上で正回転させ、引き続き前記正回転時の捻回量より小さい捻回量で逆回転させることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCu-Ag合金線およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路などの検査対象物の電気的特性を検査する際には、複数のプローブピンが配列されたプローブカードを使用しており、プローブピンの先端部を、検査対象物の検査対象箇所に接触させ電気的特性の検査を行っている。
【0003】
プローブピンは数千回、数万回と繰り返し検査対象箇所に接触され使用されるため、当該プローブピンには十分な「硬さ」が要求される。もちろん、検査用信号の入出力がプローブピンを介して確実に行われるようにするため、プローブピンには「比抵抗」が低いことも要求される。たとえば、ビッカース硬さが300~400HVで比抵抗が3.0μΩ・cm以下であれば、硬さと比抵抗との当該要求は満たされると考えられる。
【0004】
従来材料としてPd合金やBe合金があるものの、Pd合金ではビッカース硬さが300~380HV、比抵抗が30μΩ・cm程度であり、Be合金でもビッカース硬さが250HV程度、比抵抗が2.6μΩ・cm程度であり、未だプローブピンに適用可能な硬さと比抵抗との要求を同時に満たしている状況には至っていない。
【0005】
特許文献1にはプローブピンに適用されるCu合金が開示されている。
特許文献1の技術によれば、AgとInとの添加量を調整するとともに、断面減少率が75~95%となるように塑性加工を施し、プローブピンとして用いるのに適合しうる硬さ向上と比抵抗低減とを両立させようとしている(段落0019、0024~0027)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-26921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の実施例をみても、塑性加工後のビッカース硬さは高くても300HV程度で、塑性加工後の比抵抗も4.1~8.6μΩ・cm程度であり、当該Cu合金もプローブピンに適合する硬さと比抵抗とを同時に満たしているとはいえない。
したがって本発明の主な目的は、プローブピンに適合する硬さと比抵抗とを同時に満たすCu-Ag合金線およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu-Ag合金線であって、
ビッカース硬さが300HV以上でかつ比抵抗が3.0μΩ・cm以下であることを特徴とするCu-Ag合金線が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる棒材を鋳造する工程と、
前記棒材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記棒材を冷間加工度2.3以上で伸線し第1の線材を製造する工程と、
前記第1の線材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記第1の線材を冷間加工度7.2超で伸線し第2の線材を製造する工程と、
を備えることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プローブピンに適合する硬さと比抵抗とを同時に満たす(ビッカース硬さが300HV以上で比抵抗が3.0μΩ・cm以下の)Cu-Ag合金線およびその製造方法を提供することができる(下記実施例参照)。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】Cu-Ag合金線の製造方法を経時的に示すフローチャートである。
図2】捻回加工工程の処理を概略的に示す図である。
図3】サンプル1-4の製造方法を経時的に示すフローチャートである。
図4】サンプル5-10の製造方法を経時的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態にかかるCu-Ag合金線およびその製造方法について説明する。本明細書では、数値範囲を示す「~」の記載に関し、下限値および上限値はその数値範囲に含まれる。
【0013】
(1)Cu-Ag合金線
Cu-Ag合金線は、Agを0.1~30質量%、好ましくは10~15質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる組成を有しており、Cu基固溶相ならびにCu-Ag共晶相およびAg析出相が冷間加工により繊維状に引き延ばされた組織を有している。
【0014】
Cu-Ag合金線は、JIS Z 2244に準拠したビッカース硬度が300HV以上で、ダブルブリッジ法により測定し算出した比抵抗が3.0μΩ・cm以下であり、半導体集積回路などの検査対象物の電気的特性を検査する際に使用されるプローブピン用途に好適である。Cu-Ag合金線の用途は当該用途に限らず、電子部品の配線用途にも適用可能であって電気的接続を含むあらゆる用途に適用可能である。
【0015】
(2)Cu-Ag合金線の製造方法
図1はCu-Ag合金線の製造方法を経時的に示すフローチャートである。
図1に示すとおり、Cu-Ag合金線の製造方法では基本的に、溶解・鋳造工程S1、熱処理工程S2、伸線加工工程S3、熱処理工程S4、伸線加工工程S5および捻回加工工程S6の各処理がこの順におこなわれる。
【0016】
溶解・鋳造工程S1では、原料を1000~1400℃で溶解させ、Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる組成物(溶湯)を調製する。
「原料」は、溶解後の段階でAgを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる組成物になればよく、溶解前の段階ではAgおよびCuが別個に存在する単体であってもよいし、AgおよびCuの一体物(化合物)であってもよい。
その後、溶解物(溶湯)を、鋳型に流し込み、0.5~60分以内に室温まで冷却し、Cu基中にCu-Ag共晶相が網目状に形成された、一定の直径を有する棒材Aを鋳造する。
【0017】
熱処理工程S2では、棒材Aを、真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱し、Cu基中に固溶しているAgをAg析出相として析出させる。加熱温度は好ましくは400~500℃で、加熱時間は好ましくは5~10時間である。不活性ガスとしてはNまたはArが使用可能である。
ここでの熱処理はAg析出相の析出を誘発し、主にCu-Ag合金線の硬さ向上と比抵抗低減とに寄与する。
【0018】
伸線加工工程S3では、棒材Aを、冷間加工度2.3以上で伸線し線材B1を製造する。ここでの「冷間加工度」とは、下記式で表現される値である。
冷間加工度=ln((棒材Aの断面積)/(線材B1の断面積))
【0019】
熱処理工程S4では、線材B1を、真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱し、焼鈍させる。加熱温度は好ましくは300~500℃、より好ましくは300~400℃で、加熱時間は好ましくは5~50時間である。不活性ガスとしてはNまたはArが使用可能である。
【0020】
伸線加工工程S5では、線材B1を、冷間加工度7.2超で伸線し線材B2を製造する。ここでの「冷間加工度」とは、下記式で表現される値である。
冷間加工度=ln((線材B1の断面積)/(線材B2の断面積))
ここでの冷間加工度は好ましくは8.1以上である。
なお、熱処理工程S4と伸線加工工程S5は複数回にわたり繰り返してもよい。
【0021】
捻回加工工程S6では、線材B2を捻回加工する。
捻回加工工程S6では、線材B2を巻回した元巻きのボビン(供給用のボビン)を回転させながら、線材B2を供給用のボビンから回収用のボビンで巻き取り、線材B2を捻回加工する。
図2に示すとおり、捻回加工工程S6では詳しくは2工程の捻回加工をおこない、線材B2を、1工程目で供給用のボビン10を正回転させながら回収用のボビン20で巻き取り、2工程目では当該回収用のボビン20を逆回転させながら別の回収用のボビン30で巻き取る。
線材B2の捻回量(線材B2に加える捻回量)は下記式で定義される。
「線材B2の捻回量」
=供給用ボビンの回転数[rpm]/線材B2の線速[mm/min]
捻回加工工程S6では、1工程目の線材B2の捻回量を2工程目の線材B2の捻回量より大きく設定する。
詳しくは捻回加工工程S6では、線材B2を、捻回量0.1回転/mm以上で正回転させ、引き続き当該正回転時の捻回量より小さい捻回量で逆回転させる。
線材B2の捻回加工は主に、Cu-Ag合金線の導電率を維持しつつ最終的な硬さ調整(向上)に寄与する。捻回加工工程S6では特に、熱処理を加えずに捻回加工しており、ビッカース硬さの低下を抑制している。
【0022】
かかる溶解・鋳造工程S1から捻回加工工程S6までの処理により、Cu-Ag合金線を製造することができる。
【実施例0023】
(1)線材サンプルの作製
(1.1)サンプル1-4
サンプル1-4の作製方法は図3に示すとおりである。
原料を1000~1400℃で加熱し溶解させ、表1の組成比を有する組成物(溶湯)を調製した。
その後、溶解物(溶湯)を、鋳型に流し込み10分以内に室温まで冷却し、直径11.5mmの棒材Aを鋳造した。
その後、棒材Aを、Nガス雰囲気中で500℃、10時間加熱した。
その後、棒材Aを、直径11.5mmから直径2.2mmまで伸線して冷間加工度3.3の線材B1を製造した。
その後、線材B1を、Nガス雰囲気中で350℃、30時間加熱した。
その後、線材B1を、直径2.2mmから直径0.06mmまで伸線して、冷間加工度7.2の線材B2を製造した。
【0024】
(1.2)サンプル5、7
サンプル5、7の作製方法は図4に示すとおりである。
原料を1000~1400℃で加熱し溶解させ、表1の組成比を有する組成物(溶湯)を調製した。
その後、溶解物(溶湯)を、鋳型に流し込み10分以内に室温まで冷却し、直径17.5mmの棒材Aを鋳造した。
その後、棒材Aを、Nガス雰囲気中で500℃、10時間加熱した。
その後、棒材Aを、直径17.5mmから直径3.4mmまで伸線して、冷間加工度3.3の線材B1を製造した。
その後、線材B1を、Nガス雰囲気中で350℃、30時間加熱した。
その後、線材B1を、直径3.4mmから直径0.06mmまで伸線して、冷間加工度8.1の線材B2を製造した。
【0025】
(1.3)サンプル6、8
サンプル6、8の作製方法は図4に示すとおりである。
原料を1000~1400℃で加熱し溶解させ、表1の組成比を有する組成物(溶湯)を調製した。
その後、溶解物(溶湯)を、鋳型に流し込み10分以内に室温まで冷却し、直径17.5mmの棒材Aを鋳造した。
その後、棒材Aを、Nガス雰囲気中で500℃、10時間加熱した。
その後、棒材Aを、直径17.5mmから直径5.6mmまで伸線して、冷間加工度2.3の線材B1を製造した。
その後、線材B1を、Nガス雰囲気中で350℃、30時間加熱した。
その後、線材B1を、直径5.6mmから直径0.06mmまで伸線して、冷間加工度9.1の線材B2を製造した。
【0026】
(1.4)サンプル9、10
サンプル9、10の作製方法は図4に示すとおりである。
サンプル5、7と同様の手法で線材B2を製造した。
その後、線材B2に対し図2の捻回加工をおこなった。1工程目では線材B2の捻回量を1.5回転/mmに設定し正回転させた。2工程目では線材B2の捻回量を0.27回転/mmに設定し、逆回転させた。
【0027】
(2)線材サンプルの特性評価
(2.1)ビッカース硬度の測定
JIS Z 2244に準拠する方法でビッカース硬度を測定した。
測定装置としてマツザワ社製ビッカース硬さ測定装置(AMT-X7AFS)を使用した。測定条件は下記のとおりとした。
荷重:25gf
保持時間:15秒
測定結果を表1に示す。
【0028】
(2.2)引張強度の測定
JIS Z 2241に準じて、各5本のサンプルについて引張強度を測定し、その平均値(MPa)を算出した。算出結果を表1に示す。
【0029】
(2.3)比抵抗および導電率の測定
ダブルブリッジ法を用いて、20℃(±2℃)に管理された室内で各5本のサンプルについて電気抵抗を測定し比抵抗(μΩ・cm)および導電率(%IACS)の各平均値を算出した。電圧端子間距離は500mmとした。算出結果を表1に示す。
【0030】
(2.4)直線性の評価
直線性を評価するため各サンプルの曲率半径を測定した。
具体的にはキーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX-6000を使用して、サンプルの円弧から任意に3点を選定し曲率半径(mm)を算出した。算出結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
(3)まとめ
表1に示すとおり、サンプル5-10から、ビッカース硬さが300HV以上で比抵抗が3.0μΩ・cm以下という結果が得られた。特に線材B2を捻回加工すると、曲率半径が300mm以上となった。
【符号の説明】
【0033】
S1 溶解・鋳造工程
S2 析出熱処理工程
S3 伸線加工工程
S4 中間熱処理工程
S5 伸線加工工程
S6 捻回加工工程
10 供給用のボビン
20 回収用のボビン
30 回収用のボビン
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu-Ag合金線であって、
ビッカース硬さが300HV以上でかつ比抵抗が3.0μΩ・cm以下であり、
曲率半径が300mm以上であることを特徴とするCu-Ag合金線。
【請求項2】
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる棒材を鋳造する工程と、
前記棒材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記棒材を冷間加工度2.3以上で伸線し第1の線材を製造する工程と、
前記第1の線材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記第1の線材を冷間加工度7.2超で伸線し、ビッカース硬さが300HV以上でかつ比抵抗が3.0μΩ・cm以下である第2の線材を製造する工程と、
を備えることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法。
【請求項3】
請求項に記載のCu-Ag合金線の製造方法において、
前記第2の線材を製造する工程では、冷間加工度8.1以上とすることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法。
【請求項4】
請求項またはに記載のCu-Ag合金線の製造方法において、
前記第2の線材を捻回加工する工程を備え、
前記第2の線材を捻回加工する工程では、前記第2の線材を、捻回量0.1回転/mm以上で正回転させ、引き続き前記正回転時の捻回量より小さい捻回量で逆回転させることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなるCu-Ag合金線であって、
ビッカース硬さが300HV以上でかつ比抵抗が3.0μΩ・cm以下であり、
曲率半径が300mm以上であることを特徴とするCu-Ag合金線が提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の他の態様によれば、
Agを0.1~30質量%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる棒材を鋳造する工程と、
前記棒材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記棒材を冷間加工度2.3以上で伸線し第1の線材を製造する工程と、
前記第1の線材を真空または不活性ガス雰囲気中で300~700℃、1~60時間加熱する工程と、
加熱後の前記第1の線材を冷間加工度7.2超で伸線し、ビッカース硬さが300HV以上でかつ比抵抗が3.0μΩ・cm以下である第2の線材を製造する工程と、
を備えることを特徴とするCu-Ag合金線の製造方法が提供される。