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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179269
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】移動式ハウス
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
E04B1/343 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092493
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】522226867
【氏名又は名称】株式会社TSホーム
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓也
(57)【要約】
【課題】強風や地震等によっても移動しないよう安全に設置することができ、設置した後、人力によって容易に移動して設置位置を調整できる移動式ハウスを提供する。
【解決手段】床部10、外壁部11及び屋根部12を構成する板状部材が組み立てられ室内空間が形成されたハウス本体2と、ハウス本体2の四隅に設けられハウス本体2を支える土台15と、ハウス本体2の四隅の外壁部11に設けられた車輪ユニット3と、を具備し、車輪ユニット3は、土台15の底面より上方から底面より下方に移動してハウス本体2を移動自在に支持する昇降自在な車輪21を有する。これにより、移動式ハウス1の設置後、車輪21を降下させる簡単な操作によって、車輪21でハウス本体2を支え、移動式ハウス1を容易に移動して設置位置を調整することができる。位置を調整した後には、車輪21を上昇させて土台15でハウス本体2を安全に支えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部、外壁部及び屋根部を構成する板状部材が組み立てられ室内空間が形成されたハウス本体と、
前記ハウス本体の四隅に設けられ前記ハウス本体を支える土台と、
前記ハウス本体の四隅の前記外壁部に設けられた車輪ユニットと、を具備し、
前記車輪ユニットは、前記土台の底面より上方から前記底面より下方に移動して前記ハウス本体を移動自在に支持する昇降自在な車輪を有することを特徴とする移動式ハウス。
【請求項2】
前記車輪ユニットは、前記車輪を手動操作で昇降させる昇降装置を具備し、
前記昇降装置は、前記外壁部に固定され上下方向に延在する支持筒と、前記支持筒に挿入され下端部で前記車輪を支持する昇降自在な支持軸と、前記支持筒に設けられ前記支持軸を昇降させる動力を入力するジャッキレバーと、を有することを特徴とする請求項1に記載の移動式ハウス。
【請求項3】
前記昇降装置は、前記ジャッキレバーの動力を前記支持軸に伝達するねじ機構を有することを特徴とする請求項2に記載の移動式ハウス。
【請求項4】
前記昇降装置は、前記ジャッキレバーの動力を前記支持軸に伝達する油圧機構を有することを特徴とする請求項2に記載の移動式ハウス。
【請求項5】
前記車輪ユニットは、前記外壁部に固定された台座固定具と、前記台座固定具に設けられ前記外壁部に対して平行回動自在な回転式台座と、を有し、
前記支持筒は、前記回転式台座に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の移動式ハウス。
【請求項6】
前記床部の四辺に沿って横設され前記ハウス本体を支持する基礎フレームと、
前記基礎フレームから立設され前記外壁部の側辺を支持する支柱と、
前記基礎フレーム及び前記支柱の少なくとも一方に固定され前記車輪ユニットを支持する車輪ユニット支持部材と、を有することを特徴とする請求項2から請求項5の何れか1項に記載の移動式ハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式ハウスに関し、特に、所定の場所に設置した後に、人力によって容易に設置位置を調整することができる移動式ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事務所、住宅、物置等に利用される簡易的な建築物として、例えば、プレハブ工法等によるハウスが知られている。この種のハウスは、設置及び撤去が容易であり、工事現場等における仮設事務所や、災害時等における仮設住宅、その他仮設の建築物として利用される。この種のハウスにおいて、ハウスの設置や設置場所変更の作業を容易にするため、キャスタ等を設けて移動可能とした移動式ハウスが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、壁部、屋根部、床部を形成する板体を組み立ててボックス状の住宅ユニットとした移動式簡易住宅において、住宅ユニットの下面部の四隅に移動用の車輪が取り付けられることが開示されている。これにより、車輪を利用して、移動式簡易住宅を大型トレーラへ積み込む作業及び積み下ろす作業や、地上で移動させる作業を容易に行うことができる。
【0004】
また例えば、特許文献2には、着脱式車輪を備える移動式ユニットハウスが開示されている。同文献に開示された移動式ユニットハウスは、床部の底部に水平に固設される円筒形直管からなる複数の貫通鞘管が設けられており、貫通鞘管の各端部には、着脱式車輪の短桿状の車軸桿が挿脱自在に差し込まれる。これにより、移動式ユニットハウスを容易に移動させ、設置位置を調整することができる。そして、設置位置の調整が終われば、着脱式車輪は貫通鞘管から取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-129761号公報
【特許文献2】特開2018-40159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術の移動式ハウスは、安全性を維持しつつ移動作業を容易にするために改善すべき点があった。
【0007】
具体的には、特許文献1に開示された移動式簡易住宅のように、下面部の四隅に移動用の車輪が設けられた移動式ハウスは、ハウス本体の移動が容易であるという利点がある。しかしながら、車輪の回転によって移動が容易な構成であるため、移動を必要としない場合であっても、ハウス本体が設置場所から移動し易いという問題点がある。例えば、台風等の強風や、地震等の揺れ等によって、移動式ハウスが所定の設置位置から大きく移動してしまう危険性がある。
【0008】
このような移動式ハウスの安全性を確保するため、車輪留め等の固定具や固縛部材等を設けて車輪の回転移動を押さえたり、ハウス本体を直接的に地面に固定して支持する固定金具等を設けたりすることも考えられる。
【0009】
しかしながら、このような固縛部材や固定金具等を設けてハウス本体を固定支持する構成では、移動式ハウスを位置調整のために移動させる作業の効率が低下する。即ち、移動式ハウスを移動させる際には、固定金具等を取り外す作業が必要であると共に、移動が完了した際には、固定金具等を取り付けて移動式ハウスを固定する作業が必要である。
【0010】
例えば、建築現場等の仮設事務所等として移動式ハウスを利用する場合には、建築工程の進捗等に合わせて事務所位置を頻繁に変更する必要がある。位置調整の作業が容易ではない従来技術の移動式ハウスは、建築現在等の作業効率を向上させるためにも、移動作業を容易にする改善が求められている。
【0011】
また、特許文献2に開示された従来技術では、移動式ハウスを設置した後、設置位置を変更するためには、ジャッキ等の扛重機を使ってハウスを扛上(ジャッキアップ)して車輪を着脱する作業が必要であり、その作業は容易ではなかった。
【0012】
詳しくは、移動式ユニットハウスを移動するためには、先ず、ジャッキ等を使ってハウス本体をジャッキアップして貫通鞘管の両端に着脱式車輪の車軸桿を差し込み、ハウス本体に着脱式車輪を装着する。そして、ジャッキダウンすることにより、ハウス本体は移動可能となる。
【0013】
移動式ユニットハウスを所定の場所に移動したら、ジャッキ等を使ってハウスを再度ジャッキアップし、着脱式車輪を貫通鞘管から抜脱した後、ジャッキダウンして、ハウス本体の下端を接地させる。このように、同文献に開示された移動式ユニットハウスでは、設置位置を調整するために、2回のジャッキアップを行って着脱式車輪の取り付け及び取り外しを行う必要があった。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、強風や地震等によっても移動しないよう安全に設置することができると共に、位置変更が必要な時には、人力によって容易に移動して設置位置を調整することができる移動式ハウスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の移動式ハウスは、床部、外壁部及び屋根部を構成する板状部材が組み立てられ室内空間が形成されたハウス本体と、前記ハウス本体の四隅に設けられ前記ハウス本体を支える土台と、前記ハウス本体の四隅の前記外壁部に設けられた車輪ユニットと、を具備し、前記車輪ユニットは、前記土台の底面より上方から前記底面より下方に移動して前記ハウス本体を移動自在に支持する昇降自在な車輪を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の移動式ハウスによれば、床部、外壁部及び屋根部を構成する板状部材が組み立てられ室内空間が形成されたハウス本体と、前記ハウス本体の下部の四隅に設けられ前記ハウス本体を支える土台と、前記ハウス本体の四隅の前記外壁部に設けられた車輪ユニットと、を具備し、前記車輪ユニットは、前記土台の底面より上方から前記底面より下方に移動して前記ハウス本体を移動自在に支持する昇降自在な車輪を有する。これにより、移動式ハウジングが設置された後であっても、車輪ユニットの車輪を降下させるという簡単な操作によって車輪でハウス本体を支えることができ、移動式ハウスを容易に移動して設置位置を調整することができる。また、移動式ハウジングを所定の位置に移動した後には、車輪ユニットの車輪を上昇させることにより土台でハウス本体を支えることができる。よって、強風や地震等によって移動することのないよう移動式ハウスを設置面に固定して安全に設置することができる。
【0017】
また、本発明の移動式ハウスによれば、前記車輪ユニットは、前記車輪を手動操作で昇降させる昇降装置を具備し、前記昇降装置は、前記外壁部に固定され上下方向に延在する支持筒と、前記支持筒に挿入され下端部で前記車輪を支持する昇降自在な支持軸と、前記支持筒に設けられ前記支持軸を昇降させる動力を入力するジャッキレバーと、を有しても良い。これにより、使用者は、ジャッキレバーを回してハウス本体を容易に昇降することができ、移動式ハウスの移動及び安全な設置を効率良く行うことができる。
【0018】
また、本発明の移動式ハウスによれば、前記昇降装置は、前記ジャッキレバーの動力を前記支持軸に伝達するねじ機構を有しても良い。このような構成により、小型で高効率な昇降装置が得られ、使用者は、ハウス本体を容易に昇降し、移動式ハウスを容易に移動することができる。
【0019】
また、本発明の移動式ハウスによれば、前記昇降装置は、前記ジャッキレバーの動力を前記支持軸に伝達する油圧機構を有しても良い。このような構成によっても、小さな力でハウス本体の昇降が可能な高効率な昇降装置が得られる。よって、使用者は、ハウス本体を容易に昇降し、移動式ハウスを容易に移動することができる。
【0020】
また、本発明の移動式ハウスによれば、前記車輪ユニットは、前記外壁部に固定された台座固定具と、前記台座固定具に設けられ前記外壁部に対して平行回動自在な回転式台座と、を有し、前記支持筒は、前記回転式台座に固定されても良い。このような構成により、支持軸を上昇させると共に回転式台座を介して旋回させ、車輪及び支持軸を更に上方に退避させることができる。よって、移動式ハウスを輸送用車両等に載せて搬送する際等において、車輪や支持軸等が輸送用車両の荷台側方や後方のアオリ等に接触することを防止できる。よって、輸送用車両の荷台の大きさに近い大きな移動式ハウスを安全に輸送することができる。
【0021】
また、本発明の移動式ハウスは、前記床部の四辺に沿って横設され前記ハウス本体を支持する基礎フレームと、前記基礎フレームから立設され前記外壁部の側辺を支持する支柱と、前記基礎フレーム及び前記支柱の少なくとも一方に固定され前記車輪ユニットを支持する車輪ユニット支持部材と、を有しても良い。これにより、車輪ユニットは、車輪ユニット支持部材を介して、移動式ハウスの荷重を安全に支えることができる。よって、室内空間に机、椅子、棚その他の家具等が載置された設置後の移動式ハウスであっても、安全な移動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る移動式ハウスを前方左斜め上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの車輪ユニットを示す正面図である。
図5】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの(A)車輪の一例を示す図、(B)車輪の他の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの車輪ユニットの取り付け構造を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの車輪ユニットの回転式台座を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの車輪ユニットを旋回させた状態の車輪ユニット近傍を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る移動式ハウスの移動状態を示す車輪ユニット近傍の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る移動式ハウス1を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る移動式ハウス1を、前面に向かって左斜め上から見た斜視図である。図1を参照して、移動式ハウス1は、例えば、プレハブ工法等により組み立てられる建築物であり、建築工事現場や土木工事現場等における仮設事務所、仮設物置として利用される。移動式ハウス1は、地震、土砂災害等で家屋が破壊された際の仮設住宅として、または、その他の理由で一時的に住居等が必要とされる場合の仮設住宅として利用されても良い。
【0024】
移動式ハウス1のハウス本体2は、床部10、外壁部11及び屋根部12を構成する板状部材から組み立てられ、略直方体状、略立方体状等の形態を成し、ハウス本体2の内部に図示しない室内空間が形成されている。
【0025】
なお、ハウス本体2の屋根部12は、傾斜面状に形成されても良く、例えば、切妻屋根や寄棟屋根等のように2つ以上の傾斜面が組み合わされた形状でも良い。また、屋根部12は、かまぼこ屋根等のように曲面形状部を有する屋根形状でも良い。
【0026】
床部10、外壁部11及び屋根部12を構成する板状部材としては、構造用合板等の一般的な木質材料や、亜鉛メッキ鋼板その他鋼板等の金属材料等を利用することができる。また、床部10、外壁部11及び屋根部12には、グラスウールやポリスチレンフォーム等の各種断熱材が含まれても良い。
【0027】
ハウス本体2の、例えば前面側の外壁部11には、室内空間に出入りするためのドア14が設けられている。なお、ドア14は、側面側及び背面側の外壁部11に設けられても良い。また、ハウス本体2の、例えば側面側の外壁部11には、開閉自在な窓部13が形成されている。窓部13は、前面側及び背面側の外壁部11に設けられても良い。
【0028】
ハウス本体2の下部四隅近傍には、ハウス本体2を支える土台15が設けられている。土台15は、例えば、溝形鋼等の一般構造用軽量形鋼その他鉄骨材料等から形成されている。土台15は、床部10の下方に設けられてハウス本体2を支える基礎フレーム16の下部に固定されている。
【0029】
図2は、移動式ハウス1の概略を示す正面図であり、図3は、移動式ハウス1の概略を示す側面図である。図1ないし図3を参照して、ハウス本体2の下部四隅近傍には、昇降自在な車輪21を有し移動式ハウス1を移動可能に支える車輪ユニット3が設けられている。具体的には、車輪ユニット3は、ハウス本体2の前面側及び背面側の外壁部11の下部に設けられている。
【0030】
このように車輪ユニット3がハウス本体2の前面側及び背面側の外壁部11に設けられることにより、輸送用車両等による移動式ハウス1の輸送が容易になるという利点がある。即ち、移動式ハウス1を輸送用車両の荷台等に載せて輸送する際、車輪ユニット3は、輸送用車両の荷台側方のアオリ等に接触することがないので、輸送や積み荷、積み下ろし作業の邪魔にならない。
【0031】
また、輸送用車両による移動式ハウス1の輸送では、荷台の横幅によって輸送可能な移動式ハウス1のサイズが制限される。車輪ユニット3がハウス本体2の前面及び背面に設けられた構成では、ハウス本体2の横幅を荷台横幅に近いサイズにすることができる。即ち、ハウス本体2を大型化することができる。
【0032】
なお、図3に一点鎖線で示すように、車輪ユニット3は、例えば、ハウス本体2の両側面側の外壁部11に設けられても良い。このような構成では、前後の車輪21の距離を近づけることができ。そのため、ハウス本体2の両側に車輪ユニット3を設ける構成は、車輪21でハウス本体2を支えてハウス本体2を移動させる際、ハウス本体2の中央部近傍の曲げモーメントを小さく抑えることができるという利点がある。
【0033】
図4は、車輪ユニット3の概略構成を示す正面図である。図4に示すように、車輪ユニット3は、移動式ハウス1(図1参照)を移動自在に支持する車輪21と、車輪21を昇降自在に支持する昇降装置25と、を有する。
【0034】
車輪21は、例えば、ゴムその他合成樹脂等から形成されたキャスタである。具体的には、車輪21は、方向転換自在な自在車である。即ち、車輪21は、転がり軸受等の軸受24及び車輪軸22を介して車輪支持具23に軸支されており、車輪支持具23は、転がり軸受等の旋回軸受28を介して支持軸27の下端部に軸支されている。
【0035】
移動式ハウス1に設けられる全ての車輪21が方向転換自在な自在車であることにより、車輪21に支持され移動する移動式ハウス1の移動方向の調整が容易となる。よって、移動式ハウス1の設置場所を効率良く正確な位置に調整することができる。
【0036】
昇降装置25は、車輪21を手動操作で昇降させる装置であり、上下方向に延在する支持筒26と、支持筒26に挿入され下端部で車輪21を支持する支持軸27と、支持軸27を昇降させる動力を入力するジャッキレバー29と、を有する。
【0037】
支持筒26は、例えば、炭素鋼鋼管、ステンレス鋼鋼管その他鋼管やアルミニウム管等から形成された部材であり、上下方向に延在するよう、回転式台座32及び台座固定具30を介して外壁部11(図1参照)に支持されている。なお、支持筒26は、外壁部11に沿って旋回自在である。詳細は後述する。
【0038】
車輪21を支持する支持軸27は、鋼、アルミニウムその他各種金属製の管材、棒材等から形成され、支持筒26の下端部から支持筒26の内部に挿入されており、上下方向に摺動自在に、支持筒26に支持されている。即ち、支持軸27は、上下方向に延在し、その軸方向、即ち上下方向、に位置変更自在である。
【0039】
ジャッキレバー29は、手動で支持軸27を昇降させるための動力を入力する回転レバーであり、支持筒26の上部に設けられている。使用者は、ジャッキレバー29を把持して回転させることにより、支持軸27を上下方向に移動させることができる。即ち、車輪21を昇降させることができる。
【0040】
詳しくは、昇降装置25は、ジャッキレバー29の動力を支持軸27に伝達する図示しない動力伝達機構を有している。動力伝達機構は、例えば、ジャッキレバー29の回転を上下方向に延在する図示しないジャッキ軸に伝える図示しない傘歯車(ベベルギア)等を有しても良い。これにより、使用者の操作によってジャッキレバー29が回されると、ジャッキレバー29の回転動力は、噛合する傘歯車を介してジャッキ軸に伝達され、ジャッキ軸が回転する。
【0041】
なお、ジャッキレバー29は、ジャッキ軸と同軸回転、即ち水平回転するよう、ジャッキ軸の上端に直接的に連結されても良い。その場合、ジャッキレバー29とジャッキ軸の間に噛合する傘歯車は不要である。使用者の操作によってジャッキレバー29が回されると、ジャッキレバー29の回転動力は、ジャッキレバー29の回転軸と同軸に設けられたジャッキ軸に直接的に伝達され、ジャッキ軸が回転する。
【0042】
また、昇降装置25は、ジャッキ軸の回転動力を支持軸27に伝達する図示しないねじ機構を有する。ねじ機構は、例えば、ジャッキ軸に雄ねじが形成され、その雄ねじに螺合する雌ねじが支持軸27に形成される構成でも良いし、これとは逆に、ジャッキ軸に雌ねじ、支持軸27に雄ねじが形成される構成でも良い。
【0043】
このように、ねじ機構が設けられる構成により、ジャッキ軸の回転動力により、支持軸27を効率良く昇降させることができる。よって、小型で高効率な昇降装置25が得られる。使用者は、ジャッキレバー29を手動で回すことにより、ハウス本体2を容易に昇降させ、移動式ハウス1を容易に移動することができる。
【0044】
また、昇降装置25には、ジャッキレバー29の動力を支持軸27に伝達する動力伝達機構として、図示しないラックアンドピニオン等の歯車機構や、プーリ、ベルト、チェーンその他の伝動要素が設けられても良い。
【0045】
また、昇降装置25は、ジャッキレバー29の動力を支持軸27に伝達する動力伝達機構として、図示しない油圧機構を有しても良い。例えば、支持筒26の内部に図示しない油圧シリンダが形成され、支持軸27には、油圧によって支持軸27を押圧して移動させる図示しない油圧ピストンが設けられても良い。そして、油圧機構を構成する部材として、ジャッキレバー29の回動により往復動して油を送り油圧シリンダ内の油圧を上昇させる図示しない加圧ピストンの他、加圧ピストン用の加圧シリンダ、油圧配管、逆止弁、バルブ等が設けられても良い。
【0046】
このように油圧によって支持軸27を昇降させる動力伝達機構が採用されることにより、小さな力でハウス本体2の昇降が可能である高効率な昇降装置25が得られる。よって、使用者は、ハウス本体2を容易に昇降し、移動式ハウス1を容易に移動することができる。
【0047】
図5(A)は、移動式ハウス1の車輪21の一例を示す図であり、図5(B)は、車輪21の他の例を示す図である。図5(A)に示すように、車輪ユニット3には、1つの車輪21が設けられても良い。即ち、車輪支持具23には、1つの車輪21が軸支されている。
【0048】
また、図5(B)に示すように、車輪ユニット3は、2つの車輪21を有する双輪キャスタであっても良い。即ち、車輪支持具23には、2つの車輪21が軸支されている。このように1つの車輪ユニット3に、2つの車輪21が設けられる構成により、重たいハウス本体2の荷重をそれぞれの車輪ユニット3に2つ設けられた車輪21によって安全に受け止めることができる。また、車輪21の回転も良好なものとなる。よって、移動式ハウス1を効率良く且つ安全に移動させることができる。
【0049】
図6は、移動式ハウス1の車輪ユニット3の取り付け構造の概略を示す図である。なお、図6においては、正面側の外壁部11を省略して車輪ユニット3の支持構造を示している。図6に示すように、移動式ハウス1は、ハウス本体2を支持する基礎フレーム16及び支柱17を有する。
【0050】
基礎フレーム16は、ハウス本体2の下部を支える部材であり、床部10の四辺に略沿って横設されている。支柱17は、基礎フレーム16から立設され、外壁部11の側辺近傍を支持している。基礎フレーム16及び支柱17としては、例えば、一般構造用の溝形鋼、リップ溝形鋼等が用いられる。
【0051】
基礎フレーム16及び支柱17には、車輪ユニット3を支持する車輪ユニット支持部材18が設けられている。車輪ユニット支持部材18は、例えば、一般構造用の溝形鋼、リップ溝形鋼等から形成され、ハウス本体2の下部四隅近傍において、基礎フレーム16と支柱17を連結して補強するよう基礎フレーム16及び支柱17に固定されている。
【0052】
具体的には、車輪ユニット支持部材18は、基礎フレーム16から立設された車輪ユニット用支柱19と、支柱17から横設された車輪ユニット用横支柱20と、を有する。車輪ユニット用支柱19は、支柱17に対して略平行に、即ち略垂直に設けられ、車輪ユニット用横支柱20は、基礎フレーム16に対して略平行に、即ち略水平に設けられている。車輪ユニット用支柱19と車輪ユニット用横支柱20は、溶接、ねじ止め等、種々の固定方法により連結固定されている。
【0053】
車輪ユニット支持部材18には、車輪ユニット3の台座固定具30が固定されてる。詳しくは、台座固定具30は、鋼板等から形成された部材であり、支柱17と車輪ユニット用支柱19とを連結する車輪ユニット用横支柱20に、固定ねじ31または溶接等によって固定されている。
【0054】
このように、ハウス本体2の下部四隅に車輪ユニット支持部材18が設けられ、車輪ユニット支持部材18に車輪ユニット3が固定されることにより、車輪ユニット3は、車輪ユニット支持部材18を介してハウス本体2の荷重を安全に受けることができる。即ち、車輪ユニット3の車輪21は、車輪ユニット支持部材18を介して移動式ハウス1を安全に支えることができる。よって、使用者は、室内空間に机、椅子、棚その他の家具等が載置された設置後の移動式ハウス1であっても、安全に移動することができる。
【0055】
なお、上記の例では、車輪ユニット支持部材18は、基礎フレーム16及び支柱17の双方に固定されるとしたが、車輪ユニット支持部材18は、基礎フレーム16及び支柱17の何れか一方にのみ固定される構成でも良い。
【0056】
例えば、車輪ユニット3がハウス本体2の角部から中央側に離れた位置に設けられる場合等においては、図示を省略するが、基礎フレーム16のみに固定された車輪ユニット支持部材18に車輪ユニット3が支持されても良い。このような構成によっても、ハウス本体2の荷重を安全に支えることができるよう、車輪ユニット支持部材18を介して車輪ユニット3をハウス本体2に強固に取り付けることができる。
【0057】
また、車輪ユニット支持部材18の形態については、種々の変更実施が可能である。例えば、図示を省略するが、車輪ユニット用支柱19は、一端が基礎フレーム16に固定され、他端が支柱17に固定されるよう、傾斜して設けられても良い。また、図示を省略するが、車輪ユニット用横支柱20が斜めに設けられる構成等が採用されても良い。
【0058】
図7は、車輪ユニット3の回転式台座32の概略を示す図である。図7に示すように、回転式台座32は、台座軸受33を介して回動自在に、台座固定具30に支持されている。具体的には、回転式台座32は、鋼板等から形成され、台座固定具30に対して略平行に軸支されている。
【0059】
前述の通り、図6及び図7を参照して、台座固定具30は、外壁部11の車輪ユニット支持部材18に固定されている。よって、回転式台座32は、外壁部11に対して略平行に回動するよう設けらている。回転式台座32には、車輪ユニット3の支持筒26が固定されているので、支持筒26は、外壁部11に対して略平行回動自在となる。
【0060】
回転式台座32には、回転式台座32を所定の回動位置に維持するためのロック部材34が設けれている。ロック部材34は、例えば、ピンやボルト等の係止部材である。台座固定具30には、ロック部材34が挿入等され固定される係止穴等が形成されている。
【0061】
図8は、移動式ハウス1の車輪ユニット3の昇降装置25を旋回させた状態の車輪ユニット3近傍を示す図である。図8に示すように、車輪ユニット3の昇降装置25は、回動自在な台座固定具30に支持されているので、車輪21を支持する支持軸27が略垂直な状態から略水平な状態になるよう旋回自在である。
【0062】
このように昇降装置25が旋回自在な構成であることにより、支持軸27を上昇させると共に回転式台座32を介して旋回させ、車輪21及び支持軸27を更に上方に退避させることができる。
【0063】
これにより、移動式ハウス1を輸送用車両等に載せて搬送する際等において、車輪21や支持軸27等が輸送用車両の荷台側方や後方のアオリ等に接触することを防止できる。よって、輸送用車両の荷台の大きさに近い幅広の移動式ハウス1を安全に輸送することができる。
【0064】
また、車輪ユニット3は、台座固定具30の回動をロックするロック部材34を有するので、支持軸27が略水平になった状態でロック部材34によって昇降装置25の回動がロックされる。なお、図6に示すように支持軸27が略垂直になる通常の使用状態においても、昇降装置25の旋回はロック部材34によってロックされている。これにより移動式ハウス1の輸送、設置及び設置後の位置調整が安全に行われる。
【0065】
図9は、移動式ハウス1の移動状態を示す車輪ユニット3近傍の図である。移動式ハウス1を移動して設置場所を変更する際には、図9に示すように、車輪21は、土台15の底面よりも下方に降下し、車輪21でハウス本体2が支えられる。
【0066】
具体的には、車輪ユニット3は、車輪21を昇降自在に支持する昇降装置25を有し、昇降装置25には、車輪21を手動で昇降させるジャッキレバー29が設けられている。これにより、使用者は、ジャッキレバー29を手で回してハウス本体2を容易に昇降させることができ、移動式ハウス1の移動及び安全な設置を効率良く行うことができる。
【0067】
移動式ハウス1が設置された後であっても、手動でジャッキレバー29を回して車輪21を降下させるという簡単な操作によって、車輪21でハウス本体2を支えて上昇させることができ、移動式ハウス1を容易に移動して設置位置を調整することができる。
【0068】
このように本実施形態に係る移動式ハウス1は、別途ジャッキ等の扛重機やフォークリフト等の特殊な荷役機械等を使用することなく、使用者の簡単な操作によって容易に移動可能である。使用者は、所定の場所に一度設置された移動式ハウス1について、好適な位置になるよう設置場所を容易に変更、調整することができる。
【0069】
また、車輪21を降下して移動式ハウス1を所定の位置に移動した後には、手動でジャッキレバー29を逆転して車輪21を上昇させることにより、図6に示すように、土台15でハウス本体2を支えることができる。よって、台風等の強風や地震等の揺れによって移動することのないよう移動式ハウス1を設置面35に固定して安全に保持することができる。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 移動式ハウス
2 ハウス本体
3 車輪ユニット
10 床部
11 外壁部
12 屋根部
13 窓部
14 ドア
15 土台
16 基礎フレーム
17 支柱
18 車輪ユニット支持部材
19 車輪ユニット用支柱
20 車輪ユニット用横支柱
21 車輪
22 車輪軸
23 車輪支持具
24 軸受
25 昇降装置
26 支持筒
27 支持軸
28 旋回軸受
29 ジャッキレバー
30 台座固定具
31 固定ねじ
32 回転式台座
33 台座軸受
34 ロック部材
35 設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9