(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179289
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】液晶パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20231212BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20231212BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1347
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092535
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿一
(72)【発明者】
【氏名】松島 寿治
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
【Fターム(参考)】
2H088EA32
2H088EA47
2H088HA01
2H088HA02
2H088JA05
2H088MA20
2H092HA03
2H092HA04
2H092NA25
2H092PA01
2H092QA07
2H092RA03
2H092RA10
2H189AA22
2H189AA35
2H189HA16
2H189JA05
2H189LA01
2H189LA03
2H189MA15
2H189NA07
(57)【要約】
【課題】より確実に斜視視点からの画像の視認を抑制できる液晶パネル等を提供する。
【解決手段】液晶パネル1は、透光性を有する第1基板11と、液晶を挟んで対向するように配置されて透光性を有する第2基板と、第2基板の液晶側に設けられてX方向に並ぶ複数の配線を含む導通層12と、導通層12の液晶側に積層される絶縁層と、絶縁層の液晶側に積層される第1電極層14と、第2基板の液晶側に設けられる第2電極層と、第1電極層14と接地電位GNDとの接続経路を開閉可能にするスイッチ42と、を備え、第1電極層14のシート抵抗は、導通層12のシート抵抗及び第2電極層のシート抵抗よりも高い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する第1基板と、
液晶を挟んで対向するように配置されて透光性を有する第2基板と、
前記第1基板の前記液晶側に設けられて複数の配線又は複数の電極を含む導通層と、
前記導通層の前記液晶側に積層される絶縁層と、
前記絶縁層の前記液晶側に積層される第1電極層と、
前記第2基板の前記液晶側に設けられる第2電極層と、
前記第1電極層とリセット電位との接続経路を開閉可能にするスイッチと、を備え、
前記第1電極層のシート抵抗は、前記導通層のシート抵抗及び前記第2電極層のシート抵抗よりも高い、
液晶パネル。
【請求項2】
前記導通層は、前記第1電極層と前記スイッチとの導通経路に介在する導通部を含み、
前記絶縁層には、前記第1電極層と前記導通部を接続するコンタクトホールが設けられている、
請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
前記導通部は、矩形状の前記第1電極層の四辺のうち二辺以上に沿って設けられる、
請求項2に記載の液晶パネル。
【請求項4】
前記導通層と前記第1電極層とは前記絶縁層で離隔され、
前記導通層、前記第1電極層及び前記第2電極層は、透光性を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記第1電極層は、前記絶縁層に設けられた複数のコンタクトホールを介して前記導通層と当接し、
前記第1電極層及び前記第2電極層は、透光性を有
する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記第1電極層の前記液晶側及び前記第2電極層の前記液晶側にポリイミド層が積層されている、
請求項5に記載の液晶パネル。
【請求項7】
前記複数の配線に個別に電圧を印加可能に設けられた駆動回路を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶パネル。
【請求項8】
前記駆動回路の動作と連動して前記接続経路の開閉を制御する開閉回路を備える、
請求項7に記載の液晶パネル。
【請求項9】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの表示面側から前記表示パネルと重ね合わせられた請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶パネルと、
を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルの表示面側に設けられて、斜視で表示パネルの画像を視認できなくするように視野角を制御する視野角制御パネルが知られている(例えば特許文献1)。また、液晶パネルをレンズのように機能させる構成が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-081465号公報
【特許文献2】特開2018-092069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における画像の斜視方向に対応した方向、特許文献2のようなパネルにおけるレンズの径方向に沿った液晶の配向制御をより好適にする目的で、液晶の配向を制御するための電界を生じさせる電荷を帯びる電極を従来よりも高抵抗化する試みがある。一方、電極の電気抵抗がより高くなると、液晶の駆動制御の変更等に伴って電極の電位をいったんリセットしたい場合であっても、単に電圧を与えない状態にするだけでは電位がリセットされないことがありうる。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、液晶の駆動電位が与えられる電極の電位をより確実にリセットできる液晶パネル及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による液晶パネルは、透光性を有する第1基板と、液晶を挟んで対向するように配置されて透光性を有する第2基板と、前記第1基板の前記液晶側に設けられて所定方向に並ぶ複数の配線を含む導通層と、前記導通層の前記液晶側に積層される絶縁層と、前記絶縁層の前記液晶側に積層される第1電極層と、前記第2基板の前記液晶側に設けられる第2電極層と、を備え、前記第1電極層のシート抵抗は、前記導通層のシート抵抗及び前記第2電極層のシート抵抗よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、視野角制御パネルの主要構成を示す模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、X方向に隣り合う2つの配線の各々に与えられた電圧に応じて生じる第1電極層のX方向の部分毎の電位差を示す模式図である。
【
図3】
図3は、導通層に含まれる構成と接続される構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、Z方向に対してX方向に傾く方向からの視線で視野角制御パネルを見た場合に視野角制御パネルにおけるX方向の一端側と他端側とで視野角の差が生じる場合の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、斜視における遠隔位置と近傍位置とで透光率が異なっているかのように視認できる参考例を示す図である。
【
図6】
図6は、斜視における遠隔位置と近傍位置とで透光率が
図5に示す参考例よりも均一化された実施形態の例を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例1において導通層に含まれる構成と接続される構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、変形例2において導通層に含まれる構成と接続される構成を示す模式図である。
【
図9】
図9は、視野角制御パネルの主要構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、液晶パネル1の主要構成を示す模式的な断面図である。液晶パネル1は、基板10,20及び液晶30を備える。基板10と基板20は、液晶30を挟んで対向する。液晶30は、液晶パネル1の外縁に設けられた封止部材SEで封止されている。以下、基板10と基板20との対向方向をZ方向とする。また、Z方向に直交する平面に沿う二方向のうち一方をX方向とし、他方をY方向とする。X方向とY方向とは直交する。
【0010】
基板10は、第1基板11、導通層12、絶縁層13、第1電極層14を有する。第1基板11は、透光性の基板である。具体的には、第1基板11は、例えばガラス基板であるが、他の透光性素材を薄板状とした構成であってもよい。
【0011】
導通層12は、第1基板11の液晶30側に形成される。導通層12は、透光性の導電性素材からなる。導通層12で採用される透光性の導電性素材は、例えばITO(Indium Tin Oxide)であるが、これに限られるものでなく、透光性及び導電性を有する他の素材が採用されてもよい。
【0012】
導通層12は、X方向に並ぶ複数の配線を含む。
図1では、当該複数の配線として、X方向の一方側から他方側に向かって並ぶ配線121,122,123,124が例示されている。導通層12に含まれる複数の配線のうちX方向に隣り合う配線同士の間には絶縁層13が介在している。導通層12に含まれる複数の配線のうち異なる配線同士は、絶縁層13によってX方向に絶縁され、短絡しない。
【0013】
導通層12に含まれる複数の配線のうちX方向に隣り合う配線同士の間に絶縁層13が介在するX方向の間隔D1は、X方向に隣り合う配線同士が短絡しない範囲内で、より小さいことが好ましい。導通層12に含まれる複数の配線の各々のX方向の幅D2は、間隔D1を含んだ当該複数の配線のX方向の配置ピッチに対応する。幅D2は、例えば数ミリメートル(mm)から数センチメートル(cm)であるが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0014】
図3は、導通層12に含まれる構成と接続される構成を示す模式図である。
図3では、導通層12に含まれる複数の配線として、配線121,122,123,…,12mを例示している。配線12mのmは、複数の配線の数に対応する。mは、自然数である。仮に、mが4の場合、導通層12に含まれる複数の配線は、
図1に示す配線121,122,123,124になる。以下、配線121,…,12mと記載した場合、導通層12に含まれる複数の配線をさす。配線121,…,12mが上述した幅D2で間隔D1をあけてX方向に複数配置される領域は、後述する視野角制御領域として機能する。言い換えれば、視野角制御領域として機能する領域には、配線121,…,12mが配置されている。より正確には、「視野角制御領域として機能する領域」に配置されているのは第1電極層14がカバーしている領域である。第1電極層14と配線121,…,12mとが対向することで、第1電極層14がカバーしている領域が、後述する視野角制御領域として機能する。
【0015】
配線121,…,12mは、駆動回路40と個別に接続される。駆動回路40は、配線121,…,12mに個別に電圧を印加できるよう設けられた回路である。駆動回路40は、FPC(Flexible Printed Circuits)45のような配線を介してホスト50と接続される。ホスト50は、液晶パネル1の動作のON/OFF等、液晶パネル1の動作に関する命令を駆動回路40へ出力する。駆動回路40は、当該命令に応じて配線121,…,12mに個別に電圧を印加する。
図3に示すFPC45は、第1基板11に形成されている配線を介して駆動回路40及び後述する開閉回路43と接続される。
図3では、当該第1基板11に形成されている配線を、矢印の破線で示している。
【0016】
絶縁層13は、導通層12の液晶30側に積層される。絶縁層13は、絶縁性素材からなる。絶縁層13で採用される絶縁性素材は、例えば一酸化ケイ素(SiO)であるが、これに限られるものでなく、窒化ケイ素(SiN)又は他の絶縁性樹脂であってもよい。絶縁層13にSiOを採用することで、絶縁層13形成時の酸素供給量の調整による第1電極層14の電気抵抗の調整を実現できる。
【0017】
第1電極層14は、絶縁層13の液晶30側に積層される。第1電極層14は、導通層12よりもシート抵抗が高い素材からなる。これによって、第1電極層14は、高抵抗電極として機能する。第1電極層14は、例えば、インジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素を含む化合物(IGZO)、IZO(Indium Zin Oxide)又は導通層12よりもシート抵抗が高くなるよう調整されたITOを素材として形成される。導通層12と第1電極層14との間には絶縁層13が介在している。すなわち、導通層12と第1電極層14とは、絶縁層13で離隔されている。
【0018】
基板20は、第2基板21及び第2電極層22を有する。第2基板21は、第1基板11と同様、透光性の基板である。具体的には、第2基板21は、例えばガラス基板であるが、他の透光性素材を薄板状とした構成であってもよい。
【0019】
第2電極層22は、第2基板21の液晶30側に形成される。第2電極層22は、透光性の導電性素材からなる。第2電極層22は、第1電極層14よりもシート抵抗が低い。第2電極層22で採用される透光性の導電性素材は、例えば導通層12で採用されるITOであるが、これに限られるものでなく、透光性及び導電性を有する他の素材が採用されてもよい。
【0020】
液晶30は、複数の液晶分子31を含む。液晶分子31は、第1電極層14の電位と、第2電極層22の電位と、の電位差に応じて配向制御される。液晶パネル1におけるZ方向の一面側から他面側に向かう光の透過率は、液晶分子31の配向に応じる。すなわち、第1電極層14の電位と、第2電極層22の電位と、の電位差を制御することで、液晶パネル1の透光率を制御できる。
【0021】
実施形態では、第2電極層22の電位は固定電位である。具体的には、第2電極層22の電位は、例えば接地電位(0V)であるが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。従って、液晶パネル1の透光率制御は、第1電極層14の電位制御によって行われる。
【0022】
第1電極層14の電位は、配線121,…,12mに印加された電圧に応じる。このため、配線121,…,12mに個別に印加された電圧がそれぞれ異なる場合、第1電極層14の電位がX方向の位置によって異なる状態が生じる。
【0023】
図2は、X方向に隣り合う配線12nと配線12(n+1)の各々に与えられた電圧に応じて生じる第1電極層14のX方向の部分毎の電位差を示す模式図である。配線12n及び配線12(n+1)は、配線121,…,12mの一部である。nは、自然数である。(n+1)は、m以下である。例えば、n=1である場合、配線12nと配線12(n+1)は、配線121と配線122である。
【0024】
第1電極層14の電位は、主に、導通層12に含まれる複数の配線のうちZ方向に対向する配線の電圧に対応する。
図2に示す例の場合、第1電極層14のうち配線12nとZ方向に対向する範囲V1の電位は、配線12nの電圧に対応する。また、第1電極層14のうち配線12(n+1)とZ方向に対向する範囲V3の電位は、配線12(n+1)の電圧に対応する。
【0025】
さらに、第1電極層14のうち、導通層12に含まれる複数の配線とZ方向に対向しない範囲及び当該範囲付近の電位は、当該範囲を挟んでX方向に対向する2つの範囲の電位に対応する。
図2に示す例の場合、第1電極層14のうち範囲V1と範囲V3との間に位置する範囲V2は、導通層12に含まれる複数の配線とZ方向に対向しない範囲及び当該範囲付近に該当する範囲である。範囲V2の電位は、範囲V1の電位と範囲V3の電位との中間的な電位になる。
【0026】
なお、仮に、第1電極層14のシート抵抗が低すぎる場合、範囲V1,V2,V3の各々の電位差は生じず、第1電極層14全体で電位が一定になる。一方、第1電極層14のシート抵抗が高すぎる場合、第1電極層14は絶縁体として機能してしまい、導通層12に印加された電圧に応じた電荷を帯びなくなる。第1電極層14のシート抵抗は、配線12nの電圧と配線12(n+1)の電圧とが異なる場合に範囲V1,V2,V3の電位がそれぞれ異なる状態となるように調整されている。
【0027】
具体例を挙げると、導通層12及び第2電極層22のシート抵抗は、100Ω/sq.程度である。また、第1電極層14のシート抵抗は、104Ω/sq.から106Ω/sq.程度である。第1電極層14とシート抵抗と導通層12のシート抵抗との抵抗比は、100:1から10,000:1程度が望ましい。
【0028】
導通層12、絶縁層13、第1電極層14の各々のZ方向の膜厚は、導通層12、絶縁層13、第1電極層14で各々採用される素材による。ここでは、導通層12がITOであり、絶縁層13がSiOであり、第1電極層14がIGZOである場合について例示する。この場合、導通層12の膜厚が70ナノメートル(nm)であり、絶縁層13の膜厚が200nmであり、第1電極層14の膜厚が50nmである。なお、絶縁層13の膜厚は、導通層12に含まれる複数の配線のうちX方向に隣り合う配線同士の間に介在する部分を含む。すなわち、絶縁層13の膜厚は、第1基板11と絶縁層13との間の膜厚である。
【0029】
実施形態では、
図2を参照して説明した駆動回路40は、配線121,…,12mにそれぞれ異なる電圧を印加する。これによって、Z方向に対してX方向に傾く方向からの視線で液晶パネル1を見た場合に液晶パネル1におけるX方向の一端側と他端側とで生じる視野角の差に応じた透光率の制御を実現できる。
【0030】
図4は、Z方向に対してX方向に傾く方向からの視線で液晶パネル1を見た場合に液晶パネル1におけるX方向の一端側と他端側とで視野角の差が生じる場合の一例を示す模式図である。
図4では、Z方向に表示パネル60と液晶パネル1とが重ね合わせられて構成された表示装置100による表示出力を、ユーザH1及びユーザH2が視認する場合を例としている。
【0031】
表示パネル60は、画像を出力する。具体例を挙げると、表示パネル60は、例えば透過型の液晶表示装置であり、バックライトからユーザH1,H2に向かう光の射線上に設けられ、表示パネル60から出力された画像の光がユーザH1,H2側に向かって透過する度合いを制御する。なお、液晶パネル1は、例えば表示パネル60とユーザH1,H2との間の位置に設けられるが、表示パネル60に対してバックライト側に設けられてもよい。
【0032】
ユーザH1の左目EL1と右目ER1は、X方向に並ぶ。左目EL1のZ方向に沿う視線C11及び右目ER1のZ方向に沿う視線C12の延長線上には、液晶パネル1及び表示パネル60がZ方向に重なっている。このように、ユーザH1は、液晶パネル1を介して表示パネル60を正面視する位置にいる。
【0033】
一方、ユーザH2の左目EL2と右目ER2は、X方向に並ぶ。左目EL2のZ方向に沿う視線C21及び右目ER2のZ方向に沿う視線C22の延長線上には、液晶パネル1及び表示パネル60が位置しない。このように、ユーザH2は、液晶パネル1を介して表示パネル60をX方向に斜視する位置にいる。
【0034】
ここで、表示パネル60によって出力される画像をユーザH1から視認できるが、ユーザH2から視認できないようにしたいという需要がある。係る需要が生じる具体例を挙げると、表示パネル60が四輪車両に搭載された表示装置であり、ユーザH2が当該四輪車両の運転者であり、ユーザH1が当該四輪車両の助手席にいる者である場合がある。この具体例に限らず、表示パネル60のような表示装置の正面にいるユーザH1のような者にのみ画像を視認させ、当該表示装置を斜視するユーザH2のような者に画像を視認させないようにしたいという需要がある。
【0035】
ユーザH1の視野W1は、液晶パネル1を介して表示パネル60を正面視するようにX方向に広がっており、表示パネル60における画像の表示領域のX方向の両端のうち一方の端部E1に対する角度の大きさと、他方の端部E2に対する角度の大きさと、に実質的に差がない。
【0036】
一方、ユーザH2の視野W2は、上述した一方の端部E1に対する角度θ1と、表示パネル60及び液晶パネル1のX方向の両端のうち他方の端部E2に対する角度θ2と、には有意な差がある。具体的には、ユーザH2からX方向に相対的に遠い側に位置する一方の端部E1に対する角度θ1は、ユーザH2からX方向に相対的に近い側に位置する他方の端部E2に対する角度θ2に比して有意に大きい。このような視野W2を有するユーザH2に対して、表示パネル60がX方向の位置に関わらず透光率を均一にしてしまうと、一方の端部E1側では表示パネル60からの画像を視認できないが、他方の端部E2側では画像を視認できてしまうことがある。
【0037】
図5は、斜視における遠隔位置EAと近傍位置EBとで透光率が異なっているかのように視認できる視野角制御領域WAの参考例を示す図である。
図5では、遠隔位置EAから近傍位置EBに至るまで、液晶に均一の電圧が与えられている。このため、斜視における遠隔位置EAと近傍位置EBとで、パネルの視野角特性に依存した透光率の差が顕在化している。具体的には、遠隔位置EAではほとんど光の透過が生じないことによって相対的に暗くなっている一方、近傍位置EBでは遠隔位置EAよりも明らかに明るく見える程度に光の透過が生じている。このような参考例によれば、近傍位置EBでは表示パネル60からの画像を視認できる可能性が比較的高い。
【0038】
そこで、実施形態では、液晶パネル1による透光率を、X方向の位置によって異ならせる仕組みが設けられている。具体的には、
図3を参照して説明したように、駆動回路40が、配線121,…,12mに個別に電圧を印加できるよう設けられている。駆動回路40は、配線121,…,12mにそれぞれ異なる電圧を印加する。
【0039】
図6は、斜視における遠隔位置EAと近傍位置EBとで透光率が
図5に示す参考例よりも均一化された実施形態の視野角制御領域WAの例を示す図である。実施形態によれば、参考例に比して、斜視における遠隔位置EAの明るさと近傍位置EBの明るさとがより均一化している。すなわち、実施形態では、斜視における遠隔位置EAと近傍位置EBとで透光率の差がほとんどない。従って、実施形態では、参考例で生じていた近傍位置EBで表示パネル60からの画像を視認できてしまう状態の発生を抑制できる。遠隔位置EAは、例えば
図4における一方の端部E1である。近傍位置EBは、例えば
図4における他方の端部E2である。
【0040】
なお、
図6は、配線121,…,12mのm=9であり、最も近傍位置EB側の配線に3.1ボルト(V)が印加され、当該3.1Vの配線から遠隔位置EA側に向かって並ぶ他の配線に、順に、3.0V, 2.9V, 2.8V, 2.8V, 2.7V, 2.7V, 2.6V, 2.5Vが印加された場合の例を示している。隣り合う配線の電圧が異なる場合、
図2を参照して説明したように、第1電極層14において当該隣り合う配線の一方と対向する範囲が範囲V1となり、当該隣り合う配線の他方と対向する範囲が範囲V3となり、範囲V1と範囲V3との間の範囲V2が範囲V1の電位と範囲V3の電位の中間的な電位を示す。また、第2電極層22の電圧は、0Vである。
【0041】
図6を参照して説明したように透光率を制御する目的で、
図4を参照して説明した表示パネル60における画像の表示領域、すなわち、一方の端部E1から他方の端部E2までをカバーする範囲が、液晶パネル1の視野角制御領域とされている。すなわち、一方の端部E1から他方の端部E2までをカバーする範囲に、上述した第1電極層14が設けられ、配線121,…,12mが第1電極層14に対して対向配置されている。これによって、
図6を参照して説明した視野角制御領域WAのような透光率制御が実現する。
【0042】
また、液晶30は、いわゆるTN(Twisted Nematic)方式であり、第1電極層14と第2電極層22との電位差に応じた配光となるよう制御される。なお、
図1等では図示しないが、第1電極層14の液晶30側及び第2電極層22の液晶30側には、液晶分子31の初期配向を定める配向膜がさらに形成されている。当該配向膜は、例えば、第1電極層14と第2電極層22との間に電場が形成されていない液晶分子31の初期配向時に液晶パネル1の透光の度合いが最大になるいわゆるノーマリーホワイトが実現されるよう設けられている。当該配向膜は、第1電極層14と第2電極層22との間に電場が形成されていない液晶分子31の初期配向時に液晶パネル1の透光の度合いが最低になるいわゆるノーマリーブラックが実現されるよう設けられてもよい。
【0043】
上述のように、第1電極層14は、導通層12に含まれる配線に印加された電圧に応じた電荷を帯びる。通常、導通層12に対する電圧の印加が行われなくなれば、第1電極層14が帯びていた電荷も放電されて第2電極層22の電位(例えば、接地電位)と同等の電位になる。ただし、仮に第1電極層14が他のいかなる構成にも電気的に接続されていない所謂フローティング状態であると、導通層12に含まれる配線に対する電圧の印加が行われなくなったある時点の後に放電がスムースに行われない場合がありうる。この場合、当該ある時点よりも後に導通層12に含まれる配線に対する電圧の再印加が行われたとき、当該ある時点よりも前に導通層12に含まれる配線に与えられていた電圧に応じた第1電極層14の電荷の影響が当該ある時点よりも後に残ることがありうる。
【0044】
そこで、実施形態は、第1電極層14の放電をより確実に行うための仕組みを備える。具体的には、液晶パネル1は、第1電極層14と、接地電位を有する構成と、の接続と非接続とを切り替え可能なスイッチ(例えば、
図3に示すスイッチ42)が設けられている。
【0045】
図3に示すように、第1電極層14は、導通部17、接続経路配線18を介してスイッチ42と接続されている。スイッチ42は、接続経路配線18と接続経路配線19とを接続する。接続経路配線19は、リセット電位として機能する接地電位GNDを示す構成と接続されている。以下、
図1及び
図3を参照して、第1電極層14の放電をより確実に行うための仕組みについてより詳細に説明する。
【0046】
図1及び
図3に示す例では、第1電極層14は、コンタクトホールCNを介して導通部17と接続されている。コンタクトホールCNは、
図1に示す導通部17は、導通層12に含まれる。実施形態の導通部17は、導通層12の形成工程と同一の工程で配線121,…,12mと同一の素材で形成される。
【0047】
実施形態の導通部17は、視野角制御領域WAの外側に位置する。コンタクトホールCNは、絶縁層13において、導通部17の液晶30側に位置し、第1電極層14と導通部17とをZ方向に接続するよう形成されるコンタクトホールである。コンタクトホールCN内には、第1電極層14と同一の素材が進入している。
図3に示す導通部17は、第1電極層14のX方向の両端付近に設けられている。
図1ではX方向の一方の端部の導通部17を例示しているが、X方向の他方の端部についても同様の構造が設けられている。なお、導通部17は、配線121,…,12mと別個に設けられ、導通層12とは異なる導電性素材(いわゆるメタル配線と呼ばれる非透光性の導電性素材)を用いて形成されてもよい。
【0048】
接続経路配線18は、導通部17と、スイッチ42による開閉路の一端と、を接続する配線である。接続経路配線18は、第1基板11上に形成される配線である。接続経路配線18は、例えば導通層12に含まれる配線及び導通部17と同様、配線121,…,12mの形成工程と同一の工程で配線121,…,12mと同時に同一の素材で形成されてもよいし、配線121,…,12mの形成工程前に予め第1基板11の液晶30側に形成されているパターン配線であってもよい。当該パターン配線は、メタル配線であってもよい。接続経路配線18は、視野角制御領域WAの外側に設けられる。接続経路配線18は、第1電極層14におけるX方向の一方側に設けられた導通部17及び第1電極層14におけるX方向の他方側に設けられた導通部17の両方と、スイッチ42と、を接続するよう設けられている。
【0049】
スイッチ42は、接続経路配線18と接続経路配線19との間の接続を開閉可能とするスイッチとして機能する。スイッチ42による開閉路の他端は、接続経路配線19と接続される。接続経路配線19は、スイッチ42による開閉路の他端と、接地電位GNDを示す構成と、を接続する。当該接地電位GNDを示す構成は、例えば液晶パネル1に設けられた平板状の導電性部材であってもよいし、FPC45を介して接続された外部の接地箇所であってもよい。
【0050】
実施形態では、スイッチ42の開閉を制御する構成として、開閉回路43が設けられる。スイッチ42は、駆動回路40による導通層12の電圧制御と連動して、開閉回路43の開閉を制御する。具体的には、開閉回路43は、駆動回路40が配線121,…,12mに同一の電圧を印加し続ける期間中、接続経路配線18と接続経路配線19とが非接続状態になるようスイッチ42の動作を制御する。また、駆動回路40が配線121,…,12mに印加する電圧が切り替わる場合、切り替わり前と切り替わり後との間の期間に、接続経路配線18と接続経路配線19とが接続状態になる期間が生じるよう、開閉回路43は、スイッチ42の動作を制御する。また、開閉回路43は、駆動回路40が配線121,…,12mに電圧を印加しない期間中、接続経路配線18と接続経路配線19とが接続状態になるようスイッチ42を動作させてもよい。
【0051】
なお、開閉回路43は、ホスト50の制御下で動作してもよいし、駆動回路40の制御下で動作してもよい。いずれにせよ、開閉回路43の動作と、駆動回路40による配線121,…,12mに対する電圧の印加に関する動作と、は連動する。
【0052】
以上説明したように、実施形態によれば、液晶パネルである液晶パネル1は、透光性を有する第1基板11と、液晶30を挟んで対向するように配置されて透光性を有する第2基板21と、第2基板21の液晶30側に設けられてX方向に並ぶ複数の配線を含む導通層12と、導通層12の液晶30側に積層される絶縁層13と、絶縁層13の液晶30側に積層される第1電極層14と、第2基板21の液晶30側に設けられる第2電極層22と、第1電極層14とリセット電位(例えば、接地電位GND)との接続経路を開閉可能にするスイッチ42と、を備え、第1電極層14のシート抵抗は、導通層12のシート抵抗及び第2電極層22のシート抵抗よりも高い。これによって、導通層12に含まれる複数の配線の並び方向に沿って、当該並び方向の一方側から他方側に向かってなだらかに電位が高くなる又は低くなる電場を第1電極層14に形成できるようになる。従って、液晶パネル1を介して表示パネル(例えば、表示パネル60)の画像を斜視するユーザ(例えば、ユーザH2)がいたとしても、液晶パネル1は、当該ユーザから見て相対的に近傍側の端部(例えば、他方の端部E2)と相対的に遠隔側の端部(例えば、一方の端部E1)との間における当該ユーザからの視野角度の差に応じた透光率の差を当該並び方向に形成できる。従って、より確実に斜視視点からの画像の視認を抑制できる。さらに、第1電極層14と当該リセット電位との接続経路が開閉可能に設けられているので、スイッチ42の動作制御で、第1電極層14を当該リセット電位に容易に接続できる。従って、液晶30の駆動電位が与えられる電極である第1電極層14の電位をより確実にリセットできる。
【0053】
また、導通層12は、第1電極層14とスイッチ42との導通経路に介在する導通部17を含み、絶縁層13には、第1電極層14と導通部17を接続するコンタクトホールCNが設けられている。これによって、第1電極層14との接続経路の形成を導通層12の形成と同時に行える。
【0054】
また、導通部17は、矩形状の第1電極層14の四辺のうち二辺以上に沿って設けられる。これによって、第1電極層14と導通部17との接続範囲をより大きくできることから、接続経路の接続時に、第1電極層14の電位をよりスムースにリセットできる。
【0055】
また、導通層12と第1電極層14とは絶縁層13で離隔され、導通層12、第1電極層14及び第2電極層22は、透光性を有する。これによって、導通層12に含まれる複数の配線のうち当該複数の配線の並び方向(X方向)に隣り合う2つの配線間の中間電位を第1電極層14により確実に形成できる。また、導通層12、第1電極層14及び第2電極層22が透光性を有することで、液晶パネル1を介して表示パネル(例えば、表示パネル60)の画像を正面視するユーザ(例えば、ユーザH1)からの画像の視認性をより高められる。
【0056】
また、導通層12に含まれる複数の配線に個別に電圧を印加可能に設けられた駆動回路40を備える。これによって、当該複数の配線の並び方向の一端側から他端側に向かって各配線に印加される電圧が徐々に上昇又は低下する電圧制御をより容易に実現できる。
【0057】
また、駆動回路40の動作と連動してスイッチ42の開閉を制御する開閉回路43を備える。これによって、より適切なタイミングで第1電極層14をリセットできる。
【0058】
また、表示装置100は、画像を表示する表示パネル60と、表示パネル60の表示面側から表示パネル60と重ね合わせられた液晶パネル1と、を備える。表示装置100によれば、より確実に斜視視点からの画像の視認を抑制できる。
【0059】
なお、実施形態において視野角制御パネルとして機能する液晶パネルの具体的な形態は、
図1及び
図3を参照して説明した構成に限られるものでない。以下、視野角制御パネルとして機能する液晶パネルの変形例について、
図7から
図9を参照して説明する。変形例の説明では、実施形態と同様の構成について、同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0060】
(変形例1)
図7は、変形例1において導通層12に含まれる構成と接続される構成を示す模式図である。実施形態において
図3を参照して説明した導通部17に代えて、変形例1では、導通部17Aが設けられる。実施形態の導通部17と、変形例1の導通部17Aと、は、Z方向に直交する平面を正面視する視点での形状及び配置が異なる。導通部17Aは、Z方向に直交する平面を正面視する視点で矩形状の第1電極層14の四辺のうち三辺に沿って連続するよう設けられている。当該四辺のうち導通部17Aが延出しない一辺側で、導通部17Aの両端の各々と接続経路配線18とが接続されている。以上、特筆した事項を除いて、変形例1の液晶パネルは、実施形態の液晶パネル1と同様である。
【0061】
(変形例2)
図8は、変形例2において導通層12に含まれる構成と接続される構成を示す模式図である。実施形態において
図1及び
図3を参照して説明した導通層12に代えて、変形例1では、導通層12Aが設けられる。導通層12Aは、電極1201、電極1202のように、円の径方向に沿って並ぶ複数の電極を含む。当該円の中心に配置された電極1201は、円状の形状を有する。電極1201に対して当該円の径方向の外側に配置される電極1202は、円周状の形状を有する。
図8では、円周状の形状を有する電極が電極1202のみであるが、導通層12Aは、それぞれ径が異なる同心円状の円周又は円弧を描く電極を複数含んでいてもよい。電極1201、電極1202のように、円の径方向に沿って並ぶ複数の電極によって、液晶30に含まれる液晶分子31の配向による光の進行方向の制御を、凹レンズ又は凸レンズと同様にすることができる。すなわち、変形例2による導通層12Aが採用された液晶パネルは、いわゆる液晶レンズパネルとして機能する。なお、実施形態のように、X方向に沿って並ぶ複数の電極によっても、一次元方向のレンズと同様に機能するように液晶分子31の配向を制御できる。
【0062】
変形例2では、実施形態において
図3を参照して説明した導通部17に代えて、変形例1では、導通部17Bが設けられる。導通部17Bは、導通層12Aに含まれる複数の電極と駆動回路40とを接続する配線部1203が形成された部分を除いて、Z方向に直交する平面を正面視する視点で矩形状の第1電極層14の四辺に沿って連続するよう設けられている。
【0063】
なお、変形例2では、駆動回路40、接続経路配線18、スイッチ42、開閉回路43及び接続経路配線19がFPC45上にあるが、これは一例であってこれに限られるものでない。変形例2でも、実施形態と同様、駆動回路40、接続経路配線18、スイッチ42、開閉回路43及び接続経路配線19が第1基板11上に設けられてもよい。また、実施形態及び変形例1の少なくとも一方でも、
図8に示すように、駆動回路40、接続経路配線18、スイッチ42、開閉回路43及び接続経路配線19がFPC45上に設けられてもよい。以上、特筆した事項を除いて、変形例2の液晶レンズパネルの構造は、実施形態の液晶パネル1と同様である。
【0064】
なお、導通層12Aは、実施形態及び変形例1の導通層12に代えて設けることもできる。すなわち、変形例2において第1電極層14に接続されるのは、導通部17Bに限られるものでなく、導通部17又は導通部17Aであってもよい。また、導通層12と駆動回路40との接続と干渉しないように設けられるのであれば、実施形態の導通部17と変形例1の導通部17Aは、導通部17Bのように四辺をより多くカバーできる構成に置換されてよい。第1電極層14とZ方向に接続される構成の具体的な形態は、導通部17,17A,17Bに限られるものでなく、少なくとも第1電極層14と電気的に接続されていればよく、その具体的な形状は限定されない。
【0065】
(変形例3)
図9は、液晶パネル1Aの主要構成を示す模式的な断面図である。液晶パネル1Aは、
図1を参照して説明した液晶パネル1の基板10に代えて、基板10Aを備える。基板10Aは、第1基板11、導通層15、絶縁層13A、第1電極層14Aを有する。
【0066】
液晶パネル1Aにおける導通層15は、液晶パネル1における導通層12に代えて設けられる。導通層15は、第1基板11の液晶30側に形成される。導通層15は、透光性の導電性素材からなってもよいが、導通層12に比してシート抵抗が低い、メタル配線からなってもよい。導通層15で採用される透光性の導電性素材は、例えば銅であるが、これに限られるものでなく、導電性を有する他の素材が採用されてもよい。
【0067】
導通層15は、導通層12と同様、X方向に並ぶ複数の配線を含む。
図1では、当該複数の配線として、X方向の一方側から他方側に向かって並ぶ配線151配線152,153,154が例示されている。液晶パネル1において導通層12に含まれる配線121,…,12mと同様、液晶パネル1Aにおいて導通層15に含まれる複数の配線は、配線151,…,15mと表せる。
図9に示す配線151配線152,153,154は、m=4である場合の例である。
【0068】
導通層15に含まれる複数の配線は、
図3を参照して説明した配線121,…,12mと同様、駆動回路40と個別に接続される。導通層15に含まれる複数の配線に個別に電圧を印加する。導通層15に含まれる複数の配線のうちX方向に隣り合う配線同士の間には絶縁層13Aが介在している。導通層15に含まれる複数の配線のうち異なる配線同士は、絶縁層13AによってX方向に絶縁され、短絡しない。
【0069】
絶縁層13Aは、導通層15の液晶30側に積層される。絶縁層13Aは、
図9に示すように、導通層15に含まれる複数の配線(例えば、配線151配線152,153,154)の各々とZ方向に接する位置にコンタクトホールCHを有する。コンタクトホールCHは、絶縁層13Aによって形成された層をZ方向に貫通する孔である。コンタクトホールCHの内側には、第1電極層14Aが入り込んでいる。以上、特筆した事項を除いて、絶縁層13Aは、絶縁層13と同様である。
【0070】
第1電極層14Aは、絶縁層13Aの液晶30側に積層される。コンタクトホールCH内に入り込んだ第1電極層14Aは、導通層15に含まれる複数の配線と当接する。以上、特筆した事項を除いて、第1電極層14Aは、第1電極層14と同様である。
【0071】
液晶パネル1Aにおいて間隔D3と幅D4とを含んだ導通層15に含まれる複数の配線のX方向の配置ピッチが液晶パネル1Aにおいて間隔D1と間隔D1とを含んだ導通層12に含まれる複数の配線のX方向の配置ピッチと同じである場合について説明する。導通層12に含まれる複数の配線のうちX方向に隣り合う配線同士の間に絶縁層13が介在するX方向の間隔D3は、間隔D1に比して大きい。逆に、導通層15に含まれる複数の配線の各々のX方向の幅D4は、幅D2に比して小さい。これは、コンタクトホールCHがあることで第1電極層14Aと導通層15とが接することにより、幅D4が幅D2より小さくても、
図2を参照して説明した範囲V1,V2,V3の関係になるように第1電極層14Aの電位を制御できるからである。このため、導通層15を非透光性の導電性素材で形成しても、液晶パネル1A全体として、
図4を参照して説明した表示パネル60の画像の透過に実質的に問題が生じない透光性を発揮できる。変形例3では、間隔D3を幅D4よりも大きくできる。
【0072】
なお、変形例3では、第1電極層14Aと導通層15とのシート抵抗の差が100:1程度になるように、第1電極層14A及び導通層15が設けられる。以上、特筆した事項を除いて、液晶パネル1Aは、液晶パネル1と同様である。
【0073】
液晶パネル1Aは、
図4を参照して説明した液晶パネル1に代えて、バックライトとユーザ(例えば、ユーザH1,H2)との間に介在するよう配置される。変形例3及び変形例4によれば、実施形態と同様の効果を奏する。加えて、導通層15は、絶縁層13に設けられた複数のコンタクトホールCHを介して第1電極層14Aと当接するので、導通層15に含まれる複数の配線をより細くできる。従って、導通層15を、透光性を有しないより導電性の高い素材で構成でき、電力効率をより高められる。
【0074】
変形例3及び変形例4は、変形例1又は変形例2と組み合わせ可能である。なお、上述した実施形態及び変形例では、液晶30がTN方式の液晶であるとしているが、本開示による液晶パネル1,1Aは、TN方式の液晶パネルに限られるものでない。縦電界方式の液晶パネルならば、液晶パネル1,1Aのような調光パネルの方式として採用可能である。
【0075】
導通層12に含まれる複数の配線(例えば、配線121,…,12m)又は複数の電極(例えば電極1201,1202等)の具体的な形態は、上述した実施形態及び各変形例に限られるものでなく、意図された液晶の配向制御に対応した任意の形態とすることができる。
【0076】
液晶パネル1,1Aを挟んで画像を視認するユーザ(ユーザH1,H2)の反対側に設けられる表示パネル60は、液晶パネルに限られない。表示パネル60は、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)パネルのように、自発光型の表示パネルであってもよい。また、第1電極層14及び液晶パネル1のZ方向に直交する平面を正面視する視点での形状は、矩形状に限られるものでなく、任意の形状とすることができる。
【0077】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0078】
1,1A 液晶パネル
10,10A,10B,20,20B 基板
11 第1基板
12,12A,15 導通層
13 絶縁層
14 第1電極層
16,23 樹脂層
17,17A,17B 導通部
21 第2基板
22 第2電極層
30 液晶
40 駆動回路
42 スイッチ
43 開閉回路
100 表示装置