(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179293
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A01B69/00 303A
A01B69/00 303M
A01B69/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092539
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡部 克彦
(72)【発明者】
【氏名】後野 剛志
(72)【発明者】
【氏名】美馬 京志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆三
(72)【発明者】
【氏名】衣川 亮祐
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA02
2B043BB01
2B043DA01
2B043DC03
2B043EA01
2B043EA12
2B043EB10
2B043EB22
2B043EC12
2B043EC14
2B043EC19
2B043ED01
2B043ED12
2B043ED30
(57)【要約】
【課題】圃場で自動操舵された作業車両の時刻情報及び位置情報を、設定モードに応じて適切に管理する。
【解決手段】管理システムSは、作業車両1とサーバ50とを備え、作業車両1は、自動操舵の開始前の設定を行う設定モードの有効又は無効を設定する設定スイッチ17と、設定モードの有効又は無効を示す設定モード情報と計時装置40aで計時された時刻情報と車体3の位置情報とを対応付けた関係情報を、記憶する第1記憶装置41と、第1記憶装置41が記憶した関係情報をサーバ50に送信する第1通信装置42と、を備え、サーバ50は、第1通信装置42から送信された関係情報を受信する第2通信装置52と、第2通信装置52が受信した関係情報を記憶する第2記憶装置53と、設定モード情報に基づいて、第2記憶装置53に記憶された関係情報を管理する情報管理部51aと、を備える。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両とサーバとを備える管理システムにおいて、
前記作業車両は、
作業装置と、
手動操舵と、基準ラインに基づく自動操舵と、のいずれかで走行可能な車体と、
前記車体の位置を検出する位置検出装置と、
計時装置と、
前記自動操舵の開始前の設定を行う設定モードの有効又は無効を設定する設定スイッチと、
前記設定モードの有効又は無効を示す設定モード情報と前記計時装置で計時された時刻情報と前記車体の位置情報と前記作業車両の設定情報とを対応付けた関係情報を、記憶する第1記憶装置と、
前記第1記憶装置が記憶した前記関係情報を前記サーバに送信する第1通信装置と、を備え、
前記サーバは、
前記第1通信装置から送信された前記関係情報を受信する第2通信装置と、
前記第2通信装置が受信した前記関係情報を記憶する第2記憶装置と、
前記設定モード情報に基づいて、前記第2記憶装置に記憶された前記関係情報を管理する情報管理部と、を備える管理システム。
【請求項2】
前記サーバは、
圃場マップを記憶するマップ記憶装置と、
前記第2記憶装置に記憶された前記関係情報のうちで、前記設定モード情報が示す前記設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ複数の前記位置情報を一つずつ前記圃場マップが示す圃場内にあるか否かの内外判定を行うことにより、前記複数の位置情報のそれぞれについて該当する圃場を特定し、同じ圃場が連続して特定されている一連の前記位置情報に対応付けられた前記時刻情報に基づいて前記作業車両の作業時間を特定する特定部と、を備える請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記サーバは、
圃場マップを記憶するマップ記憶装置と、
前記第2記憶装置に記憶された前記関係情報のうちで、前記設定モード情報が示す前記設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ一群の前記位置情報に対応付けられた前記時刻情報に基づいて前記作業車両の作業時間を特定し、一群の前記位置情報を集計して第1重心を算出し、前記圃場マップに含まれる複数の圃場の各重心のうちで、前記第1重心に最も近い重心を特定し、前記最も近い重心の圃場を、前記圃場として特定する特定部と、を備える請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記特定部が特定した圃場と、前記特定部が特定した作業時間と、前記作業時間に対応する前記第2記憶装置の前記関係情報とを関連付けて管理する情報管理部を備える請求項2又は3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記圃場マップは、少なくとも第1圃場を示すマップを含み、
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した場合又は前記第1圃場以外の位置を示す値が第1判定期間に亘って継続されている場合に、前記第1圃場内の最後の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻を前記作業時間の終了時刻であると特定する請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した時刻から前記第1判定期間内に前記第1圃場内の位置を示す値になった場合に、前記変化した時刻を前記作業時間の終了時刻としない請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
前記圃場マップは、少なくとも第1圃場を示すマップを含み、
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記時刻情報が作業日よりも後の日になった場合に、前記作業日において前記第1圃場内の最後の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻を前記作業日での最終作業時刻とすると共に、前記後の日において前記第1圃場内の最初の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻から前記第1圃場内の最後の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻までを前記後の日における前記作業時間と特定する請求項4に記載の管理システム。
【請求項8】
前記圃場マップは、少なくとも第1圃場を示すマップを含み、
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが無効に切り換えられ、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した時刻が属する日と同日に、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値になった場合に、前記第1圃場についての先の作業時間と同日の後の作業時間とを区別する請求項4に記載の管理システム。
【請求項9】
前記圃場マップは、少なくとも第1圃場を示すマップを含み、
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した時刻が属する日と同日に、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値になった場合に、前記第1圃場についての先の作業時間と同日の後の作業時間とを纏めた作業時間とする請求項4に記載の管理システム。
【請求項10】
前記圃場マップは、少なくとも第1圃場を示すマップと、前記第1圃場以外の第2圃場を示すマップとを含み、
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第2圃場内の位置を示す値に変化した場合又は前記第2圃場内の位置情報が第2判定期間に亘って継続されている場合に、前記第2圃場内の最初の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻を前記作業時間の開始時刻であると特定する請求項4に記載の管理システム。
【請求項11】
前記作業車両は、
予め定められた第1期間が経過する毎に、前記時刻情報及び前記位置情報を対応付けた第1関係情報を前記関係情報として生成して前記第1記憶装置に記憶させ、前記第1期間よりも長い予め定められた第2期間が経過すると、前記第2期間において生成されて前記第1記憶装置に記憶された複数の前記関係情報を、前記第1通信装置によって前記サーバに送信させる制御装置を備える請求項4に記載の管理システム。
【請求項12】
前記情報管理部は、前記第2記憶装置に記憶された複数の前記第1関係情報を前記時刻情報に基づいて時間経過順に並べた場合に、前記第1期間よりも長く且つ前記第2期間よりも短い予め定められた第3期間に含まれる複数の前記第1関係情報のうち1つのみを残し、それ以外を削除することを、当該第3期間ごとに行う請求項11に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両による圃場での作業に関する情報を管理する管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアリングハンドルによる手動操舵と走行基準ラインに基づく自動操舵とのいずれかで走行可能な車体と、走行基準ラインを設定する登録スイッチと、を備える第1作業車両と、手動操舵と走行基準ラインに基づく自動操舵とのいずれかで走行可能な車体を有する第2作業車両とを支援する管理システムが記載されている。この管理システムは、第1作業車両が設定した走行基準ラインに関する基準情報を記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶された基準情報を第2作業車両に送信する通信装置と、を有するサーバを備えている。この構成により、基準情報を簡単に第2作業車両と共有化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された管理システムでは、圃場で自動操舵された作業車両の時刻情報及び位置情報を、設定モードに応じて適切に管理することができない。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、圃場で自動操舵された作業車両の時刻情報及び位置情報を、設定モードに応じて適切に管理することができる管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る管理システムは、作業車両とサーバとを備え、前記作業車両は、作業装置と、手動操舵と、基準ラインに基づく自動操舵と、のいずれかで走行可能な車体と、前記車体の位置を検出する位置検出装置と、計時装置と、前記自動操舵の開始前の設定を行う設定モードの有効又は無効を設定する設定スイッチと、前記設定モードの有効又は無効を示す設定モード情報と前記計時装置で計時された時刻情報と前記車体の位置情報と前記作業車両の設定情報とを対応付けた関係情報を、記憶する第1記憶装置と、前記第1記憶装置が記憶した前記関係情報を前記サーバに送信する第1通信装置と、を備え、前記サーバは、前記第1通信装置から送信された前記関係情報を受信する第2通信装置と、前記第2通信装置が受信した前記関係情報を記憶する第2記憶装置と、前記設定モード情報に基づいて、前記第2記憶装置に記憶された前記関係情報を管理する情報管理部と、を備える。
【0006】
前記サーバは、圃場マップを記憶するマップ記憶装置と、前記第2記憶装置に記憶された前記関係情報のうちで、前記設定モード情報が示す前記設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ複数の前記位置情報を一つずつ前記圃場マップが示す圃場内にあるか否かの内外判定を行うことにより、前記複数の位置情報のそれぞれについて該当する圃場を特定し、同じ圃場が連続して特定されている一連の前記位置情報に対応付けられた前記時刻情報に基づいて前記作業車両の作業時間を特定する特定部と、を備えてもよい。
【0007】
前記サーバは、圃場マップを記憶するマップ記憶装置と、前記第2記憶装置に記憶された前記関係情報のうちで、前記設定モード情報が示す前記設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ一群の前記位置情報に対応付けられた前記時刻情報に基づいて前記作業車両の作業時間を特定し、一群の前記位置情報を集計して第1重心を算出し、前記圃場マップに含まれる複数の圃場の各重心のうちで、前記第1重心に最も近い重心を特定し、前記最も近い重心の圃場を、前記圃場として特定する特定部と、を備える。
【0008】
前記情報管理部は、前記特定部が特定した圃場と、前記特定部が特定した作業時間と、前記作業時間に対応する前記第2記憶装置の前記関係情報とを関連付けて管理してもよい。
前記圃場マップは、少なくとも第1圃場を示すマップを含み、前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した場合又は前記第1圃場以外の位置を示す値が第1判定期間に亘って継続されている場合に、前記第1圃場内の最後の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻を前記作業時間の終了時刻であると特定してもよい。
【0009】
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した時刻から前記第1判定期間内に前記第1圃場内の位置を示す値になった場合に、前記変化した時刻を前記作業時間の終了時刻としないとしてもよい。
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記時刻情報が作業日よりも後の日になった場合に、前記作業日において前記第1圃場内の最後の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻を前記作業日での最終作業時刻とすると共に、前記後の日において前記第1圃場内の最初の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻から前記第1圃場内の最後の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻までを前記後の日における前記作業時間と特定してもよい。
【0010】
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが無効に切り換えられ、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した時刻が属する日と同日に、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値になった場合に、前記第1圃場についての先の作業時間と同日の後の作業時間とを区別してもよい。
前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第1圃場以外の位置を示す値に変化した時刻が属する日と同日に、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値になった場合に、前記第1圃場についての先の作業時間と同日の後の作業時間とを纏めた作業時間としてもよい。
【0011】
前記圃場マップは、少なくとも第1圃場を示すマップと、前記第1圃場以外の第2圃場を示すマップとを含み、前記特定部は、前記設定モード情報の前記設定モードが有効のままであり、且つ、前記位置情報が前記第1圃場内の位置を示す値から前記第2圃場内の位置を示す値に変化した場合又は前記第2圃場内の位置情報が第2判定期間に亘って継続されている場合に、前記第2圃場内の最初の位置情報に対応する前記時刻情報が示す時刻を前記作業時間の開始時刻であると特定してもよい。
【0012】
前記作業車両は、前記関係情報を生成し前記第1記憶装置に記憶させる制御装置を備え、前記制御装置は、前記設定モードが有効である場合には、前記関係情報を生成して前記第1通信装置から前記サーバに送信させ、前記設定モードが無効である場合には、前記時刻情報と前記位置情報とを対応付けた関係情報を生成して前記第1通信装置から前記サーバに送信させてもよい。
【0013】
前記作業車両は、予め定められた第1期間が経過する毎に、前記時刻情報及び前記位置情報を対応付けた第1関係情報を前記関係情報として生成して前記第1記憶装置に記憶させ、前記第1期間よりも長い予め定められた第2期間が経過すると、前記第2期間において生成されて前記第1記憶装置に記憶された複数の前記関係情報を、前記第1通信装置によって前記サーバに送信させる制御装置を備えてもよい。
【0014】
前記情報管理部は、前記第2記憶装置に記憶された複数の前記第1関係情報を前記時刻情報に基づいて時間経過順に並べた場合に、前記第1期間よりも長く且つ前記第2期間よりも短い予め定められた第3期間に含まれる複数の前記第1関係情報のうち1つのみを残し、それ以外を削除することを、当該第3期間ごとに行うとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記管理システムによれば、圃場で自動操舵された作業車両の時刻情報及び位置情報を、設定モードに応じて適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態における管理システムSの全体図である。
【
図3】ライン定義部40cが基準ラインL1、走行予定ラインL2を定義する例を示す図である。
【
図4】基準ラインL1と走行予定ラインL2とを示す図である。
【
図5A】手動操舵を行い、基準ラインL1を定義するフローチャートを示す図である。
【
図5B】走行予定ラインL2を定義して、自動操舵を行うフローチャートを示す図である。
【
図6】補正部40c1が基準ラインL1を補正するフローチャートを示す図である。
【
図7】補正部40c1による走行予定ラインL2及び基準ラインL1の補正を説明する図である。
【
図8C】第2設定情報及び第3設定情報の一例を示す図である。
【
図9A】作業車両1の走行経路と第1期間毎に取得された各位置情報PIとを示す図である。
【
図9B】
図9Aに示す走行経路での基準ラインL1の始点及び終点と、自動操舵の開始及び終了の各位置とを示す図である。
【
図9C】
図9Aに示す走行経路において作業車両1の設定情報SI(変更あり)を示す図である。
【
図10A】作業車両1が第2期間において生成されてサーバ50に送信される関係情報RDの一例を示す図である。
【
図10B】サーバ50にて重複する関係情報RDを削除して管理する例を示す図である。
【
図11】作業車両1の制御装置40が行う処理を示すフローチャートである。
【
図12A】サーバ制御装置51が行う関係情報RDの管理処理を示すフローチャートである。
【
図12B】第1実施形態の変形例における管理処理を示すフローチャートである。
【
図13】サーバ50にて管理する関係情報RDを作業車両1がダウンロードして実行する流れを示す図である。
【
図14】第2実施形態における管理システムSの全体図である。
【
図15A】第2実施形態における作業時間管理処理の一例を示す図である。
【
図15B】第2実施形態における圃場の判定処理の一例を示す図である。
【
図15C】GPSの位置情報又は圃場マップMPに位置ずれがあった場合に作業車両の位置情報が第2圃場H2に入ったとされる例を示す図である。
【
図15D】GPSの位置情報又は圃場マップMPに位置ずれがあった場合でも作業車両の位置情報が第1圃場H1に位置すると正しく判定されることを示す図である。
【
図15E】第2実施形態における作業時間特定処理の一例を示す図である。
【
図15F】第3実施形態における作業時間管理処理の一例を示す図である。
【
図16】圃場と作業時間と設定情報SIとを紐づけたデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における管理システムSの全体図を示している。
図1に示すように、管理システムSは、作業車両1とサーバ50とを備えている。作業車両1は、サーバ50と通信可能となっている。第1実施形態における管理システムSは、自動操舵される作業車両1の設定情報SIを含む関係情報RDをサーバ50に送信し、サーバ50にて関係情報RDを記憶して管理することができる。
【0018】
まず、作業車両1について、
図17を用いて説明する。
図17は、作業車両1の側面図である。
図17に示すように、本実施形態において、作業車両1は、トラクタである。なお、作業車両1は、トラクタに限定されず、コンバインや移植機等の農業機械(農業車両)であってもよいし、ローダ作業機等の建設機械(建設車両)等であってもよい。
図17に示すように、作業車両1は、車体3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。車体3は、走行装置7を有しており、走行装置7によって走行可能である。車体3は、手動操舵と基準ラインL1に基づく自動操舵とのいずれかで走行可能である。
【0019】
走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。なお、
図17に示す例において、前輪7F及び後輪7Rは、タイヤ型であるが、クローラ型であってもよい。
原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ等であって、この実施形態ではディーゼルエンジンで構成されている。変速装置5は、速度段を切り換えることで走行装置7の推進力を切換可能であり、且つ走行装置7の前進及び後進を切換可能である。また、
図17に示すように、車体3には運転者が着座する運転席10が設けられている。
【0020】
本実施形態の記載において、作業車両1の運転席10に着座した運転者が向く方向(
図17の左側)を前方といい、その反対方向(
図17の右側)を後方という。また、運転者の左側(
図17の手前側)を左方といい、運転者の右側(
図17の奥側)を右方という。なお、車体3の前後方向に直交する方向を機体幅方向(幅方向)ということがある。
車体3の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部8が設けられている。連結部8には、作業装置2を着脱可能である。作業車両1は、連結部8に作業装置2を連結し、走行装置7が駆動することで当該連結された作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、耕耘作業を行う耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、及び牧草等の成形を行う成形装置等である。
【0021】
なお、作業装置2は、作業車両1の連結部8に連結され、又は作業車両1に設けられ、作業を行う装置であればよく、上述した例に限定されない。例えば、作業車両1がコンバインである場合、作業装置2は、作物の刈取等を行う刈取装置及び脱穀を行う脱穀装置等を含んでいる。また、作業車両1が田植機である場合、作業装置2は、苗の植付を行う植付装置を含んでいる。
【0022】
図1に示すように、作業車両1は、制御装置40と、第1記憶装置41とを備えている。制御装置40は、作業車両1における走行系の制御、作業系の制御などを行う装置である。制御装置40は、電気・電子部品、及びプログラム等から構成されている。制御装置40は、時間を計測(計時)する計時装置40aを有している。計時装置40aは、例えば、リアルタイムクロックなどであり、時間(西暦、日付、時刻)を計測する。
【0023】
第1記憶装置41は、不揮発性のメモリ等であり、種々のプログラム等や作業車両1に関する様々な情報を記憶することができる。例えば、制御装置40は、計時装置40aが計時した時間と、その他の情報と、を関連付けて第1記憶装置41に記憶させることができる。
制御装置40には、車体3に設けられたアクセル部材(アクセルペダル、アクセルレバー)15と、変速部材(変速レバー、変速スイッチ)16と、が接続されている。アクセル部材15は、運転者が手動で作業車両1(車体3)の走行速度、つまり車速を操作する部材である。制御装置40は、アクセル部材15から出力された操作信号に基づいて、車体3の走行速度を制御する。具体的には、制御装置40は、アクセル部材15の操作量と、第1記憶装置41に予め記憶された制御マップに基づいて車体3の走行速度を制御する。
【0024】
変速部材16は、運転者が手動で変速装置5の速度段を操作する部材である。制御装置40は、変速部材16から出力された操作信号に基づいて、変速装置5の速度段を変更する。なお、本実施形態において、制御装置40が変速部材16の操作に基づいて変速装置5の速度段を変更するが、変速部材16は、制御装置40を介さず、直接的に変速装置5の速度段を変更するような構成であってもよい。
【0025】
図1に示すように、作業車両1は、第1通信装置42を備えている。第1通信装置42は、サーバ50と通信可能である。第1通信装置42は、例えば、データ通信網、携帯電話通信網等によって無線通信を行う装置である。なお、第1通信装置42は、サーバ50に直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信モジュールであって、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標)Low Energy、通信規格IEEE802.11.nシリーズのWiFi(登録商標)等によって無線通信を行うものであってもよい。
【0026】
図1に示すように、作業車両1は、位置検出装置(測位装置)43を備えている。位置検出装置43は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置情報(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、位置検出装置43は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻等)を受信し、衛星信号に基づいて位置情報(例えば、緯度、経度)を検出する。位置検出装置43は、受信装置44と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)45とを有している。受信装置44は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置45とは別に車体3に取付けられている。この実施形態では、受信装置44は、車体3に設けられたロプスに取付けられている。なお、受信装置44は、測位衛星から送信された衛星信号を受信できればよく、その取付箇所は、ロプスに限定されない。
【0027】
慣性計測装置45は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。車体3、例えば、運転席10の下方に設けられ、慣性計測装置45によって、車体3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
図1に示すように、作業車両1は、操舵装置11を備えている。操舵装置11は、運転者の操作によって車体3の操舵を行う手動操舵と、運転者の操作によらずに自動的に車体3の操舵を行う自動操舵とを行うことが可能な装置である。
【0028】
操舵装置11は、ステアリングハンドル(ステアリングホイール)30と、ステアリングハンドル30を回転可能に支持するステアリングシャフト(回転軸)31とを有している。また、操舵装置11は、補助機構(パワーステアリング装置)32を有している。補助機構32は、油圧等によってステアリングシャフト31(ステアリングハンドル30)の回転を補助する。補助機構32は、油圧ポンプ33と、油圧ポンプ33から吐出した作動油が供給される制御弁34と、制御弁34により作動するステアリングシリンダ35とを含んでいる。制御弁34は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁であり、ステアリングシャフト31の操舵方向(回転方向)に対応して切り換わる。ステアリングシリンダ35は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)36に接続されている。
【0029】
したがって、運転者がステアリングハンドル30を把持して第1方向又は当該第1方向の反対方向である第2方向に操作すれば、ステアリングハンドル30の回転方向に対応して制御弁34の切換位置及び開度が切り換わる。このため、制御弁34の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ35が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。つまり、車体3は、ステアリングハンドル30の手動操舵によって、進行方向を左又は右に変更することができる。
【0030】
図1に示すように、操舵装置11は、自動操舵機構37を有している。自動操舵機構37は、車体3の自動操舵を行う機構であって、位置検出装置43で検出された車体3の位置(車体位置P)に基づいて車体3を自動操舵する。自動操舵機構37は、ステアリングモータ38とギア機構39とを備えている。ステアリングモータ38は、車体位置Pに基づいて、回転方向、回転速度、及び回転角度等が制御可能なモータである。ギア機構39は、ステアリングシャフト31に設けられ且つステアリングシャフト31と供回りするギアと、ステアリングモータ38の駆動軸に設けられ且つ当該駆動軸と供回りするギアとを含んでいる。ステアリングモータ38の駆動軸が回転すると、ギア機構39を介して、ステアリングシャフト31が自動的に回転(回動)し、車体位置Pが走行予定ラインL2に一致するように、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、作業車両1は、ステアリングハンドル30を有する操舵装置11を備え、操舵装置11によって前輪7Fの向きを変えて操舵方向を変更しているが、これに限定されない。車体3は、手動操舵及び自動操舵による操舵方向(進行方向)の変更が可能であればよく、進行方向を変更する機構は、上述した機構に限定されない。
次に、車体3の自動操舵の制御について説明する。作業車両1は、所定の基準ラインL1を取得し、基準ラインL1に平行な走行予定ラインL2に基づいて自動操舵を行うことができる。自動操舵機構37は、自動操舵において、位置検出装置43によって検出された車体位置Pと走行予定ラインL2とが一致するように、作業車両1(車体3)の進行方向の操舵を自動的に行う。
【0032】
図1に示すように、制御装置40は、自動操舵制御部40bを有している。自動操舵制御部40bは、制御装置40に設けられており、制御装置40に設けられた電気・電子部品、及び第1記憶装置41に組み込まれたプログラム等から構成されている。
図2Aに示すように、自動操舵制御部40bは、車体3が走行予定ラインL2に沿って走行するように自動操舵機構37のステアリングモータ38を制御する。なお、自動操舵制御部40bが自動操舵を行っている場合、運転者は、アクセル部材15及び変速部材16を操作して、車体3の走行速度及び変速装置5の速度段を変更することができる。
【0033】
以下、自動操舵制御部40bによる自動操舵機構37の制御について詳しく説明する。
図2Aに示すように、車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差が所定値未満である場合、自動操舵制御部40bは、ステアリングモータ38の回転軸の回転角を維持させる。
また、
図2Bに示すように、車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差(位置偏差)が所定値以上であって、作業車両1が走行予定ラインL2に対して左側に位置している場合、自動操舵制御部40bは、作業車両1の操舵方向が右方向となるようにステアリングモータ38の回転軸を回転させる。即ち、車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差(位置偏差)が所定値以上であって、作業車両1が走行予定ラインL2に対して左側に位置している場合、自動操舵制御部40bは、位置偏差が零となるように操舵角を変更し、前輪7Fを右方向に操舵する。
【0034】
そして、
図2Cに示すように、車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差が所定値以上であって、作業車両1が走行予定ラインL2に対して右側に位置している場合、自動操舵制御部40bは、作業車両1の操舵方向が左方向となるようにステアリングモータ38の回転軸を回転させる。即ち、車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差が所定値以上であって、作業車両1が走行予定ラインL2に対して右側に位置している場合、自動操舵制御部40bは、位置偏差が零となるように操舵角を変更し、前輪7Fを左方向に操舵する。
【0035】
なお、上述した
図2A~
図2Cでは、車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差に基づいて操舵装置11の操舵角を変更していた。これに対して、
図2Dに示すように、走行予定ラインL2の方位と作業車両1(車体3)の進行方向(走行方向)の方位(車体方位)F1とが異なる場合、即ち、走行予定ラインL2に対する車体方位F1の角度θgが所定値以上である場合、自動操舵制御部40bは、角度θgが零になる(車体方位F1が走行予定ラインL2の方位に一致する)ように操舵角を定義してもよい。また、自動操舵制御部40bは、偏差(位置偏差)から演算した操舵角と、方位(方位偏差)から演算した操舵角と、に基づいて、自動操舵における最終の操舵角を定義してもよい。なお、自動操舵制御部40bは、自動操舵の操舵角を定義できればよく、その定義方法は、上述した例に限定されない。
【0036】
作業車両1は、表示装置25を備えている。表示装置25は、例えば、液晶表示パネル、有機ELパネルなどである。表示装置25は、制御装置40に接続され、作業車両1に関する表示、作業装置2に関する表示を行うことができる。また、表示装置25は、タッチパネル機能を有していてもよい。例えば、表示装置25は、入力操作が可能なタッチディスプレイ等の表示画面を備え、入力された情報(作業車両1の自動操舵に関する情報、作業装置2の作業情報など)を制御装置40に出力する。このように、表示装置25は入力装置(入力インターフェース)を具備してもよい。この場合には、表示装置25は、運転者からの様々な情報の入力を受け付けることが可能となる。制御装置40は、表示装置25(入力装置)から出力された情報(作業車両1の自動操舵に関する情報、作業装置2の作業情報など)を第1記憶装置41に記憶することができる。
【0037】
図1に示すように、作業車両1は、設定スイッチ17を備えている。設定スイッチ17は、制御装置40に接続されている。設定スイッチ17は、少なくとも自動操舵の開始前の設定を行う設定モードに切り換えるスイッチである。設定モードは、自動操舵を開始する前に当該自動操舵に関する様々な設定を行うモードであり、例えば、基準ラインL1の始点、終点の設定等を行うモードである。また、設定モードは、基準ラインL1の設定後において、走行予定ラインL2に基づく自動操舵が可能なモードでもある。
【0038】
設定スイッチ17は、ON又はOFFに切換可能であり、ONである場合には設定モードが有効である信号を制御装置40に出力し、OFFである場合には設定モードが無効である信号を制御装置40に出力する。また、設定スイッチ17は、ONである場合には設定モードが有効である信号を後述する表示装置25に出力し、OFFである場合には設定モードが無効である信号を表示装置25に出力する。
【0039】
図3は、ライン定義部40cが基準ラインL1、走行予定ラインL2を定義する例を示す図である。
図3に示すように、運転者は、基本的に、作業車両1を圃場H(フィールド)に入場させる場合(例えば、入場直前、入場時、入場後など)に設定スイッチ17をONにする。また、運転者は、作業車両1を圃場Hから退場させる場合(例えば、退場前、退場時、退場直後など)に設定スイッチ17をOFFにする。
【0040】
また、
図1に示すように、作業車両1は、操舵切換スイッチ19を備えている。操舵切換スイッチ19は、自動操舵の開始(自動操舵の設定)及び終了(自動操舵の解除)を操作できるスイッチである。本実施形態においては、操舵切換スイッチ19は、
図3に示すように揺動操作可能なレバースイッチである。操舵切換スイッチ19は、制御装置40と接続されており、操作信号を制御装置40に出力することができる。
【0041】
自動操舵制御部40bは、設定スイッチ17がONである場合(設定モード)に、操舵切換スイッチ19の操作に基づいて、自動操舵を開始し、又は自動操舵を終了する。逆に言えば、設定スイッチ17がOFFである場合(設定モードでない)に、操舵切換スイッチ19が操作されても、自動操舵制御部40bは、自動操舵を開始しない。具体的には、運転者により、設定スイッチ17がONにされた上で、操舵切換スイッチ19が操作(第3操作)されると、自動操舵制御部40bは、作業車両1の自動操舵を開始する。また、作業車両1の自動操舵中に、操舵切換スイッチ19が操作(第4操作)されると、自動操舵制御部40bは、作業車両1の自動操舵を終了する。なお、操舵切換スイッチ19及び後述する登録スイッチ18は、
図17に示すような共通の操作部材21によって操作するような構成であってもよく、その構成は、上述した構成に限定されない。
【0042】
図8Aは、関係情報RDの一例を示す図である。制御装置40は、計時装置40aで計時された時刻情報TIと、位置検出装置43で検出された車体3の位置情報PI(例えば、緯度、経度)及び作業車両1の設定情報SIのうちの少なくとも一方と、を対応付けた関係情報RDを生成して第1記憶装置41に記憶させる。作業車両1の設定情報SIは、第1設定情報(主情報)と第2設定情報(フラグ情報)と、第3設定情報(状況情報)とを有する。
【0043】
図8Bは、第1設定情報の一例を示す図である。
図8Bに示すように、第1設定情報は、各種のデータD1~D7を含む。データD1は、自動操舵時の車両の走行方向を示す基準ラインL1又は基準線方位を示す。データD2は、自動操舵時の作業種類(例えばロータリ、うね立て、代かきなど)を示す。データD3は、自動操舵時の作業幅(例えば作業幅、うね幅など)を示す。うね幅は、うね立ての際に設定する、作成するうねの幅である。データD4は、作業範囲の重なり幅であるオーバーラップ幅(ラップ代)、うね数などを示す。うね数は、うね立ての際に設定する、作成するうねの数である。データD5は、設定した経路を示す作業経路(例えば、経路の種類、隣接に旋回、1つ飛ばして旋回など)を示す。データD6は、自動操舵時の制御の感度調整(例えば、制御パラメータである制御ゲインなど)を示す。データD7は、基準ラインL1の設定に関する設定ステータスを示す。例えば、この設定ステータスは、始点と終点とを取得して基準ラインL1又は基準線方位の計算、サーバ50からダウンロード等といった基準ラインL1又は基準線方位の設定方法を示すものである。
【0044】
図8Cは、第2設定情報及び第3設定情報の一例を示す図である。第2設定情報は、設定モードフラグFL1、始点フラグFL2、終点フラグFL3及び直進アシストフラグFL4を含む。設定モードフラグFL1は、自動操舵関係の操作が可能な状態を示す値であり、設定スイッチ17がONにされる(設定モードである場合)とオンとなり、設定スイッチ17がOFFにされる(設定モードでない場合)とオフとなる。始点フラグFL2は、始点Psを取得したことを示すフラグであり、基準ラインL1の始点Psが設定された場合にオンとなり、基準ラインL1の始点Psが設定されていない場合にオフとなる。終点フラグFL3は、終点Pgを取得したことを示すフラグであり、基準ラインL1の終点Pgが設定された場合にオンとなり、基準ラインL1の終点Pgが設定されていない場合にオフとなる。直進アシストフラグFL4は、自動操舵実施中を示すフラグであり、設定モードフラグFL1がオンである場合において、操舵切換スイッチ19が第3操作されるとオンとなり、操舵切換スイッチ19が第4操作されるとオフとなる。第3設定情報は、データD8を含む。データD8は、例えば、単独測位、相対測位などの測位状況を示す。
図8Cに示す緯度PY及び経度PXは、位置情報PIであって、それぞれ緯度を示す情報、経度を示す情報である。
【0045】
制御装置40は、第1記憶装置41に記憶された関係情報RDを、第1通信装置42によってサーバ50に送信させる。
ここで、作業車両1での関係情報RDの生成及び記憶について説明する。関係情報RDは、生成条件によって内容が異なり、様々なタイミングで生成される。制御装置40は、生成条件によって内容の異なる関係情報RD(例えば、第1関係情報1RD、第2関係情報2RD、第3関係情報3RDなど)を生成する。
【0046】
図8Aに示すように、制御装置40は、第1生成条件が成立すると(予め定められた第1期間(例えば、6秒)が経過する毎)、計時装置40aで計時された時刻情報TIと、位置検出装置43で検出された車体3の位置情報PIと、を対応付けた第1関係情報1RDを、関係情報RDとして生成して第1記憶装置41に記憶させる。つまり、制御装置40は、設定モードであるか否かに関わらず、第1期間(6秒)が経過する毎に、関係情報RD(時刻情報TIと位置情報PIとを紐づけた第1関係情報1RD)を生成し、第1記憶装置41に記憶させる。
【0047】
また、制御装置40は、第2生成条件が成立すると(第2設定情報の設定モードフラグFL1が変更されたとき)、時刻情報TIと、作業車両1の設定情報SIのうちの第2設定情報の設定モードフラグFL1と、を対応付けた第2関係情報2RDを、関係情報RDとして生成して第1記憶装置41に記憶させる。つまり、制御装置40は、設定モードについての変更指示がされると、関係情報RD(時刻情報TIと設定モードフラグFL1とを紐づけた第2関係情報2RD)を生成して、第1記憶装置41に記憶させる。
【0048】
また、制御装置40は、第3生成条件が成立すると(第2設定情報の直進アシストフラグFL4が変更されたとき)で、時刻情報TIと、作業車両1の設定情報SIのうちの第2設定情報の直進アシストフラグFL4と、作業車両1の設定情報SIのうちの第1設定情報と、を対応付けた第3関係情報3RDを、関係情報RDとして生成して第1記憶装置41に記憶させる。つまり、制御装置40は、自動操舵の開始又は終了とされると、関係情報RD(時刻情報TIと直進アシストフラグFL4と第1設定情報とを紐づけた第3関係情報3RD)を生成して、第1記憶装置41に記憶させる。
【0049】
また、制御装置40は、作業車両1の設定情報SIの第1設定情報についての変更指示がされると、関係情報RD(つまり、時刻情報TIと第1設定情報とを紐づけた関係情報RD)を生成して、第1記憶装置41に記憶させる。
また、制御装置40は、作業車両1の設定情報SIの第2設定情報の始点フラグFL2、終点フラグFL3についての変更指示がされると(登録スイッチ18が操作されると)、関係情報RD(つまり、時刻情報TIと位置情報PIと第2設定情報の始点フラグFL2又は終点フラグFL3とを紐づけた関係情報RD)を生成して、第1記憶装置41に記憶させる。
【0050】
次に、作業車両1がサーバ50に関係情報RDを送信するタイミングについて説明する。制御装置40は、第1期間(6秒)よりも長い予め定められた第2期間(例えば、10分)が経過する毎に、第2期間において生成されて第1記憶装置41に記憶された複数の関係情報RDを、第1通信装置42によってサーバ50に送信させる。つまり、第2期間(10分)において、第1期間(6秒)ごとに1個の第1関係情報1RDが逐次に生成され、第2、第3生成条件が成立した場合に第2、第3関係情報2RD、3RDが生成される。このため、第2期間(10分)において生成された複数(例えば、100個以上)の関係情報RDが、第2期間(10分)の経過直後にサーバ50に一度に送信される。制御装置40は、計時機能(例えばソフトウエア・クロック)を有しており、第1期間、第2期間などの周期的な経過の有無を判定することができる。なお、第1期間≦第2期間の関係を満たせば、第1期間及び第2期間は上記の各値(6秒、10分)以外の値であってもよい。
【0051】
図1に示すように、作業車両1は、ライン定義部40cを備えている。具体的には、ライン定義部40cは、制御装置40に設けられており、制御装置40に設けられた電気・電子部品、及び第1記憶装置41に組み込まれたプログラム等から構成されている。ライン定義部40cは、設定モードである場合に、車体3が手動操舵を行っている際の車体3の走行情報に基づいて、基準ラインL1を定義する。車体3の走行情報は、位置検出装置43が検出した位置情報PIである。本実施形態において、車体3の走行情報は車体位置Pの位置情報PIであり、
図3に示すように、ライン定義部40cは、車体3が手動操舵を行っている際に、所定の始点Psと所定の終点Pgとを定義することで、当該始点Ps及び終点Pgを通る直線の位置情報PIを基準ラインL1として定義する。ライン定義部40cは、定義した基準ラインL1を第1記憶装置41に記憶させる。
【0052】
なお、車体3の走行情報が車体位置Pの位置情報PIである場合、位置検出装置43は、少なくとも車体3の位置情報PI(車体位置P)を検出できればよく、車体3の方位(車体方位F1)を検出できなくてもよい。以下、説明の都合上、少なくとも車体3の位置情報PI(車体位置P)を検出できる位置検出装置43のことを第1位置検出装置43Aということがある。
また、本実施形態において、走行情報は車体位置Pの位置情報PIであるが、走行情報は、車体3の方位(車体方位F1)を示す方位情報であってもよい。斯かる場合において、ライン定義部40cは、基準ラインL1として、始点Ps及び終点Pgを通る直線が示す方位を定義する。言い換えると、ライン定義部40cは、基準ラインL1を示す方位を定義する。
【0053】
なお、車体3の走行情報が車体方位F1を示す方位情報である場合、位置検出装置43は、少なくとも車体3の車体方位F1を検出できればよく、車体3の位置情報PIを検出できなくてもよい。以下、説明の都合上、少なくとも車体3の方位情報(車体方位F1)を検出できる位置検出装置43のことを第2位置検出装置43Bということがある。
図1に示すように、作業車両1は、登録スイッチ18を備える。ライン定義部40cは、設定モードである場合に、圃場Hにおける基準ラインL1の始点Ps及び終点Pgを取得し、当該取得した始点Ps及び終点Pgに基づいて基準ラインL1を定義する。
【0054】
登録スイッチ18は、操作可能なスイッチ操作具であり、例えば押しボタンスイッチである。また、登録スイッチ18は、制御装置40と接続されており、操作信号を制御装置40に出力することができる。運転者は、基準ラインL1を定義する際に登録スイッチ18を操作する。ライン定義部40cは、登録スイッチ18の操作に基づいて始点Psと終点Pgとを定義することができる。
【0055】
具体的には、走行情報が位置情報PIである場合、ライン定義部40cは、登録スイッチ18が操作された際の作業車両1の位置(車体位置P)から始点Ps及び終点Pgを取得し、当該取得した始点Ps及び終点Pgを登録することで、基準ラインL1を定義する。
なお、走行情報が方位情報である場合、ライン定義部40cは、例えば、登録スイッチ18が操作された際の作業車両1の方位(方位情報)から始点Ps及び終点Pgにおける車体3の方位情報等を取得する。ライン定義部40cは、始点Psの方位と終点Pgの方位の平均等を演算し、当該基準ラインL1の方位を登録することで、基準ラインL1を定義する。
【0056】
以下、ライン定義部40cが取得する走行情報と登録スイッチ18の操作との関係について、走行情報が位置情報PIである場合を例に説明する。具体的は、車体3が手動操舵を行っている際に、運転者が登録スイッチ18を操作(第1操作)すると、ライン定義部40cは、位置検出装置43が検出した現在の車体位置Pを基準ラインL1の始点Psとして定義する。また、ライン定義部40cは、第1操作後に運転者が登録スイッチ18を操作(第2操作)すると、位置検出装置43が検出した現在の車体位置Pを基準ラインL1の終点Pgとして定義する。
【0057】
詳しくは、ライン定義部40cは、登録スイッチ18が第1操作又は第2操作された時間を示す時刻情報TIと、始点Ps又は終点Pgを示す識別情報(始点フラグFL2、終点フラグFL3)を含む関係情報RDと、第1操作又は第2操作がされた時間における車体位置Pとを、第1記憶装置41に記憶させると共に、始点Ps又は終点Pgを登録し、基準ラインL1を定義する。例えば、ライン定義部40cは、定義した基準ラインL1の始点Ps及び終点Pgの位置情報PIを第1記憶装置41に登録する。
【0058】
また、上述した実施形態において、第1記憶装置41は、基準ラインL1の始点Ps及び終点Pgの位置情報PIを基準ラインL1として記憶するが、これに限定されない。例えば、第1記憶装置41は、基準ラインL1として、基準ラインL1そのものを示すデータ(方位又は関数)等を記憶してもよい。なお、第1記憶装置41は、基準ラインL1として、基準ラインL1そのものを示すデータ(方位又は関数)等を記憶する場合であっても、定義した基準ラインL1の始点Ps及び終点Pgの位置情報PIを記憶する。
【0059】
図4に示すように、ライン定義部40cは、第1記憶装置41に記憶された基準ラインL1に基づいて、当該基準ラインL1に平行な走行予定ラインL2を定義することができる。ライン定義部40cは、操舵切換スイッチ19の操作(第3操作)に応じて、走行予定ラインL2を定義する。まず、走行情報が位置情報PIであり、基準ラインL1が始点Ps及び終点Pgの位置情報PIで定義されている場合を例に説明する。第1記憶装置41に基準ラインL1が記憶されている状態で、運転者が操舵切換スイッチ19を操作すると(第3操作)、ライン定義部40cは、操舵切換スイッチ19が操作された現在の車体位置Pを取得する。ライン定義部40cは、現在の車体位置Pを始点Ps´として、当該始点Ps´と、基準ラインL1の始点Psとに基づいて、基準ラインL1を平行にシフトさせることで走行予定ラインL2を定義する。つまり、始点Ps´に位置する走行予定ラインL2が定義される。
【0060】
また、走行情報が方位情報等であり、基準ラインL1が当該基準ラインL1そのものの方位で定義されている場合、ライン定義部40cは、操舵切換スイッチ19が操作された現在の車体位置Pを基準として、基準ラインL1の方位に基づいて、基準ラインL1の方位と同一の方位を示す走行予定ラインL2を定義する。
ここで、
図3、
図4、
図5Aを用いて、ライン定義部40cによる基準ラインL1の定義について説明する。なお、運転者は、
図3に示すように、作業車両1を圃場Hに入場させる際に、設定スイッチ17をON(つまり、設定モード)にしている。そして、基準ラインL1の定義に際して、運転者は、自動操舵を行う前に、手動操舵にて、
図4に示すように、作業車両1(車体3)を圃場Hの境界内側に沿って周回(矢印で示すように周回)させて、枕地領域A1を設定し、枕地領域A1の内側の領域を作業領域A2とする。その後、運転者は、
図3に示すように、作業車両1(車体3)を圃場Hの所定の第3方向の枕地(
図3の紙面下側の枕地)周辺から任意の位置(始点Ps)に移動させて、登録スイッチ18を操作したとする。
【0061】
図5Aに示すように、ライン定義部40cは、登録スイッチ18が操作(第1操作)されたか否かを確認する(S1)。具体的には、ライン定義部40cは、登録スイッチ18から制御装置40に出力された操作信号に基づいて、第1操作がされたか否かを確認する。
ライン定義部40cは、登録スイッチ18が操作(第1操作)されたと確認すると(S1でYes)、位置検出装置43が検出した現在の車体位置P(位置情報PI)、即ち最新の位置情報PIを基準ラインL1の始点Psとして定義する(S2)。具体的には、ライン定義部40cは、登録スイッチ18が第1操作された時刻情報TIと、始点Psであることを示す識別情報(始点フラグFL2がオン)と、第1操作がされた時間における位置検出装置43が検出した車体位置Pと、を対応付けた関係情報RDを、第1記憶装置41に記憶させる。
【0062】
なお、運転者は、登録スイッチ18を操作して(S1でYes)、ライン定義部40cに始点Psを定義させると(S2)、手動操舵にて作業車両1を所定距離走行させる。詳しくは、運転者は、例えば圃場Hの第3方向とは反対側である第4方向の枕地(
図3の紙面上側の枕地)周辺に作業車両1を移動させる。
ライン定義部40cは、基準ラインL1の始点Psを定義すると(S2)、登録スイッチ18が操作(第2操作)されたか否かを確認する(S3)。具体的には、ライン定義部40cは、登録スイッチ18から制御装置40に出力された操作信号に基づいて、第2操作がされたか否かを確認する。
【0063】
ライン定義部40cは、登録スイッチ18が操作(第2操作)されたと確認すると(S3でYes)、位置検出装置43が現在の車体位置P(位置情報PI)、即ち最新の位置情報PIを基準ラインL1の終点Pgとして定義する(S4)。具体的には、ライン定義部40cは、登録スイッチ18が第2操作された時刻情報TIと、終点Pgであることを示す識別情報(終点フラグFL3がオン)と、第2操作がされた時間における位置検出装置43が検出した車体位置Pと、を対応付けた関係情報RDを、第1記憶装置41に記憶させる。また、ライン定義部40cは、定義した基準ラインL1の始点Ps及び終点Pgの位置情報PIを第1記憶装置41に登録する。
【0064】
これにより、ライン定義部40cは、基準ラインL1の始点Ps及び終点Pgを定義することで、当該始点Psと終点Pgとを結ぶ直線又は方位を基準ラインL1として定義することができる。
次に、
図3、
図5Bを用いて、自動操舵制御部40bが車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差に基づいて操舵装置11の操舵角を変更する場合について説明する。ライン定義部40cが基準ラインL1を定義した後に、基準ラインL1に平行な走行予定ラインL2基づいて、作業車両1が自動操舵される。作業車両1を自動操舵させるに際して、運転者は、作業車両1を自動操舵させる位置(始点Ps´)に移動させる。
【0065】
図5Bに示すように、ライン定義部40cは、第1記憶装置41に基準ラインL1が記憶されているか否かを確認する(S11)。ライン定義部40cは、第1記憶装置41に基準ラインL1が記憶されていることを確認した場合(S11でYes)、第1記憶装置41から基準ラインL1を取得する(S12)。具体的には、ライン定義部40cは、始点Psと終点Pgとを結ぶ直線の位置情報PI、又は基準ラインL1そのものを示すデータ(方位又は関数)等を基準ラインL1として取得する。
【0066】
ライン定義部40cは、第1記憶装置41から基準ラインL1を取得すると(S12)、操舵切換スイッチ19が操作(第3操作)されたか否かを確認する(S13)。具体的には、ライン定義部40cは、操舵切換スイッチ19から制御装置40に出力された操作信号に基づいて、操舵切換スイッチ19が操作(第3操作)されたか否かを確認する。
ライン定義部40cは、操舵切換スイッチ19は操作されたことを確認すると(S13でYes)、走行予定ラインL2を定義する(S14)。具体的には、ライン定義部40cは、例えば現在の車体位置P(位置情報PI)、即ち最新の位置情報PIを走行予定ラインL2の始点Ps´として取得する。ライン定義部40cは、当該始点Ps´に基準ラインL1の始点Psを平行にシフトさせた走行予定ラインL2を定義、又は現在の車体位置Pを基準とし且つ基準ラインL1の方位と同一の方位を示す走行予定ラインL2を定義する。また、ライン定義部40cは、当該始点Ps´を第1記憶装置41に保持しておく。
【0067】
ライン定義部40cが走行予定ラインL2を定義すると(S14)、自動操舵制御部40bは、自動操舵を開始し、作業車両1(車体3)の進行方向が走行予定ラインL2に沿うように自動操舵機構37を制御する。具体的には、走行情報が車体位置P(位置情報PI)である場合において、自動操舵制御部40bは、位置検出装置43が検出した最新の車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差が所定値未満であるか確認する(S15)。
【0068】
自動操舵制御部40bは、位置検出装置43が検出した最新の車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差が所定値未満であると確認すると(S15でYes)、自動操舵機構37を制御して、ステアリングモータ38の回転軸の回転角を維持させる(S16)。
自動操舵制御部40bは、位置検出装置43が検出した最新の車体位置Pと走行予定ラインL2との偏差が所定値以上であると確認すると(S15でNo)、車体位置Pが走行予定ラインL2に対して左側に位置しているかを確認する(S17)。
【0069】
自動操舵制御部40bは、車体位置Pが走行予定ラインL2に対して左側に位置していると確認すると(S17でYes)、作業車両1の操舵方向が右方向となるように、自動操舵機構37を制御して、ステアリングモータ38の回転軸を回転させて、操舵角を変更し、前輪7Fを右方向に操舵する(S18)。
一方、自動操舵制御部40bは、車体位置Pが走行予定ラインL2に対して左側に位置していない、即ち車体位置Pが走行予定ラインL2に対して右側に位置していると確認すると(S17でNo)、作業車両1の操舵方向が左方向となるように、自動操舵機構37を制御して、ステアリングモータ38の回転軸を回転させて、操舵角を変更し、前輪7Fを左方向に操舵する(S19)。
【0070】
なお、自動操舵制御部40bが自動操舵を行っている場合、作業車両1(車体3)の走行速度(車速)は、運転者が手動でアクセル部材15(アクセルペダル、アクセルレバー)の操作量を変更し、又は変速部材16(変速レバー、変速スイッチ)を操作することにより変更する。
また、自動操舵制御部40bは、自動操舵を行い、自動操舵機構37を制御すると(S16、S18、S19)、操舵切換スイッチ19が操作(第4操作)されたか否かを確認する(S20)。具体的には、ライン定義部40cは、操舵切換スイッチ19から制御装置40に出力された操作信号に基づいて、操舵切換スイッチ19が操作(第4操作)されたか否かを確認する。
【0071】
自動操舵制御部40bは、操舵切換スイッチ19が操作(第4操作)されたことを確認すると(S20でYes)、自動操舵を終了する(S21)。このため、運転者は、自動操舵制御部40bが自動操舵を開始後、任意の時点、即ち任意の位置(終点Pg´)において操舵切換スイッチ19を操作することで、自動操舵を終了させることができる。言い換えると、ライン定義部40cが定義する走行予定ラインL2には、予め終点Pg´が定義されておらず、走行予定ラインL2の始点Ps´から終点Pg´までの長さは、基準ラインL1よりも長く設定したり、短く設定したりすることができる。つまり、走行予定ラインL2は、基準ラインL1の長さとは関連付けされておらず、走行予定ラインL2によって、基準ラインL1の長さよりも長い距離を自動操舵しながら走行させることができる。
【0072】
図1に示すように、作業車両1は、補正スイッチ20を備え、補正スイッチ20の操作に基づいて、基準ラインL1を補正することができる。補正スイッチ20は、操作可能な操作具であって、例えば、押圧可能なプッシュスイッチ又はスライド可能なスライドスイッチで構成されている。また、補正スイッチ20は、制御装置40と通信可能に接続されており、操作信号を制御装置40に出力することができる。
【0073】
また、ライン定義部40cは、補正部40c1を有している。補正部40c1は、補正スイッチ20の操作に基づいて、基準ラインL1を補正して再定義を行い、自動操舵時に車体3の操舵の補正を行う。補正部40c1は、制御装置40に設けられた電気・電子部品、及び第1記憶装置41に組み込まれたプログラム等から構成されている。
本実施形態において、補正部40c1は、補正スイッチ20の操作に応じて、走行予定ラインL2を補正し、且つ基準ラインL1を補正する。補正部40c1は、例えば、補正スイッチ20の操作に基づく補正量hによって、走行予定ラインL2と、第1記憶装置41に記憶されている基準ラインL1を補正する。
【0074】
具体的には、補正部40c1は、補正スイッチ20の操作回数に基づいて、補正量hを定義する。補正部40c1は、補正スイッチ20から出力された操作信号に基づいて、補正スイッチ20の操作回数を取得し、補正量hを定義(演算)する。補正部40c1は、例えば補正量hとして、操作回数と、1回の操作回数当たりの補正量hと、の積により定義する。
つまり、補正部40c1は、補正スイッチ20の操作回数に応じて、補正量h(補正度合)を大きくし、補正部40c1が定義する補正量hは、補正スイッチ20の操作回数と比例する。例えば、補正量hは、補正スイッチ20を操作する毎に、補正量hが数センチ或いは数十センチずつ増加する。
【0075】
詳しくは、
図1に示すように、補正スイッチ20は、車体3の幅方向における一方側、即ち、左側への補正を指令する第1プッシュスイッチ20aと、車体3の幅方向における他方側、即ち、右側への補正を指令する第2プッシュスイッチ20bと、を含んでいる。以下の説明において、
図7に示すように、左側への補正を示す補正量hを正数(h>0)で記載し、右側への補正を示す補正量hを負の数(h<0)で記載する。
また、補正スイッチ20は、プッシュスイッチに限定されず、操作量を変更可能なスライドスイッチであってもよい。斯かる場合、補正部40c1は、当該スライドスイッチの操作量(変位量)に基づいて、補正量hを定義する。
以下、
図6、
図7を用いて、補正部40c1による補正量hに基づく走行予定ラインL2及び基準ラインL1の補正について説明する。
【0076】
図6に示すように、補正部40c1は、自動操舵制御部40bが自動操舵を行っているかを判断する(S30)。例えば、補正部40c1は、操舵切換スイッチ19が第3操作された場合、又は自動操舵制御部40bから自動操舵機構37に制御信号が出力していることを確認した場合、自動操舵制御部40bが自動操舵を行っていると判断する。
補正部40c1は、自動操舵制御部40bが自動操舵を行っていると判断した場合(S30でYes)、補正スイッチ20が操作されているか判断する(S31)。補正部40c1は、制御装置40が補正スイッチ20から操作信号を取得している場合に、補正スイッチ20が操作されたと判断する。
【0077】
補正部40c1は、補正スイッチ20が操作されたと判断した場合(S31でYes)、補正スイッチ20の操作に応じて、走行予定ラインL2を補正する(S32)。具体的には、
図7に示すように、補正部40c1は、補正量hに応じて、走行予定ラインL2をずらすことにより、当該走行予定ラインL2を補正する。つまり、作業車両1の移動軌跡は、補正量hだけ幅方向に移動する。
【0078】
補正部40c1は、走行予定ラインL2を補正すると(S32)、補正量hを第1記憶装置41に保持しておく(S33)。
補正部40c1は、補正量hを第1記憶装置41に保持すると、自動操舵制御部40bが自動操舵を終了したか否かを判断する(S33)。例えば、補正部40c1は、操舵切換スイッチ19が第4操作された場合、又は自動操舵制御部40bから自動操舵機構37に制御信号が出力されていないことを確認した場合、自動操舵制御部40bが自動操舵を終了したと判断する。
【0079】
補正部40c1は、自動操舵制御部40bが自動操舵を終了したと判断した場合(S33でYes)、第1記憶装置41に記憶している基準ラインL1を補正する(S34)。本実施形態においては、
図7に示すように、補正部40c1は、補正後の基準ラインL1´の終点Pghを再定義、即ち第1記憶装置41に記憶している基準ラインL1の終点Pgを終点Pghで上書きすることで、基準ラインL1を補正する。補正部40c1は、基準ラインL1の始点Psと終点Pgとの間の長さ(基準ラインL1の長さ、第1距離)K1と、補正後の走行予定ラインL2´の始点Ps´と終点Pgh´との間の長さ(補正後の走行予定ラインL2の長さ、第3距離)K3と、補正量hの合計である総補正量haと、に基づいて、補正後の終点Pghを演算する。
【0080】
図7に示すように、第3距離K3と総補正量haとの比(K3:ha)と、第1距離K1と第4距離K4(補正前の終点Pgと補正後の終点Pghとの間の長さ)との比(K1:K4)とは、等しい。このため、補正部40c1は、第3距離K3と総補正量haとの比(K3:ha)を演算し、当該比と第1距離K1から第4距離K4を演算することで、補正後の終点Pghの位置情報PIを演算する。
【0081】
具体的には、まず、S33の後、補正部40c1は、操舵切換スイッチ19が第4操作された際の、現在の車体位置P(位置情報PI)、即ち最新の位置情報PIを補正後の走行予定ラインL2´の終点Pgh´として取得する(S34a)。
補正部40c1は、終点Pgh´を取得すると(S34a)、当該終点Pgh´及び第1記憶装置41に保持していた始点Ps´とに基づいて、第3距離K3を演算する(S34b)。また、補正部40c1は、第3距離K3を演算すると、第1記憶装置41に保持していた補正量hに基づいて総補正量haを演算する(S34c)。
【0082】
補正部40c1は、総補正量haを演算すると(S34c)、第1記憶装置41に記憶している基準ラインL1の始点Ps及び終点Pgを取得する(S34d)。補正部40c1は、始点Ps及び終点Pgを取得すると(S34d)、当該始点Ps及び終点Pgから第1距離K1を演算する(S34e)。本実施形態において、位置情報PIは、緯度及び経度で表される情報であるため、補正部40c1は、始点Psの緯度及び経度、並びに終点Pgの緯度及び経度から第1距離K1を演算する。
【0083】
補正部40c1は、第1距離K1を演算すると(S34e)、第3距離K3と総補正量haとの比(K3:ha)を演算し、当該比と第1距離K1から第4距離K4を演算することで、補正後の終点Pghの位置情報PIを演算する(S34f)。
補正部40c1は、補正後の終点Pghの位置情報PIを演算すると(S34f)、第1記憶装置41に記憶されている補正前の終点Pgを補正後の終点Pghに上書きする(S34g)。
【0084】
これにより、補正部40c1は、走行予定ラインL2及び基準ラインL1を補正することができる。なお、第1記憶装置41に記憶されている基準ラインL1が基準ラインL1そのものを示すデータ(方位又は関数)である場合も同様に、補正部40c1は、三角関数等を用いて当該データを補正することができる。また、補正部40c1は、基準ラインL1を補正することができればよく、その補正方法は、上述した方法に限定されない。また、制御装置40は、補正部40c1によって基準ラインL1が補正されると、
図8Aに示す関係情報RDのデータD1の値を、補正後の基準ラインL1を示す値に変更して第1記憶装置41に記憶させる。
【0085】
また、ライン定義部40cは、第1通信装置42を介して、定義した基準ラインL1を後述のサーバ50に送信することができる。さらに、第1通信装置42は、サーバ50から基準ラインL1を受信することができる。制御装置40は、第1通信装置42が受信した基準ラインL1を第1記憶装置41に記憶する。これにより、自動操舵制御部40bは、当該受信した基準ラインL1に基づいて自動操舵を行うことができる。
【0086】
次に、サーバ50について説明する。
図1に示すように、サーバ50は、作業車両1の外部に設けられた固定型のコンピュータ等の固定端末である。また、サーバ50は、例えば、農家、営農会社、農業機械メーカ、又は農業協同組合等に設置されている固定端末である。サーバ50は、サーバ制御装置51と、第2通信装置52と、第2記憶装置53と、マップ記憶装置54とを有している。
サーバ制御装置51は、サーバ50に関する様々な制御を行う装置である。サーバ制御装置51は、電気・電子部品、及びプログラム等から構成されている。サーバ制御装置51は、第2通信装置52が受信した情報(例えば、関係情報RD)を、第2記憶装置53に記憶させる。
【0087】
第2通信装置52は、作業車両1の第1通信装置42と通信可能である。第2通信装置52は、例えば、データ通信網、携帯電話通信網等によって無線通信を行う装置である。なお、第2通信装置52は、作業車両1(第1通信装置42)に直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信モジュールであって、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標)Low Energy、通信規格IEEE802.11.nシリーズのWiFi(登録商標)等によって無線通信を行うものであってもよい。
【0088】
第2記憶装置53は、種々のプログラムや様々な情報を記憶することができる不揮発性のメモリ等である。第2記憶装置53は、第2通信装置52が受信した関係情報RDを記憶する。このため、第2記憶装置53は、関係情報RDに含まれる第1設定情報のデータD1(つまり、ライン定義部40cが定義した基準ラインL1)を記憶することができる。
【0089】
マップ記憶装置54は、圃場Hを示す圃場マップMPを1つ又は複数記憶している。圃場マップMPは、圃場Hと当該圃場Hの位置情報PIとを有する地図情報である。実施形態では、マップ記憶装置54は、第1圃場H1を示す圃場マップMP1と第2圃場H2を示す圃場マップMP2とを予め記憶しているとする。なお、地図情報は、鳥瞰図のマップと、当該マップ上における圃場Hの輪郭と、各マップ及び圃場Hの位置情報PIとを対応付けたデータであってもよい。
【0090】
サーバ50は、情報管理部51aを有している。情報管理部51aは、サーバ制御装置51に設けられており、当該サーバ制御装置51に設けられた電気・電子部品、及び当該サーバ制御装置51に組み込まれたプログラム等から構成されている。
情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された情報を管理する。情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された情報について、重複する情報を削除する機能、情報を間引く機能などを有しており、情報を効率的に管理することができる。
【0091】
具体的には、情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを時刻情報TIに基づいて時間経過順に並べた場合に、時間経過順に並ぶ複数の設定情報SIについて、直前の設定情報SIと同じ内容である設定情報SIを削除する。
また、情報管理部51aは、複数の第1関係情報1RDを時刻情報TIに基づいて時間経過順に並べた場合に、予め定められた第3期間(例えば、1分)に含まれる複数の第1関係情報1RDのうち1つのみを残し、それ以外を削除することを、当該第3期間ごとに行う。第3期間(例えば、1分)は、第1期間(例えば、6秒)よりも長く且つ第2期間(例えば、10分)よりも短い。即ち、1分間に1個の第1関係情報1RDに間引く。
【0092】
ここで、
図9A~
図9Cを用いて、作業車両1の制御装置40による関係情報RDの生成、記憶及び送信と、サーバ50が作業車両1から受信した関係情報RDの管理とについて、具体的に説明する。
図9Aは、作業車両1の走行経路と第1期間毎に取得された各位置情報PIとを示す図である。
図9Bは、
図9Aに示す走行経路での基準ラインL1の始点及び終点と、自動操舵の開始及び終了の各位置とを示す図である。
図9Cは、
図9Aに示す走行経路において作業車両の設定情報SI(変更あり)を示す図である。
【0093】
図9Aに示すように、作業車両1の制御装置40は、予め定められた基準時点から第1期間(6秒)が経過する毎に、位置検出装置43が検出した車体3の位置情報PIを取得する。ここでは、予め定められた基準時点は、運転者がイグニッションキーをオンした時点(エンジンが始動されたタイミング)としているが、制御装置40が起動された時点、表示装置25に表示された開始アイコンに対する操作がされた時点などであってもよい。
図9Aに示す複数の黒丸点は、第1期間(6秒)の周期で車体3の位置情報PIが取得された地点をそれぞれ示している。
【0094】
図9Bに示す基準ラインL1の下端及び上端の白丸点は、基準ラインL1の始点及び終点を示している。また、走行予定ラインL2の複数の白丸点は、自動操舵の開始及び終了の各位置をそれぞれ示している。
図9Cに示す複数の白丸点は、
図9Aに示す走行経路において作業車両1の設定情報SI(変更あり)を含む関係情報RDをそれぞれ示している。また、サーバ50の第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDのうちで、
図9Cに示す複数の白丸点での関係情報RD1~RDn-1は、削除されることなく、継続して保存されるデータである。
【0095】
図10Aは、作業車両1がある期間に生成してサーバ50に送信した関係情報RDの一例を示す図である。なお、
図10Aに示す上下矢印間は、いずれも6秒である。時刻t_1~時刻t_2の時間は6秒である。特に言えば、時刻t_2~時刻t_4の時間、時刻t_4~時刻t_6の時間、時刻t_7~時刻t_9の時間、時刻t_15~時刻t_17の時間もそれぞれ6秒である。
図11は、作業車両1の制御装置40が行う処理を示すフローチャートである。
【0096】
図11に示すように、制御装置40は、第1期間(6秒)の経過の有無を判定する(S41)。制御装置40は、第1期間の経過と判定すると(S41でYes)、第1関係情報1RD(関係情報RD)を生成する(S42)。具体的には、
図10Aに示すように、制御装置40は、第1期間の経過時点の時刻を示す時刻情報TIと、この時刻にて位置検出装置43が検出した車体3の位置情報PIと、を対応付けた第1関係情報1RDを生成する。例えば、6秒経過した時点であれば、時刻情報TI(=t_1)と車体3の位置情報PI(=p_1)とを対応付けた第1関係情報1RDが生成される。制御装置40は、生成した第1関係情報1RDを第1記憶装置41に記憶させる(S43)。
【0097】
制御装置40は、第1期間が経過していないと判定すると(S41でNo)、スイッチ操作の有無を判定する(S47)。具体的には、制御装置40は、設定スイッチ17、登録スイッチ18、操舵切換スイッチ19、補正スイッチ20、表示装置25に表示された各種のスイッチなどの操作があれば、スイッチ操作の有りと判定し(S47でYes)、関係情報RDを生成し(S42)、第1記憶装置41に記憶させ(S43)、S44に進む。
例えば、
図10Aに示す時刻情報TI(=t_3)の経過時点において、設定スイッチ17が操作されて設定モードフラグFL1が変化したため、制御装置40は、設定情報SIが変化した第2関係情報2RD(関係情報RD)を生成し、第1記憶装置41に記憶させている。つまり、この時刻情報TI(=t_3)では、時刻情報TI(=t_3)と、作業車両1の設定情報SIのうちの第2設定情報の設定モードフラグFL1(=f1_1)と、を対応付けた第2関係情報2RDとなっている。
【0098】
例えば、
図10Aに示す時刻情報TI(=t_5)の経過時点において、操舵切換スイッチ19が操作されて直進アシストフラグFL4が変化したため、制御装置40は、設定情報SIが変化した第3関係情報3RD(関係情報RD)を生成し、第1記憶装置41に記憶させている。つまり、この時刻情報TI(=t_5)では、時刻情報TI(=t_5)と、作業車両1の設定情報SIのうちの第2設定情報の直進アシストフラグFL4(=f4_1)と、作業車両1の設定情報SIのうちの第1設定情報(=d_1)と、を対応付けた第3関係情報3RDとなっている。また、時刻情報TI(=t_8)では、時刻情報TI(=t_8)と、作業車両1の設定情報SIのうちの第2設定情報の直進アシストフラグFL4(=f4_2)と、作業車両1の設定情報SIのうちの第1設定情報(=d_1)と、を対応付けた第3関係情報3RDとなっている。また、時刻情報TI(=t_16)では、時刻情報TI(=t_16)と、作業車両1の設定情報SIのうちの第2設定情報の直進アシストフラグFL4(=f4_3)と、作業車両1の設定情報SIのうちの第1設定情報(=d_2)と、を対応付けた第3関係情報3RDとなっている。
【0099】
また、表示装置25に表示された各種のスイッチとしては、
図8Bに示す各データD1~D7の値を変更するための第1~第7の表示スイッチが挙げられる。つまり、第1~第7の表示スイッチはそれぞれ、基準線方位、作業種類状態、作業幅、ラップ代、作業経路、制御ゲイン、設定ステータスを変更するためのスイッチである。このため、第1~第7の表示スイッチの何れかが操作された場合、制御装置40は、設定情報SIが変化した関係情報RDを生成し、第1記憶装置41に記憶させる。また、制御装置40は、補正スイッチ20の操作がされた場合に、設定情報SIが変化した関係情報RDを生成し、第1記憶装置41に記憶させる。
【0100】
一方、制御装置40は、設定スイッチ17、登録スイッチ18、操舵切換スイッチ19などの操作がなければ(S47でNo)、S44に進む。
制御装置40は、第2期間(例えば、10分)の経過の有無を判定する(S44)。制御装置40は、第2期間の経過と判定すると(S44でYes)、関係情報RDを第1通信装置42からサーバ50に送信させる(S45)。具体的には、第2期間(10分)にて生成された複数(例えば100個以上)の関係情報RDが、第2期間(10分)の経過直後に第1通信装置42からサーバ50に送信される。なお、制御装置40は、前記の基準時点から第2期間(10分)が経過する毎に、複数の関係情報RDが送信される。
【0101】
制御装置40は、終了の有無を判定する(S46)。例えば、制御装置40は、運転者がイグニッションキーをオフにすると、終了と判定し(S46でYes)、本処理を終了する。一方、制御装置40は、運転者がイグニッションキーをオフにしていない場合、終了でないと判定し(S46でNo)、S41に戻る。
制御装置40は、第2期間が経過していないと判定すると(S44でNo)、終了の有無を判定する(S48)。制御装置40は、運転者がイグニッションキーをオフにしていない場合、終了でないと判定し(S48でNo)、S41に戻る。一方、制御装置40は、運転者がイグニッションキーをオフにすると、終了と判定する(S48でYes)。そして、制御装置40は、イグニッションキーをオフした時点までに生成された関係情報RD、つまり、第2期間(10分)未満の期間分の関係情報RDを送信させ(S45)、終了と判定し(S46でYes)、本処理を終了する。
【0102】
次に、サーバ50における情報管理について説明する。サーバ50は、作業車両1からの複数の関係情報RDを例えば第2期間ごとに受信して第2記憶装置53に記憶させている。サーバ制御装置51の情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された情報を管理する。
図12Aは、サーバ制御装置51が行う関係情報RDの管理処理を示すフローチャートである。
【0103】
情報管理部51aは、管理タイミングであるか否かを判定する(S51)。ここでは、管理タイミングは、サーバ50において予め定められた管理周期(1日ごと、1週間ごと)のタイミングとしているが、これに限定されない。管理タイミングは、例えば、管理者からサーバ50に対して管理開始指示があったタイミングとしてもよい。管理タイミングは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDについて、設定モードが無効から有効になった関係情報RDから、設定モードが有効から無効になった関係情報RDまでの時間経過順の複数の関係情報RDが特定されたタイミングとしてもよい。管理タイミングは、
図10Aに示す第2期間(10分)にて生成された複数(例えば100個以上)の関係情報RDが記録されたタイミングとしてもよい。情報管理部51aは、管理タイミングでないと判定すると(S51でNo)、S51に戻り、管理タイミングになるまで待機する。
【0104】
一方、情報管理部51aは、管理タイミングであると判定すると(S51でYes)、第2記憶装置53に記憶された複数の第3関係情報3RDを時間経過順に読み出す(S52)。
図10Bは、サーバ50にて重複する関係情報RDを削除して管理する例を示す図である。情報管理部51aは、今回の第3関係情報3RDの設定情報SIの第1設定情報が前回と同じであるか否を判定する(S53)。情報管理部51aは、今回の設定情報SIの第1設定情報が同じであると判定した場合(S53でYes)、今回の第3関係情報3RDを削除する(S54)。
図10Bに示すように、情報管理部51aは、例えば、時刻情報TI(=t_8)を含む第3関係情報3RDの設定情報SIの第1設定情報(=d_1)が、直前の時刻情報TI(=t_5)を含む第3関係情報3RDの設定情報SIの第1設定情報(=d_1)と同じであると判定し、時刻情報TI(=t_8)を含む第3関係情報3RDを削除する。
【0105】
一方、情報管理部51aは、今回の設定情報SIが同じでないと判定した場合(S53でNo)、今回の設定情報SIを削除せず、S55に進む。
図10Bに示すように、情報管理部51aは、例えば、時刻情報TI(=t_16)を含む第3関係情報3RDの設定情報SIの第1設定情報(=d_2)が、直前の時刻情報TI(=t_5)を含む第3関係情報3RDの設定情報SIの第1設定情報(=d_1)と同じでないと判定し、時刻情報TI(=t_16)を含む第3関係情報3RDを削除しない。
情報管理部51aは、次の設定情報SIがあるか否かを判定する(S55)。情報管理部51aは、次の設定情報SIがあると判定すると(S55でYes)、S53に戻る。
【0106】
一方、情報管理部51aは、次の設定情報SIがないと判定すると(S55でNo)、第2記憶装置53に記憶された複数の第1関係情報1RDを、時間経過順に並べて第3期間(例えば、1分)毎に区分けする(S56)。
情報管理部51aは、第3期間(例えば、1分)に含まれる複数の第1関係情報1RDのうち1つのみを残し、それ以外を削除することを、当該第3期間ごとに行う(S57)。即ち、1分間に1個の第1関係情報1RDに間引く。
図10Bに示すように、第3期間(例えば、1分)に含まれる複数の第1関係情報1RDとして、時刻t_1~時刻t_17と、それ以降の時刻(1分)までの複数の第1関係情報1RDがあった場合に、ここでは最初の時刻情報TI(=t_1)を含む第1関係情報1RDのみを残し、時刻t_2~時刻t_17と、それ以降の時刻(1分)までの残り全ての第1関係情報1RDを削除する。
【0107】
情報管理部51aは、複数の第1関係情報1RDについて次の第3期間の有無を判定する(S58)。情報管理部51aは、複数の第1関係情報1RDについて次の第3期間があれば(S58でYes)、S57に戻り、複数の第1関係情報1RDについて次の第3期間がなければ(S58でNo)、本処理を終了する。
サーバ50の第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDのうちで、
図10Bに示すように、「×」の印が付された関係情報RDが削除されている。例えば、第1関係情報1RDが、1分ごとに1個に間引かれ、第3関係情報3RDについては前回と重複する第3関係情報3RDが削除されている。このように、作業車両1の圃場Hでの自動操舵に関係する重要な関係情報RDを適切に管理しつつ、記憶容量を大幅に削減することができる。
【0108】
上述した第1実施形態の管理システムSは、作業車両1とサーバ50とを備える。作業車両1は、作業装置2と、手動操舵と基準ラインL1に基づく自動操舵とのいずれかで走行可能な車体3と、車体3の位置を検出する位置検出装置43と、計時装置40aと、車体3が自動操舵される場合に、計時装置40aで計時された時刻情報TIと、作業車両1の設定情報SI及び車体3の位置情報PIの少なくとも一方とを対応付けた関係情報RDを、記憶する第1記憶装置41と、第1記憶装置41が記憶した関係情報RDをサーバ50に送信する第1通信装置42と、を備える。サーバ50は、第1通信装置42から送信された関係情報RDを受信する第2通信装置52と、第2通信装置52が受信した関係情報RDを記憶する第2記憶装置53と、を備える。上記構成によれば、圃場Hにおいて基準ラインL1に基づいて車体3が自動操舵される場合に、時刻情報TIと作業車両1の設定情報SIとがサーバ50に記憶される。つまり、圃場Hで自動操舵される毎に、作業車両1の設定情報SI及び時刻情報TIをサーバ50に記憶させることができる。このため、圃場作業で設定した作業車両1の設定情報SIを、作業単位で管理することができる。
【0109】
また、作業車両1は、自動操舵の開始と終了とが指示される操舵切換スイッチ19と、操舵切換スイッチ19に自動操舵の開始が指示されると、位置検出装置43で検出された車体3の位置と基準ラインL1とに基づいて車体3の自動操舵を行う自動操舵機構37と、操舵切換スイッチ19に自動操舵の開始又は終了の指示がされると、関係情報RDを生成して第1記憶装置41に記憶させる制御装置40と、を備える。上記構成によれば、自動操舵の開始と終了のときに作業車両1の設定情報SIを含む関係情報RDが生成されて第1記憶装置41に記憶される。第1記憶装置41に記憶された関係情報RDが作業車両1の第1通信装置42からサーバ50に送信される。このため、自動操舵の開始のときの設定情報SIと、自動操舵の終了のときの設定情報SIとをサーバ50に確実に記憶させることができる。また、サーバ50において、自動操舵の開始と終了とを正確に特定することができる。
【0110】
また、制御装置40は、作業車両1の設定情報SIの変更指示がされると、関係情報RDを生成して第1記憶装置41に記憶させる。上記構成によれば、自動操舵において作業車両1の設定情報SIが変更されると、変更後の関係情報RDが生成されて第1記憶装置41に記憶される。第1記憶装置41に記憶された変更後の関係情報RDが作業車両1の第1通信装置42からサーバ50に送信される。このため、自動操舵中に変更された設定情報SIをサーバ50に確実に記憶させることができる。また、サーバ50において、自動操舵中に設定情報SIが変更されたことを正確に特定することができる。
【0111】
また、制御装置40は、予め定められた第1期間が経過する毎に、関係情報RDを生成して第1記憶装置41に記憶させる。第1通信装置42は、第1記憶装置41に記憶された関係情報RDをサーバ50に送信する。上記構成によれば、設定モードの有無にかかわらず、作業車両1の時刻情報TI及び位置情報PIを対応付けた第1関係情報1RDを送信するので、作業車両1の時刻情報TI及び位置情報PIを、サーバ50で管理することができる。
【0112】
また、制御装置40は、第1期間よりも長い予め定められた第2期間が経過すると、第2期間において生成されて第1記憶装置41に記憶された複数の関係情報RDを、第1通信装置42によってサーバ50に送信させる。上記構成によれば、圃場Hにおいて基準ラインL1に基づいて車体3が自動操舵される場合に、第1期間が経過する毎に、第1関係情報1RDが生成され、第1期間よりも長い第2期間が経過すると、第2期間において生成された複数の関係情報RD(第1~第3関係情報1RD~3RDなど)がサーバ50に送信される。このため、常時送信する構成に比べて、第1期間ごとに送信するだけでよく、作業車両1における送信処理負担を低減することができる。また、サーバ50での記憶頻度を第2期間に1回程度に低減することができる。
【0113】
また、サーバ50は、第2記憶装置53に記憶された情報を管理する情報管理部51aを備える。情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを時刻情報TIに基づいて時間経過順に並べた場合に、時間経過順に並ぶ複数の設定情報SIについて、直前の設定情報SIと同じ内容である設定情報SIを削除する。上記構成によれば、時間経過順に並べた複数の設定情報SIについて、直前の設定情報SIと異なる内容に変化した設定情報SIのみを記憶し、直前の設定情報SIと同じ内容である設定情報SI、つまり、重複する設定情報SIを削除することができる。このため、実際に利用した設定情報SIを重複なく効率的に管理することができる。
【0114】
また、情報管理部51aは、複数の第1関係情報1RDを時刻情報TIに基づいて時間経過順に並べた場合に、予め定められた第3期間(例えば、1分)に含まれる複数の第1関係情報1RDのうち1つのみを残し、それ以外を削除することを、当該第3期間ごとに行う。このため、複数の第1関係情報1RDについては、第3期間ごとに1個だけに間引いて管理することができる。これにより、サーバ50において関係情報RDの記憶容量を抑制することができる。
【0115】
また、情報管理部51aは、時間経過順に並ぶ複数の設定情報SIのうちで変化があった設定情報SIに対応付けられた時刻情報TIが示す時刻を第3期間の起算点としてもよい。
ところで、
図13に示すように、サーバ50の第2記憶装置53に管理されている関係情報RDの設定情報SIを、作業車両1がダウンロードして活用することも可能である。
図13は、サーバ50にて管理する関係情報RDを作業車両1がダウンロードして実行する流れを示す図である。
【0116】
図13に示すように、作業車両1の制御装置40は、第1通信装置42を介してサーバ50と通信して、サーバ50が管理している圃場H及び設定情報SIなどを示す選択項目情報を取得する。制御装置40は、取得した選択項目情報に基づいて、サーバ50に記憶されている設定情報SIを要求する指示ボタンを表示装置25に表示させる。制御装置40は、表示装置25の指示ボタンがタッチ操作されると(S91)、設定情報SIの要求信号を第1通信装置42からサーバ50に送信させて、設定情報SIの送信要求を行う(S92)。例えば、設定情報SIの要求信号には、圃場Hを特定するための情報(表示装置25にて表示された圃場Hのうち運転者が選択した圃場Hを示す情報、又は、作業車両1の位置情報PIなど)が含まれている。
【0117】
サーバ50は、設定情報SIの要求信号を受信すると、圃場Hを特定するための情報に基づいて、第2記憶装置53に記憶している複数の設定情報SIのうちで対応する設定情報SIを選出する(S93)。運転者が圃場Hを選択している場合には、選択した圃場Hにおける設定情報SIを選出し、運転者が圃場Hを選択していない場合には、作業車両1の位置情報PIが含まれる圃場Hまたは近傍の圃場Hであると判定し、この判定した圃場Hにおける設定情報SIを選出する。そして、サーバ50は、選出した設定情報SIを第2通信装置52により作業車両1に送信する(S94)。
【0118】
作業車両1の制御装置40は、第1通信装置42が受信した設定情報SIに含まれるデータD1(基準ラインL1又は基準線方位)を用いて、基準ラインL1を設定する(S95)。作業車両1の自動操舵機構37は、操舵切換スイッチ19に自動操舵の開始が指示されると(S96)、位置検出装置43で検出された車体3の位置と、第1通信装置42が受信した設定情報SIに基づいて車体3の自動操舵を行う(S97)。作業装置2は、第1通信装置42が受信した設定情報SIに基づいて作業を行う(S98)。
【0119】
上記したように、サーバ50は、作業車両1から設定情報SIの送信要求を受けると、第2記憶装置53に記憶している設定情報SIを、第2通信装置52により作業車両1に送信し、自動操舵機構37は、操舵切換スイッチ19に自動操舵の開始が指示されると、位置検出装置43で検出された車体3の位置と、第1通信装置42が受信した設定情報SIに基づいて車体3の自動操舵を行い、作業装置2は、第1通信装置42が受信した設定情報SIに基づいて作業を行う。上記構成によれば、作業車両1は、サーバ50に記憶された設定情報SIをダウンロードし、この設定情報SIを用いて自動操舵と作業とを行うことができる。
【0120】
なお、
図13では、サーバ50は、設定情報SIを送信しているが、設定情報SI及び位置情報PI、或いは、関係情報RDを、作業車両1に送信してもよい。また、作業車両1の制御装置40は、受信した設定情報SI及び位置情報PI、或いは、関係情報RDに基づいて、走行予定ラインL2毎に前回と同じ作業内容を作業装置2に実行させてもよい。
【0121】
[第1実施形態の変形例]
図12Bは、第1実施形態の変形例における管理処理を示すフローチャートである。第1実施形態の変形例では、サーバ制御装置51の情報管理部51aは、
図12Aに示す管理処理に替えて、
図12Bに示す管理処理を実行する。
情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを時刻情報TIに基づいて時間経過順に並べた場合に、時間経過順に並ぶ複数の設定情報SIについて、直前の設定情報SIと異なる設定情報SIの関係情報RDを残し、直前の設定情報SIと同じ設定情報SIの関係情報RDを削除する。
【0122】
情報管理部51aは、管理タイミングであるか否かを判定し(S81)、管理タイミングであると判定すると(S81でYes)、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを時間経過順に読み出す(S82)。一方、情報管理部51aは、管理タイミングでないと判定すると(S81でNo)、S81に戻り、管理タイミングになるまで待機する。
【0123】
情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDについて、今回の設定情報SIが直前の設定情報SIから変更されているか否かを判定する(S83)。情報管理部51aは、今回の設定情報SIが変更されていると判定した場合(S83でYes)、今回の設定情報SI、つまり変更された設定情報SIを保存する(S84)。一方、情報管理部51aは、今回の設定情報SIが変更されていないと判定した場合(S83でNo)、今回の設定情報SIを削除する(S85)。
【0124】
情報管理部51aは、次の関係情報RDの有無を判定する(S86)。情報管理部51aは、次の関係情報RDがあると判定した場合(S86でYes)、S83に戻る。一方、情報管理部51aは、次の関係情報RDがないと判定した場合(S86でNo)、本処理を終了する。
図9Cに示すように、1番目の走行予定ラインL2の2個の白丸点における関係情報RD、つまり、1番目の走行予定ラインL2についての自動操舵の開始及び終了の各位置についての関係情報RDを第2記憶装置53に残し、1番目の走行予定ラインL2についての他の位置についての関係情報RDを第2記憶装置53から削除している。
【0125】
第1実施形態の変形例では、情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを時刻情報TIに基づいて時間経過順に並べた場合に、時間経過順に並ぶ複数の設定情報SIについて、直前の設定情報SIと異なる設定情報SIの関係情報RDを残し、直前の設定情報SIと同じ設定情報SIの関係情報RDを削除する。
上記構成によれば、時間経過順に並べた複数の関係情報RDについて、直前の設定情報SIと異なる設定情報SIの関係情報RDを残し、直前の設定情報SIと同じ設定情報SIの関係情報RDを削除する。このため、変化があった設定情報SIの関係情報RDのみを適切に残すことができる。これにより、サーバ50の位置情報PIの記憶容量を更に抑制することができる。
【0126】
また、情報管理部51aは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを時刻情報TIに基づいて時間経過順に並べた場合に、時間経過順に並ぶ複数の設定情報SIについて、同日中において一の設定情報SIと内容が同じである他の設定情報SIを削除するとしてもよい。この場合には、同日中において内容が異なる設定情報SIのみを残すことができる。このため、実際に利用した設定情報SIを更に効率的に管理することができる。
【0127】
[第2実施形態]
図14は、第2実施形態における管理システムSの全体図を示している。第2実施形態のサーバ50の情報管理部51aは、更に、設定モード情報に基づいて、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを管理することができる。このため、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを、圃場Hごとの単位で管理することができる。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0128】
第1実施形態と同様に、作業車両1の制御装置40は、
図8Aに示すように、関係情報RDを第1記憶装置41に記憶させる。関係情報RDは、時刻情報TIと位置情報PIと作業車両1の設定情報SIとを対応付けた情報であり、設定モードの有効又は無効を示す設定モード情報(設定モードフラグFL1)を含む。
図14に示すように、第2実施形態のサーバ50は、更に、特定部51bを有している。つまり、サーバ50は、情報管理部51aと特定部51bとを有している。特定部51bは、サーバ制御装置51に設けられており、当該サーバ制御装置51に設けられた電気・電子部品、及び当該サーバ制御装置51に組み込まれたプログラム等から構成されている。
【0129】
特定部51bは、第2記憶装置53に記憶された関係情報RDのうちで、設定モード情報(設定モードフラグFL1)が示す設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ一群の位置情報PIに対応付けられた時刻情報TIに基づいて作業車両1の作業時間を特定する。そして、特定部51bは、一群の位置情報PIを集計して第1重心CG1(後述する
図15Dを参照)を算出する。そして、特定部51bは、圃場マップMPに含まれる複数の圃場の各重心MGのうちで、第1重心CG1に最も近い重心MGを特定する。そして、特定部51bは、最も近い重心MGの圃場Hを、圃場Hとして特定する。
【0130】
情報管理部51aは、特定部51bが特定した圃場Hと、特定部51bが特定した作業時間と、この作業時間に対応する第2記憶装置53の関係情報RDとを関連付ける。
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第1圃場H1以外の位置を示す値に変化した場合又は第1圃場H1以外の位置を示す値が第1判定期間(例えば、1時間など)に亘って継続されている場合に、第1圃場H1内の最後の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業時間の終了時刻であると特定する。
【0131】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第1圃場H1以外の位置を示す値に変化した時刻から第1判定期間内に第1圃場H1内の位置を示す値になった場合に、変化した時刻を作業時間の終了時刻としない。
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、時刻情報TIが作業日よりも後の日になった場合に、作業日において第1圃場H1内の最後の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業日での最終作業時刻とすると共に、後の日において第1圃場H1内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻から第1圃場H1内の最後の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻までを後の日における作業時間と特定する。
【0132】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第1圃場H1以外の位置を示す値に変化した時刻が属する日と同日に、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値になった場合に、設定モード情報の設定モードの有効及び無効に関わらず、第1圃場H1についての先の作業時間と同日の後の作業時間とを纏めた作業時間とする。
【0133】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第2圃場H2内の位置を示す値に変化した場合又は第2圃場H2内の位置情報PIが第2判定期間に亘って継続されている場合に、第2圃場H2内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業時間の開始時刻であると特定する。
【0134】
ここで、第2実施形態における管理システムSのサーバ50での情報管理について説明する。
図15Aは、第2実施形態における作業時間管理処理の一例を示す図である。サーバ50は、第1実施形態の場合と同様に、作業車両1の第1通信装置42から送信される複数の関係情報RDを、第2通信装置52が受信して第2記憶装置53に記憶させる。ここでは、
図9Aに示すように、作業車両1の第1圃場H1への入場の際に、
図14に示す設定スイッチ17がオンされ(なお、第1圃場H1からの退場の際に設定スイッチ17がオフされたか否かは問わない)、作業車両1が第1圃場H1にて作業を行った場合(作業の完了、未完了は問わない)について、以下に説明する。
【0135】
図15Aに示すように、情報管理部51aは、管理タイミングであるか否かを判定する(S61)。情報管理部51aは、管理タイミングでないと判定すると(S61でNo)、S61に戻り、管理タイミングになるまで待機する。
一方、特定部51bは、情報管理部51aが管理タイミングであると判定すると(S61でYes)、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを用いて、圃場Hの判定処理を行う(S62)。
【0136】
図15Bを用いて、圃場Hの判定処理について説明する。
図15Bは、第2実施形態における圃場Hの判定処理の一例を示す図である。具体的には、特定部51bは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDのうちで、設定モード情報が示す設定モードが有効のままで継続されている一群の複数の関係情報RDを特定し、この特定した一群の複数の関係情報RDの位置情報PIを取得する(S621)。つまり、特定部51bは、設定モードが有効であるときの一群の位置情報PIを取得する。例えば、第2関係情報2RDの設定モードフラグFL1がオンである時刻情報TIが示す時刻から第2関係情報2RDの設定モードフラグFL1がオフである時刻情報TIが示す時刻までに含まれる一群の第1関係情報1RDの位置情報PIを取得してもよい。
【0137】
図15Cは、GPSの位置情報又は圃場マップMPに位置ずれがあった場合に作業車両1の位置情報PIが第2圃場H2に入ったとされる例を示す図である。
図15Cの左側に示すように、GPSの位置情報PIにずれがあった場合には、第1圃場H1内を矢印で示す実際の走行ラインで作業車両1が走行したとしても、白抜き丸で示す位置情報PIが第2圃場H2に位置するとして判定されることがある。また、
図15Cの右側に示すように、圃場マップMPに位置ずれがあった場合には、第1圃場H1内を矢印で示す実際の走行ラインで作業車両1が走行し且つGPSの位置情報PIにずれがなかったとしても、白抜き丸で示す位置情報PIが圃場マップMP2による第2圃場H2に位置するとして判定されることがある。
【0138】
これに対して、第2実施形態では、
図15Bに示すS621~S625により、
図15Dに示すように、GPSの位置情報PI又は圃場マップMPに位置ずれがあった場合でも作業車両1の位置情報PIが第1圃場H1に位置すると正しく判定することができる。
図15Dは、GPSの位置情報PI又は圃場マップMPに位置ずれがあった場合でも作業車両1の位置情報PIが第1圃場H1に位置すると正しく判定されることを示す図である。
【0139】
特定部51bは、設定モードが有効であるときの一群の位置情報PIの全てを用いて第1重心CG1を算出する(S622)。特定部51bは、
図9Cに示すように、複数の関係情報RD1~RDn-1の各位置情報PIに基づいて、これらの位置情報PIの重心又はこれらの位置情報PIを含む形状の重心を、第1重心CG1として算出する。ここでは、第1重心CG1の算出を理解し易くするために、
図15Dに示すように、設定モードが有効であるときの一群の位置情報PIが、矩形状の第1圃場H1の内周に沿って1周回する移動経路に一致する複数の位置情報PIであった場合を例に挙げて説明する。つまり、作業車両1が、例えば矩形状の第1圃場H1への入場直後に、第1圃場H1の境界内側に沿って周回したため、作業車両1の位置情報PIが矩形状に並んで位置している。そして、特定部51bは、矩形状に並ぶ複数の位置情報PIの重心、又は、複数の位置情報PIで形成される外形(矩形又は略矩形の走行経路形状)の重心を、第1重心CG1として算出する。
【0140】
なお、特定部51bは、設定モードが有効であるときの一群の位置情報PIの全てを用いて第1重心CG1を算出しているが、これに限定されない。例えば、特定部51bは、
図15Dに示すように、第1圃場H1の境界内側に沿って周回した1周回分の複数の位置情報PI、或いは、第1圃場H1への入場直後の予め定められた初期期間に対応する複数の時刻情報TIに対応する複数の位置情報PIに基づいて、第1重心CG1を算出してもよい。また、特定部51bは、複数の位置情報PIの第1重心CG1に限らず、複数の位置情報PIの中心、平均点などを第1重心CG1として採用してもよい。
特定部51bは、マップ記憶装置54に記憶された圃場Hを示す圃場マップMPを取得する(S623)。例えば、
図15Dに示すように、特定部51bは、第1圃場H1を示す圃場マップMP1と、第2圃場H2を示す圃場マップMP2とを取得する。
【0141】
特定部51bは、取得した圃場マップMPの重心MGを取得する(S624)。具体的には、マップ記憶装置54には、圃場マップMPに圃場Hの重心を示す付帯情報が対応付けられて予め記憶されている。付帯情報は、重心位置(圃場Hの中心)の情報である。具体的には、マップ記憶装置54には、第1圃場H1を示す圃場マップMP1に、第1圃場H1の重心MG1を示す付帯情報が対応付けられ、第2圃場H2を示す圃場マップMP2に、第2圃場H2の重心MG2を示す付帯情報が対応付けられている。このため、特定部51bは、付帯情報に基づいて圃場H毎の重心MG(重心位置)を取得する。具体的には、特定部51bは、圃場マップMP1の付帯情報を用いて、第1圃場H1の重心MG1を取得し、圃場マップMP2の付帯情報を用いて、第2圃場H2の重心MG2を取得する。特定部51bは、
図15Dに示すように、第1圃場H1の重心MG1と第2圃場H2の重心MG2とを取得する。なお、特定部51bは、圃場マップMPについて付帯情報(つまり、圃場Hの重心位置を示す情報)が記憶されていない場合には、圃場Hの輪郭線(各辺)に対応する緯度及び経度(地図データ)を用いて、圃場Hの重心位置を求めることができる。
【0142】
特定部51bは、圃場マップMPに含まれる複数の圃場Hの各重心MGのうちで、第1重心CG1に最も近い重心を特定する(S625)。
図15Dでは、特定部51bは、第1重心CG1の位置と第1圃場H1の重心MG1の位置とに基づいて、第1重心CG1と第1圃場H1の重心MG1とを最短で結ぶ第1直線距離LG1を算出する。特定部51bは、第1重心CG1の位置と第2圃場H2の重心MG2の位置とに基づいて、第1重心CG1と第2圃場H2の重心MG2とを最短で結ぶ第2直線距離LG2を算出する。特定部51bは、第1直線距離LG1と第2直線距離LG2とを比較し、これらの直線距離のうちで最も短い直線距離を特定する。ここでは、特定部51bは、第1直線距離LG1の方が第2直線距離LG2よりも短いと判定したため、第1重心CG1に最も近い重心を重心MG1と特定する。
【0143】
図15Aに戻り、特定部51bは、第1重心CG1に最も近いとして特定した重心MG1の第1圃場H1を特定する(S63)。
特定部51bは、作業時間特定処理を実行する(S64)。特定部51bは、特定した第1圃場H1に位置する位置情報PIに対応付けられた時刻情報に基づいて作業車両1の作業時間を特定する。作業時間特定処理について、
図15Eを用いて説明する。
図15Eは、第2実施形態における作業時間特定処理の一例を示す図である。
【0144】
図15Eに示すように、特定部51bは、設定モードが有効である一連の関係情報RDの位置情報PIについて、特定部51bが特定した第1圃場H1に位置する位置情報PI以外の位置情報PIがあるか否か、つまり、第1圃場H1外の位置情報PIがあるか否かを判定する(S71)。特定部51bは、第1圃場H1外の位置情報PIがあると判定すると(S71でYes)、一連の関係情報RDの時刻情報TIについて、日付変更の有無を判定する(S72)。特定部51bは、日付変更なしと判定すると(S72でNo)、第1判定期間内に第1圃場H1に戻っているか否かを判定する(S73)。例えば、特定部51bは、一連の関係情報RDの時刻情報TIに基づいて、第1圃場H1外に位置している時間を特定し、この時間が第1判定期間内であるか否かを判定する。
【0145】
特定部51bは、第1判定期間内に第1圃場H1に戻っていないと判定すると(S73でNo)、一連の関係情報RDのうちで第1圃場H1内を示す位置情報PIを含む関係情報RDを特定し、この第1圃場H1内の関係情報RDうちで第1圃場H1内の最後の時刻を、作業時間の終了時刻とする(S74)。例えば、作業車両1の運転者が設定モードを無効にし忘れて第1圃場H1から退場して第1判定期間内に第1圃場H1に戻っていない場合、言い換えれば、設定モードが有効のままで作業車両1が第1圃場H1から退場して第1判定期間内に第1圃場H1に戻っていない場合に、第1圃場H1から退場したときを作業時間の終了時刻とすることができる。
【0146】
一方、S72において、特定部51bは、日付変更ありと判定すると(S72でYes)、つまり、時刻情報TIが作業日よりも後の日になったと判定すると、作業日において第1圃場H1内の最後の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業日での最終作業時刻とすると共に、後の日において第1圃場H1内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻から第1圃場H1内の最後の位置情報に対応する時刻情報TIが示す時刻までを後の日における作業時間と特定する(S76)。例えば、特定部51bは、一連の関係情報RDのうちで、時刻情報TIが作業日である第1グループと、当該作業日よりも後の日である第2グループとに分け、第1グループの複数の時刻情報TIのうちで最後の時刻を作業日での最終作業時刻とし、作業日の作業時間と特定すると共に、第2グループの複数の時刻情報TIのうちで第1圃場H1内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻から第1圃場H1内の最後の位置情報に対応する時刻情報TIが示す時刻までを後の日における作業時間と特定する。
【0147】
一方、S71において、特定部51bは、一連の関係情報RDの位置情報PIについて、第1圃場H1(圃場H)外の位置情報PIが無いと判定すると(S71でNo)、一連の関係情報RDの時刻情報TIについて、日付変更の有無を判定する(S72A)。特定部51bは、日付変更なしと判定すると(S72AでNo)、一連の関係情報RDのうちの最初の時刻情報TIが示す時刻から最後の時刻情報TIが示す時刻までの時間を作業時間として特定し(S75)、本処理を終了する。例えば、作業車両1の運転者が第1圃場H1の退場の際に設定モードを無効にした場合、つまり、第1圃場H1の入場及び退場の際に正しく設定スイッチ17が操作されている場合、第1圃場H1での作業時間を正しく特定することができる。
【0148】
一方、S72Aにおいて、特定部51bは、日付変更ありと判定すると(S72AでYes)、つまり、時刻情報TIが作業日よりも後の日になったと判定すると、作業日において第1圃場H1内の最後の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業日での最終作業時刻とすると共に、後の日において第1圃場H1内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻から第1圃場H1内の最後の位置情報に対応する時刻情報TIが示す時刻までを後の日における作業時間と特定する(S72B)。例えば、特定部51bは、一連の関係情報RDのうちで、時刻情報TIが作業日である第1グループと、当該作業日よりも後の日である第2グループとに分け、第1グループの複数の時刻情報TIのうちで最後の時刻を作業日での最終作業時刻とし、作業日の作業時間と特定すると共に、第2グループの複数の時刻情報TIのうちで第1圃場H1内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻から第1圃場H1内の最後の位置情報に対応する時刻情報TIが示す時刻までを後の日における作業時間と特定する。例えば、作業車両1の運転者が設定モードを有効のままで(無効にし忘れて)、作業車両1を第1圃場H1に置いておき、翌日以降に作業する場合に、日付ごとに作業時間を分けることができる。
【0149】
また、S73において、特定部51bは、第1判定期間内に圃場Hに戻っていると判定すると(S73でYes)、先の作業時間と、次の作業時間とを纏めて作業時間とし(S77)、本処理を終了する。例えば、設定モードが有効のままで作業車両1が第1圃場H1から一時的に退場して戻ってきた場合(つまり、第1判定期間内に戻ってきた場合)には、第1圃場H1から退場したときを作業時間の終了時刻とせず、作業時間を継続して管理することができる。詳述すれば、作業車両1が第1圃場H1から一旦退場したが第1判定期間内に戻ってきた場合には、第1圃場H1からの退場によって区切られた先の作業時間に、再入場によって生成された後の作業時間を合わせて1つの作業時間とする。
【0150】
S74のあと、特定部51bは、一連の関係情報RDのうちの最初の時刻情報TIが示す時刻から、S74で特定した先の作業時間の終了時刻(第1圃場H1内の最後の時刻)までの時間を、先の作業時間として特定する(S78)。例えば、作業車両1の運転者が設定モードを無効にし忘れて第2圃場H2に入場した場合、つまり、設定モードを有効のままで作業車両1が第1圃場H1から退場して第2圃場H2に入場した場合であっても、第2圃場H2に入場したときを作業時間の開始時刻とすることができる。S78のあと、特定部51bは、次の圃場H(第2圃場H2)内の最初の時刻を次の作業時間の開始時刻とし(S79)、本処理を終了する。
【0151】
図15Aに戻って、情報管理部51aは、特定部51bが特定した圃場Hと、特定部51bが特定した作業時間と、第1圃場H1の作業時間に対応する、第2記憶装置53の関係情報RDとを関連付けて管理する(S65)。
図16は、圃場Hと作業時間と設定情報SIとを紐づけたデータの一例を示す図である。情報管理部51aは、
図16に示すように、第1圃場H1(圃場番号H01)を示す圃場情報HIと、作業時間を示す作業時間情報WIと、関係情報RDの設定情報SIとを紐づけたデータ(つまり、第1圃場作業データFWI1)を生成して第2記憶装置53に記憶させる。作業時間情報WIは、第1圃場H1に入場した時刻から第1圃場H1に退場した時刻までの時間を示す。なお、第1圃場作業データFWI1は、第1実施形態のように重複する情報を削除したデータとしてもよい。
【0152】
特定部51bは、次の一連の関係情報RDの有無を判定する(S66)。特定部51bは、次の一連の関係情報RDがあると判定すると(S66でYes)、S62に進む。特定部51bは、前述のS62~S64を実行し、第2圃場H2の作業時間を特定する。そして、情報管理部51aは、特定部51bが特定した圃場Hと、特定部51bが特定した第2圃場H2の作業時間と、第2圃場H2の作業時間に対応する、第2記憶装置53の関係情報RDとを関連付けて管理する(S65)。つまり、情報管理部51aは、
図16に示すように、第2圃場H2(圃場番号H02)を示す圃場情報HIと、作業時間を示す作業時間情報WIと、関係情報RDの設定情報SIとを紐づけたデータ(つまり、第2圃場作業データFWI2)を生成して第2記憶装置53に記憶させる。なお、第1、第2圃場作業データFWI1、FWI2は、第1実施形態のように重複する情報を削除したデータとしてもよい。例えば、圃場単位で保存された複数の関係情報RDは、間引かれた第1関係情報1RD、第2関係情報2RD、及び、前回と重複するものが削除された第3関係情報3RDなどで構成されるとしてもよい。
【0153】
特定部51bは、次の一連の関係情報RDが無いと判定すると(S66でNo)、本処理を終了する。
上述した第2実施形態の管理システムSは、作業車両1とサーバ50とを備える。作業車両1は、自動操舵の開始前の設定を行う設定モードの有効又は無効を設定する設定スイッチ17と、設定モードの有効又は無効を示す設定モード情報と計時装置40aで計時された時刻情報TIと車体3の位置情報PIと作業車両1の設定情報SIとを対応付けた関係情報RDを、記憶する第1記憶装置41と、第1記憶装置41が記憶した関係情報RDをサーバ50に送信する第1通信装置42と、を備える。サーバ50は、第1通信装置42から送信された関係情報RDを受信する第2通信装置52と、第2通信装置52が受信した関係情報RDを記憶する第2記憶装置53と、設定モード情報に基づいて、第2記憶装置53に記憶された関係情報RDを管理する情報管理部51aと、を備える。上記構成によれば、情報管理部51aは、設定モード情報に基づいて、第2記憶装置53に記憶された関係情報RDを管理する。つまり、設定モード情報に基づいて時刻情報TI及び位置情報PIの記憶が管理される。例えば、設定モードが有効である場合の時刻情報TI及び位置情報PIを記憶することができる。このため、時刻情報TI及び位置情報PIを設定モードに応じて適切に管理することができる。
【0154】
また、サーバ50は、圃場マップMPを記憶するマップ記憶装置54と、特定部51bとを備え、特定部51bは、第2記憶装置53に記憶された関係情報RDのうちで、設定モード情報(設定モードフラグFL1)が示す設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ一群の位置情報PIに対応付けられた時刻情報TIに基づいて作業車両1の作業時間を特定し、一群の位置情報PIを集計して第1重心CG1を算出し、圃場マップMPに含まれる複数の圃場の各重心MGのうちで、第1重心CG1に最も近い重心MGを特定し、最も近い重心MGの圃場Hを、圃場Hとして特定する。上記構成によれば、特定部51bは、設定モードが有効であるときの位置情報PIにより特定される第1重心CG1に最も近い重心MGの圃場Hを、作業車両1が作業した圃場Hとして特定するので、位置情報PIにズレがあった場合又は圃場マップMPにズレがあった場合においても、正確に圃場Hを特定することができる。
【0155】
また、情報管理部51aは、特定部51bが特定した圃場Hと、特定部51bが特定した作業時間と、作業時間に対応する第2記憶装置53の関係情報RDとを関連付ける。上記構成によれば、サーバ50は、圃場Hと作業時間と当該作業時間に対応する関係情報RDとを関連付けて管理することができる。
また、圃場マップMPは、少なくとも第1圃場H1を含み、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第1圃場H1以外の位置を示す値に変化した場合又は第1圃場H1以外の位置を示す値が第1判定期間に亘って継続されている場合に、第1圃場H1内の最後の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業時間の終了時刻であると特定する。上記構成によれば、作業車両1の運転者が設定モードを無効にし忘れて第1圃場H1から退場した場合、つまり、設定モードが有効のままで作業車両1が第1圃場H1から退場した場合に、第1圃場H1から退場したときを作業時間の終了時刻とすることができる。これにより、作業時間を圃場単位で適切に区切ることができる。
【0156】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第1圃場H1以外の位置を示す値に変化した時刻から第1判定期間内に第1圃場H1内の位置を示す値になった場合に、変化した時刻を作業時間の終了時刻としない。上記構成によれば、設定モードが有効のままで作業車両1が第1圃場H1から一時的に退場して戻ってきた場合には、第1圃場H1から退場したときを作業時間の終了時刻とせず、作業時間を継続して管理することができる。このため、作業時間が不適切に区切られることを防止できる。よって、作業時間を圃場単位で適切に区切ることができる。
【0157】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、時刻情報TIが作業日よりも後の日になった場合に、作業日において第1圃場H1内の最後の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業日での最終作業時刻とすると共に、後の日において第1圃場H1内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻から第1圃場H1内の最後の位置情報に対応する時刻情報TIが示す時刻までを後の日における作業時間と特定する。上記構成によれば、作業車両1の運転者が設定モードを有効のままで(無効にし忘れて)、作業車両1を圃場に置いておき、翌日以降に作業する場合に、日付ごとに作業時間を分けることができる。これにより、作業時間を日付に基づいて適切に区切ることができる。
【0158】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが無効に切り換えられ、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第1圃場H1以外の位置を示す値に変化した時刻が属する日と同日に、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値になった場合に、第1圃場H1についての先の作業時間と同日の後の作業時間とを区別する。上記構成によれば、第1圃場H1の入出場に際して設定モードが正しく操作され、作業車両1が第1圃場H1から一旦退場したが同日に戻ってきた場合には、第1圃場H1からの退場によって区切られた先の作業時間と、再入場によって生成された後の作業時間とを、別々の作業時間とすることができる。つまり、同日であっても設定モードが無効に切り換えられることにより、別の作業時間として管理することができる。このため、作業時間を、設定モード単位で適切に区切ることができる。
【0159】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第1圃場H1以外の位置を示す値に変化した時刻が属する日と同日に、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値になった場合に、第1圃場H1についての先の作業時間と同日の後の作業時間とを纏めた作業時間とする。上記構成によれば、設定モードが有効のままであり、且つ、作業車両1が第1圃場H1から一旦退場したが同日に戻ってきた場合には、第1圃場H1からの退場によって区切られた先の作業時間に、再入場によって生成された後の作業時間を合わせて1つの作業時間とすることができる。同日に複数の作業時間が生成されることを防止することができる。このため、作業時間を作業日単位で適切に区切ることができる。
【0160】
また、特定部51bは、設定モード情報の設定モードが有効のままであり、且つ、位置情報PIが第1圃場H1内の位置を示す値から第2圃場H2内の位置を示す値に変化した場合又は第2圃場H2内の位置情報PIが第2判定期間に亘って継続されている場合に、第2圃場H2内の最初の位置情報PIに対応する時刻情報TIが示す時刻を作業時間の開始時刻であると特定する。上記構成によれば、作業車両1の運転者が設定モードを無効にし忘れて第2圃場H2に入場した場合、つまり、設定モードを有効のままで作業車両1が第1圃場H1から退場して第2圃場H2に入場した場合であっても、第2圃場H2に入場したときを作業時間の開始時刻とすることができ、作業時間の始期を圃場単位で適切に区切ることができる。
【0161】
[第3実施形態]
第3実施形態のサーバ50の特定部51bは、第2記憶装置53に記憶された関係情報RDのうちで、設定モード情報(設定モードフラグFL1)が示す設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ複数の位置情報PIを一つずつ、圃場マップMPが示す圃場H内にあるか否かの内外判定を行うことにより、複数の位置情報PIのそれぞれについて該当する圃場Hを特定し、同じ圃場Hが連続して特定されている一連の位置情報PIに対応付けられた時刻情報TIに基づいて作業車両1の作業時間を特定する。
【0162】
ここで、第3実施形態における管理システムSのサーバ50での作業時間管理処理について説明する。
図15Fは、第3実施形態における作業時間管理処理の一例を示す図である。
図15Fに示すように、情報管理部51aは、管理タイミングであるか否かを判定する(S61)。情報管理部51aは、管理タイミングでないと判定すると(S61でNo)、S61に戻り、管理タイミングになるまで待機する。
【0163】
一方、特定部51bは、情報管理部51aが管理タイミングであると判定すると(S61でYes)、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDを用いて、圃場Hの内外判定処理を行い(S62A)、複数の位置情報PIのそれぞれについて該当する圃場を特定する(S63A)。具体的には、特定部51bは、第2記憶装置53に記憶された複数の関係情報RDのうちで、設定モード情報が示す設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ複数の位置情報PIを一つずつ、圃場マップMPが示す圃場H内にあるか否かの内外判定(S62A)を行うことにより、複数の位置情報PIのそれぞれについて該当する圃場を特定する(S63A)。例えば、第2関係情報2RDの設定モードフラグFL1がオンである時刻情報TIが示す時刻から第2関係情報2RDの設定モードフラグFL1がオフである時刻情報TIが示す時刻までに含まれる一群の第1関係情報1RDの位置情報PIを取得してもよい。
【0164】
続いて、特定部51bは、次の位置情報PIの有無を判定し(S63B)し、次の位置情報PIがあると判定すると(S63BでYes)、S63Aに戻る。一方、特定部51bは、次の位置情報PIがないと判定すると(S63BでNo)、同じ圃場Hが連続して特定されている一連の位置情報PIに対応付けられた時刻情報TIに基づいて作業車両1の作業時間を特定する(S64A)。即ち、特定部51bは、同じ圃場Hが連続する区間を作業時間として特定する。
【0165】
情報管理部51aは、特定部51bが特定した圃場Hと、特定部51bが特定した作業時間と、第1圃場H1の作業時間に対応する、第2記憶装置53の関係情報RDとを関連付けて管理する(S65)。特定部51bは、次の一連の関係情報RDの有無を判定する(S66)。特定部51bは、次の一連の関係情報RDがあると判定すると(S66でYes)、S62Aに進む。一方、特定部51bは、次の一連の関係情報RDが無いと判定すると(S66でNo)、本処理を終了する。
【0166】
上述した第3実施形態の管理システムSのサーバ50は、圃場マップMPを記憶するマップ記憶装置54と、特定部51bを備える。特定部51bは、第2記憶装置53に記憶された関係情報RDのうちで、設定モード情報(設定モードフラグFL1)が示す設定モードが有効であって時間経過順に並ぶ複数の位置情報PIを一つずつ、圃場マップMPが示す圃場H内にあるか否かの内外判定を行うことにより、複数の位置情報PIのそれぞれについて該当する圃場Hを特定し、同じ圃場Hが連続して特定されている一連の位置情報PIに対応付けられた時刻情報TIに基づいて作業車両1の作業時間を特定する。上記構成によれば、圃場Hと、作業車両1の作業時間と、圃場作業で設定した作業車両1の設定情報SIとを適切に管理することができる。また、圃場H内に位置する位置情報PIに対応付けられた時刻情報TIに基づいて作業車両1の作業時間を特定するので、作業時間についても正確に特定することができる。
【0167】
また、制御装置40は、操舵切換スイッチ19に自動操舵の開始又は終了の指示がされると、作業車両1の設定情報SIを含む関係情報RDを生成して、第1通信装置42に送信させてもよい。つまり、自動操舵の開始時と終了時とにおいて、関係情報RD(作業車両1の設定情報SI、時刻情報TI及び位置情報PI)が送信される。このため、サーバ50において、自動操舵の開始と終了とを正確に特定することができる。
【0168】
なお、第1期間及び第2期間の少なくとも一方を手動操舵と自動操舵とで異なる値としてもよい。例えば、自動操舵の場合における第1期間を手動操舵の場合における第1期間よりも短くしてもよい。この場合には、自動操舵の場合にサーバ50が関係情報RDを多く取得することができ、手動操舵の場合にサーバ50が取得する関係情報RDを少なくすることができる。また、手動操舵の場合における第2期間を自動操舵の場合における第2期間よりも長くしてもよい。この場合には、自動操舵の場合にサーバ50への情報の送信頻度を維持しつつ、手動操舵の場合にサーバ50への情報の送信頻度を低くすることができる。
【0169】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0170】
1 作業車両
2 作業装置
3 車体
19 操舵切換スイッチ
18 登録スイッチ
37 自動操舵機構
40 制御装置
40a 計時装置
41 第1記憶装置
42 第1通信装置
43 位置検出装置
50 サーバ
51 サーバ制御装置
51a 情報管理部
51b 特定部
52 第2通信装置
53 第2記憶装置
H 圃場
H1 第1圃場
H2 第2圃場
L1 基準ライン
L2 走行予定ライン
S 管理システム