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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179309
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】断熱建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20231212BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
E06B1/18 M
E06B7/23 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092562
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柚木 一弥
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036AA02
2E036AA03
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036EB07
2E036EC03
2E036FB02
2E036GA02
2E036HA01
2E036HB12
(57)【要約】
【課題】止水性及び断熱性に優れた断熱建具を提供する。
【解決手段】屋外側に配置される屋外金属枠と屋内側に配置される屋内金属枠との間に枠側断熱材が介在されて開口を形成する枠体と、前記枠体に、前記開口を開閉自在に設けられた開き障子と、前記開き障子の面内方向における当該開き障子と前記枠体との間に設けられ、前記枠側断熱材の屋内側に配置される気密材と、前記気密材と見込み方向に並べて配置され、前記枠側断熱材の屋外側に設けられ、屋内側と屋外側とを仕切る仕切り部材と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外側に配置される屋外金属枠と屋内側に配置される屋内金属枠との間に枠側断熱材が介在されて開口を形成する枠体と、
前記枠体に、前記開口を開閉自在に設けられた開き障子と、
前記開き障子の面内方向における当該開き障子と前記枠体との間に設けられ、前記枠側断熱材の屋内側に配置される気密材と、
前記気密材と見込み方向に並べて配置され、前記枠側断熱材の屋外側に設けられ、屋内側と屋外側とを仕切る仕切り部材と、を備えていることを特徴とする断熱建具。
【請求項2】
請求項1に記載の断熱建具であって、
前記気密材より屋内側に、前記枠体と前記開き障子との間を止水し、前記気密材と異なる他の気密材が設けられていることを特徴とする断熱建具。
【請求項3】
請求項2に記載の断熱建具であって、
前記開き障子は、障子側断熱材を介して接合される屋外框と屋内框とを備えており、
前記他の気密材は、前記障子断熱材よりも屋内側に設けられていることを特徴とする断熱建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の断熱建具であって、
前記枠体及び前記開き障子は、長方形状をなしており、
前記気密材と前記仕切り材とは、前記長方形状における少なくとも長手側の前記枠体と前記開き障子との間に設けられていることを特徴とする断熱建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性を備える断熱建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アルミニウム合金製の室内側枠材と室外側枠材とが断熱材を介して接合されている枠体と、この枠体に開閉可能に取り付けられガラスを囲む框を備えた障子と、を有する断熱サッシは知られている(例えば、特許文献1参照)。この断熱サッシの枠材及び框は、室内側が室外側よりも外周側に張り出して、室内側と室外側とに段差を設けることで、雨水などが室内側に進入しにくい構成とし、さらに、段差の室内側と室外側とに各々気密材を設けて止水している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6―288147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の断熱サッシは、止水性能を高めるために、室内側と室外側とに段差を設け、段差の室内側と室外側とにそれぞれ気密材を設けている。このため、枠体及び框の見付け面の幅を広く確保しなければならない。また、段差は、ガラスの面内方向に並ぶ位置に設けられているので、枠体及び框の見付け面の幅を広く確保すると、ガラスのサイズを小さくせざるを得ない。アルミニウム合金製の枠体及び框は、断熱材を備えた構成であっても、ガラスよりも断熱性が低いため、止水性を高めるため枠体及び框の見付け面の幅を広くすると断熱性能が低下するという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、止水性及び断熱性に優れた断熱建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、屋外側に配置される屋外金属枠と屋内側に配置される屋内金属枠との間に枠側断熱材が介在されて開口を形成する枠体と、前記枠体に、前記開口を開閉自在に設けられた開き障子と、前記開き障子の面内方向における当該開き障子と前記枠体との間に設けられ、前記枠側断熱材の屋内側に配置される気密材と、前記気密材と見込み方向に並べて配置され、前記枠側断熱材の屋外側に設けられ、屋内側と屋外側とを仕切る仕切り部材と、を備えていることを特徴とする断熱建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、止水性及び断熱性に優れた断熱建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る断熱建具の内観図である。
図2】本実施形態に係る断熱建具の縦断面図である。
図3】本実施形態に係る断熱建具の横断面図である。
図4図2におけるA部の拡大図である。
図5図2におけるB部の拡大図である。
図6図3におけるC部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る断熱建具について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る断熱建具1の一例として、図1図3に示すように、建物の躯体に固定され開口1aを形成する枠体10と、枠体10にヒンジ1bを介して開閉自在に取り付けられている開き障子20を有する断熱建具1を例に挙げて説明する。
【0010】
断熱建具1は、屋内側から見たときに右側にヒンジ1bが設けられており、開き障子(以下、単に障子という)20は左側に設けられているハンドル1c側を屋外側に押し出すことにより開口1aが開放される。以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の断熱建具1を、屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、見込み方向において、障子20が開く際に移動する側を屋外側、反対側を屋内側とし、また、枠体10の内側となる開口1a側を内周側、枠体10において開口1aとは反対の外側を外周側として説明する。
【0011】
障子20は、上框21、下框24、左右の縦框27が枠組みされて矩形状をなし、その内側に複層ガラス4が設けられている。複層ガラス4は、屋外側に配置される網入りガラス4aと屋内側に配置されるLow-eガラス4bとが見込み方向に間隔を空けて対面し一体に設けられている。
【0012】
上框21、下框24及び縦框27は各々、外周側に配置される外周框22、25、28と、内周側に配置される内周框23、26、29と、を有し、合成樹脂製の障子側断熱材6a、6b、6cを介して連結されて一体をなしている。ここで、外周框22、25、28が、障子側断熱材を介して接合される屋外框に相当し、内周框23、26、29が障子側断熱材を介して接合される屋内框に相当する。外周框22、25、28及び内周框23、26、29はいずれも、長手方向を押し出し方向とするアルミニウム製の押し出し形材である。
【0013】
図4に示すように、上框21の外周框をなす外周上框22は、複層ガラス4の上面と対向する見込み面を形成する上框見込面部22aと、上框見込面部22aの屋内側の端から複層ガラス4の屋内側にて下方に延出された上框下方延出部22bと、上框下方延出部22bの下端から屋内側に延出された上框内方延出部22cと、上框見込面部22aの屋内側の端から上方に延出された上框上方延出部22dと、上框見込面部22aの屋外側の端に設けられ押縁21aが係止される上押縁係止部22eと、を有している。上框見込面部22aの上面には、見込み方向におけるほぼ中央に、長手方向に沿って設けられた気密材嵌合部22fに合成樹脂製の上框気密材5aが全長に亘って設けられている。
【0014】
上框内方延出部22cの下には、屋外側の端と、屋内側の端とに各々障子側断熱材(以下、上框断熱材ともいう)6aが設けられており、2つの上框断熱材6aの下端同士を繋ぐように、上框21の内周框をなす内周上框23が設けられている。内周上框23は、2つの上框断熱材6aに亘り下面が平面をなしている。また、上框内方延出部22cと2つの上框断熱材6aにより繋がった内周上框23は、その内側に、長手方向に貫通する中空部21bを形成している。
【0015】
複層ガラス4の上端部は、屋外側の面と上押縁係止部22eに係止された押縁21aとの間、及び、屋内側の面と内周上框23の屋外側の端及び上框断熱材6aとの間にそれぞれ設けられたバックアップ材20aとシーリング材20bにより保持されている。
下框24は、図5に示すように、上框21とほぼ同形状をなし上下の向きを反転させて配置される。
【0016】
下框24の外周框をなす外周下框25は、複層ガラス4の下面と対向する見込み面を形成する下框見込面部25aと、下框見込面部25aの屋内側の端から複層ガラス4の屋内側にて上方に延出された下框上方延出部25bと、下框上方延出部25bの上端から屋内側に延出された下框内方延出部25cと、下框見込面部25aの屋外側の端に設けられ押縁24bが係止される下押縁係止部25dと、を有している。下框見込面部25aの下面には、見込み方向におけるほぼ中央に、長手方向に沿って設けられた下気密材嵌合部25eに合成樹脂製の下框気密材5bが全長に亘って設けられている。
【0017】
下框内方延出部25cの上には、屋外側の端と、屋内側の端とに各々障子側断熱材(以下、下框断熱材ともいう)6bが設けられており、2つの下框断熱材6bの上端同士を繋ぐように、下框24の内周框をなす内周下框26が設けられている。内周下框26は、2つの下框断熱材6bに亘り上面が平面をなしている。また、下框内方延出部25cと2つの下框断熱材6bにより繋がった内周下框26は、その内側に、長手方向に貫通する中空部24aを形成している。
【0018】
複層ガラス4はセッティングブロックに載置されており、複層ガラス4の下端部は、屋外側の面と下押縁係止部25dに係止された押縁24bとの間、及び、屋内側の面と内周下框26の屋外側の端及び下框断熱材6bとの間にそれぞれ設けられたバックアップ材20aとシーリング材20bにより保持されている。
【0019】
左右の縦框27、同一の部材であり左右の向きを反転させて配置される。ここでは、右側の縦框を例に挙げて縦框27の構成を説明する。
図6に示すように、縦框27の外周框をなす外周縦框28は、複層ガラス4の側面と対向する見込み面を形成する縦框見込面部28aと、縦框見込面部28aの屋内側の端から複層ガラス4の屋内側にて内周方向に延出された縦框内方延出部28bと、縦框内方延出部28bの内周側の端から屋内側に延出された縦框屋内延出部28cと、縦框見込面部28aの屋外側の端に設けられ押縁27bが係止される縦押縁係止部28d、を有している。
【0020】
縦框見込面部28aの外周面には、見込み方向におけるほぼ中央に、長手方向に沿って設けられた縦気密材中央嵌合部28eに合成樹脂製の縦中央気密材5cが全長に亘って設けられ、見込み方向における屋内側の端に、長手方向に沿って設けられた縦気密材屋内嵌合部28fに合成樹脂製の縦内気密材5dが全長に亘って設けられている。すなわち、縦中央気密材5cと縦内気密材5dとは、見込み方向に間隔を空けて設けられている。
【0021】
縦框屋内延出部28cの内周側には、屋外側の端と、屋内側の端とに各々障子側断熱材(以下、縦框断熱材ともいう)6cが設けられており、2つの縦框断熱材6cの内周側の端同士を繋ぐように、縦框27の内周框をなす内周縦框29が設けられている。内周縦框29は、2つの縦框断熱材6cに亘り内周面が平面をなしている。また、縦框屋内延出部28cと2つの縦框断熱材6cにより繋がった内周縦框29は、その内側に、長手方向に貫通する中空部27aを形成している。
【0022】
複層ガラス4の側端部は、屋外側の面と縦押縁係止部28dに係止された押縁27bとの間、及び、屋内側の面と内周縦框29の屋外側の端及び縦框断熱材6cとの間にそれぞれ設けられたバックアップ材20aとシーリング材20bにより保持されている。
【0023】
枠体10は、図2図3に示すように、上枠11、下枠14、左右の縦枠17が枠組みされて矩形状をなし、その内側が開口1aをなしている。上枠11、下枠14及び縦枠17は各々、屋外側に配置されるアルミニウム製の屋外金属枠12、15、18と屋内側に配置されるアルミニウム製の屋内金属枠13、16、19と、を有し、合成樹脂製の枠側断熱材6d、6e、6fを介して連結されて一体をなしている。屋外金属枠12、15、18及び屋内金属枠13、16、19はいずれも、長手方向を押し出し方向とする押し出し形材である。
【0024】
上枠11は、図4に示すように、障子20の上框見込面部22aと上下方向に間隔を空けて対向し見込み面を形成する上枠見込面部11aと、上枠見込面部11aの屋内側の端部から上框下方延出部22bの屋内側にて下方に延出された上枠下方延出部11bと、上枠下方延出部11bの下端から屋内側に延出された上枠内方延出部11cと、上枠内方延出部11cの屋内側の部位から下方に延出されて見付け面を形成する上枠屋内見付け面部11dと、を有している。
【0025】
上枠見込面部11aは、枠側断熱材(以下、上枠断熱材ともいう)6dを備えており、上枠断熱材6dにより屋外側の部位が上枠11の屋外金属枠をなす屋外上枠12をなしている。また、上枠見込面部11aにおいて上枠断熱材6dよりも屋内側の部位は、上枠下方延出部11b、上枠内方延出部11c、上枠屋内見付け面部11dと一体に形成され、上枠11の屋内金属枠をなす屋内上枠13をなしている。
【0026】
上枠下方延出部11bの屋外側には、屋外側に突出させて合成樹脂製の上枠気密材5eが長手方向の全長に亘って設けられている。上枠気密材5eは、障子20を閉じた状態で、障子20の上框上方延出部22dに当接して押圧される。このため、障子20を閉じた状態では、上框見込面部22aと上枠見込面部11aとの間には、屋外側が開放され見込み方向にほぼ直線状に繋がる空隙Saの屋内側が上枠気密材5eにより閉塞される。この上框見込面部22aと上枠見込面部11aとの間の空隙Saでは、屋外上枠12と上枠断熱材6dとの境界近傍に設けられた上框気密材5aと上枠気密材5eとが見込み方向において間隔を空けて並べて配置されている。
【0027】
また、上框見込面部22aに設けられている上框気密材5aの上端は、障子20の開閉時の負荷とならないように、上枠見込面部11aと接触しない程度に近接しており、空隙Saは、上框気密材5aにより屋外側と屋内側とが仕切られている。すなわち、上框気密材5aは、上框見込面部22aの上方の空隙Saを見込み方向において、屋外側と屋内側とに仕切るように設けられており、仕切り部材に相当する。
【0028】
上枠内方延出部11cは、上框内方延出部22cと上下方向に間隔を空けて配置され、上枠内方延出部11cと上框内方延出部22cとの間には、右端近傍にヒンジ1bが設けられている。また、上枠内方延出部11cの上側は、躯体(不図示)により覆われている。
【0029】
上枠屋内見付け面部11dは、長手方向に貫通し断面が矩形状の中空部11eを有している。上枠屋内見付け面部11dにおいて中空部11eを形成する上屋内壁部11fは、上枠内方延出部11cの屋内側の端部と共に上屋内見付け面をなしている。上枠屋内見付け面部11dにおいて中空部11eを形成する上屋外壁部11gの下端は下方に延出され、屋外側に突出させて合成樹脂製の屋内上気密材5fが長手方向の全長に亘って設けられている。屋内上気密材5fは、障子20を閉じた状態で、障子20の内周上框23の屋内側の端に当接して押圧される。
【0030】
そして、上枠気密材5e及び屋内上気密材5fと上枠断熱材6dとにより、上枠11における上枠気密材5eと屋内上気密材5fとの間の部位は、上框21と間隔を空けた空間Scが形成され、上枠内方延出部11cの上側の躯体及び上枠屋内見付け面部11dの中空部11eとともに断熱性が高められている。屋内上気密材5fは、断熱建具1の上部において、上枠気密材5eより屋内側に設けられて、枠体と開き障子との間を止水し、上枠気密材5eと異なる他の気密材に相当する。
【0031】
下枠14は、図5に示すように、障子20の下框見込面部25aと上下方向に間隔を空けて対向し見込み面を形成する下枠見込面部14aと、下枠見込面部14aの屋内側の端部から障子20よりもの屋内側にて上方に延出された下枠屋内見付け面部14bと、を有している。
【0032】
下枠見込面部14aは、下框見込面部25aと対向する部位に枠側断熱材(以下、下枠断熱材ともいう)6eを備えており、下枠断熱材6eにより屋外側の部位が下枠14の屋外金属枠をなす屋外下枠15をなしている。また、下枠見込面部14aにおいて下枠断熱材6eよりも屋内側の部位は、下枠屋内見付け面部14bと一体に形成され、下枠14の屋内金属枠をなす屋内下枠16をなしている。
【0033】
下枠見込面部14aにおいて下框見込面部25aよりも屋内側に延出されている部位は、下框内方延出部25cと上下方向に間隔を空けて配置され、下枠見込面部14aと下框内方延出部25cとの間には、右端近傍にヒンジ1bが設けられている。
【0034】
下枠屋内見付け面部14bは、長手方向に貫通し断面が矩形状の中空部14cを有している。下枠屋内見付け面部14bにおいて中空部14cを形成する下屋内壁部14dは、下枠見込面部14aの屋内側の端部と共に下屋内見付け面をなしている。下枠屋内見付け面部14bにおいて中空部14cを形成する下屋外壁部14eの上端には、屋外側に突出させて合成樹脂製の屋内下気密材5gが長手方向の全長に亘って設けられている。屋内下気密材5gは、障子20を閉じた状態で、障子20の内周下框26の屋内側の端に当接して押圧される。
【0035】
縦枠17は、図6に示すように、障子20の縦框見込面部28aと左右方向に間隔を空けて対向し見込み面を形成する縦枠見込面部17aと、縦枠見込面部17aの屋内側の端部から障子20よりもの屋内側にて内周側に延出された縦枠屋内見付け面部17bと、を有している。
【0036】
縦枠見込面部17aは、縦框見込面部28aと対向する部位に枠側断熱材(以下、縦枠断熱材ともいう)6fを備えており、縦枠断熱材6fにより屋外側の部位が縦枠17の屋外金属枠をなす屋外縦枠18をなしている。また、縦枠見込面部17aにおいて縦枠断熱材6fよりも屋内側の部位は、縦枠屋内見付け面部17bと一体に形成され、縦枠17の屋内金属枠をなす屋内縦枠19をなしている。
【0037】
縦枠屋内見付け面部17bは、長手方向に貫通し断面が矩形状の中空部17cを有している。縦枠屋内見付け面部17bにおいて中空部17cを形成する縦屋内壁部17dは、縦枠見込面部17aの屋内側の端部と共に縦屋内見付け面をなしている。縦枠屋内見付け面部17bにおいて中空部17cを形成する縦屋外壁部17eの内周側の端は内周側に延出され、屋外側に突出させて屋内縦気密材5hが長手方向の全長に亘って設けられている。屋内縦気密材5hは、障子20を閉じた状態で、障子20の内周縦框29の屋内側の端に当接して押圧される。屋内縦枠19の外周側は、躯体(不図示)により覆われている。
【0038】
縦内気密材5d及び屋内縦気密材5hと縦框断熱材6cとにより、縦枠17における縦内気密材5d及び屋内縦気密材5hとの間の部位は、縦框27と間隔を空けた空間Sdが形成され、屋内縦枠19の外周側の躯体及び縦枠屋内見付け面部17bの中空部17cとともに断熱性が高められている。屋内縦気密材5hは、断熱建具1の側部において、縦内気密材5dより屋内側に設けられて、枠体と開き障子との間を止水し、縦内気密材5dと異なる他の気密材に相当する。
【0039】
障子20を閉じた状態では、縦框見込面部28aと縦枠見込面部17aとの間には、屋外側が開放され見込み方向にほぼ直線状に繋がる空隙Sbが縦内気密材5dにより閉塞されている。この縦框見込面部28aと縦枠見込面部17aとの間の空隙Sbでは、屋外縦枠18と縦枠断熱材6fとの境界近傍に設けられた縦中央気密材5cと縦枠断熱材6fの屋内側に当接されている縦内気密材5dとが見込み方向において間隔を空けて並べて配置されている。また、縦框見込面部28aに設けられている縦中央気密材5cの内周側の端は、障子20の開閉時の負荷とならないように、縦枠見込面部17aと接触しない程度に近接しており、空隙Sbは、縦中央気密材5cにより屋外側と屋内側とが仕切られている。縦中央気密材5cは、縦框見込面部28aの外周側の空隙Sbを見込み方向において、屋外側と屋内側とに仕切るように設けられており、仕切り部材に相当する。
【0040】
本実施形態の断熱建具1によれば、断熱建具1の上部においては、障子20を閉じた状態で、障子20の面内方向における上框見込面部22aと上枠見込面部11aとの間に上框気密材5aと上枠気密材5eとが設けられているので、見込み方向に並ぶ2つの気密材5a、5eにより屋外側から屋内側に水が浸入することを防止することが可能となる。
【0041】
また、上框気密材5a及び上枠気密材5eは、見込み方向に並べて配置されるので、見込み方向において2つの気密材5a、5eの間の空隙Saを、直線状に設けることができ、屈曲させる必要がない。このため、2つの気密材5a、5eが配置されるスペースの見付け方向の幅を狭くすることが可能となり、断熱建具1において複層ガラス4よりも外周側の部位の見付け幅を狭くすることができるので、より高い断熱性を備えることが可能である。
【0042】
また、障子20を閉じた状態で、障子20の面内方向における上框見込面部22aと上枠見込面部11aとの間に設けられる、屋外側から上枠気密材5eまで繋がった空隙Saが、上框気密材5aにより屋内側と屋外側とに仕切られているので、外気が屋内側に進入しにくく、上框気密材5aにより仕切られた屋内側の空間が断熱空間となるため、更に断熱性を高めることが可能となる。
【0043】
また、2つの気密材5a、5eよりも更に屋内側に、上枠屋内見付け面部11dと内周上框23との間を止水する屋内上気密材5fが設けられているので、より優れた止水性を備えることが可能となる。
【0044】
また、屋内上気密材5fは、上框断熱材6aよりも屋内側に設けられているので、外周上框22が、屋内上気密材5fより屋内側に露出することをより確実に防止することが可能となる。このため、断熱性及び止水性により優れた断熱建具1を提供することが可能となる。
【0045】
また、断熱建具1の側部においては、障子20を閉じた状態で、障子20の面内方向における縦框見込面部28aと縦枠見込面部17aとの間に縦中央気密材5cと縦内気密材5dとが設けられているので、見込み方向に並ぶ2つの気密材5c、5dにより屋外側から屋内側に水が浸入することを防止することが可能となる。
【0046】
また、縦中央気密材5c及び縦内気密材5dは、見込み方向に並べて配置されるので、見込み方向において2つの気密材5c、5dの間の空隙Sbを、直線状に設けることができ、屈曲させる必要がない。このため、2つの気密材5c、5dが配置されるスペースの見付け方向の幅を狭くすることが可能となり、断熱建具1において複層ガラス4よりも外周側の部位の見付け幅を狭くすることができるので、より高い断熱性を備えることが可能である。
【0047】
また、障子20を閉じた状態で、障子20の面内方向における縦框見込面部28aと縦枠見込面部17aとの間に設けられる、屋外側から縦内気密材5dまで繋がった空隙Sbが、縦中央気密材5cにより屋内側と屋外側とに仕切られているので、外気が屋内側に進入しにくく、縦中央気密材5cにより仕切られた屋内側の空間が断熱空間となるため、更に断熱性を高めることが可能となる。
【0048】
また、2つの気密材5c、5dよりも更に屋内側に、縦枠屋内見付け面部17bと内周縦框29との間を止水する屋内縦気密材5hが設けられているので、より優れた止水性を備えることが可能となる。
【0049】
また、屋内縦気密材5hは、縦框断熱材6cよりも屋内側に設けられているので、外周縦框28が、屋内縦気密材5hより屋内側に露出することをより確実に防止することが可能となる。このため、断熱性及び止水性により優れた断熱建具1を提供することが可能となる。
【0050】
このように、長方形状をなす断熱建具1において、長辺側となる縦枠17と縦框27との間に設けられる空隙Sbに、2つの気密材5c、5dを設け、更に屋内側に気密材5hを設けることにより、より効率よく止水性及び断熱性を備えることが可能となる。
【0051】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0052】
屋外側に配置される屋外金属枠と屋内側に配置される屋内金属枠との間に枠側断熱材が介在されて開口を形成する枠体と、前記枠体に、前記開口を開閉自在に設けられた開き障子と、前記開き障子の面内方向における当該開き障子と前記枠体との間に設けられ、前記枠側断熱材の屋内側に配置される気密材と、前記気密材と見込み方向に並べて配置され、前記枠側断熱材の屋外側に設けられ、屋内側と屋外側とを仕切る仕切り部材と、を備えていることを特徴とする断熱建具である。
【0053】
このような断熱建具によれば、開き障子の面内方向における当該開き障子と枠体との間には、気密材及び、屋内側と屋外側とを仕切る仕切り部材が設けられているので、仕切り部材と気密材とにより屋外側から屋内側に水が浸入することを防止することが可能となる。また、気密材と仕切り部材とは、見込み方向に並べて配置されるので、見込み方向において気密材と仕切り部材との間の空隙を、直線的に設けることができ、屈曲させる必要がない。このため、気密材と仕切り部材とが配置されるスペースの見付け方向の幅を狭くすることが可能となり、断熱建具において開き障子よりも外周側の部位の見付け幅を狭くすることができるので、より高い断熱性を備えることが可能である。
【0054】
かかる断熱建具であって、前記気密材より屋内側に、前記枠体と前記開き障子との間を止水し、前記気密材と異なる他の気密材が設けられていることを特徴とする。
【0055】
このような断熱建具によれば、気密材の更に屋内側に、枠体と開き障子との間を止水する他の気密材が設けられているので、気密材の屋内側に水が浸入してしまったとしても、その屋外側にて他の気密材により止水される。このため、より優れた止水性を備えることが可能となる。
【0056】
かかる断熱建具であって、前記開き障子は、障子側断熱材を介して接合される屋外框と屋内框とを備えており、前記他の気密材は、前記障子断熱材よりも屋内側に設けられていることを特徴とする。
【0057】
このような断熱建具によれば、他の気密材は、障子断熱材よりも屋内側に設けられているので、屋外框が、他の気密材より屋内側に露出することをより確実に防止することが可能となる。このため、断熱性及び止水性により優れた断熱建具を提供することが可能となる。
【0058】
かかる断熱建具であって、前記枠体及び前記開き障子は、長方形状をなしており、前記気密材と前記仕切り材とは、前記長方形状における少なくとも長手側の前記枠体と前記開き障子との間に設けられていることを特徴とする。
【0059】
このような断熱建具によれば、気密材と仕切り材とは、長方形状における少なくとも長手側の枠体と開き障子との間に設けられているので、より効率よく止水性及び断熱性を備えることが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 断熱建具、1a 開口、5a 上框気密材(仕切り部材)、
5c 縦中央気密材(仕切り部材)、5d 縦内気密材、5e 上枠気密材、
5f 屋内上気密材、5h 屋内縦気密材、6a 上框断熱材、
6c 縦框断熱材、6d 上枠断熱材、6f 縦枠断熱材、10 枠体、
12 屋外上枠(屋外金属枠)、13 屋内上枠(屋内金属枠)、
18 屋外縦枠(屋外金属枠)、19 屋内縦枠(屋内金属枠)、
20 障子、22 外周上框(屋外框)、23 内周上框(屋内框)、
28 外周縦框(屋外框)、29 内周縦框(屋内框)、
Sa 空隙、Sb 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6