(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179317
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電池冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20231212BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231212BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20231212BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231212BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231212BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/6556
H01M10/625
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092572
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正高
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031CC09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】電池を冷却するための冷却液がフィルタを通過する冷却回路において電池の冷却効果を確保すること。
【解決手段】冷却回路を循環する絶縁性の冷却油によって電池を直接的に冷却する電池冷却装置であって、冷却回路は、冷却油に混入した不純物を除去するフィルタと、フィルタをバイパスするバイパス通路と、フィルタが設けられたフィルタ側通路とバイパス通路とを切り替える切替弁と、を有し、切替弁を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、電池の冷却要求がある時に、冷却回路を流れる冷却油の圧力損失が大きいと判定した場合、冷却油がバイパス通路を流れるように切替弁を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却回路を循環する絶縁性の冷却油によって電池を直接的に冷却する電池冷却装置であって、
前記冷却回路は、
前記冷却油に混入した不純物を除去するフィルタと、
前記フィルタをバイパスするバイパス通路と、
前記フィルタが設けられたフィルタ側通路と前記バイパス通路とを切り替える切替弁と、を有し、
前記切替弁を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記電池の冷却要求がある時に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいと判定した場合、前記冷却油が前記バイパス通路を流れるように前記切替弁を制御する
ことを特徴とする電池冷却装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電池の冷却要求がない時に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいと判定した場合、前記冷却油が前記フィルタ側通路を流れるように前記切替弁を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電池冷却装置。
【請求項3】
前記冷却回路は、前記冷却油を吐出するポンプを有し、
前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中、前記ポンプが前記冷却油を吐出する状態に固着した状態であると判定した場合、前記冷却油が前記バイパス通路を流れるように前記切替弁を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池冷却装置。
【請求項4】
前記フィルタは、前記不純物として異物および水分を除去することが可能であり、
前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中、前記フィルタでの水分凍結を防止する必要があると判定した場合、前記冷却油が前記バイパス通路を流れるように前記切替弁を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の電池冷却装置。
【請求項5】
前記冷却回路は、前記冷却油を吐出するポンプを有し、
前記フィルタは、前記不純物として異物および水分を除去することが可能であり、
前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいかつ前記電池の冷却要求があると判定した場合、前記冷却油が間欠的に前記バイパス通路を流れるように前記切替弁の開閉を間欠的に切り替える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池冷却装置。
【請求項6】
前記ポンプは、前記制御装置により制御される電動ポンプであり、
前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいかつ前記電池の冷却要求がないと判定した場合、前記ポンプを間欠運転させる
ことを特徴とする請求項5に記載の電池冷却装置。
【請求項7】
前記電池は、外部電源から供給される電力を急速充電することが可能であり、
前記制御装置は、前記外部電源の電力を前記電池に急速充電する際、前記冷却回路における前記電池の入口側での前記冷却油の温度と前記電池の出口側での前記冷却油の温度との差が大きい場合、前記フィルタにおいて目詰まりが発生していると判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の蓄電素子を有する蓄電モジュールと、蓄電モジュールのケース内で蓄電素子との間で熱交換を行う冷却液と、冷却液をケース内で移動させるファンと、冷却液に混入する異物を除去するフィルタと、を備えた冷却装置が開示されている。この冷却装置では、ファンを回転させて冷却液をケース内で循環させる際に冷却液がフィルタを通過することにより、冷却液に混入した異物をフィルタで捕集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、捕集した異物によってフィルタが目詰まりを起こす可能性がある。フィルタで目詰まりが発生すると、冷却液の圧力損失が増大して冷却液の流量が低下するため、電池の冷却効果が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電池を冷却するための冷却液がフィルタを通過する冷却回路において電池の冷却効果を確保することができる電池冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、冷却回路を循環する絶縁性の冷却油によって電池を直接的に冷却する電池冷却装置であって、前記冷却回路は、前記冷却油に混入した不純物を除去するフィルタと、前記フィルタをバイパスするバイパス通路と、前記フィルタが設けられたフィルタ側通路と前記バイパス通路とを切り替える切替弁と、を有し、前記切替弁を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記電池の冷却要求がある時に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいと判定した場合、前記冷却油が前記バイパス通路を流れるように前記切替弁を制御することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、電池の冷却要求がある時に冷却油の圧力損失が大きい場合には、フィルタを迂回するように冷却油を循環させることができる。これにより、フィルタによる冷却油の圧力損失で冷却油の流量が低下してしまうことを抑制できるので、電池の冷却効果を確保することができる。
【0008】
また、前記制御装置は、前記電池の冷却要求がない時に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいと判定した場合、前記冷却油が前記フィルタ側通路を流れるように前記切替弁を制御してもよい。
【0009】
この構成によれば、電池の冷却要求がない時に冷却油の圧力損失が大きい場合には、フィルタを通過するように冷却油を循環させることができる。これにより、冷却油に含まれる異物などをフィルタで除去できるため、異物による短絡回路の形成を抑制することができる。
【0010】
また、前記冷却回路は、前記冷却油を吐出するポンプを有し、前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中、前記ポンプが前記冷却油を吐出する状態に固着した状態であると判定した場合、前記冷却油が前記バイパス通路を流れるように前記切替弁を制御してもよい。
【0011】
この構成によれば、ポンプが冷却油を吐出する状態に固着した状態であると判定した際に、バイパス通路を経由する循環回路が形成されるため、冷却油の圧力が上昇して冷却回路が破裂することを防止できる。
【0012】
また、前記フィルタは、前記不純物として異物および水分を除去することが可能であり、前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中、前記フィルタでの水分凍結を防止する必要があると判定した場合、前記冷却油が前記バイパス通路を流れるように前記切替弁を制御してもよい。
【0013】
この構成によれば、フィルタの凍結防止を行う場合に、冷却油をバイパス通路に流して冷却回路内を循環させることができる。これにより、電池の冷却性能を確保することができる。
【0014】
また、前記冷却回路は、前記冷却油を吐出するポンプを有し、前記フィルタは、前記不純物として異物および水分を除去することが可能であり、前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいかつ前記電池の冷却要求があると判定した場合、前記冷却油が間欠的に前記バイパス通路を流れるように前記切替弁の開閉を間欠的に切り替えてもよい。
【0015】
この構成によれば、バイパスによる間欠運転を実施することにより、フィルタを通過する冷却油の流量が低下するため、フィルタに詰まった水分の除去を促すことができる。
【0016】
また、前記ポンプは、前記制御装置により制御される電動ポンプであり、前記制御装置は、前記ポンプにより圧送された前記冷却油が前記冷却回路を循環中に、前記冷却回路を流れる前記冷却油の圧力損失が大きいかつ前記電池の冷却要求がないと判定した場合、前記ポンプを間欠運転させてもよい。
【0017】
この構成によれば、ポンプ駆動による間欠運転を実施することにより、フィルタを通過する冷却油の流量が低下するため、フィルタに詰まった水分の除去を促すことができる。
【0018】
また、前記電池は、外部電源から供給される電力を急速充電することが可能であり、前記制御装置は、前記外部電源の電力を前記電池に急速充電する際、前記冷却回路における前記電池の入口側での前記冷却油の温度と前記電池の出口側での前記冷却油の温度との差が大きい場合、前記フィルタにおいて目詰まりが発生していると判定してもよい。
【0019】
この構成によれば、圧力センサを用いずに、冷却油の温度に基づいてフィルタの目詰まりを検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、電池の冷却要求がある時に冷却油の圧力損失が大きい場合には、フィルタを迂回するように冷却油を循環させることができる。これにより、フィルタによる冷却油の圧力損失で冷却油の流量が低下してしまうことを抑制できるので、電池の冷却効果を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態における電池冷却装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、フィルタ詰まり時制御を示すフローチャート図である。
【
図3】
図3は、故障時制御を示すフローチャート図である。
【
図4】
図4は、水分除去制御を示すフローチャート図である。
【
図5】
図5は、水分除去制御を実施した際の状態を示すタイムチャート図である。
【
図6】
図6は、冷却油の温度と電池の温度との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における電池冷却装置について具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、実施形態における電池冷却装置を模式的に示す図である。電池冷却装置1は、電池2と冷却液との間の熱抵抗を低減するために、絶縁性の冷却油によって電池2を直接的に冷却する。この電池冷却装置1は、冷却対象である電池2と、冷却油が循環する冷却回路10と、冷却回路10を制御する制御装置30とを備える。
【0024】
電池2は、水冷式の電池パックである。電池2は、複数の電池セルにより構成された電池モジュールと、電池モジュールを収容するケースとを備える。電池2のケース内を冷却回路10の冷却油が流れることによって、複数の電池セルなどの発熱部が冷却油により直接的に冷却される。冷却回路10は冷却油が流れる経路として、電池2のケース内の冷却通路を含む。
【0025】
冷却回路10は、オイルポンプ11と、熱交換器12と、リザーバタンク13と、切替弁14と、フィルタ15と、バイパス通路16と、第1温度センサ17と、第2温度センサ18と、第1圧力センサ19と、第2圧力センサ20とを備える。
【0026】
オイルポンプ11は、電動オイルポンプである。電動モータが駆動することによりオイルポンプ11は冷却油を吐出する。冷却回路10では、オイルポンプ11が冷却油を吐出することにより、冷却油が圧送されて循環する。オイルポンプ11が吐出した冷却油は第1通路41を介して熱交換器12に供給される。第1通路41は、オイルポンプ11と熱交換器12とを接続する油路である。
【0027】
熱交換器12は、冷却油と外部の熱輸送媒体との間で熱交換を行い、冷却油の温度を調整する装置である。この熱輸送媒体は、エアコン冷媒やエンジン冷却水やモータ冷却液など、冷却回路10とは別系統の回路を循環する冷媒である。つまり、熱交換器12は冷却油の温度を調整する装置として機能する。
【0028】
例えば、熱交換器12は、冷却油とエアコン冷媒との間で熱交換を行うオイルクーラである。この熱交換器12を備える冷却回路10では、熱交換器12においてエアコン冷媒と冷却油とが熱交換を行うことにより冷却油が冷却されるため、冷却要求時に低温の冷却油を電池2に供給することができる。
【0029】
あるいは、熱交換器12は、冷却油とエアコン冷媒とエンジン冷却水との間で熱交換を行う三相型熱交換器である。この熱交換器12は、電池2の冷却要求時には冷却油とエアコン冷媒との間で熱交換を行い、電池2の暖機要求時には冷却油とエンジン冷却水との間で熱交換を行うことが可能である。この熱交換器12を備える冷却回路10では、冷たい冷却油によって電池2を冷却できるとともに、温かい冷却油によって電池2を暖機することができる。
【0030】
熱交換器12から流出した冷却油は第2通路42を介してリザーバタンク13に供給される。第2通路42は、熱交換器12とリザーバタンク13とを接続する油路である。
【0031】
リザーバタンク13は、冷却油を一時的に貯留する容器である。冷却回路10では熱交換器12と電池2との間にリザーバタンク13が設けられている。リザーバタンク13から流出した冷却油が第3通路43を介して電池2に供給される。第3通路43は、リザーバタンク13と電池2とを接続する油路である。
【0032】
電池2は、冷却油が発熱部に接触するように流れる冷却通路を備える。詳細には、電池2は、冷却油がケース内に流入する入口2aと、入口2aからケース内に流入した冷却油が複数の電池セルに接触するように流れる冷却通路と、冷却通路を流れた冷却油がケース外へ流出する出口2bとを備える。入口2aには第3通路43が接続されている。出口2bには第4通路44が接続されている。第4通路44は、電池2と切替弁14とを接続する油路である。電池2から流出した冷却油は第4通路44を介して切替弁14に供給される。
【0033】
切替弁14は、冷却油が流れる経路を、フィルタ側通路45とバイパス通路16とに切り替える。フィルタ側通路45は、フィルタ15が設けられた油路である。バイパス通路16は、フィルタ15をバイパスする油路である。切替弁14は、冷却油がフィルタ15を通過するように冷却油の流路を形成する第1状態と、冷却油がフィルタ15を通過しないように冷却油の流路を形成する第2状態とに切り替わる。この切替弁14は電磁弁であり、制御装置30により制御される。
【0034】
フィルタ15は、フィルタ側通路45に設けられ、冷却油に混入した不純物を除去する。不純物は水分や異物である。フィルタ15は冷却油に混入した異物を取り除くとともに、冷却油と水とを分離することが可能である。つまり、フィルタ15は油水分離機能付きのフィルタである。そのため、フィルタ15はフィルタ表面にて水分を捕集して、その水分がフィルタ下部の容器に溜まるように構成されている。フィルタ15はフィルタ下部の容器に溜まった水量を検知して、その情報を含む信号を出力することが可能である。
【0035】
フィルタ側通路45は、フィルタ15が設けられた通路であり、フィルタ前後の油路を形成する。フィルタ側通路45は、フィルタ15の上流側の油路と、フィルタ15の下流側の油路とを含む。フィルタ側通路45の上流側は切替弁14に接続されている。フィルタ側通路45の下流側は合流点46に接続されている。合流点46は、フィルタ側通路45とバイパス通路16とが合流する箇所である。フィルタ側通路45を冷却油が流れることにより、冷却油に混入した水分や異物をフィルタ15により除去することができる。
【0036】
バイパス通路16は、フィルタ15と並列に接続された油路である。このバイパス通路16は切替弁14で分岐した油路である。バイパス通路16の上流側は切替弁14に接続されている。バイパス通路16の下流側は合流点46に接続されている。バイパス通路16を冷却油が流れることにより、フィルタ15を通過する場合には生じる冷却油の圧力損失を発生させることなく、冷却油を循環させることができる。
【0037】
合流点46の下流側の油路は、第5通路47により形成されている。フィルタ側通路45またはバイパス通路16を流れた冷却油は合流点46を介して第5通路47に流入する。第5通路47は、合流点46とオイルポンプ11とを接続する油路である。第5通路47の下流側はオイルポンプ11に接続されている。
【0038】
第1温度センサ17は、電池2に供給される冷却油の温度を検出する油温センサである。第1温度センサ17は第3通路43に設けられ、電池2の入側での冷却油の温度Tinを検出する。電池2と熱交換前の冷却油の温度Tinが第1温度センサ17により検出される。
【0039】
第2温度センサ18は、電池2から流出した冷却油の温度を検出する油温センサである。第2温度センサ18は第4通路44に設けられ、電池2の出側での冷却油の温度Toutを検出する。電池2と熱交換後の冷却油の温度Toutが第2温度センサ18により検出される。
【0040】
第1温度センサ17および第2温度センサ18の検出結果は信号となって制御装置30に入力される。第1温度センサ17および第2温度センサ18が冷却油の温度を検出することにより、制御装置30は電池2の入側と出側との冷却油の温度差ΔT1を検出することができる。
【0041】
第1圧力センサ19は、フィルタ15の前側における冷却油の圧力を検出する。第1圧力センサ19は、フィルタ側通路45のうち切替弁14とフィルタ15との間の通路に設けられ、切替弁14とフィルタ15との間の冷却油の圧力を検出する。フィルタ15を通過する前の冷却油の圧力が第1圧力センサ19により検出される。
【0042】
第2圧力センサ20は、フィルタ15の後側における冷却油の圧力を検出する。第2圧力センサ20は、フィルタ側通路45のうちフィルタ15と合流点46との間の通路に設けられ、フィルタ15と合流点46との間の冷却油の圧力を検出する。フィルタ15を通過した後の冷却油の圧力が第2圧力センサ20により検出される。
【0043】
第1圧力センサ19および第2圧力センサ20の検出結果は信号となって制御装置30に入力される。第1圧力センサ19および第2圧力センサ20がフィルタ前後の冷却油の圧力を検出することにより、制御装置30はフィルタ前後での冷却油の圧力差を検出することができる。第1圧力センサ19と第2圧力センサ20とはフィルタ前後の差圧を検出する差圧センサとして機能する。
【0044】
制御装置30は、冷却回路10を制御する電子制御装置である。制御装置30は、冷却回路10に設けられた各種センサからの信号に基づいて各種の制御を実行する。制御装置30には、第1温度センサ17および第2温度センサ18からの信号と、第1圧力センサ19および第2圧力センサ20からの信号とが入力される。そして、制御装置30は各種要求に応じて冷却回路10を制御する。各種要求としては、電池2の冷却要求、電池2の暖機要求、電池2の均温化要求、冷却回路10の故障時、フィルタ15の目詰まり時、フィルタ15の水分除去時などが挙げられる。
【0045】
また、冷却回路10では、絶縁性の冷却油によって電池2の発熱部を直接的に冷却するので、冷却油に混入した不純物により電池2で短絡回路が形成されることを防ぐ必要がある。そのために、冷却回路10は、フィルタ15によって冷却油に混入した水分や異物などの不純物を除去するように構成されている。そして、フィルタ15を使用した異物除去方法では、水分や異物がフィルタ15に詰まることで冷却油の圧力損失が増大する。この圧損増加による冷却油の流量低下や冷却回路10の耐圧を超えることを防止するための制御が制御装置30により実行される。制御装置30は電池2の冷却性能や冷却回路10の安全性を確保するために、各種要求に応じて、フィルタ詰まり時制御や、故障時制御や、水分除去制御などを実行する。
【0046】
図2は、フィルタ詰まり時制御を示すフローチャート図である。
図2に示す制御は、制御装置30により実行される。
【0047】
制御装置30は、オイルポンプ11が駆動中にフィルタ前後の圧力差が閾値Aよりも大きいか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101では、フィルタ15を通過するように冷却油が流れている循環状態において、フィルタ15の目詰まりによる圧力上昇に対して冷却回路10の破裂を防止するための制御が必要であるか否かが判定される。制御装置30は、冷却回路10の耐圧を超えないように回路破損を防止するための制御を実行可能である。そのため、制御装置30は、第1圧力センサ19により検出した圧力と第2圧力センサ20により検出した圧力とに基づいてフィルタ前後の圧力差を算出し、その圧力差が閾値Aよりも大きいか否かを判定する。閾値Aは、冷却回路10の破裂を防止するために設定された閾値である。
【0048】
オイルポンプ11が駆動中にフィルタ前後の圧力差が閾値Aよりも大きいと判定された場合(ステップS101:Yes)、制御装置30は、バイパス制御を実行する(ステップS102)。ステップS102では、制御装置30が切替弁14を制御することにより、冷却油がバイパス通路16を流れるように制御される。ステップS102において切替弁14は、冷却油が流れる経路をフィルタ側通路45からバイパス通路16へと切り替える。ステップS102の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0049】
オイルポンプ11が駆動中にフィルタ前後の圧力差が閾値Aよりも大きくないと判定された場合(ステップS101:No)、制御装置30は、オイルポンプ11が駆動中にフィルタ前後の圧力差が閾値Bよりも大きいか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103では、冷却回路10の耐圧を超えないものの(回路破損はしないものの)冷却油の流量が減った状態であるか否かが判定される。閾値Bは、閾値Aよりも小さい値に設定されている。この閾値Bは、冷却油の流量が減った状態になることを防止するために設定された閾値である。制御装置30は、ステップS101で算出したフィルタ前後の圧力差を用いてステップS103の判定処理を行う。
【0050】
オイルポンプ11が駆動中にフィルタ前後の圧力差が閾値Bよりも大きいと判定された場合(ステップS103:Yes)、制御装置30は、電池2の温度が上昇しているか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104では、第1温度センサ17および第2温度センサ18により検出した冷却油の温度に基づいて電池2の入側と出側との油温差を算出し、その油温差が大きい場合に電池2の温度が上昇していると判定される。この場合、電池2の入側での油温は電池2の出側での油温よりも低い。
【0051】
電池2の温度が上昇していると判定された場合(ステップS104:Yes)、制御装置30は、電池2の冷却要求があると判断してバイパス制御を実行する(ステップS105)。ステップS105では、制御装置30が切替弁14を制御して、冷却油がバイパス通路16を流れるように制御される。ステップS105において切替弁14は、冷却油が流れる経路をフィルタ側通路45からバイパス通路16へと切り替える。ステップS105の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0052】
電池2の温度が上昇していないと判定された場合(ステップS104:No)、この制御ルーチンは終了する。この場合、制御装置30は、電池2の暖機要求時あるいは電池2の温度を均一にするための要求時(均温化要求時)であると判断し、バイパス制御を実行しない。
【0053】
オイルポンプ11が駆動中にフィルタ前後の圧力差が閾値Bよりも大きくないと判定された場合(ステップS103:No)、制御装置30は、通常の冷却状態において電池2の温度が上昇しているか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106では、第1温度センサ17および第2温度センサ18により検出した冷却油の温度に基づいて電池2の入側と出側との油温差を算出し、その油温差が大きい場合に電池2の温度が上昇していると判定される。
【0054】
通常の冷却状態において電池2の温度が上昇している状態であると判定された場合(ステップS106:Yes)、制御装置30は、冷却油が冷却回路10を循環した履歴があるか否かを判定する(ステップS107)。ステップS107では、所定時間内にオイルポンプ11が駆動した履歴があるか否かが判定される。例えば、オイルポンプ11が駆動中の場合にはステップS107において肯定的に判定される。
【0055】
冷却油が冷却回路10を循環した履歴があると判定された場合(ステップS107:Yes)、制御装置30は、バイパス制御を実行する(ステップS108)。ステップS108では、制御装置30が切替弁14を制御して、冷却油がバイパス通路16を流れるように制御される。ステップS108において切替弁14は、冷却油が流れる経路をフィルタ側通路45からバイパス通路16へと切り替える。ステップS108の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0056】
冷却油が冷却回路10を循環した履歴がないと判定された場合(ステップS107:No)、制御装置30は、通常制御を実行する(ステップS109)。また、ステップS106において通常の冷却状態において電池2の温度が上昇している状態ではないと判定された場合(ステップS107:No)、制御ルーチンはステップS109に進む。ステップS109の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0057】
図3は、故障時制御を示すフローチャート図である。
図3に示す制御は、制御装置30により実施される。
【0058】
制御装置30は、オイルポンプ11が駆動しているか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201では、オイルポンプ11の駆動Dutyに基づいてポンプ駆動が判定される。ステップS201において制御装置30は、電池2の冷却要求や、電池2の暖機要求や、電池2の均温化要求などの各種要求があるか否かを判定する。
【0059】
オイルポンプ11が駆動していないと判定された場合(ステップS201:No)、この制御ルーチンは終了する。
【0060】
オイルポンプ11が駆動していると判定された場合(ステップS201:Yes)、制御装置30は、オイルポンプ11が冷却油を吐出する状態に固着したON固着状態であるか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202では、オイルポンプ11の駆動状態を検出する信号に基づいて、その信号のON状態が続くON固着であるか否かが判定される。
【0061】
オイルポンプ11がON固着状態にあると判定された場合(ステップS202:Yes)、制御装置30は、バイパス制御を実行する(ステップS203)。ステップS203では、制御装置30が切替弁14を制御して、冷却油がバイパス通路16を流れるように制御される。ステップS203において切替弁14は、冷却油が流れる経路をフィルタ側通路45からバイパス通路16へと切り替える。ステップS203の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0062】
オイルポンプ11がON固着状態ではないと判定された場合(ステップS202:No)、制御装置30は、冷却油の温度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204では、冷却油の温度を用いて低温判定が行われる。この場合、フィルタ15の温度が低温になっているか否かが判定される。ステップS204において制御装置30は第2温度センサ18で検出した油温を用いて、電池2の出側での冷却油の温度Toutが閾値よりも低いか否かを判定する。
【0063】
冷却油の温度が閾値未満であると判定された場合(ステップS204:Yes)、制御装置30は、フィルタ15による冷却油の圧力損失が大きいか否かを判定する(ステップS205)。ステップS205において、制御装置30はフィルタ前後の圧力差が閾値Bよりも大きいか否かを判定する。ステップS205では、冷却回路10の耐圧を超えないものの(回路破損はしないものの)冷却油の流量が減った状態であるか否かが判定される。閾値Bは、
図2に示すステップS103で用いた閾値である。制御装置30は、第1圧力センサ19により検出した圧力と第2圧力センサ20により検出した圧力とに基づいてフィルタ前後の圧力差を算出し、その圧力差が閾値Bよりも大きいか否かを判定する。
【0064】
フィルタ15による冷却油の圧力損失が大きいと判定された場合(ステップS205:Yes)、制御装置30は、フィルタ15の凍結を防止するための処理を要求し(ステップS206)、バイパス制御を実行する(ステップS207)。
【0065】
ステップS206において凍結防止処理が要求されると、フィルタ15にモータ冷却液やエンジン冷却水が供給される。モータ冷却液の熱やエンジン冷却水の熱をフィルタ15に与えることができる。例えばモータ冷却液が循環する回路には、フィルタ15にモータ冷却液を供給するためのバイパス回路が設けられている。また、エンジン冷却水が循環する回路には、フィルタ15にエンジン冷却水を供給するためのバイパス回路が設けられている。凍結防止処理の要求がある場合、このバイパス回路をモータ冷却液やエンジン冷却水が流れるように制御される。モータ冷却液は、モータを冷却するとともにパワーコントロールユニットを冷却する冷却液である。なお、電池冷却装置1がハイブリッド車両(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載されている場合には、凍結防止処理を実施しても冷却油の圧力損失が下がらないと判定された場合や、凍結防止機能がない場合には、電池2の冷却要求がある時に冷却油の圧力損失が大きいと判定された際に、電池負荷の低減要求を行い、冷却要求を回避する。すなわち、モータ運転に伴う電池2の負荷を下げてエンジン運転を優先する。
【0066】
ステップS207では、ステップS206におけるフィルタ15の凍結を防止するための制御を実行中、バイパス制御が実行される。制御装置30が切替弁14を制御して、冷却油がバイパス通路16を流れるように制御される。ステップS207において切替弁14は、冷却油が流れる経路をフィルタ側通路45からバイパス通路16へと切り替える。
【0067】
ステップS207によるバイパス制御を実行後、制御装置30は、バイパス制御を開始してから所定時間が経過した否かを判定する(ステップS208)。
【0068】
バイパス制御を開始してから所定時間が経過していないと判定された場合(ステップS208:No)、この制御ルーチンはステップS208にリターンする。つまり、制御装置30は、凍結防止制御中はバイパス制御を継続する。
【0069】
バイパス制御を開始してから所定時間が経過したと判定された場合(ステップS208:Yes)、制御装置30は、バイパス制御を終了する(ステップS209)。ステップS209では、バイパス通路16によるバイパスが解除される。制御装置30が切替弁14を制御して、冷却油がフィルタ側通路45を流れるように制御される。ステップS209において切替弁14は、冷却油が流れる経路をバイパス通路16からフィルタ側通路45へと切り替える。ステップS209の処理を実施すると、この制御ルーチンはステップS205にリターンする。
【0070】
フィルタ15による冷却油の圧力損失が大きくないと判定された場合(ステップS205:No)、制御装置30は、通常制御を実行する(ステップS210)。また、冷却油の温度が閾値未満ではないと判定された場合(ステップS204:No)、この制御ルーチンはステップ210に進む。ステップS210の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0071】
図4は、水分除去制御を示すフローチャート図である。
図4に示す制御は、制御装置30により繰り返し実行される。
【0072】
制御装置30は、オイルポンプ11が駆動しているか否かを判定する(ステップS301)。ステップ301では、オイルポンプ11の駆動Dutyに基づいてポンプ駆動が判定される。制御装置30は、電池2の冷却要求や、電池2の暖機要求や、電池2の均温化要求などの各種要求があるか否かを判定する。
【0073】
オイルポンプ11が駆動していないと判定された場合(ステップS301:No)、この制御ルーチンは終了する。
【0074】
オイルポンプ11が駆動していると判定された場合(ステップS301:Yes)、制御装置30は、フィルタ15による冷却油の圧力損失が大きいか否かを判定する(ステップS302)。ステップS302において、制御装置30はフィルタ前後の圧力差が閾値Bよりも大きいか否かを判定する。ステップS302では、冷却回路10の耐圧を超えないものの(回路破損はしないものの)冷却油の流量が減った状態であるか否かが判定される。閾値Bは、
図2に示すステップS103で用いた閾値である。制御装置30は、第1圧力センサ19により検出した圧力と第2圧力センサ20により検出した圧力とに基づいてフィルタ前後の圧力差を算出し、その圧力差が閾値Bよりも大きいか否かを判定する。
【0075】
フィルタ15による冷却油の圧力損失が大きいと判定された場合(ステップS302:Yes)、制御装置30は、フィルタ15の水分を除去するための制御を実行した回数が所定回数未満であるか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303では、所定時間内における水分除去制御の実行回数が、所定回数未満であるか否かが判定される。
【0076】
所定時間内における水分除去制御の実行回数が所定回数未満であると判定された場合(ステップS303:Yes)、制御装置30は、電池2の冷却要求があるか否かを判定する(ステップS304)。ステップS304では、電池2の温度が上昇しているか否かが判定される。ステップS304において制御装置30は、第1温度センサ17および第2温度センサ18により検出した冷却油の温度に基づいて電池2の入側と出側との油温差を算出し、その油温差が大きい場合に電池2の温度が上昇していると判定する。この場合、電池2の入側での油温は電池2の出側での油温よりも低い。
【0077】
電池2の冷却要求があると判定された場合(ステップS304:Yes)、制御装置30は、水分除去制御として、バイパスによる間欠運転を実施する(ステップS305)。ステップS305では、冷却油がフィルタ側通路45を流れる状態から冷却油がバイパス通路16を流れる状態へと間欠的に切り替えられる。制御装置30は切替弁14を制御して、冷却油が流れる経路をバイパス通路16に間欠的に切り替える。冷却油がバイパス通路16を間欠的に流れるように切替弁14の開閉が間欠的に切り替えられる。バイパスによる間欠運転が実施されると冷却油がフィルタ15を通過しない時間が発生するため、その間に、フィルタ表面に付着していた水分が自然とフィルタ下部の容器へ移動する。水分除去制御として切替弁14の接続状態を間欠的に切り替える制御が実行される場合、オイルポンプ11の駆動状態は変更されない。ステップS305の処理を実施すると、この制御ルーチンはステップS302にリターンする。
【0078】
電池2の冷却要求がないと判定された場合(ステップS304:No)、制御装置30は、水分除去制御として、ポンプ駆動による間欠運転を実施する(ステップS306)。ステップS306では、オイルポンプ11の駆動Dutyが間欠的に低くなるようにオイルポンプ11が制御される。制御装置30はオイルポンプ11を制御して、オイルポンプ11を間欠運転させる。ポンプ駆動による間欠運転が実施されるとフィルタ15を通過する冷却油の流量が低下する時間が発生するため、その間に、フィルタ表面に付着していた水分が自然とフィルタ下部の容器へ移動する。水分除去制御としてオイルポンプ11の駆動状態を間欠的に切り替える制御が実行される場合、切替弁14の接続状態は変更されない。ステップS306の処理を実施すると、この制御ルーチンはステップS302にリターンする。
【0079】
フィルタ15による冷却油の圧力損失が大きいと判定されない場合(ステップS302:No)、制御装置30は、通常制御を実行する(ステップS307)。ステップ307の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0080】
所定時間内における水分除去制御の実行回数が所定回数以上であると判定された場合(ステップS303:No)、制御装置30は、所定回数の制御を実行したもののフィルタ15において異物による目詰まりが発生していると判断し、フィルタ詰まり時制御を実行する(ステップS308)。ステップS308において、フィルタ詰まり時制御に移行する。例えば
図2に示すフィルタ詰まり時制御に移行する。ステップS308においてフィルタ詰まり時制御に移行すると、この制御ルーチンは終了する。
【0081】
図5は、水分除去制御を実施した際の状態を示すタイムチャート図である。
図5には、水分除去制御としてバイパスによる間欠運転を実施した場合と、水分除去制御としてポンプ駆動による間欠運転を実施した場合とが示されている。
【0082】
フィルタ15による冷却油の圧力損失が閾値Bよりも大きいと判定された場合において、電池2の温度が冷却要求閾値よりも高いと判定された場合には、電池2の冷却要求があると判断され、バイパスによる間欠運転が実施される。この場合、制御装置30は切替弁14に出力する指示信号を間欠的にONに切り替える。指示信号がONの場合はバイパス通路16を冷却油が流れる。指示信号がOFFの場合はフィルタ側通路45を冷却油が流れる。バイパスによる間欠運転が実施され、フィルタ表面の水分が除去された後はフィルタ15を通過する状態における冷却油の圧力損失が減少する。
【0083】
一方、フィルタ15による冷却油の圧力損失が閾値Bよりも大きいと判定された場合において、電池2の温度が冷却要求閾値以下であると判定された場合には、電池2の冷却要求はないと判断され、ポンプ駆動による間欠運転が実施される。この場合、制御装置30はオイルポンプ11の駆動Dutyが間欠的に低下させる。駆動Dutyが高い場合には冷却油の流量が増加し、駆動Dutyが低い場合には冷却油の流量が減少する。ポンプ駆動による間欠運転が実施され、フィルタ表面の水分が除去された後はフィルタ15を通過する状態における冷却油の圧力損失が減少する。
【0084】
以上説明した通り、実施形態によれば、各種要求に応じてバイパス通路16を使用して電池2の冷却性能と冷却回路10の安全性を確保することができる。これにより、電池2を冷却する冷却油がフィルタ15を通過可能に構成された冷却回路10において電池2の冷却効果を確保することができる。
【0085】
なお、電池冷却装置1は、第1圧力センサ19と第2圧力センサ20とを含む構成に限定されない。例えば電池冷却装置1は圧力センサを用いずに冷却回路10における冷却油の圧力損失を検出するように構成することが可能である。
【0086】
変形例の電池冷却装置1では、第1温度センサ17と第2温度センサ18とにより検出した冷却油の温度を用いてフィルタ15の目詰まりを検出する。その際、電池2の入側と出側との冷却油の温度差に基づいて、フィルタ15の目詰まりを検出する。この検出方法が
図6に示されている。
【0087】
図6に示すように、電池2の入側での冷却油の温度T
inと電池2の出側での冷却油の温度T
outとの温度差ΔT1は、電池2の温度T2と相関関係にある。電池2の温度T2は、電池モジュールにおける複数の電池セルの温度の平均値である。そして、冷却油の温度差ΔT1と電池2の温度T2とは比例関係にある。そのため、電池2の温度T2を温度センサにより検出しなくても、冷却油の温度差ΔT1に基づいて電池2の温度上昇を検出することができる。すなわち、電池2の冷却要求や電池2の暖機要求や電池2の均温化要求などの各種要求の有無を、冷却油の温度差ΔT1を用いて判定することが可能である。
【0088】
そのため、電池2の急速充電時(定電流条件)に、オイルポンプ11における所定ポンプ揚程ごとに、冷却油の温度差ΔT1と電池2の温度T2との適合や学習を行う。そして、フィルタ15の目詰まりによる冷却油の圧力損失の増加で冷却油の流量が低下することを、冷却油の温度差ΔT1が大きくなることにより検出する。冷却油の温度差ΔT1が大きいと判定した場合には、フィルタ15で目詰まりが発生していると判定する。
【符号の説明】
【0089】
1 電池冷却装置
2 電池
10 冷却回路
11 オイルポンプ
12 熱交換器
13 リザーバタンク
14 切替弁
15 フィルタ
16 バイパス通路
17 第1温度センサ
18 第2温度センサ
19 第1圧力センサ
20 第2圧力センサ
30 制御装置
41 第1通路
42 第2通路
43 第3通路
44 第4通路
45 フィルタ側通路
46 合流点
47 第5通路