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特開2023-179325プローブ測定支援システム、プローブ測定支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179325
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】プローブ測定支援システム、プローブ測定支援方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/20 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G01R13/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092596
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 周亮
(72)【発明者】
【氏名】勝山 兼介
(57)【要約】
【課題】プローブを用いた測定において、作業者の安全性を確保しつつ、かつ作業者の作業負担を軽減して作業効率を向上させる。
【解決手段】測定対象の部位の状態を測定するプローブと、プローブの測定により得られた信号波形を出力するオシロスコープとを有したプローブ測定支援システムであって、プローブは、測定対象の部位の状態を測定する端子と、測定対象の部位を撮像するための撮像部と、端子により測定された部位の状態を示す信号と、撮像部により撮像された映像とを、オシロスコープに出力する第1の制御部と、を有し、オシロスコープは、表示装置と、部位の状態を示す信号に基づいて信号波形を表示する波形表示領域と、撮像部により撮像された映像を表示する映像表示領域とを、表示装置に表示する第2の制御部と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の部位の状態を測定するプローブと、前記プローブの測定により得られた信号波形を出力するオシロスコープとを有したプローブ測定支援システムであって、
前記プローブは、
前記測定対象の部位の状態を測定する端子と、
前記測定対象の部位を撮像するための撮像部と、
前記端子により測定された前記部位の状態を示す信号と、前記撮像部により撮像された映像とを、前記オシロスコープに出力する第1の制御部と、を有し、
前記オシロスコープは、
表示装置と、
前記部位の状態を示す信号に基づいて前記信号波形を表示する波形表示領域と、前記撮像部により撮像された映像を表示する映像表示領域とを、前記表示装置に表示する第2の制御部と、
を有することを特徴とするプローブ測定支援システム。
【請求項2】
前記第2の制御部は、前記表示装置の一の画面上に、前記波形表示領域と前記映像表示領域とを表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ測定支援システム。
【請求項3】
前記第2の制御部は、前記撮像部により撮像された映像を3次元解析し、測定部位の構造モデルとして前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ測定支援システム。
【請求項4】
前記プローブは、前記測定対象の部位を照らす光源部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ測定支援システム。
【請求項5】
前記プローブは、前記測定対象の部位の温度を検知するための温度センサを有し、
前記第1の制御部は、前記温度センサが検知した前記部位の温度が所定の条件を満たさない場合、警告を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ測定支援システム。
【請求項6】
前記プローブは、前記測定対象の部位を照らす光源部の明るさおよび/または前記撮像部の焦点距離を調整するための操作パネルを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ測定支援システム。
【請求項7】
前記プローブは、当該プローブの位置を検知するための位置検知センサを有し、
前記第1の制御部は、前記位置検知センサが検知した情報を前記オシロスコープに出力し、
前記オシロスコープの前記第2の制御部は、前記プローブから受け取った前記位置検知センサが検知した情報を、前記表示装置に表示するために座標変換し、当該座標変換後の前記プローブの位置と、あらかじめ定められた正解となる前記測定対象の部位の位置である正解位置との位置関係に基づいて、前記プローブによる前記測定対象の部位への接触状態を示す接触状態情報を、前記表示装置に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ測定支援システム。
【請求項8】
前記第2の制御部は、前記撮像部により撮像された映像を3次元解析し、測定部位の構造モデルとして前記表示装置に表示し、作業者から前記構造モデルに対して指定された、前記プローブが測定位置として目標とすべき位置を示す目標位置情報と、前記座標変換後の前記プローブの位置と、前記目標位置情報で示される位置と前記座標変換後の前記プローブの位置の距離とに基づいて、前記プローブを前記測定対象の部位まで誘導するガイド情報を前記表示装置に表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載のプローブ測定支援システム。
【請求項9】
測定対象の部位の状態を測定するプローブと、前記プローブの測定により得られた信号波形を出力するオシロスコープとを有したプローブ測定支援システムで行われるプローブ測定支援方法であって、
前記プローブが、前記測定対象の部位の状態を測定し、
前記プローブが有する撮像部が、前記測定対象の部位を撮像し、
前記プローブの制御部が、前記測定された前記部位の状態を示す信号と、前記撮像部により撮像された映像とを、前記オシロスコープに出力し、
前記オシロスコープの制御部が、表示装置の波形表示領域に、前記部位の状態を示す信号に基づいて前記信号波形を表示するとともに、前記表示装置の映像表示領域に、前記撮像部により撮像された映像を表示する、
を有することを特徴とするプローブ測定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ測定支援システム、プローブ測定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実験室等においてプリント基板を評価する場合、主にオシロスコープを使用して、プリント基板の波形を取得している。オシロスコープによりプリント基板の波形を取得する場合、一般的には、オシロスコープにつないだプローブの先端を、プリント基板の波形を取得したい箇所に当てる必要がある。ただし、近年の技術向上によるプリント基板のサイズ縮小に伴い、プリント基板上に搭載される部品の密集度が高くなることに伴い、観測箇所にプローブの先端を正しく当てることが困難になってきている。
【0003】
観測箇所にプローブの先端を正しく当てることを支援する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、術野Rの光学像を得る光学系、及びこの光学系から得られた光学像を撮像して映像信号を出力するビデオカメラを有し、術野R上を鉛直方向に移動可能であって、かつこの場合の作動距離が所定の距離以上に定められた鏡筒1と、術者5が鏡筒1の側面に対向した状態で観察可能な位置であって、かつ術者5から見て鏡筒1よりも奥の位置に配置され、ビデオカメラ2から出力された映像信号に基づく映像を表示するディスプレイ装置4と、を備える、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-318936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、目視で作業困難な場所をカメラで撮影することにより、作業を補助している。しかしながら、被検体にアクセスして測定する箇所とビデオカメラで撮影する箇所との位置関係が固定されている。そのため、様々な箇所での測定を行う場合には、術者の目視によって、プローブの先端を測定箇所に精度よく当てる必要がり、依然として術者にとって負担がかかるものとなっていた。また、プローブの先端を測定箇所に正しく当てやすくするために、プローブの先端形状を工夫したものはあるが、上記特許文献1と同様、実際に測定箇所に当てる際には目視に頼る必要がある。
【0006】
上述の通り、プリント基板のサイズは縮小傾向にあり、部品のサイズも小さく密集して搭載される。そのため、作業者の目視によりプリント基板の波形を取得しようとする場合、プローブの先端を正しく測定箇所に当てることが、これまで以上に、より一層困難になっている。また、作業者が精度よく正しい波形を観測できたとしても、その正しい波形を確認するために時間をロスしたり、誤って異なる部品に接触しショートを引き起こす危険性がある。さらに、測定箇所を探すこと自体に時間がかかってしまい、作業工数が増加する場合が生じてしまう。このように、プローブを用いた測定において、作業者の安全性を確保しつつ、かつ作業者の作業負担を軽減して作業効率を向上させることが可能な技術が求められていた。
【0007】
本発明は、プローブを用いた測定において、作業者の安全性を確保しつつ、かつ作業者の作業負担を軽減して作業効率を向上させることが可能なプローブ測定支援システム、プローブ測定支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるプローブ測定支援システムは、測定対象の部位の状態を測定するプローブと、前記プローブの測定により得られた信号波形を出力するオシロスコープとを有したプローブ測定支援システムであって、前記プローブは、前記測定対象の部位の状態を測定する端子と、前記測定対象の部位を撮像するための撮像部と、前記端子により測定された前記部位の状態を示す信号と、前記撮像部により撮像された映像とを、前記オシロスコープに出力する第1の制御部と、を有し、前記オシロスコープは、表示装置と、前記部位の状態を示す信号に基づいて前記信号波形を表示する波形表示領域と、前記撮像部により撮像された映像を表示する映像表示領域とを、前記表示装置に表示する第2の制御部と、を有することを特徴とするプローブ測定支援システムとして構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プローブを用いた測定において、作業者の安全性を確保しつつ、かつ作業者の作業負担を軽減して作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態におけるプローブ測定支援システムの構成例を示す図である。
図2】プローブ、オシロスコープの機能的な構成を示す図である。
図3】操作パネルの一例を示す図である。
図4】作業者がプローブを操作して、プリント基板上の測定対象から得られる波形をオシロスコープに出力する際の制御を示すシーケンス図である。
図5】カメラが撮像した映像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0012】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
以下の説明では、「データベース」、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0014】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0015】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0016】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0017】
図1は、本実施の形態におけるプローブ測定支援システムの構成例を示す図である。プローブ測定支援システムは、作業者による測定対象の測定を支援するためのシステムである。以下の説明において、「支援」には、測定のための「補助」をはじめ、同義の用語を含むものとする。
【0018】
図1に示すように、プローブ測定支援システム1000は、作業者が操作するプローブ100と、プローブ100による測定結果を画面に表示するオシロスコープ200とが、所定のケーブルCを介して電気的に接続されたシステムである。
【0019】
プローブ100は、作業者が測定対象(例えば、プリント基板)における信号を検出し、検出した信号をオシロスコープ200まで伝送する機器である。プローブ100を測定対象に近づけると、測定対象の状態に応じた物理的・電気的・機械的な信号を検出することができ、検出されたこれらの信号を、オシロスコープ200に出力する。
【0020】
オシロスコープ200は、プローブ100により測定された電気信号を波形として画面上に表示する測定器である。
【0021】
図2は、プローブ100、オシロスコープ200の機能的な構成を示す図である。まず、プローブ100について説明する。図2に示すように、プローブ100は、測定対象の状態やプローブ100の状態を検知するセンサであるセンサ102が検知した信号(例えば、測定対象の温度を測定したときの測定信号、プローブ100の向きや傾きなどを示す加速度信号やジャイロ信号、プローブ100の入力端子Tから測定対象までの距離を示す距離信号)が所定の条件を満たさない場合に警告を報知するアラーム101と、上記センサ102と、測定対象やその周辺を照射するLED(Light Emitting Diode)103と、測定対象やその周辺を撮像するカメラ104と、作業者からプローブ100の制御に関する情報の入力や変更、当該入力や変更された情報を表示する操作パネル105と、入力端子Tから検出された信号を処理してオシロスコープ200に伝送したり、操作パネル105から入力された指示に従ってプローブ100の各部を制御するなど、プローブ100全体の動作を制御するCPU106と、を有している。この例では、LED103とカメラ104とが別の機器として設けられているが、これらの機能を1つにしたLED付きカメラを用いてもよい。プローブ100が、このようなLED103およびカメラ104(あるいはLED付きカメラ)を有することにより、測定部位の明るさを確保しながら撮影することができる。
【0022】
以下では、プリント基板上の測定対象の状態を検知するセンサとして温度センサを例示するが、プリント基板を評価する際に用いられる他の様々なセンサについても同様に適用してよい。また、プローブ100の状態を検知するセンサとして加速度センサ、ジャイロセンサ、距離センサを例示するが、プローブ100の状態を検知可能な他の様々なセンサについても同様に適用してよい。さらに、この例では、カメラ104が2つ設けられている場合を例示するが、3次元解析を行うことが可能であれば、その数は任意に定めてよい。プローブ100により波形測定を行うプリント基板は形状が様々であり、測定部位が他部品の影になっている可能性もある。そのため、本実施例では、複数台のカメラ104を搭載することで、測定部位を3次元解析し、測定箇所の構造を把握して誤接触を防ぐことを可能としている。
【0023】
また、CPU106は、プローブ100の各種機能を制御する演算装置であり、CPU106が、所定のプログラムを実行することにより、プローブ100の各機能を実現することができる。プローブ100に記憶され、あるいは処理に用いられる様々なデータは、CPU106が図示しないメモリから読み出して利用することにより実現可能である。プローブ100が有する各部の具体的な動作については、シーケンスを用いて後述するが、以下に説明していない動作については、プローブ100として一般的な動作を行っているものとする。
【0024】
図3は、操作パネル105の一例を示す図である。図3に示すように、操作パネル105は、例えば、タッチパネルから構成され、作業者からプローブ100の設定に関する各種情報の入力や変更を、タッチ操作により受け付ける操作表示領域1051a、1052aを有している。この例では、プローブ100の制御に関する情報として、LED103の明るさの変更を行うための変更ボタン1051b、1051cが、操作表示領域1051aに表示され、カメラ104の焦点の変更を行うための変更ボタン1052b、1052cが、操作表示領域1052aに表示されている。変更ボタン1051b、1052bは、値を小さくするように変更するボタンであり、変更ボタン1051c、1052cは、値を大きくするように変更するボタンである。作業者は、プローブ100を持つ手の親指などでこれらの値を変更することができる。図3では、プローブ100のLED103の明るさの現在の値「α」、プローブ100のカメラ104の焦点距離の現在の値「β」が表示されている。
【0025】
図3では、プローブ100の制御に関する2つの情報を表示し、変更する場合について説明したが、画面をスクロールさせる等して、さらに多くの情報の表示、入力、変更等を行ってもよい。さらに、カメラの焦点距離ではなく、倍率等のカメラ104に関する様々な設定を調整する場合も上記同様に考えることができる。このようなカメラ104に対する制御を行うことにより、作業環境に合わせて適切な縮尺にし、必要な視界を確保することが可能となる。
【0026】
本例では、2つのカメラ104が設けられているため、図示しない操作パネル105の選択ボタンを押下する等して、調整対象とするカメラ104の選択や切り替えを行い、それぞれのカメラ104の設定を調整してよい。プローブ100がこのような操作パネル105を備えることにより、作業者は、測定対象に対する作業を行っている場合であっても、その作業中にプローブ100を制御するために必要な情報を入力、修正したり、確認することができる。
【0027】
続いて、図1および図2に戻り、オシロスコープ200について説明する。図1に示すように、オシロスコープ200は、プローブ100が測定した信号の波形を表示するための表示装置201と、表示装置201の波形表示領域201に表示される波形の明るさや色あいを調整したり、あるいは映像表示領域2012に表示される映像の画像上でプローブ100による測定位置を調整するための操作パネル202と、ケーブルCを介してプローブ100を電気的に接続するためのインタフェース203とを有している。表示装置201は、プローブ100の入力端子Tにより測定された信号の波形を表示する波形表示領域2011と、プローブ100のカメラ104により撮像された映像を表示する映像表示領域2012とを含む。図2では特に示していないが、操作パネル202には、上述した調整を行うためのボタン等の入力部を有しているものとする。オシロスコープ200が有する具体的な構成について、図2を用いて説明する。
【0028】
図2に示すように、オシロスコープ200は、例えば、2チャネル入力のデジタル・オシロスコープとして構成することができる。
【0029】
プローブ100の入力端子Tに加えられた入力信号は、感度切換えのためのアッテネータ205a、205bを介してアンプ210a、210bに出力される。アンプ210a、210bで所定の大きさに増幅された信号は、下流側に設けられたA/D変換器220a、220bに出力される。
【0030】
A/D変換器220a、220bは、増幅された信号を、クロック発生器225で発生させたサンプリングクロックでサンプリング等を行う。サンプリングされたデータは、設定されたタイムベース230に従って、順次、取得メモリ235a、235bに記録される。
【0031】
書き込みコントローラ240は、A/D変換器220a、220bおよび取得メモリ235a、235bへの書き込みの開始と、トリガ回路215から出力されるトリガ信号に基づいて、A/D変換器220a、220bおよび取得メモリ235a、235bへの書き込み停止を制御する。
【0032】
書き込みコントローラ240は、上記書き込み停止の後、CPU255にサンプリングデータが取得された旨を出力する。
【0033】
CPU255は、取得メモリ235a、235bからディスプレイメモリ245に上記データを転送する。CPU255は、転送された上記データに対して表示装置201に表示するための表示用データに変換する等の様々な指示を、ディスプレイコントローラ250に出力する。ディスプレイコントローラ250は、上記指示に従って表示用データを生成し、表示装置201上に、上記入力信号を波形の形で表示する。
【0034】
CPU255は、オシロスコープ200の各種機能を制御する演算装置であり、CPU255が、所定のプログラムを実行することにより、オシロスコープ200の各機能を実現することができる。オシロスコープ200に記憶され、あるいは処理に用いられる様々なデータは、CPU255が図示しないメモリから読み出して利用することにより実現可能である。オシロスコープ200が有する各部の具体的な動作については、シーケンスを用いて後述するが、以下に説明していない動作については、オシロスコープ200として一般的な動作を行っているものとする。
【0035】
図4は、作業者がプローブ100を操作して、プリント基板上の測定対象から得られる波形をオシロスコープ200に出力する際の制御を示すシーケンス図である。
【0036】
図4に示すように、作業者であるユーザUは、プローブ100の電源ボタン(不図示)を押下する。CPU106は、上記電源ボタンが押下され、プローブ100の電源がONされて起動中である旨の情報を、プローブ100の操作パネル105に表示する(S401)。ユーザUは、プローブ100が起動状態にあることを、操作パネル105を目視する等して確認すると、プローブ100の入力端子Tを測定対象に近づけて測定を開始する。
【0037】
CPU106は、プローブ100のセンサ102が検出している温度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S402)。CPU106は、当該判定の結果、プローブ100のセンサ102が検出している温度が所定の閾値以上であると判定した場合、アラーム101により上記警告を報知するとともに(S403)、センサ102が検出している実際の測定対象の温度を取得し(S404)、取得した温度を操作パネル105等に出力する(S405)。このように、CPU106は、上記温度が所定の閾値以上である場合には、例えば、基板動作時の発熱等が発生していると判断し、アラームによりユーザに知らせる。
【0038】
上記所定の閾値は、例えば、プローブ100の図示しないメモリ等の記憶媒体に、測定対象の種類に応じて、あらかじめ定めておけばよい。また、上記アラーム101が報知する情報としては、操作パネル105の色を黄色や赤色といった、作業者の注意を促すための色彩情報や、図示しないスピーカ等から発せられる警告音などが挙げられる。上記アラーム101が前者の情報を出力する場合、作業者は操作パネル105を目視することにより、測定対象の温度が異常であることを容易に認識することができる。また、上記アラーム101が前者の情報を出力する場合、作業者は警告音を聞き取ることにより、測定対象の温度が異常であることを容易に認識することができる。
【0039】
続いて、ユーザUは、操作パネル105をタッチする等して、LED103の明るさを調整する(S406)。CPU106は、操作パネル105に表示されている変更ボタン1051b、1051cのいずれかの押下を受け付けると、押下された変更ボタン1051b、1051cに対する操作量に応じて、LED103の明るさを調整する(S407)。CPU106は、図3に示した明るさ「α」から変更された後の値として、上記調整した結果である「明るさ「α’」」を取得し(S408)、取得した変更後の明るさを操作パネル105等に出力する(S409)。ユーザUは、操作パネル105を目視することにより、変更前後のLED103の明るさを容易に認識することができる。
【0040】
さらに、ユーザUは、操作パネル105をタッチする等して、カメラ104の焦点距離を調整する(S410)。CPU106は、操作パネル105に表示されている変更ボタン1052b、1052cのいずれかの押下を受け付けると、押下された変更ボタン1052b、1052cに対する操作量に応じて、カメラ104の焦点距離を調整する(S411)。CPU106は、図3に示した焦点距離「β」から変更された後の値として、上記調整した結果である「焦点距離「β’」」を取得し(S412)、取得した変更後の焦点距離を操作パネル105等に出力する(S413)。ユーザUは、操作パネル105を目視することにより、変更前後のカメラ104の焦点距離を容易に認識することができる。なお、図4では、プローブ100の電源がONされた後、S402~S413までに示した順序で操作や処理が行われる場合を例示したが、これらが任意の順序で実行可能である。
【0041】
このように、プローブ100により測定対象を測定する作業者は、プローブ100に設けられた操作パネル105を操作することにより、測定対象の作業前後、あるいは作業中であるかにかかわらず、プローブ100の各種設定の入力や変更を行うことができる。
【0042】
図4に示した制御において、CPU106は、S411において焦点距離が調整された場合、焦点距離が調整された後のカメラ104の映像を、オシロスコープ200に出力する(S414)。ここでは、S413までの処理が行われた後に上記映像を表示する場合を説明するが、上記のような各種の調整が行われない状態でも、カメラ104の映像をオシロスコープ200に出力してよい。
【0043】
図5は、カメラ104が撮像した映像の一例を示す図である。図5では、図1に示したプローブ100を省略して記載している。図5に示すように、プローブ100から上記映像が出力されると、オシロスコープ200のCPU255は、ケーブルCを介して受け取ったカメラ104の映像を、表示装置201の映像表示領域2012に表示させる。図5では、一例として、CPU255が、測定対象となるプリント基板Pの測定対象となる部位周辺を撮像した映像を示している。CPU255は、カメラ104が撮像している映像をそのまま表示させてもよいし、あるいは、複数のカメラ104から得られた映像を3次元解析し、測定部位の構造モデルとして表示させてもよい。構造モデルが表示されることにより、作業者は測定部位の構造を容易に把握することができる。
【0044】
このように、CPU255は、ディスプレイコントローラ250を制御して、1つの表示装置201の画面内に、プローブ100から受け取った入力信号を、波形の形で波形表示領域2011に表示するとともに、カメラ104が撮像した映像を、映像表示領域2012に表示する。波形表示領域2011と映像表示領域2012とが同一画面上に表示されることにより、作業者は、視線を固定して測定部位を評価することができ、作業者の安全性を確保しつつ、作業負担を軽減することができる。なお、測定部位によってはカメラ104で撮像した映像が不要な場合もある。その場合には、CPU255が、操作パネル202が有するボタンの押下により、映像表示領域2012の表示/非表示を切り替え、波形のみ確認可能としてもよい。
【0045】
また、図5では、ステージの所定位置に置かれたプリント基板Pにプローブ100が接触している部位を示す位置情報X(例えば、ステージ上での接触部位の座標)が表示されている。CPU255は、プローブ100のセンサ102として設けられている加速度センサ、ジャイロセンサ、距離センサから得られる情報を読み出し、ユーザUにより操作されたプローブ100の向きや傾き、上記位置情報Xや後述する目標位置情報で示される位置までの距離に応じて、カメラ104の画角調整を行う。
【0046】
上記位置情報Xは、CPU255が、プローブ100のカメラ104の座標系をワールド座標系に変換する等、従来から知られている種々の座標変換技術を用いて求めることができる。オシロスコープ200には、図示しないメモリ等の記憶媒体に、正解となるプローブ接触点(例えば、プリント基板Pの測定位置が正解であることを示すステージ上での座標)が記憶されており、CPU255は、当該記憶されている正解となるプローブ接触点と、上記位置情報Xとが所定の条件を満たしているか否かを判定し、プローブ100による接触位置が正しいことを示すOK情報、あるいはプローブ100による接触位置が正しくないことを示すNG情報(以下、これらを接触状態情報とする)を、接触状態情報表示領域Rに表示する。図5では、プローブ100は、プリント基板Pに対して正しい位置で接触していることを示している。上記所定の条件とは、例えば、上記位置情報Xが、上記正解となるプローブ接触点に対して、誤差許容範囲0.1mm以内の座標位置であることである。このように、CPU255が、上記のような接触状態情報を画面上に表示することにより、作業者は、自身の測定が正しく行われているのかを容易に把握することができる。
【0047】
また、CPU255は、操作パネル202が有する上記調整のためのボタンが受け付けた情報(例えば、プローブ100が測定位置として目標とすべき、カメラ104の映像上におけるプリント基板P上の位置を示す情報。以下、目標位置情報とする。)と、プローブ100のセンサ102から出力された加速度センサ、ジャイロセンサ、距離センサから得られる情報と、上記位置情報Xとを用いて、当該目標位置情報による示される位置までプローブ100の入力端子Tをガイドするためのガイド情報を表示する。図5では、一例として、ガイド情報GL、GRが、プローブ100の所定位置(例えば、距離センサが設けられている位置)から目標位置情報で定められた位置までガイドするガイド情報が表示されている。上記ガイド情報の表示は、上記位置情報Xを算出した場合と同様、CPU255が、プローブ100のカメラ104の座標系をワールド座標系に変換する等、従来から知られている種々の座標変換技術を用いて算出してよい。CPU255が、ガイド情報GL、GRを映像表示領域2012に表示することにより、ユーザはそのガイドにしたがって、容易に測定対象となる部位に対する測定を行うことができる。
【0048】
つまり、CPU255は、複数のカメラ104から得られた映像を3次元解析して得られた測定部位の構造モデルを映像表示領域2012に表示し、作業者が、映像表示領域2012に表示された上記構造モデルに対して、操作パネル202を操作する等して上記目標位置情報を指定すると、CPU255は、指定された当該目標位置情報およびプローブ100の入力端子Tの現在の位置情報Xの位置や、両者の距離を計算して、その結果をガイド情報GL、GRとして映像表示領域2012に表示する。このようなガイド情報の補助を受けて、作業者は、精度よく測定対象となる部位に対する測定を行うことができるようになる。
【0049】
以上説明したように、本実施例では、図1、2、5等を用いて説明したように、測定対象の部位(プリント基板P上の測定部位)の状態を測定するプローブ100と、上記プローブ100の測定により得られた信号波形を出力するオシロスコープ200とを有したプローブ測定支援システム1000において、上記プローブ100は、上記測定対象の部位の状態を測定する端子(入力端子T)と、上記測定対象の部位を撮像するための撮像部(カメラ104)と、上記端子により測定された上記部位の状態を示す信号と、上記撮像部により撮像された映像とを、上記オシロスコープに出力する第1の制御部(CPU106)と、を有し、上記オシロスコープは、表示装置(表示装置201)と、上記部位の状態を示す信号に基づいて上記信号波形を表示する波形表示領域2011と、上記撮像部により撮像された映像を表示する映像表示領域2012とを、上記表示装置に表示する第2の制御部(CPU255)と、を有する。これにより、プローブを用いた測定において、作業者の安全性を確保しつつ、かつ作業者の作業負担を軽減して作業効率を向上させることができる。
【0050】
また、図5等を用いて説明したように、上記第2の制御部は、上記表示装置の一の画面上に、上記波形表示領域と上記映像表示領域とを表示させる。これにより、作業者は、視線を固定して測定部位を評価することができ、作業者の安全性を確保しつつ、作業負担を軽減することができる。
【0051】
また、図5等を用いて説明したように、上記第2の制御部は、上記撮像部により撮像された映像を3次元解析し、測定部位の構造モデルとして上記表示装置に表示させる。これにより、作業者は測定部位の構造を容易に把握することができるようになる。
【0052】
また、図1、2等を用いて説明したように、上記プローブは、上記測定対象の部位を照らす光源部(LED103)を有する。これにより、測定部位の明るさを確保しながら撮影することができる。
【0053】
また、図1、2、3等を用いて説明したように、上記プローブは、上記測定対象の部位の温度を検知するための温度センサ(センサ102)を有し、上記第1の制御部は、上記温度センサが検知した上記部位の温度が所定の条件を満たさない場合、アラーム101により警告を出力する。これにより、測定対象の温度が異常であることを知らせることができる。
【0054】
また、図1、2、3等を用いて説明したように、上記プローブは、上記測定対象の部位を照らす光源部の明るさおよび/または上記撮像部の焦点距離を調整するための操作パネル(操作パネル105)を有する。これにより、作業者は、測定対象の部位を測定中の場合でも、プローブ100の調整を行いつつ、測定を継続することができる。
【0055】
また、図5等を用いて説明したように、上記プローブは、当該プローブの位置を検知するための位置検知センサ(センサ102)を有し、上記第1の制御部は、上記位置検知センサが検知した情報を上記オシロスコープに出力し、上記オシロスコープの上記第2の制御部は、上記プローブから受け取った上記位置検知センサが検知した情報を、上記表示装置に表示するために座標変換し、当該座標変換後の上記プローブの位置(位置情報X)と、あらかじめ定められた正解となる上記測定対象の部位の位置である正解位置との位置関係に基づいて、上記プローブによる上記測定対象の部位への接触状態を示す接触状態情報(OK情報、NG情報)を、上記表示装置に表示する。これにより、作業者は、自身の測定が正しく行われているのかを容易に把握することができる。
【0056】
また、図5等を用いて説明したように、上記第2の制御部は、上記撮像部により撮像された映像を3次元解析し、測定部位の構造モデルとして上記表示装置に表示し、作業者から上記構造モデルに対して指定された、上記プローブが測定位置として目標とすべき位置を示す目標位置情報と、上記座標変換後の上記プローブの位置と、上記目標位置情報で示される位置と上記座標変換後の上記プローブの位置の距離とに基づいて、上記プローブを上記測定対象の部位まで誘導するガイド情報(ガイド情報GL、GR)を上記表示装置に表示する。これにより、作業者は、精度よく、かつ容易に測定対象となる部位に対する測定を行うことができるようになる。
【0057】
以上、図面を用いて詳細に説明したが、本発明は上述の種々の例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、さらに種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1000 プローブ測定支援システム
100 プローブ
200 オシロスコープ
101 アラーム
102 センサ
103 LED
104 カメラ
105 操作パネル
106 CPU
201 表示装置
202 操作パネル
2011 波形表示領域
2012 映像表示領域
203 インタフェース
C ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5