(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179328
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】研削砥石の上すべり検出方法および装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/10 20060101AFI20231212BHJP
B24B 5/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B24B49/10
B24B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092599
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】岩本 和也
(72)【発明者】
【氏名】五十君 智
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
【Fターム(参考)】
3C034AA01
3C034BB92
3C034CA30
3C034DD18
3C043CC03
3C043DD01
3C043DD03
3C043DD06
(57)【要約】
【課題】研削加工中の砥粒やビトリファイドボンドの破砕に起因して発生する振動であるAE信号を用いて、研削砥石の上すべりの発生を正確に検出できる、研削砥石の上すべり検出方法および装置を提供する。
【解決手段】研削ホイール20からの被削材12に対する研削時に発生するAE信号SAEを周波数解析する周波数解析部50と、周波数解析工程50により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度の、被削材12の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて研削ホイール20の上すべりを検出する上すべり検出部56とが、含まれている。これにより、AE信号SAEを周波数解析することにより得られた所定周波数帯の信号強度SPの被削材12の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて、研削ホイール20の上すべりの発生を正確に検出できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被削材の外周面を研削する研削砥石の上すべりを検出する研削砥石の上すべり検出方法であって、
前記研削砥石から前記被削材に対する研削時に発生するAE信号を周波数解析する周波数解析工程と、
前記周波数解析工程により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて前記研削砥石の上すべりを検出する上すべり検出工程とを、含む
ことを特徴とする研削砥石の上すべり検出方法。
【請求項2】
前記上すべり検出工程は、前記信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさを、前記被削材の1回転周期を超える移動区間内に得られた複数個の前記信号強度積分値の移動標準偏差値により表わす
ことを特徴とする請求項1の研削砥石の上すべり検出方法。
【請求項3】
前記移動標準偏差値が予め設定された判定閾値を超えたことに基づいて、前記研削砥石の上すべりを判定する上すべり判定工程を、さらに含む
ことを特徴とする請求項2の研削砥石の上すべり検出方法。
【請求項4】
前記上すべり判定工程により前記研削砥石の上すべりが判定された場合には、前記研削砥石の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御工程を、さらに含む
ことを特徴とする請求項3の研削砥石のすべり検出方法。
【請求項5】
被削材の外周面を研削する研削砥石の上すべりを検出する研削砥石の上すべり検出装置であって、
前記研削砥石から前記被削材に対する研削時に発生するAE信号を周波数解析する周波数解析部と、
前記周波数解析部により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて前記研削砥石の上すべりを検出する上すべり検出部とを、含む
ことを特徴とする研削砥石の上すべり検出装置。
【請求項6】
前記上すべり検出部は、前記信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさを、前記被削材の1回転周期を超える移動区間内に得られた複数個の前記信号強度積分値の移動標準偏差値により表わす
ことを特徴とする請求項5の研削砥石の上すべり検出装置。
【請求項7】
前記移動標準偏差値が予め設定された判定閾値を超えたことに基づいて、前記研削砥石の上すべりを判定する上すべり判定部を、さらに含む
ことを特徴とする請求項6の研削砥石の上すべり検出装置。
【請求項8】
前記上すべり判定部により前記研削砥石の上すべりが判定された場合には、前記研削砥石の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御部を、さらに含む
ことを特徴とする請求項7の研削砥石の上すべり検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被削材の外周面を研削する研削加工中に得られたAE信号から、研削砥石の上すべりを検出する、研削砥石の上すべり検出方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、円筒状の被削材の外周面を研削砥石を用いて研削する過程で、研削砥石の砥粒が被削材を削らず被削材の表面を上すべりする現象がある。たとえばチタン合金のような熱がこもり易い難削材の研削に際して、高硬度の研削砥石を用いて切れ込み量が微小な低研磨能率で研削する場合に、そのような研削砥石の上すべり現象が発生し易い。上すべりが発生すると、研削面のうちの上すべりの箇所に、被削材の表面の金属組織変化を示す模様が観察される。
【0003】
このような上すべりの検出としては、例えば、研削砥石を回転駆動する電動機の消費電力値の変化や動力計による研削抵抗値の変化を用いて推定することが、行なわれているが、上すべりの発生タイミングや大きさの程度を精度よく捉えることができないという問題があった。
【0004】
これに対して、特許文献1には、研削加工中に切込み台の移動量を求める切込み台移動量検出手段と、ワークの研削残量を検出するインプロセスゲージの変化量を求めるインプロセスゲージ変化量検出手段と、得られた切込み台移動量およびインプロセスゲージの変化量に基づいてかつぎ量を求めるかつぎ量算出手段とを備え、インプロセスゲージによって検出されたワークの1回転に伴う変動量が加工初期段階での値に比べて所定値以上小さくなったときに、切込み台移動量およびインプロセスゲージ変化量をゼロにリセットし、かつぎ量(=切込み台移動量-インプロセスゲージ変化量)を求めるかつぎ量計測装置が、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような特許文献1に記載のかつぎ量計測装置により求められた研削残量の変化量では、工具の切れ味の影響と区別できず、研削砥石の上すべりを正確に検出することができないという、問題があった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、研削加工中の砥粒やビトリファイドボンドの破砕に起因して発生する振動であるAE信号を用いて、研削砥石の上すべりの発生を正確に検出できる、研削砥石の上すべり検出方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、以上の事情を背景として、円筒プランジ研削により被削材を研削加工する過程で得られたAE信号を周波数解析して検討を重ねるうち、被削材の回転周期よりも十分に短いサンプリング周期でA/D変換するA/D変換器を用いてデジタル化したAE信号を周波数解析すると、周波数解析された周波数スペクトルにおいて、破砕の発生に由来すると推定される第1の信号強度の山に続く、所定の周波数帯たとえば45~75kHzの周波数帯の第2の信号強度の山が観察され、その第2の信号強度の山を構成する信号強度積分値の時間変化を波形で表わすと、局所的に低くなる谷形波形が周期的に複数個含まれており、その複数の谷形波形は被削材の回転周期に対応していること、研削砥石を回転駆動する電動機の消費電力値を示す時間経過波形にはそのような谷型波形が存在していないこと、さらに、研削砥石の回転速度を低下させると、その谷形波形の深さが小さくなることに気付いた。そして、これらの3つの事実を検討すると、上記谷形波形の大きさは、研削砥石の上すべり現象の程度を示しているという結論に至った。本発明は、斯かる知見に基づいて為されたものである。
【0009】
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)被削材の外周面を研削する研削砥石の上すべりを検出する研削砥石の上すべり検出方法であって、(b)前記研削砥石から前記被削材に対する研削時に発生するAE信号を周波数解析する周波数解析工程と、(c)前記周波数解析工程により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて前記研削砥石の上すべりを検出する上すべり検出工程とを、含むことにある。
【0010】
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、前記上すべり検出工程は、前記信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさを、前記被削材の1回転周期を超える移動区間内に得られた複数個の前記信号強度積分値の移動標準偏差値により表わすことにある。
【0011】
第3発明の要旨とするところは、第2発明において、前記移動標準偏差値が予め設定された判定閾値を超えたことに基づいて前記研削砥石の上すべりを判定する上すべり判定工程を、さらに含むことにある。
【0012】
第4発明の要旨とするところは、第3発明において、前記上すべり判定工程により前記研削砥石の上すべりが判定された場合には、前記研削砥石の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御工程を、さらに含むことにある。
【0013】
第5発明の要旨とするところは、(a)被削材の外周面を研削する研削砥石の上すべりを検出する研削砥石の上すべり検出装置であって、(b)前記研削砥石から前記被削材に対する研削時に発生するAE信号を周波数解析する周波数解析部と、(c)前記周波数解析部により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて前記研削砥石の上すべりを検出する上すべり検出部とを、含むことにある。
【0014】
第6発明の要旨とするところは、第5発明において、前記上すべり検出部は、前記信号強度積分値の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさを、前記被削材の1回転周期を超える移動区間内に得られた複数個の前記信号強度積分値の移動標準偏差値により表わすことにある。
【0015】
第7発明の要旨とするところは、第6発明において、前記移動標準偏差値が予め設定された判定閾値を超えたことに基づいて、前記研削砥石の上すべりを判定する上すべり判定部を、さらに含むことにある。
【0016】
第8発明の用紙とするところは、第7発明において、前記上すべり判定部により前記研削砥石の上すべりが判定された場合には、前記研削砥石の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御部を、さらに含むことにある。
【発明の効果】
【0017】
第1発明の研削砥石の上すべり検出方法によれば、前記研削砥石から前記被削材に対する研削時に発生するAE信号を周波数解析する周波数解析工程と、前記周波数解析工程により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて前記研削砥石の上すべりを検出する上すべり検出工程とが、含まれている。これにより、AE信号を周波数解析することにより得られた所定周波数帯の信号強度の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて、研削砥石の上すべりの発生を正確に検出できる。
【0018】
第2発明の研削砥石の上すべり検出方法によれば、前記上すべり検出工程は、前記信号強度の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさを、前記被削材の1回転周期を超える移動区間内に得られた複数個の前記信号強度値の移動標準偏差値により表わすので、移動標準偏差値の大きさに基づいて、研削砥石の上すべりの発生を正確に且つ定量的に検出できる。
【0019】
第3発明の研削砥石の上すべり検出方法によれば、前記移動標準偏差値が予め設定された判定閾値を超えたことに基づいて前記研削砥石の上すべりを判定する上すべり判定工程が、さらに含まれるので、上すべり判定工程により、研削砥石の上すべりの発生が正確に判定される。
【0020】
第4発明の研削砥石の上すべり検出方法によれば、前記すべり判定工程により前記研削砥石の上すべりが判定された場合には、前記研削砥石の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御工程が、さらに含まれるので、研削砥石の上すべりが判定された場合には研削砥石の回転速度が低下させられて、自動的に上すべりが解消される。
【0021】
第5発明の研削砥石の上すべり検出装置によれば、前記研削砥石から前記被削材に対する研削時に発生するAE信号を周波数解析する周波数解析部と、前記周波数解析工程により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて前記研削砥石の上すべりを検出する上すべり検出部とが、含まれている。これにより、AE信号を周波数解析することにより得られた所定周波数帯の信号強度の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて、研削砥石の上すべりの発生を正確に検出できる。
【0022】
第6発明の研削砥石の上すべり検出装置によれば、前記上すべり検出部は、前記信号強度の前記被削材の回転に同期する周期的変化量の大きさを、前記被削材の1回転周期を超える移動区間内に得られた複数個の前記信号強度値の移動標準偏差値により表わすので、移動標準偏差値の大きさに基づいて、研削砥石の上すべりの発生を正確に且つ定量的に検出できる。
【0023】
第7発明の研削砥石の上すべり検出装置によれば、前記移動標準偏差値が予め設定された判定閾値を超えたことに基づいて前記研削砥石の上すべりを判定する上すべり判定部が、さらに含まれるので、上すべり判定部により、研削砥石の上すべりの発生が正確に判定される。
【0024】
第8発明の研削砥石の上すべり検出装置によれば、前記上すべり判定部により前記研削砥石の上すべりが判定された場合には、前記研削砥石の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御部が、さらに含まれるので、研削砥石の上すべりが判定された場合には研削砥石の回転速度が低下させられて、自動的に上すべりが解消される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例の、研削加工中に研削砥石の上すべりを検出する研削砥石上すべり検出装置を備えた研削加工装置の構成を説明する図である。
【
図2】
図1の研削加工装置による研削加工中に、研削砥石の研削点から発生するAE信号の発生メカニズムを説明する図である。
【
図3】
図1のAEセンサにより検出されたAE信号SAEを周波数解析部により周波数解析して得られた周波数スペクトルの一例を示す図である。
【
図4】
図1の研削加工装置において、研削砥石を回転駆動する電動機の消費電力値の時間変化の一例を示す図である。
【
図5】
図3の周波数スペクトルのうちの所定の周波数帯B2内の信号強度(積分)値SPIを示す波形の一例を示す図である。
【
図6】
図5の所定周波数帯B2内の信号強度(積分)値SPIの時間変化を示す波形に複数個連続して含まれる山形波形および谷形波形を、時間軸を拡大して示す図である。
【
図7】
図6の波形に含まれる山形波形間の周期を説明する図である。
【
図8】
図1の研削加工装置において、研削砥石の回転速度を
図6の場合よりも低下させた場合に得られた信号強度(積分)値SPIの波形を、
図6よりも時間軸を拡大して示す
図6に相当する図である。
【
図9】
図1の研削加工装置において、研削砥石の回転速度を
図8の場合よりもさらに低下させた場合に得られた信号強度(積分)値SPIの波形を、
図8と同じ時間軸上に示す
図6に相当する図である。
【
図10】
図6に示す所定周波数帯B2内の信号強度(積分)値SPIの移動標準偏差値MSDの時間的変化を示す波形を示す図である。
【
図11】
図8に示す信号強度(積分)値SPIの移動標準偏差値MSDの時間的変化を示す波形を示す図である。
【
図12】
図9に示す信号強度(積分)値SPIの移動標準偏差値MSDの時間的変化を示す波形を示す図である。
【
図13】
図10の移動標準偏差値MSDの時間的変化を示す波形上に、上すべり判定閾値として用いた異常レベル1および異常レベル2を重ねて示すとともに、異常レベル2が検知された場合に研削砥石の回転速度を低下させた場合の、それ以後の移動標準偏差値MSDの時間的変化を示す波形を示す図である。
【
図14】
図1の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【
図15】
図14の他の例の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの要部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0027】
図1は、本発明の一実施例の被削材12の上すべり検出装置10を備えた研削加工装置14の構成を説明する図である。研削加工装置14は、研削ホイール20を用いて、例えばチタン合金等の難削材から成る被削材12を研削加工する。被削材12は、例えばチタン合金(Ti-6Al-4V)等の難削材から成る円筒状或いは軸状の金属部品である。また、研削ホイール20は、たとえば溶融アルミナ系砥粒、炭化珪素系砥粒、セラミックス砥粒などの一般砥粒や、CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒などの超砥粒などが、無機質、有機質、或いは金属等の結合材によって結合されたビトリファイド砥石等の複数のセグメント状砥石片である砥石部20bが、本体(台金)20aの外周面に貼り付けられることで構成された研削砥石である。
【0028】
図1において、研削加工装置14は、研削ホイール20と、研削ホイール20を研削ホイール20の回転中心線C1まわりに回転可能に支持する回転主軸を回転駆動する主軸駆動モータ62と、研削ホイール20を円柱状の被削材12の外周面に押し当てるために被削材12を径方向に移動させて取り代を変更する被削材移動モータ66と、被削材12を研削ホイール20の回転中心線C1に平行な回転中心軸C2まわりに回転駆動する被削材回転駆動モータ68と、主軸駆動モータ62、被削材移動モータ66、および被削材回転駆動モータ68等を制御する研削制御装置72と、を備えている。
【0029】
研削ホイール20は、円筒状或いはドラム状の金属コア(台金)すなわち本体20aと、本体20aの外周面に接着等により固定された複数個のセグメント状の砥石部20bとを有しており、主軸駆動モータ62により研削ホイール20の回転中心線C1まわりに回転駆動される図示しない回転主軸の軸端に装着される。
【0030】
本体20a内には、AEセンサ22、プリアンプ24、プリアンプ24により増幅されたAE信号SAEを所定の搬送波を用いて変調し、送信する送信回路26、及び、それらの電源として機能する蓄電池44とが、設けられている。また、送信回路26から送信されたAE信号SAEを受信するためのアンテナ28を有する受信回路30、バンドパスフィルタ32、復調回路33、A/D変換器34、及び電子制御装置36が、研削加工装置14に位置固定に設けられている。上記のAEセンサ22、送信回路26、受信回路30、バンドパスフィルタ32、復調回路33、A/D変換器34、及び電子制御装置36の一部等が、上すべり検出装置10を構成している。
【0031】
AEセンサ22は、砥石部20bに含まれる砥粒の破砕時に発生し且つ砥石部20b内を伝播する例えば20kHz以上の超音波領域である極めて周波数の高い破砕振動(acoustic emission)を砥石部20bの内周面から検出し、その破砕振動を表すアナログ信号であるAE信号SAEを出力する。プリアンプ24は、AEセンサ22から出力されたAE信号SAEを増幅する。バンドパスフィルタ32は、受信回路30により受信された搬送波を専ら通過させる所定の通過周波数帯を備える。復調回路33は、搬送波から復調されたAE信号SAEを出力し、A/D変換器34は、AE信号SAEをデジタル信号に変換する。
【0032】
A/D変換器34は、例えば被削材12の回転周期の1/10以下のサンプリング周期、たとえば65msのサンプリング周期で、AE信号SAEをデジタル信号に変換する。A/D変換器34のサンプリング周期は、被削材12の回転周期よりも短くなるほど(高速となるほど)、AE信号SAEの周波数解析で得られる周波数スペクトルの波形が明確となり、研削ホイール20の被削材12に対する上すべりの検出精度が得られる。
【0033】
研削ホイール20の砥石部20bは、例えば
図2に示すように、砥粒38と、それら砥粒38を結合する無機結合材(ビトリファイドボンド)40と、気孔42とから成るよく知られたビトリファイド砥石組織から構成されている。この研削ホイール20の砥石部20bと被削材(ワーク)12との摺接によって、砥粒38自体のクラックCaすなわち破砕の発生に由来すると推定される振動や、砥粒38と被削材12との接触すなわち擦れCbによって発生する摩擦振動或いは弾性振動に由来すると推定される振動が発生し、それらの振動を含む研削振動すなわちAE波が、AEセンサ22によって検出される。
【0034】
AEセンサ22によって検出されたAE信号SAEを周波数解析することにより得た周波数スペクトルには、
図3に示すように、砥粒38自体のクラックCaすなわち破砕の発生に由来すると推定される信号強度の山を示す25~40kHzの第1の山P1と、砥粒38の被削材12に対する上すべりに敏感に反応する信号強度が含まれる45~75kHzの周波数帯B2内の第2の山P2とが含まれる。上すべりの検出は、その45~75kHzの周波数帯B2内の一部の信号強度を用いることで可能となるので、必ずしも45~75kHzの周波数帯B2内の信号強度でなくてもよい。たとえば、55~60kHzの中心周波数帯B1は、周波数帯B2内の第2の山P2のうちの中央部の信号強度が最大となる領域に対応しているので、好適には、その中心周波数領域B1の少なくとも一部を含む予め設定された所定周波数領域内の信号強度が、上すべりの検出に用いられ得る。
【0035】
ここで、研削ホイール20の被削材12に対する上すべり現象と、上記AE信号SAEの周波数スペクトルにおける所定周波数内の信号強度積分値SPIとの関係を確認するために、本発明者等が行なった確認試験を、以下に説明する。先ず、本発明者等は、以下に示す研削試験条件にて研削試験を行い、研削砥石を回転駆動する主軸駆動モータ62の消費電力値を採取するとともに、A/D変換されたAE信号SAEの周波数解析を行い、所定周波数帯(45~75kHz)の信号強度積分値SPIを算出した。
図4は、研削中の上記主軸駆動モータ62の消費電力値の変化を示している。
図5は、上記信号強度積分値SPIの変化を示している。なお、この研削試験では、研削砥石の周速と被削材の周速との比率は一定(約200対1)に設定されている。
【0036】
(研削試験条件)
FFT解析データ長:65ms
積分解析ピッチΔt:65ms
積分周波数範囲:45-75kHz
加工機:円筒研削盤
研削砥石:GC 150 H 12 V99
研削砥石の外径:405mmφ
研削砥石の周速:42m/秒、37m/秒、33m/秒
被削材の外径:58mmφ
被削材の周速:0.21m/秒、0.18m/秒、0.16m/秒
切込み速度:0.13mm/分
スパークアウト:10rev.
研削油:SEC-1500P(希釈倍率50倍)
被削材:チタン合金(Ti-6Al-4V)
研磨能率Z’:0.2
【0037】
本発明者等は、研削砥石の周速が42m/秒且つ被削材の周速が0.21m/秒とした研削において、研削加工初期の消費電力値からは、
図4に示されるように、目立った周期的脈動を見出すことができなかったが、
図4と同じ時間軸を用いた
図5、および
図4と同じ時間軸を用いた
図6の研削加工初期の信号強度積分値SPIにおいて、山形波形と谷形波形との脈動波形が連続的に生じていることを見出した。この谷形波形は、初期値まで低下している。この
図5および
図6に示す脈動波形を拡大すると、
図7に示すように信号強度積分値SPIの脈動の周期は、0.88secであり、被削材12の回転周期0.86secに相当する値であった。
【0038】
次いで、本発明者等は、研削砥石の周速を、42m/秒(被削材の周速0.21m/秒)から37m/秒(被削材の周速0.18m/秒)および33m/秒(被削材の周速0.16m/秒)へ低下させて、研削初期の信号強度積分値SPIの変化波形をそれぞれ観測すると、
図8および
図9に示すように、脈動波形は
図6と同じであるが、研削砥石の周速の低下に伴って谷形波形の落ち込みが小さくなり脈動波形の振幅が低くなるとを見出した。研削砥石の周速の低下に伴って信号強度積分値SPIの脈動波形の振幅が低くなる点は、研削砥石の周速が低下すると、砥粒の切込み深さが大きくなり、研削砥石の1回転当たりの切込み量が増加したことで、研削加工初期における砥粒の上すべりが軽減されたためと考えられる。
【0039】
これらの事実から、切込み速度が0.13mm/分であり且つ研磨能率Z’が0.2という一般的な研削に比較して低能率である難削材の研削において、
図6に示す信号強度積分値SPIの脈動波形のうちの谷形波形は、被削材の回転に同期して、研削砥石が上すべりを現象が発生したことを示していると、推定された。
【0040】
図1に戻って、電子制御装置36は、CPU、ROM、RAM、インターフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理することにより、AE信号SAEを周波数解析することで周波数スペクトルを生成し、その周波数スペクトルのうちたとえば55-60kHzを含む所定波長帯内の信号強度積分値(積算値)SPIを算出し、その信号強度積分SPIの移動標準偏差値MSDを表示装置46に表示させるとともに、その移動標準偏差値MSDが予め設定された上すべり判定閾値HSを超えたか否かを判定し、その判定結果を表示装置46に表示させる。その信号強度積分値SPIが予め設定された上すべり判定閾値HSを超えた場合には、判定結果を研削制御装置72へ送信し、上すべりを抑制するために研削ホイール20の回転速度を所定値低下させる。
【0041】
信号強度積分SPIは、被削材12の回転周期T(0.87秒=58×π/210)に対して、その1/13.4である65msecの積分解析ピッチΔtで算出されており、その積分解析ピッチΔtは、
図6の信号強度積分値SPIの脈動周期0.88secよりも十分に小さい。また、移動標準偏差値MSDは、次の数式1から算出される。数式1において、nは移動区間内の解析データ数(整数)、x
iはi番目の信号強度積分値SPI、x
avは移動区間内の信号強度積分値SPIの平均値、Tは被削材回転周期(秒)、Δtは解析データ長(ms)である。
【数1】
【0042】
移動標準偏差値MSDは、解析データ数をn個含む移動区間は、被削材12の回転周期Tと同等であるので、信号強度積分値SPIの脈動波形の振幅が大きいほど大きい値となる。すなわち、移動標準偏差値MSDは、信号強度積分値SPIの脈動波形の周期的変化量(振幅)の大きさに対応する値を示す。この点において、信号強度積分値SPIの脈動波形の振幅すなわち周期的変化量の大きさを示す振幅評価値として、信号強度積分値SPIの脈動波形の振幅値、その脈動波形の振幅値の移動平均値、谷形波形の深さ値或いは面積値、その谷形波形の深さ或いは面積値の移動平均値等が、移動標準偏差値MSDに代えて用いられてもよい。
【0043】
電子制御装置36は、周波数解析部50、信号強度積分値算出部52、移動標準偏差算出部54、および、上すべり判定部58を有する上すべり検出部56を、機能的に備えている。
【0044】
周波数解析部50は、研削ホイール20による被削材12の研削加工中において、A/D変換器34から出力されたAE信号SAEの周波数解析(FFT解析)を所定の解析周期毎に繰り返し連続的に行なって、信号強度積分値SPI(パワー)を示す縦軸と、解析周波数を示す横軸との二次元座標において、AE信号SAEの周波数成分の大きさを示す周波数スペクトルを、たとえば
図3に示すように生成する。
【0045】
信号強度積分値算出部52は、周波数解析部50により周波数解析された周波数スペクトル中のうち、研削ホイール20の被削材12に対する上すべりに比較的敏感に強度変化する小領域である特定の周波数帯B2たとえば45~70kHz内に含まれる信号強度値SPを積分演算(積算)することにより、信号強度積分値SPIを、被削材12の回転周期よりも十分に短い周期たとえば1/10以下の周期で、好適には周波数解析部50による周波数解析周期と同じ周期で逐次算出する。たとえば
図6、
図7、および
図8は、研削ホイール20の周速が42m/秒、37m/秒、および33m/秒であるときの、信号強度積分値SPIの時間変化波形を示している。
【0046】
移動標準偏差算出部54は、信号強度積分値算出部52により逐次算出された信号強度積分値SPIの解析データ数をn個含む移動区間内の移動標準偏差値MSDを、数式1に従って、信号強度積分値SPIの算出周期毎に繰り返し算出する。たとえば
図10、
図11、
図12は、研削ホイール20の周速が42m/秒、37m/秒、および33m/秒であるときの、移動標準偏差値MSDの時間変化波形を示している。
【0047】
上すべり検出部56は、前記周波数解析部50により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯たとえば45~75kHz帯の信号強度積分値SPIの被削材12の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて、研削ホイール20の上すべりを検出する。具体的には、上すべり検出部56は、信号強度積分値SPIの被削材12の回転に同期する周期的変化量の大きさを、被削材12の1回転周期を含む移動区間内に得られた複数のn個の信号強度積分値SPIの移動標準偏差値MSDを用いて表わす。そして、上すべり検出部56は、移動標準偏差値MSDが予め実験的に設定された第1上すべり判定閾値M1および第2上すべり判定閾値M2のいずれかを超えたことに基づいて、研削ホイール20の上すべりを判定する上すべり判定部58を、さらに含む。
【0048】
上すべり判定部58は、移動標準偏差値MSD、および移動標準偏差値MSDが予め実験的に設定された第1上すべり判定閾値M1および第2上すべり判定閾域M2のいずれかを超えたことを、表示装置48に表示させる。移動標準偏差値MSDの数値が表示されるだけでも、上すべり現象の発生を知らせることができる。
【0049】
上すべり判定部58では、
図13に示すように、第1上すべり判定閾値M1は、上すべり異常なしか否かを判定するための値であり、たとえば「50」に設定されている。移動標準偏差値MSDが第1上すべり判定閾値M1以下である場合は、異常なしと判定されるが、移動標準偏差値MSDが第1上すべり判定閾値M1を超えると異常レベル1と判定される。第2上すべり判定閾値M2は、上すべり異常か発生したか否かを判定するための値であり、たとえば「200」に設定されている。移動標準偏差値MSDが第2上すべり判定閾値M2以下である場合は、異常レベル1と判定されるが、移動標準偏差値MSDが第2上すべり閾値M2を超えると、上すべり異常の修正が必要な異常レベル2と判定される。
【0050】
上すべり検出部56は、上すべり判定部58により研削ホイール20の上すべりの異常レベル2が判定された場合には、その判定結果を研削制御装置72の回転速度低下制御部74へ出力し、研削制御装置72に研削ホイール20の回転速度を所定値低下させる。
【0051】
研削制御装置72は、回転速度低下制御部74を機能的に備える電子制御装置であって、主軸駆動モータ62、被削材移動モータ66、被削材回転駆動モータ68等を制御する。研削制御装置72は、研削開始指令信号を受けると、予め設定された動作で研削ホイール20及び被削材12をそれぞれ回転駆動しつつ予め設定された切込み速度で切れ込みを行ない、被削材12の研削が完了すると研削ホイール20及び被削材12の回転を停止させるとともに原位置へ戻す。研削制御装置72は、電子制御装置36の上すべり検出部56から、研削ホイール20の上すべりの異常レベル2が送信された場合は、研削ホイール20の回転速度を、上すべりが減少するように低下させる。
【0052】
図14は、電子制御装置36の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
図14のステップS1(以下、ステップを省略する)では、研削加工に先立って、たとえば前述の研削試験条件に示すような研削加工条件が入力される。次に、S2において、第1上すべり判定閾値M1および第2上すべり判定閾値M2が設定された後、S3において、研削加工装置14の被削材12に対する研削加工が開始され、研削ホイール20がたとえば42m/秒の周速で回転させられる。
【0053】
S4では、研削加工中においてAEセンサ22から出力され且つA/D変換器34によりA/D変換されたAE信号SAEが逐次読み込まれる。次いで、周波数解析部50の機能或いは周波数解析工程に対応するS5において、たとえば65msのデータ長毎の周波数解析(FFT)が行なわれ、たとえば
図3に示す周波数スペクトルが生成される。
【0054】
次に、信号強度積分値算出部52の機能或いは信号強度積分値算出工程に対応するS6では、S5で周波数解析された周波数スペクトル中のうちの特定の周波数帯B2たとえば45~70kHz内に含まれる信号強度値SPを積分演算(積算)することにより、被削材12の回転周期よりも十分に短い周期たとえば1/10以下の周期、たとえばS5の周波数解析周期と同じ周期で、信号強度積分値SPIが逐次算出される。
【0055】
次いて、移動標準偏差算出部54の機能或いは移動標準偏差算出工程に対応するS7では、S6において逐次算出された信号強度積分値SPIの解析データ数をn個含む移動区間内の移動標準偏差値MSDが、数式1に従って、たとえば
図10に示すように、信号強度積分値SPIの算出周期毎に繰り返し算出される。
【0056】
次に、上すべり判定部58の機能或いは上すべり判工程に対応するS8では、S7で算出された移動標準偏差値MSDが第1上すべり判定閾値M1或いは第2上すべり判定閾値M2を上まわるか否かに基づいて閾値判定が行なわれる。次いで、上すべり検出部56の機能或いは上すべり検出工程に対応するS9において、S8の判定結果が表示装置48は出力される。たとえば、移動標準偏差値MSDが第1上すべり判定閾値M1以下である場合は、異常なしと出力されるが、移動標準偏差値MSDが第1上すべり判定閾値M1を超えると異常レベル1が出力され、移動標準偏差値MSDが第2上すべり判定閾値M2を超えると、上すべり異常の修正が必要な異常レベル2が出力される。
【0057】
そして、S10において、被削材12に対する研削加工が終了したか否かが判断される。このS10の判断が否定される場合は、S11において閾値判定が更新された後、S4以下が繰り返し実行されるが、S10の判断が肯定される場合は、本制御ルーチンが終了させられる。
【0058】
上述のように、本実施例の上すべり検出装置10或いは上すべり検出方法によれば、研削ホイール20からの被削材12に対する研削時に発生するAE信号SAEを周波数解析する周波数解析部50と、周波数解析工程50により周波数解析された周波数スペクトルの信号強度のうちの所定周波数帯の信号強度の、被削材12の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて研削ホイール20の上すべりを検出する上すべり検出部56とが、含まれている。これにより、AE信号SAEを周波数解析することにより得られた所定周波数帯の信号強度SPの被削材12の回転に同期する周期的変化量の大きさに基づいて、研削ホイール20の上すべりの発生を正確に検出できる。
【0059】
本実施例の上すべり検出装置10或いは上すべり検出方法によれば、上すべり検出部56は、信号強度SPの被削材12の回転に同期する周期的変化量の大きさを、被削材12の1回転周期Tを超える移動区間内に得られた複数個の信号強度積分値SPIの移動標準偏差値MSDにより表わすので、移動標準偏差値MSDの大きさに基づいて、研削ホイール20の上すべりの発生を正確に且つ定量的に検出できる。
【0060】
本実施例の上すべり検出装置10或いは上すべり検出方法によれば、移動標準偏差値MSDが予め設定された上すべり判定閾値M(第1上すべり判定閾値M1および第2上すべり判定閾値M2)を超えたことに基づいて研削ホイール20の上すべりを判定する上すべり判定部58が、さらに含まれるので、上すべり判定部58により、研削砥石の上すべりの発生が正確に判定される。
【0061】
本実施例の上すべり検出装置10或いは上すべり検出方法によれば、上すべり判定部により前記研削砥石の上すべりが判定された場合には、前記研削砥石の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御部が、さらに含まれるので、研削砥石の上すべりが判定された場合には研削砥石の回転速度が低下させられて、自動的に上すべりが解消される。
本実施例の上すべり検出装置10或いは上すべり検出方法によれば、上すべり判定部58により研削ホイール20の上すべりが判定された場合には、研削ホイール20の回転速度を所定値低下させる回転速度低下制御部74が、さらに含まれるので、研削ホイール20の上すべりが判定された場合には研削ホイール20の回転速度が低下させられて、自動的に上すべりが解消される。
例えば、前述の実施例において、AEセンサ22は、研削ホイール20の砥石部20bが貼り着けられた本体(台金)20a内に設けられていたが、本体(台金)20aを用いない円板状の研削砥石を用いる場合には、その研削砥石を挟んで回転主軸に固定するフランジや、被削材12が固定されるテーブル内に設けられていてもよい。
また、前述の実施例では、上すべり判定部58では、移動標準偏差値MSDが予め実験的に設定された第1上すべり判定閾値M1および第2上すべり判定閾値M2のいずれかを超えたことを判定しているが、上すべり判定部58は、単一の上すべり判定閾値たとえば第2上すべり判定閾値M2を用いるものであってもよい。
また、前述の実施例の上すべり検出部56は、移動標準偏差値MSDが予め実験的に設定された第1上すべり判定閾値M1および第2上すべり判定閾値M2のいずれかを超えたことに基づいて、研削ホイール20の上すべりを判定するものであったが、第1上すべり判定閾値M1および第2上すべり判定閾値M2のいずれか一方を用いるものであってもよい。